【解決手段】作動制御装置が、オペレータにより操作される操作レバー32と、操作レバー32の操作を受けて油圧ポンプ83から旋回モータ63a等への作動油供給制御を行う作業装置制御バルブ60と、油圧ポンプ83から作業装置制御バルブ60を介した旋回モータ63a等への作動油供給を遮断可能な切換バルブ88とを備え、始業前点検装置が、操作レバー32の操作を検出する第1レバー位置検出器65と、オペレータにより操作可能な始業前点検スイッチ52とを備え、始業前点検スイッチ52が操作されたときに、切換バルブ88により油圧ポンプ83から旋回モータ63a等への作動油供給を遮断させ、第1レバー位置検出器65により操作レバー32の操作を検出して始業前点検を行う。
油圧アクチュエータにより作動される作業装置と、前記作業装置の作動制御を行う作動制御装置と、前記作業装置および前記作動制御装置の始業前点検を行う始業前点検装置と、を備えた作業車の安全装置であって、
前記作動制御装置が、オペレータにより操作される操作装置と、前記操作装置の操作を受けて油圧供給源から前記油圧アクチュエータへの作動油供給制御を行う油圧制御バルブと、前記油圧供給源から前記油圧制御バルブを介した前記油圧アクチュエータへの作動油供給を遮断可能な切換バルブと、を備え、
前記始業前点検装置が、前記操作装置の操作を検出する操作検出器と、オペレータにより操作可能な始業前点検指示器とを備え、
前記始業前点検指示器が操作されたときに、前記切換バルブにより前記油圧供給源から前記油圧アクチュエータへの作動油供給を遮断させ、前記操作検出器により前記操作装置の操作を検出して前記始業前点検装置による始業前点検を行うことを特徴とする作業車の安全装置。
前記始業前点検指示器が操作されている間においてのみ、前記切換バルブにより前記油圧供給源から前記油圧アクチュエータへの作動油供給を遮断させ、前記操作検出器により前記操作装置の操作を検出して始業前点検を行うように構成されたことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の作業車の安全装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に作業車を用いて作業を行うときには、作業開始前に、これら油圧制御バルブを始めとする作業装置が正常に作動するか点検(始業前点検)を行って、作業の安全性を確保することが従来から行われている。このような始業前点検は、操作レバー類をオペレータが操作して、油圧アクチュエータにより作業装置が正常に作動するかを確認することにより行われる。ところで、例えば、作業装置を格納した状態で作業車が車庫などにあり、作業装置を作動させられないような状態であっても、作業装置を作動させずに、まずセンサ類のみの点検を行えないかという要望、課題がある。この点検によりセンサ類が正常であることが確認できれば、車両を作業現場に移動して作業装置を実際に作動させて油圧制御バルブ、油圧アクチュエータの作動点検を含めた作業装置の点検を行えばよく、始業前点検が効率的に行えるからである。
【0006】
この場合において、操作信号を受けて油圧制御バルブの作動を制御する操作信号制御タイプの構成の場合には、この操作信号を油圧制御バルブに送らないように信号伝達制御を行えば、油圧制御バルブを作動させずに(さらには油圧アクチュエータによる作業装置を作動させずに)センサ類のみの点検が行える。しかしながら、始業前点検の制御信号系統
をこれに対応するように変更する必要があるという問題がある。一方、直動制御タイプの構成の場合には、操作レバーを操作するとこれに直接繋がったバルブスプールが動かされるので油圧制御バルブが必然的に作動する。このため、操作レバーの操作を検出するセンサを有する構成において、センサ類のみをまず点検するということが難しいという問題がある。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑み、油圧アクチュエータを用いた作業装置を有する作業車の安全装置であって、操作レバーなどの操作を検出するセンサ等についての始業前点検を、油圧アクチュエータを作動させることなく、すなわち、作業装置を作動させることなく行うことができるような始業前点検装置を有した作業車の安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的達成のため、本願発明に係る作業車の安全装置は、油圧アクチュエータにより作動される作業装置と、前記作業装置の作動制御を行う作動制御装置と、前記作業装置および前記作動制御装置の始業前点検を行う始業前点検装置とを備えて構成される。