【解決手段】試料液SAが収容される収容空間53と、前記収容空間53内に光を入射させる光入射窓54と、前記収容空間53内を通過した光が外部へ射出される光射出窓55と、を具備する樹脂製のセルボディ5と、前記光入射窓54の外側面、及び、前記光射出窓55の外側面に形成された平滑層61と、を備えた。
試料液が収容される収容空間と、前記収容空間内に光を入射させる光入射窓と、前記収容空間内を通過した光が外部へ射出される光射出窓と、を具備する樹脂製のセルボディと、
前記収容空間に対して外側にある前記光入射窓の外側面、及び、前記収容空間に対して外側にある前記光射出窓の外側面に形成された平滑層と、を備えた測定セル。
試料液が収容される収容空間と、前記収容空間内に光を入射させる光入射窓と、前記収容空間内を通過した光が外部へ射出される光射出窓と、を具備する樹脂製のセルボディを切削加工により形成する切削工程と、
前記光入射窓の外側面、及び、前記光射出窓の外側面に平滑液を塗布して平滑層を形成する塗布工程と、を備えた測定セルの製造方法。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体製造プロセスでは薬液等の試料液に光源から光を照射するとともに、試料液を透過した光を受光器で受光することで、試料液の濃度を測定することが行われている。
【0003】
このような濃度測定を正確に行うために、試料液の流れるパイプの一部に測定セルを設け、試料液を通過する光の光路長を測定に適した値に設定している。
【0004】
ところで、特許文献1に示されるように従来の測定セルは石英やサファイアガラスといった素材で形成されることが多かったが、石英はフッ酸等の薬液で溶けてしまい、サファイアガラスは、成分にあるAl元素が薬液へ溶出する恐れがあるため、使用が控えられつつある。このため、測定セルを樹脂で形成することが試みられている。
【0005】
しかしながら、樹脂で形成された測定セルは、石英ガラスやサファイアガラスで形成された測定セルと比較して、同じ試料液を測定していても透光率が低く、測定精度を高めにくい。
【0006】
本願発明者らは、このような問題について鋭意検討した結果、樹脂で形成される測定セルは切削加工により入射窓や射出窓が形成されるため、表面粗さが石英ガラス等と比較して大きく、反射や散乱による光の損失が大きくなりやすいことを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、樹脂で形成されている場合でも入射窓や射出窓における光の反射や散乱によるロスを低減でき、吸光度に基づく測定の精度を高めることが可能な測定セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る測定セルは、試料液が収容される収容空間と、前記収容空間内に光を入射させる光入射窓と、前記収容空間内を通過した光が外部へ射出される光射出窓と、を具備する樹脂製のセルボディと、前記収容空間に対して外側にある前記光入射窓の外側面、及び、前記収容空間に対して外側にある前記光射出窓の外側面に形成された平滑層と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、例えば樹脂材を切削加工することで前記セルボディを形成し、前記光入射窓及び前記光射出窓のそれぞれの外側面における表面粗さが大きい場合でも、前記平滑層が形成されているので表面粗さを平均化し、反射や散乱による光の損失を低減できる。
【0011】
また、前記光入射窓及び前記光射出窓の内側面は試料液と接液するので、同様に表面粗さに起因する光の損失が生じにくい。
【0012】
これらのことから、本発明であれば試料液に対する耐食性を向上させ、試料液へのコンタミネーションの発生を防ぐために樹脂で前記セルボディを形成しても、光損失を低減して測定精度を高める事が可能となる。
【0013】
前記平滑層が前記光入射窓及び前記光射出窓の外側面から剥離したり、傷が発生したりするのを防ぐとともに、界面における屈折率の差を小さくすることで前記平滑層における光損失も低減できるようにするには、前記セルボディとの間に前記平滑層を挟み込む透明板をさらに備えたものであればよい。
【0014】
前記光入射窓及び前記光射出窓と前記平滑層との間の界面において光が反射するのを防ぎ、光損失を低減できるようにするには、前記平滑層と前記セルボディの屈折率の差が、前記セルボディと空気との屈折率の差よりも小さくすればよい。
