(54)【発明の名称】ビデオコンテンツ符号化における複数参照ラインのイントラ予測に応用する適応フィルタリング方法、それを用いたビデオ符号化デバイスおよびビデオ復号化デバイス
【課題】ビデオコンテンツ符号化における複数参照ラインのイントラ予測に応用する適応フィルタリング方法、それを用いたビデオ符号化デバイスおよびビデオ復号化デバイスを提供する。
【解決手段】ビデオコンテンツ符号化におけるイントラ予測方法において、適応フィルタリング方法をフィルタリングの動的決定操作に使用して、イントラ予測において入力サンプルに適用するかどうかを決定することにより、複数参照ラインを使用してイントラ予測の操作を行う場合に、ビデオコンテンツ符号化におけるイントラ予測の複雑度を下げることができ、超高解像度映画の圧縮効率も上げることができる。
インデックスを受信するとともに、前記インデックスに基づいてフィルタ選択を行い、前記インデックスに対応するフィルタインデックス(filter index)を生成することと、
前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて対応するフィルタを選択するとともに、前記フィルタを使用して入力サンプルに対しフィルタリング操作を行い、フィルタリングされたサンプルを生成して出力する、あるいは前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することと、
を含むイントラ予測(intra prediction)の適応フィルタリング方法。
前記インデックスが複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記フィルタインデックス(filter index)が、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することを示す請求項1に記載の方法。
前記複数参照ライン(MRL)を使用する映像サンプルが、統合参照層(CT)または複数の参照層(RT)の映像サンプルまたはその組み合わせを含む請求項2に記載の方法。
前記フィルタインデックス(filter index)が、さらに、対応する前記フィルタを選択して、境界フィルタリング(boundary filtering)を行い、
前記インデックスが前記近隣参照層の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記入力サンプルに対して境界フィルタリング(boundary filtering)操作を行った後に前記フィルタリングされたサンプルを出力し、
前記インデックスが前記複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記フィルタインデックス(filter index)が、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することを示す請求項4に記載の方法。
前記フィルタリングされたサンプルに対してイントラ予測を行った後に複数の予測値を出力して境界フィルタリング(boundary filtering)を行うことをさらに含み、
前記インデックスが前記近隣参照層の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記予測値に対して境界フィルタリング(boundary filtering)操作を行った後に出力し、
前記インデックスが前記複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記フィルタインデックス(filter index)操作が、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力する請求項7に記載の方法。
前記プロセッサが、前記インデックスに基づいて、複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記プロセッサが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することを示す請求項10に記載のビデオ符号化デバイス。
前記複数参照ライン(MRL)を使用する映像サンプルが、統合参照層(CT)または複数の参照層(RT)の映像サンプルを含む請求項11に記載のビデオ符号化デバイス。
前記プロセッサが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、対応する前記フィルタを選択して参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)を行い、
前記インデックスが近隣参照層の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記プロセッサが、前記入力サンプルに対して参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)操作を行った後に前記フィルタリングされたサンプルを出力し、
前記インデックスが複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記プロセッサが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することを示す請求項11に記載のビデオ符号化デバイス。
前記プロセッサが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、さらに、対応する前記フィルタを選択して境界フィルタリング(boundary filtering)を行い、
前記インデックスが前記近隣参照層の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記プロセッサが、前記入力サンプルに対して境界フィルタリング(boundary filtering)操作を行った後に前記フィルタリングされたサンプルを出力し、
前記インデックスが前記複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記プロセッサが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することを示す請求項13に記載のビデオ符号化デバイス。
前記プロセッサが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、対応する前記フィルタを選択して境界フィルタリング(boundary filtering)を行い、
前記インデックスが近隣参照層の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記プロセッサが、前記入力サンプルに対して境界フィルタリング(boundary filtering)操作を行った後に前記フィルタリングされたサンプルを出力し、
前記インデックスが複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記プロセッサが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することを示す請求項11に記載のビデオ符号化デバイス。
前記イントラ予測ユニットが、前記インデックスに基づいて、複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記イントラ予測ユニットが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力する請求項16に記載のビデオ符号化デバイス。
前記イントラ予測ユニットが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、対応する前記フィルタを選択して参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)を行い、
