【実施例】
【0231】
[実施例1]
抗体薬物複合体(ADC)の安定性試験
下記の実施例は、非複合体化抗体と比較した、特定の(液体形態の)ADCの安定性をアッセイするために使用される試験を記載する。MMAF(
図2を参照されたい。)(下記において「ADC1−MMAF」と称され、これはヒト化抗EGFR抗体1−MMAF複合体である。)またはMMAE(
図1を参照されたい。)(下記において「ADC1−MMAE」と称され、これはヒト化抗EGFR抗体1−MMAE複合体である。)のいずれかに複合体化された抗体を試験して、ヒト化抗EGFR抗体1単独と比較した。特性の中の、動的走査蛍光およびDSCを使用したアンフォールディング発生温度、それぞれ、FTIRおよび近UV−CDによる二次および三次構造分析、低濃度および高濃度における安定性の促進、血清安定性、低濃度および高濃度における凍結/解凍安定性ならびに溶解度を検査した。本実施例に記載の製剤は、液体製剤であった。
【0232】
動的走査蛍光(DSF)および示差走査熱量計(DSC)を使用したアンフォールディングの発生の分析
2つの異なる技術、動的走査蛍光(DSF)および示差走査熱量計(DSC)を使用して、熱変性の間の抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEのアンフォールディングの発生および立体配座安定性を決定した。
図3Aに示すように、蛍光強度の変化は、タンパク質のアンフォールディングレベルおよび温度に関係した。熱安定性測定から得られた結果を、DSC(
図3B)を使用して得られたデータと比較した。55℃を超える温度におけるタンパク質のアンフォールディングを、安定性の基準として使用した。
図3AおよびBに示すように、アンフォールディングの発生は、ADC1−MMAF(55℃)と比較してADC1−MMAEではより低温(46℃)において発生し、抗体1において最も高く(61℃)、抗体1が3種の分子の中で最も安定であることを示した。従って、ADCは、熱動的安定性の低下を示し、このことは、ADC1−MMAFおよびADC−1MMAE対抗体1単独に関する低アンフォールディング温度に反映されていた。
【0233】
抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEの二次および三次構造分析
抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEの安定性を、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)および近UV−円偏光二色性(CD)の両方を使用して決定した。260およびおよそ180nmの間のCDスペクトルが、異なる二次構造型:アルファヘリックス、平行ベータシートおよび逆平行ベータシート、ターンなどに関して分析可能であることが示されている。pH5/6/7のシトレート/ホスフェートバッファー単独中の抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEの二次構造の変化を、FTIR(
図4A)およびCD(
図4B)によりモニターした。
図4Aおよび4Bに示すように、ADC1−MMAEおよびADC1−MMAFの物理的特徴は、抗体1と比較して、構造化されていない構成要素においてわずかに改変された。さらに、
図4AのFTIRデータにより証明されたように、抗体1単独と比較して、ADC1−MMAEおよびADC1−MMAFにおいてわずかに改変された構造化されていない構成要素が存在した。しかし、全体として、3種の分子はそれぞれ、1638cm
−1において>40%のβシートのバンドの存在を示した。CDの結果は、ADC1−MMAFおよび抗体1と比較して、ADC1−MMAEに関して異なるプロファイルを示した(
図4B)。しかし、全体として、これらの分子はそれぞれ、280nmにおいて負の楕円率を有するS字型プロファイルを有した。
【0234】
抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEの安定性促進研究
安定性促進研究は、通常長期にわたって発生する条件への短期曝露の効果に対する情報を提供する助けになり得る。抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEを、10mMシトレート/ホスフェートバッファー、pH6中低濃度(1mg/ml)および15mMヒスチジン、pH5.75中高濃度(60mg/ml)の両方で製剤化した。安定性は、最も安定なpHにおいて40℃で7日後、モノマーの喪失が5%未満として定義した。
【0235】
これらの研究の結果を、
図5および
図6に示す。
図5は、初期時点(T0)および40℃において7日間保存後の凝集(SEC分析により決定された凝集体の%として)を示す。
図5は、1mg/mlの濃度において、ADC1−MMAFおよび抗体1と比較して、低濃度においてADC1−MMAEの凝集増加傾向が存在することを示している。
図6は、初期時点(T0)および40℃において7日間保存後の凝集(凝集体の%として)を示す。
図6は、60mg/mlの濃度において、ADC1−MMAFおよび抗体1と比較して、高濃度においてADC1−MMAEの有意な凝集増加傾向が存在することを示している。さらに、凝集に対して、ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン(
図6では、標識された「HPBCD」)などの公知の安定化剤の影響は存在しなかった。
【0236】
抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEの血漿安定性
不安定な化合物は急速なクリアランスおよび短い半減期を有し、不十分なin vivo性能をもたらすので、血漿安定性は、薬物の発見および開発において重要な役割を果たす。抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEのin vitroの血清安定性を、血清安定性アッセイで評価した。簡潔に言うと、抗体をAexa Flur(R)(Life Technologies)で標識した。標識された抗体1およびADC−1−MMAFおよびADC−1−MMAEを、その後、ろ過された血清中でインキュベートした。試料を、0、1、3、5、7日目に回収し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分析した。高分子量(HMW)凝集体のパーセントの勾配を、0−7日目の間で計算した。安定性を、1日当たり1%未満のHMW種として定義した。従って、勾配が低いほど、凝集の存在が少ない。より詳細には、
図7のグラフは、ADC1−MMAFの勾配(0.5%)は、抗体1(1.10%)およびADC1−MMAE(2.30)より低く、従って、凝集が少なく、血漿安定性が優れていることを示している。
図7はまた、さまざまな他の分子、例えば、抗体およびDVD−Igに関するHMW凝集体のパーセントの勾配もまた、比較目的で記載している。
【0237】
高濃度および低濃度の抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−−MMAEの凍結/解凍安定性
抗体の凝集は、開発、製造および保存の間の典型的なストレス因子である、凍結/解凍および昇温により誘導される。抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEを、0、1または2回の凍結−解凍サイクルに供し、分光技術(SEC)により特徴付けた。高濃度の抗体1(210mg/ml)、ADC1−MMAF(135mg/ml)およびADC1−MMAE(145mg/ml)を、15mMヒスチジンバッファー、pH5.75中で製剤化した。モノマー%(SECにより決定)を示す結果を
図8Aに記載するが、
図8Aは3種の分子の中で凝集(2F/Tサイクル後にHMW種の増加が<2%ととして定義された。)の変化がなかったことを示唆している。
図8Bに示された実験において、同じ濃度の抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEを、10mMシトレートおよび10mMホスフェートバッファー、pH7.0中1mg/mlの濃度において製剤化した。
図8Aおよび8Bに示すように、抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEの中で、高濃度または低濃度のいずれかにおいても、1または2回のサイクルの凍結/解凍後、凍結/解凍安定性に有意な変化はなかった。
【0238】
粒子形成を、シトレート/ホスフェートバッファー、pH6、単独中1mg/mlの濃度で、凍結/解凍(0、1または2回の凍結/解凍サイクル)の間、3種の分子に関して試験した。不可視粒子(それぞれ、≧10μmおよび≧25μm)は、薬局方限界以下であることが決定された(それぞれ、≧10μmおよび600/Ml以下(≧25μm)(
図9A)。マイクロフローイメージング(MFI)を使用して、不可視粒子(10ミクロン未満)を検出および定量した(
図9B)。
図9Aおよび9Bは、抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEに関する不可視粒子の全体の増加を継時的に記載している。
【0239】
抗体1対MMAFまたはMMAEを含むADC1の溶解度
10mMシトレートおよび10mMホスフェートバッファー系、pH6を含有する製剤中の抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEの溶解度を、5℃において検査した。溶解度は、少なくとも50mg/mlの濃度で製剤化された場合、沈殿を有さない溶液として定義された。抗体1、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEそれぞれの溶解度は、下記:抗体1>210mg/mL;ADC1−MMAF:>135mg/mL(ソース1);ADC1−MMAF:>92mg/mLA(ソース2);ADC1−MMAE:>145mg/mL(ソース1);およびADC1−MMAE:>116mg/mL(ソース2)であることが決定された。溶解度は上記の濃度を超えてもよいが、限定された材料はさらなる濃度が防止されることに留意されたい。
【0240】
結論
全体として、ADC1−MMAFおよびADC1−MMAEは、例えば、本明細書に記載の促進研究およびアンフォールディングアッセイに記載のように非複合体化抗体1より安定性が低いことが示された。
