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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-138917(P2020-138917A)
(43)【公開日】2020年9月3日
(54)【発明の名称】シリルエーテル含有スルホン酸塩
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20200807BHJP
   C07F 9/54 20060101ALI20200807BHJP
   C07D 207/04 20060101ALI20200807BHJP
【FI】
   C07F7/18 X
   C07F9/54CSP
   C07D207/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-33856(P2019-33856)
(22)【出願日】2019年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(71)【出願人】
【識別番号】000004374
【氏名又は名称】日清紡ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南条 真佐人
(72)【発明者】
【氏名】増田 現
【テーマコード(参考)】
4C069
4H049
4H050
【Fターム(参考)】
4C069AA30
4H049VN01
4H049VP02
4H049VP03
4H049VQ02
4H049VQ54
4H049VQ78
4H049VR22
4H049VR23
4H049VR41
4H049VR42
4H049VS02
4H049VS03
4H049VS78
4H049VU36
4H049VV05
4H049VV20
4H049VV22
4H049VW02
4H050AA01
4H050BB31
4H050BB61
4H050BC10
4H050BC19
4H050WA15
4H050WA23
(57)【要約】
【課題】ハロゲン原子を含まないイオン液体となり得る新規な塩を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されるアニオン、及びカチオンを含むシリルエーテル含有スルホン酸塩。

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。mは、1〜3の整数である。nは、2〜8の整数である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるアニオン、及びカチオンを含むシリルエーテル含有スルホン酸塩。
【化1】
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。mは、1〜3の整数である。nは、2〜8の整数である。)
【請求項2】
1〜R3が、同一の基である請求項1記載の塩。
【請求項3】
1〜R3が、メチル基である請求項2記載の塩。
【請求項4】
1がR2及びR3とは異なる基であり、R2及びR3が同一の基である請求項1記載の塩。
【請求項5】
1が炭素数2〜4のアルキル基であり、R2及びR3がメチル基である請求項4記載の塩。
【請求項6】
mが、1又は2である請求項1〜5のいずれか1項記載の塩。
【請求項7】
4が、メチル基である請求項1〜6のいずれか1項記載の塩。
【請求項8】
nが、2又は3である請求項1〜7のいずれか1項記載の塩。
【請求項9】
カチオンが、有機カチオンである請求項1〜8のいずれか1項記載の塩。
【請求項10】
カチオンが、リン原子含有有機カチオンである請求項9記載の塩。
【請求項11】
カチオンが、窒素原子含有有機カチオンである請求項9記載の塩。
【請求項12】
融点が、100℃以下のイオン液体である請求項1〜11のいずれか1項記載の塩。
【請求項13】
融点が、25℃以下のイオン液体である請求項12記載の塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリルエーテル含有スルホン酸塩に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン液体とは、イオンのみから構成される塩であって、一般に融点が100℃以下のものをいう。イオン液体は、その特性から様々な応用研究がなされている。これまで知られているイオン液体の多くは、アニオンにフッ素原子等のハロゲン原子を含んでいることから、環境負荷という点で依然として問題があり、ハロゲンフリーのイオン液体が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ハロゲン原子を含まないイオン液体となり得る新規な塩を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、シリルエーテル構造を有するスルホン酸塩によって前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0005】
