(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-14200(P2020-14200A)
(43)【公開日】2020年1月23日
(54)【発明の名称】ラウドスピーカー
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20191220BHJP
H04R 1/28 20060101ALI20191220BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20191220BHJP
【FI】
H04R1/02 101B
H04R1/28 310B
H04R1/00 318A
H04R1/02 101A
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-128981(P2019-128981)
(22)【出願日】2019年7月11日
(31)【優先権主張番号】20185641
(32)【優先日】2018年7月13日
(33)【優先権主張国】FI
(71)【出願人】
【識別番号】508104732
【氏名又は名称】ゲネレク オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】イルッカ リッサネン
(72)【発明者】
【氏名】トミ パーヴィライネン
(72)【発明者】
【氏名】ハリ コスキネン
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AC01
5D017AC03
5D017AD02
5D017AD12
5D017AE24
(57)【要約】
【課題】レフレックスポートの配置とラウドスピーカーの全体性能との間で妥協のないラウドスピーカーエンクロージャーを提供すること、又は少なくとも既存のレフレックスラウドスピーカーの有用な代替物を公衆に提供すること。
【解決手段】新規のラウドスピーカー100は、レフレックスエンクロージャー110の底部111に終端するレフレックスポート112を有するレフレックスエンクロージャー110を備える。このラウドスピーカーは、エンクロージャー110の底部111とラウドスピーカー100を支持する表面との間にクリアランスCを設けるように、エンクロージャー110の底部111に取外し可能に取り付けられるスタンド120を更に備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラウドスピーカー(100)であって、
エンクロージャー(110)の略平坦な底部(111)に終端するレフレックスポート(112)を有する該エンクロージャー(110)と、
前記底部(111)と該ラウドスピーカー(100)を支持する表面との間にクリアランス(C)を設けるように、前記エンクロージャー(110)の前記底部(111)に取外し可能に取り付けられるスタンド(120)と、
を備える、ラウドスピーカー。
【請求項2】
請求項1に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記エンクロージャー(110)は、略直方体である、ラウドスピーカー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記エンクロージャー(110)は、木材又は木質複合材料、特にMDFで構成された荷重支持構造物を含む、ラウドスピーカー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記エンクロージャーは、前記底部(111)の周縁部に配置される複数のレフレックスポート(112)を有する、ラウドスピーカー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記スタンド(120)は、前記レフレックスポート開口(複数の場合もある)と該ラウドスピーカー(100)を支持する前記表面との間に自由空間を設けるような形状になっている、ラウドスピーカー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記スタンド(120)は、テーブルスタンドである、ラウドスピーカー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記スタンド(120)は、本体(121)を備え、該本体(121)は、
前記エンクロージャー(110)よりも弾性が高い、若しくは前記エンクロージャー(110)よりも大きい減衰係数を有するか、
ゴム若しくはゴムを含む複合材料若しくはエラストマーで構成されているか、又は、
前記エンクロージャー(110)よりも弾性が高く、若しくは前記エンクロージャー(110)よりも大きい減衰係数を有し、かつ、ゴム若しくはゴムを含む複合材料若しくはエラストマーで構成されている、ラウドスピーカー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記スタンド(120)は、該スタンド(120)の前記本体(121)と前記エンクロージャー(110)の前記底部(111)との間にギャップ(150)を設けるように構成されている、ラウドスピーカー。
