(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-141662(P2020-141662A)
(43)【公開日】2020年9月10日
(54)【発明の名称】魚釣り用の錘
(51)【国際特許分類】
A01K 91/053 20060101AFI20200814BHJP
A01K 95/00 20060101ALI20200814BHJP
【FI】
A01K91/053
A01K95/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-25128(P2020-25128)
(22)【出願日】2020年2月18日
(31)【優先権主張番号】特願2019-37126(P2019-37126)
(32)【優先日】2019年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598139184
【氏名又は名称】福山 明彦
(72)【発明者】
【氏名】福山 明彦
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307EB17
2B307EB18
2B307JA08
2B307JA24
(57)【要約】
【課題】
本発明は、錘と天秤を一体とした魚釣り用の錘において、錘と天秤を一体に係合させて構成するタイプによる特有の安定姿勢による飛距離の向上というメリットを残したまま、同タイプによる特有の魚からのアタリの感度が伝わりにくいというデメリットを解消し、魚からのアタリが明確となり感度が良い魚釣り用の錘を提供することを課題としている。さらに釣り人からの操作により天秤の腕を動かすことが出来ることも課題としている。
【解決手段】
本発明は、錘と天秤を一体として係合すると同時に、吊り手に滑節点を設けることにより、魚からのアタリとなる振動を錘に吸収されにくい構成とし、滑節点による道糸連結側の吊り手の可動域に一定の制約を与えている構造とすることにより課題を解決しているものである。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錘と天秤を一体とした魚釣り用の錘であって、天秤の線材による吊り手と、前記吊り手に固定されて枝分かれする天秤の線材による腕と、前記吊り手に係合された錘本体で構成され、前記吊り手は錘本体内部で滑節点となる部位を有し、その滑節点から一方の錘先端側の吊り手は錘本体に係合され、もう一方の道糸連結側の吊り手は、吊り手が錘本体の道糸連結側の端部から出たところで前記腕が固定され、腕の端部には仕掛けを連結する環があり、吊り手の道糸連結側の端部には道糸を連結する環を有している。前記錘本体は、吊り手の前記滑節点から錘本体の道糸連結側の端部までを空洞としており、滑節点による道糸連結側の吊り手の動きを固定しないものとすると同時に、吊り手の滑節点から錘本体出口の間を軟質部材で吊り手を囲み、その軟質部材を錘本体の前記空洞で囲むことにより吊り手の振り幅となる可動域に一定の制約を与えている事を特徴とする魚釣り用の錘。
【請求項2】
錘と天秤を一体とした魚釣り用の錘であって、天秤の線材による吊り手と、前記吊り手に固定されて枝分かれする天秤の線材による腕と、前記吊り手に係合された錘本体を備えており、前記吊り手は錘本体から出る位置で滑節点となる部位を有し、その滑節点から一方の錘側の吊り手は錘本体に係合され、もう一方の道糸連結側の吊り手は、前記腕が固定され、腕の端部には仕掛けを連結する環があり、吊り手の道糸連結側の端部には道糸を連結する環を有している。前記の滑節点による道糸連結側の吊り手の動きを固定しないものとすると同時に、前記滑節点で連結された双方の吊り手は、共に吊り手の軸の径方向に厚みを増した振れ止め部材で囲われており、この双方の振れ止め部材の面と面が滑節点を挟んで隙間を有して向き合っており、滑節点を軸に道糸連結側の吊り手が振れると、この面と面が近接していくことにより、吊り手の振り幅となる可動域に一定の制約を与えている事を特徴とする魚釣り用の錘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錘と天秤を一体とした魚釣り用の錘に関する。
【背景技術】
