【解決手段】偏心揺動型の変速機100は、偏心体と、外歯歯車40と、軸受50と、内歯歯車60とを備える。偏心体は、中心軸Cを中心として回転する回転シャフト20に取り付けられる。外歯歯車40は、偏心体の径方向外方に配置され、外周部に複数の外歯41を備える。軸受50は、偏心体と外歯歯車40との間に介在する。内歯歯車60は、外歯歯車40の径方向外方かつ中心軸Cと同軸上に配置され、内周部に外歯41と噛み合う複数の内歯61を有する。外歯41の歯数と、内歯61の歯数とは、異なる。偏心体は、中心軸Cから外れた位置で中心軸Cと平行に延びる偏心軸Dを中心とする、円筒面の一部を有する。偏心体は、中心軸Cを挟んで偏心軸Dとは反対側に開口した切欠き部30aを有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本願の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、変速機の中心軸と平行な方向を「軸方向」、変速機の中心軸に直交する方向を「径方向」、変速機の中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、軸方向の一方側を「前方側」、軸方向の他方側を「後方側」と、それぞれ称する。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。また、上記の直交する方向は、略直交する方向も含む。また、「周方向」は、略円弧に沿う方向も含む。
【0009】
<1.実施形態>
<1−1.偏心揺動型の変速機の全体構成>
以下では、
図1から
図4までを参照して、実施形態に係る偏心揺動型の変速機100の全体的な構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る偏心揺動型の変速機100の縦断面図である。
図2は、
図1のII−II位置から見た変速機100の横断面図である。
図3は、
図1のIII−III位置から見た変速機100の横断面図である。ただし、
図1から
図3までにおいて、図面を簡潔にするためにハッチングは省略してある。
【0010】
この偏心揺動型の変速機100は、第1回転数(入力回転数)の回転運動を、内接遊星式の減速機構により、第1回転数よりも低い第2回転数(出力回転数)の回転運動に変換する。偏心揺動型の変速機100は、例えば人と協調して作業を行うサービスロボット等の小型ロボットの関節部に使用される。ただし、同等の構造を有する変速機を、大型の産業用ロボット、工作機、X−Yテーブル、材料の切断装置、コンベアライン、ターンテーブル、圧延ローラ等の他の用途に用いてもよい。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の偏心揺動型の変速機100は、ケーシング10、回転シャフト20、偏心体30、外歯歯車40、軸受50、内歯歯車60、キャリアピン70、および出力回転部80を主として備える。
【0012】
ケーシング10は、偏心揺動型の変速機100の中心軸Cを中心として軸方向に延びる、円筒状の部材である。ケーシング10は、回転シャフト20、偏心体30、外歯歯車40、軸受50、内歯歯車60、キャリアピン70、および出力回転部80を径方向外方側から被覆する。
【0013】
回転シャフト20は、偏心揺動型の変速機100の中心軸Cを中心として軸方向に延びる、略円筒状の部材である。回転シャフト20は、直接または他の動力伝達機構を介して、駆動源であるモータに接続される。あるいは、回転シャフト20は、駆動源としてのモータの出力シャフトそのものとしてもよい。モータを駆動させると、モータから供給される動力によって、回転シャフト20は、中心軸Cを中心として第1回転数で回転する。回転シャフト20は、偏心揺動型の変速機100の軸心部に配置される。
【0014】
偏心体30は、回転シャフト20と同一回転数で、回転シャフト20とともに回転する部材である。偏心体30は、回転シャフト20の軸方向の中途部に取り付けられる。偏心体30は、中心軸Cから外れた位置で中心軸Cと平行に延びる偏心軸Dを中心とする、円筒面の一部を有する。したがって、中心軸Cから偏心体30の外周面までの距離は、周方向の位置によって異なる。回転シャフト20が中心軸Cを中心として回転すると、偏心体30の偏心軸Dの位置が、中心軸Cを中心として回転する。このとき、偏心体30の位置も、中心軸Cを中心として回転する。