【請求項9】
請求項9に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記ギャップ(150)は、2mm〜20mm、好ましくは4mm〜10mm、より好ましくは5mmである、ラウドスピーカー。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、該ラウドスピーカー(100)は、応答周波数域において音を再生するように構成されており、前記応答周波数域の下限は、前記スタンド(120)の固有振動数よりも高い、ラウドスピーカー。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記エンクロージャー(110)の前記底部(110)及び前記スタンド(120)は、取外し可能な取付けのための、互いに係合するカップリング要素(122)を備える、ラウドスピーカー。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、
前記エンクロージャー(110)の前記底部(110)は、少なくとも1つのねじ付き開口、好ましくは複数のねじ付き開口を有し、
前記スタンド(120)は、前記底部の前記ねじ付き開口(複数の場合もある)に係合するように構成された、少なくとも1つの対応するねじ付きシャフト(122)、好ましくは複数の対応するねじ付きシャフト(122)を備える、ラウドスピーカー。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記スタンド(120)は、該スタンド(120)の前記本体(121)と前記エンクロージャー(110)の前記底部(111)との間に前記ギャップ(150)を設けるように、該スタンド(120)の前記本体(121)の上面から突出する、1つのアダプター(123)、好ましくは複数のアダプター(123)を備える、ラウドスピーカー。
【請求項14】
請求項13に記載のラウドスピーカー(100)であって、
前記ねじ付きシャフト(複数の場合もある)(122)は、前記アダプター(複数の場合もある)(123)に一体化され、
前記スタンド(120)の前記本体(121)は、前記アダプター(複数の場合もある)(123)を埋め込むようにして収納する収納開口(複数の場合もある)を有し、
最初に、前記アダプター(複数の場合もある)(123)を前記エンクロージャー(110)の前記底部(111)に取り付けることができ、その後、前記スタンド(120)の前記本体(121)を前記アダプター(複数の場合もある)(123)に取り付けることができる、ラウドスピーカー。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記スタンド(120)は、前記ねじ付きシャフト(複数の場合もある)(122)を有する1つのボルト、好ましくは複数のボルトを備え、該ボルト(複数の場合もある)は、前記スタンド(120)の前記本体(121)及び前記アダプター(123)を貫通するとともに、前記エンクロージャー(110)の前記底部における前記ねじ付き開口(複数の場合もある)に取り付けられるように構成されている、ラウドスピーカー。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記スタンド(120)の前記本体(121)は、複数の脚(126)と、前記レフレックスポート開口(複数の場合もある)を迂回するように前記エンクロージャー(110)の前記底部(111)を覆って前記脚(126)を接続するウェブ(125)とを備える、ラウドスピーカー。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記クリアランス(C)は、最大で200mm、好ましくは最大で100mm、より好ましくは最大で50mmであり、例えば30mm〜40mmである、ラウドスピーカー。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記エンクロージャー(110)の前記バッフル(115)は、レフレックスポート開口を有せずにウェーブガイド(117)を備え、該ラウドスピーカー(100)は、前記ウェーブガイド(117)に取り付けられた高周波トランスデューサー(130)を備える、ラウドスピーカー。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)であって、前記ウェーブガイド(117)は、前記バッフル(115)の平坦部の幅にわたって延在する、ラウドスピーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音の再生の分野に関する。特に、本開示は、レフレックスラウドスピーカーエンクロージャー(reflex loudspeaker enclosure)の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
