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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-142822(P2020-142822A)
(43)【公開日】2020年9月10日
(54)【発明の名称】タンク及びタンクコンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/12 20060101AFI20200814BHJP
【FI】
   B65D88/12 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-40127(P2019-40127)
(22)【出願日】2019年3月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】林 秀幸
【テーマコード(参考)】
3E070
【Fターム(参考)】
3E070AA07
3E070AB01
3E070AB09
3E070GB20
3E070NA01
3E070VA21
3E070VA30
(57)【要約】
【課題】内タンクの表面に結露した水が不用意にタンクの外部へ漏れ出ることを防止できるタンク及びタンクコンテナを提供すること。
【解決手段】内タンク3aからの表面で結露し、流下してきた水は、集水器4内および接続皿5内に集水され、更にこれらに接続された排水パイプ6及び排水ホース7にも流入する。排水バルブ8が止水にある場合は、結露は集水器4内、接続皿5内、排水パイプ6内および排水ホース7内に溜まり、一方で、排水バルブ8を排水に操作すると、集水器4内、接続皿5内、排水パイプ6内および排水ホース7内に溜まった結露が、排水バルブ8、即ちタンクコンテナ1の所定の場所から排出される。これによって、内タンク3aの表面に結露した水が不用意にタンク3の外部へ漏れ出ることを防止して、積載物の漏洩との誤認を防止できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体等の積載物を積載する内タンクと、その内タンクの外周に設けられた断熱材と、その断熱材の更に外周に設けられた外装とを有し、少なくとも3層に構成されたタンクにおいて、
前記内タンクの下方に設けられ、その内タンクの表面に結露し下方へ流下する水を集水する集水器と、
その集水器に接続され、その集水器内の水を前記タンクの外部へ排水する排水管と、
その排水管に設けられ、前記集水器内の水の排水と止水とを切り替える排水バルブとを備えていることを特徴とするタンク。
【請求項2】
前記内タンクは、その内タンクの下方に設けられた第1部材を有し、前記集水器は、その集水器内に設けられた第2部材を有しており、
前記第1部材と第2部材とを接続することで、前記集水器が前記内タンクの下方に配設されると共に、前記内タンクの表面に結露した水の少なくとも一部が前記第1部材および第2部材を介して前記集水器内へ流下するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のタンク。
【請求項3】
前記外装は、前記排水管の一部と前記集水器とを内包して構成され、
前記排水管のうち前記外装から突出した部分のうちの少なくとも一部分は、前記集水器および排水管に水が溜まっていることを視認できるように透明または半透明に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタンク。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のタンクと、そのタンクを支持する枠状のフレームとを備えていることを特徴とするタンクコンテナ。
【請求項5】
前記内タンクは、円筒形状に形成されると共に、その円筒形状の側面を水平方向にして前記フレームに支持されるものであり、
前記集水器は、その円筒形状の側面の長さ方向に亘って樋状に形成され、
前記排水管は、その樋状に形成された集水器と交差する方向へ配管されると共に、その集水器内に集水された水を前記フレームの短手方向側面から排水可能に構成されていることを特徴とする請求項4記載のタンクコンテナ。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク及びタンクコンテナに関し、特に、内タンクの表面に結露した水が不用意にタンクの外部へ漏れ出ることを防止できるタンク及びタンクコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、タンクコンテナ1が開示されている。タンクコンテナ1は、直方体状の枠組み構造をしたコンテナ枠20内に、円筒形状をしたカプセル型のタンク10が配設されたものである。タンクコンテナ1は、タンク10内に石油などの液体(液化ガス等の高圧ガスを含む)を積載した状態で、タンクコンテナ1自体を輸送船から鉄道貨車あるいはトレーラなどへ積み替えることで、タンク10内の積載物(収容物)を各種輸送手段を介して運搬することができる。