すなわち、本発明は、下記シリルエーテル含有スルホン酸塩を提供する。
1.下記式(1)で表されるアニオン、及びカチオンを含むシリルエーテル含有スルホン酸塩。
【化1】
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。mは、1〜3の整数である。nは、2〜8の整数である。)
2.R1〜R3が、同一の基である1の塩。
3.R1〜R3が、メチル基である2の塩。
4.R1がR2及びR3とは異なる基であり、R2及びR3が同一の基である1の塩。
5.R1が炭素数2〜4のアルキル基であり、R2及びR3がメチル基である4の塩。
6.mが、1又は2である1〜5のいずれかの塩。
7.R4が、メチル基である1〜6のいずれかの塩。
8.nが、2又は3である1〜7のいずれかの塩。
9.カチオンが、有機カチオンである1〜8のいずれかの塩。
10.カチオンが、リン原子含有有機カチオンである9の塩。
11.カチオンが、窒素原子含有有機カチオンである9の塩。
12.融点が、100℃以下のイオン液体である1〜11のいずれかの塩。
13.融点が、25℃以下のイオン液体である12の塩。
【発明の効果】
【0006】
本発明のシリルエーテル含有スルホン酸塩は、カチオンの種類によってイオン液体となり、ハロゲンフリーであるため環境負荷が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例2−1で作製したBDDP MeSilC2SO31H-NMRスペクトルである。
図2】実施例2−1で作製したBDDP MeSilC2SO3のDSCチャートである。
図3】実施例2−2で作製したBHDP MeSilC2SO31H-NMRスペクトルである。
図4】実施例2−2で作製したBHDP MeSilC2SO3のDSCチャートである。
図5】実施例2−3で作製したBDDP MeSilC3SO31H-NMRスペクトルである。
図6】実施例2−3で作製したBDDP MeSilC3SO3のDSCチャートである。
図7】実施例2−4で作製したBHDP MeSilC3SO31H-NMRスペクトルである。
図8】実施例2−4で作製したBHDP MeSilC3SO3のDSCチャートである。
図9】実施例2−5で作製したBDDP BuSilC2SO31H-NMRスペクトルである。
図10】実施例2−5で作製したBDDP BuSilC2SO3のDSCチャートである。
図11】実施例2−6で作製したBHDP BuSilC2SO31H-NMRスペクトルである。
図12】実施例2−6で作製したBHDP BuSilC2SO3のDSCチャートである。
図13】実施例2−7で作製したBDDP BuSilC3SO31H-NMRスペクトルである。
図14】実施例2−7で作製したBDDP BuSilC3SO3のDSCチャートである。
図15】実施例2−8で作製したBHDP BuSilC3SO31H-NMRスペクトルである。
図16】実施例2−8で作製したBHDP BuSilC3SO3のDSCチャートである。
図17】実施例2−9で作製したBDDP Me(Me3SiO)2SiC2SO31H-NMRスペクトルである。
図18】実施例2−9で作製したBDDP Me(Me3SiO)2SiC2SO3のDSCチャートである。
図19】実施例2−10で作製したBHDP Me(Me3SiO)2SiC2SO31H-NMRスペクトルである。
図20】実施例2−10で作製したBHDP Me(Me3SiO)2SiC2SO3のDSCチャートである。
図21】実施例2−11で作製したMEMP MeSilC2SO31H-NMRスペクトルである。
図22】実施例2−11で作製したMEMP MeSilC2SO3のDSCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[シリルエーテル含有スルホン酸塩]
本発明のシリルエーテル含有スルホン酸塩は、下記式(1)で表されるアニオン、及びカチオンを含むものである。
【化2】
【0009】
式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられる。これらのうち、R1〜R3としては、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が好ましい。
【0010】
1〜R3は、全て同一の基であることが好ましく、全てメチル基又はエチル基であることがより好ましく、全てメチル基であることが更に好ましい。または、R1がR2及びR3とは異なる基であり、R2及びR3が同一の基であることも好ましく、このとき、R1が炭素数2〜4のアルキル基であり、R2及びR3がメチル基であることがより好ましい。
