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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-138640(P2020-138640A)
(43)【公開日】2020年9月3日
(54)【発明の名称】無人飛行体を用いた構造物検査装置
(51)【国際特許分類】
   B64F 3/02 20060101AFI20200807BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20200807BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20200807BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20200807BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20200807BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20200807BHJP
   B60P 3/11 20060101ALI20200807BHJP
   H02G 11/02 20060101ALI20200807BHJP
【FI】
   B64F3/02
   B64C39/02
   B64D27/24
   B64D47/08
   B64F1/36
   B60P3/00 U
   B60P3/00 F
   B60P3/11
   H02G11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-35368(P2019-35368)
(22)【出願日】2019年2月28日
(71)【出願人】
【識別番号】519042124
【氏名又は名称】株式会社旭テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100130007
【弁理士】
【氏名又は名称】垣木 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】難波 貞二
【テーマコード(参考)】
5G371
【Fターム(参考)】
5G371AA05
5G371BA05
5G371CA04
(57)【要約】
【課題】移動が容易で、給電ケーブルを介して無人飛行体に電力の供給が可能であり、様々な構造物の検査に適する汎用性の高い構造物検査装置を提供する。
【解決手段】構造物検査装置1は、撮像装置11を備えた無人飛行体20と、無人飛行体10に給電ケーブル2を介して電力を供給する地上支援車20とを備え、地上支援車20
給電ケーブル2の引き出し及び巻き取りを行なう自動巻き取り装置3と、無人飛行体10に電力を供給するための電源装置5と、給電ケーブル2を引き出すための開口22と、開口の近傍に設けられ、起伏、旋回及び伸縮可能なアーム30と、開口22及びアーム30の先端部近傍に設けられ、給電ケーブル2をガイドするガイド部材とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置を備え、遠隔操縦される無人飛行体と、前記無人飛行体に給電ケーブルを介して電力を供給する地上支援車とを備えた無人飛行体を用いた構造物検査装置であって、
前記地上支援車は、
前記給電ケーブルの引き出し及び巻き取りを行なう自動巻き取り装置と、
前記給電ケーブルを介して前記無人飛行体に電力を供給するための電源装置と、
垂直面内で起伏可能であり、水平面内で旋回可能であり、伸縮可能なアームと、
前記自動巻き取り装置の近傍及び前記アームの先端部近傍に設けられ、前記給電ケーブルの引き出し及び巻き取りの際に前記給電ケーブルをガイドするガイド部材と、
を備えたことを特徴とする無人飛行体を用いた構造物検査装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記給電ケーブルの絶縁被覆に接触し、前記給電ケーブルの引き出し及び巻き取りに伴って回転するガイドローラであることを特徴とする請求項1に記載の無人飛行体を用いた構造物検査装置。
【請求項3】
前記開口の近傍に設けられたガイド部材は、表面が鏡面に仕上げられ、水平断面が環状であり、垂直断面が円形、楕円形、半円形又は放物線形のリング部材であることを特徴とする請求項1に記載の無人飛行体を用いた構造物検査装置。
【請求項4】
前記開口の近傍に設けられたガイド部材は、前記アームと共に水平面内で旋回することを特徴とする請求項1又は2に記載の無人飛行体を用いた構造物検査装置。
【請求項5】
前記開口の近傍に設けられたガイド部材は、前記地上支援車の上面に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の無人飛行体を用いた構造物検査装置。
