【解決手段】電気刺激治療用の導子2は、平面形状のシート本体5と、シート本体5の第1面13側に設けられ、かつ互いに離れている不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bとを含み、シート本体5は、不関電極6と一対の刺激電極7A,7Bとの間に延びる仮想軸線に沿って形成され、仮想軸線に交差する方向Aにおける断面視においてシート本体5の第2面14側に膨らんで曲がっており、かつ仮想軸線に交差する方向Aに伸縮自在な伸縮部19を含む。
前記伸縮部は、前記仮想軸線に沿って形成され、前記仮想軸線に交差する方向における断面視において前記シート本体の前記第2面側に膨らんで曲がっている伸縮部を含む、請求項1に記載の電気刺激治療用導子。
前記伸縮部は、前記シート本体が平らな状態のときに、前記断面視において前記シート本体の前記第2面側にアーチ状に膨らんでいる、請求項2に記載の電気刺激治療用導子。
前記伸縮部は、前記シート本体の前記第2面を上から見たときに折り畳まれた線状であり、かつ前記シート本体の前記第2面に沿う平面上に延びる伸縮部を含む、請求項1に記載の電気刺激治療用導子。
前記シート本体の前記第1面において、前記一対の平面電極の少なくとも1つの周囲に形成された突出部をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電気刺激治療器。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電気刺激治療器1の斜視図である。
【0023】
<電気刺激治療器1の全体構成>
電気刺激治療器1は、例えば、人体10(被治療者)の仙骨の背面側から電気的な刺激信号を与えることによって、蓄尿障害(過活動膀胱)のような排尿障害を改善する機器である。この実施形態では、主に排尿障害治療器としての電気刺激治療器1を説明するが、電気刺激治療器1は、仙骨の背面側からの電気的な刺激によって、排尿障害だけでなく、切迫性便失禁、漏出性便失禁のような便失禁の改善にも寄与する。
【0024】
電気刺激治療器1は、電気刺激治療用の導子2と、機器本体3と、本発明の配線部材の一例としての配線コード4とを含む。
導子2は、シート本体5と、本発明の少なくとも一対の平面電極の一例としての不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bとを含む。不関電極6および一対の刺激電極7A,7B上には、それぞれ導電性粘着パッド8,9A,9Bが貼着される。導電性粘着パッド8,9A,9Bの一面が人体10の皮膚に貼着されることによって、導子2が人体10の皮膚に固定される。この実施形態では、導電性粘着パッド8が不関電極6に貼着され、導電性粘着パッド9Aが一方の刺激電極7Aに貼着され、導電性粘着パッド9Bが他方の刺激電極7Bに貼着される。
【0025】
機器本体3は、配線コード4によって導子2に電気的に接続されている。機器本体3には、例えば、CPU、ROMやRAM等のメモリ、タイマ等を含む制御回路が内蔵されている。被治療者は、機器本体3に設けられた各種操作ボタン11やタッチパネル12を操作することによって、所定の周波数の電流を出力するための電気信号(電圧)を導子2に出力することができる。これにより、導子2の一対の刺激電極7A,7Bから人体10に電気的な刺激が与えられる。
【0026】
<導子2の構成>
図2は、本発明の一実施形態に係る電気刺激治療用の導子2の斜視図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る電気刺激治療用の導子2の正面図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る電気刺激治療用の導子2の背面図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る電気刺激治療用の導子2の平面図である。
図6は、本発明の一実施形態に係る電気刺激治療用の導子2の底面図である。
図7は、本発明の一実施形態に係る電気刺激治療用の導子2の右側面図である。
図8は、本発明の一実施形態に係る電気刺激治療用の導子2の断面図であって、
図3のVIII−VIII断面を示している。
図9は、
図8の要部拡大図である。
図10Aおよび
図10Bは、
図9の伸縮部19の伸縮状態を示す図である。なお、導子2の左側面図は、
図7の右側面図と対称に表れるため省略する。
【0027】
導子2は、前述のように、シート本体5と、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bとを含む。
シート本体5は、人体10が屈曲(可動)したときに、その屈曲に合わせて湾曲可能な可撓性を有する材料からなる。この実施形態では、シート本体5は、絶縁性を有し、かつ人体10の皮膚に面する第1面13および第1面13の反対側の第2面14を有する平面形状のシート部材で構成されている。
【0028】
ここで、平面形状のシート部材とは、例えば、厚さが0.5mm〜2.0mmの領域が大部分を占めるシート状の部材であり、部分的に、上記範囲の厚さを超える構造が設けられていてもよい。そのような構造としては、例えば、後述する、第1端子31、第2端子33A,33B、補助具取付部35等である。
シート本体5の材料としては、例えば、樹脂フィルム、不織布、紙等の絶縁材料が挙げられる。これらは、単独または2種以上組み合わせて使用されてもよい。この実施形態では、シート本体5は、シリコーン樹脂からなる、一体の射出成形シートによって構成されている。
【0029】
シート本体5は、
図3および
図4に示すように、全体として略四角形状である。この実施形態では、シート本体5は、人体10に取り付けた際に、上側がやや幅狭の略四角形状に形成されている。
シート本体5の第1面13には、
図4、
図8および
図9に示すように、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bがそれぞれ設置される凹部15,16A,16Bが形成されている。凹部15,16A,16Bには、それぞれ、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bが配置されている。
図9に示すように、不関電極6および一対の刺激電極7A,7B(
図9では、不関電極6および刺激電極7Bのみ示している)は、シート本体5の第1面13よりも突出していてもよい。つまり、凹部15,16A,16Bの深さに比べて、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bの厚さが大きくてもよい。
【0030】
