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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-143815(P2020-143815A)
(43)【公開日】2020年9月10日
(54)【発明の名称】ヒートポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 30/02 20060101AFI20200814BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20200814BHJP
   F24H 4/02 20060101ALI20200814BHJP
【FI】
   F25B30/02 H
   F25B1/00 331Z
   F25B1/00 101Z
   F25B1/00 399Y
   F25B30/02 G
   F25B1/00 304H
   F24H4/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-39381(P2019-39381)
(22)【出願日】2019年3月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】大下 悟
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA03
3L122AA23
3L122AC14
3L122AC22
3L122AC25
3L122AC26
3L122BC14
3L122BC19
3L122DA01
3L122DA25
3L122EA62
3L122GA06
(57)【要約】
【課題】ヒートポンプ回路に液ガス熱交換器を設けた構成において、圧縮機の破損を防止することができるヒートポンプシステムを提供すること。
【解決手段】ヒートポンプシステム1であって、凝縮器12から膨張弁14に向かって流れる液冷媒Rと蒸発器15から圧縮機11に向かって流れるガス冷媒Rとを熱交換する液ガス熱交換器16と、液冷媒Rまたはガス冷媒Rの少なくとも一方の冷媒が、液ガス熱交換器16を通過することを迂回するための冷媒バイパスラインL20、L30と、冷媒バイパスラインL20、L30を流れる冷媒の流量を調整するバイパス流量調整部と、膨張弁14に流入する液冷媒Rの温度情報を測定する温度センサ22と、測定された温度情報に基づき、バイパス流量調整部を制御する制御部100と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が順次環状に接続された冷媒循環ラインに冷媒を循環させ、前記蒸発器を通過する熱源流体から熱を汲み上げながら前記凝縮器を通過する加温対象流体を加温するヒートポンプシステムであって、
前記凝縮器から前記膨張弁に向かって流れる液冷媒と前記蒸発器から前記圧縮機に向かって流れるガス冷媒とを熱交換する液ガス熱交換器と、
液冷媒またはガス冷媒の少なくとも一方の冷媒が、前記液ガス熱交換器を通過することを迂回するための冷媒バイパスラインと、
前記冷媒バイパスラインを流れる冷媒の流量を調整するバイパス流量調整部と、
前記膨張弁に流入する液冷媒の温度情報を測定する温度センサと、
測定された前記温度情報に基づき、前記バイパス流量調整部を制御する制御部と、を備えるヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記凝縮器より上流側の加温対象流体と、前記凝縮器から前記膨張弁に向かって流れる液冷媒とを熱交換する過冷却器をさらに備え、
前記液ガス熱交換器は、前記過冷却器から前記膨張弁に向かって流れる液冷媒と、前記蒸発器から前記圧縮機に向かって流れるガス冷媒とを熱交換する、請求項1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記凝縮器より上流側の加温対象流体と、前記凝縮器から前記膨張弁に向かって流れる液冷媒とを熱交換する過冷却器をさらに備え、