前記インデックスが近隣参照層の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記イントラ予測ユニットが、前記入力サンプルに対して参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)操作を行った後に前記フィルタリングされたサンプルを出力し、
前記インデックスが複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記イントラ予測ユニットが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することを示す請求項16に記載のビデオ符号化デバイス。
前記イントラ予測ユニットが、前記インデックスに基づいて、対応する前記フィルタを選択して境界フィルタリング(boundary filtering)を行うために設定され、
前記インデックスが近隣参照層の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記イントラ予測ユニットが、前記入力サンプルに対して境界フィルタリング(boundary filtering)操作を行った後に前記フィルタリングされたサンプルを出力し、
前記インデックスが複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記イントラ予測ユニットが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することを示す請求項16に記載のビデオ符号化デバイス。
前記予測処理ユニットが、前記インデックスに基づいて、複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、前記イントラ予測ユニットが、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、前記復号化されたビデオデータが参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)操作および/または境界フィルタリング(boundary filtering)操作をまだ行っていないものと認定する請求項20に記載のビデオ復号化デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ネットワーク、通信システム、ディスプレイ、およびコンピュータ等のアプリケーションの新技術の最近の発展に伴い、多くのアプリケーションは、いずれも、高いビデオ圧縮率、バーチャルリアリティ(virtual reality, VR)、360度ビデオコンテンツ等の効率の高いビデオ符号化の解決方案を必要とする。その場に立ち臨むような視覚効果を提供するため、ビデオにおいてより細部まで見えるようにビデオ解像度を向上させるのが一般的な方法である。VR技術は、通常、ヘッドマウントデバイス(head mounted device, HMD)により実現され、ヘッドマウントデバイスと眼の間の距離は、十分に接近しているため、必要なビデオコンテンツの解像度は、現在の4Kから8K解像度まで、さらには32K解像度以上まで向上できることが望ましい。また、画面のリフレッシュレートもVRの使用体験に影響するため、画面のリフレッシュレートを毎秒30枚、毎秒90枚、さらには毎秒120枚まで増加させることが望ましい。上述した要求に基づき、現在使用されている高効率ビデオ符号化(high efficiency video coding, HEVC)(または、H.265とも称す)は、ユーザーにより優れた視覚効果および体験を提供することができない。
【0014】
デジタルビデオに対する符号化効率および画像品質をさらに高めるために、共同ビデオ探索チーム(joint video exploration team, JVET)により、潜在的要求を解決する数種の強化型ビデオ符号化技術を応用する多目的ビデオ符号化(versatile video coding, VVC)において、次世代ビデオ符号化方式(future video coding, FVC)技術が開発された。共同探索テストモデル(joint exploration test model, JEM)が採用するイントラ予測(intra prediction)技術は、従来のHEVCが具備する35種類の予測モードから67種類の予測モード(intra prediction modes, IPM)まで拡張され、より正確な角度予測に用いられる。JEMは、参照サンプル適応フィルタ(reference samples adaptive filter, RSAF)により参照サンプルの平滑度を改善する方法、または位置依存イントラ予測組み合わせ(position dependent intra prediction combination, PDPC)により選択できる予測を増やす方法、または非分離型二次変換(non-separable secondary transform, NSST)を残余値の変換として用いる方法等の新技術をさらに紹介している。
【0015】
図1は、イントラ予測(intra prediction)の実施例を簡単に説明するための概念図である。イントラ予測(intra prediction)方法は、ブロックユニット(block unit)の空間的に隣接する再構築された映像サンプルを参照して予測を行う映像ブロック予測技術である。HEVCが採用する35種類の予測モード(IPM)、またはJEMが採用する67種類の予測モードは、第0予測モード(mode 0)の平面モード(planar mode)および第1予測モード(mode 1)の直流(DC)予測モード(DC mode)を含み、いずれも固定された近隣参照層(reference tier, RT)サンプルを予測の参照として使用する。まず、ステップ110において、元のブロック“O”を取得する。ステップ120において、イントラ予測モードの選択を行い、選択したイントラ予測モードに基づいて、現符号化ユニット(current coding unit, CU)に対して選択した方向において予測を行い、予測値Pを取得する。ステップ130において、加算器により予測値Pと元のブロックOを引き算して残余値R(R=O-P)を得る。続いて、残余値Rに対して変換および量子化を行い、ステップ140のように、量子化後の直列データS(S=Q{T{R}})を取得し、前記直列データSを保存する。
【0016】
図2は、複数の予測方向に沿ってイントラ予測(intra prediction)を行うビデオ符号化デバイスの異なる予測パターンを説明したものである。イントラ予測(intra prediction)方法は、ブロックユニット(coding unit)の空間的に隣接する再構築された映像サンプルを参照して予測を行う映像ブロック予測技術である。まず、ビデオ符号化デバイスは、複数の予測方向210(矢印で指した方向)に沿って予測を行うことを選択する。上述したように、HEVCが採用する35種類の予測モードであるか、またはJEMが採用する67種類の予測モード(IPM)であるかに関わらず、第0予測モード(mode 0)の平面モード(planar mode)および第1予測モード(mode 1)の直流(DC)予測モード(DC mode)を含み、いずれも固定された近隣参照層(Reference Tier, RT)サンプルを予測の参照として使用する。上述した予測モードは、アプリケーション上で、モデリングが滑らかに変化する画像領域および不変の画像領域に対し、平面モード(planar mode)およびDCモード(DC mode)を採用することができる。
【0017】
図3A〜