【0241】
[実施例2]
ADC1−MMAFの安定凍結乾燥製剤
ADC1−MMAFは、MMAFに共有結合された抗体1を含む抗EGFR抗体薬物複合体である。ADC1−MMAFを、再構成による注射用凍結乾燥粉末として製剤化し、ガラスバイアルに充填した。凍結乾燥粉末を、5mLの注射用滅菌水(SWFI)で再構成し、20mg/mLのADC1−MMAF注射用溶液を提供した。薬物製品製剤は、単回使用のためであり、防腐剤は含有しなかった。ADC1−MMAF/バイアル(凍結乾燥粉末)および/mL(再構成溶液)の組成を、下記の表1に記載する。再構成薬物製品は、注入による用量投与のために0.9%の食塩水(Sodium Chloride Injection、USP)で希釈した。
【0242】
【表1】
【0243】
表1に記載の製剤は、抗EGFR ADCに関する凍結乾燥製剤の代表であり、複合体はオーリスタチン誘導体、例えばMMAFである。該製剤は、バッファー、糖、界面活性剤および抗EGFR抗体薬物複合体を含む。
【0244】
実施例3−5は、実施例2に記載の凍結乾燥ADC1−MMAF製剤を試験する安定性研究を記載する。実施例6−8は、精製された実施例2に記載の凍結乾燥ADC1−MMAF製剤を試験する安定性研究を記載する。安定性研究のために、ADC1−MMAF(またはADC1−MMAFp)は、灰色のゴムのストッパーおよび灰色のプラスチックキャップにより密閉された20mlの無色のガラスバイアルにおいて、凍結乾燥物として保存された。ADC1−MMAF(またはADC1−MMAFp)は、安定性試験のために、下記の3つの別個の条件下:5℃;25℃(相対湿度60%);40℃(相対湿度75%)で保存された。
【0245】
[実施例3]
5℃における凍結乾燥製剤中のADC1−MMAFの安定性
下記の実験を、初期時点において、および凍結乾燥物を5℃において18か月までの間保存した後に再構成後、SWFIで再構成した後に実施した。
【0246】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、5℃における長期保存により影響を受けなかった。
【0247】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が、実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、および5℃において12ヶ月まで保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。5℃において12ヶ月までの間保存した後の再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。
【0248】
溶液の色は、5℃における長期保存により影響受けなかった
再構成溶液の色(視覚的)をブルー/イエロースケール(BYスケール)を使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、および5℃において12ヶ月まで保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0249】
溶液の透明度および乳白色は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を、光散乱原理を使用して標準的比濁計により測定し、それぞれPh.EurまたはUSPの方法に従った。(この方法は、実施例4から8に関しても実施した。)。初期時点および5℃において12ヶ月まで保存した後の再構成後において、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方(European Pharmacopeia)、ph.Eurによる)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0250】
溶液のタンパク質含有量は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のタンパク質含有量を決定した。ADCのタンパク質濃度を、280nmの波長およびADC1−MMAF透過係数(1.43)を使用して、分光測定的に決定した(これは、実施例4から8に関しても実施した。)。初期時点において、再構成溶液のタンパク質含有量は18.8mg/mlであった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のタンパク質含有量は20.2mg/mlであった。
【0251】
溶液の生物活性は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1−MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。初期時点において、相対生物活性は109%であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は105%であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は97%であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は108%であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は105%であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は99%であった。5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は112%であった。
【0252】
分子および/または分子複合体のサイズは、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のサイズ排除クロマトグラフィーを、Size Exclusion−High Performance Liquid Chromatography(SE−HPLC)を使用して実施した。SE−HPLCは、サイズ排除HPLCを使用してADC1−MMAFの純度を決定した。巨大分子は、分子サイズの低下に従ってゲルろ過HPLCの間に均一濃度で分離される。純度を、ADC1−MMAF主要ピークの面積と、バッファー関連ピークを除く試料クロマトグラムの合計面積とを比較することによって決定した。この方法は、高分子量凝集体および切断型抗体種をADC1−MMAF主要ピークから分離できる。この方法を、実施例4から8においても使用した。
【0253】
主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは98.9%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。
【0254】
5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。
【0255】
5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は1.0%であり、低分子量種は0.2%であった。
【0256】
5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.0%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.9%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.3%であった。
【0257】
5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は0.8%であり、低分子量種は0.4%であった。
【0258】
5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.3%であった。
【0259】
従って、初期、1、3、6、9、12および18か月の時点の測定の中で、全ての時点において、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、わずかな変化から変化なしを示した。
【0260】
溶液のクロマトグラフピークは、5℃における長期保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX−HPLC)を使用して再構成溶液に対して実施した。陽イオン交換クロマトグラフィーにおいて、正に荷電した分子は、負に荷電した固体支持体に引き付けられる。陽イオン交換(CEX−HPLC)クロマトグラフィーアッセイは、参照基準(既に特徴付けられたADC1−MMAF)との比較を介した、試験試料中のADC1−MMAFの安定性をモニターするために使用される、荷電に基づく分離方法である。この方法は、主要ピークを酸性種および塩基性種から分離することができる。
【0261】
初期時点において、および5℃において18か月まで保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、対照のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフピークパターンにより特徴付けられ、対照は既に特徴付けられたADC1−MMAFであった。従って、クロマトグラフピークは、5℃における18か月の過程にわたって相対的に変化しないままであった。
【0262】
溶液の純度は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
キャピラリーゲル電気泳動(CE−SDS−R)を、初期時点および5℃において18か月まで保存した後の再構成後において、再構成溶液に対して実施し、溶液の純度を決定した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.6%であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは96.9%であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.1%であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは96.7%であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.2%であった。5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.3%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と、18か月までの再構成後との間に有意に変化しなかった。