前記液ガス熱交換器は、前記凝縮器から前記過冷却器に向かって流れる液冷媒と、前記蒸発器から前記圧縮機に向かって流れるガス冷媒とを熱交換する、請求項1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記冷媒バイパスラインは、液冷媒を、前記液ガス熱交換器を通過することなく、前記凝縮器から前記膨張弁に向かって流すラインであり、
前記温度センサは、前記液ガス熱交換器から前記膨張弁に向かって液冷媒を流すラインと前記冷媒バイパスラインとの合流部の下流側に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記膨張弁に流入する液冷媒の温度が目標温度となるように、前記バイパス流量調整部を制御する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項6】
前記目標温度は、前記膨張弁に流入する液冷媒の圧力に基づいて設定される、請求項5に記載のヒートポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプシステムに関する。より詳細には、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が順次環状に接続された冷媒循環ラインに冷媒を循環させ、蒸発器を通過する熱源流体から熱を汲み上げながら凝縮器を通過する加温対象流体を加温するヒートポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプを用いた給水加温システムが知られている。
例えば特許文献1には、このような給水加温システムのヒートポンプにおいて、液冷媒と給水とを熱交換する過冷却器を設け、さらに、凝縮器から過冷却器に向かって流れる液冷媒と、蒸発器から圧縮機に向かって流れるガス冷媒とを熱交換する液ガス熱交換器を設ける構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−48126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるようなヒートポンプにおいては、熱源流体の温度が低くても、蒸発器で加熱されたガス冷媒が液ガス熱交換器で更に加熱されるので、圧縮機で圧縮できるガス冷媒の質量流量を増やすことができる。そのため、凝縮器および過冷却器で多くの熱量を交換でき、より多くの温水を得ることができる。
しかしながら、このようなヒートポンプにおいては、膨張弁に流入する液冷媒が、液ガス熱交換器および過冷却器を通過することによって極度に冷却されてしまう可能性がある。液冷媒の過冷却度が極度に大きく、蒸発器に過冷却液が供給される状況になってしまうと、蒸発器での気化が不十分なまま圧縮機に湿り蒸気が送られるようになる。圧縮機が湿り蒸気を吸入すると、液圧縮によるリキッドハンマー等により、圧縮機を破損させるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒートポンプ回路に液ガス熱交換器を設けた構成において、圧縮機の破損を防止することができるヒートポンプシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が順次環状に接続された冷媒循環ラインに冷媒を循環させ、前記蒸発器を通過する熱源流体から熱を汲み上げながら前記凝縮器を通過する加温対象流体を加温するヒートポンプシステムであって、前記凝縮器から前記膨張弁に向かって流れる液冷媒と前記蒸発器から前記圧縮機に向かって流れるガス冷媒とを熱交換する液ガス熱交換器と、液冷媒またはガス冷媒の少なくとも一方の冷媒が、前記液ガス熱交換器を通過することを迂回するための冷媒バイパスラインと、前記冷媒バイパスラインを流れる冷媒の流量を調整するバイパス流量調整部と、前記膨張弁に流入する液冷媒の温度情報を測定する温度センサと、測定された前記温度情報に基づき、前記バイパス流量調整部を制御する制御部と、を備えるヒートポンプシステムに関する。
【0007】
