【解決手段】アブドミナル・ホローイング促進システム10は、腹囲91における横断面方向の伸縮の度合いを検出する伸縮センサー20と、伸縮センサー20が検出したデータに基づいて、ヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かを判定する基板12A(判定装置)と、この判定の結果をヒト90に提供する情報提供システム11とを備える。
ヒトの前上腸骨きょくと肋骨下縁との間にあるへそ部を通り、かつ、前記ヒトを当該ヒトの横断面方向に取り囲むように延びる体表領域である腹囲の周長の減少を、前記ヒトが当該ヒトの腹横筋を収縮させることで実現させる姿勢であるアブドミナル・ホローイングの実践を、前記ヒトに促すアブドミナル・ホローイング促進システムであって、
前記腹囲における周長の伸縮の度合いを検出する伸縮センサーと、
前記伸縮センサーが検出した前記伸縮の度合いのデータに基づいて、前記ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かを判定する判定処理を実行する判定装置と、
前記判定装置における前記判定処理の結果を前記ヒトに情報として提供する情報提供システムと、
を備えている、
アブドミナル・ホローイング促進システム。
ヒトの前上腸骨きょくと肋骨下縁との間にあるへそ部を通り、かつ、前記ヒトを当該ヒトの横断面方向に取り囲むように延びる体表領域である腹囲に対し、当該腹囲における周長の伸縮の度合いを出力することが可能な伸縮センサーであって、
前記腹囲に取り付けられることで当該腹囲に密着した状態にフィットし、かつ、当該腹囲の前記伸縮に追従して弾性的に伸び縮みできるように構成された取り付け部材と、
前記取り付け部材に取り付けられることで前記腹囲に沿って前記横断面方向に延びるように配設され、かつ、前記伸縮に伴う張力がかかるように構成されて当該張力に応じて静電容量を変化させるコンデンサーと、
前記コンデンサーの前記静電容量を前記伸縮の度合いを表すデータとして出力する出力部と、
を備えている、
伸縮センサー。
請求項2に記載されたアブドミナル・ホローイング促進システムに適用されて、前記コンデンサーの前記静電容量に基づいて前記判定処理を実行する機能を、前記判定装置に実現させるプログラムであって、
前記判定装置に、
前記コンデンサーの前記静電容量のデータを取得する取得機能と、
前記取得機能により取得された前記静電容量のデータのうち、前記ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かの境界となる状態となったタイミングにおける前記静電容量のデータをしきい値として設定するしきい値設定機能と、
前記取得機能により取得された前記静電容量のデータと前記しきい値とを対比して前記判定処理を実行する判定機能と、
を実現させる、
プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および特許文献2に記載されている姿勢の検出手法は、ヒトの所定の身体部位における傾きの情報に基づいて、このヒトが所定の姿勢を実践している状態を検出する、というものである。この検出手法は、アブドミナル・ホローイングなどの、姿勢の実践のいかんが身体部位における傾きの情報に反映されない姿勢を検出できず、それゆえにヒトにアブドミナル・ホローイングの実践を促す用途に供することができない。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、ヒトにアブドミナル・ホローイングの実践を促すことを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における1つの特徴によると、腹囲の周長の減少を、ヒトがこのヒトの腹横筋を収縮させることで実現させる姿勢であるアブドミナル・ホローイングの実践を、ヒトに促すアブドミナル・ホローイング促進システムが提供される。ここで、腹囲は、ヒトの前上腸骨きょくと肋骨下縁との間にあるへそ部を通り、かつ、ヒトをこのヒトの横断面方向に取り囲むように延びる体表領域である。上記アブドミナル・ホローイング促進システムは、腹囲における周長の伸縮の度合いを検出する伸縮センサーを備えている。また、上記アブドミナル・ホローイング促進システムは、伸縮センサーが検出した伸縮の度合いのデータに基づいて、ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かを判定する判定処理を実行する判定装置を備えている。また、上記アブドミナル・ホローイング促進システムは、判定装置における判定処理の結果をヒトに情報として提供する情報提供システムを備えている。