図3Cは、イントラ予測(intra prediction)において、隣接する再構築された映像サンプルを参照して予測を行う実施例を説明したものである。
図3Aに示すように、ブロックユニットは、サイズがM×Mの現符号化ユニット(current coding unit, CU)320を例として説明したものであり、Mは、任意の正の整数であるが、本発明はこれに限定されない。前記現符号化ユニット(CU)320は、映像予測を行った後、予測値(predictor)を取得することができる。近隣参照層(RT)330を参照サンプルとし、R(−1, −1)、R(x,−1)R(−1,y)の参照サンプルを含み、映像予測計算を行った後、16個の予測値P(x,y)を取得する。図に示したように、参照サンプルのRR(−1, 7)〜R(−1,0)の左部分(left segment)、R(0,−1)〜R(7,−1)の上部分(above segment)、および左上画素(left-above pixel)のR(−1,−1)から、P(0,0)〜P(3,3)等の16個の予測値を取得する。
【0018】
実際の例を
図3Bおよび
図3Cにより説明する。元の現符号化ユニット(CU)340の値は、
図3Bに示した通りであり、イントラ予測(intra prediction)方法により計算した後、取得した16個の予測値P(x,y)は、更新後の現符号化ユニット(CU)350のように、
図3Cに示した通りであり、元のP(2,0)とP(3,1)は、特定の予測方向のサンプル値を参照した後、元の“300”からサンプルに基づいて“280”に変化し、元のP(3,0)は、元の“400”からサンプルに基づいて“380”に変化している。
【0019】
上述した固定された近隣参照層(RT)サンプルを予測の参照とする場合、ある状況において、つまり、近隣参照層の参照サンプルと元のサンプルがある特定の方向において大きな差を有する場合、大量のサンプル誤差(sample error)が生じる。実際の例を
図4A〜
図4Cにより説明する。元の現符号化ユニット(CU)410の値は、
図4Aに示した通りである。イントラ予測(intra prediction)を行う時、近隣参照層(RT)430サンプルを参照して、対角線方向モード(diagonal direction mode)でイントラ予測(intra prediction)を行い、対角線状の近隣参照層(RT)430サンプルを参照して、更新後の現符号化ユニット(CU)420のように、
図4Bの16個の予測値を取得する。近隣参照層(RT)430と別の参照層(RT)440を観察するとわかるように、両者のサンプルは差が大きく、予測値にサンプル誤差(sample error)が存在する可能性が高い。
【0020】
別の状況において、
図4Cを参照すると、同様に、対角線方向モード(diagonal direction mode)でイントラ予測(intra prediction)を行い、近隣参照層(RT)430サンプルを使用せず、参照層(RT)440のサンプルを採用した場合、取得する16個の予測値および更新後に取得する現符号化ユニット(CU)422は、
図4Bで観察される差が大きすぎる問題を回避できることがわかった。したがって、このような配置によって、潜在するサンプル誤差(sample error)の問題を回避することができる。
【0021】
この他、現在、ビデオコンテンツの解像度に対する要求がますます高まり、例えば、超高解像度(super high resolution)の16K解像度、さらには32K解像度以上にまで達している。このような要求を満たすためには、符号化ブロックのサイズを増やすことによって符号化の効率を改善することができるため、符号化ブロックのサイズは、H.264(高度ビデオ符号化:advanced video coding)の16×16から、H.265(高効率ビデオ符号化:HEVC)の64×64まで、最近のH.266の128×128まで増加した。ますます高まる解像度の条件において、符号化ブロック内の画素は、符号化ブロック外の画素と比較して、角度予測(angular prediction)モードにおいてさらに敏感になる。したがって、サンプル誤差(sample error)の問題は、高解像度においてさらに明白である。
【0022】
本開示内容が提出するビデオ符号化デバイスの実施例は、ビデオコンテンツ符号化における複数参照ライン(multiple reference line, MRL)のイントラ予測に応用する適応フィルタリング(adaptive filtering)方法を提出する。
【0023】
本開示内容の複数の実施例において、ビデオコンテンツ符号化に用いる複数参照ライン(MRL)のイントラ予測方法を提出する。この方法では、統合参照層(composed tier, CT)の中の再構築された映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行い、この統合参照層(CT)は、2つ以上の参照層(RT)を含む。別の複数の実施例において、複数の参照層(RT)の中の再構築された映像サンプルを直接採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行ってもよい。前記イントラ予測(intra prediction)は、イントラ予測の精度を上げることができる。
【0024】
JEMが採用するイントラ予測(intra prediction)の操作を例に挙げると、本開示内容の複数の実施例において、任意参照層符号化(Arbitrary Reference Tier Coding, ARTC)の構造を提出して、複数ラインをイントラ予測の操作として使用することを実現し、且つ各参照層(RT)を独立して参照し、予測を行うことができる。各参照層(RT)は、ラフモード決定(rough mode decision, RMD)、レート歪み最適化(rate-distortion optimization, RDO)、および変換ユニット決定(TU decision, TUD)を含むモード決定アルゴリズム(mode decision algorithm)を独立して行うことにより決定するかどうかを確認する。本開示内容の別の実施例において、両段階の選択、つまり、ラフモード決定(RMD)とレート歪み最適化(RDO)の計算により、イントラ予測モード(IPM)および対応する参照層(RT)を同時に決定することができる。
【0025】
別の実施形態において、さらに、フィルタを使用するかどうかを動的に決定し、さらにイントラ予測の複雑度を下げることのできる適応フィルタリング技術を提出する。上述した複数ラインを参照として使用し、適応フィルタリング技術を採用することによって、超高解像度映画の圧縮効率を上げ、計算複雑度を下げることができる。
【0026】
図5A〜
図5Cを参照すると、本開示内容の複数の実施例の複数参照ライン(MRL)のイントラ予測方法を説明する概略図である。まず、
図5Aを参照すると、現符号化ユニット(CU)510に対してイントラ予測操作を行う時、1〜N個の参照層のサンプルを採用して予測を行うことができ、Nは、任意の正の整数であってもよい。JEMが採用するイントラ予測(intra prediction)の操作を例に挙げると、67種の予測モード(IPM)は、その中の参照層(RT)を選択してイントラ予測操作を行うことにより、予測値を生成することができる。異なる予測値P(x,y)は、独立した異なる参照層(RT)から生成することができる。
図5Aに示したように、予測値P(2,2)は、参照サンプルS
a1、S
a2、S
a3、…、またはS
aNから生成することができ、予測値P(2,0)は、参照サンプルS
b1、S
b2、S
b3、…、またはS
bNから生成することができる。この実施例において、参照サンプルS
a1またはS
b1は、第1参照層(RT)520にあり、参照サンプルS
a2またはS
b2は、第2参照層(RT)522にあり、参照サンプルS
a3またはS
