【課題】光パターンのディフォーカスの量と方向の判定結果に基づいて、合焦位置の移動方向を確定し、カメラモジュールの調整時間を短縮可能なカメラモジュール調整方法及びカメラモジュール調整装置を提供する。
【解決手段】カメラモジュール調整装置10において、光源の出射光を平行光線である第1の光パターンに変換するパターン11cを備え、パターンの垂直軸は、所定の角度傾斜し、カメラモジュールは、平行光線を光軸上に存在する合焦位置に集光するカメラレンズ12aと、カメラレンズによって、平行光線が結像された第2の光パターンが形成される撮像素子12bと、を備え、撮像素子から出力された第2の光パターンの画像データを解析し、第2の光パターンのディフォーカス量とディフォーカス量の方向を測定し、ディフォーカス量に基づいて、撮像素子の移動方向及び移動量を確定する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラモジュールなどの画像入力装置の製造工程において、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等で構成される撮像素子とレンズユニットとのフォーカス調整が行われている。カメラモジュールは、撮像素子が実装された基板と撮像用のレンズユニットとを一体化した部品(デバイス)であって、デジタルカメラは勿論のこと、カメラ機能付きの各種携帯型電子機器(例えば、携帯電話、携帯型PC、PDA等)に搭載されている。カメラモジュールを製造する際には、撮像素子の撮像面(受光面)にフォーカスの調整をしながらレンズユニットを保持し、フォーカスの調整がなされた状態でレンズユニットと基板とを一体として固定化することが知られている。そのような技術については、例えば、特開2003−315650号公報(特許文献1)、及び特開2002−267923号公報(特許文献2)には、チャート部を有するテストチャート(チャート紙)を用い、レンズユニットを移動させながら、テストチャートを撮像し、撮像されたデータからMTF(Modulation Transfer Function)を算出することによって、最適なフォーカス位置を検出する技術が開示されている。
【0003】
ここで、従来のカメラモジュール調整装置100の模式図の一例を
図1に示す。
図1に示すように、カメラモジュール調整装置100は、コリメート光源101、カメラモジュール102、画像処理部103、制御部104及びZステージ105から成る。また、カメラモジュール102は、カメラレンズ102a及び撮像素子102bより成る。
【0004】
さらに、カメラモジュール調整装置100の各構成の働きと各構成間の関係について簡単に説明する。
【0005】
まず、コリメート光源101は、テスト用パターン(2次元の光パターン)をカメラモジュール102に投射する。
【0006】
次に、撮像素子102bは、カメラレンズ102aによって結像された光パターンを電気信号で変換し、画像処理部103に出力する。
【0007】
カメラレンズ102aの位置を調整して固定する前の段階では、撮像素子102bに対するカメラレンズ102aの光軸方向の位置は、一般的には、的確に設定されていない。このため、この段階では、光パターンの像は、カメラモジュール102のディフォーカス状態によりピンボケ画像となっている。ディフォーカス量(例えば、撮像素子102bがカメラレンズ102aの合焦位置に近いほど、0(ゼロ)に近づく評価値)を評価するため、受光したピンボケした光パターン画像の特徴を評価して、ディフォーカス量を減少させて、ジャストピント状態である、略ディフォーカス量が0(ゼロ)になるように制御を行う。
【0008】
すなわち、画像処理部103は、光パターンを示す電気信号(画像信号)を変換した画像データに基づいて、ディフォーカス量を算出する。そして、画像処理部103は、撮像素子102bから送信された画像信号を解析して、合焦の度合いを判定するものである。
【0009】
さらに、画像処理部103による画像信号の解析処理に続いて、画像処理部104は、ディフォーカス量に基づいて、Zステージ105の高さを制御する制御指令値を算出し、Zステージ105に出力する。
【0010】
最後に、Zステージ105は、制御指令値に基づいて撮影素子102bの高さを調整する。
【0011】
以上のような動作を経て、カメラモジュール102内のカメラレンズ102aと撮影素子102bとの距離を調整する。
【0012】
次に、コリメータ光源101の詳しい光学的な構造、及びカメラモジュール100内の光線の光路を、
図2を用いて説明する。
【0013】
コリメータ光源101は、光源101a、拡散板101b、光透過パターン(以下、単に「パターン」又は「レクチル」と称する。)101c、及びコリメータレンズ101dから成る。
【0014】
まず、光源101aから出射した光は、拡散板101bによって、均一な拡散光に変換される。
【0015】
パターン101cは、拡散光を透過する開口部(又は、透過部)H
0と、拡散光を透過させずに遮断する遮光部とで分割された2次元パターンを有している。パターン101cの略中央にピンホール状の開口部H
0が穿設されており、拡散板101bを通った光の一部が、開口部H
0を透過することができる。例えば、パターン101cの簡単な例は、半径rの円形の開口を挙げることが出来る。拡散光の一部は、パターン101cの開口部H
0を透過して、コリメータレンズ101dに入射する。
【0016】
