【解決手段】プリント回路基板は、熱硬化性の第1樹脂層110と、第1樹脂層上に積層される熱可塑性の第2樹脂層120と、第1樹脂層及び第2樹脂層を一括貫通するビアV1と、を含む。第1樹脂層と第2樹脂層との界面は、粗度面Aを含む。
前記ビアの前記熱硬化性樹脂層を貫通する部分の横断面積は、前記ビアの前記熱可塑性樹脂層を貫通する部分の横断面積より小さい請求項11または12に記載のプリント回路基板。
前記ビアが一括貫通した前記隣り合っている熱硬化性樹脂層及び熱可塑性樹脂層において、前記熱可塑性樹脂層の一面に形成される回路をさらに含む請求項11から13のいずれか1項に記載のプリント回路基板。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るプリント回路基板の実施例を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明を省略する。
【0009】
また、以下で使用する「第1」、「第2」等の用語は、同一または対応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または対応する構成要素が第1、第2等の用語により限定されることはない。
【0010】
また、「結合」とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用される。
【0011】
図1は、本発明の実施例に係るプリント回路基板を適用できる端末機を示す図である。
【0012】
図1を参照すると、電子機器端末機1にはメインボード2が装着されており、メインボード2には、RF処理部(RFモジュール)RF1、RF2、IF処理部(IFチップ)IF、ベースバンドチップBB等が実装できる。RF処理部RF1、RF2は、アンテナを介して受信される信号を減殺するためにIF処理部IFに信号を送信する。または、RF処理部RF1、RF2は、アンテナを介して信号を送信するために、IF処理部IFで増幅された信号を受信する。ここで、RF処理部RF1、RF2とIF処理部IFとの交わす信号は10GHz以上の高周波であり得る。
【0013】
図2及び
図3は、本発明の実施例に係るプリント回路基板を含むプリント回路基板を示す図である。本発明の実施例に係るプリント回路基板(
図1の10及び10')は、高周波信号を伝達することができ、メインボード(
図1の2)上のRF処理部(
図1のRF1及びRF2)とIF処理部(
図1のIF)とを接続することができる。
【0014】
図2を参照すると、本発明の実施例に係るプリント回路基板は、第1樹脂層110、第2樹脂層120及びビアV1を含み、第1回路210、第2回路220をさらに含むことができる。
【0015】
第1樹脂層110及び第2樹脂層120は上下に積層される。例えば、第2樹脂層120は、第1樹脂層110の上に積層されることができる。
【0016】
第1樹脂層110と第2樹脂層120とは、互いに異なる物性を有する。第1樹脂層110は、熱硬化性であり、第2樹脂層120は、熱可塑性である。
【0017】
熱硬化性の第1樹脂層110としては、PPE(Polyphenylene ether)系樹脂、変性ポリイミド(PI)樹脂、変性エポキシ(Epoxy)系樹脂等を用いることができる。
【0018】
第1樹脂層110の樹脂の種類、樹脂に含有されるフィラーの種類、フィラーの含量等に応じて第1樹脂層110の誘電正接(Dielectric dissipation factor、Df)を調整できる。ここで、誘電正接は、誘電損失に関連する数値であって、誘電損失は、樹脂層(誘電体)に交流性電界が形成されたときに発生する損失電力を意味する。誘電正接は、誘電損失に比例し、誘電正接が小さいほど誘電損失は小さい。低誘電損失の特性を有する第1樹脂層110は、高周波信号伝達において損失低減の側面から有利である。
【0019】
第1樹脂層110の誘電正接は、0.003以下であり、好ましくは0.002以下であることができる。また、第1樹脂層110の誘電定数(Dielectric Constant、Dk)は、3.5以下であることができる。
【0020】
一方、第1樹脂層110の厚さは、10μm以上40μm以下であることができる。また、第1樹脂層110のモジュラス(modulus)は、10Gpa以下であることができる。
【0021】
熱可塑性の第2樹脂層120としては、液晶ポリマー(LCP;Liquid crystal polymer)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PPE(Polyphenylene Ether)、ポリイミド(PI)等を用いることができる。
【0022】
第2樹脂層120の誘電正接は、0.003以下であり、好ましくは0.002以下であることができる。また、第2樹脂層120の誘電定数は、3.5以下であることができる。
【0023】
