(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-140675(P2020-140675A)
(43)【公開日】2020年9月3日
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 9/66 20060101AFI20200807BHJP
G06K 9/20 20060101ALI20200807BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20200807BHJP
【FI】
G06K9/66
G06K9/20 340L
G06Q50/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-38074(P2019-38074)
(22)【出願日】2019年3月1日
(71)【出願人】
【識別番号】508079809
【氏名又は名称】株式会社システムズナカシマ
(74)【代理人】
【識別番号】100123618
【弁理士】
【氏名又は名称】雨宮 康仁
(72)【発明者】
【氏名】淺原 卓也
【テーマコード(参考)】
5B029
5B064
5L049
【Fターム(参考)】
5B029AA03
5B029CC21
5B029EE08
5B064AA01
5B064AB17
5B064DA07
5B064DA27
5B064FA18
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】設計図面上の機器の数量を的確に集計する。
【解決手段】サーバ装置20の制御部は、機器を示す記号の画像を機械学習して得られた学習データを用いて、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す。具体的に、制御部は、設計図面の画像上で、設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す。また、制御部は、連続する二の分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする。そして、制御部は、機器の種類毎に、拾い出した機器を示す記号の数を、機器の数量として集計する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手段と、
前記機器の種類毎に、前記記号拾出手段によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記設計図面の画像上に、前記記号拾出手段によって拾い出した前記機器を示す記号を囲む枠体を設定する枠体設定手段をさらに備える、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記記号拾出手段は、前記機器を示す記号の画像を機械学習して得られた学習データを用いて、前記設計図面の画像から、該機器を示す記号を拾い出す、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記号拾出手段は、前記設計図面の画像上で、該設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、該分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、該分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、該設計図面の画像から、前記機器を示す記号を拾い出す、
請求項1、2、又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記記号拾出手段は、連続する二の前記分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする、
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された端末装置と、を具備する画像処理システムであって、
前記画像処理装置は、
設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手段と、
前記機器の種類毎に、前記記号拾出手段によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手段と、
前記記号拾出手段によって前記記号を拾い出した前記機器と、前記集計手段によって集計した該機器の数量と、を含む集計結果を前記ネットワークを介して前記端末装置に送信する集計結果送信手段と、
を備え、
前記端末装置は、
前記機器の種類毎に、該機器の単価を登録する機器データベースと、
前記画像処理装置から前記ネットワークを介して送信される前記集計結果を受信する集計結果受信手段と、
前記集計結果に含まれる前記機器の単価を、前記機器データベースから検出する単価検出手段と、
前記機器の種類毎に、前記集計結果に含まれる該機器の数量と、前記単価検出手段によって検出した該機器の単価と、を一覧にして出力する集計結果出力手段と、
を備える画像処理システム。
【請求項7】
設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出ステップと、
前記機器の種類毎に、前記記号拾出ステップによって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計ステップと、
を備える画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手順と、