次に、コリメータレンズ101dは、パターン101cからコリメータレンズ101dの焦点距離f
Lだけ離れて配置される。このため、コリメータレンズ101dは、入射した光を平行光線に変換した光線をカメラモジュール102に出射する。そして、コリメータレンズ101dを出射した平行な光線は、カメラレンズ102aに入射する。
【0017】
また、撮像素子102bは、カメラレンズ102aの焦点距離f
Cだけ離れて配置される。
【0018】
ここで、ディフォーカス量及びディフォーカス量の符号について以下のように補足する。後述するようにディフォーカス量をΔで表わすと、ディフォーカス量Δの大きさは|Δ|で表される。また、開口部101cからの光線(被写体)の結像位置が撮像素子102b面の上(手前)に位置している状態(以下、「前ピン状態」と称する。)には、ディフォーカス量の符号は負とする(Δ<0)。逆に、開口部101cからの光線の結像位置が撮像素子面より下(奥)に位置している状態(以下、「後ピン状態」と称する。)の場合では、ディフォーカス量の符号は正(プラス)とする(Δ>0)。開口部101cからの光線の結像位置が撮像面に位置している状態、即ち、合焦状態である場合には、ディフォーカス量Δは0である。
【0019】
また、カメラモジュール102の調整後において、カメラレンズ102aによって、撮像素子102bの受光面に合焦した(ピントが合った)像が結ばれた様子を
図3に示す。また、撮像素子102bの受光面に合焦した(ピントが合った)像を
図4に示す。
図4が示すように、画面中央には、小さい直径D1の光スポットが観測される。そして、撮像素子102bの受光面に合焦した(ピントが合った)像を示す状態を「Just」と呼ぶ。なお、このときのディフォーカス量Δは、ゼロである。
【0020】
次に、カメラモジュール102の調整が必要な状態で、カメラレンズ102aを透過した光による、撮像素子102bの受光面における合焦位置Gが届かない(ピントが合っていない)様子を
図5に示す。すなわち、撮像素子102bの受光面に合焦位置Gが届かない(ピントが合っていないディフォーカス状態の)像を
図6に示す。
図6が示すように、画面中央には、D1より大きい直径D2(>D1)の光スポットが観測される。そして、撮像素子102bの受光面に合焦位置Gが届かない(ピントが合っていない)ディフォーカス状態、すなわち合焦位置Gが、撮像素子102bから見て、カメラレンズ102aの側に位置する状態を「Far」と呼ぶ。なお、このときのディフォーカス量Δの符号は、負(マイナス)である。
【0021】
また、合焦位置Gが撮像素子102bから見て、カメラレンズ102の反対側に位置する(ピントが合っていない)ディフォーカス状態の様子を、
図7に示す。すなわち、合焦位置Gが撮像素子102bから見て、カメラレンズ102の反対側に位置する(ピントが合っていない)ディフォーカスの状態の像を
図8に示す。
図8が示すように、画面中央には、D1より大きい直径D3(>D1)の光スポットが観測される。そして、合焦位置Gが撮像素子102bの受光面を通り過ぎて、撮像素子102bの下に位置している(ピントが合っていない)ディフォーカスの状態、すなわち合焦位置Gが、撮像素子102bから見て、カメラレンズ102aの反対側に位置する状態を、「Far」に対して、「Near」と呼ぶ。なお、このときのディフォーカス量Δの符号は、正(プラス)である。
【0022】
カメラモジュール102のカメラレンズ102aと撮像素子102bとの距離を調整する場合、通常、「Near」又は「Far」を検出した状態から、「Just」を検出する状態となるように、Zステージを上下に移動させるように調整が行われる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係るカメラモジュール調整装置は、パターン又はレクチルを光軸に対して傾斜させて、撮像素子に結像させた光パターンの画像データを解析して、光パターンの結像のディフォーカス量Δ、並びにその方向又は符号(合焦位置Gが「Near」又は「Far」のいずれであるか)を判定し、その判定結果に基づいて合焦位置Gの移動方向を確定することによって、カメラレンズと撮像素子との距離の調整回数を略一回で済ますことができるという格別の効果を奏する。
【0035】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0036】
[第1の実施形態]
<カメラモジュール調整装置の構成と合焦位置の判定方法>
最初に、本発明の第1の実施形態の原理に関して、
図9を用いて説明する。
図9が示すように、第1の実施形態に係るカメラモジュール調整装置10は、
図2に示すような従来のカメラモジュール調整装置100に対して、パターンを光軸に対して傾斜し、複数の開口部を穿設した点で相違するが、その余の点で略同じである。なお、第1の実施形態に係るカメラモジュール調整装置10と、
図1及び2に示すような従来のカメラモジュール調整装置とで共通する構成要素については説明を省略するが、第1の実施形態に係るカメラモジュール調整装置10の構成要素は、従来のカメラモジュール調整装置100の構成要素と明確に区別するため、異なる符号を付している。
【0037】
まず、コリメータ光源11及びカメラモジュール12の光学的な構造及び光路を
図9に示す。なお、第1の実施形態に係るカメラモジュール調整装置10におけるパターン11cは、
図10に示すように、3つの開口部を備えており、それら3つの開口部は、略同一の直径D