【請求項6】
前記給電ケーブルは、前記アームの先端から下方に垂れ下がった状態で、前記無人飛行体の上面側に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の無人飛行体を用いた構造物検査装置。
【請求項7】
前記地上支援車は、前記無人飛行体を離着陸させるためのポートをさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の無人飛行体を用いた構造物検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体、いわゆるドローンを用いた構造物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁や橋脚などの構造物は、定期的に、目視などによって検査することが義務づけられている。構造物の側壁部分の検査などの場合、作業員が命綱をつけて構造物から下降し、構造物にひび割れなどの劣化が生じていないかを確認し、劣化が生じている場合は劣化部分を写真撮影している。このような検査作業は非常に危険であり、且つ、検査に時間がかかる。また、土木技術の発展により、構造物の大型化により、構造物の検査対象箇所はより高高度化する傾向にあるため、人による目視検査の危険性はますます高くなっている。また、橋梁の下側部分など、オーバーハングした箇所を検査する場合は、足場を組む必要があり、検査コストが問題となる。
【0003】
一方、ドローンとして市販されている無人飛行体には撮像装置が標準的に装備されている。そこで、このような無人飛行体を用いて構造物の細部を写真撮影し、劣化の有無を確認する検査方法が考えられる。ところが、市販の無人飛行体は、内蔵二次電池から供給される電力によってプロペラを駆動したり、撮像装置を駆動しているため、一回の充電での飛行可能時間はせいぜい20〜30分程度である。一つの構造物を検査するためには、繰り返し何回も無人飛行体を飛行させなければならないが、飛行を中断した箇所に無人飛行体を正確に戻すことが非常に困難であり、検査漏れが生じる虞があり、現実的ではない。また、人工島などに架けられる架橋の下は海上であったり、高速道路などに架けられる架橋の下は深い谷であったりするので、構造物の下側から無人飛行体を飛行させて構造物の検査を行なうことは非常に困難である。
【0004】
一方で、例えば特許文献1や特許文献2には、ビルディングの屋上や橋梁などの構造物から水平にクレーンのアームを伸ばし、アームからケーブルを介してドローンなどの無人飛行体を吊り下げて構造物の検査を行なうことが提案されている。特許文献1では、アームから吊り下げた給電ケーブルが無人飛行体のプロペラに接触して飛行不能になるのを防止するために、ケーブルの引き出し長さを調節している。しかしながら、特許文献1には、ケーブルを介して無人飛行体に電力を供給する点に関しては言及がなく、むしろケーブルを信号線として使用し、無人飛行体の制御を行なうことが提案されている。また、特許文献2では、無人飛行体の飛行高度が一定となるように、無人飛行体の水平方向への移動に伴ってワイヤーの繰り出し量を調節している。そして、ケーブルを介して無人飛行体に電力を供給させてもよいことが提案されている。しかしながら、特許文献2には、ケーブルを介して電力を供給する場合のケーブルの絶縁被覆の劣化や芯線の断線など、実用化に向けて解決しなければならない課題に関しては言及がなく、あくまでもアイデアの1つとして提案されているにすぎない。
【0005】
特許文献3では、無人飛行体が制御不能になったとしても、無人飛行体の墜落を防止するために、無人飛行体の中心部に穴を設け、その穴に係留索を貫通させている。無人飛行体は、基本的に係留索に対して垂直方向にしか移動できず、水平方向の移動は係留索を吊り下げるアームを旋回させることによって行なわれる。また、係留索はおもりによって垂直方向に垂れ下がっているだけであり、係留索を介して無人飛行体に電力を供給することはできない。特許文献4には、複数の無人飛行体を同時に飛行させ、地上に設置された電源から、給電ケーブルを介して中継用無人飛行体に電力を供給し、さらに、中継用無人飛行体から別の給電ケーブルを介して写真撮影を行なう撮影用無人飛行体に電力を供給することが提案されている。
【0006】