また、前記凝縮器より上流側の加温対象流体と、前記凝縮器から前記膨張弁に向かって流れる液冷媒とを熱交換する過冷却器をさらに備え、前記液ガス熱交換器は、前記過冷却器から前記膨張弁に向かって流れる液冷媒と、前記蒸発器から前記圧縮機に向かって流れるガス冷媒とを熱交換することが好ましい。
【0008】
また、前記凝縮器より上流側の加温対象流体と、前記凝縮器から前記膨張弁に向かって流れる液冷媒とを熱交換する過冷却器をさらに備え、前記液ガス熱交換器は、前記凝縮器から前記過冷却器に向かって流れる液冷媒と、前記蒸発器から前記圧縮機に向かって流れるガス冷媒とを熱交換することが好ましい。
【0009】
また、冷媒バイパスラインは、液冷媒を、前記液ガス熱交換器を通過することなく、前記凝縮器から前記膨張弁に向かって流すラインであり、前記温度センサは、前記液ガス熱交換器から前記膨張弁に向かって液冷媒を流すラインと前記冷媒バイパスラインとの合流部の下流側に配置されていることが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記膨張弁に流入する液冷媒の温度が目標温度となるように、バイパス流量調整部を制御することが好ましい。
【0011】
また、前記目標温度は、前記膨張弁に流入する液冷媒の圧力に基づいて設定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ヒートポンプ回路に液ガス熱交換器を設けた構成において、圧縮機の破損を防止することができるヒートポンプシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るヒートポンプシステムを示す概略図である。
図2】上記実施形態に係るヒートポンプシステムのヒートポンプサイクルを説明するためのモリエル線図である。
図3】上記実施形態に係るヒートポンプシステムのヒートポンプサイクルを説明するためのモリエル線図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るヒートポンプシステムを示す概略図である。
図5】上記実施形態に係るヒートポンプシステムのヒートポンプサイクルを説明するためのモリエル線図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るヒートポンプシステムを示す概略図である。
図7】本発明の第4実施形態に係るヒートポンプシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプシステム1について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0015】
図1は、本実施形態のヒートポンプシステム1のヒートポンプ回路を示す概略図である。
本実施形態のヒートポンプシステム1は、加温対象流体としての用水W1(水道用水、工業用水等)を加温する温水製造システムとして機能するヒートポンプシステムであり、蒸気圧縮式のヒートポンプ10を備える。
【0016】
図1に示されるように、ヒートポンプ10は、圧縮機11と、凝縮器12と、膨張弁14と、蒸発器15を備える。これらの圧縮機11、凝縮器12、膨張弁14および蒸発器15は、冷媒Rが流れる冷媒循環ラインL10によって順次環状に接続されており、これによりヒートポンプ回路が形成されている。そして、本実施形態のヒートポンプ10の冷媒循環ラインL10には、後述する過冷却器13と、液ガス熱交換器16がさらに設けられている。
冷媒循環ラインL10を循環する冷媒Rは、その循環過程において、ガス冷媒Rと、液冷媒Rと、湿り蒸気状態の冷媒Rとの間で相変化する。
【0017】
圧縮機11は、電気駆動の冷媒圧縮機である。圧縮機11は、駆動源としてのモータ17を有しており、ガス冷媒Rを断熱圧縮して高温高圧のガス冷媒Rにする。凝縮器12は、用水ラインL1を通じて送られてくる用水W1(加熱対象流体)への放熱により、圧縮機11からのガス冷媒Rを凝縮液化する。これにより、冷媒Rは液冷媒Rとなる。膨張弁14は、凝縮器12から送られた液冷媒Rを断熱膨張させることで、液冷媒Rの圧力と温度とを低下させる。これにより、液冷媒Rは、湿り蒸気に相変化し、湿り蒸気状態の冷媒Rとなる。蒸発器15は、熱源水ラインL2を通じて送られてくる熱源水W2(熱源流体)からの吸熱により、膨張弁14から送られる湿り蒸気状態の冷媒Rを蒸発させる。これにより、冷媒Rはガス冷媒Rとなる。