そして、前記作動制御装置が、オペレータにより操作される操作装置と、前記操作装置の操作を受けて油圧供給源から前記油圧アクチュエータへの作動油供給制御を行う油圧制御バルブと、前記油圧供給源から前記油圧制御バルブを介した前記油圧アクチュエータへの作動油供給を遮断可能な切換バルブとを備え、前記始業前点検装置が、前記操作装置の操作を検出する操作検出器と、オペレータにより操作可能な始業前点検指示器とを備え、前記始業前点検指示器が操作されたときに、前記切換バルブにより前記油圧供給源から前記油圧アクチュエータへの作動油供給を遮断させ、前記操作検出器により前記操作装置の操作を検出して前記始業前点検装置による始業前点検を行うように構成される。
【0009】
上記作業車の安全装置において、好ましくは、前記油圧制御バルブが、前記操作装置と機械的に連結された直動制御タイプである。
【0010】
上記作業車の安全装置において、好ましくは、前記始業前点検指示器が操作されている間においてのみ、前記切換バルブにより前記油圧供給源から前記油圧アクチュエータへの作動油供給を遮断させ、前記操作検出器により前記操作装置の操作を検出して始業前点検を行うように構成される。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、前記始業前点検指示器が操作されたときに、前記切換バルブにより前記油圧供給源から前記油圧アクチュエータへの作動油供給を遮断させ、前記操作検出器により前記操作装置の操作を検出して前記始業前点検装置による始業前点検を行うようになっているので、始業前点検指示器を操作して行う始業前点検を、作業装置(およびこれを作動させる油圧アクチュエータ)を作動させることなく、操作装置の操作を検出する操作検出器に関連する制御機器のみを独立して点検することができる。これにより、作業車が車庫などの狭い空間に位置するときでも、始業前点検を行うことができる。
【0012】
上記作業車の安全装置においては、前記油圧制御バルブが、前記操作装置と機械的に連結された直動制御タイプである場合において、前記始業前点検指示器が操作されたときに前記切換バルブにより前記油圧供給源から前記油圧アクチュエータへの作動油供給を遮断するため、操作装置の操作に連動して油圧制御バルブのスプールが作動されても油圧アクチュエータが作動することがない。このため、直動制御タイプの油圧制御バルブを用いた構成の作業車において、この作業車が車庫などの狭い空間に位置するときでも、操作装置の操作を検出する操作検出器に関連する制御機器のみを独立して、始業前点検することができる。
【0013】
上記作業車の安全装置において、前記始業前点検指示器が操作されている間においてのみ、前記切換バルブにより前記油圧供給源から前記油圧アクチュエータへの作動油供給を遮断させ、前記操作検出器により前記操作装置の操作を検出して始業前点検を行うように構成するのが好ましい。これにより、作業者は始業前点検指示器を操作している間において始業前点検が行われるということを認識でき、また、始業前点検装置による始業前点検を的確に行うように構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について図を参照して説明する。
図1および
図2に、本実施形態を用いた始業前点検装置を備えた作業車の一例として穴掘建柱車を示す。また、
図3に、穴掘建柱車の作動制御装置構成を示す。この穴掘建柱車1は、車体11の前後左右に前後輪を有して走行可能であり、車体11の前部に運転キャブ11aを有したトラック車両をベースに構成される。車体11の前部には、旋回台12が旋回モータ63a(油圧モータ)により旋回動自在となって取り付けられている。さらに、旋回台12の上部にはブーム13が起伏シリンダ63bにより起伏動自在に取り付けられている。このブーム13は、基端ブーム13a、中間ブーム13b、先端ブーム13cからなる入れ子式の3段のブームであり、内蔵の伸縮シリンダ63cにより伸縮動自在である。なお、旋回モータ63a、起伏シリンダ63bおよび伸縮シリンダ63cは