レフレックスラウドスピーカーエンクロージャーは、比較的コンパクトなエンクロージャーを用いて低周波数での音の再生を達成するのに有利な構成である。しかしながら、レフレックスポートにおける淀みのない空気の流れの最適化と、ラウドスピーカーの他の性能とのバランスを取ることは、難題とみなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本提案の目的は、レフレックスポートの配置とラウドスピーカーの全体性能との間で妥協のないラウドスピーカーエンクロージャーを提供すること、又は少なくとも既存のレフレックスラウドスピーカーの有用な代替物を公衆に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書において、レフレックスエンクロージャーの底部に終端するレフレックスポートを有するレフレックスエンクロージャーを備える、新規のラウドスピーカーが提案される。このラウドスピーカーは、エンクロージャーの底部とラウドスピーカーを支持する表面との間にクリアランスを設けるように、エンクロージャーの底部に取外し可能に取り付けられるスタンドを更に備える。
【0005】
本発明は、独立請求項の特徴部によって規定される。複数の特定の実施形態は、従属請求項において規定される。
【発明の効果】
【0006】
上記の新規提案により、かなりの利益が得られる。エンクロージャーの底部に終端するレフレックスポートを有することで、エンクロージャーのバッフルから余分な開口が排除され、それにより、そのような開口の縁部がトランスデューサーの出力に対する回折の原因を生じることがなくなる。また、バッフルからレフレックスポート開口が排除されることで、リスナーが、レフレックスポートから流れる音の放射又は共鳴に直接曝されなくなる。また、バッフルからレフレックスポート開口が排除されることで、リスナーが、レフレックスポートから流れる音の放射又は共鳴に直接曝されなくなる。さらに、バッフルは、高周波トランスデューサーによって生成される音を方向付け、したがって指向性を向上させる、大きなウェーブガイドを備えることができる。スタンドによって設けられるクリアランスにより、レフレックスポート開口がラウドスピーカーを支持する表面から上昇しており、したがって、レフレックスポートに自由に空気が流れることを可能にしている。スタンドは、テーブルトップへの設置ではない場合、例えば、ラウドスピーカーを別個のブラケット又は他の取付けアクセサリーを用いて壁に掛けるために取外し可能であり、エンクロージャーの底部は、スタンドを伴わない場合、完全に平坦である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の少なくとも複数の実施形態に係るラウドスピーカーの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、或る特定の実施形態をより詳細に記載する。
【0009】
図1〜
図3に示されているように、本提案の一実施形態は、レフレックスエンクロージャー110を備えるラウドスピーカー100を特徴とする。エンクロージャー110は、略直方体の形状を有する、すなわち、互いに略直角に接続された6つの面を有する。この形状は、厳密な長方形の角柱でないことは明らかであるが、従来のボックス型エンクロージャーに類似している。図面に示されているように、コーナーは、丸みを付けるか、面取りする(図示せず)か、又は別様に軽減することができる。また、面は、好ましくは略平坦であるか、又は少なくとも平坦部を有する。エンクロージャー110は、木質材料で作製することができる。1つの実施形態によれば、エンクロージャー110の荷重支持構造部は、木材で構成される。別の実施形態によれば、エンクロージャー110の荷重支持構造部は、木材とフィラーとを含む複合材料で構成される。1つの実施形態によれば、エンクロージャー110の荷重支持構造部は、MDF等の繊維板で構成される。
【0010】
上記面は、バッフル115を含む。バッフル115は、これに関してラウドスピーカーの前面であり、トランスデューサー130、140の取付け点としての役割を果たす。バッフル115は、ウーファーとすることができる低周波トランスデューサー140、中域トランスデューサー、又は中域周波及び低周波を生成する複合トランスデューサーを収納する、ウーファー開口118を有する。バッフル115は、ツイーターとすることができる高周波トランスデューサー130又は高周波及び中域周波を生成する複合トランスデューサーを収納する、ウェーブガイド117も備える。ウェーブガイド117は、円錐形、又は、円形若しくは楕円形若しくは他の好適な形状の円錐台形等の凹面とすることができる。ウェーブガイド117の外縁部は、ウェーブガイド117がバッフル115の前面に対して凹む起点となる線を示すように
図1及び
図2に描かれた、楕円形の線で表されている。ウェーブガイド117は、効果的な指向性のために比較的大きいことが好ましい。ウェーブガイド117は、バッフル115の平坦部の幅にわたって延在することが特に好ましい。このことは、ウェーブガイド117がバッフル115の丸みが付けられたコーナーまで延在することを示すように
図1及び
図2においてウェーブガイド117に隣接して描かれた、垂直形状の線によって表されている。
【0011】