【0002】
錘と天秤が一体となっているタイプの魚釣り用の錘では、一体となっていないものに対して、比較的、飛距離が長いというメリットがある反面、魚からのアタリがわかりにくく感度が悪いというデメリットがあった。
【0003】
理由として、錘と天秤が一体であるが故に、魚からのアタリとなる振動が道糸を通して竿に伝達される前に、その振動が錘に吸収されてしまうということが問題であった。
【0004】
特許物件1に記載されている錘と天秤が一体のものがあるが、前述のように、魚からのアタリとなる振動が天秤から道糸を通して竿に伝達される前に、その振動が天秤から錘に吸収されやすいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開1993−56732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、錘と天秤を一体とした魚釣り用の錘において、錘と天秤を一体に係合させて構成するタイプによる特有の安定姿勢による飛距離の向上というメリットを残したまま、同タイプによる特有の魚からのアタリの感度が伝わりにくいというデメリットを解消した魚釣り用の錘を提供することを課題としている。具体的には以降の第1から第2の課題を全て解決するものである。
【0007】
第1の課題として、錘と天秤が一体でなく連結するタイプの天秤では、飛行時の姿勢において錘と天秤が独立して揺れるため飛行時の安定姿勢に入るのに時間が掛かり初期段階で失速し飛距離が望めないものであった。したがって、錘と天秤が一体となって係合されており、飛行時の安定姿勢による飛距離向上に繋がることを第1の課題としている。
【0008】
第2の課題として、前述の錘と天秤が一体となっている天秤では、魚からのアタリが振動として天秤の腕に伝わり、それが天秤の吊り手に伝わり、それが道糸に伝わって竿に伝達される前に、吊り手から錘側に振動が吸収されやすいという問題があった。この錘側に吸収される振動を軽減することを第2の課題としている。
【0009】
また、従来の天秤は、海底において、釣り人が天秤の後ろに繋がる仕掛けを動かしたい場合には、仕掛けは錘と同時に動かすしかなく、錘を動かさないで、天秤と仕掛けだけを俊敏に動かすことは出来なかった。つまり魚への誘いとなる仕掛けの動きは錘の鈍い動きに同調するしかなかった。この課題について、前述の第1の課題と第2の課題を全て解決した上で、さらに釣り人による道糸の操作によって、魚釣り用の錘を動かすことなく、天秤の腕だけを俊敏に動かすことが可能となることを第3の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題を解決するために、すなわち、錘と天秤を一体とした魚釣り用の錘において、錘と天秤を一体に係合させて構成するタイプによる特有の安定姿勢による飛距離の向上というメリットを残したまま、同タイプによる特有の魚からのアタリの感度が伝わりにくいというデメリットを解消するため、以下の手段により解決している。
【0011】
第1の手段は、全体構成として、天秤の線材による吊り手と、前記吊り手に固定されて枝分かれする天秤の線材による腕と、前記吊り手に係合された錘本体で構成され、前記吊り手は錘本体(2)の内部で滑節点となる部位を有し、その滑節点から一方の錘先端側の吊り手(7a)は錘本体(2)に係合され、もう一方の道糸連結側の吊り手(7b)は、道糸連結側の吊り手(7b)が錘本体(2)の道糸連結側の端部から出たところで天秤の腕(8)が固定され、天秤の腕(8)の端部には仕掛けを連結する環があり、道糸連結側の吊り手(7b)の端部には道糸を連結する環を有している。前記錘本体(2)は、吊り手の滑節点から錘本体の道糸連結側の端部までを空洞としており、滑節点による道糸連結側の吊り手(7b)の動きを固定しないものとすると同時に、吊り手の滑節点から錘本体出口の間を軟質部材(10)で吊り手(7b)を囲み、その軟質部材(10)を錘本体(2)の前記空洞で囲むことにより道糸連結側の吊り手(7b)の振り幅となる可動域に一定の制約を与えている。
【0012】