patternを有し、一直線状に連なっている。具体的には、コリメータレンズ11dに最も近い開口部H
Near、コリメータレンズ11dの丁度焦点距離f
Lだけ離れ、光軸上に位置する開口部H
Just、及びコリメータレンズ11dに最も遠い開口部H
Farである。
【0038】
また、開口部H
Near、開口部H
Just、及び開口部H
Farから発せられる光線の経路は、それぞれ(光路)L
Near、光線(光路)L
Just、及び光線(光路)L
Far、として、模式的に
図9に示す。
【0039】
本発明の第1の実施形態に係るカメラモジュール調整装置10におけるコリメータ光源11は、光源11a、拡散板11b、パターン11c、及びコリメータレンズ11dから成り、前述の従来のカメラモジュール調整装置100における構成と対応するものである。
【0040】
しかしながら、パターン11cが光軸に対して傾斜しているため、開口部H
Near、開口部H
Just、及び開口部H
Farとコリメータレンズ11dとの距離は、それぞれ異なる。このため、カメラモジュール12において、3つ開口部を透過した光線は、カメラレンズ12aから異なる距離で合焦する。すなわち、
図9に示すように、開口部H
Near、開口部H
Just、及び開口部H
Farから出射した光線は、それぞれ異なる光路を通って、異なる合焦位置G
Far、合焦位置G
Just、及び合焦位置G
Nearで結像する。
【0041】
次に、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離が、ピントが合っている距離より近い場合のそれぞれの位置関係を
図11に示す。
図11が示すように、合焦位置G
Nearは、撮像素子12bの受光面に略位置しており、合焦位置G
Justは、撮像素子12bの下面に位置しており、合焦位置G
Farは、撮像素子12bから離れた下側に位置している。撮像素子12bの受光面における、開口部H
Near、開口部H
Just、及び開口部H
Farを出射した光線の各光スポットの様子を
図12に示す。
図12が示すように、開口部H
Near、開口部H
Just、及び開口部H
Farを出射した光線の各光スポットの直径は、それぞれ直径D
Near、直径D
Just、及び直径D
Farとして観測される。このように、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離が、ピントが合っている距離より近い場合には、直径D
Near<直径D
Just<直径D
Farの大小関係が観測される。
【0042】
次に、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離が、ピントが合っている距離より遠い場合における、合焦位置G
Near、合焦位置G
Just、及び合焦位置G
Farの位置関係を
図13に示す。
図13が示すように、合焦位置G
Farは、撮像素子12bの受光面に略位置しており、合焦位置G
Justは、撮像素子12bから離れた上方に位置しており、合焦位置G
Nearは、合焦位置G
Justよりも撮像素子12bから離れて位置している。また、撮像素子12bの受光面における、開口部H
Near、開口部H
Just、及び開口部H
Farを出射した光線の各光スポットの様子を
図14に示す。
図14が示すように、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離が、ピントが合っている距離より遠い場合には、直径D
Near>直径D
Just>直径D
Farの大小関係が観測される。そして、直径D
Near、直径D
Just及び直径D
Farの大小関係に関して、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離が、ピントが合っている距離より遠い場合と、近い場合とでは逆である。
【0043】
従来のカメラモジュール調整装置100では、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離が、ピントが合っている距離より近い場合でも、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離が、ピントが合っている距離より遠い場合でも、
図3〜6が示すように、光スポットの直径の差分として観測されなかった。
【0044】
しかしながら、第1の実施形態に係るカメラモジュール調整装置10では、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離が、ピントが合っている距離より近いのか或いは遠いかを、直径D
Near、直径D
Just及び直径D
Farの大小関係を観測することにより、容易に判定できるという格別の効果を奏する。
【0045】
さらに、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離が、ピントが略合っている場合、合焦位置G
Near、合焦位置G
Just、及び合焦位置G
Farの位置関係を
図15に示す。
図15が示すように、合焦位置G
Justは、撮像素子12bの受光面に略位置しており、合焦位置G
Nearは、撮像素子12bの上方に位置している。一方、合焦位置G
Farは、撮像素子12bの下方に位置している。撮像素子12bの受光面における、開口部H
Near、開口部H