【0263】
溶液の薬物抗体比は、5℃における長期保存後変化しなかった
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、薬物抗体比(DAR)を18か月の期間にわたって決定するために、再構成溶液に対して実施した。HICは、相対疎水性に基づきタンパク質を分離するために使用される。HIC法は、ADC1−MMAFの疎水性の測定法である。結合された成分は、 移動相の塩濃度を低下させる勾配を使用することによって、疎水性の増加の順にリガンドから溶出される。ADC1−MMAFに関して、カラムから溶出された最初のピークは非複合体化抗体であった。残存ピークは、薬物−リンカー分子/抗体の数の増加を表した。従って、薬物−リンカー分子/抗体の数を、ピーク保持時間および相対ピーク面積により決定した。この方法を、実施例4から8においても使用した。初期時点において、および5℃において18ヶ月まで保存した後の再構成後、薬物抗体比(DAR)は、全ての再構成溶液に関して4.1−4.2であった。
【0264】
溶液中の非複合体化抗体のパーセントは、5℃における長期保存後変化しなかった
再構成溶液をさらに分析し、DARを決定するための(および実施例4から8においても使用した)上記のHIC法を使用して、ADC1−MMAFに関する非複合体化抗体のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは4.1以下であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.1以下であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.1以下であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは3.9以下であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.0以下であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.0以下であった。5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.0以下であった。従って、全ての時点におけるパーセントは同様であった。
【0265】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、5℃における長期保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP−HPLC)を再構成溶液に対して実施して、クエンチされた薬物リンカーのパーセントを決定した。RP−HPLCは、これらの極性に大きく基づく疎水性マトリックスとのこれらの相互作用に基づく、分子の分離である。この方法は、溶液中のクエンチされた薬物−リンカーおよび合計不純物の量を決定する。ADC1−MMAFを、メタノールによる沈殿、その後の遠心分離により試料から除去した、クエンチされた薬物−リンカーおよび合計不純物に関する上清の分析を、RP−HPLCによりC−18カラムおよび214nmにおけるUV検出を使用して実施した。この方法は、実施例4から8においても使用した。
【0266】
初期時点において、パーセントは0.007以下であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.007以下であった。5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点におけるパーセントはクエンチされた薬物リンカーのパーセントに関して同様であった。
【0267】
溶液中の合計不純物は、5℃における長期保存後変化しなかった
再構成溶液をさらに分析して、合計不純物のパーセントを、RP−HPLCを使用し、クエンチされたリンカーのパーセントに関する(実施例4から8においても使用した。)上記の方法を使用して決定した。初期時点において、パーセントは0.007以下であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.007以下であった。5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点における合計不純物に関するパーセントは同様であった。
【0268】
溶液の微粒子汚染は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、不可視粒子を決定することによって評価した。許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は33であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は22であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は25であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は73であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は20であった。従って、全ての時点において、10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0269】
許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、NMTが600であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は10であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は3であった。従って、全ての時点において、25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0270】
溶液の含水量は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl−Fischer滴定により評価した。Karl Fischer滴定は、電量的または容積的滴定を使用して試料中の微量の水を決定し、パーセントとして記録する。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは2.0%であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.7%であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.7%であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。従って、初期時点において、ならびに5℃において1、3、6および12ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0271】
溶液のpHは、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、ならびに5℃において1、3、6および12ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は6.0であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成溶液のpH値は5.9であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成溶液のpH値は5.9であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成溶液のpH値は5.9であった。
【0272】
溶液のモル浸透圧濃度は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のモル浸透圧濃度を、初期時点および5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、溶質のミリオスモルの平均値/キログラム溶媒(mOsmol/kg)を測定することによって決定した。初期時点において、モル浸透圧濃度は235mOsmol/kgであった。1ヶ月において、モル浸透圧濃度は251mOsmol/kgであった。
【0273】
[実施例4]
25℃における凍結乾燥製剤中のADC1−MMAFの安定性
下記の試験を、初期時点において、ならびに凍結乾燥物を25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、SWFIで再構成した後に実施した。
【0274】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、25℃における長期保存により影響を受けなかった。
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。従って、初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、溶液が無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の微粒子状物質は実際に含まれなかった。
【0275】
溶液の色は、25℃における長期保存により影響を受けなかった
溶液の色(視覚的)をブルー/イエロースケール(BY)スケールを使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0276】
溶液の透明度および乳白色は、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を評価した。再構成溶液の許容基準は、再構成溶液が参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による。)の乳白色を超えなかった場合、満たされた。初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0277】