図1および
図2では図示省略している。
【0016】
先端ブーム13c先端には、ブームヘッド20が固着されており、このブームヘッド20の内部に回転自在に取り付けられた図示しないシーブを介して、ワイヤ17によりフック18が吊り下げられている。基端ブーム13cの基端部(もしくは旋回台12)には図示しないウインチ装置が設けられており、このウインチ装置はウインチモータ63d(
図3参照、油圧モータからなる)により駆動されてワイヤ17の巻き取り・繰り出しを行って、フック18の引き上げ・引き下げができるようになっている。
【0017】
ブーム13には、長手方向にスライド移動自在にオーガブラケット14が取り付けられており、このオーガブラケット14には建柱穴を掘削するアースオーガ装置15が取り付けられている。アースオーガ装置15は、オーガブラケット14に枢結された連結ロッド部材15aと、連結ロッド部材15aの先端に取り付けられたオーガ駆動装置15bと、オーガ駆動装置15bにより回転駆動されるオーガスクリュー15cとから構成される。なお、オーガ駆動装置15bはオーガモータ63e(油圧モータ)を有し、車体側から供給される油圧力を受けてオーガスクリュー15cを回転駆動する。
【0018】
アースオーガ装置15を使用するときには、オーガブラケット14を先端ブーム13cに結合して先端ブーム13cの伸縮に応じてアースオーガ装置15全体を所望の位置まで移動させる。そして、
図2に示すように、オーガスクリュー15cを回転駆動して建柱用の穴Hを掘る。一方、アースオーガ装置15を使用しないときには、オーガブラケット14を基端ブーム13aに結合させるとともにアースオーガ装置15を基端ブーム13aの側方に沿った位置(
図1に示す位置)に格納保持する。なお、この状態において、
図1に
示すように、フック18による電柱Dの吊り下げ作業等が可能である。
【0019】
車体11における運転キャブ11aの直後方で旋回台12の前には、作業操作台30が立設されている。この作業操作台30は、オペレータが座る椅子31と、その前に位置する操作装置33とからなり、椅子31に座ったオペレータが操作装置33の操作レバー32等を操作して後述する各種作動操作を行う。
【0020】
さらに、車体11の前後には、作業時において車体11を支持するアウトリガ装置40が設けられている。各アウトリガ装置40は、車幅方向に延びて車体に取り付けられたアウトリガ(図示せず)と、アウトリガの先端に下方に延びて取り付けられたアウトリガジャッキ42とから構成される。アウトリガは車体11の車幅方向に延びて固設されたアウトリガボックスとアウトリガボックス内に伸縮自在に配設された左右のアウトリガビーム41とから構成される。各アウトリガビームの先端にアウトリガジャッキ42が取り付けられており、内蔵のビームシリンダ73a(
図3参照、油圧シリンダ)によりアウトリガビーム41をアウトリガボックスに対して伸縮させることにより、アウトリガジャッキ42を車体側方に格納した位置から車体外側(車幅方向)に張り出させたり、引き込んだりすることができる。
【0021】
アウトリガジャッキ42は、左右のビームロッドの先端に結合されたアウターポスト42aと、アウターポスト42a内に内蔵されて下方に伸縮可能なインナーポスト42bと、インナーポスト42bの下端に取り付けられた接地板42cとからなる。このため、内蔵のジャッキシリンダ73b(
図3参照、油圧シリンダ)によりインナーポスト42bを下方に伸長させて接地板42cを接地させ、車体11を持ち上げ支持可能である。
【0022】
旋回台12の旋回作動、ブーム13の起伏および伸縮作動、ウインチの作動、オーガ駆動装置15bの作動、アウトリガビーム41およびアウトリガジャッキ42の伸縮作動等は、車体11上に設けられた油圧駆動源からの油圧供給により油圧アクチュエータ(油圧モータ、油圧シリンダ等)を駆動して行われる。なお、油圧駆動源は、後述するように、車輪を回転駆動するエンジンによりPTOを介して駆動される油圧ポンプから構成され、この油圧ポンプから油圧アクチュエータに油圧供給が行われる。このため、この油圧供給を制御するための複数の制御バルブが車体11上に設けられ、この制御バルブの作動制御は、作業操作台30の椅子31に座ったオペレータが操作レバー32等を操作して行われる。さらに、アウトリガビーム41およびアウトリガジャッキ42の作動制御を行うアウトリガ制御装置75が車体に設けられている(