【0009】
上記のアブドミナル・ホローイング促進システムは、腹囲の周長における伸縮の度合いに基づいてアブドミナル・ホローイングを実践していない状態を検出したときにその情報をヒトに提供する。したがって、アブドミナル・ホローイング促進システムを、ヒトにアブドミナル・ホローイングの実践を促す用途に供することができる。
【0010】
上記のアブドミナル・ホローイング促進システムにおける1つ目の好ましい実施形態では、伸縮センサーは、腹囲における伸縮に伴う張力に応じて静電容量を変化させるコンデンサーを備え、判定装置は、上記コンデンサーの静電容量に基づいて判定処理を実行する。
【0011】
この場合、アブドミナル・ホローイング促進システムは、伸縮センサーにおけるコンデンサーの静電容量の変化からヒトの腹囲の伸縮に伴う張力を検出し、この検出結果に基づいて、ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かを判定する。これにより、伸縮センサーにおいて機械的な駆動要素を不要とし、その耐久性を向上させることができる。
【0012】
上記のアブドミナル・ホローイング促進システムにおける2つ目の好ましい実施形態では、情報提供システムは、伸縮センサーが検出したデータから無線出力が可能なシグナルを得て、このシグナルを無線出力する無線出力装置を備えている。また、情報提供システムは、無線出力装置のシグナルを受信し、このシグナルから上記情報を得て、この情報をヒトに提供する情報提供装置と備えている。
【0013】
この場合、ヒトに情報を提供する情報提供装置をアブドミナル・ホローイング促進システムにおける他の構成から分離させ、もって情報提供装置の取り回しを容易にすることができる。
【0014】
上記各構成においては、判定装置は、伸縮センサーが検出した伸縮の度合いのデータが、前もって設定された第1のしきい値と第2のしきい値との間にあるときに、ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあると判定することが好ましい。
【0015】
アブドミナル・ホローイングは、ヒトが自身の腹横筋を収縮させることで腹囲の周長を減少させる姿勢であるが、この腹囲の周長の減少がやりすぎの状態になると、ヒトにおける内腹斜筋の過活動などの理由により、アブドミナル・ホローイングが実践されない状態となる。したがって、上記の場合には、ヒトにおける腹囲の周長の減少が不十分である状態とやりすぎの状態との両方において、ヒトにアブドミナル・ホローイングを実践するよう促すことができる。
【0016】
また、腹囲における周長の伸縮の度合いを出力することが可能な伸縮センサーの発明も提供される。ここで、上記腹囲は、ヒトの前上腸骨きょくと肋骨下縁との間にあるへそ部を通り、かつ、ヒトをこのヒトの横断面方向に取り囲むように延びる体表領域である。また、伸縮センサーは、上記腹囲に取り付けられることでこの腹囲に密着した状態にフィットし、かつ、上記腹囲の伸縮に追従して弾性的に伸び縮みできるように構成された取り付け部材を備えている。また、伸縮センサーは、上記取り付け部材に取り付けられることで上記腹囲に沿って横断面方向に延びるように配設され、かつ、上記伸縮に伴う張力がかかるように構成されてこの張力に応じて静電容量を変化させるコンデンサーを備えている。また、伸縮センサーは、コンデンサーの静電容量を上記伸縮の度合いを表すデータとして出力する出力部を備えている。
【0017】
上記の伸縮センサーによれば、コンデンサーの静電容量の変化からヒトの腹囲の伸縮に伴う張力を検出し、それをヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かの判定を可能とするデータとして出力する。したがって、上記の伸縮センサーを使うことで、機械的な駆動要素を使うことなく、ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かを検出することができる。
【0018】
ところで、ヒトの腹囲は、その横断面方向の伸縮を妨げる骨格が存在しない体表領域であるため、ヒトにおける他の体表領域と比して横断面方向の伸縮の度合いが大きくなるものである。ここで、上記の伸縮センサーでは、腹囲の伸縮に追従して弾性的に伸び縮みできる取り付け部材を腹囲に密着した状態にフィットさせ、この取り付け部材に腹囲の伸縮の度合いを表すデータとなる静電容量を変化させるコンデンサーを取り付ける。したがって、上記の伸縮センサーによれば、上記コンデンサーにおける腹囲からの浮き上がりを取り付け部材により抑え、もってこの浮き上がりにより生じる、腹囲の伸縮の度合いを表すデータのずれを減らすことができる。