Just、及び開口部H
Farを出射した光線の各光スポットの様子を
図16に示す。
図16が示すように、カメラレンズ12aと撮像素子12bとのピントが略合っている場合には、直径D
Near〜直径D
Far>直径D
Justの大小関係が観測される。
【0046】
また、第1の実施形態に係るカメラモジュール調整装置10では、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離が、ピントが合っていることが、各開口部を出射した光線の各光スポットの直径の大小関係、すなわち直径D
Nearと直径D
Farとが略等しく、直径D
Justは、直径D
Nearと直径D
Farより小さいという特別な序列として、検知されるという格別の効果を奏する。
【0047】
<カメラモジュール調整装置の調整フロー>
次に、カメラモジュール調整装置の動作フロー10について、
図17に示すフローチャートを用いて説明する。
【0048】
まず、カメラモジュール12を所定位置に設置する(ステップS10)。
【0049】
次に、光源11aをONにして、光線をカメラモジュール12に照射する(ステップS20)。
【0050】
続いて、撮像素子12bが画像信号を画像処理部13に出力する(ステップS30)。
【0051】
次に、画像処理部13は、光パターンを示す画像信号(電気信号)を変換した画像データを解析し、各光スポットの直径を算出する(ステップS40)。
【0052】
また、各光スポットの直径の大小関係に基づいて、ディフォーカス量Δ(例えば、撮像素子12bがカメラレンズ12aの合焦位置に近いほど、0(ゼロ)に近づく評価値)を、画像処理部13は算出する(ステップS40)。
【0053】
次に、カメラレンズ12aに対して、撮像素子12bが「Near」の関係にあるか否かを、各光スポットの直径の大小関係に基づくディフォーカス量Δを用いて、画像処理部13は判定する(ステップS50)。ここで、ステップS50における判定結果がYesであるならば、カメラレンズ12aを撮像素子12bから遠ざけるように、制御指令値ステップを負の値(<0)に設定する(ステップS60)。また、ステップS50における判定結果がNoであるならば、後述するステップS80に進む(ステップS50)。
【0054】
そして、制御指令値ステップに基づいて、制御部14はZ軸ステージ15を駆動する(ステップS70)。
【0055】
次に、カメラレンズ12aに対して、撮像素子12bが「Far」の関係にあるか否かを、各光スポットの直径の大小関係に基づくディフォーカス量を用いて、画像処理部13は判定する(ステップS80)。
【0056】
そして、ステップS80における判定結果がYesであるならば、カメラレンズ12aを撮像素子12bから近づけるように、制御指令値ステップを正の値(>0)に設定する(ステップS90)。
【0057】
そして、制御指令値ステップに基づいて、制御部14はZ軸ステージ15を駆動する(ステップS70)。
【0058】
また、ステップS80における判定結果がNoであるならば、後述するステップS100に進む(ステップS100)。
【0059】
次に、カメラレンズ12aに対して、撮像素子12bが「Just」の関係にあるか否かを、各光スポットの直径の大小関係に基づくディフォーカス量Δを用いて、画像処理部13は判定する(ステップS100)。ここで、ステップS100における判定結果がNoであるならば、前述したステップS30に戻る(ステップS100)。また、ステップS100における判定結果がYesであるならば、ステップS10において設置したカメラモジュール12を調整する処理を終了する。
【0060】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係るカメラモジュール調整装置20について、
図18〜24に示して説明する。
【0061】
第2の実施形態に係るカメラモジュール調整装置20は、第1の実施形態に係るカメラモジュール調整装置10に対して、カメラモジュール調整装置の光学部品の光学パラメータ(仕様)並びに光学部品間の配置及び距離を用いて、ディフォーカス量Δ及びボケ量W(例えば、光スポットの広がり幅、又は直径)を算出する点が異なっているが、その他の構成は略同じである。このため、第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
まず、ディフォーカス量Δとボケ量Wとの関係を
図18及び
図19に示す。
図18では、撮像素子12bとカメラレンズ12aとの間に焦点Gが位置することによって、撮像素子12b上に、ボケ量Wの光スポットが照射される様子を示している。なお、カメラレンズ12aの焦点Gが撮像素子12bより前の位置にある状態、すなわち「前ピン状態」であるから、このときのディフォーカス量Δは負の値である。また、
図19では、カメラレンズ12aと焦点Gとの間に撮像素子12bが位置することによって、撮像素子12b上に、ボケ量Wの光スポットが照射される様子を示している。なお、カメラレンズ12aの焦点Gが撮像素子12bより後の位置にある状態、すなわち「後ピン状態」であるから、このときのディフォーカス量Δは正の値である。
図18及び
図19に示す光路から、ボケ量Wとディフォーカス量Δの絶対値は略比例の関係にある。したがって、ボケ量Wに対応する物理量(例えば、光スポットの直径、輝度、輝度分布の形状又は輝度分布の変化等)を測定することによって、ディフォーカス量Δ及びその符号を見積もることができる。