一方、第2樹脂層120の厚さは、10μm以上40μm以下であることができる。第2樹脂層120の厚さは、第1樹脂層110の厚さと実質的に同一であることができるが、これに制限されない。また、第2樹脂層120のCTEは、18ppm/℃以下であり、溶融点は、260℃以上であることができる。
【0024】
第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面は、粗度面Aを含む。粗度面は、CZ処理等の粗化処理により凹凸を有する面を意味する。第1樹脂層110上に第2樹脂層120が積層された場合、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面は、第1樹脂層110の上面となる同時に第2樹脂層120の下面となる。第1樹脂層110の上面(第2樹脂層120の下面)は凹凸を有する。この凹凸により第1樹脂層110と第2樹脂層120とは互いの密着力を確保することができる。
【0025】
粗度面Aの粗度Raは、0.1以上5以下であることができ、粗度Rzは、20以下であることができる。
【0026】
図3を参照すると、第2樹脂層120の上面は、粗度(A'参照)を有することができ、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面の粗度面Aの粗度は、第2樹脂層120の上面の粗度より大きいことが可能である。第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面の粗度面Aは、第1樹脂層110と第2樹脂層120との密着力のために比較的大きい粗度を有することができる。第2樹脂層120の上面は、回路(第2回路220)との密着力のために粗度が設けられるが、回路を介して伝達される信号の損失低減のために比較的小さい粗度を有することができる。第2樹脂層120の上面の粗度Raは、0.3以下であることができ、好ましくは0.1以下であることができる。
【0027】
図2に示すように、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面の粗度面Aの凹凸は、尖った形状を有することができる。この場合、凹凸の縦断面は、三角形形状を有することができる。
【0028】
図4から
図6は、本発明の実施例に係るプリント回路基板の第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面の様々な粗度面Aを示す図である。
【0029】
図4を参照すると、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面の粗度面Aの凹凸は、下側(または上側)に行くほど横断面積が大きくなる形状を有することができる。この凹凸の縦断面は、台形形状を有することができる。
【0030】
図5を参照すると、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面の粗度面Aの凹凸は、曲面を有することができる。この場合、凹凸の縦断面は、半円形状を有することができる。
【0031】
図6を参照すると、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面の粗度面Aの凹凸は、四角形状の縦断面を有することができる。
【0032】
一方、本発明の実施例に係るプリント回路基板の第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面の粗度面Aは、上述の形状以外に様々な形状を有することができる。
【0033】
再び
図2を参照すると、ビアV1は、第1樹脂層110及び第2樹脂層120を一括貫通する。このため、ビアV1の側面は、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面に接し、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面の粗度面Aに接することができる。
【0034】
ビアV1は、第1樹脂層110及び第2樹脂層120を一括貫通するビアホール内に伝導性物質を充填することで形成できる。ビアV1は、メッキビアであることができ、メッキビアとは、伝導性物質がメッキにより充填されたものを意味する。メッキビアであるビアV1は、銅(Cu)を主成分とすることができる。
【0035】
一方、ビアV1は、伝導性ペーストが充填された後に溶融及び冷却されたものであることができる(
図8参照)。ここで、伝導性ペーストとしては、錫(Sn)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等の金属を含有するペースト、金属を含有せずに伝導性高分子で構成されたペースト等を用いることができる。
【0036】
ビアV1が伝導性ペーストを充填することにより形成される場合、ビアの溶融点は、後述する回路の溶融点よりも小さいことが可能である。
【0037】