【0015】
なお、
図1に示すように、本実施形態では、回転シャフト20の軸方向の中途部に、2つの偏心体30が取り付けられている。ここで、軸方向に見たときに、2つの偏心体30のうちの一方の偏心体30の偏心軸Dの位置は、2つの偏心体30のうちの他方の偏心体30の偏心軸Dの位置と、互いに回転対称に配置されている。これにより、本実施形態では、複数の偏心体30の全体としての重心位置が、常に中心軸C上に位置している。したがって、偏心体30の不釣り合いを抑制できる。
【0016】
外歯歯車40は、各偏心体30の径方向外方に配置される。すなわち、本実施形態の変速機100は、2つの外歯歯車40を備える。偏心体30と外歯歯車40との間には、軸受50が介在する。外歯歯車40は、軸受50によって、偏心軸Dを中心として回転可能に支持される。
図2に示すように、外歯歯車40の外周部には、複数の外歯41が設けられている。各外歯41は、径方向外方に向けて延びている。また、周方向に隣り合う外歯41の間には、径方向内方に向けて凹む外歯間溝42が設けられている。外歯41と外歯間溝42とは、偏心軸Dを中心として、周方向に交互に並んでいる。
【0017】
また、
図2に示すように、外歯歯車40は、複数(本実施形態では、10個)の貫通孔43を有する。各貫通孔43は、外歯歯車40を軸方向に貫通する。複数の貫通孔43は、偏心軸Dを中心として周方向に等間隔に並んでいる。
【0018】
内歯歯車60は、外歯歯車40の径方向外方を取り囲む円環状の部材である。内歯歯車60は、中心軸Cと同軸上に配置される。本実施形態では、内歯歯車60の外周面は、ケーシング10の内周面に固定される。
図2に示すように、内歯歯車60の内周部には、複数の内歯61が設けられている。各内歯61は、径方向内方に向けて延びている。また、周方向に隣り合う内歯61の間には、径方向外方に向けて凹む内歯間溝62が設けられている。内歯61と内歯間溝62とは、中心軸Cを中心として周方向に交互に並んでいる。
【0019】
図2に示すように、外歯歯車40と内歯歯車60とは、部分的に噛み合うことが可能である。具体的には、内歯歯車60の内歯間溝62に外歯41の一部が嵌まって外歯41と内歯61とが噛み合うことで、外歯歯車40と内歯歯車60とが相対回転する。
【0020】
回転シャフト20が中心軸Cを中心として回転すると、外歯歯車40は、偏心軸Dとともに、中心軸Cの周りを公転する。この際、外歯歯車40は、外歯歯車40の外歯41と、内歯歯車60の内歯61との噛み合い位置を、周方向に変化させながら公転する。ここで、内歯61の数と、外歯41の数とは、異なっている。具体的には、本実施形態では、内歯歯車60が有する内歯61の数は、外歯歯車40が有する外歯41の数よりも多い。このため、外歯歯車40の1公転ごとに、内歯歯車60の同じ位置の内歯61に噛み合う外歯41の位置が、歯数差の分だけずれる。これにより、外歯歯車40が、回転シャフト20の回転方向とは逆の方向へ、第1回転数よりも低い第2回転数で、偏心軸Dを中心にして自転する。これに伴い、外歯歯車40の貫通孔43の位置も、第2回転数で回転する。偏心揺動型の変速機100の動作時には、外歯歯車40が、このような公転と自転とを組み合わせた回転運動を行う。
【0021】
複数のキャリアピン70は、外歯歯車40を貫通して、軸方向に延びる略円柱状の部材である。
図2および
図3に示すように、複数のキャリアピン70は、中心軸Cを中心として円環状に配列される。各キャリアピン70は、外歯歯車40の貫通孔43に挿入される。これにより、外歯歯車40が減速後の第2回転数で自転すると、外歯歯車40の貫通孔43の内周面に押されることによって、複数のキャリアピン70も、中心軸Cを中心として、第2回転数で回転する。
【0022】
図1に戻る。出力回転部80は、円環状の前方キャリア部材81と、円環状の後方キャリア部材82とを有する。前方キャリア部材81は、外歯歯車40よりも軸方向の前方側に配置される。前方キャリア部材81は回転シャフト20に対して回転可能に支持される。前方キャリア部材81と回転シャフト20との間に軸受が介在していてもよい。また、前方キャリア部材81と内歯歯車60との間に軸受が介在していてもよい。