溶液の生物活性は、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1−MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。初期時点において、相対生物活性は109%であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は113%であった。25℃/相対湿度60%において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は103%であった。25℃/相対湿度60%において6ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は109%であった。
【0278】
分子および/または分子複合体のサイズは、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
サイズ排除クロマトグラフィー(chromatograph)を、Size Exclusion−High Performance Liquid Chromatography(SE−HPLC)を使用して実施した。主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは98.9%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は1.0%であり、低分子量種は0.2%であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は1.0%であり、低子量種は0.2%であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.9%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。従って、初期、1、3および6ヶ月の測定の中で、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、わずかに変化したものから変化しなかったものが存在した。
【0279】
溶液のクロマトグラフピークは、25℃における長期保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX−HPLC)により実施した。初期時点において、ならびに25℃/相対湿度60%において1ヶ月間、3ヶ月間および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観を、参照基準のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフピークパターンにより特徴付けた。
【0280】
溶液の純度は、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった。
キャピラリーゲル電気泳動(CE−SDS−R)を、初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。1ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセンは97.4%であった。3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは96.9%であった。6ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.1%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と、25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後との間に有意に変化しなかった。
【0281】
溶液の薬物抗体比は、25℃における長期保存後変化しなかった。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、全ての再構成溶液に関してDARが4.2であることを測定した。
【0282】
溶液中の非複合体化抗体のパーセントは、長期保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、非複合体化抗体のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは4.1以下であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセント4.1以下であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.1以下であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは3.9以下であった。
【0283】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、25℃における長期保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP−HPLC)を再構成溶液に対して実施し、クエンチされたリンカーのパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは0.007以下であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点においてパーセントは、クエンチされた薬物リンカーのパーセントに関して同様であった。
【0284】
溶液中の合計不純物は、25℃における長期保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、合計不純物のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは0.007以下であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点において、合計不純物に関するパーセントは同様であった。
【0285】
溶液の微粒子汚染は、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、不可視粒子を決定することによって評価した。許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は33であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は18であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は25であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は50であった。従って、全ての時点において、10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、600以下であることによってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。従って、全ての時点において、25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0286】
溶液の含水量は、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl−Fischer滴定により評価した。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは2.0%であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは検出不能であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.9%であった。従って、初期時点および1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0287】
溶液のpHは、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において3および6ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は6.0であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。
【0288】
[実施例5]
40℃におけるADC1−MMAF凍結乾燥製剤の安定性
下記の試験を、初期時点において、ならびに40℃/(75%相対湿度)において凍結乾燥物を1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、実施例2に記載の凍結乾燥ADC1−MMAF製剤をSWFIで再構成した後に実施した。
【0289】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、40℃における長期保存により影響を受けなかった
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が、実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。
【0290】
溶液の色は、40℃における長期保存により影響を受けなかった
溶液の色(視覚的)を、BYスケールを使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0291】
溶液の透明度および乳白色は、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を評価した。再構成溶液の許容基準は、再構成溶液が参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による。)の乳白色を超えなかった場合、満たされた。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eurによる)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0292】
溶液の生物活性は、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった。