ビアV1の第1樹脂層110を貫通する部分の横断面積は、ビアV1の第2樹脂層120を貫通する部分の横断面積より小さいことが可能である。ビアV1の横断面積は、ビアV1の下面から上面に行くほど大きくなることができる。
【0038】
回路は、電気信号を伝達する導体線であって、金属からなることができる。回路をなす金属には銅(Cu)等が挙げられる。回路は高周波信号を伝達することができ、第1樹脂層110及び第2樹脂層120が低誘電損失の特性を有する場合は、回路が高周波信号を伝達するとき、第1樹脂層110及び第2樹脂層120による信号損失を低減できる。回路は、第1回路210及び第2回路220を含むことができる。
【0039】
第1回路210は、第1樹脂層110の下面に形成される回路であり、第2回路220は、第2樹脂層120の上面に形成される回路である。第1回路210と第2回路220とは、ビアV1を介して電気的に接続することができる。
【0040】
具体的に、第1回路210は、第1樹脂層110の下面に埋め込まれる。すなわち、第1回路210は、第1樹脂層110の下面からは露出できるが、第1樹脂層110の下面を除いた残りの面は第1樹脂層110と接触する。
【0041】
また、第2回路220は、第2樹脂層120の上面に突出して形成される。すなわち、第2回路220は、第2樹脂層120の上面に接し、外側に突出する。
【0042】
ビアV1は、第1回路210の上面及び第2回路220の下面と接触することができる。 さらに、第1回路210は、端部に第1パッドを含み、第2回路220は、端部に第2パッドを含み、ビアV1は、第1パッドと第2パッドとの間に介在され、第1パッド及び第2パッドのそれぞれと接触できる。
【0043】
第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面には回路が形成されないことが可能である。
【0044】
一方、
図3に示すように、第2樹脂層120の上面に粗度(A'参照)が形成される場合、第2回路220と第2樹脂層120との界面にも粗度が形成される。
【0045】
図7は、本発明の実施例に係るプリント回路基板を含むプリント回路基板を示す図である。
【0046】
図7を参照すると、本発明の実施例に係るプリント回路基板は、熱硬化性樹脂層と熱可塑性樹脂層とが交互に繰り返し積層されて形成される積層体と、隣り合っている熱硬化性樹脂層と熱可塑性樹脂層とを一括貫通するビアと、を含む。
【0047】
本発明の実施例に係るプリント回路基板は、熱硬化性の第1樹脂層110、熱可塑性の第2樹脂層120、熱硬化性の第3樹脂層130及び熱可塑性の第4樹脂層140が順に積層された積層体を含むことができる。一方、第1樹脂層110の下には熱可塑性樹脂層がさらに積層され、第4樹脂層140の上には熱硬化性樹脂層がさらに積層されることができる。
【0048】
熱硬化性の第1樹脂層110としては、PPE(Polyphenylene ether)系樹脂、変性ポリイミド(PI)樹脂、変性エポキシ(Epoxy)系樹脂等を用いることができる。
【0049】
第1樹脂層110の誘電正接は、0.003以下であり、好ましくは0.002以下であることができる。また、第1樹脂層110の誘電定数(Dielectric Constant、Dk)は、3.5以下であることができる。
【0050】
一方、第1樹脂層110の厚さは、10μm以上40μm以下であることができる。また、第1樹脂層110のモジュラス(modulus)は、10Gpa以下であることができる。
【0051】
熱可塑性の第2樹脂層120としては、液晶ポリマー(LCP;Liquid crystal polymer)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PPE(Polyphenylene Ether)、ポリイミド(PI)等を用いることができる。
【0052】
第2樹脂層120の誘電正接は、0.003以下であり、好ましくは0.002以下であることができる。また、第2樹脂層120の誘電定数は、3.5以下であることができる。
【0053】
一方、第2樹脂層120の厚さは、10μm以上40μm以下であることができる。第2樹脂層120の厚さは、第1樹脂層110の厚さと実質的に同一であることができるが、これに制限されない。第2樹脂層120のCTEは、18ppm/℃以下であり、溶融点は、260℃以上であることができる。
【0054】
熱硬化性の第3樹脂層130としては、PPE(Polyphenylene ether)系樹脂、変性ポリイミド(PI)樹脂、変性エポキシ(Epoxy)系樹脂等を用いることができる。
【0055】
第3樹脂層130の誘電正接は、0.003以下であり、好ましくは0.002以下であることができる。また、第3樹脂層130の誘電定数(Dielectric Constant、Dk)は、3.5以下であることができる。
【0056】