【0019】
また、上述した1つ目の好ましい実施形態のアブドミナル・ホローイング促進システムに適用されて、上記コンデンサーの静電容量に基づいて上記判定処理を実行する機能を、上記判定装置に実現させるプログラムの発明も提供される。このプログラムは、上記コンデンサーの静電容量のデータを取得する取得機能を、上記判定装置に実現させる。また、上記プログラムは、上記取得機能により取得された静電容量のデータのうち、ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かの境界となる状態となったタイミングにおける静電容量のデータをしきい値として設定するしきい値設定機能を、上記判定装置に実現させる。また、上記プログラムは、上記取得機能により取得された静電容量のデータと上記しきい値とを対比して上記判定処理を実行する判定機能を、上記判定装置に実現させる。
【0020】
上記のプログラムによれば、アブドミナル・ホローイング促進システムを使用するヒトは、アブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かの境界となる状態を基準にして、アブドミナル・ホローイングの実践のいかんを判定することができる。
【0021】
上記のプログラムにおける好ましい実施形態では、上記しきい値設定機能において、ヒトが腹囲の周長を減少させてアブドミナル・ホローイングを実践している状態になったタイミングにおける静電容量のデータが、上記しきい値である第1のしきい値とされる。また、上記しきい値設定機能において、アブドミナル・ホローイングを実践している状態のヒトが腹囲の周長をさらに減少させてアブドミナル・ホローイングを実践していない状態になったタイミングにおける静電容量のデータが、上記しきい値である第2のしきい値とされる。また、判定機能においては、取得機能により取得された静電容量のデータが第1のしきい値と第2のしきい値との間にあるときに、ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあると判定される。
【0022】
この場合、ヒトにおける腹囲の周長の減少が不十分である状態とやりすぎの状態との両方において、ヒトにアブドミナル・ホローイングを実践するよう促すことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ヒトにアブドミナル・ホローイングの実践を促すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。一実施形態にかかるアブドミナル・ホローイング促進システム10は、ヒト90が自身の腹横筋(図示せず)を収縮させることで腹囲91の横断面方向(
図1参照)における周長の減少を実現させる姿勢(exercise)であるアブドミナル・ホローイングの実践を、ヒト90に促す用途に供される。ここで、腹囲91は、
図1に示すように、ヒト90の前上腸骨きょくと肋骨下縁との間にあるへそ部91Aを通り、かつ、ヒト90をその横断面方向に取り囲むように延びる体表領域(
図1では、へそ部91Aの周辺において2本の仮想線に上下から挟まれた、左右方向に延びる体表領域)である。
【0026】
アブドミナル・ホローイング促進システム10は、
図2および
図3に示すように、ヒト90の腹囲91に巻き付けられる(
図2参照)ベルト22を含んでなる伸縮センサー20と、ヒト90に情報を提供する情報提供装置であるスマートフォン12を含んでなる情報提供システム11と、を有している。
【0027】
伸縮センサー20において、ベルト22は、その両端に面ファスナー22A(
図3参照)が取り付けられた面ファスナー式の長尺のベルトであり、ヒト90の腹囲91に沿って横断面方向(
図2では左右方向)に延びるように巻き付けられる。また、ベルト22は、その長手方向(
図3では左右方向)に弾性的に伸び縮みできるように構成されている。これにより、ベルト22は、ヒト90の腹囲91に沿って巻き付けられたときにこの腹囲91に密着した状態にフィットし(
図2参照)、この腹囲91における周長の伸縮に追従して弾性的に伸び縮みできるようになっている。
【0028】
また、伸縮センサー20のベルト22には、このベルト22の長手方向に沿って、長尺のひもをなすように形成されたコンデンサー21が取り付けられている。このコンデンサー21は、ベルト22を取り付け部材として取り付けられることで、このベルト22をヒト90の腹囲91に沿って巻き付けたときに、この腹囲91に沿って横断面方向(