上記面は、第1の側部113及び第2の側部114も含み、第1の側部113及び第2の側部114は、バッフル115を囲むとともに、直角だが丸みが付けられたコーナーを介してバッフル115に接続されている。第1の側部113及び第2の側部114は、互いに対して平行であるとともに略平坦である。側部113、114は、直角だが丸みが付けられたコーナーを介して頂部116及び底部111によって接続されている。頂部116及び底部111は、互いに対向しており、互いに対して平行であるとともに略平坦である。底面、すなわち底部111は、略平坦であり、すなわち、エンクロージャーは、一体的な脚又はスタンドを備えない。底部111は、丸みが付けられたコーナー又は僅かに曲線的な形状部を有することができるが、エンクロージャー110の底部111の全体的な外観は、平坦であることが明らかである。このことは、ひいては、エンクロージャーがスタンド120を伴わずに支持表面に配置される場合(下記でより詳細に説明する)、レフレックスポート112(下記でより詳細に説明する)は、支持表面によって部分的に又は完全に閉鎖されることを意味する。後部119は、側部113、114、頂部116、及び底部111の後縁部を互いに接続する閉鎖部材である。後部119は、バッフルに対向するとともに、電源コンセント、音信号入力等に接続する端子を備える、略平坦な壁部とすることができる。エンクロージャー110は、耐衝撃塗料等の連続的又は非連続的な保護コーティングによって覆うことができる。
【0012】
上述したように、エンクロージャー110は、レフレックスエンクロージャーであり、すなわち、少なくとも1つのレフレックスポート112を有する。レフレックスポート112は、エンクロージャー110の底部111に終端するように構成されている。これは、レフレックスポート開口が底部111に設けられることを意味する。レフレックスポート112は、エンクロージャー内の指定のチューブ又は他のチャネル構造部を含むこともできるし、隣接する側部113、114と協働してレフレックスポート112を形成する壁を含むこともできる。図示の実施形態において、エンクロージャー110は、2つのレフレックスポート112を有する。一方のレフレックスポート112は、第1の側部113に隣接して配置され、他方のレフレックスポート112は、第2の側部114に隣接して配置される。レフレックスポート112は、エンクロージャー110の底部111の周縁部に位置し、可能であれば、図示のように離接する側部と位置合わせされることが好ましい。
【0013】
スタンド120は、エンクロージャーの底部111に対して着脱することができる。取り付けられた場合、スタンド120は、底部111と、テーブルトップ等のラウドスピーカー100を支持する表面との間に、クリアランスCを設ける。したがって、スタンド120は、テーブルスタンドと称することができる。この呼称は、ラウドスピーカーを地上数十メートルに上昇させるトールスタンドから区別するためのものである。このようなスタンドは、一般にフロアスタンドと称される。そうではなく、スタンド120は、1つの実施形態によれば最大で200mmのクリアランスCを設けるものである。より詳細な一実施形態によれば、クリアランスCは、最大で100mmである。より詳細な一実施形態によれば、クリアランスCは、最大で50mmである。より詳細な一実施形態によれば、クリアランスCは、30mm〜40mmである。図示の例は、36mmのクリアランスCを示している。このようなクリアランスCは、安定性と、レフレックスポート112の十分な吸気空間とのバランスを取るものである。
【0014】
スタンド120は、本体121を備え、本体121は、エンクロージャー110とラウドスピーカー100を支持する表面との間で伝達される振動を隔離するように弾性であることが好ましい。より具体的には、スタンド120の本体121は、エンクロージャー110の減衰係数よりも大きい減衰係数を有することが好ましい。したがって、スタンド120は、ラウドスピーカー100の応答周波数域の下限よりも低い固有振動数を有することが有益である。これに関して、上記応答周波数域の下限は、ピーク値から−3dBでの最低再生音周波数(lowest reproduced sound frequency)とみなすことができる。したがって、本体121には、可撓性材料が好ましい。そのような材料としては、ゴム、ゴムを含む複合材料、及び種々のエラストマーが挙げられる。本体121の原材料は、埋込み鋼、炭素繊維、又は他の剛性充填材若しくは構造物等の補強材を含むことができる。
【0015】
本体121は、レフレックスポート開口(複数の場合もある)を迂回して、レフレックスポート開口とラウドスピーカー100を支持する表面との間に自由空間を設けるような形状になっている。換言すれば、本体121は、レフレックスポート112とラウドスピーカー100を支持する表面との間に延在しない。この自由空間を促進するために、本体121は、スタンド120がエンクロージャー110に取り付けられた場合、レフレックスポート開口の間に配置されるウェブ125、すなわち中央部分を有する。ウェブ125の最端部のコーナーには、脚126が設けられており、脚126はまた、ラウドスピーカーを支持する表面からウェブ125を上昇させる。図示の実施形態によれば、スタンド120は、4つの脚126を有しているが、より少数でも、例えば3つでも十分であり得る。代替的には、スタンド120は、円柱脚等の単独の脚を有することができるが、安定性のためには、複数の脚が好ましい。