【0011】
4としては、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0012】
式(1)中、mは1〜3の整数であるが、1又は2が好ましい。nは2〜8の整数であるが、2〜6が好ましく、2又は3がより好ましい。
【0013】
本発明のシリルエーテル含有スルホン酸塩に含まれるカチオンは、特に限定されないが、1価のものが好ましい。また、前記カチオンは、無機カチオンであっても、有機カチオンであってもよいが、有機カチオンが好ましい。
【0014】
前記無機カチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン、銀イオン、亜鉛イオン、銅イオン等の金属イオンが挙げられる。
【0015】
前記有機カチオンとしては、リン原子含有有機カチオンや窒素原子含有有機カチオンが好ましく、具体的には、4級ホスホニウムイオン、4級アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオン等が好ましい。
【0016】
前記リン原子含有有機カチオンとしては、例えば下記式(2)で表される4級ホスホニウムイオンが好ましい。
【化3】
【0017】
式(2)中、R11は、炭素数1〜20のアルキル基である。前記炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、前述した炭素数1〜8のアルキル基のほか、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等が挙げられる。
【0018】
式(2)中、R12は、炭素数1〜20のアルキル基又は−(CH2)k−ORで表されるアルコキシアルキル基である。kは、1又は2である。Rは、メチル基又はエチル基である。前記炭素数1〜20のアルキル基としては、前述したものが挙げられる。前記アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基及びエトキシエチル基が挙げられる。前記アルコキシアルキル基のうち、好ましくはメトキシメチル基又はメトキシエチル基である。
【0019】
式(2)で表される4級ホスホニウムイオンのうち、R12が−(CH2)k−ORで表されるアルコキシアルキル基であるものはイオン液体を形成しやすい。R12がアルキル基の場合は、R11とR12とが異なる構造のものはイオン液体を形成しやすい。この場合、炭素数の差が1以上あることが好ましく、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上である。
【0020】
前記窒素原子含有有機カチオンとしては、例えば下記式(3)で表されるものが好ましい。
【化4】
【0021】
式(3)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、又は−(CH2)k−ORで表されるアルコキシアルキル基である。kは、1又は2である。Rは、メチル基又はエチル基である。前記炭素数1〜20のアルキル基及びアルコキシアルキル基としては、前述したものと同様のものが挙げられる。
【0022】
また、R21〜R24のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。更に、R21〜R24のいずれか2つが互いに結合してこれらが結合する窒素原子とともに環を形成し、残りの2つも互いに結合して窒素原子をスピロ原子とするスピロ環を形成してもよい。この場合、前記環としては、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、アゼパン環等が挙げられるが、ピロリジン環、ピペリジン環等が好ましく、ピロリジン環等がより好ましい。また、前記スピロ環としては、1,1'−スピロビピロリジン環が特に好ましい。
【0023】
21〜R24がすべてアルキル基の場合は、少なくとも1つがその他のものと異なる構造であるものはイオン液体を形成しやすく、この場合、炭素数の差が1以上あることが好ましく、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上である。
【0024】
式(3)で表される窒素原子含有有機カチオンとして具体的には、下記式(3−1)又は(3−2)で表される4級アンモニウムイオン、下記式(3−3)又は(3−4)で表されるピロリジニウムイオン等が挙げられる。
【化5】
【0025】
式(3−1)〜(3−4)中、R及びkは、前記と同じ。R201〜R204は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。R205及びR206は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基である。また、R205及びR206は、互いに結合してこれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。前記炭素数1〜4のアルキル基としては、前述したものと同様のものが挙げられる。