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1−MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。初期時点において、生物活性は109%であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は117%であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は113%であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は110%であった。従って、全ての時点における生物活性のパーセントは、100%を超える生物活性を有した。
【0293】
分子および/または分子複合体のサイズは、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
サイズ排除クロマトグラフィー(chromatograph)を、Size Exclusion−High Performance Liquid Chromatography(SE−HPLC)を使用して実施した。主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは98.9%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は1.0%であり、低分子量種は0.2%であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.7%であった。高分子量種は1.1%であり、低分子量種は0.2%であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は1.0%であり、低分子量種は0.2%であった。初期、1、3および6ヶ月の測定の中で、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、わずかに変化したものから変化しなかったものが存在した。
【0294】
溶液のクロマトグラフピークは、40℃における長期保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX−HPLC)により実施した。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間、3ヶ月間および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観を、参照基準のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフピークパターンにより特徴付けた。
【0295】
溶液の純度は、長期保存により影響を及ぼされなかった
キャピラリーゲル電気泳動(CE−SDS−R)を、初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液に対して実施し、溶液の純度パーセントを決定するために使用した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。1ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.5%であった。3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは96.9%であった。6ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.2%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と、40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後との間に有意に変化しなかった。
【0296】
溶液の薬物抗体比は、40℃における長期保存後変化しなかった
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、全ての再構成溶液に関してDARが4.2であることを測定した。
【0297】
溶液中の非複合体化抗体のパーセントは、40℃における長期保存後変化しなかった
初期時点において、パーセントは4.1以下であった。40℃(75%相対湿度)において、1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.1以下であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.1以下であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは3.9以下であった。従って、全ての時点においてパーセントは同様であった。
【0298】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、40℃における長期保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP−HPLC)を再構成溶液に対して実施して、クエンチされた薬物リンカーのパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは0.007以下であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点においてパーセントは、クエンチされた薬物リンカーのパーセントに関して同様であった。
【0299】
溶液中の合計不純物は、40℃における長期保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、合計不純物のパーセントを、RP−HPLCを使用して決定した。初期時点において、パーセントは0.007以下であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点において、合計不純物に関するパーセントは同様であった。
【0300】
溶液の微粒子汚染は、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、不可視粒子を決定することによって評価した。許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は33であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は5であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は12であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は32であった。従って、全ての時点において、10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、600以下であることによってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。従って、全ての時点において、25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0301】
溶液の含水量は、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl−Fischer滴定により評価した。Karl Fischer滴定は、電量的または容積的滴定を使用して試料中の微量の水を決定し、パーセントとして記録する。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは2.0%であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは検出不能であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.9%であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の含水量は1.0%であった。従って、初期時点および1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0302】
溶液のpHは、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は6.0であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。
【0303】
ADC1−MMAFの精製を、本明細書に記載され、米国特許仮出願第61/792834号明細書および2014年3月14日出願の米国特許出願第14/210,602号明細書に開示のバッチ精製方法に従って実施し、当該特許出願は、参照によりこの内容が本明細書に組み込まれる。実施例6から8に記載のADC1−MMAFpを含むADC混合物に関する平均DARは約3.0であった。
【0304】
実施例6から8に記載の安定性実験を、初期時点においてSWFIで再構成後およびADC1−MMAFpを含む凍結乾燥物を、5℃において3ヶ月間保存した後、ならびに25℃(相対湿度60%)および40℃/(75%相対湿度)において1および3ヶ月間保存した後の再構成後に実施した。
【0305】
[実施例6]
5℃における凍結乾燥製剤中の精製されたADC1−MMAF(ADC1−MMAFp)の安定性
下記の試験を、初期時点において、および5℃において凍結乾燥物を3ヶ月までの間保存した後の製剤の再構成後、実施例2に記載の凍結乾燥ADC1−MMAFp製剤をSWFIで再構成した後に実施した。
【0306】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、5℃における長期保存により影響を受けなかった
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が、実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、および5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。
【0307】
溶液の色は、5℃における長期保存により影響を受けなかった