前記機器の種類毎に、前記記号拾出手順によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラムに関し、特に、設計図面上の機器の数量を的確に集計できる画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築設備工事の積算を行う場合には、各種感知器等の機器の数量を集計する必要がある。設計図面は、CAD(Computer Aided Design)データ等でやり取りされることは少なく、今でも多くの場合、紙やPDF(Portable Document Format)データ等で積算担当者へと渡される。このため、積算担当者は、紙や画面上の設計図面から各機器の数量を手作業で拾い出さなければならず、多大な時間がかかるという課題があった。また、集計間違いが発生し易いという課題もあった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54−114950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、設計図面上の機器の数量を的確に集計できる画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る画像処理装置は、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手段と、前記機器の種類毎に、前記記号拾出手段によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手段と、を備える。
【0006】
上記の画像処理装置において、前記設計図面の画像上に、前記記号拾出手段によって拾い出した前記機器を示す記号を囲む枠体を設定する枠体設定手段をさらに備える、ようにしてもよい。
【0007】
上記の画像処理装置において、前記記号拾出手段は、前記機器を示す記号の画像を機械学習して得られた学習データを用いて、前記設計図面の画像から、該機器を示す記号を拾い出す、ようにしてもよい。
【0008】
上記の画像処理装置において、前記記号拾出手段は、前記設計図面の画像上で、該設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、該分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、該分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、該設計図面の画像から、前記機器を示す記号を拾い出す、ようにしてもよい。
【0009】
上記の画像処理装置において、前記記号拾出手段は、連続する二の前記分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする、ようにしてもよい。
【0010】
本発明の第2の観点に係る画像処理システムは、画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された端末装置と、を具備する画像処理システムであって、前記画像処理装置は、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手段と、前記機器の種類毎に、前記記号拾出手段によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手段と、前記記号拾出手段によって前記記号を拾い出した前記機器と、前記集計手段によって集計した該機器の数量と、を含む集計結果を前記ネットワークを介して前記端末装置に送信する集計結果送信手段と、を備え、前記端末装置は、前記機器の種類毎に、該機器の単価を登録する機器データベースと、前記画像処理装置から前記ネットワークを介して送信される前記集計結果を受信する集計結果受信手段と、前記集計結果に含まれる前記機器の単価を、前記機器データベースから検出する単価検出手段と、前記機器の種類毎に、前記集計結果に含まれる該機器の数量と、前記単価検出手段によって検出した該機器の単価と、を一覧にして出力する集計結果出力手段と、を備える。
【0011】
本発明の第3の観点に係る画像処理方法は、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出ステップと、前記機器の種類毎に、前記記号拾出ステップによって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計ステップと、を備える。
【0012】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、コンピュータに、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手順と、前記機器の種類毎に、前記記号拾出手順によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設計図面上の機器の数量を的確に集計できる画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】サーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】機器を示す記号の拾出を例示する説明図である。
【
図7】集計処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
まず、本発明の実施形態に係る画像処理システムの構成について図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
【0018】
図1に示すように、画像処理システム1は、複数の端末装置10−1、10−2、…、10−n(nは自然数)と、サーバ装置(画像処理装置)20と、を具備し、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続されている。
【0019】
端末装置10−nは、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等から構成され、建築設備工事の見積りの積算を行う積算担当者であるユーザによって操作される。なお、端末装置10−nは、ユーザによって操作されるものであれば任意であり、例えば汎用のスマートフォンやタブレットコンピュータ等から構成されるものであってもよい。