b3は、第3参照層(RT)524にあり、参照サンプルS
aNまたはS
bNは、第N参照層(RT)526にある。
【0027】
別の実施例において、
図5Bを参照すると、異なる予測値P(x,y)は、異なる参照層(RT)から生成することができる。例えば、予測値P(2,2)は、第2参照層(RT)522の参照サンプルS
a2から生成することができ、予測値P(2,0)は、第N参照層(RT)526の参照サンプルS
bNから生成することができる。
【0028】
別の実施例において、
図5Cを参照すると、異なる予測値P(x,y)は、異なる予測モード(異なる角度に対する)において選択することにより、異なる参照層(RT)の組み合わせを選択して生成することができる。つまり、HEVCが採用する35種類の予測モード(IPM)であるか、またはJEMが採用する67種類の予測モード(IPM)であるかに関わらず、第0予測モード(mode 0)の平面モード(planar mode)および第1予測モード(mode 1)の直流(DC)予測モード(DC mode)を除いて、その他の特定の角度に異なる予測モード(IPM)は、1個または複数の異なる参照層(RT)の組み合わせを選択して生成することができる。図に示すように、1つの実施例において、予測値P(x,y)は、第5予測モード(mode 5)において、第1参照層(RT)520の参照サンプルと第3参照層(RT)524の参照サンプルの組み合わせから生成することができる。予測値P(x,y)は、第6予測モード(mode 6)において、第2参照層(RT)522の参照サンプルと第N参照層(RT)526の参照サンプルの組み合わせから生成することができる。予測値P(x,y)は、第7予測モード(mode 7)において、第1参照層(RT)520の参照サンプルと第3参照層(RT)524の参照サンプルの組み合わせから生成することができる。
【0029】
本開示内容の複数の実施例において、複数ラインの参照層(RT)の再構築された映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことのできるビデオコンテンツ符号化における複数参照ライン(MRL)のイントラ予測方法を提出する。複数ラインの参照層(RT)の映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことをさらに考慮すると、計算の複雑度が増大し、さらに多くの計算およびさらに多くの保存スペースが必要になる。また、さらに複雑な計算によって、計算レイテンシ(computation latency)が生じ、さらに多くのゲート数(gate count)が必要になるため、ハードウェア実現のコストが上がる。
【0030】
本開示内容の複数の実施例は、フィルタを使用するかどうかを動的に決定し、さらにイントラ予測の複雑度を下げることのできる適応フィルタリング技術を提出する。上述した複数ラインを参考として使用し、且つ適応フィルタリング(adaptive filtering)技術を採用することによって、超高解像度映画の圧縮効率を上げ、計算複雑度を下げることができる。
【0031】
本開示内容の複数の実施例において、複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを提出し、さらに、参照サンプル平滑度を改善する方法等において使用することができ、例えば、参照サンプル適応フィルタ(RSAF)を使用するかどうかを動的に決定することのできる適応フィルタリング技術によりフィルタを使用するかどうかを動的に決定する技術を提出する。別の実施例において、適応フィルタリング(adaptive filtering)技術を採用することにより、境界フィルタリングの方法を行うかどうかを動的に決定することができる。例えば、位置依存イントラ予測組み合わせ(PDPC)構造における境界フィルタリング操作は、イントラ予測(intra prediction)におけるフィルタリングエッジ参照サンプルと未フィルタリングエッジ参照サンプルに対し、重み付き予測方法を行う操作である。
【0032】
図6を参照すると、主に、本開示内容が提出するビデオコンテンツ符号化における複数ラインイントラ予測(intra prediction)に応用する適応フィルタリング方法を説明するフロー概略図である。高効率ビデオ符号化(HEVC)は、モード依存の参照サンプル平滑化(mode-dependent reference sample smoothing)方法を提出し、JEMは、さらに、参照サンプルの平滑度を改善する方法、いわゆる参照サンプル適応フィルタ(reference samples adaptive filter, RSAF)を提出し、参照サンプルに対して平滑化プロセスを行う際に2つのローパスフィルタ(low pass filter, LPF)を採用する。
【0033】
本開示内容は、1つの実施例において、適応参照フィルタリングスキーム(adaptive reference filtering scheme, ARFS)を提出し、
図6に示すように、参照サンプル平滑化モジュール(reference smoothing module)620に含まれる第1フィルタ(filter 1)622、第2フィルタ(filter 2)624、および第Tフィルタ(filter T)626等の複数の参照フィルタ(reference filter)は、フィルタインデックス(filter index)604に基づいて対応するフィルタを選択し、フィルタリング操作をスキップする、フィルタリングを行わない、または入力サンプルを直接フィルタリングされたサンプルとして出力することができる。
【0034】
前記フィルタインデックス(filter index)604は、フィルタ選択フロー610により生成される。フィルタ選択フロー610は、イントラ符号化された符号化ユニット(intra-coded CU)に対応して、フィルタインデックス604を生成する。前記イントラ符号化された符号化ユニット(intra-coded CU)は、複数参照ライン(MRL)インデックス内容の判断に基づいて生成され、前記複数参照ライン(MRL)インデックスは、統合参照層(CT)または複数の参照層(RT)の索引(index)であってもよい。ここで、参照層インデックス(RT index)602を例に挙げると、別の実施例において、複数参照ライン(MRL)インデックスと称してもよい。イントラ符号化された符号化ユニット(intra-coded CU)に基づいて、対応するフィルタ(filter)またはフィルタリング操作を行うかどうかを決定する。フィルタインデックス(filter index)604が索引tを含む場合、第tフィルタ(filter t)は、入力サンプル606に対して用いられ、つまり、イントラ符号化された符号化ユニット(intra-coded CU)の参照サンプルは、フィルタリング操作を行って、フィルタリングされたサンプル(filtered samples)608を生成する。フィルタインデックス(filter index)604の情報が、フィルタリング操作をスキップする、またはフィルタリングを行わないことを示す場合、入力サンプル606を直接フィルタリングされたサンプル(filtered samples)608として出力する。
【0035】
本開示内容の複数の実施例において、複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを提出し、複数参照ライン(MRL)インデックス内容を利用して、適応フィルタリング技術を採用するかどうかを判断し、フィルタリング操作をスキップするか、フィルタリングを行わないか、または入力サンプルを直接フィルタリングされたサンプル(filtered sample)として出力するかを決定する。この適応フィルタリング技術構造は、複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行う場合に、フィルタリング操作を行う必要がないため、超解像度映画の圧縮効率を上げ、計算複雑度を下げることができる。