【0018】
ヒートポンプ回路の熱源としては、廃温水等の熱源水に限らず、工場設備からの排気ガス(燃焼ガスや排蒸気等)、廃熱を含んだ冷却用空気、廃熱を含まない外気等の各種熱源ガスを用いることが可能である。
なお、蒸発器15の構造として、伝熱面が外部に露出されている場合、熱源ガスはファンにより伝熱面に供給(例えば、大気の通風)される。また、蒸発器15の構造として、伝熱面が閉鎖空間(例えば、シェル)内に存在している場合、熱源ガスはブロワにより伝熱面に供給される。
【0019】
このように、蒸発器15において、湿り蒸気の状態の冷媒Rが外部から吸熱して気化し、ガス冷媒Rとなる一方、凝縮器12において、高温高圧のガス冷媒Rが外部へ放熱して凝縮し、液冷媒Rとなる。このような原理を利用して、ヒートポンプ10は、蒸発器15において、熱源水W2から熱を汲み上げ、凝縮器12において、用水ラインL1の一次側から流れてくる用水W1を加温する。
そして、凝縮器12を通過することにより加温されて温水となった用水W1は、用水ラインL1の二次側を通じて、不図示の温水需要箇所に供給される。
【0020】
本実施形態のヒートポンプ10はさらに、冷媒循環ラインL10における凝縮器12の下流側に、過冷却器13を備えている。過冷却器13は、凝縮器12の上流側の用水W1と、凝縮器12から膨張弁14に向かって流れる液冷媒Rとを熱交換する。この過冷却器13により、凝縮器12の上流側の用水W1を用いて凝縮器12から膨張弁14に向かって流れる液冷媒Rの過冷却を行うことができると共に、凝縮器12から膨張弁14に向かって流れる液冷媒Rを用いて凝縮器12の上流側の用水W1を加温することができる。
【0021】
このように、凝縮器12は、ガス冷媒Rの潜熱および顕熱を放出して、ガス冷媒Rを液冷媒Rへと変化させ、過冷却器13は、液冷媒Rの顕熱を放出して、液冷媒Rの過冷却を行っている。このように、凝縮用の熱交換器と過冷却用の熱交換器を分けることで、熱交換器の設計が容易となり、コスト削減を図ることができる。
【0022】
本実施形態のヒートポンプ10はさらに、凝縮器12から膨張弁14に向かって流れる液冷媒Rと、蒸発器15から圧縮機11に向かって流れるガス冷媒Rとを熱交換する液ガス熱交換器16を備える。より具体的には、本実施形態における液ガス熱交換器16は、過冷却器13から膨張弁14に向かって流れる液冷媒Rと、蒸発器15から圧縮機11に向かって流れるガス冷媒Rとを熱交換する。
このような液ガス熱交換器16を設けることにより、蒸発器15に供給される熱源水W2の温度が低い場合であっても、膨張弁14を通過した後の湿り蒸気状態の冷媒Rが、蒸発器15に加えて液ガス熱交換器16を通過するため、圧縮機11に吸入されるガス冷媒Rの温度と圧力を高めることができる。これにより、圧縮機11で圧縮されるガス冷媒Rの流量が増加するため、凝縮器12での発熱量(凝縮器12で冷媒Rが放出する熱量)が増加し、ヒートポンプ10のCOP(エネルギー消費効率)が高まる。
【0023】
ここで、ヒートポンプ10のヒートポンプサイクルによって冷媒Rの温度が変化していく様子の一例について説明する。ここでは、冷媒Rとしてフロンガスを用い、過冷却器13に流れ込む用水W1の温度が20℃、凝縮器12から出湯する用水W1の温度が70℃、熱源水W2の温度が10℃である場合の一例を示す。
圧縮機11によって圧縮された冷媒Rは、ゲージ圧力2.0MPaG、86℃(飽和温度70℃に対して過熱度16℃)の高温高圧のガス冷媒Rとなる。その後、凝縮器12および過冷却器13を通過した冷媒Rは、23℃の液冷媒Rとなり、さらに、液ガス熱交換器16を通過した冷媒Rは、13℃の液冷媒Rとなる。さらにその後、膨張弁14を通過した冷媒Rは、7℃の湿り蒸気状態の冷媒Rとなる。湿り蒸気状態の冷媒Rは、蒸発器15および液ガス熱交換器16を通過して、ゲージ圧力0.27MPaG、17℃(飽和温度7℃に対して過熱度10℃)のガス冷媒Rとなる。このガス冷媒Rが圧縮機11によって再び圧縮され、高温高圧のガス冷媒Rとなる。このようなサイクルを繰り返し、冷媒Rは循環する。