一方、第3樹脂層130の厚さは、10μm以上40μm以下であることができる。また、第3樹脂層130のモジュラス(modulus)は、10Gpa以下であることができる。
【0057】
第3樹脂層130は、第1樹脂層110と同一であることができる。
【0058】
熱可塑性の第4樹脂層140としては、液晶ポリマー(LCP;Liquid crystal polymer)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PPE(Polyphenylene Ether)、ポリイミド(PI)等を用いることができる。
【0059】
第4樹脂層140の誘電正接は、0.003以下であり、好ましくは0.002以下であることができる。また、第4樹脂層140の誘電定数は、3.5以下であることができる。
【0060】
一方、第4樹脂層140の厚さは、10μm以上40μm以下であることができる。第4樹脂層140の厚さは、第3樹脂層130の厚さと実質的に同一であることができるが、これに制限されない。また、第4樹脂層140のCTEは、18ppm/℃以下であり、溶融点は、260℃以上であることができる。
【0061】
第4樹脂層140は、第2樹脂層120と同一であることができる。
【0062】
第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面は、粗度面Aを含む。粗度面Aの凹凸によると、第1樹脂層110と第2樹脂層120とは互いに密着力を有することができる。粗度面Aの粗度Raは、0.1以上5以下であることができ、粗度Rzは、20以下であることができる。
【0063】
第3樹脂層130と第4樹脂層140との界面は、粗度面Bを含む。粗度面Bの凹凸によると、第3樹脂層130と第4樹脂層140とは互いに密着力を有することができる。粗度面Bの粗度Raは、0.1以上5以下であることができ、粗度Rzは、20以下であることができる。粗度面Bの粗度は、粗度面Aの粗度と同一であることができる。
【0064】
第2樹脂層120と第3樹脂層130との界面(A'参照)にも粗度を形成できるが、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面の粗度面Aの粗度より小さい。また、第2樹脂層120と第3樹脂層130との界面の粗度(A'参照)は、第3樹脂層130と第4樹脂層140との界面の粗度面Bの粗度より小さい。第2樹脂層120と第3樹脂層130との界面の粗度Raは、0.3以下であることができ、好ましくは0.1以下であることができる。
【0065】
これによると、積層体の隣り合っている樹脂層間の界面において、高粗度及び低粗度(または無粗度)が交互に繰り返される。
【0066】
第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面、また第3樹脂層130と第4樹脂層140との界面の粗度面A、Bの凹凸は、尖った形状を有するか、曲面を有するか、縦断面が台形形状を有するか、または縦断面が四角形形状を有することができる。
【0067】
本発明の実施例に係るプリント回路基板のビアは、隣り合っている熱硬化性樹脂層と熱可塑性樹脂層とを一括貫通する。ビアは、第1ビアV1、第2ビアV2等を含むことができる。
【0068】
第1ビアV1は、第1樹脂層110及び第2樹脂層120を一括貫通する。これにより、第1ビアV1の側面は、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面に接し、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面の粗度面Aに接することができる。
【0069】
第1ビアV1は、第1樹脂層110と第2樹脂層120とを一括貫通する第1ビアホール内に伝導性物質を充填することで形成できる。第1ビアV1は、メッキビアであることができ、メッキビアである第1ビアV1は、銅(Cu)を主成分とすることができる。
【0070】
一方、第1ビアV1は、伝導性ペーストが充填された後に溶融及び冷却されたものであることができる(
図8参照)。伝導性ペーストは、錫(Sn)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等の金属を含有するペースト、金属を含有せずに伝導性高分子で構成されたペースト等であることができる。
【0071】
第1ビアV1が伝導性ペーストを充填することで形成される場合、第1ビアV1の溶融点は、回路の溶融点よりも小さいことが可能である。
【0072】
第2ビアV2は、第3樹脂層130及び第4樹脂層140を一括貫通する。これにより、第2ビアV2の側面は、第3樹脂層130と第4樹脂層140との界面に接し、第3樹脂層130と第4樹脂層140との界面の粗度面Bに接することができる。
【0073】