【0023】
後方キャリア部材82は、外歯歯車40よりも軸方向の後方側に配置される。後方キャリア部材82は、回転シャフト20に対して回転可能である。後方キャリア部材82と回転シャフト20との間に軸受が介在していてもよい。また、後方キャリア部材82と内歯歯車60との間に軸受が介在していてもよい。
【0024】
各キャリアピン70の軸方向の前方側の端部は、前方キャリア部材81に固定される。各キャリアピン70の軸方向の後方側の端部は、後方キャリア部材82に固定される。このため、複数のキャリアピン70が、中心軸Cを中心として第2回転数で回転すると、前方キャリア部材81および後方キャリア部材82も、中心軸Cを中心として第2回転数で回転する。なお、前方キャリア部材81および後方キャリア部材82に対するキャリアピン70の固定方法には、例えば圧入が用いられる。
【0025】
出力回転部80は、直接または他の動力伝達機構を介して、駆動対象となる部材に接続される。このような構成により、本実施形態の偏心揺動型の変速機100において、回転シャフト20に入力された回転を、内接遊星式の減速機構で大幅に減速し、減速後の回転を、出力回転部80から取り出すことができる。
【0026】
以上のような偏心揺動型の変速機において、従来、偏心体を回転シャフトに組み付ける際には、回転シャフトの先端部を、偏心体の孔に挿入して、当該偏心体を回転シャフトの軸方向に沿ってスライドさせて所定の位置に取り付けるしかなく、組み付けの自由度が乏しかった。さらに言えば、従来、偏心体の回転シャフトに対する周方向における位置を位置決め(回り止め)するために、回転シャフトにカット部分が設けられていたが、上述のような方法で偏心体を回転シャフトに組み付けるしかない都合上、回転シャフトの軸方向の先端部から上記所定の位置までにわたってカット部分を設ける必要があった。このため、広い領域にわたって回転シャフトの径方向の寸法が小さくなり、回転シャフトの強度を十分に保つことが困難であった。
【0027】
この点、本実施形態に係る偏心揺動型の変速機100は、偏心体30の回転シャフト20に対する組み付けの自由度を向上させ、しかも回転シャフト20の強度を確保できるようにするための、特有の構成を有している。以下では、この特有の構成について、詳細に説明する。
【0028】
<1−2.偏心体の構成>
まず、偏心体30の構成について、主として
図4を参照して、詳細に説明する。
図4は、回転シャフト20および偏心体30を軸方向に見たときの図である。
【0029】
偏心体30は、軸方向に一定の厚みを有する(
図1を参照)。偏心体30は、樹脂材料からなる。偏心体30は、軸方向に見たときに、切欠き部30aと、第1対辺30bと、第3辺30cと、円弧面30eとを有する。
【0030】
切欠き部30aは、軸方向に見たときに、中心軸Cを挟んで偏心軸Dとは反対側に開口している。切欠き部30aの内面は、軸方向にみたときに略矩形状である。第1対辺30bは、軸方向に見たときに、切欠き部30aの上記矩形の対向する一対(一組)の辺である。一対の第1対辺30bは、互いに平行である。
【0031】
第3辺30cは、軸方向に見たときに、一対の第1対辺30b同士を繋ぐ辺である。第3辺30cは、軸方向に見たときに、第1対辺30bに対して垂直である。また、
図4に示すように、軸方向に見たときに、第1対辺30bと第3辺30cとの接続箇所は、R形状(円弧状)である。
【0032】
円弧面30eは、偏心軸Dを中心とする円筒面の一部である。円弧面30eは、軸方向に見たとき、偏心体30の外周面のうち、中心軸Cを挟んで上記開口している側とは反対側の領域である。また、軸方向に見たとき、円弧面30eは、周方向に沿って連続的な円弧状(円筒の一部)である。
【0033】
<1−3.回転シャフトの細部の構成>
続いて、本実施形態に係る回転シャフト20の細部の構成について、
図4を参照して説明する。
【0034】