【0015】
前記平滑層と前記透明板との間の界面において光が反射するのを防ぎ、光損失を低減できるようにするには、前記平滑層と前記透明板の屈折率の差が、前記平滑層と前記セルボディの屈折率の差よりも小さくすればよい。
【0016】
前記光入射窓及び前記光射出窓における光損失を低減できる好ましい態様としては、前記平滑層が、前記光入射窓及び前記光射出窓において光が通過する部分に塗布されているものが挙げられる。
【0017】
例えば試料液が流れている状態のまま測定できるようにするには、前記セルボディが、試料液を前記収容空間内に導入する導入ポートと、試料液を前記収容空間内から外部へ導出する導出ポートと、をさらに備えたものであればよい。
【0018】
本発明に係る測定セルと、前記光入射窓に光を入射させる光源と、前記光射出窓から射出される光を受光する光検出機構と、前記光検出機構の出力に基づいて、試料液の濃度を算出する濃度算出部と、を備えた濃度測定装置であれば、測定セルにおいて試料液と接液する部分は樹脂で形成されているので、試料液に対して溶出等によるコンタミネーションを起こすことがない。
【0019】
本発明に係る測定セルの製造方法は、試料液が収容される収容空間と、前記収容空間内に光を入射させる光入射窓と、前記収容空間内を通過した光が外部へ射出される光射出窓と、を具備する樹脂製のセルボディを切削加工により形成する切削工程と、前記光入射窓の外側面、及び、前記光射出窓の外側面に平滑液を塗布して平滑層を形成する塗布工程と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
このような製造方法であれば、樹脂製のセルボディを切削加工で形成しても、平滑液により前記光入射窓と前記光射出窓の外側面に面粗さを小さくできる。この結果、前記光入射窓に光が入射する際、及び、前記光射出窓から光が射出される際に光が反射又は散乱されにくくなる。したがって、前記セルボディに試料液に対する耐食性や試料液への汚染防止機能を付与しながら、例えば吸光分析等に測定セルとして必要とされる光の透過性を確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明に係る測定セルであれば、樹脂で形成された前記セルボディを備えているので、試料液に対する耐食性や試料液への汚染防止機能を実現することができる。また、前記平滑層が前記光射出窓及び前記光入射窓のそれぞれの外側面に設けられているので、表面粗さに起因する光の反射や散乱を低減し、測定セルとして要求される透光性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1実施形態における測定セル100、及び、その測定セル100を用いた濃度測定装置200について
図1乃至
図2を参照しながら説明する。なお、分かりやすさのため測定セル100の横断面をXY平面、測定セル100の軸方向であり、試料液SAの流れる方向をZ軸として定義する。
【0024】
図1に示される濃度測定装置200は、例えば半導体製造プロセスにおいてチャンバ等に供給される薬液等の試料液SAの濃度を測定するために用いられるものである。この濃度測定装置200は、試料液SAが流れるパイプ(図示しない)の一部を測定セル100に置き換え、その測定セル100に対して光を照射し、測定セル100内を通過する試料液SAの吸光度を測定することでその濃度を測定できるように構成されている。なお、第1実施形態において濃度の測定対象となる試料液SAは例えば温度が160℃近傍に達するリン酸である。
【0025】
具体的には濃度測定装置200は、パイプに対して取り付けられる筐体1内に測定セル100、及び、複数の光学機器が配置、収容されたものである。この筐体1はパイプに対して着脱可能に構成されている。
【0026】
この筐体1には、
図1に示すように概略コの字状に形成される測定用の光路上には、光源2、視準用レンズ3、入射側ミラー4、測定セル100、射出側ミラー7、集光用レンズ8、光検出機構9が配置されている。
【0027】
また、
図1に示すように入射側ミラー4、及び、射出側ミラー7の位置は測定用の光路が形成されるサンプル位置Sと、リファレンス用の光路が形成されるリファレンス位置Rとの間で変更可能に構成されている。リファレンス位置Rに入射側ミラー4及び射出側ミラー7が配置されている場合には、光源2から射出される測定光は、測定セル100の代わりにリファレンスRFを通って光検出機構9に入射する。