【0016】
エンクロージャー110へのスタンド120の取付けは、複数の代替的な方法で構成することができる。図示の実施形態によれば、この接続は、2段階に設定される。まず、アダプター123が、エンクロージャー110に接続される。スタンド120に係合するために、エンクロージャー110の底部111は、スタンド120に設けられたそれぞれのカップリング構造部と協働するように設計されているカップリング構造部を有する。例えば、底部111が雌カップリング構造部を有し、スタンド120が雄カップリング構造部を有するが、この設定は、逆転させてもよい。図示の実施形態によれば、エンクロージャーは、略四辺形の底部111のコーナー領域に設けられた複数のねじ付き開口、特に4つのねじ付き開口を有する。スタンド120は、底部111のねじ付き開口に係合するように設計されたそれぞれのねじ付きシャフト122を有する。理論上は、ただ1つのねじ付きカップリング接続部又は他の形状のカップリング接続部で十分とすることができる。特に、ねじ付きシャフト122は、ボルトの一部とすることもできるし、例えば加硫を通した接合により、弾性ブシュに一体化することもできる。図示の例によれば、ねじ付きシャフト122は、アダプター123の一部を形成し、アダプター123は、弾性本体から延在するねじ付きシャフト122を備え、ねじ付きシャフト122は、スタンド120の本体121と同様の材料製とすることができる。アダプター123は、シャフトと底部111における開口との間のねじ接続部を通して所定位置へと回される(dialled)。アダプター123は、他方で、スタンドの上面、特に脚126の上面に設けられたそれぞれの開口に挿入される。代替的には、アダプター123が使用されない場合、スタンド120は、エンクロージャー110に単にボルト留めすることができる。しかしながら、アダプター123を使用することで、1つの利点がもたらされる。アダプターを収納するスタンド120の本体121におけるリセスは、アダプター123がスタンド120の上面から突出するように浅いことが好ましい。こうして、スタンド120の本体121とエンクロージャー110の底部111との間にギャップ150が設けられる。ギャップ150は、ラウドスピーカー100を支持する表面からのエンクロージャー110の隔離を更に向上させる。ギャップ150の高さは、2mm〜20mm、好ましくは4mm〜10mm、より好ましくは5mmとすることができる。代替的には、アダプター123は、本体121の全高に及ぶことができる。本体121の底面、特に脚126の底面は、ゴムパッド等の弾性カバー124でシールして、そうしなければ露出する硬質の材料を覆うことができる。そのような硬質の材料は、例えば、ボルトヘッドに使用されている可能性がある。カバー124は、ラウドスピーカー100を支持する表面からエンクロージャー110を更に隔離する目的も果たす。他方で、カバー124は、斜面に設置する場合に低音反動(bass recoil)に打ち勝つために必要となり得る更なるグリップを提供する。
【0017】
スタンド120が所定位置にある状態では、レフレックスポート112は、ラウドスピーカー100を支持する表面に向けて、すなわちエンクロージャー100の下側へ、自由に空気流を排出することができる。クリアランスCは、自由な流れを可能にするように十分なものであるので、ラウドスピーカーの低域性能が低下しない。特に、クリアランスCによって、レフレックスポートの空気流により生じる音の放射が回避されるとともに、十分なクリアランスを有しない場合と比較して乱流が最小限に抑えられる。スタンド120が取り外された状態では、C字形ブラケット等のブラケット(図示せず)に通してフロアスタンドに取り付けられる、底部におけるねじインサート(図示せず)又は側部におけるねじインサートを介して、ラウドスピーカー100をフロアスタンドに取り付けることができる。このようなブラケットは、吊下げシャフトを介して天吊り金具として使用することもできる。ラウドスピーカー100は、代替的には、後部におけるねじインサート(図示せず)を介して壁掛け金具に取り付けることができる。
【0018】
開示される本発明の実施形態は、本明細書において開示される特定の構造、プロセスステップ又は材料に限定されるのではなく、当業者によって認識されるようなその均等物に拡張されることは理解されたい。また、本明細書において利用される用語は、特定の実施形態を説明するためにのみ用いられており、制限することは意図していないことも理解されたい。
【0019】
本明細書を通して「1つの実施形態」又は「一実施形態」を参照することは、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して種々の場所において「1つの実施形態では」又は「一実施形態では」という言い回しが現れても、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているとは限らない。