【0063】
次に、パターン(レクチル)11c’を正面から見た様子を
図20に示す。
図20が示すように、パターン(レクチル)11c’には、略長方形の複数の開口部11c−A、11c−B、11c−C、11c−D、11c−E(以下、11c−A〜11c−Eと略記する)が穿設されている。
【0064】
次に、光軸ALに対してパターン(レクチル)11cの傾斜する様子を
図21に示す。
図21に示すように、パターン(レクチル)11c’が光軸ALの垂直面に対して傾斜する角度を、傾き角θとして定義する。
【0065】
そして、コリメート光源11とカメラモジュール12との結像関係又は光学素子の位置を示すために、
図21の右上に示すような直交座標(XYZ直交座標系)を設定する。その際、Z軸は、光軸ALに平行に設定される。また、X−Y平面は、Z軸に対し垂直に設定される。また、X−Y平面に対する傾き角は、θとする。なお、X軸は、紙面に垂直方向に設定され、Y軸は、紙面に平行に、X軸及びY軸に垂直に設定される。
【0066】
また、前述したように、パターン(レクチル)11c’は略長方形の開口部11c−Aが穿設されている。このため、パターン(レクチル)11c’が、X−Y面上に配置されている場合、開口部11d’はX−Y面上に配置される。
【0067】
一方、パターン(レクチル)11c’を傾き角θだけ傾斜させた場合、X軸に平行な回転中心軸Oに配置された開口部11c−Aの回転軸は、略不動であるが、
図20に示すように、回転中心軸Oから離れた開口部11c−B及び11c−Cは、X−Y平面から距離dだけ離れる。そして、パターン11c’の中央部の開口部11c−Aは、パターン11c’が回転した場合でも、その回転中心は、回転中心軸上Oに存在する。さらに、コリメータレンズ11dは、回転中心軸Oからコリメータレンズ11dの焦点距離f
Lだけ離れて配置されている。このため、パターン11cの中央部の開口部11c―Aを透過した光線(光路)L
Justは、パターン11c’の傾き角θに依存せず、コリメータレンズ11dによって、略平行光線に変換される。
【0068】
一方、パターン11cの中央部から離れた開口部11c−Bは、パターン11c’が回転した場合、前述のように、Z軸のプラス方向にX−Y平面から距離dだけ離れる。また、パターン11c’の回転中心軸Oからもう片方の開口部11c−Cは、パターン11c’が回転した場合、前述のように、Z軸のマイナス方向にX−Y平面から距離dだけ離れる。
【0069】
このため、パターン11c’の傾きに応じて、コリメータ11dの焦点距離f
Cより近い開口部11c−Bを透過した光線(光路)L
Nearは、コリメータレンズ11dの焦点距離f
Cより遠い開口部11c−Cを透過した光線(光路)L
Farは、コリメータレンズ11dを透過しても、平行光線ではなく、若干拡散した光線として出射する。また、パターン11c’の回転中心Oから離れた開口部11c−Bを透過した光線(光路)L
Farは、コリメートレンズ11dを透過しても、平行光線ではなく、若干集束した光線として出射する。このようにして、回転中心Oから離れた開口部11c−B及び11c−Cを透過した光線は、パターン11c’の傾き角θに応じて、若干拡散又は集束した光線として出射する。
【0070】
次に、開口部11c−A、11c−B及び11c−Cを透過した光線、すなわち光線(光路)L
Just、光線(光路)L
Near、及び光線(光路)L
Farが、カメラモジュール12の撮像素子12b上に結んだ像(光スポット)のボケ量(以下、「広がり幅」と称する。)Wを、コリメート光源11及びカメラモジュール12における光路から計算する。
【0071】
ここで、コリメータレンズ11dの焦点距離f
Lから距離dだけ離れて光軸AL上から出射された拡散光の結像関係を
図22に示す。なお、この場合、距離Hは開口部H
Farの像高に対応する。
【0072】
ここで、光線(光路)L
Near、光線(光路)L
Just、及び光線(光路)L
Farの光路計算に用いる、光学パラメータ(例えば、光学素子の焦点距離、倍率、位置関係等)の記号の意味、及び光学特性値(ディフォーカス量)の記号と、それらの定義又は意味を以下に説明する。なお、単位は省略する。
【0073】
H:開口部H
Farの像高又は開口部H
Nearの像高
f
L:コリメータレンズ11dの焦点距離。
【0074】
f
C:カメラレンズ12aの焦点距離。
【0075】
d:回転中心軸Oを含むX−Y平面から開口部H
Farまでの距離(ズレ量)。レンズから近づく方向を正とする。
【0076】
b:開口部H
Farから発した拡散光(以下、「開口部H
Far拡散光」と称する。)が、コリメータレンズ11dの中心を基準にコリメータレンズ11dによって集光する距離。なお、bの符号は、ズレ量dの符号が正(>0)の場合には、正(>0)とする。
【0077】
L:コリメータレンズ11dとカメラレンズ12aとの距離。
【0078】
Δ:ディフォーカス量(なお、開口部H
Far拡散光は、カメラレンズ12aから距離(fc+Δ)だけ離れた位置で集光することを意味する。
【0079】
W:開口部H
Far拡散光が、距離(fc+Δ)より後方に設置された場合の光スポットの「広がり幅」(「ボケ量」に相当するもの)。なお、Δはディフォーカス量である。
【0080】
Δ’:広がり幅Wの光スポットが形成される場合におけるディフォーカス量(なお、カメラレンズ12aの焦点距離fcだけ離れた位置を基準として、撮像素子12bがズレ(シフトし)ている距離である。)