図1および2には図示せず)。
【0023】
以上の構成の穴掘建柱車1における作動制御を行う装置構成を、
図3を参照して説明する。
図3において、実線は信号もしくは電力ラインを示し、破線は油圧ラインを示す。穴掘建柱車1においては、上述したように、旋回台50を水平旋回させる旋回モータ63a(油圧モータ)と、ブーム13を起伏作動させる起伏シリンダ63b(油圧シリンダ)と、ブーム13を伸縮動させる伸縮シリンダ63c(油圧シリンダ)と、ウインチ装置を駆動するウインチモータ63d(油圧モータ)と、アースオーガ装置15のオーガスクリュー15cを回転駆動するオーガモータ63e(油圧モータ)と、アウトリガ装置40のビームロッドを伸縮させるビームシリンダ73a(油圧シリンダ)と、インナーポスト42bを上下移動させるジャッキシリンダ73b(油圧シリンダ)を備える。
【0024】
穴掘建柱車1は、旋回モータ63a、起伏シリンダ63b、伸縮シリンダ63c、ウインチモータ63dおよびオーガモータ63eへの作動油の供給、排出を制御する作業装置制御バルブ60を備える。この作業装置制御バルブ60は、操作装置33の操作レバー32により直動制御されるように、作業装置制御バルブ60のスプール61が連結リンク61aを介して操作レバー32に繋がれている。操作レバー32には、その作動位置を検出
する第1レバー位置検出器65が設けられている。この第1レバー位置検出器65は、操作レバー32が中立位置にあるか否か、さらに、これが操作されたときにどちらの方向に操作されたかを検知する。なお、
図3では操作レバー32が1本のみを示しているが、実際には各油圧アクチュエータに対応して操作レバー32は複数設けられている。
【0025】
作業操作台30の椅子31に座ったオペレータが操作レバー32を操作すると、この操作が連結リンク61aを介してスプール61に直接伝えられて作業装置制御バルブ60が切り換えられる。この結果、操作レバー32の操作に応じて、作業装置制御バルブ60が作動して旋回モータ63a、起伏シリンダ63bおよび伸縮シリンダ63cへの作動油の供給、排出が制御され、旋回台12の旋回作動制御、ブーム13の起伏作動および伸縮作動制御が行われる。同様に、ウインチ装置やアースオーガ装置の作動についても、それぞれ対応する操作レバー32の操作に応じて、ウインチ装置おけるウインチモータ63dによるワイヤ17の巻き取り・繰り出し制御や、アースオーガ装置15におけるオーガモータ63eによるオーガスクリュー15cの回転駆動制御が行われる。
【0026】
アウトリガ装置40において、ビームシリンダ73aによりビームロッドをビームボックスに対して伸縮させる作動制御と、ジャッキシリンダ73bによりインナーポスト42bを上下に伸縮移動させる作動制御とを行うために、アウトリガ制御バルブ70も備える。このアウトリガ制御バルブ70は、アウトリガ制御装置75の操作レバー76により直動制御されるように、アウトリガ制御バルブ70のスプール71が連結リンク71aを介して操作レバー76に連結されている。オペレータがアウトリガ制御装置75の操作レバー76を操作すると、この操作が連結リンク71aを介してスプール71に直接伝えられてアウトリガ制御バルブ70が作動される。この結果、操作レバー76の操作に応じて、アウトリガ制御バルブ70が作動してビームシリンダ73aおよびジャッキシリンダ73bへの作動油の供給、排出が制御され、ビームロッドをビームボックスに対して伸縮させる作動制御と、インナーポスト42bをアウターポスト42aに対して上下に伸縮移動させる作動制御とが行われる。操作レバー76には、その作動位置を検出する第2レバー位置検出器77が設けられている。この第2レバー位置検出器77は、操作レバー76が中立位置にあるか否か、さらに、これが操作されたときにどちらの方向に操作されたかを検知する。
【0027】