【0026】
前記窒素原子含有有機カチオンとしては、例えば下記式(4)で表されるイミダゾリウムイオンも好ましい。
【化6】
【0027】
式(4)中、R31及びR32は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、又は−(CH2)k−ORで表されるアルコキシアルキル基である。R及びkは、前記と同じである。前記炭素数1〜20のアルキル基及びアルコキシアルキル基としては、前述したものと同様のものが挙げられる。この場合、R31とR32とは異なる基である方が、イオン液体を形成しやすい。
【0028】
前記窒素原子含有有機カチオンとしては、例えば下記式(5)で表されるピリジニウムイオンも好ましい。
【化7】
【0029】
式(5)中、R41は、炭素数1〜8のアルキル基、又は−(CH2)k−ORで表されるアルコキシアルキル基である。R及びkは、前記と同じである。前記炭素数1〜8のアルキル基及びアルコキシアルキル基としては、前述したものと同様のものが挙げられる。
【0030】
本発明のシリルエーテル含有スルホン酸塩は、カチオンの種類によってはイオン液体となる。例えば、カチオンが式(3−4)で表されるものはイオン液体になりやすく、また、式(2)で表されるもののうち、R11とR12とが異なる構造のものはイオン液体になりやすい。本発明においてイオン液体とは、イオンのみから構成される塩であって、融点が100℃以下のものを意味する。本発明のシリルエーテル含有スルホン酸塩からなるイオン液体は、融点が室温(25℃)以下(すなわち、室温で液体)であるものが好ましい。本発明のシリルエーテル含有スルホン酸塩からなるイオン液体は、ハロゲンフリーであるため環境負荷が小さい。
【0031】
[シリルエーテル含有スルホン酸塩の製造方法]
本発明のシリルエーテル含有スルホン酸塩は、例えば、下記スキームAに従って製造することができる。
【化8】
(式中、R1〜R4、m及びnは、前記と同じ。M+は、金属イオンである。A+は、1価のカチオンである。X-は、ハロゲン化物イオンである。)
【0032】
まず、化合物(1a)とスルホン化剤とを反応させ、化合物(1b)を合成する(第1工程)。前記スルホン化剤としては、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。なお、化合物(1a)は、J. Org. Chem. , 1970, 35, pp. 1308-1 314を参考にして合成することができる。また、スルホン化は、J. Org. Chem., 1961, 26 (6), pp. 2097-2098を参考にして行うことができる。
【0033】
第1工程において使用する溶媒としては、水のみ、又は水に補助溶媒としてメタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、アセトニトリル等の親水性溶媒等を加えた混合溶媒が挙げられる。また、反応温度は、通常10〜50℃程度であり、好ましくは20〜30℃程度である。反応時間は、通常1〜7日間程度であり、好ましくは3〜4日間程度である。
【0034】
次に、化合物(1b)と化合物(1c)とのイオン交換反応を行う(第2工程)。これによって、式(1)で表されるアニオンを含む塩を得ることができる。
【0035】
イオン交換反応は、例えば、化合物(1b)の水溶液及び化合物(1c)の水溶液を混合することで行うことができる。このときの反応温度は、10〜50℃で行うことが好ましく、室温付近で(25℃前後)で行うことが更に好ましい。反応時間は、通常3〜4日間程度である。なお、化合物(1b)及び化合物(1c)を混合するときは、水溶液に限定されず、両者を溶かすものであれば有機溶媒を用いてもよい。
【0036】
第2工程の反応において、式(1b)で表される化合物と式(1c)で表される化合物との使用比率は、モル比で5:1〜1:5程度とすることができるが、コスト面を考慮すると、1:1に近い比率で行うことが好ましい。
【0037】
反応終了後は、通常の後処理を行って目的物を得ることができる。
【0038】
本発明のシリルエーテル含有スルホン酸塩は、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、レドックスキャパシタ、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウム空気電池、プロトンポリマー電池等の蓄電デバイスの電解液溶媒、電解質や電解質用添加剤としても使用できる。また、本発明のシリルエーテル含有スルホン酸塩は、潤滑剤としても使用できる。更に、本発明のシリルエーテル含有スルホン酸塩は、ゴム、プラスチック等の高分子材料に添加する帯電防止剤や可塑剤等としても使用できる。また、本発明のシリルエーテル含有スルホン酸塩からなるイオン液体は、ハロゲンフリーのイオン液体であるため、環境負荷の少ないグリーン溶媒として有用である。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、実施例で使用した分析装置及び条件は以下のとおりである。