【0081】
次に、第2の実施形態に係るカメラモジュール調整装置20におけるパターン11c、コリメータレンズ11d、カメラレンズ12a及び撮像素子12bの位置関係について説明する。
【0082】
まず、パターン(レクチル)11c’の開口部11c−A〜11c−Eのパターンが撮像素子12bの受光面に合焦するような撮像素子12bは、
図22に示すように、焦点距離fcよりディフォーカス量(補正量)Δ分だけ離れて位置している。
【0083】
また、パターン(レクチル)11c’の開口部11c−A〜11c−Eは、コリメータレンズ11dから距離(f
L+d)離れて位置する。このため、光源11aから発した光は、平行光線に変換されず、光軸AL上においてコリメータレンズ11dから距離bだけ離れた位置で集光する。その後、コリメータレンズ11dを出射した光は、カメラレンズ12aによって、カメラレンズ12aから距離(fc+Δ)で集光する。
【0084】
ここで、受光素子12dの受光面が、距離fcから距離Δ’だけ離れて位置している場合、その受光面での開口部11c−A〜11c−Eの像は、ピントがずれて、広がり幅Wだけボケる(「にじむ」と称してもよい)。
【0085】
まず、
図22に示すようなコリメート光源11側の結像関係は、レンズの公式(結像の公式)にしたがって、焦点距離f
L、距離b及びズレ量dを用いて、以下の数1のように記述することができる。
【0086】
同様に、
図22に示すようなカメラモジュール12側の結像関係は、レンズの公式にしたがって、焦点距離fc、距離L、距離b及びディフォーカス量Δを用いて、以下の数2のように記述することができる。
【0089】
次に、数1及び数2を用いて、ディフォーカス量Δを導出する。
ここでは、開口部H
Farが、パターン11cの回転中心Oを含むX―Y平面から、ズレ量dだけ離れた位置にくるように、パターン11cを回転させた場合における、ディフォーカス量Δを導出する。
【0090】
数1を変形して分子分母を整理すると、数3が得られる。
【0091】
【数3】
次に、数3の両辺を逆数にすることによって、焦点距離f
L、焦点距離f
C及びズレ量dを用いて、距離bを表わす数4が得られる。
【0092】
【数4】
次に、数2を変形することによって、焦点距離f
C、ズレ量d及びディフォーカス量Δを用いて、コリメータレンズ11dから出射した光線が集光する位置からカメラレンズ12aの中心までの距離である距離b−Lの逆数を表わす数5が得られる。
【0093】
【数5】
そして、数5の両辺の逆数をとることによって、距離b−Lを表わす数6が得られる。
【0094】
【数6】
そして、数6の左辺のLを右辺に移項し、右辺を整理することによって、焦点距離f
C、距離L及びディフォーカス量Δを用いて、距離bを表わす数7が得られる。
【0095】
【数7】
さらに、数4及び数7から距離bを消去することによって、ズレ量dを含む数8が得られる。
【0096】
【数8】
数8を整理することによって、ズレ量d及びディフォーカス量Δを含む項をそれぞれ1つにした数9のような数式が得られる。
【0097】
【数9】
そして、数9をズレ量dについて解くと、以下に示す数10が得られる。
【0098】
【数10】
さらに、数10の右辺の分母及び分子にディフォーカス量Δを掛けることによって、数11が得られる。
【0099】
【数11】
数9を変形することによって、数12が得られる。
【0100】
【数12】
そして、数12の両辺を逆数にして、両辺をfcの2乗で割り、左辺にディフォーカス量Δについて解くことによって、数13が得られる。
【0101】
【数13】
さらに、その数13の右辺の分子及び分母に、ズレ量dを掛けることによって、数14が得られる。
【0102】
【数14】
以上説明したように、レンズの公式を利用することよって、カメラモジュール調整装置20に使用される光学部品の光学パラメータ(仕様)並びに光学部品間の配置及び距離を用いて、ディフォーカス量Δを算出することができる。
【0103】
次に、レチクル11c’がカメラモジュール12の撮像素子12bの受光面に結像した像の合成倍率Mを示す数式を導出する。
【0104】
光源側のコリメータレンズの倍率M
LEDに関して、数15のように表すことができる。
【0105】
【数15】
また、カメラモジュール12における倍率M
Camに関して、数16のように表すことができる。
【0106】
【数16】
したがって、総合倍率(合成倍率)Mは、倍率M
LEDと倍率M
Camとの積で表すことができるから、すなわち数15及び数16を用いることよって、数17が得られる。
【0107】
【数17】
次に、ズレ量dを用いて、総合倍率(合成倍率)Mを導出する。
【0108】
まず、数15及び数4から距離bを消去することによって、倍率M
LEDを表す数18が得られる。
【0109】
【数18】
また、数16の距離bに数4の右辺を代入し、数16のディフォーカス量Δに数13の右辺を代入することによって、倍率M
Camを表わす数19が得られる。
【0110】
【数19】
数19の分子分母を整理して、数20が得られる。
【0111】
【数20】
数20の分子と分母を整理することによって、数21が得られる。
【0112】
【数21】
数21と数18との積をとることによって、ズレ量dを含む合成倍率Mを表わす数22が得られる。
【0113】
【数22】