図2では左右方向)に延びるように配設される。これにより、コンデンサー21には、腹囲91における周長の伸縮に追従して弾性的に伸び縮みされるベルト22を介して、腹囲91における周長の伸縮に伴う張力がかかる。
【0029】
また、コンデンサー21は、腹囲91における周長の伸縮に伴う張力がかかったときに、この張力に応じて静電容量を変化させるように構成されている。このようなコンデンサーの例としては、特開2017−146242号公報に記載のある、導電糸における各導体間の距離が変化するように伸び縮みされることで、この各導体間の静電容量を変化させる組みひも組織が挙げられる。
【0030】
また、コンデンサー21は、ケーブル21Aを介して内蔵バッテリー(図示せず)を備えた出力部20Aに接続されている。この出力部20Aは、その内蔵バッテリーに蓄電された電気エネルギーを利用してコンデンサー21に所定の周波数の電圧パルスを印加することで、このコンデンサー21の静電容量をリアルタイムで測定する。そして、出力部20Aは、測定したコンデンサー21の静電容量を、腹囲91(
図2参照)における周長の伸縮の度合いを表すデータとして情報提供システム11にリアルタイムで出力する。
【0031】
情報提供システム11は、伸縮センサー20の出力部20Aが出力するデータを、この出力部20Aに隣接して設けられた無線出力装置11Aにて受け取る。この無線出力装置11Aは、出力部20Aの内蔵バッテリーに蓄電された電気エネルギーを利用して動作し、伸縮センサー20が検出したデータを無線出力が可能なシグナルに変換する。そして、無線出力装置11Aは、上記変換によって得られたシグナルを電波10A(
図2参照)に乗せてリアルタイムで無線出力する。
【0032】
また、情報提供システム11は、無線出力装置11Aから無線出力されるシグナルを、この無線出力装置11Aとは分離されたスマートフォン12にてリアルタイムで受信する。このスマートフォン12には、電波10A(
図2参照)をリアルタイムで受信する受信装置と、種々の演算処理を行うことが可能なコンピュータと、記録媒体であるソリッドステートドライブとが組み合わされたアッセンブリである基板12Aが内蔵されている。また、スマートフォン12は、
図3に示すように、スマートフォン12におけるマンマシンインターフェースとなるタッチパネル12Bおよびスピーカー(図示せず)と、スマートフォン12の各構成の動作に必要な電気エネルギーの供給源となるバッテリー12Cとを備えている。
【0033】
ここで、基板12Aのソリッドステートドライブには、ヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かを判定する判定処理を実行する判定装置としての機能(すなわち判定機能)を基板12Aに実現させるためのプログラムが、コンピュータ読み取り可能に記録されている。また、上記プログラムの適用により判定機能が実現される基板12Aにおける上記判定処理の結果は、スマートフォン12のマンマシンインターフェース(タッチパネル12Bおよびスピーカー)によってヒト90に情報として提供される。
【0034】
続いて、ヒト90にアブドミナル・ホローイングの実践を促す用途でアブドミナル・ホローイング促進システム10を使用する際に、上記プログラムが基板12Aに実行させる一連の各ステップについて、主に
図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0035】
アブドミナル・ホローイング促進システム10の使用に際しては、まず、アブドミナル・ホローイング促進システム10の扱いに熟達した技術者(図示せず)が、アブドミナル・ホローイングの実践が促されるべきヒト90(
図2参照)に、アブドミナル・ホローイング促進システム10の伸縮センサー20を装着させる(
図5のステップS10を参照)。この際、技術者は、伸縮センサー20のベルト22をヒト90の腹囲91に沿って横断面方向に延びるように巻き付けて、この腹囲91に密着した状態にフィットさせる(
図2参照)。
【0036】
続いて、技術者は、スマートフォン12のタッチパネル12Bを操作して、上記プログラムを基板12Aに実行させる。これに対し、基板12Aは、まず、
図5のステップS20を実行する。
【0037】
ステップS20において、基板12Aは、後述する各ステップを実行するために必要となる初期設定を行い、ステップS30に進む。この初期設定には、スマートフォン12のタッチパネル12Bに表示される操作画面30(
図4参照)を設定して表示する処理が含まれる。
【0038】
この操作画面30には、