[1]核磁気共鳴(1H-NMR、13C-NMR、29Si-NMR)スペクトル
装置:日本電子(株)製ECX-500(1H-NMR、13C-NMR、29Si-NMR)、又は日本電子(株)製ECZ-400S(1H-NMR)
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)又は重水素化クロロホルム(CDCL3)
[2]融点
装置:セイコーインスツル(株)製DSC6200
測定条件:20〜40℃まで毎分10℃昇温、40℃で1分間保持後、40〜−100℃まで毎分1℃降温、−100℃で1分間保持後、−100〜100℃まで毎分1℃昇温の条件で測定した。
【0040】
[実施例1−1]2−(1',1',3',3',3'−ペンタメチルジシロキサニル)エタン−1−スルホン酸ナトリウム(MeSilC2SO3 Na)の合成
還流冷却管及び磁気攪拌子を備えた三口フラスコを脱気し、窒素気流下で亜硫酸水素ナトリウム7.3g(70.1mmol)、亜硝酸ナトリウム0.8g(11.5mmol)、硝酸ナトリウム0.8g(9.4mmol)、イオン交換水60mL、ペンタメチルビニルジシロキサン6.0g(34.7mmol)及びメタノール130mLを入れ、密閉系の状態で室温で3日間激しく攪拌した。吸引ろ過により析出した固体を除去し、常圧蒸留によりろ液からメタノールを留去した後、析出した無色結晶をろ別し、目的とする化合物MeSilC2SO3 Naを得た(収量6.5g(17.7mmol)、収量51.0%)。
1H-NMR (DMSO-d6, 500 MHz, δ) 3.43 (s, 10H), 2.37 (m, 2H), 0.85 (m, 2H), 0.05 (s, 9H), 0.03 (s, 6H).
13C-NMR (DMSO-d6, 125 Hz, δ) 45.9 (-CH2-SO3Na), 13.8 (-CH2-CH2-SO3Na), 2.2 (-Si(CH3)3), 0.3 (-Si(CH3)2-).
29Si-NMR (DMSO-d6, 100 MHz, δ) 8.0.
【0041】
[実施例1−2]3−(1',1',3',3',3'−ペンタメチルジシロキサニル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウム(MeSilC3SO3 Na)の合成
ペンタメチルビニルジシロキサン6.0gのかわりにアリルペンタメチルジシロキサン5.1g(27.0mmol)を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、MeSilC3SO3 Naを無色固体として得た(収量2.9g(9.8mmol)、収量36.4%)。
1H-NMR (DMSO-d6, 500 MHz, δ) 3.28 (s, 2H), 2.32 (m, 2H), 1.47 (m, 2H), 0.38 (m, 2H), -0.08 (s, 9H), -0.11 (s, 6H).
13C-NMR (DMSO-d6, 125 Hz, δ) 55.1 (-CH2-SO3Na), 18.91 (-CH2-CH2-SO3Na), 17.5(CH2-CH2-CH2-SO3Na), 2.0 (-Si(CH3)3), 0.4 (-Si(CH3)2-).
29Si-NMR (DMSO-d6, 100 MHz, δ) 8.5.
【0042】
[実施例1−3]2−(3'−n−ブチル−1',1',3',3'−テトラメチルジシロキサニル)エタン−1−スルホン酸ナトリウム(BuSilC2SO3 Na)の合成
ペンタメチルビニルジシロキサン6.0gのかわりに3−n−ブチル−1,1,3,3−テトラメチル−1−ビニルジシロキサン5.0g(21.8mmol)を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、BuSilC2SO3 Naを無色固体として得た(収量5.2g(12.6mmol)、収量55.4%)。
1H-NMR (DMSO-d6, 500 MHz, δ) 3.65 (s, 10H), 2.55 (m, 2H), 1.45 (m, 4H), 1.04 (m, 5H), 0.66 (m, 2H), 0.21 (s, 6H), 0.20 (s, 6H).
13C-NMR (DMSO-d6, 125 Hz, δ) 45.9, 25.8, 25.1, 17.6, 13.7, 0.5, 0.3.
29Si-NMR (DMSO-d6, 100 MHz, δ) 8.4, 7.8.