【0003】
タンク内に液化した酸化エチレン等の低温物(略−15°C)を積載する場合、その積載物を低温状態に保つために、タンクは3層構造に構成される。即ち、積載物を積載する内タンクと、その内タンクの外周を覆う断熱材と、その断熱材の更に外周を覆う外装との3層構造である。かかる3層構造のタンクでは、内タンクの積載物と外気温との温度差により内タンクの表面に結露が生じることがある。結露は内タンクと断熱材又は外装との間に溜り、やがて外装のつなぎ目からタンクの外部へ漏れ出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−179337号公報
【特許文献2】特開2014−091541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外装のつなぎ目から外部へ漏れ出た結露水は、内タンクの積載物と区別が困難であり、内タンクの積載物(収容物)の漏洩と誤認されることがあった。かかる誤認がタンクコンテナを鉄道貨車に積んだ状態で生じると、列車を止めて一斉点検をせざるを得なかった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、内タンクの表面に結露した水が不用意にタンクの外部へ漏れ出ることを防止できるタンク及びタンクコンテナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明は、液体等の積載物を積載する内タンクと、その内タンクの外周に設けられた断熱材と、その断熱材の更に外周に設けられた外装とを有し、少なくとも3層に構成されたタンクを備えており、前記内タンクの下方に設けられ、その内タンクの表面に結露し下方へ流下する水を集水する集水器と、その集水器に接続され、その集水器内の水を前記タンクの外部へ排水する排水管と、その排水管に設けられ、前記集水器内の水の排水と止水とを切り替える排水バルブとを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のタンク及びタンクコンテナによれば、内タンクの表面に結露した水は、内タンクの下方へ流下し、内タンクの下方に設けられた集水器内へ集水される。集水器内へ集水された水は、排水管に設けられた排水バルブが止水にある場合、集水器内及び排水管内に溜まる。一方、排水バルブを排水に操作すると、集水器内の水は排水管を介してタンクの外部へ排水される。よって、内タンクの表面に結露した水が不用意にタンクの外部へ漏れ出ることを防止して、積載物の漏洩との誤認を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】タンクコンテナの斜視図である。
図2図1のタンクコンテナの中心軸を通る垂直面を側面視した断面図である。
図3図2のIII−III断面線におけるタンクコンテナの断面図である。
図4図3のIV−IV断面線におけるタンクコンテナの断面図である。
図5図4のV−V断面線におけるタンクコンテナの断面図である。
図6図4のVI−VI断面線におけるタンクコンテナの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1図2を参照して、本発明の一実施形態におけるタンクコンテナ1の概略を説明する。図1は、タンクコンテナ1の斜視図である。
【0011】
タンクコンテナ1は、液化した酸化エチレン等の液体等の積載物(収容物)を積載し、鉄道や船舶等で輸送するための容器である。図1においてタンクコンテナ1は、レールR上を走行し、貨物列車を構成する鉄道貨車T上に搭載されている。図1に示す通り、タンクコンテナ1には、フレーム2と、タンク3とが設けられる。
【0012】
フレーム2は、後述のタンク3を支持するための枠状の部材であり、フレーム2の上面を形成する上フレーム2aと、フレーム2の底面を形成する下フレーム2bと、上フレーム2aと下フレーム2bとを接続する柱2cとで構成される。なお、フレーム2の他の構成は周知のため、詳細な説明は省略する。
【0013】
タンク3は、積載物を積載するための円筒形状の容器であり、フレーム2内において円筒形状の側面を水平方向にして支持される。タンク3の上部にはタンク3内へ液体を供給または排出する液出入バルブ3dと、タンク3内の気体を供給または排出するガス出入バルブ3eとが配設される。タンク3の下部には、後述の排水ホース7が設けられる。タンク3の構造を、図2を参照して説明する。
【0014】