シート本体5は、不関電極6と一対の刺激電極7A,7Bとの間に延びる仮想軸線X(実際には見えない線)を境界にして、2つの領域に分けられている。仮想軸線Xに対して一方側(この実施形態では、シート本体5が人体10に取り付けられた際の上側)に配置され、不関電極6が設けられた領域が、第1領域17である。また、仮想軸線Xに対して第1領域17の反対側(この実施形態では、シート本体5が人体10に取り付けられた際の下側)に配置され、一対の刺激電極7A,7Bが設けられた領域が、第2領域18A,18Bである。
【0031】
第1領域17と第2領域18A,18Bとは、伸縮部19によって連結されており、仮想軸線Xに交差する方向A(この実施形態では、仮想軸線Xに直交する方向)において伸縮部19を挟んで対向している。
第1領域17は、仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて長い(横長)略四角形状である。第1領域17は、四角形の辺を構成する第1端部20、第2端部21、第3端部22および第4端部23を有している。
【0032】
第1端部20は、例えば、シート本体5が人体10に取り付けられた際の第1領域17の上端部であり、仮想軸線Xに交差する方向Aにおいて、第3端部22と対向している。つまり、第3端部22は、シート本体5が人体10に取り付けられた際の第1領域17の下端部である。一方、第2端部21および第4端部23は、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿って延び、かつ第1端部20と第3端部22とを連結している。また、第2端部21および第4端部23は、仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて、互いに対向している。
【0033】
第1領域17は、例えば、仮想軸線Xに沿う方向Bに沿う横方向の長さが5.3cm程度であり、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿う縦方向の長さが9.5cm程度である。
第2領域18A,18Bは、それぞれ、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿って長い(縦長)略四角形状である。各第2領域18A,18Bは、それぞれ、四角形の辺を構成する第1端部24A,24B、第2端部25A,25B、第3端部26A,26Bおよび第4端部27A,27Bを有している。
【0034】
第1端部24A,24Bは、例えば、シート本体5が人体10に取り付けられた際の第2領域18A,18Bの上端部であり、仮想軸線Xに交差する方向Aにおいて、第3端部26A,26Bと対向している。つまり、第3端部26A,26Bは、シート本体5が人体10に取り付けられた際の第1領域17の下端部である。一方、第2端部25A,25Bおよび第4端部27A,27Bは、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿って延び、かつ第1端部24A,24Bと第3端部26A,26Bとを連結している。また、第2端部25A,25Bおよび第4端部27A,27Bは、仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて、互いに対向している。
【0035】
各第2領域18A,18Bは、例えば、仮想軸線Xに沿う方向Bに沿う横方向の長さが5.3cm程度であり、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿う縦方向の長さが9.5cm程度である。つまり、一対の第2領域18A,18Bの横方向のトータルの長さは、第1領域17の横方向の長さよりも長くなっている。これにより、シート本体5は、人体10に取り付けた際に、上側がやや幅狭の略四角形状に形成されている。
【0036】
一対の第2領域18A,18Bは、薄肉部28によって互いに連結されている。薄肉部28は、シート本体5において比較的薄く形成された部分であり、例えば、0.3mm〜2.0mmの厚さを有している。薄肉部28は、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿う直線状の領域(例えば、32mm程度の幅を有している)であり、仮想軸線Xに交差する方向Aにおいて、第2領域18A,18Bの略中央に形成されている。これにより、一対の第2領域18A,18Bの間には、仮想軸線Xに交差する方向Aにおいて、薄肉部28の一方側(上側)および他方側(下側)に、それぞれ、スリット29,30が形成されている。この実施形態では、下側のスリット30が、上側のスリット29よりも長く形成されている。
【0037】
第1領域17の第2面14には、第1端子31が一体的に設けられている。第1端子31は、
図5〜
図9に示すように第1領域17の第2面14から突出している。第1端子31は、
図2、
図5および
図6に示すように、仮想軸線Xに交差する方向Aの一方側(上側)に向く第1差込口32を有し、仮想軸線Xに交差する方向Aの他方側(下側)が閉塞された筒状に形成されている。
【0038】
この実施形態では、第1端子31は、
図2および
図3に示すように、薄肉部28の延長線上に延び、かつ第1差込口32が第1領域17の第1端部20と面一となるように形成されている。第1端子31は、例えば、図示しないリード線によって、第1領域17の第1面13側の不関電極6に導通している。
一対の第2領域18A,18Bの第2面14には、それぞれ、第2端子33A,33Bが一体的に設けられている。第2端子33A,33Bは、
図5〜
図9に示すように第2領域18A,18Bの第2面14から突出している。第2端子33A,33Bは、
図2、
図5および
図6に示すように、第1差込口32と同じ方向に向く第2差込口34A,34Bを有し、仮想軸線Xに交差する方向Aの他方側(下側)が閉塞された筒状に形成されている。
【0039】
この実施形態では、第2端子33A,33Bは、
図2および
図3に示すように、スリット29から第2領域18A,18Bの内側に離れ、かつ第2差込口34A,34Bが第2領域18A,18Bの第1端部24A,24Bと面一になるように形成されている。第2端子33A,33Bは、例えば、図示しないリード線によって、第2領域18A,18Bの第1面13側の一対の刺激電極7A,7Bに導通している。
【0040】
第1領域17の第1端部20には、補助具取付部35が一体的に設けられている。補助具取付部35は、例えば、導子2を人体10に固定する際の補助具(例えば、ベルト等)が取り付けられる部分であり、例えば、補助具としてベルトが使用される場合、ベルトループと称してもよい。
この実施形態では、補助具取付部35は、第1領域17の第1端部20の両端に1つずつ、合計2つ設けられている。第1端子31は、仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて、一対の補助具取付部35に挟まれている。各補助具取付部35は、仮想軸線Xに沿って延びるスリット36を有する四角環状に形成され、かつ第1端部20の第2面14からシート本体5の面方向に沿って突出している。