【0036】
本開示内容の複数の実施例において、複数参照ライン(MRL)インデックスの構文設計(syntax design)は、必要な調整に基づくことができ、関連内容は、本願が主張する米国仮出願案第62/691729号および米国仮出願案第62/727595号が提出する異なるアプリケーションに基づいて生成した複数参照ライン(MRL)インデックスの構文内容および関連するイントラ予測が採用する予測モードの構文中の順序を参照することができるため、ここで参照して引用し、本開示内容の一部とする。例えば、1つの実施例において、複数参照ライン(MRL)インデックスの内容は、多目的ビデオ符号化(VVC)において、予測モード関連内容の後に置くことができる。
【0037】
複数参照ライン(MRL)インデックスの構文内容は、1つの実施例において、少なくとも1つまたは複数の異なる参照層(RT)の組み合わせから生成された、あるいは統合参照層(CT)および/または参照層(RT)の組み合わせにより行った複数参照ライン(MRL)のイントラ予測を示すフラグ(flag)を少なくとも含む。
【0038】
複数参照ライン(MRL)インデックスの内容に基づき、1つの実施例において、例えば、{0,1,2,3}または{0,1,3}を含む。インデックスの値が“0”である場合、フィルタインデックス(filter index)値を“1”に設定する。インデックスの値が“0”でない場合、フィルタインデックス(filter index)値を“0”に設定する。フィルタインデックス(filter index)値が“1”の時、フィルタリング操作を行って、フィルタリングされたサンプル(filtered sample)を生成する。フィルタインデックス(filter index)値が“0”の時、入力サンプルを直接フィルタリングされたサンプル(filtered sample)として出力する。つまり、フィルタ選択フローは、例えば、2種類のモードを含み、1つは、直接モード(direct mode)と称し、対応するフィルタを選択してフィルタリング操作を行い、フィルタリングされたサンプルを生成する。もう1つは、フィルタリングをスキップするモード(skip mode)であり、入力サンプルを直接フィルタリングされたサンプル(filtered sample)608として出力する。上述した複数参照ライン(MRL)インデックス構文の設計は、複数の実施例のうちの1つにすぎず、アプリケーションに応じて調整することができるため、本発明はこれに限定されない。複数参照ライン(MRL)インデックス構文の設計は、符号化プロセスまたは復号化プロセスにおいて、いずれも構文コンテキストを解読する依拠とすることができる。
【0039】
図7Aおよび
図7Bは、イントラ符号化された符号化ユニット(intra-coded CU)に基づいて平滑化フィルタリング操作を行うかどうかを決定することを説明するためのフロー概略図である。
【0040】
図7Aに示すように、参照サンプル平滑化モジュール(reference smoothing module)720は、受信したフィルタインデックス(filter index)704に基づいて、参照サンプル平滑化フィルタリング(reference smoothing filtering, RSF)フロー722およびもう1つのフィルタリング操作を行わないスキップRSFフロー724を行うことを含む。つまり、フィルタインデックス704に基づいて、対応するフィルタを選択し、入力サンプル706に対して、つまり、イントラ符号化された符号化ユニットの参照サンプルに対して参照サンプル平滑化フィルタリングRSFフロー722を行い、フィルタリングされたサンプル708を生成する。フィルタインデックス704がフィルタリング平滑化の操作をスキップする、または行わないことを示す場合、入力サンプル706を直接フィルタリングされたサンプル(filtered sample)708として出力する。このフィルタインデックス704は、フィルタ選択フロー710により生成される。フィルタ選択フロー710は、イントラ符号化された符号化ユニット(intra-coded CU)に対応し、複数参照ライン(MRL)インデックス702内の情報に基づいてフィルタインデックス704を生成する。
図7Bに示すように、複数参照ライン(MRL)インデックス702内の情報に基づいて、フィルタ選択フロー710を行い、入力サンプル706に対して参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)フロー722を行うかどうか、つまり、平滑化フィルタリング操作をスキップするか、平滑化フィルタリングを行わないか、または入力サンプル706を直接フィルタリングされたサンプル708として出力するかを確認することができる。
【0041】
上述した複数参照ライン(MRL)インデックス内容を利用して適応フィルタリング技術を採用するかどうかを判断することは、位置依存イントラ予測組み合わせ(PDPC)構造における境界フィルタリング操作にも運用することができる。位置依存イントラ予測組み合わせ(PDPC)は、境界フィルタリング(boundary filtering)フローとイントラ予測(intra prediction)フローを単一方程式に組み合わせる技術である境界フィルタリング技術とみなすことができる。境界フィルタリング技術については、境界フィルタリング(boundary filtering)フローを説明するための
図8Aおよび
図8Bを参照されたい。この境界フィルタリング(boundary filtering)方法は、例えば、HEVC構造において、垂直イントラ予測モード(vertical intra mode, VER)および水平イントラ予測モード(horizontal intra mode, HOR)によりイントラ予測ブロック(intra prediction block)を生成した後、左上欄(left-most column)および最上列(top-most row)の予測サンプルをそれぞれさらに調整する必要がある。この方法は、JEMにおいて、いくつかの対角線イントラ予測モード(diagonal intra mode)での使用をさらに実行し、境界サンプル(boundary sample)を2タップフィルタ(two-tap filter)または3タップフィルタ(three-tap filter)を利用して4個の列(column)または行(row)に増やして調整する。
図8Aに示すように、モード番号34のイントラ予測モードでは、2タップフィルタを利用して境界サンプルの調整を行っていることがわかる。
図8Bに示すように、モード番号30〜33のイントラ予測モードでは、3タップフィルタを利用して境界サンプルの調整を行っていることがわかる。
【0042】
本開示内容の複数の実施例において、複数参照ライン(MRL)インデックス内容を利用して適応フィルタリング技術を採用するかどうかを判断し、フィルタを使用するかどうか、つまり、フィルタリング操作をスキップするか、または行わないかを決定する。一般的な予測モード(IPM)は、上述した位置依存イントラ予測組み合わせ(PDPC)構造における境界フィルタリング操作を起動するが、複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを採用してイントラ予測操作を行う場合、位置依存イントラ予測組み合わせ(PDPC)操作を行う必要はない。したがって、この適応フィルタリング技術構造は、複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを採用してイントラ予測操作を行う場合に、位置依存イントラ予測組み合わせ(PDPC)操作を行う必要がないことを考慮して、超高解像度映画の圧縮効率を上げ、計算複雑度を下げることができる。