第2の手段は、全体構成として、天秤の線材による吊り手と、前記吊り手に固定されて枝分かれする天秤の線材による腕と、前記吊り手に係合された錘本体を備えており、前記吊り手は錘本体(2)から出る位置で滑節点となる部位を有し、その滑節点から一方の錘先端側の吊り手(7a)は錘本体(2)に係合され、もう一方の道糸連結側の吊り手(7b)は、前記腕(8)が固定され、天秤の腕(8)の端部には仕掛けを連結する環があり、道糸連結側の吊り手(7b)の端部には道糸を連結する環を有している。前記滑節点による道糸連結側の吊り手(7b)の動きを固定しないものとすると同時に、前記滑節点で連結された双方の吊り手は、共に吊り手の軸の径方向に厚みを増した振れ止め部材で囲われており、この双方の振れ止め部材の面と面が滑節点を挟んで隙間を有して向き合っており、滑節点を軸に道糸連結側の吊り手(7b)が振れると、この面と面が近接していくことにより、道糸連結側の吊り手(7b)の振り幅となる可動域に一定の制約を与えている。
【0013】
このように、第1の手段と第2の手段は、共に錘と天秤を一体として係合すると同時に、吊り手に滑節点を設けることにより、魚からのアタリとなる振動を錘に吸収されにくいものとすると同時に、滑節点による道糸連結側の吊り手(7b)の可動域に一定の制約を与えていることにより飛行時の安定姿勢を得ており、第1の課題と第2の課題の全てを解決している。
【0014】
また、第2の手段に付加することにより第3の課題を解決するものとして、道糸連結側の吊り手(7b)の可動域を、天秤の腕(8)が魚から引かれる方向に振れる道糸連結側の吊り手(7b)の角度と、投げ釣りにおいて空中を飛行中に天秤の腕(8)が空気抵抗を受けて振れる道糸連結側の吊り手(7b)の角度において、その可動域を個別に制約し、さらに押しバネを組み込むことで、釣り人が道糸を張っていないことで道糸連結側の吊り手(7b)に道糸からの張力が掛かっていない無負荷状態では、その押しバネの反発力により、道糸連結側の吊り手(7b)は天秤の腕(8)側に斜倒した姿勢となるものとしている。逆に釣り人により道糸が張られ道糸連結側の吊り手に道糸からの張力が掛かると、押しバネ(12)の反発力を超える逆向きの作用が働き、錘先端側の吊り手(7a)と道糸連結側の吊り手(7b)が直線的に並ぶ姿勢となるものとしている。このようにすることで第1の課題、第2の課題及び第3の課題の全てを解決している。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、錘と天秤が一体としている錘においても魚からのアタリが良く伝わる魚釣り用の錘を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態を示す断面の概略斜視図である。
【
図2】第2の実施形態を示す断面の概略斜視図である。
【
図3】本発明の滑節点の構造の一例を示す概略斜視図である。(その1)
【
図4】本発明の滑節点の構造の一例を示す概略斜視図である。(その2)
【
図5】本発明の滑節点の構造の一例を示す概略斜視図である。(その3)
【
図6】第3の実施形態を示す断面の概略斜視図である。
【
図7】第4の実施形態を示す断面の概略斜視図である。(道糸からの張力が無負荷の場合)
【
図8】第4の実施形態を示す断面の概略斜視図である。(道糸からの張力が掛かった場合)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
第1の実施形態として、
図1に断面の概略斜視図を示している。
【0019】
図1において、本発明の第1の実施形態による魚釣り用の錘(1A)は、錘本体(2)が錘体(3)とキャップ(4)で構成される場合であって、キャップ(4)は錘体(3)に対して比重が軽い木材や樹脂によるものであり、錘体(3)の道糸連結側に、前記キャップ(4)が同軸に係合されている場合の実施形態である。
【0020】