【0041】
また、第1領域17の第2面14には、薄肉部37が形成されている。薄肉部37は、シート本体5において比較的薄く形成された部分であり、例えば、0.3mm〜2.0mmの厚さを有している。薄肉部37は、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿う直線状の領域(例えば、53mm程度の幅を有している)である一対の薄肉部37を含んでいる。
一対の薄肉部37は、第1領域17の第1端部20から第3端部22に至るまで互いに平行に延び、かつ第1端子31を間に挟んで配置されている。なお、一対の薄肉部37は、いずれも、仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて、第1端子31から離れている。シート本体5は、一対の薄肉部37が形成されていることによって、薄肉部37を折り目として折り曲げやすく形成されている。これにより、シート本体5を、人体10の皮膚の起伏に合わせて良好に貼着することができる。
【0042】
また、第2領域18A,18Bの第2面14には、薄肉部38A,38Bが形成されている。薄肉部38A,38Bは、シート本体5において比較的薄く形成された部分であり、例えば、0.3mm〜2.0mmの厚さを有している。薄肉部38A,38Bは、それぞれ、スリット30に対向する第2領域18A、18Bの各端部(例えば、第2領域18Aの第2端部25Aおよび第2領域18Bの第4端部27B)から第3端部26A,26Bに延びる直線状の領域(例えば、53mm程度の幅を有している)である複数の薄肉部38A,38Bを含んでいる。
【0043】
複数の薄肉部38A,38Bは、スリット30に対向する第2領域18A、18Bの各端部から第3端部26A,26Bに至るまで互いに平行に延びている。この実施形態では、3本の薄肉部38A,38Bが、ストライプ状に形成されている。
シート本体5は、複数の薄肉部38A,38Bが形成されていることによって、薄肉部38A,38Bを折り目として折り曲げやすく形成されている。これにより、シート本体5を、人体10の皮膚の起伏に合わせて良好に貼着することができる。また、第2領域18A、18Bのスリット30側の角部39A,39Bを境に隣り合う端部同士を繋ぐ直線状の薄肉部38A,38Bが形成され、さらにこの実施形態では、角部39A,39Bから内方領域に向かって順にストライプ状に形成されている。そのため、例えば治療後に、角部39A,39Bを指で摘まむことによって、シート本体5を角部39A,39Bから剥がしやすくすることができる。
【0044】
伸縮部19は、この実施形態では、シート本体5と同じ材料でシート本体5と一体的に形成された部分であり、仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて互いに離れている一対の伸縮部19を含む。より具体的には、一対の伸縮部19の一方が、第1領域17の第3端部22と第2領域18Aの第1端部24Aとを連結し、一対の伸縮部19の他方が第1領域17の第3端部22と第2領域18Bの第1端部24Bとを連結している。
【0045】
各伸縮部19は、仮想軸線Xに交差する方向Aにおいて第2端子33A,33Bと重複しないように、第2領域18Aの第1端部24Aおよび第2領域18Bの第1端部24Bにおいて、第2端子33A,33Bよりも外側に配置されている。これにより、第2差込口34A,34Bに、第2プラグ70A,70Bを差し込みやすくすることができる。
各伸縮部19は、仮想軸線Xに沿って形成されており、
図8および
図9に示すように、仮想軸線Xに交差する方向Aにおける断面視において、シート本体5の第2面14側に膨らんで曲がっている。この実施形態では、伸縮部19は、シート本体5が平らな状態のときに、断面視においてシート本体5の第2面14側にアーチ状に膨らんでおり、略半筒状に形成されている。アーチ状の伸縮部19は、アーチの頂部から内部へ向かう方向に指で押されたときに凹む程度の可撓性を有している。アーチ状の伸縮部19は、
図9に示す断面視における周囲長L1が、例えば、1cm〜3cmである。また、仮想軸線Xに沿う方向Bに沿う長さL2が、例えば、15cm〜25cmである。
【0046】
ここで、シート本体5が平らな状態とは、例えば、シート本体5が伸縮部19を折り目として折れ曲がっておらず、第1領域17の第1面13と第2領域18A,18Bの第1面13とが同一平面を形成している状態や、例えば、シート本体5の第1面13が下面となるように、シート本体5をフラットな平面に載置したときの状態等であってもよい(以下、同じ)。
【0047】
伸縮部19は、伸縮性を有しており、例えば、伸縮部19の厚さの増減によって伸縮性を調整することができる。例えば、シート本体5の第1領域17や第2領域18A,18Bと同じ厚さであってもよいし、薄くてもよい。この実施形態では、伸縮部19は、シート本体5において比較的薄く形成された部分であり、例えば、0.3mm〜2.0mmの厚さを有している。
【0048】
これにより、伸縮部19は、シート本体5に対して仮想軸線Xに交差する方向Aに沿う引張力が加わることによって伸びたり(
図10A参照)、シート本体5に対して仮想軸線Xに交差する方向Aに沿う圧縮力が加わることによって縮んだり(
図10B参照)することによって、伸縮自在となっている。
また、一対の伸縮部19が仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて互いに離れているため、第1領域17と第2領域18A,18Bとの間にはスリット40が形成されている。スリット40は、第2領域18Aと第2領域18Bとの間のスリット29と繋がっている。これにより、シート本体5には、第1領域17、第2領域18A,18Bおよび一対の伸縮部19によって区画された開口41が形成されている。この実施形態では、開口41は、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿って長い(延びる)スリット29と、仮想軸線Xに沿う方向Bに沿って長い(延びる)スリット40とによって、略T字状に形成されている。
【0049】
凹部15は、第1領域17の第1面13に形成されており、
図4に示すように、角部が丸くされた略四角形状に形成されている。不関電極6は、凹部15とほぼ同形状に形成され、凹部15に配置されている。また、不関電極6の材料としては、例えば、銀ペースト、金属箔、炭素粉末分散樹脂膜、錫ドープインジウム酸化物分散樹脂等の導電材料が挙げられる。
【0050】
凹部16A,16Bは、それぞれ、第2領域18A,18Bの第1面13に形成されており、
図4に示すように、角部が丸くされた略四角形状に形成されている。一対の刺激電極7A,7Bは、凹部16A,16Bとほぼ同形状に形成され、凹部16A,16Bに配置されている。また、一対の刺激電極7A,7Bの材料としては、例えば、不関電極6と同じ材料が挙げられる。