図4に示すように、情報提供装置として機能しているスマートフォン12からのメッセージ(図示せず)が表示されるメッセージ欄30Aが設定される。また、操作画面30には、伸縮センサー20から情報提供システム11に出力されたコンデンサー21の静電容量を1本の棒グラフ31Aとして表示するためのプロットエリア31が設定される。
【0039】
また、操作画面30には、基板12Aが上述した判定処理を実行する際に必要となるデータの入力に用いられる入力フォーム32が設定される。この入力フォーム32は、押されたタイミングにおいて情報提供システム11に出力されたコンデンサー21の静電容量のデータを取得し、取得した静電容量のデータを棒グラフ31Aとは別の棒グラフ(図示せず)としてプロットエリア31に表示するボタンである取得ボタン32Aを含む。また、入力フォーム32は、押されたタイミングにおいて取得ボタン32Aにより取得された静電容量のデータが存在する場合に、このデータを破棄してリセットするボタンであるリセットボタン32Bを含む。また、入力フォーム32は、押されたタイミングにおいて取得ボタン32Aにより取得された静電容量のデータが存在する場合に、このデータを基板12Aのソリッドステートドライブに保存するボタンである保存ボタン32Cを含む。また、入力フォーム32は、基板12Aにおける上記プログラムの実行を終了させる際に押されるボタンである閉じるボタン32Dを含む。
【0040】
ステップS30において、基板12Aは、その受信装置がリアルタイムで受信するシグナルを、伸縮センサー20が検出したコンデンサー21の静電容量のデータに変換し、このデータを操作画面30のプロットエリア31に棒グラフ31Aとしてリアルタイムで表示する。そして、基板12Aは、操作画面30のメッセージ欄30Aに伸縮センサー20の較正を求めるメッセージ(図示せず)を表示する。
【0041】
これに対し、技術者は、伸縮センサー20を装着したヒト90をリラックスした状態にし、このタイミングにおけるコンデンサー21の静電容量のデータを、入力フォーム32のボタン操作によって基板12Aのソリッドステートドライブに保存する。この際、技術者は、入力フォーム32の取得ボタン32Aにより取得された静電容量のデータをプロットエリア31の棒グラフにて確認する。そして、技術者は、確認したデータが、ヒト90がリラックスした状態にある時のデータでない場合に、このデータをリセットボタン32Bの操作により破棄し、取得ボタン32Aによるデータの取得をやり直す。
【0042】
また、ステップS30において、技術者による静電容量のデータの保存が実行されると、基板12Aは、この保存された静電容量のデータを基準とした伸縮センサー20の較正を行い、その処理をステップS40に進める。
【0043】
ステップS40において、基板12Aは、その受信装置がリアルタイムで受信するシグナルを、伸縮センサー20が検出したコンデンサー21の静電容量のデータに変換し、このデータを操作画面30のプロットエリア31に棒グラフ31Aとしてリアルタイムで表示する処理を継続する。そして、基板12Aは、操作画面30のメッセージ欄30Aに第1のしきい値の入力を求めるメッセージ(図示せず)を表示する。
【0044】
これに対し、技術者は、伸縮センサー20を装着したヒト90に対して指示を出し、このヒト90における腹横筋の収縮を徐々に強くすることでその腹囲91の周長が減少されるようにし、もってヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践した状態となるようにする。また、技術者は、指示が出されたヒト90の所作を観察してこのヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かの境界となる状態となったタイミングを見計らい、このタイミングにおけるコンデンサー21の静電容量のデータを、入力フォーム32のボタン操作によって基板12Aのソリッドステートドライブに保存する。
【0045】
この際、技術者は、入力フォーム32の取得ボタン32Aにより取得された静電容量のデータをプロットエリア31の棒グラフにて確認する。そして、技術者は、確認したデータが、ヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かの境界となる状態にある時のデータでない場合に、このデータをリセットボタン32Bの操作により破棄し、ステップS40を最初からやり直す。
【0046】
また、ステップS40において、技術者による静電容量のデータの保存が実行されると、基板12Aは、この保存された静電容量のデータを第1のしきい値として設定する。この機能は、本発明における「しきい値設定機能」に相当する。そして、基板12Aは、その処理をステップS50に進める。
【0047】