ところで、作業装置制御バルブ60およびアウトリガ制御バルブ70には、油圧ポンプ83からの作動油が供給される。油圧ポンプ83は、車輪85を回転駆動するためのエンジン(ENG)81(もしくは電気モータ)からパワーテイクオフ機(PTO)82を介して駆動される。エンジンENGにより駆動された油圧ポンプ83はタンク84内の作動油を、第1油路83aを介して作業装置制御バルブ60に供給し、第2油路83bを介してアウトリガ制御バルブ70に供給する。ここで、第1油路83aの切換制御を行う切換バルブ88が配設され、第1油路83aを通る作動油の流れを許容したり、この油路83aを遮断して作業装置制御バルブ60への作動油供給を行わせないようにしたりすることができるようになっている。この切換バルブ88は、第2油路83bの切換制御も行い、第2油路83bを通る作動油の流れを許容したり、この油路83bを遮断してアウトリガ制御バルブ70への作動油供給を行わせないようにしたりすることができるようになっている。
【0028】
上記切換バルブ88の作動は、コントローラ50により制御される。このコントローラ50には、
図3に示すように、各種検出器51からの検出信号が入力される。各種検出器51としては、旋回台12の旋回によるブーム13の旋回角を検出するブーム旋回角検出器51a、ブーム13の起伏角を検出するブーム起伏角検出器51b、ブーム13の伸長量を検出するブーム長さ検出器51c、フック18により吊り上げるときの吊り荷重を検出する吊り荷重検出器51d、車体11の傾きを検出する車体傾斜角検出器51e、アウ
トリガ装置40におけるビームロッドの車体側方への張出量を検出するジャッキ張出量検出器51fがあり、各検出器からの検出信号がコントローラ50に送られるようになっている。さらに、上述した第1レバー位置検出器65および第2レバー位置検出器77からの検出信号もコントローラ50に送られてくる。
【0029】
コントローラ50は、このように送られてくる入力信号に基づいて、切換バルブ88の作動制御を行う。以下、その具体的な制御について以下に説明する。まず、いわゆるインターロック制御がコントローラ50により行われる。これは、ブーム13を作動させてウインチ装置による吊り上げ作業や、アースオーガ装置15による穴掘り作業を行う前に、アウトリガ装置40による車体の支持を行わせるようにする制御である。
図1および
図2において2点鎖線で示すように、ブーム13が格納した状態では、コントローラ50は切換バルブ88により第1油路83aを遮断し、第2油路83bを開放する。この結果、油圧ポンプ83からの作動油は、第2油路83bを通ってアウトリガ制御バルブ70には供給されるが、作業装置制御バルブ60には供給されない。
【0030】
このため、操作装置33の操作レバー32を操作して作業装置制御バルブ60のスプール61を移動させても、作動油が供給されていないため、ブーム13を作動させてのウインチ装置による吊り上げ作業や、アースオーガ装置15による穴掘り作業は行うことができない。一方、アウトリガ制御装置75の操作レバー76を操作してアウトリガ制御バルブ70のスプール71を移動させると、アウトリガ制御バルブ70によりビームシリンダ73aおよびジャッキシリンダ73bへの作動油の供給、排出が制御される。これにより、ビームロッドをビームボックスに対して伸縮させる作動制御と、インナーポスト42bを上下に伸縮移動させる作動制御とを行い、接地板42cを接地させて車体11を安定支持することができる。
【0031】
このようにしてアウトリガ装置40により車体1が安定支持されたことがコントローラ50により検知されると、コントローラ50は、切換バルブ88により第1油路83aを開放する。この結果、操作装置33の操作レバー32を操作して作業装置制御バルブ60を作動させ、ブーム13を作動させることができ、さらにウインチ装置による吊り上げ作業や、アースオーガ装置15による穴掘り作業を行うことができるようになる。なお、ブーム13を作動させてこれが格納状態ではなくなると、コントローラ50は切換バルブ88により第2油路83bを閉鎖し、アウトリガ制御装置75の操作レバー75を操作してもアウトリガ制御バルブ70によりビームシリンダ73aおよびジャッキシリンダ73bへの作動油の供給、排出を行わせることができなくする。この結果、ブーム13を作動させている間に、誤ってアウトリガ装置40を作動させて車体11の支持の安定性を損なうことを防止できる。以上がインターロック制御である。