【0051】
以上のような導子2を作製するには、例えば、まず、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bをコンプレッション成形によって成形する。次に、得られた不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bをインサート部材として金型に挿入し、シート本体5の材料(この実施形態では、シリコーン樹脂)を金型内に充填する。これにより、インサート成形品としての導子2を得ることができる。
ただし、導子2の作製方法は、上記のインサート成形に限らず、例えば、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bと、シート本体5とを別々の成形品として作製し、その後、シート本体5の凹部15,16A,16Bに、それぞれ、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bを嵌め込む方法であってもよい。
【0052】
<導電性粘着パッド8,9A,9Bの構成>
導電性粘着パッド8,9A,9Bは、一対の刺激電極7A,7Bから出力された電流を人体10に流すために、例えば、導電性の粘着ゲルによって構成されている。この実施形態では、導電性粘着パッド8,9A,9Bは、0.8mm程度の厚さを有するパッドによって構成されている。
【0053】
導電性粘着パッド8,9A,9Bは、両方の面が粘着性を有している。導電性粘着パッド8,9A,9Bの一方の面が不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bに貼着され、他方の面が、人体10の皮膚(治療箇所)に貼着される。
導電性粘着パッド8,9A,9Bは、それぞれ、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bとほぼ同じ形状を有している。つまり、導電性粘着パッド8,9A,9Bは、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bの形状にほぼ一致する略四角形状に形成されている。
【0054】
<機器本体3の構成>
図11は、
図1の機器本体3の正面図である。
図12は、
図1の機器本体3の平面図である。
機器本体3は、筐体42と、筐体42の前面に設けられたタッチパネル12と、タッチパネル12の下方に設けられたスタート/ストップボタン43および複数の操作ボタン11,11とを含む。
筐体42は、この実施形態では、略楕円形状に形成され、例えば、プラスチック製のケースからなっていてもよい。筐体42の上面には、第1差込口44と、第2差込口45とが設けられている。
【0055】
第1差込口44は、例えば出力用のポートであり、配線コード4が接続される。一方、第2差込口45は、例えば充電用のポートであり、ACアダプタ(図示せず)のコードが接続される。つまり、機器本体3は、充電した電池やACアダプタを介してコンセントから供給される電源によってオンにすることができる。
タッチパネル12は、筐体42の長手方向に沿って長い長方形状に形成され、筐体42の長手方向の一端部寄りに配置されていてもよい。また、タッチパネル12は、例えば、モノクロもしくはカラーの液晶モニタであってよい。タッチパネル12には、例えば、一対の刺激電極7A,7Bによる電気的な刺激信号のパルス波形や周波数、被治療者の心電波形および心拍数、エラーメッセージ等を表示することができる。これにより、被治療者は、電気刺激治療器1の動作状態を容易に知ることができる。
【0056】
スタート/ストップボタン43および複数の操作ボタン11,11は、タッチパネル12に対して、筐体42の長手方向他端部側に配置されていてもよい。
また、操作ボタン11は、電気刺激治療器1の機種によって、様々な機能を有していてもよい。例えば、電気刺激治療器1のメモリ機能として、複数の被治療者それぞれに適した刺激信号のパルス波の幅(パルス幅)、周波数等を含む治療メニューを機器本体3に記憶させておき、それを読み出す際に操作するボタン等であってもよい。
【0057】
<配線コード4の構成>
図13は、
図1の配線コード4の平面図である。
図14は、
図1の配線コード4の側面図である。
図15は、
図1の配線コード4の正面図である。
配線コード4は、複合配線46と、電源側プラグ端子47と、第1プラグ端子48と、第2プラグ端子49A,49Bとを含む。
複合配線46は、例えば、第1配線50および一対の第2配線51A,51Bを内蔵している。第1配線50および一対の第2配線51A,51Bは、それぞれ、線状の導体を絶縁性の保護皮膜で覆うことによって構成されている。複合配線46は、第1配線50および一対の第2配線51A,51Bを一束化し、絶縁性の保護皮膜で覆うことによって構成されている。
【0058】
なお、紙面の都合上、第1配線50および一対の第2配線51A,51Bのうち、
図13では第1配線50のみを示し、
図14では第2配線51Aのみを示しているが、第1配線50および一対の第2配線51A,51Bは、いずれも同じ複合配線46に内蔵されている。
電源側プラグ端子47は、複合配線46の一端部に設けられている。電源側プラグ端子47は、電源側端子本体52と、電源側プラグ53とを備えている。
【0059】
電源側端子本体52は、例えば、樹脂製の射出成形品からなる。電源側端子本体52は、例えば蛇腹状の接続部54を介して、複合配線46の一端部に接続されている。電源側端子本体52は、その厚さを定義する上面部55および下面部56と、その幅を定義する一対の側面部57,57と、接続部54の反対側に臨む前面部58とを有している。
電源側プラグ53は、例えば、電源側端子本体52と一体な樹脂製の射出成形品からなり、電源側端子本体52の前面部58から突出している。電源側プラグ53は、例えば、略直方体形状に形成されている。
図15に示すように、電源側プラグ53内には、第1配線50および一対の第2配線51A,51Bが露出している。また、電源側プラグ53内には、第1配線50および一対の第2配線51A,51Bの3つの配線に加え、ダミー配線59が露出していてもよい。
【0060】
第1プラグ端子48は、複合配線46の他端部(電源側プラグ端子47とは反対側の端部)に設けられている。第1プラグ端子48は、第1端子本体60と、第1プラグ61とを備えている。
第1端子本体60は、例えば、樹脂製の射出成形品からなる。第1端子本体60は、例えば蛇腹状の接続部62を介して、複合配線46の他端部に接続されている。第1端子本体60は、その厚さを定義する上面部63および下面部64と、その幅を定義する一対の側面部65,65と、接続部62の反対側に臨む前面部66とを有している。
【0061】