【0020】
本明細書において用いられるとき、複数の物品、構造的要素、組成的要素及び/又は材料は、便宜上、共通のリストにおいて提示される場合がある。しかしながら、これらのリストは、そのリストの各構成要素が個別の、かつ特有の構成要素として個々に識別されるかのように解釈されるべきである。したがって、そのようなリストの個々の構成要素は、それとは反対に示されない限り、単に共通のグループにおいて提示されることだけに基づいて同じリストの任意の他の構成要素と事実上同等であると解釈されるべきではない。さらに、本発明の種々の実施形態及び例は、本明細書において、その種々の構成要素に代わる代替形態とともに参照される場合がある。そのような実施形態、例及び代替形態は、互いに事実上同等と解釈されるべきではなく、本発明の別々の独立した表現とみなされるべきであることは理解されたい。
【0021】
さらに、説明された特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切なやり方で組み合わせることができる。以下の説明において、本発明の実施形態を完全に理解してもらうために、長さ、幅、形状等の例のような数多くの具体的な詳細が与えられる。しかしながら、それらの具体的な詳細のうちの1つ以上を用いることなく、又は他の方法、構成要素、材料等を用いて、本発明を実施できることは、当業者は認識されよう。他の事例では、本発明の態様を曖昧にするのを避けるために、既知の構造、材料又は動作は詳細には図示又は説明されない。
【0022】
上記の例は1つ以上の特定の応用形態において本発明の原理を例示するが、発明能力を訓練することなく、また、本発明の原理及び概念から逸脱することなく、実施態様の形態、使用法及び細部に関して数多くの変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、以下に記載される特許請求の範囲による場合を除いて、制限されることは意図していない。
【0023】
「備える(to comprise)」及び「含む(to include)」という動詞は、本文書において、記載されていない特徴の存在の排除も要求もしないオープンな限定表現として用いられている。従属請求項に記載されている特徴は、そうでないことが明らかに述べられていない限り、互いに自由に組合せ可能である。さらに、「1つの("a" or "an")」、すなわち単数形の使用は、本文書全体を通して複数を排除しないことが理解される。
【0024】
本願は、2018年7月13日に出願されたフィンランド特許出願第20185641号の利益を主張する。この特許出願の開示は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0025】
頭文字語リスト
MDF 中密度繊維板
【符号の説明】
【0026】
100 ラウドスピーカー
110 エンクロージャー
111 底部
112 レフレックスポート
113 第1の側部
114 第2の側部
115 バッフル
116 頂部
117 ウェーブガイド
118 ウーファー開口
119 後部
120 スタンド
121 本体
122 ねじ付きシャフト
123 アダプター
124 カバー
125 ウェブ
126 脚
130 高周波トランスデューサー
140 低周波トランスデューサー
150 ギャップ
C クリアランス
【手続補正書】
【提出日】2019年9月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンクロージャー(110)であって、該エンクロージャーの略平坦な底部(111)に終端するレフレックスポート(112)を有するエンクロージャーと、
前記底部(111)とラウドスピーカー(100)を支持する表面との間にクリアランス(C)を設けるように、前記エンクロージャー(110)の前記底部(111)に取外し可能に取り付けられるスタンド(120)と、
を備える、ラウドスピーカー。
【請求項2】
前記エンクロージャー(110)は、略直方体である、請求項1に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項3】
前記エンクロージャー(110)は、木材又は木質複合材料、特に中密度ファイバーボードで構成された荷重支持構造物を含む、請求項1又は2に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項4】
前記エンクロージャーは、前記底部(111)の周縁部に配置されている複数のレフレックスポート(112)を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項5】
前記スタンド(120)は、前記レフレックスポートの開口と該ラウドスピーカー(100)を支持する前記表面との間に自由空間を設けるような形状とされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項6】
前記スタンド(120)は、テーブルスタンドである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項7】