これら特許文献2又は4に記載された方法によれば、給電ケーブルを介して無人飛行体に電力を供給することができるため、無人飛行体の飛行可能時間が大幅に拡大され、内蔵二次電池から無人飛行体に電力を供給する場合と比較して構造物の検査に適している。しかしながら、特許文献2に記載された方法では、アームを備えたクレーンが構造物に固定されており、移動性がなく、汎用的な構造物検査装置として実用化するには様々な課題を解決する必要がある。また、特許文献4に記載された方法では、複数の無人飛行体を同時に飛行させなければならず、且つ、これら複数の無人飛行体の間に給電ケーブルが接続されているため、給電ケーブルが無人飛行体のプロペラや飛行ルートの周囲に存在する障害物などと干渉させることなく、複数の無人飛行体を同時に遠隔操縦することは非常に困難である。さらに、何れの場合も、ケーブルの絶縁被覆の劣化や芯線の断線など、実用化に向けて解決しなければならない課題は解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018−149973号公報
【特許文献2】特開2018−95394号公報
【特許文献3】特開2018−52429号公報
【特許文献4】特開2015−189321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、移動が容易であり、給電ケーブルを介して無人飛行体に電力の供給が可能であり、無人飛行体の長時間の連続飛行が可能な、様々な構造物の検査に適する汎用性の高い構造物検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る無人飛行体を用いた構造物検査装置は、
撮像装置を備え、遠隔操縦される無人飛行体と、前記無人飛行体に給電ケーブルを介して電力を供給する地上支援車とを備え、
前記地上支援車は、
前記給電ケーブルの引き出し及び巻き取りを行なう自動巻き取り装置と、
前記給電ケーブルを介して前記無人飛行体に電力を供給するための電源装置と、
垂直面内で起伏可能であり、水平面内で旋回可能であり、伸縮可能なアームと、
前記自動巻き取り装置の近傍及び前記アームの先端部近傍に設けられ、前記給電ケーブルの引き出し及び巻き取りの際に前記給電ケーブルをガイドするガイド部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記ガイド部材は、前記給電ケーブルの絶縁被覆に接触し、前記給電ケーブルの引き出し及び巻き取りに伴って回転するガイドローラであってもよい。
【0011】
または、前記開口の近傍に設けられたガイド部材は、表面が鏡面に仕上げられ、水平断面が環状であり、垂直断面が円形、楕円形、半円形又は放物線形のリング部材であってもよい。
【0012】
また、前記開口の近傍に設けられたガイド部材は、前記アームと共に水平面内で旋回してもよい。
【0013】
あるいは、前記開口の近傍に設けられたガイド部材は、前記地上支援車の上面に固定されていてもよい。
【0014】
前記給電ケーブルは、前記アームの先端から下方に垂れ下がった状態で、前記無人飛行体の上面側に接続されていてもよい。
【0015】
前記地上支援車は、前記無人飛行体を離着陸させるためのポートをさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記構成によれば、橋梁や橋脚など検査対象物の検査対象範囲の上方近傍に地上支援車を移動させ、無人飛行体の飛行を開始した後、アームを水平方向に伸ばし、無人飛行体をアームよりも低い高さで飛行させる。それによって、地上支援車の位置よりも低い検査対象範囲、例えば橋梁のオーバーハングした部分の内側などを撮影し、検査することができる。また、地上支援車を適宜移動させることにより、広範囲の検査対象領域の撮影を行なうことができる。さらに、無人飛行体には、給電ケーブルを介して地上支援車側から電力が供給されるので、長時間にわたって無人飛行体を連続して飛行させることができ、検査漏れが発生する可能性が低減される。また、地上支援車の内部から給電ケーブルを引き出すための開口の近傍及びアームの先端部近傍には、例えばガイドローラなどのガイド部材が設けられているため、無人飛行体の移動に伴って給電ケーブルを引き出したり巻き取ったりする際、給電ケーブルの絶縁被覆はガイド部材の外周面によってガイドされ、予期しない箇所に接触する可能性が低減され、給電ケーブルの絶縁被覆が損傷したり、芯線が破断したりする可能性が低減される。また、ガイド部材としてスムーズに回転するガイドローラを用いることによって、給電ケーブルの絶縁被覆がガイドローラの外周面と擦れることはほとんどなくなり、給電ケーブルの絶縁被覆の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る無人飛行体を用いた構造物検査装置及びその構造物検査装置に適した構造物検査システムの構成を示す図。
図2】上記構造物検査装置の地上支援車の一構成例を示す平面図。
図3】上記地上支援車の一構成例を示す断面図。
図4】上記地上支援車にポートを取り付け、ポート上に無人飛行体を着陸させた状態を示す図。
図5】上記構造物検査装置を構成する無人飛行体の構成及び無人飛行体と給電ケーブルの接続構造を示す図。
図6】上記構造物検査装置の地上支援車の他の構成例を示す平面図。