第1プラグ61は、第1配線50に導通しており、例えば、金属プラグからなる。第1プラグ61は、第1端子本体60の前面部66から突出している。この実施形態では、第1端子本体60は、厚さに比べて幅が広い扁平状に形成されており、第1端子本体60の前面部66の幅方向中央から第1プラグ61が突出している。第1プラグ61の幅方向両側には、一定の配線スペース67が形成されている。
【0062】
複合配線46および第1端子本体60の内部を通る一対の第2配線51A,51Bは、この配線スペース67から延び、かつ露出している。より具体的には、第1端子本体60の前面部66には、第1プラグ61の幅方向両側の配線スペース67に1つずつ、蛇腹状の接続部68が設けられている。つまり、一対の接続部68が、第1プラグ61を挟むように第1端子本体60の前面部66に配置されている。一対の第2配線51A,51Bは、一対の接続部68から線状に延び、その先端部に第2プラグ端子49A,49Bが設けられている。
【0063】
第2プラグ端子49A,49Bは、それぞれ、第2端子本体69A,69Bと、第2プラグ70A,70Bとを備えている。第2端子本体69A,69Bは、例えば、樹脂製の射出成形品からなる。第2端子本体69A,69Bは、例えば、略円筒状に形成されている。第2プラグ70A,70Bは、例えば、金属プラグからなり、第2配線51A,51Bに導通している。
【0064】
<電気刺激治療器1の使用方法>
図16は、導子2に対する配線コード4の接続状態を示す図である。
図17は、人体10への導子2の取り付け方を説明するための図である。
図18Aおよび
図18Bは、導子2の一作用効果を説明するための図である。なお、
図17、
図18Aおよび
図18Bでは、図面の明瞭化のために、配線コード4の全体図、および導子2の一部の図示を省略している。
【0065】
電気刺激治療器1を使用するには、例えば、まず導子2と機器本体3とを電気的に接続する。
導子2と機器本体3とを電気的に接続するには、
図16に示すように、例えば、配線コード4の第1プラグ61を第1端子31の第1差込口32に差し込む。第1プラグ61は、第1端子本体60の前面部66が第1端子31の端面に当接するまで差し込まれることが好ましい。これにより、第1端子31が、第1プラグ61の両側の一対の接続部68で挟まれることとなる。次に、第2プラグ70A,70Bを、それぞれ、第2端子33A,33Bの第2差込口34A,34Bに差し込む。これにより、導子2と配線コード4とが接続される。
【0066】
一方、機器本体3の第1差込口44に、配線コード4の電源側プラグ53を差し込む。これにより、機器本体3と配線コード4とが接続される。以上の作業を以て、導子2と機器本体3との電気的な接続が完了する。
次に、導子2を人体10に貼着する。より具体的には、導電性粘着パッド8,9A,9Bを不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bに貼着した後、
図17に示すように、例えば親指72を導子2の開口41に通し、シート本体5を親指72に引っ掛ける。その状態から、右利きなら右側の腸骨稜71A(左利きなら左側の腸骨稜71B)を親指72で探す。腸骨稜71Aが見つかれば、シート本体5に引っ掛けた親指72を腸骨稜71Aに沿って背中中央まで移動させる。そして、背中中央で親指72が凸部に触れれば、その位置が仙骨73の背面側なので、導電性粘着パッド8,9A,9Bを皮膚に貼着する。
【0067】
そして、機器本体3の操作ボタン11、タッチパネル12を適宜操作して治療メニューを選択し、スタート/ストップボタン43を押すことによって、仙骨73の背面側に貼着された一対の刺激電極7A,7Bから電流を流すことができる。
このように、開口41に指を通すことによってシート本体5を指に引っ掛けながら不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bの位置決めを行うことができるので、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bを非常に取り付けやすくすることができる。また、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bの位置決めをするときに、開口41に通した指を頼りに仙骨の位置を探すことができるので、目視や鏡越しに視認できない場合であっても、導子2の適切な取り付け位置を容易に見つけることができる。さらに、開口41に通した指を支点にシート本体5の位置を微調整することができるので、位置決めを一層容易に行うことができる。
【0068】
また、第1配線50および一対の第2配線51A,51Bが複合配線46に内蔵されており、第1プラグ端子48から一対の第2配線51A,51Bが分岐された構成となっている。すなわち、
図16に示すように、一対の第2配線51A,51Bの分岐区間をシート本体5の第1端子31と第2端子33A,33Bとの間の区間に抑えることができる。その結果、導子2を人体10に取り付けるときに配線が邪魔になりにくいので、導子2を一層取り付けやすくすることができる。また、断線を防止することもできる。
【0069】
また、
図16に示すように、シート本体5の第1端子31が一対の接続部68で挟まれることとなるため、第1端子31に対する第1プラグ61の接続安定性を向上させることができる。
さらに、この電気刺激治療器1では、導子2のシート本体5が伸縮自在な伸縮部19を備えている。そのため、例えば人体10の屈曲部分(この実施形態では、腰付近)に跨って不関電極6と一対の刺激電極7A,7Bとが取り付けられる場合でも、人体10が屈曲(可動)したときに、その屈曲に合わせて伸縮部19が伸縮することによって、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bに対して余計な面方向の力が加わることを抑制することができる。
【0070】
例えば、
図18に示すように、人体10が立った姿勢から屈んだ姿勢に屈曲したときには、伸縮部19が伸びることによって、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bに対して余計な面方向の力が加わることを抑制することができる。その結果、人体10から不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bを外れにくくすることができる。
また、この実施形態のように、伸縮部19が断面視においてアーチ状であれば、伸縮部19を滑らかに伸縮させることができるので、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bに対して余計な面方向の力が加わることを一層抑制することができる。さらに、アーチ状の伸縮部19では、
図9に示した周囲長L1が1cm〜3cmであることが好ましい。周囲長L1がこの範囲であれば、人体10の体型に関わらず、電極剥がれを抑制でき、かつ伸縮部19が突出し過ぎることもないので、思いがけず伸縮部19に接触してしまうことによる電極剥がれも抑制することができる。
【0071】