ステップS50において、基板12Aは、その受信装置がリアルタイムで受信するシグナルを、伸縮センサー20が検出したコンデンサー21の静電容量のデータに変換し、このデータを操作画面30のプロットエリア31に棒グラフ31Aとしてリアルタイムで表示する処理を継続する。そして、基板12Aは、操作画面30のメッセージ欄30Aに第2のしきい値の入力を求めるメッセージ(図示せず)を表示する。
【0048】
これに対し、技術者は、伸縮センサー20を装着したヒト90に対して指示を出し、このヒト90における腹囲91の周長をさらに減少させるように促すことでヒト90における内腹斜筋の過活動を誘発し、もってヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践していない状態となるようにする。また、技術者は、指示が出されたヒト90の所作を観察してこのヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かの境界となる状態となったタイミングを見計らい、このタイミングにおけるコンデンサー21の静電容量のデータを、入力フォーム32のボタン操作によって基板12Aのソリッドステートドライブに保存する。
【0049】
この際、技術者は、入力フォーム32の取得ボタン32Aにより取得された静電容量のデータをプロットエリア31の棒グラフにて確認する。そして、技術者は、確認したデータが、ヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かの境界となる状態にある時のデータでない場合に、このデータをリセットボタン32Bの操作により破棄し、ステップS50を最初からやり直す。
【0050】
また、ステップS50において、技術者による静電容量のデータの保存が実行されると、基板12Aは、この保存された静電容量のデータを第2のしきい値として設定する。この機能は、本発明における「しきい値設定機能」に相当する。そして、基板12Aは、その処理をステップS60に進める。
【0051】
ステップS60において、基板12Aは、後述するステップS70からステップS110に至る一連の処理を繰り返し実行する。この一連の処理は、入力フォーム32の閉じるボタン32D(
図4参照)が操作されていない間繰り返し実行される。なお、入力フォーム32の閉じるボタン32Dが操作されたときには、基板12Aは、ステップS60の繰り返し処理をストップさせ、さらに基板12Aにて実行されているプログラムを終了させる終了処理を実行する。
【0052】
ステップS70において、基板12Aは、その受信装置がリアルタイムで受信するシグナルを、伸縮センサー20が検出したコンデンサー21の静電容量のデータに変換することで、コンデンサー21の静電容量のデータを取得する取得機能を実現させる。そして、基板12Aは、その処理をステップS80に進める。
【0053】
ステップS80において、基板12Aは、直前に実行されたステップS70の取得機能により取得された静電容量のデータを、棒グラフ31Aの形でプロットエリア31に表示する(
図4参照)。このとき、基板12Aは、上記棒グラフ31AをステップS40およびステップS50においてそれぞれ設定された第1のしきい値および第2のしきい値を示すライン(
図4の第1のしきい値31Bおよび第2のしきい値31Cを参照)と一緒に表示する。これにより、基板12Aは、この基板12Aにおける判定処理(ステップS80)の結果を導くことができる情報をヒト90に提供する機能を、情報提供装置であるスマートフォン12に実現させる。そして、基板12Aは、その処理をステップS90に進める。
【0054】
ステップS90において、基板12Aは、直近に実行されたステップS70の取得機能にて取得した静電容量のデータ(すなわち、伸縮センサー20が検出した、腹囲91(
図2参照)における横断面方向の伸縮の度合いを表すデータ)に基づいて、ヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かを判定する判定処理を実行する。
【0055】