全体構成として、天秤の線材による吊り手と、前記吊り手に固定されて枝分かれする天秤の線材による腕と、前記吊り手に係合された錘本体で構成され、錘本体(2)は、錘体(3)の道糸連結側に同軸でキャップ(4)が係合されており、前記吊り手はキャップ(4)の内部で滑節点となる部位を有し、その滑節点から一方の錘先端側の吊り手(7a)は錘体(3)に係合され、もう一方の道糸連結側の吊り手(7b)は、道糸連結側の吊り手(7b)がキャップ(4)の道糸連結側の端部から出たところで結束バネ(9)により天秤の腕(8)と結束し固定され、天秤の腕(8)の端部には仕掛けを連結する環があり、道糸連結側の吊り手(7b)の端部には道糸を連結する環を有しており、錘本体(2)のキャップ(4)は、吊り手の前記滑節点から道糸連結側の端部までを空洞としており、滑節点による吊り手の動きを固定しないものとすると同時に、吊り手の滑節点からキャップ(4)の道糸連結側の出口の間を軟質部材(10)で吊り手を囲み、その軟質部材(10)をキャップ(4)の前記空洞で囲むことにより道糸連結側の吊り手(7b)の振り幅となる可動域に一定の制約を与えている。軟質部材(10)は魚のアタリによる道糸連結側の吊り手(7b)に掛かる負荷で変形することが出来る軟質の材質としている。
【0021】
軟質部材(10)を介して吊り手(7b)を囲むことで、天秤の腕(8)に負荷が掛かっていないときには、吊り手(7b)はキャップ(4)と同軸の位置に中立に保持され、天秤の腕(8)に負荷が掛かった場合には、軟質部材(10)が潰れて変形するため、魚からのアタリとなる僅かな振動が錘本体(2)に吸収されにくくなるものである。
【0022】
このように、錘と天秤を一体として係合すると同時に、吊り手に滑節点を設けることにより、魚からのアタリとなる振動を錘に吸収されにくい構成とし、滑節点による道糸連結側の吊り手の可動域に一定の制約を与えていることにより第1の課題と第2の課題の全てを解決しているものである。
【0023】
(第2の実施形態)
第2の実施形態として、
図2に断面の概略斜視図を示している。
【0024】
図2において、本発明の第2の実施形態による魚釣り用の錘(1B)は、
錘本体(2)が錘体(3)と円筒ケース(5)と円筒ケースストッパー(6)で構成される場合であって、
錘体(3)が鉛の場合であり、その錘体(3)の鉛を鋳込む時点で金属製の円筒ケース(5)と円筒ケースストッパー(6)が挿入されて鋳込まれる場合の実施形態である。
【0025】
全体構成として、天秤の線材による吊り手と、前記吊り手に固定されて枝分かれする天秤の線材による腕と、前記吊り手に係合された錘本体で構成され、錘本体(2)は、錘体(3)の道糸連結側に同軸で円筒ケース(5)が係合されており、錘体(3)の鉛を鋳込む際に鉛がその円筒ケース(5)の内側空洞部に鉛が流れ込まないように円筒ケース(5)の蓋として円筒ケースストッパー(6)が挿入され蓋されており、前記吊り手は円筒ケース(5)の内部で滑節点となる部位を有し、その滑節点から一方の錘先端側の吊り手(7a)は錘体(3)に係合され、もう一方の道糸連結側の吊り手(7b)は、道糸連結側の吊り手(7b)が円筒ケース(5)の道糸連結側の端部から出たところで結束バネ(9)により天秤の腕(8)と結束し固定され、天秤の腕(8)の端部には仕掛けを連結する環があり、道糸連結側の吊り手(7b)の端部には道糸を連結する環を有している。前記錘本体(2)の円筒ケース(5)は、吊り手の前記滑節点から道糸連結側の端部までを空洞としており滑節点による吊り手の動きを固定しないものとすると同時に、吊り手の滑節点から円筒ケース(5)の道糸連結側の出口の間を軟質部材(10)で道糸連結側の吊り手(7b)を囲み、その軟質部材(10)を円筒ケース(5)の前記空洞で囲むことにより道糸連結側の吊り手(7b)の振り幅となる可動域に一定の制約を与えている。軟質部材(10)は魚のアタリによる道糸連結側の吊り手(7b)に掛かる負荷で変形することが出来る軟質の材質としている。
【0026】
軟質部材(10)を介して吊り手(7b)を囲むことで、天秤の腕(8)に負荷が掛かっていないときには、吊り手(7b)は円筒ケース(5)と同軸の位置に中立に保持され、天秤の腕(8)に負荷が掛かった場合には、軟質部材(10)が潰れて変形するため、魚からのアタリとなる僅かな振動が錘本体(2)に吸収されにくくなるものである。
【0027】
このように、錘と天秤を一体として係合すると同時に、吊り手に滑節点を設けることにより、魚からのアタリとなる振動を錘に吸収されにくい構成とし、滑節点による道糸連結側の吊り手の可動域に一定の制約を与えていることにより第1の課題と第2の課題の全てを解決しているものである。
【0028】
(吊り手の滑節点の構造)