そして、数22を整理することによって、合成倍率Mを表す数23が得られる。
【0114】
【数23】
以上説明したように、レンズの公式及び
図22から、合成倍率Mを算出することができる。
【0115】
なお、検算のため距離d→0(無限系)とした場合における合成倍率Mを数24のように表すことができることを確認した。また、数24が負の数であることは、像が反転することに対応する。
【0116】
【数24】
次に、ディフォーカス量Δを用いて、合成倍率Mを導出する。
【0117】
まず、数15のbに数7の右辺を代入し、数15のdに数11の右辺を代入することによって、数25で表わされるコリメータ光源側の倍率M
LEDが得られる。
【0118】
【数25】
そして、数25の分子及び分母を整理することによって、数26が得られる。
【0119】
【数26】
また、数16の距離bに数7の右辺を代入することによって、カメラモジュール側の倍率M
camを表す数27が得られる。
【0120】
【数27】
そして、数27の分子及び分母を整理することによって、数28が得られる。
【0121】
【数28】
そして、数26の右辺と数28の右辺を乗算することによって、数29に示すように合成倍率Mが得られる。
【0122】
【数29】
そして、Δ→0(無限系)とした場合における合成倍率Mは、前述のように数30のように表わされる。なお、数30が負の数であることは、像が反転することに対応する。
【0123】
【数30】
次に、幾何光学的に計算することによって、カメラモジュール12の受光面上におけるパターンの像の広がり幅(ボケ量)Wを導出する。
【0125】
図22に示すように、カメラレンズ12aの焦点距離f
Cから前述のディフォーカス量Δだけ離れた位置に、パターン(レクチル)11c’における像高Hに位置する開口部11cがフォーカスするように結像する。
【0126】
ここで、カメラレンズ12aから距離(f
C+Δ’)だけ離れた位置に、撮像素子12bが設置される場合、パターン(レクチル)11c’における像高Hに位置する開口部11cは、カメラレンズ12aから距離(f
C+Δ’)だけ離れて、ぼやけた結像が結ばれる。なお、ディフォーカス量(補正量)Δ’は、カメラレンズ12aの焦点距離f
Cから撮像素子12bの受光面まで変位(距離)を示す。
【0127】
以上のように設定した配置における、ぼやけた結像の広がり幅Wを算出する。
【0128】
また、
図22において、カメラレンズ12aの開口幅(単に、「レンズ幅」とも称する。)をDと設定する。
【0129】
図22より、開口幅Dに対する広がり幅Wの比率が、カメラレンズ12aの焦点距離fcとディフォーカス量Δとの和(f
C+Δ)に対する、ディフォーカス量Δ’とディフォーカス量Δとの差分(Δ’−Δ)の比率が等しい。
【0130】
具体的には、
図22において、△ABOと△A’B’Oとは相似関係であるため、対応する辺同士の比率は等しいことが導ける。
【0131】
したがって、カメラレンズの開口幅D、広がり幅W、距離(f
C+Δ)、及び距離(Δ’−Δ)の関係は、数31のように表わされる。
【0132】
【数31】
Wを左辺に残すように数31を、数32のように変形する。
【0133】
【数32】
また、ディフォーカス量Δ’を左辺に残すように数32を、数33のように変形する。
【0134】
【数33】
次に、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離を調整するために、カメラモジュール12でレクチル11c’の結像の輝度分布に基づいて、ディフォーカス量Δ又はディフォーカス量Δ’を計算する方法を説明する。
【0135】
なお、カメラレンズ12aの焦点距離fcだけ離れた位置を基準として、撮像素子12bがズレ(シフトし)ている距離を、ディフォーカス量Δ又はディフォーカス量Δ’とする。
【0136】
ここで、レクチル11c’の開口部11C−1〜11C−5の各エッジによる、撮像素子12b上における、各エッジに対応する台形状の輝度分布と、輝度傾斜幅(像広がり幅)(以下、「台形幅We」と称する。)の様子を
図23に示す。
【0137】
まず、開口部11C−1〜11C−5の各幅は、それぞれ同一のピッチPである。そして、丁度焦点が合うエッジ(「ジャスピンエッジ」又は「ジャストピントエッジ」と称しても良い)をレクチルセンタLcとし、また、縦方向に配列された開口部11C−5の端に位置するレクチル開口部端をLeとする。
【0138】
まず、撮像素子12bに向けて、光のパターンが照射される。そして、撮像素子12bにおいて、コリメート光源11aによる光のパターンが照射された領域から、所定の基準長Sを有する帯状の積算エリア(領域)を、撮像素子12bを用いて所定の時間撮影する。
【0139】
図23が示すように、帯状の積算エリア(領域)の方向は、パターン(レクチル)11c’の各開口部11C−1〜11C−5を透過した光の累積輝度が得られるように設定される。なお、積算エリアの方向(例えば、幅方向)と各開口部の方向(例えば、長辺方向)とが、略回転角ψだけ回転した状態に設定する。
【0140】
仮に、帯状の積算エリア(領域)の方向をY軸とし、累積輝度の強度をY軸と垂直なX軸を使って表わすと、累積輝度の強度分布(以下、「輝度分布」と称する。)は、
図23が示すように、略台形状の光パターンとして観測することができる。
【0141】