図4に示すように、回転シャフト20は、外周面のうち、偏心体30が固定される箇所に、第2対辺20aを有する。具体的には、回転シャフト20の外周面の2箇所が、軸方向にみてそれぞれD字形状にカットされることにより、一対の第2対辺20aが設けられる。一対の第2対辺20aは、それぞれ中心軸Cに対して平行である。したがって、一対の第2対辺20aは、互いに平行である。一対の第2対辺20aは、軸方向に見たときに、中心軸Cを通る仮想直線Lに対して互いに線対称に配置されている。
【0035】
図1に示すように、2つの偏心体30は、軸方向に見たときに、中心軸Cに対して互いに180°反転した姿勢で、回転シャフト20に取り付けられる。すなわち、2つの偏心体30の切欠き部30aは、軸方向に見たときに、互いに反対向きに開口する。ただし、本実施形態では、2つの偏心体30のうち、軸方向の前方側に配置される偏心体30が固定される箇所に設けられる第2対辺20aと、軸方向の後方側に配置される偏心体30が固定される箇所に設けられる第2対辺20aとが、共通の平面となっている。
図4に示すように、一対の第2対辺20aは、一対の第1対辺30bと面接触可能である。
【0036】
以上のような構成の偏心揺動型の変速機100において、偏心体30を回転シャフト20に対して組み付ける際には、まず偏心体30を、回転シャフト20の第2対辺20aが設けられている箇所の径方向外方に配置する。そして、偏心体30の一組の第1対辺30bの間に回転シャフト20が位置するように、偏心体30の一組の第1対辺30bを、回転シャフト20の第2対辺20aに接触させつつ、径方向内方側にスライドさせる。こうして、回転シャフト20の外周面が偏心体30の第3辺30cに接触した状態とする。このように、偏心体30の切欠き部30aが回転シャフト20に径方向外方側から嵌め込まれることにより、偏心体30を径方向外方側から容易に回転シャフト20に対して取り付けることができる。その後、回転シャフト20の先端部から、軸受50が挿入されて、偏心体30の径方向外側に軸受50が組み付けられることにより、偏心体30が回転シャフト20に対して脱落不能とされる。
【0037】
また、上記の構成によれば、回転シャフト20の外周面のうち、偏心体30が固定される軸方向の箇所にのみ、第2対辺20aが設けられるので、広い領域において回転シャフト20の径方向の寸法を確保することができ、その結果、回転シャフト20の強度を保つことができる。
【0038】
<1−4.まとめ>
以上に示したように、本実施形態に係る偏心揺動型の変速機100は、偏心体30と、外歯歯車40と、軸受50と、内歯歯車60とを備える。偏心体30は、中心軸Cから外れた位置で中心軸Cと平行に延びる偏心軸Dを中心とする、円筒面の一部である円弧面30eを有する。偏心体30は、中心軸Cを挟んで偏心軸Dとは反対側に開口した切欠き部30aを有する。これにより、切欠き部30aを回転シャフト20に嵌め込むことにより、偏心体30を径方向外方側から回転シャフト20に対して取り付けることができる。よって、偏心揺動型の変速機100の組み付けの自由度が向上する。また、偏心体30の回転シャフト20への組み付けに際し、回転シャフト20の径方向の寸法が犠牲となることがなく、回転シャフト20の強度を保つことができる。
【0039】
また、本実施形態に係る偏心揺動型の変速機100においては、偏心体30の切欠き部30aは一組の第1対辺30bを有する。また、回転シャフト20は一組の第2対辺20aを有する。これにより、第1対辺30bと第2対辺20aとを面接触させることにより、偏心体30の回転シャフト20に対する取付精度を良好にすることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る偏心揺動型の変速機100においては、一組の第1対辺30bは互いに平行であり、また一組の第2対辺20aは互いに平行である。これにより、偏心体30の製造、および回転シャフト20の加工が容易となる。
【0041】
また、本実施形態に係る偏心揺動型の変速機100においては、偏心体30は第3辺30cを有する。これにより、偏心体30がシンプルな形状となり、偏心体30の製造が容易となる。
【0042】
また、本実施形態に係る偏心揺動型の変速機100においては、第3辺30cは第1対辺30bに対して垂直である。よって、偏心体30がよりシンプルな形状となり、偏心体30の製造が容易となる。