図9Aおよび
図9Bを参照すると、イントラ符号化された符号化ユニット(intra-coded CU)に基づいて境界フィルタリング操作を行うかどうかを決定することを説明するためのフロー概略図である。
【0043】
図9Aに示すように、境界フィルタモジュール(boundary filter module)920は、受信したフィルタインデックス904に基づいて、境界フィルタリングフロー(“BF”で示す)922およびもう1つの境界フィルタリング操作を行わないスキップBFフロー924を行うかどうかを判断する。つまり、フィルタインデックス904に基づいて、境界フィルタリングフローを行い、フィルタリングされたサンプル908を生成するかどうかを選択する。このフィルタインデックス904は、フィルタ選択フロー910により生成される。フィルタ選択フロー910は、イントラ符号化された符号化ユニット(intra-coded CU)に対応して、複数参照ライン(MRL)インデックス902内の情報に基づいてフィルタインデックス904を生成する。
図9Bに示すように、複数参照ライン(MRL)インデックス902の情報に基づいて、フィルタ選択フロー910を行い、入力サンプル906に対して境界フィルタリングフロー920を行うかどうか、つまり、フィルタリング操作をスキップするか、フィルタリングを行わないか、または入力サンプル906を直接フィルタリングされたサンプル908として出力するかを判断する。
【0044】
本開示内容の複数の実施例において、提出するビデオコンテンツ符号化における複数参照ライン(MRL)のイントラ予測方法の符号化(encoding)フローは、
図10を参照して全体構造を説明することができる。本開示内容が提出する複数参照ライン(MRL)のイントラ予測操作は、
図10を参照すると、基本的に、参照サンプルフィルタリングフローS1010、イントラ予測フローS1020、境界フィルタリングフローS1030、レート歪み最適化(RDO)フローS1040、および構文生成(syntax generation)フローS1050を含むいくつかのフローに分けられる。
【0045】
参照サンプルフィルタリングフローS1010は、
図7Bに示すように、複数参照ライン(MRL)インデックス内の情報に基づいて、判断ステップS1012を行い、入力サンプルに対して参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)フローS1014を行うかどうか、あるいはフィルタリング平滑化の操作をスキップするか、または行わないか(スキップRSF)を確認することができる。イントラ予測フローS1020は、最良予測モード決定(best prediction mode decision)方法S1022を採用して最良の予測モードを選択する。
【0046】
境界フィルタリングフローS1030は、
図9Bに示すように、複数参照ライン(MRL)インデックス内の情報に基づいて、判断ステップS1032を行い、入力サンプルに対して境界フィルタリング(BF)フローS1034を行うかどうか、あるいは境界フィルタリング操作をスキップするか、または行わないか(スキップBF)を判断する。レート歪み最適化(RDO)フローS1040は、レート歪み最適化方法を使用して検査するとともに、ブロックおよび複数の候補予測モードが対応する予測コストに基づいて、複数の変換インデックスにおいて複数の候補予測モードが対応する複数の歪みコストを計算することにより、レート歪み最適化の選択を行うことができる。
【0047】
構文生成(syntax generation)フローS1050は、参照ライン構文(reference line syntax)ステップS1052を選択する、または書き込むことと、最有力モード(most probable mode, MPM)フラグ(flag)ステップS1054を選択する、または書き込むことと、最有力モード(MPM)パラメータ/角度モードパラメータ(angular mode index)ステップS1056を選択する、または書き込むことを含む。
【0048】
本開示内容の複数の実施例において、提出するビデオコンテンツ符号化における複数参照ライン(MRL)のイントラ予測方法の復号化(decoding)フローは、
図11を参照して全体構造を説明することができる。本開示内容が提出する複数参照ライン(MRL)のイントラ予測操作は、
図11を参照すると、基本的に、構文解析(syntax parsing)フローS1110、参照サンプルフィルタリングフローS1120、イントラ予測フローS1130、および境界フィルタリングフローS1140を含むいくつかのフローに分けられる。
【0049】
構文解析(syntax parsing)フローS1110は、参照ライン構文(reference line syntax)ステップS1112を分析することと、最有力モード(most probable mode, MPM)フラグ(flag)ステップS1114を分析することと、最有力モード(MPM)インデックス/角度モードインデックス(angular mode index)ステップS1116を分析することを含む。
【0050】
参照サンプルフィルタリングフローS1120は、複数参照ライン(MRL)インデックス内の情報に基づいて、判断ステップS1122を行い、サンプルが参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)フローを既に行ったかどうかを確認する。参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)フローを既に行っている場合は、ステップS1124を採用し、行っていない場合は、直接スキップしてイントラ予測フローS1130を継続して行う。イントラ予測フローS1130は、最良予測モード決定(best prediction mode decision)方法S1132に基づいて、予測モードを選択する。
【0051】
境界フィルタリングフローS1140は、複数参照ライン(MRL)インデックス内の情報に基づいて、判断ステップS1142を行い、入力サンプルに対して境界フィルタリング(BF)処理を行うか、あるいは境界フィルタリング操作をスキップして行わないか(スキップBF)を判断する。境界フィルタリング(BF)処理を既に行っている場合は、ステップS1114を採用し、行っていない場合は、直接境界フィルタリングフローS1140をスキップする。
【0052】
図12は、設定後に本開示が提出する複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行う実例を実施するビデオ処理装置を説明するためのブロック概略図である。このビデオ処理装置1200は、ビデオ符号化デバイスに使用してもよく、ビデオ復号化デバイスに使用してもよい。ここで、符号化デバイスにより説明を行う。ビデオ処理装置1200は、1つの実施例において、プロセッサ(processor)1210、メモリ1220、入力/出力ユニット1230、およびデータバスユニット1240を含むことができる。
【0053】
プロセッサ1210は、ハードウェアおよびソフトウェア形式により本開示が提出する複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを実施する。プロセッサ1210は、1つまたは複数の中央処理装置(CPU)チップ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array, FPGA)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit, ASIC)、およびデジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor, DSP)等として実施することができる。プロセッサ1210は、データバスユニット1240を介してメモリ1220、入力/出力ユニット1230と通信するよう構成され、データを受信または転送する。プロセッサ1210は、メモリ1220に保存されたコマンドにアクセスして実施することができる。