【0020】
図2は、端末装置の構成例を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、端末装置10−nは、記憶部11と、表示部12と、操作部13と、通信部14と、制御部15と、を備え、これらはバス等を介して接続されている。
【0022】
記憶部11は、例えばハードディスクドライブ等の汎用の記憶装置から構成される。本実施形態において、記憶部11は、設計図面の画像データや、機器データベース(DateBase;DB)52等の各種データベース等を記憶する。設計図面の画像データは、クライアント等から渡された紙の設計図面を図示せぬスキャナ装置で読み取ったり、設計図面のPDF(Portable Document Format)データを変換したりして生成される。
【0023】
機器DB52は、建築設備工事に使用される各機器に関する情報を登録する。本実施形態において、機器DB52は、JISC0303構内電気設備の配線用図記号準拠に基づいて作成され、機器の種類毎に、記号、項目名、規格名、及び単価等を対応付けて登録する。
【0024】
表示部12は、例えば汎用の液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)等から構成される。本実施形態において、表示部12は、画像データ等に基づく設計図面を含む処理前画面等が表示される。
【0025】
図3は、処理前画面の表示例を示す図である。
【0026】
図3に示すように、処理前画面30には、記憶部11に記憶される集計処理前の設計図面(以下、「処理前設計図面」という。)31や、図面集計指示アイコン32等が表示される。
【0027】
処理前設計図面31には、各機器を示す記号が記載される。各機器を示す記号は、例えば、JISC0303構内電気設備の配線用図記号準拠に基づいて記載される。
【0028】
図面集計指示アイコン32は、処理前設計図面31から、建築設備工事に使用される各機器を拾い出して数量を集計する集計処理の実行をサーバ装置20に指示するためのもので、
図3では、「図面から集計」と表示される。
【0029】
図2に示す操作部13は、例えば汎用のキーボードやマウス等から構成され、ユーザによって操作される。本実施形態において、ユーザは、操作部13を操作して、記憶部11に記憶される設計図面の中から表示対象の設計図面を選択したり、処理前画面30において図面集計指示アイコン32をクリックしたりする。
【0030】
通信部14は、例えばNIC(Network Interface Card)等の汎用の通信装置を含んで構成される。本実施形態において、通信部14は、処理前設計図面31の画像データを含む図面集計要求等をネットワークNを介してサーバ装置20に送信する。また、通信部14は、サーバ装置20からネットワークNを介して送信される集計結果等を受信する。
【0031】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等から構成されている。CPUは、RAMをワークメモリとして用いて、ROMに記憶されている各種プログラムや記憶部11に記憶されている各種ソフトウェア等を適宜実行することにより、端末装置10−nの各部の動作を制御する。
【0032】
本実施形態において、制御部15は、ユーザが操作部13を操作して記憶部11に記憶される設計図面の中から表示対象の設計図面を選択したことに応答して、選択された設計図面である処理前設計図面31を含む、
図3に示す処理前画面30を表示部12に表示する。そして、制御部15は、ユーザが処理前画面30において図面集計指示アイコン32をクリックしたことに応答して、選択された処理前設計図面31の画像データを含む図面集計要求を通信部14からネットワークNを介してサーバ装置20に送信する。
【0033】
その後、制御部15は、サーバ装置20からネットワークNを介して送信される集計結果を通信部14で受信したことに応答して、集計結果に含まれる、処理前設計図面31の画像から記号が拾い出された機器に対応する、項目名、規格名、及び単価等を機器DB52から検出する。続いて、制御部15は、集計結果に含まれる機器の種類毎に集計した数量と、検出した機器の項目名、規格名、及び単価等と、から見積り一覧を生成する。そして、制御部15は、集計結果に含まれる集計処理後の設計図面(以下、「処理後設計図面」という。)と、生成した見積り一覧と、を含む処理後画面を表示部12に表示する。
【0034】
図4は、処理後画面の表示例を示す図である。
【0035】
図4に示すように、処理後画面40では、各機器を示す記号が略矩形の枠体で囲まれてた処理後設計図面41が表示される。本実施形態において、各機器を示す記号は、機器の種類毎に異なる色の枠体で囲まれる。なお、各機器を示す記号は、機器の種類毎に異なる形状の枠体で囲まれてもよい。また、枠体に囲まれた記号は、ユーザによる操作部13の操作に応じて、処理後設計図面41上で配置を変えられるようにしてもよい。
【0036】
処理後画面40には、見積り一覧42が表示される。見積り一覧42は、機器の種類毎に、項目名、規格名、数量、単位、及び単価等を対応付けて一覧表示する。
【0037】
なお、
図2に示す制御部15は、集計結果をCSV(Comma-Separated Values)ファイル等に出力し、集計結果を外部システムと連携するようにしてもよい。
【0038】
図1に示すサーバ装置20は、例えば汎用のサーバコンピュータ等から構成され、人工知能(artificial intelligence;AI)によって集計処理を実行する。
【0039】
図5は、サーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【0040】
図5に示すように、サーバ装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備え、これらはバス等を介して接続されている。