さらに、略台形状の輝度分布の形状を解析するため、輝度分布の最大強度Xmax〜最小強度Xminの間に、閾値thL及びthH(Xmax>thH>thL>Xminのような大小関係である)を設ける。そして、各台形の斜辺における、thHに対応するX座標と、thLに対応するX座標との差分が、台形状の輝度分布の斜辺の幅を示す台形幅Weである。
【0142】
撮像素子12bを用いて、所定の時間撮影した輝度データに基づいて、輝度分布を計測する。なお、開口部11C−1〜11C−5からの光量を積算する場合、開口部11C−1〜11C−5と積算エリアとが重なるエリアは、略正方形になるように設定することが好適である。
【0143】
そして、略台形状の輝度分布の台形幅Weをそれぞれ計測して、Z軸方向(の移動量又は変位)に対する台形幅Weのプロットを
図24に示す。
図24が示すように、Z軸方向に対する台形幅Weのプロット(
図24中の「○」又は「◎」に示す)は、V字状に傾きが変わる形状として表わされる。このため、台形幅Weのプロットは、2つの直線L(+)及びL(−)で表わすことができる。なお、2つの直線L(+)及びL(−)の交点を求めるため、
図24に示す台形幅Weが低い方から1又は2個の台形幅Weのデータに関しては、除外しても良いとする。
【0144】
そして、ディフォーカス量Δの算出方法を以下に示す。
【0145】
まず、基準長Sは、例えば
図23のレチクル図の開口部11C−1の端〜11C−5の端の間の距離とする。また、直線L(−)と直線L(+)との交点をL(0)とする。そして、交点L(0)と白黒エッジとの差分dを算出する。なお、白黒エッジは、無限遠に調整されているものとする。差分dと基準長Sを用いて、基準長Sに対応するディフォーカス量Δは算出することができる。例えば、ディフォーカス量Δは差分dを基準長Sで割った値(Δ=d/S)として算出される。また、ディフォーカス量Δ’についても同様である。
そして、ディフォーカス量Δ又はΔ’に基づいて、カメラレンズ12aと撮像素子12bとの距離を調整することができる。
【0146】
以上、実施例を用いて本発明の実施形態について説明したが、各実施例は、好ましい一例を示したものであり、同様な効果と特徴を有する他の構造又は構成は、本発明の範疇である。そして、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
【0147】
例えば、本発明の実施形態に係るカメラモジュール調整装置において、パターン(レチクル)11c及び11c’には、開口部H
Near、開口部H
Just、及び開口部H
Far、若しくは開口部11c−A〜11c−Eが設けられるような例を挙げたが、パターン(レチクル)は、透明基材に遮光パターンを形成することによって、開口部に対応する箇所に透過部を形成するようにしても良い。
【0148】
また、開口部H
Near、開口部H
Just、及び開口部H
Far、若しくは開口部11c−A〜11c−Eの形状に関しても、円形又は長方形を例に挙げたが、カメラモジュール12におけるディフォーカス状態を評価又はディフォーカス量を計測することができるのであれば、円形又は長方形でなくとも良く、例えば、正多角形、或いは円形及び正多角形を組合せた形状を採用しても良く、開口部の面積、サイズ、又は個数を限定するものではない。
【0149】
また、本発明の第1の実施形態に係るカメラモジュール調整装置10における光源部11aは、パターン(レクチル)11cによって光パターンが生成でき、光パターンの像を撮像素子上に結像できるデバイスであれば、例えば、LED(Light Emitting Diode)、白熱灯、又は蛍光灯が挙げられ、拡散板11bと組み合わせることによって、略均一な面光源が形成できるものであれば、どのような光源であっても良い。
【0150】
また、本発明の第1の実施形態に係るカメラモジュール調整装置10において、直径D
Near、直径D
Just、直径D
Farに基づいて、ディフォーカス量Δを算出しても良いし、ディフォーカス量Δの算出を経ずに、直径D
Near、直径D
Just、直径D
Farの大小関係を評価するに止めても良い。例えば、直径D
Near、直径D
Just、直径D
Farにおいて、直径D
Just、が第1の閾値以下且つ直径D
Near、と直径D
Farとの差分が、第2の閾値以下というように処理してもよく、ピントが合っている状態が判定することができるならば、これ以外の方法を採用しても良い。
【0151】
さらに、第2の実施形態に係るカメラモジュール調整装置20において、カメラモジュール調整装置の光学部品の光学パラメータ(仕様)並びに光学部品間の配置及び距離を用いて、ディフォーカス量Δを算出するような例を挙げたが、撮像素子12bが出力する画像データに基づいて、直径D
Near、直径D
Just、直径D
Farの各比率とディフォーカス量Δとの関係を実験又は実測を行って得られた対応データを記憶するルックアップテーブルを参照して、ディフォーカス量Δに対応した制御指令値を算出し、Zステージを駆動するようにしても良い。
【0152】
なお、第2の実施形態に係るカメラモジュール調整装置20において、基準長Sに対応するディフォーカス量Δは、差分dを基準長Sで割ったものであることを示したが、対象カメラの定数、光源のレンズf
L、レチクルパターンの間隔P、及び回転角ψ等から計算できる係数をαとし、対象物が無限遠のときのジャスピンエッジ位置に基づくオフセット量βを用いて、例えば、数34のような数式を用いて、基準長Sに対応するディフォーカス量Δを求めても良い。