【0054】
メモリ1220は、実行したいプログラムを保存し、プログラム実行過程において読み出したコマンドとデータを保存するために使用される。メモリ1220は、揮発性メモリ(volatile memory)および/または不揮発性メモリ(non-volatile memory, NVM)であってもよい。不揮発性メモリは、読み出し専用メモリ(read-only memory, ROM)またはフラッシュメモリ(flash memory)等であってもよい。読み出し専用メモリ(ROM)は、例えば、プログラマブル読み出し専用メモリ(programmable read-only memory, PROM)、電気的に書き換え可能な読み出し専用メモリ(electrically alterable read only memory, EAROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(erasable programmable read only memory, EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read only memory, EEPROM)等であってもよい。揮発性メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random access memory, DRAM)、またはスタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory, SRAM)等であってもよい。
【0055】
図12のビデオ処理装置1200構造に基づいて、設定後に
図10が提出する複数参照ライン(MRL)のイントラ予測方法の符号化(encoding)フローを実施することができる。プロセッサ1210は、設定後にイントラ予測機能を含むビデオ符号化を実施することができ、
図10が提出する参照サンプルフィルタリングフローS1010、イントラ予測フローS1020、境界フィルタリングフローS1030、レート歪み最適化(RDO)フローS1040、および構文生成(syntax generation)フローS1050等のフローを含む複数参照ライン(MRL)のイントラ予測方法の符号化(encoding)フローを実行することができる。
【0056】
図12における設定後に複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを実施するビデオ処理装置1200は、ビデオ符号化デバイス(encoder)に応用され、
図13の構造ブロック概略図を参照することができる。
図13は、本開示内容の実施例に基づくビデオ符号化デバイスの構造ブロック概略図である。このビデオ符号化デバイス1300が使用するビデオ符号化は、共同探索テストモデル(JEM)である。ビデオ符号化デバイス1300は、集積回路を含み、且つ
図13で説明する各ユニットは、回路バスが相互接続したハードウェア回路ブロックとして形成される。このハードウェア回路は、単独回路または両者または両者以上を共有ハードウェア回路として組み合わせることができる。いくつかの実例において、
図13で説明したユニットのうちの1つまたは複数は、処理回路上で実行するソフトウェアユニットであってもよい。このような実例において、このようなソフトウェアユニットに用いられるプログラムコードは、メモリの中に保存される。作業システムは、ビデオ符号化デバイス1300がメモリからプログラムコードを保存取得して、実行できるようにすることができ、ビデオ符号化デバイス1300が実例技術を実施する操作を実行できるようにする。いくつかの実例において、ソフトウェアユニットは、ビデオ符号化デバイス1300が起動場所で実行するファームウェアであってもよい。したがって、ビデオ符号化デバイス1300は、実例技術を実行するハードウェアを有する、またはハードウェア上で実行することによりこのような実例技術を実行するハードウェアを特化するソフトウェア/ファームウェアを有する構造部材である。
【0057】
本実施例のビデオ符号化デバイス1300は、変換量子化ユニット1310、予測ユニット1320、ビデオ符号化デバイス1300の入力端子N1にある加算器1330、エントロピー符号化ユニット1340、逆量子化逆変換ユニット1350、逆量子化逆変換ユニット1350の出力端子N2にある加算器1360、および画面バッファ1370を含む。変換量子化ユニット1310は、変換ユニット1312および量子化ユニット1314を含む。予測ユニット1320は、イントラ予測ユニット1322およびインター予測ユニット1324を含む。加算器1330は、予測ユニット1320が提供する情報(例えば、予測値)から入力画像IMを差し引いて入力画像IMの残余値MRを取得する。
【0058】
変換ユニット1312は、例えば、非分離型二次変換(NSST)技術を採用して変換を行う。変換ユニット1312は、入力画像IMの残余値MRに対して変換を行う。既に変換された変換ユニット1312の残余値変換を行った後のデータTDは、量子化ユニット1314で処理した後にデータDAになり、エントロピー符号化ユニット1340で処理されて圧縮された後の映像データVDになる。映像データVDは、データDAの他に、予測ユニット1320が生成した各イントラ予測モードとインター予測モードも含むことができる。
【0059】
ビデオ復号化後のデータをシミュレーションするために、ビデオ符号化デバイス1300は、逆量子化逆変換ユニット1350の中の逆量子化ユニット1352および逆変換ユニット1354を利用して、データDAをビデオ復号化された後の画像データに還元する。この画像データは、加算器1360によって入力画像IMと処理された後に画面バッファ1370に一時保存される。ビデオ復号化後の画像データは、イントラ予測ユニット1322およびインター予測ユニット1324を提供して現在ブロックのモード予測として使用することができる。イントラ予測ユニット1322は、同じ画面において既に解析されたブロックを利用して処理中のブロックに対して画素数値予測および残余値変換を行う。インター予測ユニット1324は、連続する複数の入力映像の間のブロックに対して画素予測および残余値変換を行う。つまり、予測ユニット1320は、設定後に受信した画像データ(入力画像データ)およびビデオ復号化された後の画像データ(同じ画面において既に解析されたブロック)に対し、予測値を生成することができる。
【0060】
イントラ予測ユニット1322は、設定後にインデックスを受信するとともに、前記インデックスに基づいてフィルタ選択を行い、このインデックスに対応するフィルタインデックス(filter index)を生成し、前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて、対応するフィルタを選択してフィルタリング操作を行う、あるいは受信した画像データ(入力画像データ)を直接フィルタリングされたサンプルとして出力する。
【0061】
図12における設定後に複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを実施するビデオ処理装置1200は、ビデオ復号化デバイス(decoder)に応用され、
図14の構造ブロック概略図を参照することができる。ビデオ復号化デバイス1400は、集積回路を含み、且つ
図14で説明する各ユニットは、回路バスが相互接続したハードウェア回路ブロックとして形成される。このハードウェア回路は、単独回路または両者または両者以上を共有ハードウェア回路として組み合わせることができる。いくつかの実例において、