【0028】
この筐体1がパイプに取り付けられることによって、光源2、視準用レンズ3、集光用レンズ8、光検出機構9は測定セル100に対する位置が予め定められた所定位置に固定される。
【0030】
光源2は例えばLEDであり、所定の波長域の光からなる測定光を射出するものである。また、LEDが収容されたランプボックスは筐体1に対して固定されている。
【0031】
視準用レンズ3は、両凸の球面レンズであり、光源2から射出された光を平行化するものである。視準用レンズ3で平行化された光は入射側ミラー4によって反射され、測定セル100に対して入射する。
【0032】
集光用レンズ8は、両凸の球面レンズであり、測定セル100から射出され、射出側ミラー7で反射された測定光が入射し、例えば光検出機構9に形成されたスリットに集光する。
【0033】
光検出機構9は、スリットから入射した測定光を分光する分光器(図示しない)と分光された測定光のうち、測定対象となる流体Fの吸収波長帯の光が照射される位置に設けられた光検出器(図示しない)とを備えたものである。光検出器は入射する光の強度に応じた電圧を出力する。この光検出機構9も筐体1に対して固定されている。
【0034】
筐体1の外側には、光検出機構9の出力に基づいて試料液SAの濃度を算出する濃度算出部10が設けられる。この濃度算出部10は、CPU、メモリ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ等の入出力機器を備えたいわゆるコンピュータによってその機能が実現される。すなわちメモリに格納されているプログラムが実行され、各種機器が協業することにより濃度算出部10としての機能が実現される。濃度算出部10で算出された濃度値は、濃度測定装置200以外の例えば濃度制御装置等の他機器に送信され使用される。
【0035】
濃度算出部10は、測定用の光路を通過した測定光の強度と、リファレンス用の光路を通過した光の強度の比に基づいて、吸光度を算出し、吸光度の対数を算出することで測定対象となる試料液SAの濃度を算出する。
【0036】
次に測定セル100の詳細について説明する。
【0037】
測定セル100は、
図2に示すように概略直方体形状をなすものであり、PFA樹脂を切削加工して形成されたものである。この測定セル100は、セルボディ5と、セルボディ5の側面に対して取り付けられる一対の透明板62と、セルボディ5と透明板62との間に設けられる平滑層61とを備えている。
【0038】
セルボディ5は、
図2(b)に示すように内部に試料液SAが収容される収容空間53が形成されたものである。この収容空間53はPFAブロックをエンドミル加工等の切削加工によって概略直方体形状に形成されたものである。この収容空間53に連通するようにセルボディ5の一方の端面にはパイプと接続されて試料液SAが導入される導入ポートP1が形成される。また、セルボディ5の他方の端面にはパイプと接続されて収容空間53内の試料液SAが外部に導出される導出ポートP2が形成される。すなわち、
図2(a)に示すようにセルボディ5は、収容空間53となる空洞を有する概略四角筒状の本体部51と、本体部51の両端開口をそれぞれ塞ぎ、導入ポートP1及び導出ポートP2をそれぞれ形成する一対の蓋体52と、からなる。一対の蓋体52は本体部51に対して樹脂溶接により固定され、内部に収容空間53が形成される。このようにして、セルボディ5内に試料液SAが収容される収容空間53を形成しつつ、Oリングによるシールを必要としない構造を実現している。
【0039】
図2(b)に示すようにセルボディ5の側面部の厚みは均一ではなく、測定光の光路と直交する一対の側面は他の側面よりも薄く形成されている。すなわち、薄く形成された一対の対向する平行な側面がセルボディ5における光入射窓54、光射出窓55である。光入射窓54と光射出窓55において試料液SAと接液するそれぞれの内側面の距離は測定対象となる試料液SAの濃度を測定するのに適した値に設定されている。また、PFAブロックを切削加工する際にセルボディ5の外側面、特に光入射窓54及び光射出窓55の双方の外側面についても削り出されている。このため、光入射窓54及び光射出窓55の外側面は、例えば石英ガラスやサファイアガラスで形成された場合と比較して、表面粗さが大きい。
【0040】