【0041】
通信部21は、例えばNIC等の汎用の通信装置を含んで構成される。本実施形態において、通信部21は、端末装置10−nからネットワークNを介して送信される図面集計要求等を受信したり、集計結果等をネットワークNを介して端末装置10−nを介して送信したりする。
【0042】
記憶部22は、例えばハードディスクドライブ等の汎用の記憶装置から構成される。本実施形態において、記憶部22は、集計プログラム51等の各種プログラム等を記憶する。
【0043】
集計プログラム51は、人工知能によって集計処理を実行するためのものである。本実施形態において、集計プログラム51は、機械学習に用いるためのソフトウェアライブラリであるTensorFlow、さらにTensorFlowを用いて画像に写っている物体を検出するためのフレームワークであるTensorFlow Object Detection API等を含んで構成される。
【0044】
制御部23は、例えばCPU、ROM、及びRAM等から構成されている。CPUは、RAMをワークメモリとして用いて、ROMに記憶されている各種プログラムや記憶部22に記憶されている各種ソフトウェア等を適宜実行することにより、人工知能として機能し、サーバ装置20の各部の動作を制御する。
【0045】
本実施形態において、制御部23は、学習データの生成を効率化すべく、CAD(Computer Aided Design)データを基に、機器を示す記号の画像に対するアノテーションデータを生成する。そして、制御部23は、TensorFlow Object Detection APIを用いて機器を示す記号の画像を機械学習して学習データを生成する。なお、集計処理で拾い出せなかった機器の記号については、TensorFlow Object Detection APIを用いた機械学習を再度実行すればよい。
【0046】
制御部23は、記憶部32に記憶される集計プログラム51を実行することにより、人工知能によって集計処理を実行する。具体的に、制御部23は、端末装置10−nからネットワークNを介して送信される図面集計要求を通信部21で受信したことに応答して、まず、図面集計要求に含まれる画像データが示す処理前設計図面31の画像を分割する画像分割処理を実行する。分割画像のサイズは、処理前設計図面31の画像よりも小さければ、設定ファイルにて任意に変更可能であり、本実施形態では、縦100ピクセル、横100ピクセルに設定される。また、分割する位置に対象となる記号が重なることを考慮して、オフセット値が設定され、本実施形態では、オフセット値として50ピクセルが設定される。そして、制御部23は、学習データ及び分割画像等を用いて機器を示す記号を拾い出す。
【0047】
図6は、機器を示す記号の拾出を例示する説明図である。
【0048】
図6(a)〜(c)に示すように、処理前設計図面31の画像上で、縦100ピクセル、横100ピクセルの分割画像を、X軸方向に50ピクセルずつ移動させながら、分割画像に含まれる記号を拾い出して行く。
【0049】
具体的に、分割画像内に全体が含まれる記号は拾い出されるが、一部のみが含まれる記号は拾い出されない。
図6(a)に示す例では、記号Aは、その全体が分割画像61内に含まれるため、拾い出されるが、記号Bは、その一部のみしか分割画像61内に含まれていないため、拾い出されない。
図6(b)に示す例では、記号A及びBは、その全体がともに分割画像62内に含まれるため、両方とも拾い出される。
図6(c)に示す例では、記号Bは、その一部のみしか分割画像63内に含まれていないため、拾い出されない。
【0050】
また、連続する二つの分割画像で重複して拾い出された記号は、一つとしてカウントされる。例えば、記号Aは、分割画像61及び62で重複して拾い出されるが、一つのとしてカウントされる。
【0051】
図5に示す制御部23は、上述のように、分割画像を移動させながら、学習データ等を用いて、処理前設計図面31の画像から機器を示す記号を拾い出して行く。そして、制御部23は、拾い出した記号を、その記号が示す機器の種類に対応する色の枠体で囲むことにより、処理後設計図面41を生成する。
【0052】
また、制御部23は、拾い出した記号の数を、その記号が示す機器の数量として、機器の種類毎に集計する。そして、制御部23は、生成した処理後設計図面41、記号を拾い出した機器の種類、及び機器の種類毎に集計した数量等を含む集計結果を生成して、通信部21からネットワークNを介して端末装置10−nに送信する。
【0053】
次に、上記構成を備える画像処理システムの動作について、図面を参照して説明する。
【0054】
端末装置10−nにおいて、ユーザが操作部13を操作して記憶部11に記憶される設計図面の中から表示対象の設計図面を選択したことに応答して、制御部15は、選択された設計図面である処理前設計図面31を含む、
図3に示す処理前画面30を表示部12に表示する。そして、ユーザが処理画面30において図面集計指示アイコン32をクリックしたことに応答して、制御部15は、人口知能による集計処理を開始する。
【0055】
図7は、集計処理の一例を示すフローチャートである。
【0056】
図7に示す集計処理において、制御部15は、まず、ユーザによって選択された処理前設計図面31の画像データを含む図面集計要求を通信部14からネットワークNを介してサーバ装置20に送信する(ステップS71)。
【0057】
サーバ装置20において、制御部23は、端末装置10−nからネットワークNを介して送信される図面集計要求を通信部21で受信したことに応答して(ステップS72)、図面集計要求に含まれる画像データが示す処理前設計図面31の画像を分割する画像分割処理を実行する(ステップS73)。
【0058】
続いて、制御部23は、分割画像を移動させながら、学習データ等を用いて、機器を示す記号を拾い出して行く(ステップS74)。
【0059】
そして、制御部23は、ステップS74で拾い出した記号を、その記号が示す機器の種類に対応する色の枠体で囲むことにより、処理後設計図面41を生成する(ステップS75)。