【0024】
次に、図2に示すモリエル線図(p−h線図)を用いて、本実施形態のヒートポンプサイクルを説明する。
このモリエル線図の縦軸は冷媒の圧力(p)であり、横軸は冷媒の比エンタルピー(h)である。そして、モリエル線図には、飽和液線Y1と、飽和蒸気線Y2が示されている。このようなモリエル線図により、ヒートポンプサイクル中における冷媒Rの状態変化を表すことができる。冷媒Rは、飽和液線Y1よりも左側で過冷却液状態(液冷媒Rの状態)、飽和液線Y1と飽和蒸気線Y2との間で気液混合状態である湿り蒸気状態(冷媒Rの状態)、飽和蒸気線Y2より右側で過熱蒸気状態(ガス冷媒Rの状態)となる。
【0025】
図2においてRで示される実線は、適正な状態のヒートポンプサイクルにおける冷媒Rの状態の移り変わりを示している。
圧縮機11に吸引された過熱蒸気状態のガス冷媒Rは、圧縮機11において断熱圧縮されて高温高圧の過熱蒸気状態のガス冷媒Rとなり(a→b)、その後、凝縮器12で凝縮され、さらに過冷却器13および液ガス熱交換器16で過冷却されることにより過冷却液状態の液冷媒Rとなり(b→c)、さらにその後、膨張弁14にて断熱膨張されることにより湿り蒸気状態の冷媒Rとなる(c→d)。そして、湿り蒸気状態の冷媒Rは、蒸発器15において蒸発し、さらに液ガス熱交換器16で加温されて、過熱蒸気状態のガス冷媒Rとなる(d→a)。このようなサイクルで、冷媒Rは循環する。
【0026】
ここで、図2における(b→c)の過程について詳細に説明すると、凝縮器12は、ガス冷媒Rの潜熱および顕熱を放出して、ガス冷媒Rを液冷媒Rへと変化させ、過冷却器13および液ガス熱交換器16は、液冷媒Rの顕熱を放出して、液冷媒Rの過冷却を行っている。
【0027】
本実施形態においては、蒸発器15に加えて液ガス熱交換器16が設けられていることにより、蒸発器15に供給される熱源水W2の温度が低い場合であっても、膨張弁14を通過した後の湿り蒸気状態の冷媒Rをより安定的に過熱蒸気状態のガス冷媒Rに変化させることができる(d→a)。すなわち、冷媒Rを、モリエル線図における飽和蒸気線Y2の右側の領域の状態に変化させることができる。
また、液ガス熱交換器16によりガス冷媒Rの温度(過熱度)を高めることができるため、凝縮器12での発熱量(凝縮器12で冷媒Rが放出する熱量)を増加させて、ヒートポンプ10のCOPを高めることができる。
【0028】
ここで、用水ラインL1から供給される用水W1の温度が低い(例えば、冬季における15℃以下の低温水の使用)などの理由により、凝縮器12、過冷却器13、液ガス熱交換器16を通過後の液冷媒Rが、極度に冷却されてしまうケースについて考える。
この場合、図3のモリエル線図において破線R2で示されるように、液ガス熱交換器16を通過した後の液冷媒Rの状態を示す「c2」の位置が、図2に示される適正な場合に比べて左側にずれてしまう。この場合、「c2」の状態にある液冷媒Rは、膨張弁14を通過した後も相状態が変化せず、液冷媒Rの状態を維持してしまう可能性がある(c2→d2)。すなわち、破線R2に示されるように、膨張弁14を通過した後の冷媒Rの状態を示す「d2」の位置が、飽和液線Y1の左側の領域のままとなってしまう可能性がある。
【0029】
膨張弁14を通過後の冷媒Rが過冷却液状態であると、蒸発器15および液ガス熱交換器16で冷媒Rの気化が不十分となって(d2→a2)圧縮機11に湿り蒸気状態の冷媒Rが送られるようになる。圧縮機11が湿り蒸気状態の冷媒Rを吸入すると、液圧縮によるリキッドハンマー等により、圧縮機11を破損させるおそれがある。
運よくリキッドハンマーが起こらない状態であっても、湿り蒸気の液体部分は非圧縮性であるので、断熱圧縮を経た冷媒Rは湿り蒸気状態のままである。そのため、圧縮機11から吐出される冷媒Rの温度と圧力が低下する(a2→b2)ので、凝縮器12での発熱量が減ることに加えて膨張弁14に送られる液冷媒Rの過冷却も進行しやすくなる。その結果、当初に計画していた冷凍サイクルを実現できなくなる。