図7】上記構造物検査装置の地上支援車のさらに他の構成例を示す平面図。
図8】上記構造物検査装置の地上支援車のさらに他の構成例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る無人飛行体を用いた構造物検査装置及びその構造物検査装置に適した構造物検査システムについて説明する。図1に示す構造物検査システムは、撮像装置11を備えた無人飛行体(ドローン)10と、無人飛行体10に給電ケーブル2を介して電力を供給する地上支援車20を備えた構造物検査装置1と、発電機6と、無人飛行体10の飛行を制御する飛行制御装置7と、無人飛行体10から送信される画像データを受信する受信装置8と、受信した画像データの画像解析を行なう解析装置9などで構成されている。地上支援車20の内部には、例えば手動操作される台車上に、給電ケーブル2が巻き付けられた電動式のリール(自動巻き取り装置)3と、リール3の正転・逆転を制御し、給電ケーブル2の繰り出し量を調整する巻き取り制御装置4と、給電ケーブル2を介して無人飛行体10に直流電力を供給する電源装置5などが搭載されている。
【0019】
構造物50が橋梁や橋脚などの場合、上面はフラットであるため、地上支援車20の移動又は走行は容易である。この構造物検査システムは、地上支援車20を検査対象領域の真上近傍まで移動させ、地上支援車20から水平に伸ばしたアーム30から給電ケーブル2を吊り下げ、その先に無人飛行体10を接続して構造物50の下側を飛行させ、検査対象領域の検査を行なう。
【0020】
無人飛行体10は、市販されているものを改造して使用することができ、例えば、無人飛行体10に搭載されている二次電池に給電ケーブル2を着脱可能なように接続して構成される。なお、給電ケーブル2を介して無人飛行体10に電力が供給されるため、無人飛行体10に二次電池を搭載しておく必要はないが、万が一給電ケーブル2が外れた場合でも無人飛行体1の墜落を防止するために、無人飛行体10に二次電池を搭載しておくことが好ましい。給電ケーブル2は、例えば無人飛行体10の上方(プロペラ側)から無人飛行体10に接続すれば、給電ケーブル2の自重は無人飛行体10にはほとんどかかることはないけれども、給電ケーブル2としては、例えば直径3mm程度の細くて軽いものを用いる必要がある。電源装置5としては、例えば直流360Vで1000W程度の電力を無人飛行体10に供給する能力を有するものを使用する。
【0021】
地上支援車20としては、自律移動式のもの、無線操縦によるもの、及び手動式のものの何れであってもよい。風力発電用の風車を検査する場合、無人飛行体10は、もっぱら垂直方向に移動し、水平方向の移動量は少ないため、地上支援車20としては、手動式のものを例示している。また、図1では、発電機6を例示しているが、電源装置5を商用電源に直接接続してもよいし、電気自動車のバッテリーなどに接続してもよい。また、発電機6を地上支援車20に搭載してもよい。
【0022】
飛行制御装置7及び受信装置8は、無人飛行体10とセットで販売されているものをそのまま使用することができる。解析装置9は、市販のパーソナルコンピュータを使用することができ、受信装置8を介して、無人飛行体10から送信された画像データを画像処理し、モニタ画面上に表示させる。巻き取り制御装置4は、無人飛行体10の高度に応じて、リール3からの給電ケーブル2の引き出し量を調節するものであり、例えばリール3の近傍に取り付けられたテンションセンサなどを用いて給電ケーブル2にかかる張力を測定し、張力が低下すれば給電ケーブル2を巻き取る方向にリール3を回転させ、また張力が上昇すれば給電ケーブル2を繰り出す方向にリール3を回転させ、それによって給電ケーブル2が不必要に垂れ下がることを防止する。あるいは、無人飛行体10の位置情報に基づいて、解析装置9から巻き取り制御装置4に対してリールの回転方向及び回転量を指示するようにしてもよい。
【0023】
図2は、無人飛行体10に給電ケーブル2を接続していない状態における地上支援車20の上面の構成を示す図であり、図3は、地上支援車20の断面の構成を示す図である。また、図4は、地上支援車20に着脱式又は可動式のポート23を取り付け、ポート23に無人飛行体10を着陸させた状態を示す。無人飛行体10は、このポート23に対してほぼ垂直に離着陸させる。図2及び図3から理解されるように、地上支援車20の上面21の中央部には、給電ケーブル2を地上支援車20の内部から引き出すための開口22が設けられており、開口22の近傍には、垂直面内で起伏可能であり、水平面内で旋回可能であり、且つ、伸縮可能なアーム30が設けられている。一般的に、アーム30は、例えば水平から垂直までの範囲で任意の仰角をとることができるように起伏可能であるが、俯角をとることができるように構成してもよい。リール3は、地上支援車20の内部であって、その水平面におけるほぼ中央部に設置されており、給電ケーブル2は、地上支援車20の上面21のほぼ中央部に形成された円形の開口22から外部に引き出され、無人飛行体10に接続されている。