図2は、図1のタンクコンテナ1の中心軸を通る垂直面を側面視した断面図である。図2に示す通り、タンク3は、積載物を積載する円筒形状の内タンク3aと、その内タンク3aを覆うグラスウール製の断熱材3bと、更にその断熱材3bを覆う外装3cとの3層で構成される。内タンク3aの前側および後側の鏡面は、半球状に形成され、内タンク3aの内側の面であって液出入バルブ3dの下方に該当する位置には、液出入バルブ3dの下部に接続される管状のサイフォン管3fの下端を配置する窪み3a1が設けられる。窪み3a1は、内タンク3aの内側および外側の面を下方に突出させて形成され、窪み3a1も断熱材3b及び外装3cによって覆われる。以下、内タンク3aの下部であって、内タンク3aの内側の面を「底面」、内タンク3aの外側の面を「下面」と称す。
【0015】
図示はしないが、断熱材3b及び外装3cはそれぞれ板状に形成され、内タンク3aに断熱材3bを巻き付けて覆い、更に内タンク3a及び断熱材3bの外周に外装3cを巻き付けて覆い、タンク3の下部にてこれらをつなぎ止めることで、タンク3が構成される。なお、断熱材3bはグラスウール製に限られるものではなく、ウレタン製等、他の断熱効果のある素材で構成しても良い。
【0016】
ところで、円筒形状の内タンク3aに対して、板状で厚みのある断熱材3bを巻き付けると、内タンク3aと断熱材3bとの間に小さな隙間S(図3参照)が生じ、断熱材3b及び外装3cのつなぎ目から流入した空気が該隙間Sに流入する。内タンク3aに液化した酸化エチレンやアンモニア等の低温物(例えば−15℃)を積載した場合、低温物が積載されて低温となった内タンク3aの表面と、該隙間S内の温度(即ち外気温)との温度差によって、内タンク3aの表面が結露し、それが結露水となって、タンク3下部における断熱材3b及び外装3cのつなぎ目から漏れ出すことがある。そこで本実施形態では、内タンク3aの下部に、かかる結露水を集水し、所定の場所から排水する機構が設けられる。
【0017】
具体的に、内タンク3aからの結露水を集水する機構として、内タンク3aの下方に集水器4と接続皿5とが設けられる。集水器4は、内タンク3aからの結露水を集水するための容器であり、内タンク3aの下面の最下部に対して、レールR(図1参照)方向における前後に亘って設けられる。具体的に集水器4は、前側の下フレーム2bから窪み3a1の前端付近に亘ってと、後側の下フレーム2bから窪み3a1の後端付近に亘ってとの、2か所に設けられ、前側の集水器4の前端および後側の集水器4の後端は、それぞれ下フレーム2bに固定される。
【0018】
詳細は後述するが、集水器4は上面が開放して形成されるので、集水器4は、内タンク3aの円筒形状の側面の長さ方向に亘って樋(とい)状に形成される。なお集水器4は、内タンク3aの下部に取り付けられるが、その取付構造も後述する。
【0019】
また、集水器4は窪み3a1の前後のそれぞれに設けられる。これは、集水器4の幅が窪み3a1の幅よりも小さく形成され、更に、図2に示す通り、集水器4の上端が窪み3a1の下端よりも高いので、内タンク3aの下部の窪み3a1と集水器4との干渉を避けるためである。これら前後の集水器4は、後述の接続皿5によって接続される。
【0020】
接続皿5は、窪み3a1の下方に設けられ、前後の集水器4を連通するための上面が開放した容器である。接続皿5の幅は窪み3a1の幅よりも大きく形成され、接続皿5の前端および後端が、前後の集水器4のそれぞれに連通可能に接続される。詳細は図6で後述するが、接続皿5も上面が開放して形成される。よって、集水器4及び接続皿5が、内タンク3aの円筒形状の側面の下方において長さ方向(即ちレールR方向)に亘って連通可能に形成され、しかもそれぞれ上面が開放されているので、内タンク3aから流下してきた結露水を、これらに集水できる。
【0021】
以下、図3図6を参照して、集水器4及び接続皿5の詳細と、集水器4及び接続皿5に集水された水の排出機構とを説明する。まず、図3を参照して、集水器4の詳細と、内タンク3aと集水器4との取付構造とを説明する。
【0022】
図3は、図2のIII−III断面線におけるタンクコンテナ1の断面図である。図3に示す通り、集水器4は上面が開放された断面コ字状に形成され、その中央部には、板状の第2部材4aが上方に垂設される。また、内タンク3aの下面の最下部には、板状の第1部材3a2が下方に垂設される。第1部材3a2は内タンク3aの長さ方向に亘って垂設され、第2部材4aは集水器4の前後に亘って垂設される。これら第1部材3a2と第2部材4aとを、ボルト11及びナット12によって締結することで、集水器4は内タンク3aの下部に固定される。よって、内タンク3aの表面と断熱材3bとの隙間Sで結露し、内タンク3aの表面から流下してきた水を、これら第1部材3a2と第2部材4aとを介して効率良く集水器4内に流下させることができる。
【0023】