【0030】
そこで、このような状況を防ぐために、本実施形態のヒートポンプ回路は、図1に示すように、液冷媒Rが液ガス熱交換器16を通過することを迂回するための液冷媒バイパス手段20を備えている。液冷媒バイパス手段20は、冷媒バイパスラインL20と、冷媒バイパスラインL20を流れる液冷媒Rの流量を調整するバイパス流量調整部を備えている。冷媒バイパスラインL20は、分岐部Aで冷媒循環ラインL10から分岐し、合流部Bで冷媒循環ラインL10と合流している。
バイパス流量調整部は、液ガス熱交換器16に向かう液冷媒Rの流量と、冷媒バイパスラインL20に流入させる液冷媒Rの流量とを分配できるものであればよく、冷媒バイパスラインL20に設けられていてもよいし、冷媒循環ラインL10に設けられていてもよい。あるいは、その両方や、分岐部に設けられていてもよい。本実施形態においては、分岐部Aに三方弁21が設けられている。
【0031】
三方弁21は、後述する制御部100から入力される開度指定信号に対応する開度で作動される弁機構(三方型比例制御弁)である。この三方弁21は、液ガス熱交換器16に向かう第1出口ポート側に流れる液冷媒Rの流量と、冷媒バイパスラインL20に向かう第2出口ポート側に流れる液冷媒Rの流量との流量比を調整可能である。すなわち、三方弁21は、開度を調整するアクチュエータ回路(図示せず)を備え、このアクチュエータ回路に0〜100%の開度指定信号が入力されることにより、第1出口ポート側の開度と第2出口ポート側の開度とが調節される。但し、第1出口ポート側および第2出口ポート側の流量比の合計は常に100%である。なお、三方弁21の開度は、第1出口ポート側の開度が基準となっており、第1出口ポート側の開度が、0%→25%→50%→75%→100%となる場合、第2出口ポート側の開度は、100%→75%→50%→25%→0%となる。
【0032】
そして、冷媒循環ラインL10には、膨張弁14に流入する液冷媒Rの温度情報を測定する温度センサ22が設けられている。この温度センサ22は、液ガス熱交換器16から膨張弁14に向かう冷媒循環ラインL10と冷媒バイパスラインL20との合流部Bの下流側に配置されている。これにより、膨張弁に流入する液冷媒Rの温度を測定することができる。より好ましくは、膨張弁14に流入する直前の液冷媒Rの温度を測定するために、膨張弁14の上流側であって、膨張弁14の近傍に温度センサ22は配置される。
【0033】
ここで、本実施形態のヒートポンプシステム1は制御部100を備える。この制御部100は、温度センサ22が測定した温度情報と、目標温度とに基づき、バイパス流量調整部としての三方弁21を制御する。制御部100は、バイパス流量の調整を通じて、膨張弁14に流入する液冷媒Rの過冷却度を一定値に、または一定範囲に保つように制御する(過冷却度一定制御)。
【0034】
具体的には、制御部100は、温度センサ22が測定した温度情報に基づき、膨張弁14に流入する液冷媒Rの温度が目標温度となるように三方弁21を制御する。これにより、液ガス熱交換器16に向かう第1出口ポート側に流れる液冷媒Rの流量と、冷媒バイパスラインL20に向かう第2出口ポート側に流れる液冷媒Rの流量との流量比を調整する。
例えば、制御部100は、温度センサ22により測定した温度情報と目標温度とを比較し、目標温度に比べて液冷媒Rの温度が低いときは、バイパス流量を増やす方向となるような開度指定信号を生成し、その信号を三方弁21に供給する。一方、目標温度に比べて液冷媒Rの温度が高いときは、バイパス流量を減らす方向となるような開度指定信号を生成し、その信号を三方弁21に供給する。この流量比の調整には、PIDアルゴリズムによるフィードバック制御を用いるのが好適である。
【0035】
また、温度閾値に基づいて、バイパス流量調整部の切り替え制御を行う構成を採用してもよい。例えば、測定した温度情報が第1温度閾値を下回ったとき、100%の流量が冷媒バイパスラインL20に向かうようにバイパス流量調整部を制御する。一方、測定した温度情報が第2温度閾値を上回ったとき、100%の流量が液ガス熱交換器16に向かうようにバイパス流量調整部を制御する。この制御は、例えばバイパス流量調整部を構成する弁の開閉制御等によって行われる。なお、第1温度閾値と第2温度閾値を同じ温度としてもよいし、第2温度閾値を第1温度閾値よりも高い温度としてもよい。