【0043】
さらに、本実施形態に係る偏心揺動型の変速機100においては、第1対辺30bと第3辺30cとの接続箇所は、R形状である。これにより、偏心揺動型の変速機100の各部材の組み付け後に、第1対辺30bと第3辺30cとの接続箇所において、局所的に応力が集中してしまうのを軽減できる。
【0044】
さらに、本実施形態に係る偏心揺動型の変速機100においては、偏心体30は樹脂材料からなる。これにより、偏心体30を、軸方向に対して垂直な方向に開閉する一対の金型により、成形することができる。このため、偏心体30の外周面に、軸方向に対して傾斜する抜き勾配を設ける必要がない。その結果、偏心揺動型の変速機100の各部材を、公差を少なく抑えて、精度よく組み付けることができる。
【0045】
さらに、本実施形態に係る偏心揺動型の変速機100においては、第2対辺20aは、回転シャフト20の外周面のうち、偏心体30が固定される軸方向の箇所にのみ、設けられる。これにより、第2対辺20aにより、偏心体30の回転シャフト20に対する軸方向の位置、および周方向の位置を位置決めすることができる。
【0046】
さらに、本実施形態に係る偏心揺動型の変速機100においては、偏心体30の外周面のうち、中心軸Cを挟んで開口している側とは反対側の領域は、連続的な円弧状(円弧面30e)である。これにより、偏心体30の円弧面30eの外周面に押されて、外歯歯車40の外歯41が内歯歯車60の内歯61と良好に噛み合う。逆に言えば、偏心体30の切欠き部30aのある側は、荷重が掛かり難い領域であるので、偏心体30の切欠き部30aの内面と、回転シャフト20の外周面と、の間に仮に隙間があったとしても、偏心揺動型の変速機100の回転性能に影響は生じ難い。
【0047】
<2.変形例>
上記の実施形態では、偏心体30が径方向外方側から回転シャフト20に取り付けられ、その後偏心体30の径方向外方側に軸受50が配置されることにより、偏心体30が回転シャフト20に対して脱落不能に取り付けられていた。しかしながら、これに限定されず、上記に代えて、例えば偏心体30と回転シャフト20との接触箇所に接着剤が付されることにより、偏心体30が回転シャフト20に対して脱落不能にされてもよい。
【0048】
上記の実施形態では、回転シャフト20の外周面のうち、軸方向の前方側に配置される偏心体30が固定される箇所に設けられる第2対辺20aと、軸方向の後方側に配置される偏心体30が固定される箇所に設けられる第2対辺20aとが、共通の平面となっていた。しかしながら、これに限定されず、上記に代えて、軸方向の前方側に配置される偏心体30が固定される箇所に設けられる第2対辺20aと、軸方向の後方側に配置される偏心体30が固定される箇所に設けられる第2対辺20aとが、回転シャフト20の外周面上で個別の(不連続の)平面となっていてもよい。
【0049】
偏心体が第1対辺を備えず、回転シャフトが第2対辺を備えず、かつ、偏心体が弾性変形可能な材料からなることにしてもよい。その場合、偏心体は、軸方向に見たときに略円形状の切欠きを有することにすればよい。その場合、偏心体の切欠きの開口付近を押し広げて、回転シャフトの径方向外方側から偏心体を、回転シャフトの外周部に嵌め込むことにすればよい。
【0050】
偏心体30は、必ずしも樹脂製ではなくてもよい。上記に代えて、偏心体30を金属製としてもよい。
【0051】
上記の実施形態では、内歯歯車60は円環状の部材であるとしたが、これに限定されない。上記に代えて、内歯歯車を軸方向に見たときの外形が矩形状であってもよい。また、内歯歯車60の内周部に設けられる内歯61は、必ずしも内歯歯車60と単一の部材でなくてもよく、これに代えて、内歯歯車の内周部にピンを嵌め込むためのピン溝が設けられ、当該ピン溝に内歯としてのピンが嵌め込まれることにしてもよい。
【0052】
上記の実施形態の偏心揺動型の変速機100は、軸方向において前後に2つの偏心体30を有していた。しかしながら、これに限定されず、上記に代えて、偏心揺動型の変速機100が、1つまたは軸方向に並ぶ3つ以上の偏心体30を有していてもよい。
【0053】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。