【0043】
[実施例1−4]3−(3'−n−ブチル−1',1',3',3'−テトラメチルジシロキシサニル)プロパン−1−スルホン酸ナトリウム(BuSilC3SO3 Na)の合成
ペンタメチルビニルジシロキサン6.0gのかわりに1−アリル−3−n−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン5.0g(21.8mmol)を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、BuSilC3SO3 Naを無色の固体として得た(収量5.0g(13.0mmol)、収量59.7%)。
1H-NMR (DMSO-d6, 500 MHz, δ) 3.46 (s, 6H), 2.41 (m, 2H), 1.87 (m, 2H), 1.56 (m, 4H), 0.13 (t, 3H), 0.77 (m, 4H), 0.30 (s, 12H).
13C-NMR (DMSO-d6, 125 Hz, δ) 55.0, 25.8, 25.2, 19.0, 17.7, 13.8, 0.5, 0.4.
29Si-NMR (DMSO-d6, 100 MHz, δ) 8.1, 7.7.
【0044】
[実施例1−5]2−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]エタン−1−スルホン酸ナトリウム(Me(Me3SiO)2SiC2SO3 Na)の合成
ビス(トリメチルシロキシ)(メチル)(ビニル)シラン5.04g(20.3mmol)を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、Me(Me3SiO)2SiC2SO3 Naを無色の固体として得た(収量2.92g(8.28mmol)、収量40.8%)。
1H-NMR (DMSO-d6, 500 MHz, δ) -0.01 (s, 3H), 0.07 (s, 18H), 0.77-0.81 (m, 2H), 2.31-2.35 (m, 2H).
13C NMR (DMSO-d6, 125 Hz, δ) -0.4, 1.9, 13.2, 45.7.
【0045】
[実施例2−1]2−(1',1',3',3',3'−ペンタメチルジシロキサニル)エタン−1−スルホン酸トリブチルドデシルホスホニウム(BDDP MeSilC2SO3)の合成
磁気攪拌子を備えたナス型シュレンクフラスコを脱気し、アルゴン気流下でMeSilC2SO3 Na1.02g(3.05mmol)及びイオン交換水25mLを入れて攪拌した。そこへ塩化トリブチルドデシルホスホニウムの50質量%水溶液2.67g(3.28mmol)を加えると、瞬時に白濁した。更に1時間攪拌した後静置すると、2層の溶液に分かれた。水層を取り除き、酢酸エチルを有機層にしてイオン交換水で数回抽出した後、これを硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで濃縮した後、40〜50℃で7時間減圧下で溶媒を留去することで、BDDP MeSilC2SO3を無色透明の粘性液体として得た(収量1.68g(2.46mmol)、収率80.6%)。1H-NMRスペクトルを図1に、DSCチャートを図2に示す。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ) 2.72 (m, 2H), 2.29 (m, 8H), 1.48 (m, 15H), 1.21 (m, 16H), 1.08 (m, 2H), 0.93 (t, 9H), 0.84 (t, 3H), 0.01 (s, 6H), 0.00 (s, 9H).