再構成溶液の色(視覚的)をブルー/イエロースケール(BYスケール)を使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、および5℃において3ヶ月保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、ADC1−MMAFp製剤の保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0308】
溶液の透明度および乳白色は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を評価した。初期時点において、および5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eurによる)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0309】
溶液の生物活性は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1−MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。初期時点において、相対生物活性は102%であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は98%であった。
【0310】
分子および/または分子複合体のサイズは、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のサイズ排除クロマトグラフィー(chromatograph)を、Size Exclusion−High Performance Liquid Chromatography(SE−HPLC)を使用して実施した。主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.2%であり、低分子量種は0.2%であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.6%であった。初期および凍結乾燥形態で3ヶ月間保存した後の再構成後の両方において、高分子量種は0.2%であり、低分子量種は0.2%であった。
【0311】
従って、初期および3ヶ月の時点の測定の中で、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、全ての時点においてわずかな変化から変化なしを示した。
【0312】
溶液のクロマトグラフピークは、5℃における長期保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX−HPLC)を使用して、再構成溶液に対して実施した。陽イオン交換クロマトグラフィーにおいて、正に荷電した分子は、負に荷電した固体支持体に引き付けられる。初期時点において、および凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観を、対照のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフピークパターンにより特徴付け、対照は既に特徴付けられたADC1−MMAFであった。従って、クロマトグラフピークは、5℃における3ヶ月の過程にわたって相対的に変化しないままであった。
【0313】
溶液の純度は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
キャピラリーゲル電気泳動(CE−SDS−R)を、初期時点において、および5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液に対して実施して、溶液の純度を決定した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.6%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と3ヶ月間保存との間に有意に変化しなかった。
【0314】
ADC1−MMAFの薬物抗体比(DAR)は、5℃における保存後に変化しないままであった
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、3ヶ月の保存期間にわたった薬物抗体比(DAR)を決定するために、再構成溶液に対して実施した。HICは、相対疎水性に基づきタンパク質を分離するために使用される。初期時点において、および凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、ADC1−MMAFに関する平均薬物抗体比(DAR)は、それぞれ3.0および2.9であることが測定された。
【0315】
溶液中の非複合体化抗体1のパーセントは、5℃における保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、ADC1−MMAFに関する非複合体化抗体のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは7.6以下であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは7.6以下であった。従って、非複合体化抗体1のパーセントは、3ヶ月の期間にわたって同じままであった。
【0316】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、5℃における保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP−HPLC)を再構成溶液に対して実施し、クエンチされた薬物リンカーのパーセントを決定した。クエンチされた薬物リンカーのパーセントは、初期および凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後の両方において検出されなかった(実用検出限界は0.001%であった。)。
【0317】
溶液中の合計不純物は、5℃における保存後変化しなかった
再構成溶液を、RP−HPLCを使用して分析し、合計不純物のパーセントを決定した。合計不純物のパーセントは、初期および凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後の両方において検出不能であった(実用検出限界は0.001%であった;実用定量限界は0.003%であった。)。
【0318】
溶液の微粒子汚染は、5℃における保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、2種の異なる許容基準を使用して不可視粒子を決定することによって評価した。
【0319】
許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は13であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は20であった。従って、両方の時点で10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準が満たされた。
【0320】
許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、NMTが600であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。従って、両方の時点で25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準が満たされた。
【0321】
溶液の含水量は、5℃における保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl−Fischer滴定により評価した。Karl Fischer滴定は、電量的または容積的滴定を使用して試料中の微量の水を決定し、パーセントとして記録する。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。従って、初期時点および5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0322】
溶液のpHは、5℃における保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、および5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は5.9であった。5℃において3ヶ月保存した後、再構成溶液のpH値は5.9であった。従って、ADC1−MMAFp組成物の、5℃における3ヶ月間の保存は、pHに影響を及ぼさなかった。
【0323】
[実施例7]
25℃における凍結乾燥製剤中のADC1−MMAFpの安定性
下記の実験を、初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において凍結乾燥物を1および3ヶ月間保存した後の再構成後、凍結乾燥ADC1−MMAFp製剤(実施例2を参照されたい。)をSWFIで再構成した後に実施した。
【0324】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、25℃における保存により影響を受けなかった
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が、実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。従って、初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まないものであった。
【0325】
溶液の色は、25℃における保存により影響を受けなかった
溶液の色(視覚的)をブルー/イエロー(BY)スケールを使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0326】
溶液の透明度および乳白色は、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を評価した。再構成溶液の許容基準は、再構成溶液が参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による。)の乳白色を超えなかった場合、満たされた。初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eurによる)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0327】