光入射窓54の外側面、及び、光射出窓55の外側面のそれぞれには少なくとも測定光が通過する部分を含むように平滑液が塗布されて平滑層61が形成されている。ここで、第1実施形態では平滑液は例えば透明の接着剤であり、具体的にはアクリル系接着剤である。つまり、平滑層61は、光入射窓54及び光射出窓55のそれぞれの外側面に透明板62を接着している。ここで、光入射窓54、光射出窓55の外側面、内側面とは収容空間53を基準として外側、内側が定義される。すなわち、収容空間53に対して外側にあるのが外側面であり、収容空間53に対して内側にあるのが内側面である。なお、平滑液は少なくとも塗布時において液状のものであり、所定時間経過に固化するものであってもよい。また、平滑液は所定の粘度を有しており、所定時間経過した後に固化しなくても前記光入射窓の外側面、前記光射出窓の外側面に留まり続ける事が可能なものであってもよい。
【0041】
平滑層61の屈折率は、空気の屈折率(1.00)よりもセルボディ5を形成するPFAの屈折率(1.34)に近い値のものが選択されている。例えばアクリル系接着剤で屈折率が1.34のものが選択されている。すなわち、平滑層61の屈折率とセルボディ5の屈折率の差は、平滑層61の屈折率と空気の屈折率の差よりも小さい。
【0042】
このような平滑層61が設けられることによる作用効果について説明する。平滑層61が光入射窓54の外側面、及び、光射出窓55の外側面のそれぞれにおける隙間に入りこみ、各外側面の表面粗さを小さくできる。この結果、測定光が反射又は散乱される方向を限定できる。さらに平滑層61と光入射窓54及び光射出窓55との界面における屈折率の差についても直接空気に接する場合と比較して小さくできる。この結果、界面において反射又は散乱される測定光の割合を低減できる。これらの作用により、平滑層61が設けられず、各外側面が空気と接する場合と比較して、平滑層61と光入射窓54及び光射出窓55の界面における測定光の反射及び散乱により、光検出機構9に到達できない測定光を減らすことができる。これは、例えばすりガラス単体では不透明に見えるのに対して、すりガラス上に液体や透明テープを設けると、その部分が透明になり透光性が改善されるのと同様の原理である。
【0043】
透明板62は、PMMA樹脂で形成されたものであり、光入射窓54及び光射出窓55のそれぞれの外側面に設けられた平滑層61を保護する役割を果たすものである。また、透明板62が平滑層61上に設けられることで、その部分を平坦にして表面粗さを小さくしている。さらに、PMMA樹脂の屈折率は1.48であるため、平滑層61と透明板62の屈折率の差は、平滑層61とセルボディ5の屈折率の差よりも小さい。また、平滑層61と透明板62の屈折率はほぼ同じ値であるため、平滑層61と透明板62との間の界面での測定光の反射又は散乱を低減することができる。第1実施形態ではセルボディ5の本体部51の側面から外側へ突出した状態で透明板62は固定される。
【0044】
このように構成された第1実施形態の測定セル100及び濃度測定装置200によれば、切削加工により形成された粗い表面を有する光入射窓54及び光射出窓55の各外側面に対して、平滑層61が形成されているので、表面粗さを低減するとともに、界面における屈折率の差も小さくできる。この結果、平滑層61から光入射窓54に測定光が入射する際や、光射出窓55から平滑層61に測定光が射出される際の反射や散乱による光損失を低減できる。
【0045】
したがって、光検出機構9により検出される光量を大きくして濃度の測定精度を高めることができる。
【0046】
また、樹脂で形成されたセルボディ5を備えているので、例えば高温のリン酸のような試料液SAに対する耐食性を実現できる。
【0047】
さらに、セルボディ5を形成するPFA樹脂性の各部材は樹脂溶接により固定されて、収容空間53が形成されているのでOリングによるシールを形成する必要がない。このため、試料液SAがOリングに接触し劣化することでシールが破られて、高温の試料液SAが外部に漏出するといった事態を防ぐことができる。
【0048】
加えて、測定セル100において試料液SAと接触するのは樹脂で形成された部材だけなので、例えばサファイアガラスが用いられた場合のように、成分中の金属が試料液SAに溶出し、コンタミネーションが発生することもない。
【0049】
次に本発明の第2実施形態における測定セル100について
図3を参照しながら説明する。なお、第1実施形態において説明した部材に対応する部材には同じ符号を付すこととする。
【0050】