【0060】
また、制御部23は、ステップS74で拾い出した記号の数を、その記号が示す機器の数量として、機器の種類毎に集計する(ステップS76)。
【0061】
続いて、制御部23は、ステップS75で生成した処理後設計図面41、ステップS76で機器の種類毎に集計した数量等を含む集計結果を生成する(ステップS77)。
【0062】
そして、制御部23は、ステップS77で生成した集計結果を、通信部21からネットワークNを介して端末装置10−nに送信する(ステップS78)。
【0063】
端末装置10−nにおいて、制御部15は、サーバ装置20からネットワークNを介して送信される集計結果を通信部14で受信したことに応答して(ステップS79)、集計結果に含まれる、処理前設計図面31の画像から記号が拾い出された機器に対応する、項目名、規格名、及び単価等を機器DB52から検出する(ステップS80)。
【0064】
続いて、制御部15は、集計結果に含まれる機器の種類毎に集計した数量と、ステップS80で検出した機器の項目名、規格名、及び単価等と、から見積り一覧42を生成する(ステップS81)。
【0065】
そして、制御部15は、集計結果に含まれる処理後設計図面41と、ステップS81で生成した見積り一覧42と、を含む、
図4に示す処理後画面40を表示部12に表示してから(ステップS82)、集計処理を終了する。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る画像処理システム1は、サーバ装置20と、サーバ装置20とネットワークNを介して接続された端末装置10−nと、を具備する。サーバ装置20の制御部23は、機器を示す記号の画像を機械学習して得られた学習データを用いて、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す。具体的に、制御部23は、設計図面の画像上で、設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す。また、制御部23は、連続する二の分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする。そして、制御部23は、機器の種類毎に、拾い出した機器を示す記号の数を、機器の数量として集計する。
【0067】
これにより、画像処理システム1は、設計図面上の機器の数量を的確に集計できる。
【0068】
また、制御部23は、設計図面の画像上に、拾い出した機器を示す記号を囲む枠体を設定する。
【0069】
これにより、ユーザは、設計図面上の機器がもれなく拾い出されたかを容易に確認できる。
【0070】
さらに、制御部23は、記号を拾い出した機器と、集計したこの機器の数量と、を含む集計結果をネットワークNを介して端末装置10−nに送信する。端末装置10−nは、機器の種類毎に、機器の単価を登録する機器DB52を備える。端末装置10−nの制御部15は、サーバ装置20からネットワークNを介して送信される集計結果を受信する。制御部15は、集計結果に含まれる機器の単価を、機器DB52から検出する。そして、制御部15は、機器の種類毎に、集計結果に含まれる機器の数量と、検出した機器の単価と、を一覧にした見積り一覧42を表示部12に表示して出力する。
【0071】
これにより、画像処理システム1は、設計図面の画像から的確に積算できる。
【0072】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施形態の変形態様について、説明する。
【0073】
上記の実施形態において、設計図面の画像データは、端末装置10−nへ入力され、端末装置10−nからサーバ装置20へと送信されるものとして説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、設計図面の画像データは、サーバ装置20へ直接入力されるものでもよい。
【0074】
上記の実施形態において、機器の種類毎に、集計した機器の数量と、検出した機器の単価と、を一覧にした出力は、端末装置10−nの表示部12に表示するものとして説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、出力は、CSV(Comma-Separated Values)ファイル等への出力等、表示以外のものであってもよい。また、端末装置10−n側での出力に限定されるものではなく、サーバ装置20側で出力されるものであってもよい。
【0075】
上記の実施形態において、端末装置10−nが機器DB52を備えるものとして説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、機器DB52は、サーバ装置20が備えるものであってもよい。この場合、サーバ装置20の制御部23は、機器毎に数量を集計した後、拾い出した記号に対応する機器の項目名、規格名、及び単価等を機器DB52から検出し、生成した処理後設計図面41、機器の種類毎に集計した数量、並びにその機器の項目名、規格名、及び単価等を含む集計結果を生成して、通信部21からネットワークNを介して端末装置10−nに送信するようにしてもよい。そして、端末装置10−nの制御部15は、サーバ装置20からネットワークNを介して送信される集計結果を通信部14で受信し、受信した集計結果に基づいて、処理後画面を生成して表示部12に表示してもよい。すなわち、本発明に係る画像処理装置は、前記機器の種類毎に、該機器を示す記号と、該機器の単価と、を対応付けて登録する機器データベースと、前記記号拾出手段によって拾い出した前記機器を示す記号に対応する該機器の単価を、前記機器データベースから検出する単価検出手段と、前記機器の種類毎に、前記集計手段によって集計した該機器の数量と、該単価検出手段によって検出した該機器の単価と、を一覧にして出力する集計結果出力手段と、を備える、ものであってもよい。
【0076】
上記の実施形態において、制御部15及び23のCPUが実行するプログラムは、予めROM等に記憶されていた。しかしながら、本発明は、これに限定されず、上述の処理を実行させるためのプログラムを、既存の汎用コンピュータに適用することで、上記の実施形態に係る端末装置10−n及びサーバ装置20として機能させてもよい。
【0077】
このようなプログラムの提供方法は任意であり、例えばコンピュータが読取可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM等)に格納して配布してもよいし、インターネット等のネットワーク上のストレージにプログラムを格納しておき、これをダウンロードさせることにより提供してもよい。
【0078】
また、上記の処理をOSとアプリケーションプログラムとの分担、又はOSとアプリケーションプログラムとの協働によって実行する場合には、アプリケーションプログラムのみを記録媒体やストレージに格納してもよい。また、搬送波にプログラムを重畳し、ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)に上記プログラムを掲示し、ネットワークを介してプログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 画像処理システム
10−n 端末装置
11 記憶部
12 表示部
13 操作部
14 通信部
15 制御部
20 サーバ装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
30 処理前画面
31 処理前設計図面
32 図面集計指示アイコン
40 処理後画面
41 処理後設計図面
42 見積り一覧
51 集計プログラム
52 機器データベース
61〜63 分割画像
【手続補正書】
【提出日】2020年4月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る画像処理装置は、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手段と、前記機器の種類毎に、前記記号拾出手段によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手段と、を備え
、前記記号拾出手段は、前記設計図面の画像上で、該設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、該分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、該分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、該設計図面の画像から、前記機器を示す記号を拾い出し、連続する二の前記分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の第2の観点に係る画像処理システムは、画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された端末装置と、を具備する画像処理システムであって、前記画像処理装置は、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手段と、前記機器の種類毎に、前記記号拾出手段によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手段と、前記記号拾出手段によって前記記号を拾い出した前記機器と、前記集計手段によって集計した該機器の数量と、を含む集計結果を前記ネットワークを介して前記端末装置に送信する集計結果送信手段と、を備え、前記端末装置は、前記機器の種類毎に、該機器の単価を登録する機器データベースと、前記画像処理装置から前記ネットワークを介して送信される前記集計結果を受信する集計結果受信手段と、前記集計結果に含まれる前記機器の単価を、前記機器データベースから検出する単価検出手段と、前記機器の種類毎に、前記集計結果に含まれる該機器の数量と、前記単価検出手段によって検出した該機器の単価と、を一覧にして出力する集計結果出力手段と、を備え
、前記記号拾出手段は、前記設計図面の画像上で、該設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、該分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、該分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、該設計図面の画像から、前記機器を示す記号を拾い出し、連続する二の前記分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の第3の観点に係る画像処理方法は、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出ステップと、前記機器の種類毎に、前記記号拾出ステップによって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計ステップと、を備え
、前記記号拾出ステップは、前記設計図面の画像上で、該設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、該分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、該分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、該設計図面の画像から、前記機器を示す記号を拾い出し、連続する二の前記分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、コンピュータに、設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手順と、前記機器の種類毎に、前記記号拾出手順によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手順と、を実行させる
ためのプログラムであって、前記記号拾出手順は、前記設計図面の画像上で、該設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、該分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、該分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、該設計図面の画像から、前記機器を示す記号を拾い出し、連続する二の前記分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする、ことを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手段と、
前記機器の種類毎に、前記記号拾出手段によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手段と、
を備え、
前記記号拾出手段は、前記設計図面の画像上で、該設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、該分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、該分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、該設計図面の画像から、前記機器を示す記号を拾い出し、連続する二の前記分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする画像処理装置。
【請求項2】
前記設計図面の画像上に、前記記号拾出手段によって拾い出した前記機器を示す記号を囲む枠体を設定する枠体設定手段をさらに備える、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記記号拾出手段は、前記機器を示す記号の画像を機械学習して得られた学習データを用いて、前記設計図面の画像から、該機器を示す記号を拾い出す、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
画像処理装置と、該画像処理装置とネットワークを介して接続された端末装置と、を具備する画像処理システムであって、
前記画像処理装置は、
設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手段と、
前記機器の種類毎に、前記記号拾出手段によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手段と、
前記記号拾出手段によって前記記号を拾い出した前記機器と、前記集計手段によって集計した該機器の数量と、を含む集計結果を前記ネットワークを介して前記端末装置に送信する集計結果送信手段と、
を備え、
前記端末装置は、
前記機器の種類毎に、該機器の単価を登録する機器データベースと、
前記画像処理装置から前記ネットワークを介して送信される前記集計結果を受信する集計結果受信手段と、
前記集計結果に含まれる前記機器の単価を、前記機器データベースから検出する単価検出手段と、
前記機器の種類毎に、前記集計結果に含まれる該機器の数量と、前記単価検出手段によって検出した該機器の単価と、を一覧にして出力する集計結果出力手段と、
を備え、
前記記号拾出手段は、前記設計図面の画像上で、該設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、該分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、該分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、該設計図面の画像から、前記機器を示す記号を拾い出し、連続する二の前記分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする画像処理システム。
【請求項5】
設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出ステップと、
前記機器の種類毎に、前記記号拾出ステップによって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計ステップと、
を備え、
前記記号拾出ステップは、前記設計図面の画像上で、該設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、該分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、該分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、該設計図面の画像から、前記機器を示す記号を拾い出し、連続する二の前記分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする画像処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
設計図面の画像から、機器を示す記号を拾い出す記号拾出手順と、
前記機器の種類毎に、前記記号拾出手順によって拾い出した該機器を示す記号の数を、該機器の数量として集計する集計手順と、
を実行させるためのプログラムであって、
前記記号拾出手順は、前記設計図面の画像上で、該設計図面の画像よりも小さい分割画像を移動させ、該分割画像内に一部のみが含まれる記号を拾い出すことなく、該分割画像内に全体が含まれる記号のみを拾い出し行くことにより、該設計図面の画像から、前記機器を示す記号を拾い出し、連続する二の前記分割画像において同一の記号が重複して拾い出された場合、一の記号としてカウントする、
ことを特徴とするプログラム。