第2ビアV2は、第3樹脂層130及び第4樹脂層140を一括貫通する第2ビアホール内に伝導性物質を充填することで形成できる。第2ビアV2は、メッキビアであることができ、メッキビアである第2ビアV2は、銅(Cu)を主成分とすることができる。
【0074】
一方、第2ビアV2は、伝導性ペーストが充填された後に溶融及び冷却されたものであることができる(
図8参照)。また、伝導性ペーストは、錫(Sn)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等の金属を含有するペースト、金属を含有せずに伝導性高分子で構成されたペースト等であることができる。
【0075】
第2ビアV2が伝導性ペーストを充填することで形成される場合、第2ビアV2の溶融点は、回路の溶融点よりも小さいことが可能である。
【0076】
ビアは、第1樹脂層110及び第2樹脂層120を一括貫通したり、第3樹脂層130及び第4樹脂層140を一括貫通したりするが、第2樹脂層120及び第3樹脂層130を一括貫通しない。
【0077】
この場合、ビアの横断面積がビアの下面から上面に行くほど大きくなると、ビアの熱硬化性樹脂層を貫通する部分の横断面積は、ビアの熱可塑性樹脂層を貫通する部分の横断面積より小さいことが可能である。
【0078】
すなわち、第1ビアV1の第1樹脂層110を貫通する部分の横断面積は、第1ビアV1の第2樹脂層120を貫通する部分の横断面積より小さい。第1ビアV1の横断面積は、第1ビアV1の下面から上面に行くほど大きくなることができる。
【0079】
また、第2ビアV2の第3樹脂層130を貫通する部分の横断面積は、第2ビアV2の第4樹脂層140を貫通する部分の横断面積より小さいことが可能である。第2ビアV2の横断面積は、第2ビアV2の下面から上面に行くほど大きくなることができる。
【0080】
本発明の実施例に係るプリント回路基板の回路は、ビアが一括貫通した熱硬化性樹脂層及び熱可塑性樹脂層(隣り合っている熱硬化性樹脂層と熱可塑性樹脂層)において、上記熱可塑性樹脂層の一面に形成される。回路が形成される熱可塑性樹脂層の一面は、粗度面の形成された界面の反対側に位置する。回路は、ビアが一括貫通した熱硬化性樹脂層と熱可塑性樹脂層との界面には形成されない。
【0081】
一面に回路が形成された熱可塑性樹脂層の上記一面には、粗度があり得る。すなわち、回路と熱可塑性樹脂層との界面に粗度を形成できる。熱可塑性樹脂層の回路が形成された一面の粗度は、ビアが一括貫通した熱硬化性樹脂層と熱可塑性樹脂層との界面の粗度より小さい。
【0082】
回路は、第1回路210、第2回路220、及び第3回路230等を含む。
【0083】
第1回路210は、第1樹脂層110の下面に形成される回路である。第1回路210は、第1樹脂層110の下に積層された熱可塑性樹脂層(図示せず)の上面に形成され、第1樹脂層110に埋め込まれる。
【0084】
第2回路220は、第2樹脂層120の上面に形成され、第3樹脂層130に埋め込まれる回路である。
【0085】
第3回路230は、第4樹脂層140の上面に形成され、第4樹脂層140の上に積層された熱硬化性樹脂層(図示せず)に埋め込まれる。
【0086】
第1回路210と第2回路220とは第1ビアV1を介して電気的に接続され、第2回路220と第3回路230とは第2ビアV2を介して電気的に接続されることができる。
【0087】
第1ビアV1は、第1回路210の上面及び第2回路220の下面と接触することができる。さらに、第1回路210は、端部に第1パッドを含み、第2回路220は、端部に第2パッドを含み、第1ビアV1は、第1パッドと第2パッドとの間に介在され、第1パッド及び第2パッドのそれぞれと接触することができる。
【0088】
第2ビアV2は、第2回路220の上面及び第3回路230の下面と接触することができる。さらに、第2回路220は、端部に第2パッドを含み、第3回路230は、端部に第3パッドを含み、第2ビアV2は、第2パッドと第3パッドとの間に介在され、第2パッド及び第3パッドのそれぞれと接触することができる。
【0089】
一面に第2回路220が形成された熱可塑性の第2樹脂層120の上記一面には、粗度(A'参照)があり得る。すなわち、第2回路220と熱可塑性の第2樹脂層120との界面に粗度を形成できる。第2樹脂層120の第2回路220が形成された一面の粗度(A'参照)は、第1ビアV1が一括貫通した熱硬化性の第1樹脂層110と熱可塑性の第2樹脂層120との界面の粗度面Aの粗度より小さい。
【0090】
一面に第3回路230が形成された熱可塑性の第4樹脂層140の上記一面には、粗度(B'参照)があり得る。すなわち、第3回路230と熱可塑性の第4樹脂層140との界面に粗度を形成できる。第4樹脂層140の第3回路230が形成された一面の粗度(B'参照)は、第2ビアV2が一括貫通した熱硬化性の第3樹脂層130と熱可塑性の第4樹脂層140との界面の粗度面Bの粗度より小さい。
【0091】