図14で説明したユニットのうちの1つまたは複数は、処理回路上で実行するソフトウェアユニットであってもよい。このような実例において、このようなソフトウェアユニットに用いられるプログラムコードは、メモリの中に保存される。作業システムは、ビデオ復号化デバイス1400がプログラムコードを取得して、実行できるようにすることができ、ビデオ復号化デバイス1400が実例技術を実施する操作を実行できるようにする。いくつかの実例において、ソフトウェアユニットは、ビデオ復号化デバイス1400が起動場所で実行するファームウェアであってもよい。したがって、ビデオ復号化デバイス1400は、実例技術を実行するハードウェアを有する、またはハードウェア上で実行することによりこのような実例技術を実行するハードウェアを特化するソフトウェア/ファームウェアを有する構造部材である。
【0062】
図14の実例において、ビデオ復号化デバイス1400は、ビデオデータメモリ1410、エントロピー復号化ユニット1420、逆量子化ユニット1430、逆変換処置ユニット1440、予測処理ユニット1450、再構築ユニット1460、フィルタユニット1470、および復号化された画像バッファ1480を含む。予測処理ユニット1450は、インター予測ユニット1452およびイントラ予測ユニット1454を含む。その他の実例において、ビデオ復号化デバイス1400は、さらに多くの、さらに少ない、または異なる機能部品を含んでもよい。
【0063】
エントロピー復号化ユニット1420は、エントロピー復号化構文要素に対してエントロピー復号化を行うことができる。予測処理ユニット1450、逆量子化ユニット1430、逆変換処置ユニット1440、再構築ユニット1460、およびフィルタユニット1470は、ビットストリームから取り出した構文要素に基づいて、復号化されたビデオデータを生成することができる。ここでは、繰り返し説明しない。ビデオ復号化デバイス1400において、イントラ予測ユニット1454は、
図11が提出する構文解析(syntax parsing)フローS1110、参照サンプルフィルタリングフローS1120、イントラ予測フローS1130、および境界フィルタリングフローS1140を含む複数参照ライン(MRL)のイントラ予測方法の復号化(decoding)フローを実行することができる。つまり、イントラ予測ユニット1454は、インデックスを取得して、このインデックスから復号化されたビデオデータが既に参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)操作および/または境界フィルタリング(boundary filtering)操作を行ったかどうかを確認するために設定される。イントラ予測ユニット1454がこのインデックスに基づいて複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、このイントラ予測ユニットは、フィルタインデックス(filter index)に基づいて、復号化されたビデオデータが参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)操作および/または境界フィルタリング(boundary filtering)操作を行っていないものと認定する。
【0064】
本開示内容の複数の実施例において、ビデオコンテンツ符号化に用いる複数参照ライン(MRL)のイントラ予測方法を提出する。この方法において、統合参照層(composed tier, CT)の中の再構築された映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行い、この統合参照層(CT)は、2個以上の参照層(RT)を含む。別の複数の実施例において、直接複数の参照層(RT)中の再構築された映像サンプルを採用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行ってもよい。上述したイントラ予測(intra prediction)は、イントラ予測の精度を上げることができる。
【0065】
別の実施形態において、さらに、フィルタを使用するかどうかを動的に決定し、さらにイントラ予測の複雑度を下げることのできる適応フィルタリング技術を提出する。上述した複数ラインを参照として使用し、適応フィルタリング技術を採用することによって、超高解像度映画の圧縮効率を上げ、計算複雑度を下げることができる。
【0066】
上述した内容に基づき、本開示内容が提出する複数の実施例のうちの1つは、インデックスを受信するとともに、前記インデックスに基づいてフィルタ選択を行い、対応するフィルタインデックス(filter index)を生成することを含むイントラ予測(intra prediction)の適応フィルタリング方法を提出する。前記フィルタインデックス(filter index)に基づいて対応するフィルタを選択し、前記フィルタを使用して入力サンプルに対してフィルタリング操作を行い、フィルタリングされたサンプルを生成して出力する、あるいは入力サンプルを直接フィルタリングされたサンプルとして出力する。
【0067】
上述したイントラ予測(intra prediction)の適応フィルタリング方法の複数の実施例のうちの1つにおいて、このインデックスが複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、フィルタインデックス(filter index)は、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することを示す。
【0068】
本開示内容が提出する複数の実施例のうちの1つにおいて、上述した複数参照ライン(MRL)の映像サンプルは、統合参照層(CT)または複数の参照層(RT)の映像サンプル、またはその組み合わせを含む。
【0069】
本開示内容が提出する複数の実施例のうちの1つにおいて、上述したフィルタインデックス(filter index)は、対応するフィルタを選択して、参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)を実行する。前記インデックスが近隣参照層の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、入力サンプルに対して参照サンプル平滑化フィルタリング(RSF)操作を行った後にフィルタリングされたサンプルとして出力し、前記インデックスが複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、フィルタインデックス(filter index)は、前記入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することを示す。
【0070】
本開示内容が提出する複数の実施例のうちの1つにおいて、上述したフィルタインデックス(filter index)は、さらに、対応する前記フィルタを選択して境界フィルタリング(boundary filtering)を行う。前記インデックスが近隣参照層の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、入力サンプルに対して境界フィルタリング(boundary filtering)操作を行った後にこのフィルタリングされたサンプルを出力し、インデックスが複数参照ライン(MRL)の映像サンプルを使用してイントラ予測(intra prediction)の操作を行うことを示す時、フィルタインデックス(filter index)は、入力サンプルを直接前記フィルタリングされたサンプルとして出力することを示す。
【0071】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。