前記スタンド(120)は、本体(121)を備え、該本体(121)は、
前記エンクロージャー(110)よりも弾性が高いか又は前記エンクロージャー(110)よりも大きい減衰係数を有するか、又はゴム若しくはゴムを含む複合材料若しくはエラストマーで構成されており、又は、
前記スタンド(120)は、前記エンクロージャー(110)よりも弾性が高く、又は前記エンクロージャー(110)よりも大きい減衰係数を有し、かつ、ゴム若しくはゴムを含む複合材料若しくはエラストマーで構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項8】
前記スタンド(120)は、該スタンド(120)の本体(121)と前記エンクロージャー(110)の前記底部(111)との間にギャップ(150)を設けるように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項9】
前記ギャップ(150)は、2mm〜20mm、好ましくは4mm〜10mm、より好ましくは5mmである、請求項8に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項10】
該ラウドスピーカー(100)は、応答周波数域において音を再生するように構成されており、前記応答周波数域の下限は、前記スタンド(120)の固有振動数よりも高い、請求項1〜9のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項11】
前記エンクロージャー(110)の前記底部及び前記スタンド(120)は、取外し可能な取付けのための、互いに係合するカップリング要素(122)を備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項12】
前記エンクロージャー(110)の前記底部は、少なくとも1つのねじ付き開口、好ましくは複数のねじ付き開口を有し、
前記スタンド(120)は、前記底部の前記ねじ付き開口に係合するように構成された、少なくとも1つの対応するねじ付きシャフト(122)、好ましくは複数の対応するねじ付きシャフト(122)を備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項13】
前記スタンド(120)は、該スタンド(120)の本体(121)と前記エンクロージャー(110)の前記底部(111)との間にギャップ(150)を設けるように、該スタンド(120)の前記本体(121)の上面から突出する、1つのアダプター(123)、好ましくは複数のアダプター(123)を備える、請求項12に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項14】
前記ねじ付きシャフト(122)は、前記アダプター(123)に一体化され、
前記スタンド(120)の前記本体(121)は、前記アダプター(123)を埋め込むようにして収納する収納開口を有し、
最初に、前記アダプター(123)を前記エンクロージャー(110)の前記底部(111)に取り付けることができ、その後、前記スタンド(120)の前記本体(121)を前記アダプター(123)に取り付けることができる、請求項13に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項15】
前記スタンド(120)は、前記ねじ付きシャフト(122)を有する1つのボルト、好ましくは複数のボルトを備え、該ボルトは、前記スタンド(120)の前記本体(121)及び前記アダプター(123)を貫通するとともに、前記エンクロージャー(110)の前記底部における前記ねじ付き開口に取り付けられるように構成されている、請求項14に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項16】
前記スタンド(120)の前記本体(121)は、複数の脚(126)と、前記レフレックスポートの開口を迂回するように前記エンクロージャー(110)の前記底部(111)を覆って前記脚(126)を接続するウェブ(125)とを備える、請求項7〜9及び13〜15のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項17】
前記クリアランス(C)は、最大で200mm、好ましくは最大で100mm、より好ましくは最大で50mmであり、例えば30mm〜40mmである、請求項1〜16のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項18】
前記エンクロージャー(110)のバッフル(115)は、レフレックスポート開口を有せずにウェーブガイド(117)を備え、該ラウドスピーカー(100)は、前記ウェーブガイド(117)に取り付けられた高周波トランスデューサー(130)を備える、請求項1〜17のいずれか1項に記載のラウドスピーカー(100)。
【請求項19】
前記ウェーブガイド(117)は、前記バッフル(115)の平坦部の幅にわたって延在する、請求項18に記載のラウドスピーカー(100)。
【外国語明細書】