一方、回路は、積層体の最外層に形成される最外層回路を含み、最外層回路のうちの最上部回路は、積層体の最上層に位置する熱可塑性樹脂層の上面に外側に突出して形成される。また、最外層回路のうちの最下部回路は、積層体の最下層に位置する熱硬化性樹脂層の下面に埋め込まれる。
【0092】
積層体の両面には、最外層回路をカバーし、保護するカバー層をさらに形成することができ、このカバー層は、軟性のカバーレイ(coverlay)であり得る。軟性のカバーレイは、積層体の両面全体に形成できる。この場合、プリント回路基板は、軟性基板であることができる。
【0093】
また、軟性のカバーレイの一面に硬性の絶縁層を積層でき、硬性の絶縁層は、積層体の両面全体に形成された軟性のカバーレイの一部に積層できる。この場合、硬性の絶縁層が積層された部分は、リジッド部となり、カバーレイのみ積層され、硬性の絶縁層が積層されない部分は、フレキシブル部となって、プリント回路基板は、硬軟性基板となることができる。一方、硬性の絶縁層上には、SUS等の剛性の大きい材質からなった補強板を結合できる。
【0094】
図9は、本発明の実施例に係るプリント回路基板を製造する方法を示す図である。
【0095】
図9の(a)を参照すると、シード金属層を備えたディタッチコアDが設けられる。
【0096】
図9の(b)を参照すると、シード金属層上に第1回路210が形成される。
【0097】
図9の(c)を参照すると、シード金属層上に第1回路210をカバーする熱硬化性の第1樹脂層110が積層される。
【0098】
図9の(d)を参照すると、熱硬化性の第1樹脂層110上に熱可塑性の第2樹脂層120を積層する。熱可塑性の第2樹脂層120は、上部に銅層等の金属層Mを備えることができる。この金属層Mは、シード層の役割をすることができる。
【0099】
図9の(e)を参照すると、第1樹脂層110及び第2樹脂層120を一括貫通するビアホールVHが形成される。ビアホールVHは、レーザードリル等により形成可能である。 ビアホールVHは、第1回路210を露出させる。
【0100】
図9の(f)を参照すると、ビアホールVHの内部及び金属層M上にメッキ層が選択的に形成され、不要な金属層が除去されることにより、ビア及び第2回路220が形成される。
図9の(f)以後に、ディタッチコアDが除去される。
【0101】
一方、
図9の(d)において、第2樹脂層120の第1樹脂層110と向かい合う面に粗度が形成される。すなわち、第2樹脂層120の上部面には金属層Mが備えられ、第2樹脂層120の下部面には粗度が形成される。第2樹脂層120が第1樹脂層110に積層されるとき、第2樹脂層120の下部面の粗度により、第2樹脂層120が第1樹脂層110に積層された後、第1樹脂層110と第2樹脂層120との界面に粗度面(
図2のA)が形成される。
【0102】
図10から
図12は、本発明の実施例に係るプリント回路基板の粗度面を形成する様々な方法を示す図である。すなわち、
図10から
図12は、上記
図9の(d)で積層される第2樹脂層120の下部面の粗度を形成する様々な方法を示す図である。
【0103】
図10を参照すると、
図10の(a)に示すように、第2樹脂層120の上面には低粗度(粗度Raが0.3以下)が形成された金属層Mが付着され、第2樹脂層120の下面には高粗度(粗度Raが5以下)が形成された第2の金属層(M')が付着される。第2樹脂層120は、完全硬化状態ではなく、金属層M、M'の粗度により第2樹脂層120にも粗度が形成される。
図10の(b)に示すように、第2樹脂層120の下面に付着された第2の金属層M'をエッチングで除去すると、第2樹脂層120の下面に粗度が形成される。
【0104】
図11を参照すると、一面に低粗度金属層Mが付着された第2樹脂層120の他面にブラスト(blast)処理をする(
図11の(a)参照)ことにより、第2樹脂層120の他面に粗度が形成される(
図11の(b)参照)。ブラスト(BL)は、乾式または湿式であることができる。ブラスト処理に使用される研磨剤は、ブラスト処理後に第2樹脂層120の他面に残存することがあり、上記研磨剤を除去する水洗い過程または薬品処理過程で第2樹脂層120の他面に微細粗度がさらに形成されることがある。特に、薬品処理に使用される薬品はアルカリ性であることができる。
【0105】
図12を参照すると、一面に低粗度金属層Mが付着された第2樹脂層120の他面にバフィング(buffing)処理をする(
図12の(a)参照)ことにより第2樹脂層120の他面に粗度が形成される(
図12の(b)参照)。バフィング処理には、バフィングロール(roll)Rを用いることができ、ロールの材質、バフィングの条件等に応じて粗度の大きさや形状を調整することができる。
【0106】
以上では、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加等により本発明を様々に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものといえよう。