【課題】分散安定性が良好な二次電池スラリー用分散剤組成物と、塗布性及び被膜の乾燥性が良好な二次電池スラリー組成物と、塗布性及び被膜の乾燥性が良好な二次電池スラリー組成物の製造方法と、該二次電池スラリー組成物を用いた電池とを提供する。
【解決手段】下記成分(A)、下記成分(B)、レオロジー調整剤(C)及び無機粒子を含有する二次電池スラリー組成物であって、一定の条件を満たす、二次電池スラリー用分散剤組成物。成分(A):窒素原子含有単量体単位を70重量%以上含む水溶性高分子、成分(B):ヒドロキシル基含有単量体を60〜99重量%含み、重合度が100〜10000である水溶性高分子
前記成分(A)に対する前記成分(B)の重量割合(B/A)が0.2〜3.0であり、前記成分(A)、及び前記成分(B)の合計含有量を100重量部としたときに、前記レオロジー調整剤(C)の含有量が0.5〜200重量部であり、前記成分(A)、前記成分(B)及び前記レオロジー調整剤(C)の合計含有量を100重量部としたときに、前記界面活性剤(D)の含有量が0.01〜20重量部である、請求項2に記載の二次電池スラリー用分散剤組成物。
前記レオロジー調整剤(C)が、エーテル化度0.55〜1.1であり1重量%濃度水溶液の粘度が20℃において1〜100mPa・sであるカルボキシルメチルセルロースである、請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池スラリー用分散剤組成物。
下記成分(A)、下記成分(B)、レオロジー調整剤(C)及び無機粒子を含有する二次電池スラリー組成物であって、前記無機粒子の含有量を100重量部としたときに、下記成分(A)、下記成分(B)及び前記レオロジー調整剤(C)の合計が0.1〜50重量部であり、下記条件4〜6を満たす、二次電池スラリー組成物。
成分(A):窒素原子含有単量体単位を70重量%以上含む水溶性高分子
成分(B):ヒドロキシル基含有単量体単位を60〜99重量%含み、重合度が100〜10000である水溶性高分子
条件4:前記成分(A)、前記成分(B)及び前記レオロジー調整剤(C)からなる不揮発分からなる成形膜の電解液膨潤後の弾性率が500MPa以上である。
条件5:前記成分(A)と前記成分(B)からなる不揮発分からなる成形膜の弾性率が500MPa以上である。
条件6:前記成分(A)と前記成分(B)からなる不揮発分のガラス転移点が50〜150℃である。
請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池スラリー用分散剤組成物と溶媒とを混合して分散剤混合液を得る工程(a)と、前記分散剤混合液と無機粒子とを混合してスラリー組成物を得る工程(b)と、正極、負極及びセパレータから選ばれる少なくとも1種に前記スラリー組成物を塗布し乾燥して被膜を形成させる工程(c)を含む、二次電池用材料の製造方法。
正極、負極、セパレータ及び電解液を含む二次電池であって、前記正極、前記負極及び前記セパレータから選ばれる少なくとも1つが、請求項6に記載の二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる被膜を有する、二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は、成分(A)、成分(B)及びレオロジー調整剤(C)を必須に含む。各成分を詳しく説明する。
【0018】
〔成分(A)〕
成分(A)は、窒素原子含有単量体単位を70重量%以上含む水溶性高分子成分である。
窒素原子含有単量体単位としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、本願効果を発揮する観点から、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドが特に好ましい。
【0019】
成分(A)は窒素原子含有単量体単位を70重量%以上含有し、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましい。70重量%未満では、分散性が不足し、被膜の弾性率の低下により、耐熱性が不足する。成分(A)の好ましい上限値は、100重量%である。
【0020】
成分(A)の水への溶解性に関しては、分散性に優れるため水溶性である。なお、本願における「水溶性」とは、25℃において水100gに対して1g以上溶解することをいう。
成分(A)の25℃における20%水溶液の粘度は、特に限定はないが、分散安定性および塗布性の観点から、2000〜20000mPa・sであると好ましく、5000〜19000mPa・sであるとより好ましく、10000〜18000mPa・sであるとさらに好ましく、11000〜17000mPa・sが特に好ましく、12000〜16000mPa・sが最も好ましい。2000mPa・s未満では分散安定性が悪化する可能性がある。20000mPa・s超では塗布性が悪化する可能性がある。成分(A)の25℃における20%水溶液の粘度の測定方法としては、実施例に記載の方法によるものである。
【0021】
成分(A)の重量平均分子量としては、特に限定はないが、たとえば、通常10万以上300万未満、好ましくは15万以上200万未満、特に好ましくは20万以上100万未満である。成分(A)の重量平均分子量が10万未満では結着性に優れない可能性がある。一方、成分(A)の重量平均分子量が300万以上ではハンドリング性に優れない場合がある。
【0022】
成分(A)の熱重量測定(TGA、パージガスとして乾燥空気を導入、および40℃から昇温10℃/minで加熱)による300℃の重量減少としては、特に限定はないが、好ましくは50重量%未満、より好ましくは40重量%未満、さらに好ましくは30重量%未満、特に好ましくは20重量%未満、最も好ましくは10重量%未満である。50重量%超であると、耐熱性が十分でないことがある。
【0023】
〔成分(B)〕
成分(B)は、ヒドロキシ基含有単量体単位を60〜99重量%含み、重合度が100〜10000である、水溶性高分子成分である。ヒドロキシ基含有単量体単位としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。これらの中でも、本願効果を発揮する観点から、ビニルアルコールが特に好ましい。以下では、アクリレートまたは、メタアクリレートを合わせて(メタ)アクリレートということがあり、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを意味するものとする。
【0024】
ビニルアルコールの単量体単位は、酢酸ビニルを重合して得たポリ酢酸ビニルを加水分解して得られたものであってもよい。
成分(B)はヒドロキシ基含有単量体単位を60〜99重量%含有し、75〜99重量%が好ましく、80〜99重量%がより好ましく、87〜99重量%が特に好ましい。60重量%未満では、分散性が不足する。99重量%超では、塗工性が不足する。
【0025】
本発明の成分(B)としては、たとえば、クラレポバールシリーズ(ポリビニルアルコール、株式会社クラレ)、デンカポバールシリーズ(ポリビニルアルコール、デンカ株式会社)、J−POVALシリーズ(ポリビニルアルコール、日本酢ビ・ポバール株式会社)、セルボールシリーズ(ポリビニルアルコール、積水化学工業株式会社)など市販されている水溶性高分子を使用しても構わない。
【0026】
成分(B)の水への溶解性に関しては、分散性に優れるため水溶性である。
成分(B)の20℃における4重量%水溶液粘度は、特に限定はないが、分散安定性および塗布性の観点から、1〜500mPa・sであると好ましく、2〜300mPa・sであるとより好ましく、3〜100mPa・sであるとさらに好ましく、4〜50mPa・sが特に好ましく、5〜30mPa・sが最も好ましい。1mPa・s未満では分散安定性が悪化することがある。500mPa・s超では塗布性が悪化することがある。成分(B)の20℃における4重量%水溶液粘度の測定方法は実施例の記載によるものである。
【0027】
成分(B)の重量平均分子量としては、特に限定はないが、たとえば、通常0.1万以上150万未満、好ましくは1万以上100万未満、より好ましくは1.5万以上50万未満、さらに好ましくは2万以上25万未満、特に好ましくは3万以上15万未満である。成分(B)の重量平均分子量が0.1万未満では結着性に優れない可能性がある。一方、成分(B)の重量平均分子量が150万以上ではハンドリング性に優れない場合がある。
【0028】
前記成分(B)の重合度は、100以上10000以下であり、好ましくは200以上5000未満、より好ましくは300以上3000未満、さらに好ましくは400以上2000未満、特に好ましくは1000以上2000未満である。成分(B)の重合度が100未満では乾燥膜の弾性率が低下し結着性に優れない。一方、成分(B)の重合度が10000以上ではハンドリング性に優れない。
【0029】
成分(B)の熱重量測定(TGA、パージガスとして乾燥空気を導入、および40℃から昇温10℃/minで加熱)による300℃の重量減少としては、特に限定はないが、好ましくは50重量%未満、より好ましくは40重量%未満、さらに好ましくは30重量%未満、特に好ましくは20重量%未満、最も好ましくは10重量%未満である。前記成分(B)の熱重量測定による300℃の重量減少が50重量%超であると、耐熱性が十分でないことがある。
【0030】
成分(A)、成分(B)はその他の単量体単位を含んでいてもよい。その他の単量体単位としては、特に限定はないが、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体単位;グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチルアクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチルアクリレートグリシジルエーテル、3−ヒドロキシプロピルアクリレートグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル、ジグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド等のグリシジル基含有単量体単位;N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド等のマレイミド系単量体単位;アクロレイン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン等の不飽和有機シラン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体単位およびハロゲン化ビニリデン系単量体単位;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ネオデカン酸ビニルエステル等のビニルエステル系単量体単位等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
【0031】
成分(A)、成分(B)は、重合性単量体単位とともに、重合性二重結合を2個以上有する重合性単量体単位(架橋剤単量体単位)を含み構成された重合体であってもよい。架橋剤単量体単位としては、特に限定はないが、たとえば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系化合物;1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ポリカルボジイミド等のカルボジイミド系化合物;多官能エポキシ化合物;オキサゾリン化合物;多官能ヒドラジド化合物;イソシアネート化合物;メラニン化合物;尿素化合物等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0032】
成分(A)のガラス転移点Tg(℃)としては、特に限定はないが、50〜250(℃)が好ましく、80〜200℃がより好ましく、100〜180℃がさらに好ましく、110〜160℃が特に好ましい。50℃未満では、分散性が不足する可能性があり、250℃超では被膜形成性が不足する可能性がある。
【0033】
成分(B)のガラス転移点Tg(℃)としては、特に限定はないが、0〜250(℃)が好ましく、10〜200℃がより好ましく、25〜180℃がさらに好ましく、50〜150℃が特に好ましい。50℃未満では、分散性が不足する可能性があり、250℃超では被膜形成性が不足する可能性がある。
【0034】
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は、下記条件3を満たす。
条件3:成分(A)と成分(B)からなる不揮発分のガラス転移点は50〜150℃である。
成分(A)と成分(B)からなる不揮発分が、この範囲のガラス転移点を持つことにより、被膜全体の耐熱性、結着性を確保することが可能となる。混合物のガラス転移点は70〜140℃がより好ましく、100〜140℃が特に好ましい。50℃未満ではコーティング膜の耐熱性が低下し、150℃超では結着性が不足する。成分(A)と成分(B)からなる不揮発分のガラス転移点の測定方法は、実施例に記載の方法によるものである。
【0035】
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は、下記条件2を満たす。
条件2:成分(A)と成分(B)からなる不揮発分からなる成形膜の弾性率は500MPa以上である。
成分(A)と成分(B)からなる不揮発分からなる成形膜の弾性率をこの範囲にすることにより、被膜全体の耐熱性、結着性を確保することが可能となる。混合物の不揮発分からなる成形膜の弾性率は800MPa以上がより好ましく、1000MPa以上がさらに好ましく、1500MPa以上が特に好ましい。500MPa未満では、耐熱性、結着性が不足する。好ましい弾性率の上限値は、10000MPaである。成分(A)と成分(B)からなる不揮発分からなる成形膜の弾性率の測定方法は、実施例に記載の方法によるものである。
【0036】
成分(A)の電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの1:1混合液)に対する膨潤度SW(A)(倍)としては、特に限定はないが、たとえば、好ましくは1倍以上5倍未満、より好ましくは1倍以上4倍未満、さらに好ましくは1.1倍以上3倍未満、さらに好ましくは1.1倍以上2倍未満、特に好ましくは1.1倍以上1.5倍未満である。成分(A)の電解液に対する膨潤度SW(A)が1未満では電池特性が良くない可能性がある。一方、成分(A)の電解液に対する膨潤度SW(A)が5倍以上ではコーティング膜の耐熱性、結着性が不足する可能性がある。
【0037】
成分(B)の電解液に対する膨潤度SW(B)(倍)としては、特に限定はないが、たとえば、1倍以上5倍未満、好ましくは1倍以上4倍未満、より好ましくは1.1倍以上3倍未満、さらに好ましくは1.1倍以上2倍未満、特に好ましくは1.1倍以上1.5倍未満である。成分(B)の電解液に対する膨潤度SW(B)が1未満では電池特性が良くない可能性がある。一方、成分(B)の電解液に対する膨潤度SW(B)が5倍以上ではコーティング膜の耐熱性、結着性が不足する可能性がある。
【0038】
成分(A)に対する成分(B)の重量割合(B/A)は、特に限定はないが、結着性及び耐熱性の観点から、0.2〜3.0であると好ましく、0.3〜2.3であるとより好ましく、0.4〜1.5が特に好ましい。0.2未満では結着性が悪化することがある。3.0超では分散安定性が悪化することにより結着性、耐熱性共に低下することがある。
【0039】
〔レオロジー調整剤(C)〕
本発明の分散剤組成物は、レオロジー調整剤(C)を必須に含む。レオロジー調整剤(C)は、分散安定性や塗布性を高める目的で使用する。レオロジー調整剤としては適宜選択され、特に限定はないが、たとえば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン・ポリプロピレンブロックポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ゼラチン、コーンスターチ、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子;セルロースナノファイバー、キチンナノファイバー、ポリオレフィン綿状ファイバー等のファイバー系高分子;珪酸アルミニウムマグネシウム、塩基性硫酸マグネシウム無機繊維等の無機系増粘剤が挙げられる。
【0040】
なかでもレオロジー調整剤(C)が、カルボキシメチルセルロースであると、分散性に優れるので好ましい。カルボキシメチルセルロースのエーテル化度としては、分散性に優れる観点から、特に限定はないが、通常0.55〜1.1、好ましくは0.6〜1、さらに好ましくは0.65〜0.9、特に好ましくは0.65〜0.8、最も好ましくは0.7〜0.75である。
カルボキシメチルセルロースの1重量%濃度水溶液の20℃における粘度としては、特に限定はないが、通常1〜100mPa・s、好ましくは3〜50mP・s、さらに好ましくは5〜20mP・s、特に好ましくは6〜15mP・s、最も好ましくは7〜13mP・sである。
【0041】
レオロジー調整剤(C)の含有量としては、特に限定はないが、成分(A)及び成分(B)の合計含有量を100重量部としたときに、通常0.5〜200重量部、好ましくは10〜200重量部、さらに好ましくは25〜150重量部、特に好ましくは40〜100重量部、最も好ましくは50〜70重量部である。レオロジー調整剤(C)の含有量が0.5重量部未満であると、分散性及び塗布性が十分ではないことがある。一方、前記レオロジー調整剤の含有量が200重量部超であると、ハンドリング性に優れないことがある。
【0042】
[界面活性剤(D)]
本発明の分散剤組成物は、さらに界面活性剤(D)(以下、単に成分(D)ということがある。)を含んでいても良い。成分(D)は、スラリーの分散安定性および塗布性を向上させる働きを示す。
成分(D)としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0043】
陰イオン性界面活性剤としては、たとえば、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ステアロイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、パルミトイルメチルタウリンNa等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩;モノステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の長鎖スルホコハク酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムモノナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩;ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリ無水マレイン酸、マレイン酸とイソブチレンとの共重合物、無水マレイン酸とイソブチレンとの共重合物、マレイン酸とジイソブチレンとの共重合物、無水マレイン酸とジイソブチレンとの共重合物、アクリル酸とイタコン酸との共重合物、メタアクリル酸とイタコン酸との共重合物、マレイン酸とスチレンとの共重合物、無水マレイン酸とスチレンとの共重合物、アクリル酸とメタアクリル酸との共重合物、アクリル酸とアクリル酸メチルエステルとの共重合物、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合物、アクリル酸とマレイン酸との共重合物、アクリル酸と無水マレイン酸との共重合物のアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のポリカルボン酸塩;ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、および、これらのアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のナフタレンスルホン酸塩;メラミンスルホン酸、アルキルメラミンスルホン酸、メラミンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルメラミンスルホン酸のホルマリン縮合物、および、これらのアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のメラミンスルホン酸塩等;リグニンスルホン酸、および、これらのアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩およびアミン塩等のリグニンスルホン酸塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0044】
陽イオン性界面活性剤としては、たとえば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジアルキルジメチルアンモニウム塩;トリアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0045】
非イオン性界面活性剤としては、たとえば、POE(30)ラウリルエーテル、POE(12)ラウリルエーテル、POE(9)ミリスチルエーテル、POE(3)ラウリルエーテル、POP(2)POE(8)ステアリルエーテル、POE(50)オレイルエーテル等のポリオキシアルキレンオキサイド付加アルキルエーテル;ポリオキシエチレン(24)スチレン化フェニルエーテル等のポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル;ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールと1価脂肪酸とのエステル化合物;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンひまし油;ポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;アルキルグリセリンエーテル;ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル;アルキルポリグルコシド;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーが挙げられる。
なお、上記POEはポリオキシエチレンを示し、上記POPはポリオキシプロピレンを示し、POE(12)は、ポリオキシエチレンの12モル付加を示す。
【0046】
両性界面活性剤としては、たとえば、2−ウンデシル−N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;N−ラウリルグリシン、N−ラウリルβ−アラニン、N−ステアリルβ−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
【0047】
成分(D)の含有量としては、特に限定はないが、成分(A)、成分(B)及びレオロジー調整剤(C)の合計含有量を100重量部としたときに、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部、特に好ましくは0.5〜8重量部、最も好ましくは1〜5重量部である。成分(D)の含有量が0.01重部未満であると、分散性及び塗布性が十分ではない。一方、成分(D)の含有量が20重量部超であると、高分子の可塑化により、結着性や耐熱性が低下する。
【0048】
〔消泡剤成分(E)〕
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は、消泡剤成分(E)(以下、単に成分(E)ということがある。)を含有すると、スラリーのハンドリング性向上および塗布性向上の観点から、好ましい。
成分(E)としては、特に限定はないが、たとえば、ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油などの油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、こはく酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコール、ジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコール系消泡剤;3−ヘプチルセロソルブ、ノニルセロソルブ、3−ヘプチルカルビトール、ポリアルキレングリコールなどのエーテル系消泡剤;トリブチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートなどのリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミンなどのアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミンなどのアミド系消泡剤;ラウリル硫酸エステルナトリウムなどの硫酸エステル系消泡剤;ジメチルポリシロキサンなどのポリシロキサン系消泡剤;パラフィン系鉱物油、シクロペンテン、シクロヘキサン、フイヒテライト、オレアナンなどのナフテン系鉱物油などの鉱物油;シリカ微粉末系消泡剤等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも消泡剤が、ポリシロキサン系消泡剤、シリカ微粉末から選ばれる少なくとも1種以上であると、消泡性に優れるので好ましい。
【0049】
成分(E)の含有量としては、特に限定はないが、成分(A)、成分(B)及びレオロジー調整剤(C)の合計含有量を100重量部としたときに、通常0.0001〜10重量部、好ましくは0.0005〜1重量部、さらに好ましくは0.001〜0.5重量部、特に好ましくは0.005〜0.1重量部、最も好ましくは0.01〜0.05重量部である。成分(E)の含有量が0.0001重量部未満であると、消泡性が十分ではないことがある。一方、成分(E)の含有量が10重量部超であると、塗布性に優れないことがある。
【0050】
〔その他の成分〕
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は、上記で説明した成分以外のその他の成分を含んでいても構わない。その他の成分としては、特に限定はないが、たとえば、分散助剤、pH調整剤成分等が挙げられる。
【0051】
本発明で用いられる分散助剤は、スラリーの分散を補助し、スラリーの安定性を高める効果がある。分散助剤としては、特に限定はないが、たとえば、アセトン、アセチルアセトン、ジピバロイルメタン、デヒドロ酢酸、マロン酸ジエチル等のケトン化合物;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のアルコール化合物;乳酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、シュウ酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸等の有機酸;塩化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも分散助剤が無機酸、有機酸から選ばれる少なくとも1種以上であると、分散安定性に優れるので好ましい。
【0052】
分散助剤の分子量としては、特に限定はないが、たとえば、通常10〜2000、好ましくは20〜1000、さらに好ましくは30〜500、特に好ましくは40〜300、最も好ましくは50〜200である。分散助剤の分子量が10未満であると、分散安定性が十分ではないことがある。一方、分散助剤の分子量が2000超であると、分散性が十分でないことがある。
【0053】
分散助剤の含有量としては、特に限定はないが、成分(A)、成分(B)及びレオロジー調整剤(C)の合計含有量を100重量部としたときに、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜4重量部、特に好ましくは0.5〜3重量部、最も好ましくは1〜2重量部である。分散助剤の含有量が0.01重量部未満であると、分散安定性が十分ではないことがある。一方、分散助剤の含有量が10重量部超であると、塗布性に優れないことがある。
【0054】
本発明で用いられるpH調整剤は、分散安定性を高める目的で含んでもよい。pH調整剤としては、特に限定はないが、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ(土類)金属の水酸化物;アンモニア;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩;酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化銀、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ビスマス等の金属酸化物;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、スペルミン、アニリン、トルイジン、ピロリジン、モルホリン、イミダゾール、アミノ酸等のアミン化合物等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでもpH調整剤がアルカリ(土類)金属の水酸化物から選ばれる少なくとも1種以上であると、汎用性に優れるので好ましい。ここで、アルカリ(土類)金属とは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。
【0055】
pH調整剤の分子量としては、特に限定はないが、たとえば、通常10〜2000、好ましくは15〜1000、さらに好ましくは20〜500、特に好ましくは25〜200、最も好ましくは30〜100である。前記pH調整剤の分子量が10未満であると、分散安定性が十分ではないことがある。一方、pH調整剤の分子量が2000超であると、ハンドリング性が十分でないことがある。
【0056】
pH調整剤の含有量としては、特に限定はないが、成分(A)、成分(B)及びレオロジー調整剤(C)の合計含有量を100重量部としたときに、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜4重量部、特に好ましくは0.5〜3重量部、最も好ましくは1〜2重量部である。pH調整剤の含有量が0.01重量部未満であると、分散安定性が十分ではないことがある。一方、pH調整剤の含有量が10重量部超であると、塗布性に優れないことがある。
【0057】
〔二次電池スラリー用分散剤組成物、その製造方法と形態〕
二次電池スラリー用分散剤組成物の製造方法は、特に限定はなく、各成分を混合する方法等を挙げることができる。
【0058】
混合については、特に限定はなく、容器と攪拌翼といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。攪拌翼としては、特に限定はないが、マックスブレンド翼、トルネード翼、フルゾーン翼等を挙げることができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える混合機を用いてもよい。混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等を挙げることができる。混合機を挙げることができる。また、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)およびハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)、フィルミクス(プライミクス株式会社)、ジェットペースタ(日本スピンドル製造株式会社)、KRCニーダ(株式会社栗本鐵工所製)、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー、株式会社写真化学)等を用いてもよい。他には、たとえば、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、円盤型ミル、ジェットミル、サイクロンミルなどの粉砕機を用いてもよい。また、超音波乳化機、連続式二軸混練機、高圧乳化機やマイクロリアクター等を用いてもよい。
【0059】
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は下記条件1を満たす。
条件1:二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分からなる成形膜の電解液膨潤後弾性率は500MPa以上である。
二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分からなる成形膜の電解液膨潤後弾性率をこの範囲にすることにより、形成させた被膜の電池内での耐熱性と結着性を確保することができる。弾性率は800MPa以上がより好ましく、1000MPa以上がさらに好ましく、1500MPa以上が特に好ましい。500MPa未満では、耐熱性、結着性が不足する。好ましい弾性率の上限値は、10000MPaである。
なお、「二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分」は110℃で加熱し、重量が恒量となった時の、残留物である。
【0060】
二次電池スラリー用分散剤組成物においては、上記電解液膨潤後弾性率の範囲を満たしつつ、成分(A)および成分(B)が耐熱性、結着性の確保のため有効であり、両成分の混合時のガラス転移点、弾性率を必要な範囲に調整することが必須である。また、成分(A)、成分(B)の調整により得た耐熱性、結着性を阻害しないように成分(A)と成分(B)の混合物の弾性率を所定範囲に調整することが必要である。
また、成分(A)と成分(B)を必須に含み、上述の条件1〜3を満たすことで、成分(A)と成分(B)の相互作用を向上させることができ、それによって分散剤組成物の分散安定性が優れるようになると考えられる。
【0061】
二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度が0.1重量%水溶液の25℃における表面張力としては、特に限定はないが、好ましくは20〜50mN/m、さらに好ましくは25〜45mN/m、特に好ましくは25〜40mN/m、最も好ましくは25〜35mN/mである。20mN/m未満では、乾燥性に優れないことがある。50mN/m超では、塗布性が悪いことがある。
【0062】
二次電池スラリー用分散剤組成物においては、以下の実施例で詳しく説明するように二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度0.1重量%の水分散液の、温度25℃の測定条件下でロスマイルス試験法により起泡力を測定するが、二次電池スラリー用分散剤組成物の流下直後の起泡力は、200mm以下、好ましくは180mm以下、より好ましくは150mm以下、さらに好ましくは120mm以下、特に好ましくは100mm以下である。流下直後から5分後の起泡力は、100mm以下、好ましくは80mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは30mm以下、特に好ましくは20mm以下である。ロスマイルス試験法により流下直後の起泡力が200mm超であると、二次電池スラリーの塗布性が十分ではない。また、流下直後から5分後の起泡力が100mm超であると、二次電池スラリーの塗布性が十分ではない。
【0063】
二次電池スラリー用分散剤組成物の測定温度25℃におけるゼータ電位としては、特に限定はないが、好ましくは−20〜−100mV、さらに好ましくは−25〜−80mV、特に好ましくは−30〜−70mV、最も好ましくは−35〜−60mVである。−100mV未満では、ハンドリング性が悪いことがある。−20mV超では、分散性に優れないことがある。
【0064】
二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度10重量%の水分散液のpHとしては、特に限定はないが、好ましくは4.0〜12.0、さらに好ましくは5.0〜11.0、特に好ましくは6.0〜10.0、最も好ましくは7.0〜9.0である。pHが4.0未満では、塗布性が悪いことがある。12.0超では、ハンドリング性が悪いことがある。なお、二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度10重量%の水分散液のpHの測定方法は、実施例で測定される方法によるものである。
【0065】
二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度1.0重量%の水分散液の液滴を、ポリプロピレン樹脂表面に落としてから1600msec後の接触角としては、特に限定はないが、好ましくは10〜60°、さらに好ましくは15〜60°、特に好ましくは20〜50°、最も好ましくは20〜30°である。10°未満では、分散性に優れないことがある。60°超では、塗布性が悪いことがある。なお、二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度1.0重量%の水分散液のポリプロピレン樹脂表面に対する接触角の測定方法は、実施例に記載の方法によるものである。
【0066】
二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度1.0重量%の水分散液の液滴を、アルミナ板表面に落としてから1600msec後の接触角としては、特に限定はないが、好ましくは10〜60°、さらに好ましくは15〜60°、特に好ましくは20〜50°である。10°未満では、分散性に優れないことがある。60°超では、塗布性が悪いことがある。なお、二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度1.0重量%の水分散液のアルミナ板表面に対する接触角の測定方法は、実施例に記載の方法によるものである。
【0067】
二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜90重量%、好ましくは3〜80重量%、さらに好ましくは5〜70重量%、特に好ましくは8〜60重量%、最も好ましくは10〜55重量%である。1重量%未満では、分散性に優れないことがある。90重量%超では、安定性が悪いことがある。
【0068】
〔二次電池スラリー組成物、その製造方法および用途〕
本発明の二次電池スラリー組成物は、成分(A)、成分(B)、レオロジー調整剤(C)及び無機粒子を含有する。成分(A)、成分(B)、レオロジー調整剤(C)については上述のものを用いる。
また、本発明の二次電池スラリー組成物は、成分(A)、成分(B)及びレオロジー調整剤(C)を含む上述の二次電池スラリー用分散剤組成物を用いて製造してもよい。
【0069】
二次電池スラリー組成物の無機粒子としては、非導電性粒子等が挙げられる。
非導電性粒子としては、特に限定はないが、たとえば、シリカ(酸化ケイ素)、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θアルミナ等のアルミナ(酸化アルミニウム)、チタニア(酸化チタン)、マグネシア(酸化マグネシウム)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化スズ、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化鉄、酸化アンチモン、ホワイトカーボン等の無機酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの無機窒化物微粒子;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫化バリウム、硫化カルシウム等のイオン結晶微粒子;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶微粒子;マイカ、タルク、ベントナイト、カオリン、ケイ酸アルミニウム、セリサイト等のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。なかでもα−アルミナが熱的および化学的安定性が特に高いため、好ましい。
【0070】
非導電性粒子の平均粒子径については、特に限定されないが、通常0.001〜100μm、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜1μm、特に好ましくは0.1〜0.8μm、最も好ましくは0.2〜0.7μmである。非導電性粒子の平均粒子径が0.001μm未満の場合、製造が困難となり好ましくない場合がある。一方、非導電性粒子の平均粒子径が100μm超の場合、分散性が悪くなり好ましくない場合がある。
【0071】
非導電性粒子のBET比表面積としては、特に限定はないが、たとえば、通常0.1〜30m
2/g、好ましくは1〜18m
2/g、さらに好ましくは4〜14m
2/g、特に好ましくは5〜10m
2/g、最も好ましくは8〜10m
2/gである。非導電性粒子のBET比表面積が0.1m
2/g未満の場合被膜形成性が悪くなり好ましくない場合がある。一方、非導電性粒子のBET比表面積が30m
2/g超の場合、ハンドリング性が悪くなり好ましくない場合がある。
【0072】
非導電性粒子の電気伝導度としては、特に限定はないが、たとえば、好ましくは100μS/cm以下、さらに好ましくは80μS/cm以下、特に好ましくは40μS/cm以下、最も好ましくは20μS/cm以下である。非導電性粒子の電気伝導度が100μS/cm超の場合、電池性能が悪くなり好ましくない場合がある。
【0073】
非導電性粒子は遊離の金属(あるいは金属イオン)を含有していてもよい。遊離の金属としては、特に限定はないが、たとえば、鉄、シリカ、マグネシウム、ナトリウム、銅等が挙げられる。
遊離の金属の含有量としては、特に限定はないが、たとえば、通常10000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、特に好ましくは10ppm以下、最も好ましくは1ppm以下である。遊離の金属の含有量が10000ppm超の場合、電池性能が悪くなり好ましくない場合がある。
【0074】
本発明の二次電池スラリー組成物は下記条件4を満たす。
条件4:成分(A)、成分(B)及びレオロジー調整剤(C)からなる不揮発分からなる成形膜の電解液膨潤後の弾性率が500MPa以上である。
成分(A)、成分(B)及びレオロジー調整剤(C)からなる不揮発分からなる成形膜の電解液膨潤後弾性率をこの範囲にすることにより、電解液中でも電池の充放電時の電極活物質の収縮や、トラブル時の急激な発熱による、セパレータの収縮に耐え、被膜の結着性を保つことが可能となる。弾性率は800MPa以上がより好ましく、1000MPa以上がさらに好ましく、1500MPa以上が特に好ましい。500MPa未満では、耐熱性、結着性が不足する。好ましい弾性率の上限値は、10000MPaである。なお、成分(A)、成分(B)及びレオロジー調整剤(C)からなる不揮発分からなる成形膜の電解液膨潤後の弾性率の測定方法は、実施例に記載の方法によるものである。
【0075】
本発明の二次電池スラリー組成物は下記条件5を満たす。
条件5:成分(A)と成分(B)の混合物の不揮発分からなる成形膜の弾性率が500MPa以上である。
成分(A)と成分(B)からなる不揮発分からなる成形膜の弾性率をこの範囲にすることにより、レオロジー調整剤である成分(C)との混合時に全体の被膜強度を保つことが可能となり、弾性率が500MPa未満であると、成分(C)との混合時全体の被膜強度が低下して結着性不足となる。なお、(A)と成分(B)の混合物の不揮発分からなる成形膜の弾性率の好ましい範囲および測定方法については、上述の条件2と同様である。
【0076】
本発明の二次電池スラリー組成物は下記条件6を満たす。
条件6:前記成分(A)と前記成分(B)からなる不揮発分のガラス転移点が50〜150℃である。
成分(A)と成分(B)からなる不揮発分が、この範囲のガラス転移点を持つことにより、レオロジー調整剤である成分(C)との混合時の耐熱性を維持することが可能となり、混合物のガラス転移点が50℃未満であると発熱時の被膜収縮を抑えきれなくなり、混合物のガラス転移点が150℃超であると被膜がもろくなることにより、結着性不足となる。成分(A)と成分(B)からなる不揮発分のガラス転移点の好ましい範囲および測定方法については、上述の条件3と同様である。
【0077】
二次電池スラリー組成物のゼータ電位としては、特に限定はないが、測定温度25℃における二次電池スラリー組成物の固形分濃度5重量%濃度水分散液のゼータ電位が、好ましくは−10〜−100mV、より好ましくは−10〜−90mV、さらに好ましくは−20〜−80mV、特に好ましくは−30〜−70mV、最も好ましくは−35〜−65mVである。5重量%濃度の表面コート用途の二次電池スラリー組成物のゼータ電位が−100mV未満であると、ハンドリング性に優れないことがある。一方、5重量%濃度の表面コート用途の二次電池スラリー組成物のゼータ電位が−10mV超であると、分散性が十分ではないことがある。
【0078】
本発明の二次電池スラリー組成物の製造方法としては、特に限定はないが、たとえば、前記二次電池スラリー用分散剤組成物と溶媒とを混合する分散剤調整工程と、前記分散剤調整工程により得られた混合液に無機粒子を分散させる無機粒子分散工程を含む製造方法等が挙げられる。具体的には、たとえば、成分(A)〜(C)と、必要に応じて成分(D)や、成分(E)や、その他成分等を混合して得えられる分散剤組成物と溶媒とを混合して分散剤混合液を得る工程(a)と、分散剤混合液と無機粒子とを混合してスラリー組成物を得る工程(b)を含む製造方法が挙げられる。
【0079】
二次電池スラリー組成物における成分(A)、成分(B)及びレオロジー調整剤(C)の合計としては、特に限定はないが、無機粒子100重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは2〜10重量部、特に好ましくは3〜7重量部である。50重量部超であると、電池性能が優れない。一方、0.1重量部未満であると、塗布性が十分でないことがある。
【0080】
二次電池スラリー組成物においては、以下の実施例で詳しく説明するように二次電池スラリー組成物の不揮発分濃度0.1重量%の水分散液の、温度25℃の測定条件下でロスマイルス試験法により起泡力を測定するが、二次電池スラリー組成物の流下直後の起泡力は、50mm以下、好ましくは40mm以下、より好ましくは30mm以下、特に好ましくは20mm以下である。流下直後から5分後の起泡力は、25mm以下、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、さらに好ましくは10mm以下、特に好ましくは5mm以下である。ロスマイルス試験法により流下直後の起泡力が50mm超であると、塗布性が十分ではない。また、流下直後から5分後の起泡力が25mm超であると、塗布性が十分ではない。
【0081】
二次電池スラリー組成物の比重としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜4、好ましくは1.1〜3、より好ましくは1.2〜2.5、さらに好ましくは1.3〜2、特に好ましくは1.4〜1.9、最も好ましくは1.5〜1.8である。二次電池スラリー組成物の比重が4超であると、分散安定性に優れない場合がある。一方、二次電池スラリー組成物の比重が1未満であると、塗布性に優れでない場合がある。
【0082】
二次電池スラリー組成物のpHとしては、特に限定はないが、好ましくは4.0〜12.0、さらに好ましくは5.0〜11.0、特に好ましくは6.0〜10.0、最も好ましくは6.0〜9.0である。pHが4.0未満では、塗布性が悪いことがある。12.0超では、ハンドリング性が悪いことがある。なお、二次電池スラリー組成物のpHの測定方法は、実施例で測定される方法によるものである。
【0083】
二次電池スラリー組成物が含有する溶媒としては、特に限定はなく、有機溶剤でも水でも構わないが、コストが小さく有害性リスクの少ないことから水が好ましい。二次電池スラリー組成物が含有する水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水等のいずれでもよい。
【0084】
二次電池スラリー組成物における溶媒の含有量としては、特に限定はないが、たとえば、無機粒子100重量部に対して、1〜10000重量部、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは50〜500重量部、さらに好ましくは60〜300重量部、特に好ましくは80〜250重量部、最も好ましくは100〜200重量部である。二次電池スラリー組成物における溶媒の含有量が無機粒子100重量部に対して10000重量部超であると、結着性、耐熱性が損なわれることがある。一方、二次電池スラリー組成物における溶媒の含有量が無機粒子100重量部に対して1重量部未満であると、塗布性が十分でない場合がある。
【0085】
本発明の二次電池スラリー組成物は、上記で説明した各成分以外に、ハイドロトロープ剤、保護コロイド剤、抗菌剤、防黴剤、着色剤、酸化防止剤、消臭剤、架橋剤、触媒、乳化安定剤、キレート剤等をさらに含有していてもよい。
【0086】
本発明の二次電池スラリー組成物を得るために、成分(A)、成分(B)、成分(C)(または成分(A)、成分(B)、成分(C)を含む上述の二次電池スラリー用分散剤組成物を使用してもよい)、無機粒子、溶媒等の各成分を混合する方法については、特に限定はなく、容器と攪拌翼といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。攪拌翼としては、特に限定はないが、マックスブレンド翼、トルネード翼、フルゾーン翼等を挙げることができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える混合機を用いてもよい。混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌または攪拌を行える混合機を挙げることができる。また、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)およびハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)、フィルミクス(プライミクス株式会社)、ジェットペースタ(日本スピンドル製造株式会社)、KRCニーダ(株式会社栗本鐵工所製)等を用いてもよい。他には、たとえば、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、円盤型ミル、ジェットミル、サイクロンミルなどの粉砕機を用いてもよい。また、超音波乳化機、連続式二軸混練機、高圧乳化機やマイクロリアクター等を用いてもよい。
【0087】
また、本発明の二次電池スラリー組成物の製造方法は、二次電池スラリー用分散剤組成物を構成する各成分を別々に溶媒に分散させる工程を含んでもよい。
二次電池スラリー組成物を構成する各成分を別々に溶媒に分散させる工程としては、特に限定はないが、たとえば、前記成分(A)及び成分(B)を混合して混合液を得る工程(d)と、あらかじめ溶媒に分散させた前記レオロジー調整剤(C)を混合して分散剤組成物を得る工程(e)と、前記分散剤組成物と無機粒子とを混合してスラリー組成物を得る工程(f)を含む製造方法が挙げられる。成分(D)、成分(E)及びその他の成分から選ばれる少なくとも1種を用いる場合には、成分(D)、成分(E)及びその他の成分から選ばれる少なくとも1種を混合する工程は、工程(d)、工程(e)、工程(f)のいずれでも構わないが、工程(d)、または工程(e)で混合すると、分散剤組成物が均一となることにより本願効果が得られやすいため、好ましい。
【0088】
本発明の二次電池は、正極、負極、セパレータ、電解液を含むものであり前記正極、前記負極及び前記セパレータのうちの少なくとも1つが、本発明の二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる被膜を有するものである。なお、「二次電池スラリー組成物の不揮発分」は110℃で加熱し、重量が恒量となった時の、残留物である。
【0089】
二次電池では、通常、正極と負極の間の短絡を防ぐ為に、セパレータが用いられている。たとえば、リチウムイオン電池の場合、セパレータは、電池内部で短絡が発生した場合、セパレータの有するシャットダウン機能によって、セパレータの孔が塞がって、短絡した部分のリチウムイオンの移動ができなくなり、短絡部位の電池機能を失わせることにより、リチウムイオン二次電池の安全性を保持する役割を担っている。しかしながら、瞬間的に発生する発熱によって電池温度が例えば150℃を超えると、セパレータは急激に収縮して、正極と負極の短絡部位が拡大することがある。この場合、電池温度は数百℃以上にまで異常過熱された状態に至ることがあり、安全性の面で問題となっている。そこで、上記問題点を解決する手段として、リチウムイオン二次電池を構成する正極または負極ないしはセパレータの表面に、好ましくは非導電性の無機粒子を含む多孔膜を形成させる方法がある。
本発明の電池の各部分について説明する。
〔電極〕
【0090】
本発明のスラリー組成物を二次電池の電極に使用する場合は、正極、又は負極の極版にスラリー組成物を塗工する。塗工する方法としては、均一にウェットコーティングできる方法であればよく、特に限定はないが、たとえば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。
【0091】
極板に本発明の二次電池スラリー組成物を塗布、乾燥して形成された表面コート被膜の膜厚としては、特に限定はないが、たとえば、通常0.1〜30μm、好ましくは0.3〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μm、特に好ましくは1〜4μm、最も好ましくは1〜3μmである。片面分の表面コート被膜の膜厚が0.1μm未満の場合耐熱性の補強効果が悪くなり好ましくない場合がある。片面分の表面コート被膜の膜厚が30μm超の場合、電池の機能が低下し好ましくない場合がある。
【0092】
極板は、集電体上に活物質、導電剤、バインダー、補強材等を含んだ活物質層を積層したものである。極板の構成について以下に説明する。
正極の活物質としては、特に限定はないが、たとえば、リン酸鉄リチウム(LiFePO
4)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO
4)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO
4)、ピロリン酸鉄(Li
2FeP
2O
7)、コバルト酸リチウム複合酸化物(LiCoO
2)、スピネル型マンガン酸リチウムコバルト酸リチウム複合酸化物(LiMn
2O
4)、マンガン酸リチウム複合酸化物(LiMnO
2)、ニッケル酸リチウム複合酸化物(LiNiO
2)、ニオブ酸リチウム複合酸化物(LiNbO
2)、鉄酸リチウム複合酸化物(LiFeO
2)、マグネシウム酸リチウム複合酸化物(LiMgO
2)、カルシウム酸リチウム複合酸化物(LiCaO
2)、銅酸リチウム複合酸化物(LiCuO
2)、亜鉛酸リチウム複合酸化物(LiZnO
2)、モリブテン酸リチウム複合酸化物(LiMoO
2)、タンタル酸リチウム複合酸化物(LiTaO
2)、タングステン酸リチウム複合酸化物(LiWO
2)、リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LiNi
0.8Co
0.15Al
0.05O
2)、リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LiNi
0.33Co
0.33Mn
0.33O
2、LiNi
0.8Co
0.1Mn
0.1O
2)、酸化マンガンニッケル(LiNi
0.5Mn
1.5O
4)、酸化マンガン(MnO
2)、リチウム過剰系ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物、水酸化ニッケル(Ni(OH)
2)、バナジウム系酸化物、硫黄系酸化物、シリケート系酸化物等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
【0093】
正極の集電体としては、電子伝導性を有し正極材料に通電し得る材料であればよく、特に限定はないが、たとえば、C、Ti、Cr、Mo、Ru、Rh、Ta、W、Os、Ir、Pt、Au、Al、Ni等の導電性物質、これら導電性物質の二種類以上を含有する合金(例えば、ステンレス鋼)を使用し得る。電気伝導性が高く、電解液中の安定性と耐酸化性がよい観点から、集電体としてはC、Al、Ni、ステンレス鋼等が好ましく、さらに材料コストの観点からAl等が好ましい。集電体の形状には、特に限定はなく、たとえば、箔状基材、三次元基材などを用いることができる。集電体表面上には、あらかじめプライマー層が形成されていてもよく、プライマー層に導電助剤を含んでいてもよい。
【0094】
負極活物質としては、特に限定はないが、たとえば、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料;シリコン系;SiO、SnO、SnO
2、CuO、Li
4Ti
5O
12等の金属酸化物系;Si−Al、Al−Zn、Si−Mg、Al−Ge、Si−Ge、Si−Ag、Zn−Sn、Ge−Ag、Ge−Sn、Ge−Sb、Ag−Sn、Ag−Ge、Sn−Sb等の合金;リン酸スズガラス系等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
【0095】
負極の集電体としては、電子伝導性を有し負極材料に通電し得る材料であればよく、特に限定はないが、たとえば、Cu、Ni、C、Ti、Cr、Mo、Ru、Rh、Ta、W、Os、Ir、Pt、Au、Al等の導電性物質、これら導電性物質の二種類以上を含有する合金(例えば、ステンレス鋼)を使用し得る。電気伝導性が高く、電解液中の安定性と耐酸化性がよい観点から、集電体としてはCu、C、Al、ステンレス鋼等が好ましく、さらに材料コストの観点からCu等が好ましい。集電体の形状には、特に限定はなく、たとえば、箔状基材、三次元基材などを用いることができ、具体的には圧延銅箔、電解銅箔等が好ましい。集電体表面上には、あらかじめプライマー層が形成されていてもよく、プライマー層に導電助剤を含んでいてもよい。
【0096】
電極活物質層は、電極活物質の他に、電極用バインダーを含むことが好ましい。電極用バインダーを含むことにより、電極活物質層の結着性が向上し、電極の撒回時等の工程においてかかる機械的な力に対する強度が上がる。また、電極活物質層が集電体から剥がれにくくなることから、剥れた脱離物による短絡の危険性が小さくなる。
【0097】
電極用バインダーとしては、例えば重合体を用いうる。電極用バインダーとして用いうる重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリイミド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリアクリル酸誘導体、ポリアクリロニトリル誘導体などを用いてもよい。
【0098】
さらに、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレート・スチレン共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル・グリシジルメタクリレート共重合体などの、アクリル酸またはメタクリル酸誘導体の単独重合体またはそれと共重合可能な単量体との共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などジエン系重合体、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサンなどのケイ素含有重合体、液状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのオレフィン系重合体、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などビニル系重合体、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系重合体、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどのフッ素含有軟質重合体、天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体を用いても良い。
これらの重合体は架橋構造を有したものでもよく、官能基を変性させたものを使用しても良く、1種類を単独で用いてもよく、複数の種類を組み合わせて使用しても良い。
【0099】
電極活物質層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、電極活物質及び電極用バインダー以外にも、任意の成分が含まれていてもよい。その例を挙げると、導電材、補強材などが挙げられる。また、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0100】
導電助剤としては、特に限定はないが、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック;グラフェン;カーボンナノ繊維、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノチューブ;銀、銅、錫、亜鉛、酸化亜鉛、ニッケル、マンガン等の金属微粒子;酸化インジウムスズなどの複合金属微粒子等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
【0101】
補強材としては、例えば、各種の無機および有機の球状、板状、棒状または繊維状のフィラーが使用できる。補強材を用いることにより、強靭で柔軟な電極を得ることができ、優れた長期サイクル特性を得ることができる。
【0102】
電極活物質層の製造方法は特に限定されない。電極活物質層は、例えば、電極活物質及び溶媒、並びに、必要に応じて電極用バインダー及び任意の成分を含む電極スラリー組成物を集電体上に塗布し、乾燥させて製造しうる。溶媒としては、水及び有機溶媒のいずれも使用しうる。
二次電池スラリー組成物を電極板に塗工する方法としては、均一にウェットコーティングできる方法であればよく、特に限定はないが、たとえば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。
【0103】
塗膜から溶媒を除去する方法は、乾燥による方法が一般的である。溶媒の乾燥温度は、特に限定はないが、通常、10〜200℃、好ましくは30〜190℃、さらに好ましくは50〜180℃、特に好ましくは80〜170℃、最も好ましくは90〜160℃である。溶媒の乾燥温度が200℃超の場合、電極の機能が低下し好ましくない場合がある。
【0104】
[セパレータ]
本発明の二次電池スラリー組成物をセパレータに塗工する方法としては、均一にウェットコーティングできる方法であればよく、特に限定はないが、たとえば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。
【0105】
塗膜から溶媒を除去する方法は、乾燥による方法が一般的である。溶媒の乾燥温度は、セパレータの軟化点以下の温度が好ましく、通常、10〜200℃、好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜100℃、最も好ましくは60〜90℃である。溶媒の乾燥温度が200℃超の場合、セパレータの機能が低下し好ましくない場合がある。
【0106】
セパレータの組成を構成する樹脂としては、特に限定はないが、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンサルファイド系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
【0107】
セパレータの形状としては、特に限定はなく、たとえば微多孔膜フィルム、不織布等が挙げられる。
セパレータは、二次電池スラリー組成物を塗工する前に、表面をポリフッ化ビニリデン樹脂やポリアラミド樹脂などで表面コートされていてもよい。
セパレータは、二次電池スラリー組成物を塗工する前に親水化処理を行ってもよい。親水化処理としては、酸やアルカリ等による薬剤処理、コロナ処理、プラズマ処理が挙げられる。
【0108】
セパレータ表面に本発明の二次電池スラリー組成物を塗布、乾燥して形成する表面コート被膜は、セパレータのどちらか片面に形成させてよく、両面に形成させてもよい。
【0109】
セパレータ表面に本発明の二次電池スラリー組成物を塗布、乾燥して形成された片面分の表面コート被膜の膜厚としては、特に限定はないが、たとえば、通常0.1〜30μm、好ましくは0.3〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μm、特に好ましくは1〜4μm、最も好ましくは1〜3μmである。片面分の表面コート被膜の膜厚が0.1μm未満の場合耐熱性が悪くなり好ましくない場合がある。片面分の表面コート被膜の膜厚が30μm超の場合、セパレータの機能が低下し好ましくない場合がある。
【0110】
本発明の二次電池スラリー組成物を塗布、乾燥して表面コートされたセパレータの膜厚としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜100μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜30μm、特に好ましくは15〜25μm、最も好ましくは20〜25μmである。表面コートされたセパレータの膜厚が1μm未満の場合耐熱性が悪くなり好ましくない場合がある。片面分の表面コート被膜の膜厚が100μm超の場合、セパレータの機能が低下し好ましくない場合がある。
【0111】
二次電池スラリー組成物を塗布、乾燥して表面コートされたセパレータに対する溶媒の接触角が特定の範囲にあると電池性能に優れるので好ましい。
本発明の二次電池スラリー組成物を塗布、乾燥して表面コートされたセパレータに対する電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの1:1混合液)の接触角としては、特に限定はないが、たとえば、電解液を滴下してから1600msec経過時で通常80°以下、好ましくは70°以下、より好ましくは60°以下、さらに好ましくは55°以下、特に好ましくは50°以下である。表面コートされたセパレータに対する電解液の接触角が80°超であると、電池性能に優れない場合がある。
【0112】
〔二次電池用材料及びその製造方法〕
本発明の二次電池用材料としては、上記二次電池スラリー組成物の各用途で既述した正極、負極、セパレータが挙げられる。すなわち、本発明の正極、負極、の極板、セパレータの少なくとも一つは上記二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる。
【0113】
本発明の二次電池用材料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、成分(A)〜(C)と、必要に応じて成分(D)や成分(E)やその他成分等を混合して得られる二次電池スラリー用分散剤組成物と溶媒とを混合して分散剤混合液を得る工程(a)と、得られた分散剤混合液と無機粒子とを混合してスラリー組成物を得る工程(b)と正極、負極の極板及びセパレータから選ばれる少なくとも1種に前記スラリー組成物を塗布し乾燥して被膜を形成させる工程(c)を含む製造方法が挙げられる。前記成分(E)、前記その他の成分から選ばれる少なくとも1種を混合する工程は、工程(a)、工程(b)のいずれでも構わないが、工程(a)で混合すると、分散剤組成物が均一となることにより本願効果が得られやすいため、好ましい。
なお、塗布方法及び乾燥方法については、上記二次電池スラリー組成物の各用途で既述した方法を採用できる。
【0114】
〔二次電池〕
本発明の二次電池スラリー組成物を用いて作製された正極、負極、セパレータの少なくとも一つを用いて、本発明の二次電池を作製することができ、その製造方法は特に限定されない。たとえば、上述した負極と正極とをセパレータを介して重ね合わせ電池形状に応じて巻いたり折ったり積層したりして電極体を作製し電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口してもよい。
【0115】
電池形状は、特に限定はないが、たとえば、コイン型、円筒型、角型、シート型等が挙げられる。
電池の外装方法は、特に限定はないが、たとえば、金属ケース、モールド樹脂、アルミラミネートフィルム等が挙げられる。
【0116】
二次電池の種類としては、特に限定はなく、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池等のリチウムイオン二次電池;ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のアルカリ二次電池;ナトリウム硫黄電池;レドックスフロー電池;空気電池等が挙げられる。
電解液としては、特に限定はないが、リチウムイオン電池の場合は、たとえば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものを使用できる。リチウム塩としては、たとえば、LiPF
6、LiAsF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAlCl
4、LiClO
4、CF
3SO
3Li、C
4H
9SO
3Li、CF
3COOLi、(CF
3CO)
2NLi、(CF
3SO
2)
2NLi、(C
2F
5SO
2)
2NLiなどが挙げられ、1種または2種以上でもよい。電解液に使用する溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定はなく、たとえば、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、メチルエチルカーボネート等のアルキルカーボネート化合物;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル化合物;1、2ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物等が挙げられる。電解液には、その他添加剤が混合されていてもよく、たとえば、ビニレンカーボネートなどが挙げられる。
【0117】
二次電池がニッケル水素電池の場合の電解液としては、特に限定はなくアルカリ性の水溶液であればよく、たとえば、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムを含む水溶液等が挙げられる。
本発明の二次電池は、様々な電気機器(電気を使用する乗り物を含む)の電源として利用することができる。
【0118】
電気機器としては、例えば、エアコン、洗濯機、テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、冷房機器、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン、パソコンキーボード、パソコン用ディスプレイ、デスクトップ型パソコン、CRTモニター、パソコンラック、プリンター、一体型パソコン、マウス、ハードディスク、パソコン周辺機器、アイロン、衣類乾燥機、ウインドウファン、トランシーバー、送風機、換気扇、音楽レコーダー、音楽プレーヤー、オーブン、レンジ、洗浄機能付便座、温風ヒーター、カーコンポ、カーナビ、懐中電灯、加湿器、携帯カラオケ機、換気扇、乾燥機、乾電池、空気清浄器、携帯電話、非常用電灯、ゲーム機、血圧計、コーヒーミル、コーヒーメーカー、こたつ、コピー機、ディスクチェンジャー、ラジオ、シェーバー、ジューサー、シュレッダー、浄水器、照明器具、除湿器、食器乾燥機、炊飯器、ステレオ、ストーブ、スピーカー、ズボンプレッサー、掃除機、体脂肪計、体重計、ヘルスメーター、ムービープレーヤー、電気カーペット、電気釜、炊飯器、電気かみそり、電気スタンド、電気ポット、電子ゲーム機、携帯ゲーム機、電子辞書、電子手帳、電子レンジ、電磁調理器、電卓、電動カート、電動車椅子、電動工具、電動歯ブラシ、あんか、散髪器具、電話機、時計、インターホン、エアサーキュレーター、電撃殺虫器、複写機、ホットプレート、トースター、ドライヤー、電動ドリル、給湯器、パネルヒーター、粉砕機、はんだごて、ビデオカメラ、ビデオデッキ、ファクシミリ、ファンヒーター、フードプロセッサー、布団乾燥機、ヘッドホン、電気ポット、ホットカーペット、マイク、マッサージ機、豆電球、ミキサー、ミシン、もちつき機、床暖房パネル、ランタン、リモコン、冷温庫、冷水器、冷凍ストッカー、冷風器、ワープロ、泡だて器、電子楽器、オートバイ、おもちゃ類、芝刈り機、うき、自転車、自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、鉄道、船、飛行機、非常用蓄電池などが挙げられる。
【実施例】
【0119】
以下に、本発明の実施例を、その比較例とともに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0120】
[粘度の測定]
成分(A)の20%濃度水分散液、及び成分(B)の4%濃度水分散液を調整し、25℃雰囲気下でB型粘度計((株)東京計器製:BL型)を用いて測定した。
【0121】
〔pHの測定〕
二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度10重量%の水分散液、二次電池スラリー組成物の不揮発分40重量%の水分散液の25℃におけるpHを、pHメータ(堀場製作所社製、F−51)を用いてそれぞれ測定した。
【0122】
〔起泡力〕
JIS K3362の方法に準拠したロスマイルス試験法により温度25℃の測定条件下で測定した。二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度0.1重量%水分散液、又は二次電池スラリー組成物の不揮発分濃度0.1重量%水分散液を試験液とし、試験液の50mlをロスマイルス測定装置の管壁に沿って流し込み、上部の流下ピペットにも試験液の200mlを入れて準備した。ロスマイルス測定装置の円筒中央に試験液の液滴が落ちるようにピペットをセットし、90cmの高さから試験液を流下させ、流下が終わった直後(流下直後)の泡沫の高さと、流下直後から5分後の泡沫の高さをそれぞれ測定した。なお、ここでいう有効濃度とは、組成物の重量に対して、組成物を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分の重量割合をいう。
【0123】
〔表面張力〕
二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度0.1重量%水分散液を試験液とし、自動表面張力計(KRUSS社製、品番TensiometerK100)を用いて、ウィルヘルミー法により温度25℃の測定条件下で測定した。
【0124】
〔接触角〕
二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分濃度1.0重量%水分散液を試験液とし、接触角計(協和界面科学株式会社製、品番DM−901)を用いて測定した。
【0125】
〔ガラス転移点の測定〕
動的粘弾性測定装置(ティ−・エイ・インスツルメント社製、品番Q800)を用いて測定した。
【0126】
〔熱重量測定(TGA)の測定〕
示差熱天秤(リガク社製、品番Thermo plus EVO)を用いて、設定開始温度20℃、設定最終温度300℃、昇温速度毎分10℃の測定条件で測定した。
【0127】
〔平均粒子径、ゼータ電位の測定〕
粒径・ゼータ電位測定システム(大塚電子製、ELSZ−1000)を用いて測定した。
【0128】
〔電解液に対する膨潤度の測定〕
乾燥した成分(A)、成分(B)の各固形物0.2gを、60℃条件下で電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの1:1混合液)に6時間浸漬した。その後、試験体を電解液から取り出し、試験体の表面の電解液を拭き取り、浸漬後の試験体の重量W2を測定した。電解液に浸漬前の試験体の重量をW1とし、電解液に対する膨潤度SW(倍)を、SW=W2/W1にて計算し求めた。
【0129】
〔弾性率の測定〕
成分(A)と成分(B)の混合物を不揮発分濃度10重量%になるよう水溶液を調整し、調整した水溶液を塗工機を使用して剥離紙上に塗工し、110℃にて恒量となるまで乾燥させることにより、厚さ30μmの成分(A)と成分(B)からなる不揮発分からなる成形膜を得た。この得られた成形膜を10×70mmの短冊形に切断し、測定に使用した。測定は、ミネベア株式会社製引っ張り圧縮試験機TG−2kNを使用して、温度20℃にて、チャック間30mm、引っ張り速度100mm/分で引っ張り試験を行い、試料5点についての弾性率の平均値を測定値とした。
【0130】
〔電解液膨潤後弾性率の測定〕
二次電池スラリー用分散剤組成物を不揮発分濃度10%重量になるよう水分散液を調整し、調整した水分散液を塗工機を使用して剥離紙上に塗工し、110℃にて恒量となるまで乾燥させることにより、厚さ30μmの二次電池用分散剤組成物の不揮発分からなる成形膜を得た。この得られた不揮発分からなる成形膜を電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの1:1混合液)中に80℃で1時間、その後25℃で24時間湿潤させたものについて、電解液を拭き取ってから10×70mmの短冊形に切断し、測定に使用した。測定は、ミネベア株式会社製引っ張り圧縮試験機TG−2kNを使用して、温度20℃にて、チャック間30mm、引っ張り速度100mm/分で引っ張り試験を行い、別に測定した湿潤後の膜厚を使用して、試料5点についての弾性率を計算し、それらの平均値を測定値とした。
また、成分(A)と成分(B)及び成分(C)の混合物を不揮発分濃度10重量%になるよう水溶液を調整し、調整した水分散液を塗工機を使用して剥離紙上に塗工し、110℃にて恒量となるまで乾燥させることにより、厚さ30μmの成分(A)と成分(B)及び成分(C)からなる不揮発分からなる成形膜を得た。この得られた不揮発分からなる成形膜を電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの1:1混合液)中に80℃で1時間、その後25℃で24時間湿潤させたものについて、電解液を拭き取ってから10×70mmの短冊形に切断し、測定に使用した。測定は、ミネベア株式会社製引っ張り圧縮試験機TG−2kNを使用して、温度20℃にて、チャック間30mm、引っ張り速度100mm/分で引っ張り試験を行い、別に測定した湿潤後の膜厚を使用して、試料5点についての弾性率を計算し、それらの平均値を測定値とした。
【0131】
〔分散安定性の評価〕
作製した二次電池スラリー組成物を100mlの遠沈管にとって室温で24時間保管した後の沈降物の重量を測定した。分散安定性の評価基準は以下のとおり。
◎:沈降物の重量が5重量%未満であり、分散安定性に優れる。
〇:沈降物の重量が5重量%以上10重量%未満であり、分散安定性に優れる。
△:沈降物の重量が10重量%以上30重量%未満であり、分散安定性に劣る。
×:沈降物の重量が30重量%以上であり、分散安定性に劣る。
【0132】
〔塗布性の評価〕
(セパレータの場合)
作製した二次電池スラリー組成物をポリオレフィン系セパレータ表面に15g/m
2塗布して、80℃の温度に加熱して乾燥した。セパレータ表面を表面コートした被覆面積を測定した。塗布性の評価基準は以下のとおり。
◎:被覆面積が95%以上であり、塗布性に優れる。
〇:被覆面積が90%以上95%未満であり、塗布性に優れる。
△:被覆面積が80%以上90%未満であり、塗布性に劣る。
×:被覆面積が80%未満であり、塗布性に劣る。
【0133】
(正極および負極の場合)
作製した二次電池スラリー組成物を電極板活物質層上に10mg/cm
2塗布して、150℃の温度に加熱して乾燥した。集電体表面を表面コートした被覆面積を測定した。塗布性の評価基準は以下のとおり。
○:被覆面積が95%以上であり乾燥時に塗布表面のひび割れなく、塗布性に優れる。
×:乾燥時に塗布表面のひび割れ発生し被覆面積が95%未満であり、塗布性に劣る。
【0134】
〔乾燥性の評価〕
(セパレータの場合)
作製した二次電池スラリー組成物をポリオレフィン系セパレータ表面に15g/m
2塗布して、80℃の温度で塗布表面が乾くまでの時間を目視にて測定する。乾燥性の評価基準は以下のとおり。
○:乾燥時間が30秒以下であれば、待ち時間が少なく乾燥性が良い。
×:乾燥時間が30秒超であれば、待ち時間が長く作業性に支障をきたすため乾燥性が良くない。
【0135】
(電極の場合)
作製した二次電池スラリー組成物を電極板活物質層上に10mg/cm
2塗布して、150℃の温度で塗布表面が乾くまでの時間を目視にて測定する。乾燥性の評価基準は以下のとおり。
○:乾燥時間が300秒以下であれば、待ち時間が少なく乾燥性が良い。
×:乾燥時間が300秒超であれば、待ち時間が長く作業性に支障をきたすため乾燥性が良くない。
【0136】
〔耐熱性の評価〕
作製した表面コートセパレータの試料縦10cm×横10cmを120℃の恒温槽中に8時間保管して加温した後、試料の縦横それぞれの長さを測定して収縮率を算出した。耐熱性の評価基準は以下のとおり。表面コートセパレータの耐熱性は縦あるいは横のいずれか小さい方の収縮率で評価した。
収縮率(%)=(8時間加温後の表面コートセパレータの縦あるいは横の長さ/10)×100
◎:収縮率が95%以上であり、耐熱性が特に優れている。
〇:収縮率が90%以上95%未満であり、耐熱性に優れる。
△:収縮率が80%以上90%未満であり、耐熱性に劣る。
×:収縮率が80%未満であり、耐熱性に劣る。
【0137】
〔結着性の評価〕
(セパレータの場合)
実施例及び比較例で得られたセパレータ上のスラリー付着面に幅38mmのセロハンテープ(JIS Z1522に規定されるもの)を貼り付け20℃にて100g/cm
2の荷重を1時間かける。得られた試料について、セパレータの一端を、そのセパレータの一端と対向する端部に向かって180°方向に引張り速度100mm/分で引張って剥がし、そのときの応力を測定した。測定を3回行い、その平均値を求めてこれをピール強度とし、下記の基準により評価した。ピール強度が大きいほど、スラリー乾燥膜とセパレータ基材との結着力が大きいことを示す。
◎:ピール強度が1.0 N/38mm以上であり、結着性が特に優れている。
〇:ピール強度が0.5 N/38mm以上であり、結着性に優れる。
△:ピール強度が0.1 N/38mm以上であり、結着性に劣る。
×:ピール強度が0.1 N/38mm未満であり、結着性が特に劣っている。
(電極の場合)
実施例及び比較例の方法にて電極活物質層の表面に本発明のスラリーを塗工する際、スラリー非塗工面を残して実施する。セパレータ上のスラリー付着面に幅38mmのセロハンテープ(JIS Z1522に規定されるもの)を貼り付け20℃にて100g/cm
2の荷重を1時間かける。得られた試料について、電極板の一端を、その電極板の一端と対向する端部に向かって180°方向に引張り速度100mm/分で引張って剥がし、そのときの応力を測定した。一方同試料のスラリー非付着面に対しても同様の手順でピール強度を測定し、それぞれの値を比較し、下記の基準により評価した。スラリー付着面がスラリー非付着面よりピール強度が高い場合は充分な結着性を持っているものと判断できる。
○:スラリー付着面のピール強度 > スラリー非付着面のピール強度であり結着性に優れる
△:スラリー付着面のピール強度 = スラリー非付着面のピール強度であり結着性に劣る。
×:スラリー付着面のピール強度 < スラリー非付着面のピール強度であり結着性に劣る。
【0138】
〔電解液の保液性の評価〕
接触角計(協和界面科学株式会社製、品番DM−901)を用いて、表面コートセパレータ、正極、負極のいずれかににエチレンカーボネートとジメチルカーボネートの当量混合液を滴下して1600msec経過時の接触角を測定して評価した。
◎:接触角が20°未満であり、電解液の保液性が特に優れている。
〇:接触角が20°以上30°未満であり、電解液の保液性に優れる。
△:接触角が30°以上40°未満であり、電解液の保液性に劣る。
×:接触角が40°以上であり、電解液の保液性が特に劣っている。
【0139】
(正極板の製造)
コバルト酸リチウム95g、アセチレンブラック5gとバインダーとしてPVDFのNMP(N−メチルピロリドン)溶液を固形分相当で3g、NMPを加えて全固形分を70%になるように混合した。これを膜厚20μmのアルミ箔に塗布し、150℃のオーブン中で乾燥させて二次電池用正極板を得た。
【0140】
(負極板の製造)
グラファイト95g、アセチレンブラック5gとバインダーとしてカルボキシルメチルセルロース水溶液を固形分相当で1.2g、スチレンブタジエン共重合体水分散体を固形分相当で1.8g、水を加えて全固形分を70%になるように混合した。これを膜厚18μmの銅箔に塗布し、150℃のオーブン中で乾燥させて二次電池用負極板を得た。
【0141】
〔成分(A)〕
実施例および比較例で用いた成分(A)と製造比較例について、それらの具体的な製造方法および物性を以下の表1の製造例A−1〜A−5及びH−1に示す。
【0142】
【表1】
【0143】
〔成分(B)〕
実施例および比較例で用いた成分(B)について、それらの具体的な物性を以下の表2のB−1〜B−5に示す。
【0144】
【表2】
【0145】
〔レオロジー調整剤(C)〕
レオロジー調整剤としてカルボキシメチルセルロース(エーテル化度0.7、20℃における1重量%濃度の粘度10mPa・s)のものを使用した。
【0146】
〔消泡剤〕
実施例および比較例で用いた消泡剤を以下に示す。
ポリシロキサン系消泡剤:ジメチルポリシロキサン、粘度100mPa・s
シリカ微粉末系消泡剤:トリメチルエトキシシランにより疎水化処理されたシリカ微粉末
鉱物油系消泡剤:パラフィン系鉱物油
【0147】
〔無機粒子〕
実施例および比較例で用いた無機粒子を以下に示す。
αアルミナ1:一次粒子径0.3μm、BET比表面積8.4m
2/g
αアルミナ2:一次粒子径0.8μm、BET比表面積4.9m
2/g
γアルミナ:一次粒子径0.3μm、BET比表面積4.7m
2/g
θアルミナ:一次粒子径0.3μm、BET比表面積5.3m
2/g
【0148】
〔製造例A−1〕
まず、重合性単量体として、15gのアクリル酸、5gのアクリロニトリルおよび80gのアクリルアミドを準備し、乳化剤として、2.0gのアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ塩を準備した。
上記で準備した重合性単量体および乳化剤と、400gのイオン交換水とをホモジナイザーで混合攪拌し、500mlのセパラブルフラスコ中で窒素気流下、80℃で3時間反応して成分A−1を得た。この成分A−1は、水溶性であって、不揮発分濃度20.3重量%、粘度18000mPa・s、熱重量測定5.4%、ガラス転移点157℃であった。
〔製造例A−2〜A−5、製造比較例H−1〕
製造例A−2〜A−5、製造比較例H−1では、製造例A−1において、上記表2に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、製造例A−1と同様に水溶性高分子をそれぞれ得て、物性等も製造例A−1と同様に評価した。
【0149】
〔製造例1〕
成分(A)である水溶性高分子A−1を5g含む高分子水溶液の25gと、成分(B)であるB−1の5gと、レオロジー調整剤(C)として前述のカルボキシルメチルセルロース10gとPOE(12)ラウリルエーテルの1gと、イオン交換水160gを均一に混合して、二次電池スラリー用分散剤組成物を得た。イオン交換水の量は高分子成分に含まれるイオン交換水と合わせて180gであった。二次電池スラリー用分散剤組成物は、不揮発分濃度10.4%、粘度1500mPa・s、pH8.0、表面張力33.6mN/m、ゼータ電位−30mV、起泡力は直後の値が80mm、5分後の値が20mm、無機酸化物板としてアルミナ板への接触角が1600msec経過時で45°、ポリオレフィン樹脂への接触角が1600msec経過時で21°であった。
〔製造例2〜17、製造比較例18〜21〕
製造例2〜17、製造比較例18〜21では、表3〜5に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、製造例1と同様に次電池スラリー用分散剤組成物をそれぞれ得て、物性等も製造例1と同様に評価した。その結果を表3〜5に示す。
【0150】
【表3】
【0151】
【表4】
【0152】
【表5】
【0153】
〔実施例1〕
無機粉末であるαアルミナ1の100gと分散剤である二次電池電極と製造例1で示した分散剤組成物の30gとイオン交換水100gを均一に混合して、二次電池スラリー組成物を得た。
得られた二次電池スラリーは、不揮発分濃度46.6重量%、粘度100mPa・s、平均粒子径380nm、ゼータ電位−48mV、起泡力は直後の値が15mm、5分後の値が5mmであった。
この二次電池スラリー組成物を用いて、二次電池スラリー用分散剤組成物の分散安定性を評価したところ、沈降物の重量が5重量%未満であり分散安定性に優れていた。
上記で得られた二次電池スラリー組成物を膜厚20μmのポリオレフィン樹脂系セパレータに塗布し、80℃のオーブン中で乾燥させた。目視による観察によると30秒未満で乾燥しており乾燥性に優れていた。乾燥後セパレータ表面を表面コートした被覆面積は95%以上であり塗布性に優れていた。表面コート膜厚は4μmであった。セパレータ表面を表面コートした表面コートセパレータは収縮率が95%以上であり、耐熱性に優れ、ピール強度1.5 N/mmで結着性に優れており、電解液の保液性にも優れていた。
また上記で得られた二次電池スラリー組成物を前記した正極および負極板に塗布し、150℃のオーブン中で乾燥させた。正負極共、目視による観察によると300秒未満で乾燥しており乾燥性に優れていた。また、乾燥後被覆面積は95%以上であり乾燥時に塗布表面のひび割れもなく、塗布性に優れていた。表面コート膜厚は3μmであった。ピール強度は塗工前の正負極板よりも高く結着性に優れており、電解液の保液性にも優れていた。
【0154】
〔実施例2〜17〕
実施例2〜17では、実施例1において、表6及び表7に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様に二次電池スラリー組成物をそれぞれ得て、物性等も実施例1と同様に評価した。その結果を表6及び表7に示す。
【0155】
【表6】
【0156】
【表7】
【0157】
〔比較例1〕
無機粉末であるαアルミナ1の100gと分散剤である二次電池電極、製造比較例で示した分散剤組成物18の30gとイオン交換水100gを均一に混合して、二次電池スラリーを得た。
得られた二次電池スラリー組成物は、不揮発分濃度44.8重量%、粘度100mPa・s、平均粒子径350nm、ゼータ電位−45mV、起泡力は直後の値が15mm、5分後の値が5mmであった。
上記で得られた二次電池スラリーを膜厚20μmのポリオレフィン樹脂系セパレータに塗布し、80℃のオーブン中で乾燥させた。表面コート膜厚は3μmであった。セパレータ表面を表面コートした表面コートセパレータは収縮率が80%であり、耐熱性が劣っていた。またセパレータのピール強度は0.1 N/mmで結着性が劣っていた。
また上記で得られた二次電池スラリー組成物を前記した正極および負極板に塗布し、150℃のオーブン中で乾燥させた。表面コート膜厚は3μmであった。ピール強度は塗工前の正負極板よりも低くなっており結着性が劣っていた。
〔比較例2〜4〕
比較例2〜4では、比較例1において、表8に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、比較例1と同様に二次電池スラリー組成物をそれぞれ得て、物性等も比較例1と同様に評価した。その結果を表8に示す。
【0158】
【表8】
【0159】
表6及び表7から分かる通り、実施例1〜17の二次電池スラリー組成物は、成分(A)、成分(B)及びレオロジー調整剤(C)を含有する二次電池スラリー用分散剤組成物であって、成分(A)が窒素原子含有単量体単位を70重量%以上含有する水溶性高分子であり、成分(B)がヒドロキシル基含有単量体単位を60〜99%含み、重合度が100〜10000である水溶性高分子であり、二次電池スラリー用分散剤組成物の不揮発分からなる成形膜の電解液膨潤後の弾性率が500MPa以上であり、成分(A)と成分(B)の混合物の不揮発分からなる成形膜の弾性率が500MPa以上であり、成分(A)と成分(B)の混合物のガラス転移点が50〜150℃である、二次電池スラリー用分散剤組成物を含むため、塗布性及び被膜の乾燥性に結着性に優れている。また、この二次電池スラリー組成物を塗工した、セパレータ、は耐熱性に優れている。
一方、表8から分かる通り、比較例1、3に示した成分(A)が無い場合、比較例2に示した成分(B)がない場合、比較例4に示したレオロジー調整剤(C)がない場合には、本願課題のいずれかが解決できていない。