溶液の生物活性は、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1−MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。
初期時点において、相対生物活性は102%であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は101%であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は97%であった。
【0328】
分子および/または分子複合体のサイズは、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
サイズ排除クロマトグラフィー(Chromatograph)を、Size Exclusion−High Performance Liquid Chromatography(SE−HPLC)により実施した。主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.2%であり、低分子量種は0.2%であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.3%であり、低分子量種は0.2%であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.6%であった。高分子量種は0.3%であり、低分子量種は0.2%であった。従って、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、初期、1および3ヶ月の測定の中で、わずかに変化したものから変化しなかったものが存在した。
【0329】
溶液のクロマトグラフピークは、25℃における保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX−HPLC)により実施した。初期時点において、ならびに25℃において1ヶ月間および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観を、参照基準のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフピークパターンにより特徴付けた。
【0330】
溶液の純度は、25℃の保存により影響を及ぼされなかった
キャピラリーゲル電気泳動(CE−SDS−R)を、初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。1ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.5%であった。3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.6%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と、25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後との間に有意に変化しなかった。
【0331】
溶液中のADC1−MMAFpの薬物抗体比(DAR)は、25℃における保存後変化しないままであった
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、DARは3.0であることが測定された。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、DARは3.0であることが測定された。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、DARは2.9であることが測定された。従って、ADC1−MMAFpのDARは、初期時点と、25℃おいて1および3ヶ月間保存した後の再構成後との間に有意に変化しなかった。
【0332】
溶液中の非複合体化抗体1のパーセントは、25℃における保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、非複合体化抗体1のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは7.6以下であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは7.6以下であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは7.6以下であった。
【0333】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、25℃における保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP−HPLC)を再構成溶液に対して実施し、クエンチされたリンカーのパーセントを決定した。初期時点、1ヶ月時点および3ヶ月時点において、クエンチされたリンカー(quenched linked)のパーセントは検出不能であった(実用検出限界は0.001%であった;実用定量限界は0.003%であった。)。
【0334】
溶液中の合計不純物は、25℃における保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、合計不純物のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは検出されなかった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、不純物のパーセントは0.003未満であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは検出されなかった(実用検出限界は0.001%であった;実用定量限界は0.003%であった。)。従って、合計不純物に関するパーセントは全ての時点において同様であった。
【0335】
溶液の微粒子汚染は、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、2つの許容基準に従って、不可視粒子を決定することによって評価した。
【0336】
許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は13であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は12であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は17であった。従って、全ての時点において、10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、600以下であることによってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は7であった。従って、全ての時点において、25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0337】
溶液の含水量は、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl−Fischer滴定により評価した。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。従って、初期時点において、ならびに1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0338】
溶液のpHは、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は5.9であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。25℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。
【0339】
[実施例8]
40℃におけるADC1−MMAFp凍結乾燥製剤の安定性
下記の試験を、初期時点において、ならびに40℃/(75%相対湿度)において凍結乾燥物を1および3ヶ月間保存した後の再構成後、実施例2に記載の凍結乾燥ADC1−MMAFp製剤をSWFIで再構成した後に実施した。
【0340】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、40℃における保存により影響を受けなかった
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が、実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、ならびに40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。初期時点において、ならび40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、溶液が無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まないものであった。
【0341】
溶液の色は、40℃における保存により影響を受けなかった
溶液の色(視覚的)をBYスケールを使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、ならびに40℃において1および3ヶ月保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0342】
溶液の透明度および乳白色は、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を評価した。再構成溶液の許容基準は、再構成溶液が参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による。)の乳白色を超えなかった場合、満たされた。初期時点において、ならびに40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0343】