このように接続された内タンク3aと集水器4とは、断熱材3b及び外装3cによって覆われる。ところで、内タンク3aの表面からの結露水や集水器4内の水が断熱材3bに吸収できる構造だと、断熱材3bの吸水量を超える結露水が外装3cのつなぎ目から漏れ出してしまう。そこで本実施形態では、断熱材3bに防水加工が施される。
【0024】
具体的には、断熱材3bにおける内タンク3aと接する面に、面状の防水フィルム9が貼設される。また、断熱材3bにおける外装3cと接する面にも、外装3cからの雨水等が断熱材3bに吸収されないように防水フィルム9が貼設される。加えて、断熱材3bにおける集水器4に接する面や、集水器4の下方における断熱材3b同士のつなぎ目に該当する面には、防水塗料10が塗布される。これら防水フィルム9及び防水塗料10により、断熱材3bの表面全体が防水加工されるので、内タンク3aの表面からの結露水や、集水器4内の水が断熱材3bへ吸収されるのを抑制できる。
【0025】
また、断熱材3bにおける集水器4に接する面等の形状が複雑な面のみに防水塗料10を塗布し、断熱材3bにおける内タンク3aと接する面等の大きな面に対して、面状の防水フィルム9を貼設することで、断熱材3bへの防水加工の作業効率を向上させることができる。
【0026】
次に、図4を参照して集水器4内および接続皿5内に集水された水を排出する機構を説明する。図4は、図3のIV−IV断面線におけるタンクコンテナ1の断面図である。なお、図4において、V−V断面線およびVI−VI断面線は、図示のため一部を省略しているが、上下のV−V断面線およびVI−VI断面線はそれぞれ接続されているものとする。前側の集水器4の前端および後側の集水器4の後端がそれぞれ下フレーム2bに固定されるので、内タンク3aの前側および後側の鏡面から流下してきた結露水も集水器4内に集水できる。
【0027】
また、集水器4内に多くの水が集水されても、その荷重による応力が下フレーム2bに分散されることで、上述した集水器4の第2部材4aを介して内タンク3aの第1部材3a2(共に図3参照)にかかる応力を低減できる。即ち下フレーム2bによって、集水器4を安定して支持できると共に、第1部材3a2からの応力による内タンク3aの変形を防止できる。
【0028】
更に図4に示す通り、集水器4及び接続皿5の側面には、排水パイプ6と、排水ホース7と、排水バルブ8とがそれぞれ設けられる。排水パイプ6は、集水器4及び接続皿5に溜まった水を排出する金属(例えばステンレス鋼)製の排水管であり、前後の集水器4と接続皿5の両側面に対して、それぞれ直交する方向に向けて配管される。なお、排水パイプ6は金属製に限られるものではなく、合成樹脂等、他の素材で構成しても良い。
【0029】
排水ホース7は、その排水パイプ6における集水器4及び接続皿5と対向する端部に連通可能に接続される、半透明の合成樹脂(例えば塩化ビニール)製の排水管であり、下フレーム2bの幅方向(短手方向)側面に向けて延設される。排水ホース7が半透明に構成されることで、排水ホース7内の水位が視認できるので、排水ホース7内に水が溜まっているかどうかを外部から容易に確認できる。なお、排水ホース7は半透明のものに限られるものではなく、透明のものを適用しても良い。
【0030】
排水バルブ8は、集水器4内、接続皿5内、排水パイプ6内および排水ホース7内の水の排水と止水とを切り替える、通常時閉の手動式バルブである。排水バルブ8は、排水ホース7における排水パイプ6と対向する端部に接続され、下フレーム2bの幅方向側面であって、その内側へ設けられる支持部材2b1によって支持される。なお、排水バルブ8は手動式バルブに限られるものではなく、電磁弁付きの自動バルブ等、他のバルブ装置を用いても良い。
【0031】
よって、図1のように、タンクコンテナ1の長手方向を鉄道貨車TのレールR方向に合わせて積載しても、鉄道貨車TのレールRと直交する方向から、即ち下フレーム2bの幅方向側面から排水バルブ8を操作して、集水器4、接続皿5、排水パイプ6及び排水ホース7内の水を排出できる。
【0032】
次に、図5を参照して、集水器4において排水パイプ6、排水ホース7及び排水バルブ8が設けられる部分の詳細を説明する。図5は、図4のV−V断面線におけるタンクコンテナ1の断面図である。
【0033】
上述した通り、集水器4の両側面に排水パイプ6が連通して接続されるが、より具体的には、図5に示す通り、集水器4と排水パイプ6とが、集水器4の底面と排水パイプ6内の底面との高さが略同一となるように接続される。これにより、集水器4で集水した水を、集水器4内に滞留させることなく、排水パイプ6へ排出できる。
【0034】