【0046】
[実施例2−2]2−(1',1',3',3',3'−ペンタメチルジシロキサニル)エタン−1−スルホン酸トリブチルヘキサデシルホスホニウム(BHDP MeSilC2SO3)の合成
MeSilC2SO3 Naの使用量を1.04g(3.13mmol)とし、イオン交換水の使用量を20mLとし、塩化トリブチルドデシルホスホニウムの50質量%水溶液のかわりに塩化トリブチルヘキサデシルホスホニウムの50質量%水溶液2.99g(3.22mmol)を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、BHDP MeSilC2SO3を無色透明の粘性液体として得た(収量1.66g(2.43mmol)、収率77.6%)。1H-NMRスペクトルを図3に、DSCチャートを図4に示す。
【0047】
[実施例2−3]3−(1',1',3',3',3'−ペンタメチルジシロキサニル)プロパン−1−スルホン酸トリブチルドデシルホスホニウム(BDDP MeSilC3SO3)の合成
MeSilC2SO3 NaのかわりにMeSilC3SO3 Na0.52g(1.42mmol)を用い、イオン交換水の使用量を5mLとし、塩化トリブチルドデシルホスホニウムの50質量%水溶液の使用量を1.31g(1.61mmol)とした以外は、実施例2−1と同様の方法で、BDDP MeSilC3SO3を無色透明の粘性液体として得た(収量0.43g(0.68mmol)、収率47.2%)。1H-NMRスペクトルを図5に、DSCチャートを図6に示す。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ) 2.80 (m, 2H), 2.32 (m, 8H), 1.84 (m, 2H), 1.50 (m, 16H), 1.23 (m, 14H), 0.95 (t, 9H), 0.85 (t, 3H), 0.56 (m, 2H), 0.02 (s, 15H).
13C-NMR (CDCl3, 125 MHz, δ) 56.0, 32.1, 31.0 (d, J = 15. 5 Hz), 29.8, 29.7, 29.5, 29.2, 24.2 (d, J = 15.5 Hz), 24.0 (d, J = 4.8 Hz), 22.8, 22.1 (d, J = 4.8 Hz), 19.6, 19.2 (d, J = 46.5 Hz), 19.0 (J = 46.5 Hz), 18.3, 14.3, 13.7, 2.2, 0.5.
【0048】
[実施例2−4]3−(1',1',3',3',3'−ペンタメチルジシロキサニル)プロパン−1−スルホン酸トリブチルヘキサデシルホスホニウム(BHDP MeSilC3SO3)の合成
MeSilC2SO3 NaのかわりにMeSilC3SO3 Na0.52g(1.42mmol)を用い、イオン交換水の使用量を5mLとし、塩化トリブチルヘキサデシルホスホニウムの50質量%水溶液の使用量を1.45g(1.56mmol)とした以外は、実施例2−2と同様の方法で、BHDP MeSilC3SO3を無色透明の粘性液体として得た(収量0.15g(0.22mmol)、収率15.3%)。1H-NMRスペクトルを図7に、DSCチャートを図8に示す。
【0049】
[実施例2−5]2−(3'−n−ブチル−1',1',3',3'−テトラメチルジシロキサニル)エタン−1−スルホン酸トリブチルドデシルホスホニウム(BDDP BuSilC2SO3)の合成
MeSilC2SO3 NaのかわりにBuSilC2SO3 Na0.51g(1.44mmol)を用い、イオン交換水の使用量を10mLとし、塩化トリブチルドデシルホスホニウムの50質量%水溶液の使用量を1.23g(1.51mmol)とした以外は、実施例2−1と同様の方法で、BDDP BuSilC2SO3を無色透明の粘性液体として得た(収量0.33g(0.48mmol)、収率33.3%)。1H-NMRスペクトルを図9に、DSCチャートを図10に示す。
【0050】
[実施例2−6]2−(3'−n−ブチル−1',1',3',3'−テトラメチルジシロキサニル)エタン−1−スルホン酸トリブチルヘキサデシルホスホニウム(BHDP BuSilC2SO3)の合成
MeSilC2SO3 NaのかわりにBuSilC2SO3 Na0.60g(1.62mmol)を用い、イオン交換水の使用量を10mLとし、塩化トリブチルヘキサデシルホスホニウムの50質量%水溶液の使用量を1.59g(1.72mmol)とした以外は、実施例2−2と同様の方法で、BHDP BuSilC2SO3を無色透明の粘性液体として得た(収量0.64g(0.88mmol)、収率54.3%)。1H-NMRスペクトルを図11に、DSCチャートを図12に示す。