<導子2の第1変形例>
図19は、電気刺激治療用の導子2の第1変形例を示す斜視図である。
図20は、
図19の電気刺激治療用の導子2の断面図である。
図21Aおよび
図21Bは、
図19および
図20の第2伸縮部74の伸縮状態を示す図である。
前述のように、シート本体5の一対の第2領域18A,18Bは、薄肉部28によって互いに連結されていてもよいが、
図19に示すように、第2伸縮部74によって連結されていてもよい。
第2伸縮部74は、シート本体5と同じ材料でシート本体5と一体的に形成された部分である。第2伸縮部74は、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿う直線状に形成され、仮想軸線Xに交差する方向Aにおいて、第2領域18A,18Bの略中央に形成されている。
【0072】
第2伸縮部74は、
図20に示すように、仮想軸線Xに沿う方向Bにおける断面視において、シート本体5の第2面14側に膨らんで曲がっている。この実施形態では、第2伸縮部74は、は、シート本体5が平らな状態のときに、断面視においてシート本体5の第2面14側にアーチ状に膨らんでおり、略半筒状に形成されている。アーチ状の第2伸縮部74は、は、
図20に示す断面視における周囲長L3が、例えば、1cm〜3cmである。
【0073】
第2伸縮部74は、伸縮性を有しており、例えば、第2伸縮部74の厚さの増減によって伸縮性を調整することができる。例えば、シート本体5の第1領域17や第2領域18A,18Bと同じ厚さであってもよいし、薄くてもよい。この実施形態では、第2伸縮部74は、シート本体5において比較的薄く形成された部分であり、例えば、0.3mm〜2.0mmの厚さを有している。
【0074】
これにより、第2伸縮部74は、シート本体5に対して仮想軸線Xに沿う方向Bに沿う引張力が加わることによって伸びたり(
図21A参照)、シート本体5に対して仮想軸線Xに沿う方向Bに沿う圧縮力が加わることによって縮んだり(
図21B参照)することによって、伸縮自在となっている。
以上のように、
図19、
図20および
図21A,Bの構成によれば、第2伸縮部74が伸縮するので、例えば、
図17に示すように導子2の位置決めをする際に、仮想軸線Xに沿う方向Bにおける位置の微調整を簡単に行うことができる。
図17では、人体10の左右方向における位置の微調整を簡単に行うことができる。
【0075】
<導子2の第2変形例>
図22は、電気刺激治療用の導子2の第2変形例を示す斜視図である。
図23は、
図22の電気刺激治療用の導子2の右側面図である。
第2変形例の導子2は、仮想軸線Xに交差する方向Aにおける断面視において、シート本体5の第2面14側に膨らんで曲がっている伸縮部19に代えて、伸縮部79を備えている。
伸縮部79は、弾性材料からなり、かつシート本体5の第2面14に沿う平面形状に形成されている。ここで、第2面14に沿う平面形状とは、伸縮部19とは異なり、シート本体5が平らな状態のときに、一方面80およびその反対側の他方面81を有する扁平な伸縮部79の両面が、シート本体5の第1面13および第2面14のどちらからも突出していないことをいう。つまり、伸縮部79の一方面80および他方面81は、シート本体5が平らな状態のときに、
図23に示すように、シート本体5の第1面13および第2面14に略平行に形成されている。
【0076】
伸縮部79の材料としては、例えば、伸縮性を有する扁平なゴム材料等を適用することができる。
伸縮部79は、
図22に示すように、仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて互いに離れている一対の伸縮部79を含む。一対の伸縮部79の一方が、第1領域17の第3端部22と第2領域18Aの第1端部24Aとを連結し、一対の伸縮部79の他方が第1領域17の第3端部22と第2領域18Bの第1端部24Bとを連結している。各伸縮部79は、仮想軸線Xに沿う方向Bにおける一端から他端に向かって一定の厚さを有していてもよい。
【0077】
このような導子2を作製するには、例えば、まず、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bをコンプレッション成形によって成形する。次に、得られた不関電極6および一対の刺激電極7A,7B、ならびに、別途準備した伸縮部79用の弾性材料をインサート部材として金型に挿入し、シート本体5の材料(この実施形態では、シリコーン樹脂)を金型内に充填する。これにより、インサート成形品としての導子2を得ることができる。
この第2変形例の導子2は、伸縮部79を備えている。そのため、
図18に示したように、人体10が屈曲(可動)したときに、その屈曲に合わせて伸縮部79の材料(弾性材料)が伸縮する。これにより、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bに対して余計な面方向の力が加わることを抑制することができる。
【0078】
<導子2の第3変形例>
図24は、電気刺激治療用の導子2の第3変形例を示す正面図である。
図25は、
図24の電気刺激治療用の導子2の右側面図である。
第3変形例の導子2は、仮想軸線Xに交差する方向Aにおける断面視において、シート本体5の第2面14側に膨らんで曲がっている伸縮部19に代えて、伸縮部82を備えている。
伸縮部82は、
図24に示すように、仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて互いに離れている一対の伸縮部82を含む。一対の伸縮部82の一方が、第1領域17の第3端部22と第2領域18Aの第1端部24Aとを連結し、一対の伸縮部82の他方が第1領域17の第3端部22と第2領域18Bの第1端部24Bとを連結している。各伸縮部82は、シート本体5の第2面14を上から見たときに折り畳まれた線状である。
【0079】
より具体的には、伸縮部82は、仮想軸線Xに沿う方向Bに沿って延びる一対の第1部分83と、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿って延び、一対の第1部分83の一端部同士を連結する第2部分84とを含む。一対の第1部分83の他端部同士は、仮想軸線Xに交差する方向Aにおいて、互いに離れている。この第3変形例では、伸縮部82は、第1領域17と第2領域18A,18Bとの間の領域において、U字状に折り畳まれている。
【0080】
また、伸縮部82は、
図25に示すように、シート本体5の第2面14に沿う平面上に延びている。ここで、第2面14に沿う平面上に延びるとは、シート本体5が平らな状態のときに、伸縮部82がシート本体5の第1面13および第2面14のどちらからも突出しておらず、シート本体5の第2面14に平行な平面P上に配置されていることをいう。