溶液の生物活性は、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1−MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。初期時点において、生物活性は102%であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は101%であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は105%であった。従って、全ての時点における生物活性のパーセントは、実施例2の製剤を100%として、これを上回る生物活性を有した。
【0344】
分子および分子複合体のサイズは、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
サイズ排除クロマトグラフィー(chromatograph)を、Size Exclusion−High Performance Liquid Chromatography(SE−HPLC)を使用して実施した。主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.2%であり、低分子量種は0.2%であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.3%であり、低分子量種は0.2%であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.3%であり、低分子量種は0.2%であった。従って、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、初期、1および3ヶ月の測定の中で、わずかに変化したものから変化しなかったものが存在した。
【0345】
溶液のクロマトグラフピークは、40℃における保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX−HPLC)により実施した。初期時点において、ならびに40℃において1ヶ月間および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観を、参照基準のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフパターンにより特徴付けた。
【0346】
溶液の純度は、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
キャピラリーゲル電気泳動(CE−SDS−R)を、初期時点において、ならびに40℃において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液に対して実施し、溶液の純度パーセントを決定するために使用した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。1ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.5%であった。3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.6%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と、40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成時、およびその後との間に有意に変化しなかった。
【0347】
ADC1−MMAFpの薬物抗体比(DAR)は、40℃における保存後変化しなかった
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、DARは3.0であることが測定された。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、DARは3.0であることが測定された。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、DARは2.9であることが測定された。従って、DARは、初期時点と、40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後との間で有意に変化しなかった。
【0348】
溶液中の非複合体化抗体1のパーセントは、40℃における保存後変化しなかった
初期時点において、非複合体化抗体1のパーセントは、7.6以下であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、非複合体化抗体1のパーセントは、7.6以下であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、非複合体化抗体1のパーセントは、7.6以下であった。従って、全ての時点におけるパーセントは同様であった。
【0349】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、40℃における保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP−HPLC)を再構成溶液に対して実施し、クエンチされたリンカーのパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは検出されなかった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは検出されなかった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは検出されなかった。従って、全ての時点においてクエンチされた薬物リンカーのパーセントは検出されなかった。
【0350】
溶液中の合計不純物は、40℃における保存後変化しなかった
再構成溶液を、RP−HPLCを使用して分析し、合計不純物のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは検出されなかった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.003未満であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは検出されなかった。従って、合計不純物に関するパーセントは全ての時点において同様であった。
【0351】
溶液の微粒子汚染は、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、2つの許容基準に従って、不可視粒子を決定することによって評価した。
【0352】
許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は13であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は5であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は8であった。従って、全ての時点において、10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0353】
許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、600以下であることによってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。従って、全ての時点において、25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0354】
溶液の含水量は、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl−Fischer滴定により評価した。Karl Fischer滴定は、電量的または容積的滴定を使用して試料中の微量の水を決定し、パーセントとして記録する。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセント0.8%であった。従って、初期時点において、ならびに1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0355】
溶液のpHは、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、ならびに40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は5.9であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。40℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。
【0356】
[実施例9]
凍結乾燥ADC1−MMAF製剤の大規模製造
バルク溶液の調製のために、ヒスチジンを注射用水に溶解し、pHを10%w/w塩酸により調整して、注射用水を最終重量まで加えた。製剤のバッファー賦形剤(スクロースおよびポリソルベート80)を秤量して、15mMヒスチジン溶液に溶解した。得られた溶液を、その後、外観に関して検査した。
【0357】
ADC1−MMAFを、ウォーターバスにおいて30℃で解凍し、外観に関して検査し、プールして、秤量した。15mMヒスチジンバッファー、ポリソルベート80およびスクロースを、ADC1−MMAFに加えた。溶液の外観を検査し、このpHおよび密度を決定し、次いで、滅菌ろ過した。その後、管理された条件下で溶液を凍結乾燥した。
【0358】
注射溶液20mg/mL用ADC1−MMAF粉末の製造中に実行された、進行中の限界試験を下記の表にに列挙した。
【0359】
【表2】
【0360】
凍結乾燥のためのADC1−MMAF溶液の典型的なバッチに使用されるADC1−MMAFおよびバッファー溶液の量を、下記の表3に示す。製剤のバッファーを製造するために使用される成分および量のリストを、表4および表5に記載する。
【0361】
【表3】
【0362】
【表4】
【0363】
【表5】
【0364】
本明細書に記載の実施例および実施形態が、単なる例示目的であること、およびこれらを考慮してさまざまな変形および変更が当業者には示唆されること、および添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれることは理解されるものと思われる。本明細書に引用された全ての出版物、特許および特許出願は、全ての目的のために、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。
【0365】
配列の概要
【0366】
【表6】