【0032】
ところで、この穴掘建柱車1は、始業前点検を行う構成も備えており、これについて以下に説明する。この始業前点検装置として、
図3に示すように、オペレータにより操作される始業前点検スイッチ52と、モニタ53と、警報装置54とが設けられている。始業前点検スイッチ52はオペレータにより操作され、オン状態となっている間において操作信号をコントローラ50に送り、コントローラ50はこの操作信号が送られている間において始業前点検を行う。なお、始業前点検スイッチ52がオン状態であることをオペレータに伝えるために、オン状態となっている間は報知ブザー(図示せず)をならすようになっている。モニタ53は、始業前点検スイッチ52が操作されてオン状態となっているときに、オペレータに始業前点検のための操作を指示する表示を行う。警報装置54は、始業前点検結果として異常が見つかったときに、これを警報報知する。
【0033】
始業前点検スイッチ52がオンとなってコントローラ50により行われる始業前点検フローを
図4に示す。このフローに沿って始業前点検内容について説明する。まず、始業前
点検スイッチ52が操作されてオンとなったか否かを判断する(ステップS1)。これがオンとなると、ステップS2に進み、切換バルブ88により第1および第2油路83a、83bを閉鎖し、作業装置制御バルブ60およびアウトリガ制御バルブ70による作動制御が作動しなくなるようにする。そして、始業前点検スイッチ52がオン状態であることを示す報知ブザーを作動させ、ブザーを鳴らす(ステップS3)。
【0034】
これに応じて、オペレータに始業前点検のための操作をモニタ53でディスプレイ表示する。具体的には、例えば、「始業前点検スイッチを入れたまま、操作レバーが中立であることを確認した後、旋回操作レバーを右旋回操作し、続いて左旋回操作し、さらに、起伏操作レバーを起伏上げ操作し、起伏下げ操作し、さらに、伸縮操作レバーを伸長操作し、縮小操作して下さい。このとき、ブームが動かないことを確認して下さい。」というような表示を行う。なお、このモニタ53での指示に変えて、マニュアルでその旨の指示をしておくようにしても良い。
【0035】
以上の指示に従ってオペレータが操作レバーを操作するときに、コントローラ50は、まず第1レバー位置検出器65からの検出信号に基づいて、操作レバー32、76が中立位置にあるか否かを判断する(ステップS5)。始業前点検は操作レバー32、76が中立の状態で行うものとしているので、これが中立位置ではないと判断されたときには、第1レバー位置検出器65が異常と判定する。
【0036】
操作レバー32、76が中立位置にあるときには、ステップS6に進み、上記のような指示に応じてオペレータが操作レバーの操作を行うので、その手順に従った検出信号が第1レバー位置検出器65および第2レバー位置検出器77から送られてくるか否かをチェックする。このとき、手順に従った検出信号が入力されれば、第1レバー位置検出器65および第2レバー位置検出器77を含む検出関連機器が正常に作動していると判定し、始業前点検が完了した旨を通知する(ステップS8)。一方、手順とは異なる検出信号が入力されたときや、検出信号が変化しないようなときには、第1レバー位置検出器65および第2レバー位置検出器77を含む検出関連機器が異常であると判断し、警報装置54による警報を行わせたり、モニタ53で異常発生の表示を行わせたりする(ステップS7)。
【0037】
以上説明したように、この始業前点検では、ステップS2において切換バルブ88により第1および第2油路83a、83bを閉鎖する。このため、操作レバー32、76をオペレータが操作して、作業装置制御バルブ60およびアウトリガ制御バルブ70のスプール61、71が移動されても、ブームが作動したり、ウインチ装置やアースオーガ装置が作動したり、アウトリガ装置が作動したりすることはない。このため、例えば、穴掘建柱車1が車庫等の狭い空間内にある状態でも、始業前点検を行うことができる。操作レバー32、76をオペレータが操作したときに、ブームが作動したり、ウインチ装置やアースオーガ装置が作動したり、アウトリガ装置が作動したりするような場合には、切換バルブ88、作業装置制御バルブ60、アウトリガ制御バルブ70等に異常が発生していると判定できる。なお、ウインチモータ63dおよびオーガモータ63eへの作動油供給制御を行うバルブについては、切換バルブ88を経由せずに、すなわち上記インターロック制御を行わずに、直接油圧供給を行うようにしても良い。