以上のような導子2を作製するには、例えば、まず、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bをコンプレッション成形によって成形する。次に、得られた不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bをインサート部材として金型に挿入し、シート本体5の材料(この実施形態では、シリコーン樹脂)を金型内に充填する。これにより、インサート成形品としての導子2を得ることができる。
【0081】
この第3変形例の導子2は、U字状の伸縮部82を備えている。そのため、
図18に示したように、人体10が屈曲(可動)したときに、その屈曲に合わせて一対の第1部分83が離れたり近づいたりすることで、伸縮部82が伸縮する。これにより、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bに対して余計な面方向の力が加わることを抑制することができる。
また、第2部分84で連結された一対の第1部分83の端部が、それぞれ、他方の伸縮部82の反対側、つまり外側に位置している。これにより、伸縮部82で連結されたシート本体5の形状を安定して保持することができる。
【0082】
<導子2の第4変形例>
図26は、電気刺激治療用の導子2の第4変形例を示す正面図である。
図27は、
図26の電気刺激治療用の導子2の右側面図である。
第4変形例の導子2は、仮想軸線Xに交差する方向Aにおける断面視において、シート本体5の第2面14側に膨らんで曲がっている伸縮部19に代えて、伸縮部85を備えている。
伸縮部85は、
図26に示すように、仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて互いに離れている一対の伸縮部85を含む。一対の伸縮部85の一方が、第1領域17の第3端部22と第2領域18Aの第1端部24Aとを連結し、一対の伸縮部85の他方が第1領域17の第3端部22と第2領域18Bの第1端部24Bとを連結している。各伸縮部85は、シート本体5の第2面14を上から見たときに折り畳まれた線状である。
【0083】
より具体的には、伸縮部85は、仮想軸線Xに沿う方向Bに沿って延びる一対の第1部分86と、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿って延び、一対の第1部分86の一端部同士を連結する第2部分87とを含む。一対の第1部分86の他端部同士は、仮想軸線Xに交差する方向Aにおいて、互いに離れている。この第4変形例では、伸縮部85は、第1領域17と第2領域18A,18Bとの間の領域において、M字状に折り畳まれている。
【0084】
また、伸縮部85は、
図27に示すように、シート本体5の第2面14に沿う平面上に延びている。ここで、第2面14に沿う平面上に延びるとは、シート本体5が平らな状態のときに、伸縮部85がシート本体5の第1面13および第2面14のどちらからも突出しておらず、シート本体5の第2面14に平行な平面P上に配置されていることをいう。
以上のような導子2を作製するには、例えば、まず、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bをコンプレッション成形によって成形する。次に、得られた不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bをインサート部材として金型に挿入し、シート本体5の材料(この実施形態では、シリコーン樹脂)を金型内に充填する。これにより、インサート成形品としての導子2を得ることができる。
【0085】
この第4変形例の導子2は、M字状の伸縮部85を備えている。そのため、
図18に示したように、人体10が屈曲(可動)したときに、その屈曲に合わせて一対の第1部分86が離れたり近づいたりすることで、伸縮部85が伸縮する。これにより、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bに対して余計な面方向の力が加わることを抑制することができる。
また、第2部分87で連結された一対の第1部分86の端部が、それぞれ、他方の伸縮部85の反対側、つまり外側に位置している。これにより、伸縮部85で連結されたシート本体5の形状を安定して保持することができる。
【0086】
<導子2の第5変形例>
図28は、電気刺激治療用の導子2の第5変形例を示す正面図である。
図29は、
図28の電気刺激治療用の導子2の右側面図である。
第5変形例の導子2は、仮想軸線Xに交差する方向Aにおける断面視において、シート本体5の第2面14側に膨らんで曲がっている伸縮部19に代えて、伸縮部88を備えている。
伸縮部88は、
図28に示すように、仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて互いに離れている一対の伸縮部88を含む。一対の伸縮部88の一方が、第1領域17の第3端部22と第2領域18Aの第1端部24Aとを連結し、一対の伸縮部88の他方が第1領域17の第3端部22と第2領域18Bの第1端部24Bとを連結している。各伸縮部88は、シート本体5の第2面14を上から見たときに折り畳まれた線状である。
【0087】
より具体的には、伸縮部88は、仮想軸線Xに交差する方向Aに沿って延びる一対の第1部分89と、仮想軸線Xに沿って延び、一対の第1部分89の一端部同士を連結する第2部分90とを含む。一対の第1部分89は、仮想軸線Xに沿う方向Bにおいて互いに離れている。第2部分90は、シート本体5の第1領域17に連結された第1部分89の第1領域17の反対側の端部と、シート本体5の第2領域18A,18Bに連結された第1部分89の第2領域18A,18Bの反対側の端部とを連結している。この第5変形例では、伸縮部88は、第1領域17と第2領域18A,18Bとの間の領域において、S字状に折り畳まれている。
【0088】
また、伸縮部88は、
図29に示すように、シート本体5の第2面14に沿う平面上に延びている。ここで、第2面14に沿う平面上に延びるとは、シート本体5が平らな状態のときに、伸縮部88がシート本体5の第1面13および第2面14のどちらからも突出しておらず、シート本体5の第2面14に平行な平面P上に配置されていることをいう。
以上のような導子2を作製するには、例えば、まず、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bをコンプレッション成形によって成形する。次に、得られた不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bをインサート部材として金型に挿入し、シート本体5の材料(この実施形態では、シリコーン樹脂)を金型内に充填する。これにより、インサート成形品としての導子2を得ることができる。
【0089】
この第5変形例の導子2は、S字状の伸縮部88を備えている。そのため、