上記判定処理において、基板12Aは、ステップS40およびステップS50においてそれぞれ設定された第1のしきい値および第2のしきい値をしきい値として、これらのしきい値と上記取得機能により取得された静電容量のデータとを対比する。そして、基板12Aは、上記取得機能により取得された静電容量が第1のしきい値と第2のしきい値との間にあるときに「是(すなわちヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にある)」と判定し、そうでないときに「非(すなわちヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にない)」と判定する。ここで、「第1のしきい値と第2のしきい値との間」とは、第1のしきい値となる静電容量が第2のしきい値となる静電容量よりも小さいときには、(第1のしきい値となる静電容量)以上で(第2のしきい値となる静電容量)以下となる静電容量の範囲を意味し、第1のしきい値となる静電容量が第2のしきい値となる静電容量以上であるときには、(第2のしきい値となる静電容量)以上で(第1のしきい値となる静電容量)以下となる静電容量の範囲を意味する。
【0056】
上記判定処理の結果が「是」であった場合、基板12Aは、その処理をステップS110に進める。また、上記判定処理の結果が「非」であった場合、基板12Aは、その処理をステップS100に進める。
【0057】
ステップS100において、基板12Aは、上記判定処理の結果が「非(すなわちヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にない)」である旨の警告をスマートフォン12から発し、もって上記判定処理の結果が「非」であるという情報をヒト90に提供する。そして、基板12Aは、その処理をステップS110に進める。
【0058】
ここで、スマートフォン12から発せられる警告は、その操作画面30のメッセージ欄30Aに表示される警告メッセージとすることができる。この場合において、警告メッセージは、単にヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にないことを報知するものであっても、ヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態となるために必要な所作を具体的に指示するものであってもよい。また、スマートフォン12から発せられる警告は、そのスピーカー(図示せず)から発せられる警告音とすることもできる。また、スマートフォン12が振動および低周波音を発するバイブレーター(図示せず)を有するものである場合、スマートフォン12から発せられる警告は、そのバイブレーターから発せられる振動および低周波音とすることもできる。また、スマートフォン12から発せられる警告は、上述した各種の警告を組み合わせたものとすることもできる。
【0059】
ステップS110は、上述したステップS60の繰り返し処理における戻り処理である。すなわち、基板12Aは、入力フォーム32の閉じるボタン32D(
図4参照)が操作されていない場合はステップS70を実行し、閉じるボタン32Dが操作されている場合は基板12Aにて実行されているプログラムを終了させる終了処理を実行する。
【0060】
上述したアブドミナル・ホローイング促進システム10は、ヒト90の腹囲91の周長における伸縮の度合いに基づいてこのヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践していない状態を検出したときにその情報を警告としてヒト90に提供する。したがって、アブドミナル・ホローイング促進システム10を、ヒト90にアブドミナル・ホローイングの実践を促す用途に供することができる。
【0061】
また、上述したアブドミナル・ホローイング促進システム10の伸縮センサー20によれば、コンデンサー21の静電容量の変化からヒト90の腹囲91の伸縮に伴う張力を検出し、それをヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かの判定を可能とするデータとして出力する。したがって、伸縮センサー20を使うことで、機械的な駆動要素を使うことなく、ヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かを検出することができる。
【0062】
すなわち、アブドミナル・ホローイング促進システム10は、伸縮センサー20におけるコンデンサー21の静電容量の変化からヒト90の腹囲91の伸縮に伴う張力を検出し、この検出結果に基づいて、ヒト90がアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かを判定する。これにより、伸縮センサー20において機械的な駆動要素を不要とし、その耐久性を向上させることができる。
【0063】
また、上述した伸縮センサー20では、腹囲91の伸縮に追従して弾性的に伸び縮みできるベルト22を腹囲91に密着した状態にフィットさせ、このベルト22に腹囲91の伸縮の度合いを表すデータとなる静電容量を変化させるコンデンサー21を取り付ける。したがって、上記の伸縮センサー20によれば、上記コンデンサー21における腹囲91からの浮き上がりをベルト22により抑え、もってこの浮き上がりにより生じる、腹囲91の伸縮の度合いを表すデータのずれを減らすことができる。