吊り手の滑節点の代表的な構造として、
図3、
図4、
図5に概略斜視図を示している。
【0029】
図3は、前述の第1の実施形態と第2の実施形態と同じ構造によるもので、錘先端側の吊り手(7a)の線材端部を曲げて環を形成し、同じく、道糸連結側の吊り手(7b)の線材端部を曲げて環を形成し、その環と環を鎖状に連結することにより、吊り手に滑節点を設けている場合である。
【0030】
図4は、錘先端側の吊り手(7a)と、道糸連結側の吊り手(7b)を猿環で連結することにより、吊り手に滑節点を設けている場合である。本発明の目的からすると、猿環によって、錘先端側の吊り手(7a)と道糸連結側の吊り手(7b)が、自由に軸回転する必要はないものの、滑節点としての構造としての機能を果たすものである。
【0031】
図5は、錘先端側の吊り手(7a)の線材端部を曲げて環を形成し、道糸連結側の吊り手(7b)の線材端部を曲げてU字環を形成し、その環とU字環を鎖状に連結することにより、吊り手に滑節点を設けている場合である。道糸連結側の吊り手(7b)のU字環の線材は、そのまま部材を延長して、天秤の腕(8)として枝分かれする位置で、結束バネ(9)により道糸連結側の吊り手(7b)と天秤の腕(8)と結束し固定しており、道糸連結側の吊り手(7b)と天秤の腕(8)を同一部材として構成している場合である。
【0032】
(第3の実施形態)
第3の実施形態として、
図6に断面の概略斜視図を示している。
【0033】
図6において、本発明の第3の実施形態による魚釣り用の錘(1C)は、錘本体(2)が錘体(3)とキャップ(4)で構成される場合であって、キャップ(4)は錘体(3)に対して比重が軽い木材や樹脂によるものであり、錘体(3)の道糸連結側に、前記キャップ(4)が同軸に係合されている場合の実施形態である。
【0034】
全体構成として、天秤の線材による吊り手と、前記吊り手に固定されて枝分かれする天秤の線材による腕と、前記吊り手に係合された錘本体で構成され、錘本体(2)は、錘体(3)の道糸連結側に同軸でキャップ(4)が係合されており、前記吊り手は、キャップ(4)から出る位置で滑節点となる部位を有し、その滑節点から一方の錘先端側の吊り手(7a)は錘体(3)に係合され、もう一方の道糸連結側の吊り手(7b)には、結束バネ(9)により天秤の腕(8)と結束し固定され、天秤の腕(8)の端部には仕掛けを連結する環があり、道糸連結側の吊り手(7b)の端部には道糸を連結する環を有しており、前記滑節点を中心とした道糸連結側の吊り手(7b)の振れる動きを固定しないものとすると同時に、前記滑節点で連結された双方の吊り手は、共に吊り手の軸の径方向に厚みを増した振れ止め部材で囲われており、道糸連結側の吊り手(7b)には、道糸連結側の振れ止め部材(11)を有し、錘先端側の吊り手(7a)には、錘本体側の振れ止め部材としてキャップ(4)を兼用しており、この双方の振れ止め部材の面と面、つまり、吊り手の軸に垂直な振れ止め面となる道糸連結側の振れ止め面(11a)と錘本体側の振れ止め面(4a)が滑節点を挟んで隙間を有して向き合っており、滑節点を軸に道糸連結側の吊り手(7b)が振れると、この面と面が近接していくことにより、道糸連結側の吊り手(7b)の振り幅となる可動域に一定の制約を与えている。
【0035】
さらにリング形状の軟質部材(10)を振れ止め部材の面と面の隙間に挟むことで、天秤の腕(8)に負荷が掛かっていないときには、吊り手(7b)はキャップ(4)と同軸の位置に中立に保持され、天秤の腕(8)に負荷が掛かった場合には、軟質部材(10)が潰れて変形するため、魚からのアタリとなる僅かな振動が錘本体(2)に吸収されにくくなるものである。
【0036】
このように、錘と天秤を一体として係合すると同時に、吊り手に滑節点を設けることにより、魚からのアタリとなる振動を錘に吸収されにくい構成とし、滑節点による道糸連結側の吊り手の可動域に一定の制約を与えていることにより第1の課題と第2の課題の全てを解決しているものである。
【0037】
(第4の実施形態)
第4の実施形態として、
図7と
図8に断面の概略斜視図を示している。
図7は、道糸が張られ道糸連結側の吊り手(7b)に道糸からの張力が掛かっている状態を示しており、