【0051】
[実施例2−7]3−(3'−n−ブチル−1',1',3',3'−テトラメチルジシロキサニル)プロパン−1−スルホン酸トリブチルドデシルホスホニウム(BDDP BuSilC3SO3)の合成
MeSilC2SO3 NaのかわりにBuSilC3SO3 Na1.03g(2.52mmol)を用い、イオン交換水の使用量を10mLとし、塩化トリブチルドデシルホスホニウムの50質量%水溶液の使用量を2.22g(2.73mmol)とした以外は、実施例2−1と同様の方法で、BDDP BuSilC3SO3を無色透明の粘性液体として得た(収量0.71g(1.06mmol)、収率42.0%)。1H-NMRスペクトルを図13に、DSCチャートを図14に示す。
【0052】
[実施例2−8]3−(3'−n−ブチル−1',1',3',3'−テトラメチルジシロキサニル)プロパン−1−スルホン酸トリブチルヘキサデシルホスホニウム(BHDP BuSilC3SO3)の合成
MeSilC2SO3 NaのかわりにBuSilC3SO3 Na0.51g(1.46mmol)を用い、イオン交換水の使用量を10mLとし、塩化トリブチルヘキサデシルホスホニウムの50質量%水溶液の使用量を1.36g(1.47mmol)とした以外は、実施例2−2と同様の方法で、BHDP BuSilC3SO3を無色透明の粘性液体として得た(収量0.75g(1.01mmol)、収率69.1%)。1H-NMRスペクトルを図15に、DSCチャートを図16に示す。
【0053】
[実施例2−9]2−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]エタン−1−スルホン酸トリブチルドデシルホスホニウム(BDDP Me(Me3SiO)2SiC2SO3)の合成
MeSilC2SO3 NaのかわりにMe(Me3SiO)SiC2SO3 Na0.53g(1.25mmol)を用い、イオン交換水の使用量を10mLとし、塩化トリブチルドデシルホスホニウムの50質量%水溶液の使用量を1.06g(1.30mmol)とした以外は、実施例2−1と同様の方法で、BDDP Me(Me3SiO)2SiC2SO3を無色透明の粘性液体として得た(収量0.40g(0.57mmol)、収率45.5%)。1H-NMRスペクトルを図17に、DSCチャートを図18に示す。
【0054】
[実施例2−10]2−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]エタン−1−スルホン酸トリブチルヘキサデシルホスホニウム(BHDP Me(Me3SiO)2SiC2SO3)の合成
MeSilC2SO3 NaのかわりにMe(Me3SiO)2SiC2SO3 Na1.00g(2.34mmol)を用い、イオン交換水の使用量を18mLとし、塩化トリブチルヘキサデシルホスホニウムの50質量%水溶液の使用量を2.20g(2.37mmol)とした以外は、実施例2−2と同様の方法で、BHDP Me(Me3SiO)2SiC2SO3を無色透明の粘性液体として得た(収量0.48g(0.63mmol)、収率27.0%)。1H-NMRスペクトルを図19に、DSCチャートを図20に示す。
【0055】
[実施例2−11]2−(1',1',3',3',3'−ペンタメチルジシロキサニル)エタン−1−スルホン酸N−2−メトキシエチル−N−メチルピロリジニウム(MEMP MeSilC2SO3)の合成
磁気攪拌子を備えたナス型フラスコにMeSilC2SO3 Na1.17g(4.20mmol)及びアセトニトリル10mLを入れて攪拌した。そこへアセトニトリル2mLに溶解したN−2-メトキシエチル−N−メチルピロリジニウムクロライド0.67g(3.82mmol)を加えた。終夜攪拌した後、析出分をろ別した。ろ液をエバポレーター、続いて真空ポンプで濃縮し目的物であるMEMP MeSilC2SO3を無色透明の粘性液体として得た(収量1.52g(3.80mmol、収率99.5%)。1H-NMRスペクトルを図21に、DSCチャートを図22に示す。
【0056】
DSC測定より求めた各シリルエーテル含有スルホン酸塩の融点、及び25℃における形状を、表1に示す。
【0057】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22