また図5に示す通り、排水パイプ6における集水器4と接続される側の部分も、断熱材3bで覆う必要があるので、断熱材3bにおける排水パイプ6が挿通する部分が除かれ、かかる部分に排水パイプ6が挿通される。内タンク3aの表面からの結露水や集水器4内の水等が、かかる部分に浸透しないように、断熱材3bにおける排水パイプ6と接する面にも防水塗料10が塗布される。
【0035】
ここで、排水パイプ6の一部分と排水ホース7の全体とは、外装3cよりも外側に突出して設けられる。上述した通り、排水ホース7は半透明に構成され、更に集水器4、接続皿5、排水パイプ6及び排水ホース7は連通されているので、排水ホース7内の水位を外部から視認することで、作業員はこれら全体の大凡の水位を把握できる。これにより、作業員は、排水バルブ8を操作して水を排出させるタイミングか否かを容易に判断できる。
【0036】
次に、図6を参照して、接続皿5において排水パイプ6、排水ホース7及び排水バルブ8が設けられる部分の詳細を説明する。図6は、図4のVI−VI断面線におけるタンクコンテナ1の断面図である。図6に示す通り、接続皿5の上面は開放して形成され、その高さは、窪み3a1の下方に接続皿5を設けた場合、窪み3a1の下端の位置が接続皿5の上端の位置よりも低くなるように形成される。これによって、窪み3a1の下端が接続皿5で覆われるので、窪み3a1に流下してきた水を接続皿5の外部に漏らすことなく、接続皿5内へ集水できる。
【0037】
上述した通り、接続皿5の両側面にも排水パイプ6が連通して接続されるが、より具体的には、接続皿5と排水パイプ6とも、接続皿5の底面と排水パイプ6内の底面との高さが略同一となるように接続される。よって、接続皿5で集水した水を接続皿5内に滞留させることなく、排水パイプ6へ排出できる。また、図5と同様に、内タンク3aの表面からの結露水や接続皿5内の水等が、断熱材3bに浸透しないように、断熱材3bにおける接続皿5とに接する面にも防水塗料10が塗布され、断熱材3bにおける排水パイプ6と接する面にも防水塗料10が塗布される。
【0038】
最後に、このように構成されたタンクコンテナ1の作用効果を説明する。内タンク3aの表面で結露して流下してきた水は、集水器4内および接続皿5内に集水され、更にこれらに接続された排水パイプ6及び排水ホース7にも流入する。排水バルブ8が止水にある場合、流下してきた水は集水器4内、接続皿5内、排水パイプ6内および排水ホース7内に溜まる。一方で、排水バルブ8を排水に操作すると、集水器4内、接続皿5内、排水パイプ6内および排水ホース7内に溜まった水が、排水バルブ8、即ちタンクコンテナ1の所定の場所から排出される。これによって、内タンク3aの表面に結露した水がユーザーの意図に依らずタンク3の外部へ漏れ出ることを防止して、積載物の漏洩との誤認を防止できる。
【0039】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0040】
上記実施形態では、集水器4および接続皿5に排水パイプ6を接続し、その排水パイプ6に排水ホース7を接続し、更に排水ホース7の端部に排水バルブ8を接続した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、排水ホース7を省略した上で、排水パイプ6を延設し、排水パイプ6に排水バルブ8を接続しても良い。その場合、排水パイプ6における下フレーム2bと隣接する位置の一部を透明または半透明として、排水パイプ6内の水位を確認できるようにするのが好ましい。また、排水パイプ6を省略した上で、集水器4および接続皿5に排水ホース7を接続し、排水ホース7の端部に排水バルブ8を接続しても良い。
【0041】
上記実施形態では、排水パイプ6及び排水ホース7を集水器4および接続皿5に対して、直交する方向に配管した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、排水パイプ6及び排水ホース7を、集水器4および接続皿5に対して直交よりも斜めの方向、即ち曲がって配管しても良い。
【0042】
上記実施形態では、排水ホース7の端部に排水バルブ8を接続し、下フレーム2bの側面の内側に固定した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、排水バルブ8を排水パイプ6の途中に設けても良いし、排水ホース7の途中に設けても良い。
【0043】
上記実施形態では、排水パイプ6、排水ホース7及び排水バルブ8を、前側の集水器4の前方と、後側の集水器4の後方と、接続皿5とのそれぞれの両側面の計6か所に設けた。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、これらを5か所以下に設けても良いし、7か所以上に設けても良い。また、これらは、集水器4および接続皿5の両側面に設けるものに限られるものではなく、集水器4および接続皿5の側面におけるいずれか一方に設けても良い。
【0044】