【0024】
この構成例では、地上支援車20の上面21の開口22の周囲には、環状のレール24が設けられており、レール24上を基台31が移動する。基台31上には、水平な第1回転軸32が設けられており、2本のアーム30が第1回転軸32の両端に平行に固定されている。アーム30は、この第1回転軸32を中心として、垂直面内で起伏する。2本のアーム30の先端近傍には、水平な第2回転軸33を中心として回転する第1ガイドローラ34が設けられている。また、基台31上で、リール3の近傍、すなわち開口22の近傍には、地上支援車20の上面21又はレール24から所定の高さに設けられた水平な第3回転軸35を中心として回転する第2ガイドローラ36が設けられている。第1ガイドローラ34及び第2ガイドローラ36は、無人飛行体10の飛行に伴って給電ケーブル2が引き出されたり、巻き戻されたりする際に、給電ケーブル2の絶縁被覆が擦れて損傷するのを防止したり、金属疲労により芯線が破断したりするのを防止するためのものであり、表面が鏡面に仕上げられていたり、ベアリングによってスムーズに回転するように構成されている。また、給電ケーブル2の芯線が急角度で折り曲げられるのを防止するために、一定以上の直径を有している。
【0025】
ポート23は、例えば蝶番などによって地上支援車20に取り付けられ、引き出された状態で水平となる天板23a及び支柱23bなどで構成されている。無人飛行体10をポート23に対して垂直に離着陸させることによって、給電ケーブル2が予期しない箇所に接触したり、絡まったりするのを防止することができる。また、図1に示すように、無人飛行体10は、例えば水平に引き延ばされたアーム30の先端から下向きに吊り下げられた給電ケーブル2に接続され、例えば橋梁などの構造物50のオーバーハングした内側を飛行し、構造物50の検査対象領域を撮像装置11によって撮影する。そのため、図4に示すように、給電ケーブル2は、無人飛行体10の上方から接続されている。その場合、給電ケーブル2が回転するプロペラ12と接触すると、無人飛行体10の推進力が失われ、墜落する危険性がある。図5に示すように、無人飛行体10には、このようなプロペラ11の周囲にプロペラガード12が設けられている。また、プロペラガードを備えた市販の無人飛行体10に、さらに図示しないガードフェンスを追加加工してもよい。また、無人飛行体10の本体部の上面に、樹脂製の櫓13及びリング14を取り付け、給電ケーブル2を一端リング14に巻き付けた上で、無人飛行体10に内蔵されている二次電池に接続されている。
【0026】
図6は、地上支援車20の他の構成例を示す。図2〜4に示す構成例では、給電ケーブル2を引き出すための開口22を円形とし、第2ガイドローラ36を基台31上に設け、アーム30の旋回と共に第2ガイドローラ36も旋回させるように構成したが、図5に示す構成例では、開口22を矩形、例えば正方形とし、矩形の各角辺に沿って4つの第2ガイドローラ38がそれぞれ水平な第3回転軸37を中心として回転自在に、地上支援車20の上面21に固定されている。アーム30は、基台31と共に、第1ガイドローラ34の第2回転軸33が第3回転軸37と平行になるように、90度ごとに旋回停止(クリックストップ)するように構成されていてもよい。地上支援車20は、車輪によって水平方向に任意の姿勢をとることができるので、アーム30の旋回角度が90度ごとに制限されていたとしても、地上支援車20の姿勢を微調整することによってアーム30の向きを調節することができる。
【0027】
あるいは、アーム30を基台31と共に任意の角度に旋回できるように構成してもよい。その場合、アーム30の旋回角度によっては、給電ケーブル2が第2ガイドローラ38の外周面に対して斜めに接触したり、あるいは、互いに直交する2つの第2ガイドローラ38の隙間に挟まったりする虞がある。図6に示す構成例では、各第2ガイドローラ38の両端部に、例えば弾性を有する樹脂材料で形成されたリング状の弾性部材を嵌め込み、弾性部材の端面同士を当接させている。あるいは、第2ガイドローラ38自体を弾性樹脂で形成してもよい。それによって、給電ケーブル2が2つの第2ガイドローラ38の当接部に接触したとすると、給電ケーブル2の絶縁被覆と第2ガイドローラ38の外周面との間に作用する摩擦力によって、互いに端面が当接する2つの第2ガイドローラ38が回転する。さらに、互いに直交する2つの第2ガイドローラ38の当接部の近傍であって、矩形の開口22の四隅には、樹脂製のケーブル巻き込み防止用のプロテクタ25が設けられている。その結果、給電ケーブル2が互いに直交する2つの第2ガイドローラ38の隙間に挟まったり、給電ケーブル2の絶縁被覆が擦れて損傷するのを防止することができる。なお、第1ガイドローラ34、第2ガイドローラ36又は38として外周面が円筒状のものを例示しているが、ガイドローラ34、第2ガイドローラ36又は38の外周面を糸巻き状としたり、両端にフランジを形成してもよい。また、糸巻き状の断面はなめらかな凹曲面であってもよい(図8参照)。