図8は、道糸連結側の吊り手(7b)に道糸からの張力が掛かっていない無負荷状態を示しているものである。
【0038】
図7及び
図8において、本発明の第4の実施形態による魚釣り用の錘(1D)は、第3の実施形態による魚釣り用の錘(1C)のキャップ(4)について、第4の実施形態による魚釣り用の錘(1D)では、そのキャップ(4)の錘本体側の振れ止め面(4a)は天秤の腕(8)側を斜めに面取りした面としており、振れ止め部材の面と面、つまり道糸連結側の振れ止め面(11a)と錘本体側の振れ止め面(4a)が滑節点を挟んで有する隙間において、その隙間の距離を、天秤の腕(8)側と天秤の腕(8)の反対側で異なる隙間を有することにより、道糸連結側の吊り手(7b)の可動域を個別に制約しているものである。
【0039】
これにより、滑節点を軸に道糸連結側の吊り手(7b)の振り幅となる可動域において、天秤の腕(8)が魚から引かれる方向に振れる道糸連結側の吊り手(7b)の可動域を大きくすることで魚からのアタリが伝わりやすくなり、また投げて空中を飛行中に天秤の腕(8)が空気抵抗を受けて振れる道糸連結側の吊り手(7b)の可動域を小さくすることで飛行中の安定姿勢を得ることができるものとしている。
【0040】
さらに道糸連結側の振れ止め部材(11)は円筒形状のものとしており、その円筒形状の振れ止め部材(11)には、押しバネ(12)が遊嵌され、押しバネ(12)は道糸連結側の振れ止め部材(11)に圧嵌されたバネストッパー(13)と錘本体側の振れ止め面(4a)で圧縮されて組み込まれており、錘本体側の振れ止め面(4a)は前述のように天秤の腕(8)側を斜めに面取りしていることから、道糸連結側の吊り手(7b)に道糸からの張力が外力として作用していない無負荷状態では、押しバネ(12)による錘本体側の振れ止め面(4a)に作用する反発力に偏りが生じることで道糸連結側の吊り手(7b)は、
図8に示すように天秤の腕(8)側に斜倒した姿勢となるものとしている。
【0041】
また、道糸連結側の吊り手(7b)に釣り人により道糸が張られ張力が外力として作用した場合では、
図7に示すように、押しバネ(12)からの反作用に打ち勝って、錘先端側の吊り手(7a)と道糸連結側の吊り手(7b)が直線的に並ぶ姿勢となるものとしている。
【0042】
このように、釣り人による道糸の操作によって魚釣り用の錘(1D)を海底で動かすことなく、道糸連結側の吊り手(7b)に固定された天秤の腕(8)の姿勢に変化を与えられることから、天秤の腕(8)を俊敏に動かすことができるものとしている。
【0043】
例えば、釣り人が道糸を緩めて天秤の腕(8)を斜倒させた状態で潮の流れで仕掛けを送った状態をつくり、釣り人が釣り竿を軽く手で叩き竿を振動させて道糸に振動を与えることにより、天秤の腕(8)が俊敏に些細に動くため、天秤の腕(8)と繋がっている仕掛けに付いている餌を魚への誘いとして効果的に動かすことが出来るものとしている。
【0044】
前述のように、第4の実施形態では、第1の課題と第2の課題を全て解決した上で、さらに第3の課題を解決しているものである。
【0045】
なお、第4の実施形態では、滑節点の構造として、錘先端側の吊り手(7a)と道糸連結側の吊り手(7b)が自由に軸回転しない構造が必要なため
図3の滑節点の構造を採用している。
図4の滑節点の構造は採用できないものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、錘と天秤を一体としている錘において、魚からのアタリが明確となり感度が良い錘として活用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 錘と天秤が一体としている魚釣り用の錘
2 錘本体
3 錘体
4 キャップ
5 円筒ケース
6 円筒ケースストッパー
7a 錘先端側の吊り手
7b 道糸連結側の吊り手
8 天秤の腕
9 結束バネ
10 軟質部材
1A 第1の実施形態による魚釣り用の錘
1B 第2の実施形態による魚釣り用の錘
4a 錘本体側の振れ止め面
11 道糸連結側の振れ止め部材
11a 道糸連結側の振れ止め面
12 押しバネ
13 バネストッパー
1C 第3の実施形態による魚釣り用の錘
1D 第4の実施形態による魚釣り用の錘