【0064】
また、上述したアブドミナル・ホローイング促進システム10によれば、ヒト90に情報を提供する情報提供装置であるスマートフォン12をアブドミナル・ホローイング促進システム10における他の構成から分離させ、もってスマートフォン12の取り回しを容易にすることができる。
【0065】
また、上述した判定装置としての機能を基板12Aに実現させるためのプログラムによれば、アブドミナル・ホローイング促進システム10を使用するヒト90は、アブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かの境界となる状態を基準にして、アブドミナル・ホローイングの実践のいかんを判定することができる。
【0066】
また、上述したアブドミナル・ホローイング促進システム10および上記のプログラムによれば、第1のしきい値および第2のしきい値をしきい値とした判定処理により、ヒト90における腹囲91の周長の減少が不十分である状態とやりすぎの状態との両方において、ヒト90にアブドミナル・ホローイングを実践するよう促すことができる。
【0067】
本発明は、上述した一実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、以下のような各種の形態を実施することができる。
【0068】
(1)本発明のアブドミナル・ホローイング促進システムにおいて、伸縮センサーは、伸縮に伴う張力に応じて変化されるコンデンサーの静電容量を出力するものに限定されない。すなわち、本発明のアブドミナル・ホローイング促進システムにおいては、伸縮に伴う引張変形に応じて電気抵抗を変化させるひずみ計測用センサーを、伸縮センサーとして使用することができる。ここで、上記ひずみ計測用センサーは、例えば特開2017−146242号公報に記載のあるものである。
【0069】
(2)本発明のアブドミナル・ホローイング促進システムにおいては、ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態にあるか否かを判定する判定装置を、伸縮センサーの出力部に隣接させて設けた実施形態を採用することができる。この実施形態においては、判定装置および情報提供装置となるスマートフォンの両方に無線の送受信装置が備えられて、データのやり取りが無線通信により実現される。
【0070】
(3)上述したアブドミナル・ホローイング促進システム10は、ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態にないときに、この状態がどのような状態であるかによらず同じ内容の警告を発するものである。しかしながら、本発明のアブドミナル・ホローイング促進システムは、判定装置が取得機能により取得した静電容量のデータと、第1のしきい値および第2のしきい値の相対関係に基づいて異なる種類の警告を発するものであってもよい。例えば、取得機能により取得された静電容量の値が第1のしきい値と第2のしきい値との間になく、かつ、この値が第1のしきい値よりも第2のしきい値により近いという条件が成立する場合、ヒトにおいてその内腹斜筋が過活動となることによってヒトがアブドミナル・ホローイングを実践していない状態となっていることが想定される。したがって、上記条件が成立する場合には、ヒトにおける内腹斜筋の活動を抑える所作を促すメッセージを情報提供装置から警告の情報として提供することで、ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態となりやすくすることができる。また、取得機能により取得された静電容量の値が第1のしきい値と第2のしきい値との間になく、かつ、この値が第2のしきい値よりも第1のしきい値により近いという条件が成立する場合、ヒトにおいてその腹横筋の活動が不十分であることによってヒトがアブドミナル・ホローイングを実践していない状態となっていることが想定される。したがって、上記条件が成立する場合には、ヒトにおける腹横筋の活動を強める所作を促すメッセージを情報提供装置から警告の情報として提供することで、ヒトがアブドミナル・ホローイングを実践している状態となりやすくすることができる。
【0071】
(4)本発明のアブドミナル・ホローイング促進システムにおいて、第2のしきい値の設定を廃して、取得機能により取得したデータについての判定処理を、1つのしきい値との対比のみに基づいて実行する変形例を採用することができる。