【0028】
図7は、地上支援車20のさらに他の構成例を示す。上記各構成例では、地上支援車20の上面21の開口22の近傍に、第2ガイドローラ36又は38が設けられているが、図7に示す構成例では、開口22の近傍に設けられたガイド部材として、表面が鏡面に仕上げられ、水平断面が環状であり、垂直断面が円形(いわゆるドーナツ状)、楕円形、半円形又は放物線形などの滑らかな曲面のガイド部材39が設けられている。この構成によれば、給電ケーブル2の引き出し及び巻き取りに伴って、その絶縁被覆がガイド部材39の外周面に擦れるが、ガイド部材39の表面を鏡面とすることによって、給電ケーブル2の絶縁被覆の劣化を最小限に抑制することができる。また、アーム30を水平面内において任意の角度に旋回させたとしても、給電ケーブル2が常に曲面に当接するので、給電ケーブル2の引き出し及び巻き取りの際の負荷が均一になる。
【0029】
図8は、地上支援車20のさらに他の構成例を示す。上記各構成例では、アーム30が基台31と共に、地上支援車20の上面21に設けられた環状のレール24上を移動し、給電ケーブル1は地上支援車20の内部から開口22を通って引き出されるように構成されているが、図8に示す構成例では、アーム30が基台31ごと、地上支援車20の上面において、所定の回転軸の周りに旋回し、リール3が基台31上に設けられている。アーム30の長さを長くするほど、第1回転軸32に掛かる給電ケーブル2の自重によるモーメントが大きくなる。それに対して、基台31の回転中心に対して反対側にリール3が設けられているので、地上支援車20が傾く可能性が小さくなる。特に、無人飛行体10が制御不能になった場合に、無人飛行体10の自重により、地上支援車20が傾いたり、構想物から転落したりするのを防止することができる。
【0030】
以上説明したように、本発明に係る無人飛行体を用いた構造物検査装置1によれば、橋梁や橋脚など検査対象物50の検査対象範囲の上方近傍に地上支援車20を移動させ、ポート23から無人飛行体10を垂直離陸させ、無人飛行体10の飛行を開始させる。その後、地上支援車20に設けられているアーム30を垂直面内で起伏させると共に水平面内で旋回させ、検査対象範囲の近傍において水平方向に伸ばし、無人飛行体10をアーム30よりも低い高度で飛行させる。無人飛行体10の移動に伴ってリール3が所定方向に回転し給電ケーブル2が引き出されるが、地上支援車20の内部から給電ケーブル2を引き出すための開口22の近傍及びアーム30の先端部近傍には、例えばガイドローラ34,36などのガイド部材が設けられているため、無人飛行体10の移動に伴って給電ケーブル2が引き出しされる際、給電ケーブル2の絶縁被覆はガイドローラ34,36など部材の外周面によってガイドされ、予期しない箇所に接触する可能性が低減され、給電ケーブル2の絶縁被覆が損傷したり、芯線が破断したりする可能性が低減される。給電ケーブル2を地上支援車20の内部に巻き取る際も同様である。
【0031】
給電ケーブル2が地上支援車20から引き出され、無人飛行体10を検査対象物のオーバーハングした部分の内側などの検査対象範囲を飛行させ、撮像装置11を用いて撮影を行なうことにより、人が容易には近づくことができない危険な箇所の検査を行なうことができる。また、地上支援車20を適宜移動させることにより、広範囲の検査対象領域の撮影を行なうことができる。さらに、無人飛行体10には、給電ケーブル2を介して地上支援車20から電力が供給されるので、長時間にわたって無人飛行体10を連続して飛行させることができ、検査漏れが発生する可能性が低減される。また、地上支援車20の移動が容易であり、給電ケーブル2を介して無人飛行体10に電力の供給が可能であるので、無人飛行体10の長時間の連続飛行を可能とし、様々な構造物の検査に適する。
【符号の説明】
【0032】
1 構造物検査装置
2 給電ケーブル
3 リール(自動巻き取り装置)
4 自動巻き取り装置
5 電源装置
6 発電機
7 飛行制御装置
8 受信装置
9 解析装置
10 無人飛行体
11 撮像装置
12 プロペラ
13 プロペラガード
20 地上支援車
21 地上支援車の上面
22 開口
23 ポート
24 レール
30 アーム
31 基台
32 第1回転軸
33 第2回転軸
34 第1ガイドローラ(ガイド部材)
35 第3回転軸
36 第2ガイドローラ(ガイド部材)
37 第2回転軸
38 第2ガイドローラ(ガイド部材)
39 ガイド部材
50 検査対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8