第2実施形態の測定セル100は、セルボディ5の本体部51の側面に透明板62が収容される一対の凹部が形成されており、一対の透明板62が各凹部内で固定されて本体部51と面一となるように構成されている。
【0051】
具体的には、各凹部は本体部51の軸方向、すなわち、試料液SAの流れる方向に沿って伸びる横断面が長方形状の溝であり、透明板62がちょうど嵌合するように形成されている。
【0052】
このようなものであれば、凹部を形成することにより本体部51において光入射窓54及び光射出窓55が形成される側面の厚みを小さくできる。このため、光入射窓54内及び光射出窓55内において測定光が減衰するのを最小限に抑える事が可能となる。
【0053】
また、本体部51と透明板62が面一となり1つの平面をなすので、第1実施形態よりも透明板62が何かに引っかかって外れてしまうのを防ぐことができる。
【0054】
第2実施形態の測定セル100の変形例について説明する。透明板62が嵌め込まれる凹部の延びる方向については
図4に示すように本体部51の周方向であっても構わない。
【0055】
次に第3実施形態における測定セル100について
図5を参照しながら説明する。なお、第1実施形態において説明した部材に対応する部材には同じ符号を付すこととする。また、
図5において光入射窓54及び光射出窓55の表面粗さが大きいことを示すために表面を強調して表示している。
【0056】
第3実施形態の測定セル100は、収容空間53をエンドミル加工で形成するのではなく、例えばドリル加工のみで形成できるようにしたものである。また、光入射窓54及び光射出窓55については本体部51とは別体として形成されている。
【0057】
すなわち、収容空間53は直方体形状の樹脂ブロックについて一対の端面を貫通するように軸方向の延びる第1穴と、第1穴に対して直交するように樹脂ブロックの一対の側面間を貫通する第2穴とで形成されている。また、第2穴の開口部分には、光入射窓54、光射出窓55、及び、透明板62が収容される凹部がそれぞれエンドミル加工により形成される。
【0058】
この凹部の底面にはまずOリング63が配置され、そのOリング63を押しつぶすように光入射窓54、光射出窓55が挿入される。その後、光入射窓54及び光射出窓55の外側面には平滑液が塗布され、その上から透明板62が本体部51と面一となるように被せられ固定される。
【0059】
このように構成された第3実施形態の測定セル100であれば、単純な切削加工のみで第1実施形態とほぼ同様の機能を実現できる。
【0060】
次に第3実施形態の変形例について
図6を参照しながら説明する。なお、
図6において光入射窓54及び光射出窓55の表面粗さが大きいことを示すために表面を強調して表示している。
【0061】
第3実施形態ではOリング63を用いてシールを形成していたが、
図6に示すように凹部から光入射窓54及び光射出窓55の一部が突出するようにし、その突出している部分の周囲を樹脂溶接することで収容空間53が密閉されるようにしてもよい。
【0063】
平滑層については、接着剤で形成されるものに限られず、例えば水等の液体であっても構わない。すなわち、平滑液は光入射窓及び光射出窓の外側面において隙間等に入り込み、平滑面を形成できるものであればよい。また、平滑液は接着剤のように固化するものに限られず、流動可能な状態が維持されるものであってもよい。このような平滑液の場合には光入射窓と透明板の間に密閉空間が形成されて、平滑液が外部へ漏出しないように構成すればよい。
【0064】
さらに平滑液が所定の粘度を有している場合には、透明板を設けていなくても良い。また、透明板については樹脂で形成されるものに限られず、石英ガラスやサファイアガラスであってもよい。透明板は、光入射窓及び光射出窓の外側面に設けられるので、試料液と接触することはないので、これらのような材料で形成しても試料液にコンタミネーションが発生することはない。
【0065】
セルボディ、透明板を形成する樹脂については実施形態に例示したものに限られず、その他の種類のものであってもよい。また、測定セルは濃度測定に用いられる物に限られず、例えば吸収スペクトルに基づく成分分析を行うために用いても構わない。
【0066】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて各実施形態の一部を変形したり、各実施形態の一部同士を組み合わせたりしても構わない。