上記実施形態では、内タンク3aと集水器4とを、第1部材3a2と第2部材4aとで接続した(図2)。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、第1部材3a2と第2部材4aとを省略し、集水器4をフレーム2(特に下フレーム2b)で支持する構成としても良い。第1部材3a2と第2部材4aとを省略しても、内タンク3aからの結露水は内タンク3aの下方で滴下するので、かかる水を集水器4で集水できる。
【0045】
上記実施形態では、第1部材3a2を内タンク3aの下面の前後に亘って垂設し、第2部材4aを集水器4の前後に亘って垂設した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、第1部材3a2を内タンク3aの下面の一部や所々に垂設し、その第1部材3a2の下方に該当する集水器4の上面に第2部材4aを垂設して、これらをボルト11及びナット12によって締結しても良い。
【0046】
上記実施形態では、集水器4又は接続皿5と排水パイプ6とを、集水器4又は接続皿5の底面と排水パイプ6内の底面との高さが略同一となるように接続した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、集水器4又は接続皿5の底面よりも、排水パイプ6内の底面が低くなるように、集水器4又は接続皿5と排水パイプ6とを接続しても良い。
【0047】
上記実施形態では、前側の集水器4の前端および後側の集水器4の後端をそれぞれ下フレーム2bに固定し、前側の集水器4の前方および後側の集水器4の後方の一部をタンク3の外部に露出させる構造とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、かかる集水器4の露出部を覆う被覆部材を設けても良いし、前側の集水器4の前端および後側の集水器4の後端を、外装3cの前端および後端に収まる位置として、集水器4の全体をタンク3の内部に収まる構造としても良い。これにより、タンク3の外部からの雨水やゴミが集水器4に侵入するのを防止できる。
【0048】
上記実施形態では、集水器4を窪み3a1の前後の2か所に設け、窪み3a1の幅よりも大きな幅で形成される接続皿5を窪み3a1の下方に設けて、前後の集水器4と接続皿5とを連通した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、集水器4の幅を窪み3a1の幅よりも大きく形成し、内タンク3aの下面の前後に亘って1つの集水器4を設け、接続皿5を省略する構成としても良い。
【0049】
上記実施形態では、内タンク3aの底面に、サイフォン管3fの下端を配置する窪み3a1を形成した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、窪み3a1を省略しても良いし、内タンク3aの底面に窪み3a1以外の窪みを更に設けても良い。窪み3a1を省略した場合は、接続皿5を省略して、下フレーム2bの前後に亘って1つの集水器4を設ける構成とするのが好ましい。
【0050】
一方で、内タンク3aの底面に窪み3a1以外の窪みを設けた場合、更に該窪みが集水器4に干渉する場合は、窪み3a1への接続皿5と同様に、該窪みの幅よりも大きな幅で形成される接続皿を該窪みの下方に設け、前後の集水器4を該接続皿に接続すれば良い。
【0051】
上記実施形態では、断熱材3bにおける内タンク3aに接する面と、外装3cに接する面とに、防水フィルム9を貼設し、断熱材3bにおける集水器4に接する面等の形状が複雑な面に防水塗料10を塗布した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、断熱材3bにおける内タンク3aに接する面と外装3cに接する面とに、防水フィルム9の代わりに防水塗料10を塗布しても良いし、断熱材3bにおける集水器4に接する面等の形状が複雑な面に防水塗料10の代わりに、防水フィルム9を貼設しても良い。
【0052】
上記実施形態では、タンク3をタンクコンテナ1に搭載されるものとした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、タンク3をタンクローリーのタンクに適用しても良いし、タンク3を石油等を貯蔵するタンク施設のタンクに適用しても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 タンクコンテナ
2 フレーム
3 タンク
3a 内タンク
3a2 第1部材
3b 断熱材
3c 外装
4 集水器
4a 第2部材
6 排水パイプ(排水管の一部)
7 排水ホース(排水管の一部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6