図18に示したように、人体10が屈曲(可動)したときに、その屈曲に合わせて第2部分90が方向Aに沿うように傾くことで、伸縮部88が伸縮する。これにより、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bに対して余計な面方向の力が加わることを抑制することができる。
【0090】
<導子2の第6変形例>
図30は、電気刺激治療用の導子2の第6変形例を示す斜視図である。
前述のように、シート本体5の第1面13において、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bの周囲は、平坦であってもよいが、選択的に突出していてもよい。より具体的には、不関電極6の周囲に突出部75が形成され、一対の刺激電極7A,7Bの周囲に、それぞれ、突出部76A,76Bが形成されていてもよい。
突出部75は、不関電極6の外縁に沿って適宜の箇所に形成されていてもよいが、
図30に示すように、不関電極6を取り囲んでいることが好ましく、不関電極6を取り囲み、かつ不関電極6の外縁に沿って互いに間隔を空けて複数配置されていることが好ましい。
【0091】
ここで、不関電極6を取り囲むとは、突出部75によって囲まれた領域77内に不関電極6が収まっていることをいい、
図30に示すように複数の突出部75が配置されている場合は、複数の突出部75全体によって内側に画成される領域77内に不関電極6が収まっていればよい。これにより、不関電極6上に、突出部75で囲まれた領域77が形成されており、当該領域77に導電性粘着パッド8を配置することができる。
【0092】
突出部76Aは、刺激電極7Aの外縁に沿って適宜の箇所に形成されていてもよいが、
図30に示すように、刺激電極7Aを取り囲んでいることが好ましく、刺激電極7Aを取り囲み、かつ刺激電極7Aの外縁に沿って互いに間隔を空けて複数配置されていることが好ましい。
ここで、刺激電極7Aを取り囲むとは、突出部76Aによって囲まれた領域78A内に刺激電極7Aが収まっていることをいい、
図30に示すように複数の突出部76Aが配置されている場合は、複数の突出部76A全体によって内側に画成される領域78A内に刺激電極7Aが収まっていればよい。これにより、刺激電極7A上に、突出部76Aで囲まれた領域78Aが形成されており、当該領域78Aに導電性粘着パッド9Aを配置することができる。
【0093】
突出部76Bは、刺激電極7Bの外縁に沿って適宜の箇所に形成されていてもよいが、
図30に示すように、刺激電極7Bを取り囲んでいることが好ましく、刺激電極7Bを取り囲み、かつ刺激電極7Bの外縁に沿って互いに間隔を空けて複数配置されていることが好ましい。
ここで、刺激電極7Bを取り囲むとは、突出部76Bによって囲まれた領域78B内に刺激電極7Bが収まっていることをいい、
図30に示すように複数の突出部76Bが配置されている場合は、複数の突出部76B全体によって内側に画成される領域78B内に刺激電極7Bが収まっていればよい。これにより、刺激電極7B上に、突出部76Bで囲まれた領域78Bが形成されており、当該領域78Bに導電性粘着パッド9Bを配置することができる。
【0094】
以上のように、
図30の構成によれば、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bの周囲に、それぞれ、突出部75Aおよび突出部76A,76Bが形成されている。そのため、領域77および領域78A,78Bに、それぞれ、導電性粘着パッド8および導電性粘着パッド9A,9Bが貼着されたときに、導電性粘着パッド8および導電性粘着パッド9A,9Bの周囲を突出部75Aおよび突出部76A,76Bで取り囲むことができる。その結果、導子2の位置決めの際に導子2を人体10の表面に沿う方向に動かしても、導電性粘着パッド8および導電性粘着パッド9A,9Bを突出部75Aおよび突出部76A,76Bで保持できるので、導電性粘着パッド8および導電性粘着パッド9A,9Bのずれを抑制することができる。
【0095】
さらに、
図30に示すように、複数の突出部75および複数の突出部76A,76Bが互いに間隔を空けて配置されていれば、隣り合う突出部75の間、および隣り合う突出部76A,76Bの間の領域でシート本体5が曲がりやすく、シート本体5の柔軟性を確保することもできる。
なお、この第6変形例の導子2の突出部75および突出部76A,76Bは、それぞれ、前述の第1〜第5変形例の導子2の不関電極6の周囲および一対の刺激電極7A,7Bの周囲に形成されていてもよい。
【0096】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
例えば、前述の実施形態では、伸縮部19を挟んで、不関電極6と一対の刺激電極7A,7Bとが対向する形態であった。しかしながら、電気刺激治療器1が、人体10において左右対称に位置する仙骨神経叢の刺激を目的としたものでなく、人体10の他の部分の刺激に使用される場合、伸縮部19を挟んで、一方の刺激電極7Aと他方の刺激電極7Bとが対向していてもよい。
【0097】
例えば、
図1〜
図18A,18Bで示した導子2では、伸縮部19が断面視においてアーチ状であったが、伸縮自在な伸縮部19であれば、この形状に制限されない。例えば、伸縮部19は、
図31に示すように、断面視において第2面14側に向かって凸な三角形状であってもよいし、
図32に示すように、断面視において第2面14と平行な面を有する四角形状であってもよい。
【0098】
例えば、
図19の導子2における第2伸縮部74は、アーチ状の周囲に沿って一様な厚さを有しているが、
図33に示すように、アーチの頂部の厚さT1が、アーチの根元(第2領域18A,18Bとの接続部付近)の厚さT2よりも厚くてもよい。この場合、例えば、厚さT1が2.0mm程度であり、厚さT2が0.3mm程度であってもよい。
例えば、前述の実施形態では、一対の刺激電極7A,7Bから出力される電流を人体10に伝える部材として導電性粘着パッド8,9A,9Bを利用したが、導電性粘着パッド8,9A,9Bに代えて、他の導電部材が使用されてもよい。例えば、導子2をベルトやテープ等で人体10に固定できるのであれば、粘着性を有しない導電部材が、不関電極6および一対の刺激電極7A,7Bと人体10との間に介在されてもよい。
【0099】
例えば、前述の実施形態では、携帯型の電気刺激治療器1に使用される導子2の構成について説明したが、当該導子2は、設置型(据え置き型)の電気刺激治療器に適用されてもよい。このような設置型の電気刺激治療器は、医療機関において複数の患者で共用される。
例えば、前述の実施形態では、電気刺激治療器の一例として排尿障害治療器(便失禁治療器)を取り上げたが、本発明は、排尿障害治療器や便失禁治療器に限らず、これら以外の他の疾患を対象とした電気刺激療法に使用される機器全般に適用することができる。
【0100】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。