【0038】
以上説明したように、始業前点検制御において、インターロック制御に用いられる切換バルブ88を兼用しており、装置構成を簡略化できる。特に、インターロック制御は従来から良く用いられるものであり、このようなインターロック制御を有した作業車に、比較的容易に且つ簡単な構成で、始業前点検装置を設けることができるという効果がある。
【0039】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は、上記実
施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。例えば、
図3の制御装置では、操作レバー32、76の操作が連結リンク61a、71aを介して作業装置制御バルブ60およびアウトリガ制御バルブ70のスプール61、71を直接動かす直動制御タイプの構成であるが、これに限られるものではない。すなわち、
図5に示すように、操作信号制御タイプの構成としても良い。
【0040】
図5に示す操作信号制御タイプの作動制御装置構成は、操作装置133およびアウトリガ制御装置175と、作業装置制御バルブ160およびアウトリガ制御バルブ170が
図3の装置構成と相違するだけで、その他の構成は同一である。よって、同一構成部材については同一番号を付してその説明を省略する。操作装置133は、操作レバー132と、この操作レバー132の操作方向および操作量を検出する第1レバー位置検出器165を備える。第1レバー位置検出器165により検出された操作信号はコントローラ50に送られる。作業装置制御バルブ160はスプール位置制御を行うソレノイド161を備え、コントローラ50からの作動制御によりソレノイド161がスプール位置制御を行うようになっている。
【0041】
この構成において、第1レバー位置検出器165により検出された操作信号がコントローラ50に送られると、コントローラ50はこの操作信号に応じてソレノイド161の作動を制御し、作業装置制御バルブ160の作動を制御する。この結果、操作レバー132の操作に応じて作業装置制御バルブ160の作動が制御され、旋回モータ63a、起伏シリンダ63bおよび伸縮シリンダ63cへの作動油の供給、排出が制御され、旋回台12の旋回作動制御、ブーム13の起伏作動および伸縮作動制御が行われる。同様に、ウインチ装置やアースオーガ装置の作動についても、それぞれ対応する操作レバー132の操作に応じて、ウインチ装置おけるウインチモータ63dによるワイヤ17の巻き取り・繰り出しや、アースオーガ装置15におけるオーガモータ63eによるオーガスクリュー15cの回転駆動が行われる。
【0042】
アウトリガ制御装置175は、操作レバー176と、この操作レバー176の操作方向および操作量を検出する第2レバー位置検出器177を備える。第2レバー位置検出器177により検出された操作信号はコントローラ50に送られる。アウトリガ制御バルブ170はスプール位置制御を行うソレノイド171を備え、コントローラ50からの作動制御によりソレノイド171がスプール位置制御を行うようになっている。この構成において、第2レバー位置検出器177により検出された操作信号がコントローラ50に送られると、コントローラ50はこの操作信号に応じてソレノイド171の作動を制御し、アウトリガ制御バルブ170の作動を制御する。この結果、操作レバー176の操作に応じてアウトリガ制御バルブ170の作動が制御され、ビームシリンダ73aおよびジャッキシリンダ73bへの作動油の供給、排出が制御され、ビームロッドをビームボックスに対して伸縮させる作動制御と、インナーポスト42bを上下に伸縮移動させる作動制御とが行われる。
【0043】
このような構成の
図5に示す操作信号制御タイプの作動制御装置において、インターロック制御および始業前点検は、
図3に示す作動制御装置の場合と同様に、切換バルブ88を用いて行われる。なお、その内容は同様であるので、その説明は省略する。