【0036】
このように、膨張弁14に流入する前の液冷媒Rの温度情報に基づいて、液ガス熱交換器16を通過する液冷媒Rの流量を調整することで、膨張弁14に流入する前の液冷媒Rが極度に冷却されることがなくなる。よって、膨張弁14を通過した後の冷媒Rが確実に湿り蒸気状態に相変化する。
すなわち、液ガス熱交換器16を通過する液冷媒Rの流量を調整することで、図3のモリエル線図において実線R3で示されるように、液ガス熱交換器16を通過した後の液冷媒Rの状態を示す位置が「c3」となり、適正な位置となる。この場合、「c3」の状態にある液冷媒Rは、膨張弁14を通過した後、適正に湿り蒸気状態の冷媒Rとなる(c3→d3)。すなわち、実線R3に示されるように、膨張弁14を通過した後の冷媒Rの状態を示す「d3」の位置が、飽和液線Y1の右側の領域に入る。
このように、膨張弁14を通過した後の冷媒Rが確実に湿り蒸気状態の冷媒Rとなるように、液ガス熱交換器16を通過する液冷媒Rの流量を調整することで、蒸発器15および液ガス熱交換器16で冷媒Rの気化が効率よく進行する。その結果、圧縮機11において液圧縮を防止しつつ、吐出されるガス冷媒Rの過熱度を高めることができる。
【0037】
なお、ヒートポンプシステム1は、図1に示すように、ヒートポンプ10により加温されて温水となった用水W1の温度を検出する給湯温度センサ42を備えていてもよい。
また、ヒートポンプ10の圧縮機11は、その出力が変更可能に構成されていてもよい。例えば、インバータ制御により、圧縮機11のモータ17の回転数を変更できるように構成されていてもよい。この場合、給湯温度センサ42が検出した検出温度が目標温度となるように、圧縮機11の回転数を制御する構成を採用することができる。この圧縮機11の回転数の調整には、PIDアルゴリズムによるフィードバック制御を用いるのが好適である。
【0038】
また、給湯温度センサ42が検出した検出温度に基づき、用水ラインL1に設けられた図示しない流量調節弁の開度、または図示しない給水ポンプの回転数を制御する構成を採用してもよい。この場合、給湯温度センサ42が検出した検出温度が目標温度となるように、ヒートポンプ10への用水W1の供給流量を調整することができる。この供給流量の調整には、PIDアルゴリズムによるフィードバック制御を用いるのが好適である。
【0039】
以上説明した本実施形態のヒートポンプシステム1によれば、以下のような効果を奏する。
【0040】
(1)本実施形態のヒートポンプシステム1は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁14および蒸発器15が順次環状に接続されて冷媒Rを循環させ、蒸発器15に通される熱源流体としての熱源水W2から熱をくみ上げ、凝縮器12に通される加温対象流体としての用水W1を加温するヒートポンプシステム1であって、凝縮器12から膨張弁14に向かって流れる液冷媒Rと蒸発器15から圧縮機11に向かって流れるガス冷媒Rとを熱交換する液ガス熱交換器16と、液冷媒Rが液ガス熱交換器16を通過することを迂回するための冷媒バイパスラインL20と、冷媒バイパスラインL20を流れる液冷媒Rの流量を調整するバイパス流量調整部としての三方弁21と、膨張弁14に流入する液冷媒Rの温度情報を測定する温度センサ22と、測定された温度情報に基づき、バイパス流量調整部としての三方弁21を制御する制御部100と、を備える。
これにより、蒸発器15に通される熱源水W2の温度が低い場合であっても、膨張弁14を通過した後の冷媒Rが蒸発器15に加えて液ガス熱交換器16を通過するため、圧縮機11に吸入されるガス冷媒Rの温度を高めることができる。よって、圧縮機11から吐出されるガス冷媒Rの温度が上昇(すなわち、過熱度が上昇)するため、凝縮器12での発熱量が増加し、ヒートポンプ10のCOPが高まる。
さらに、膨張弁14に流入する前の液冷媒Rの温度情報に基づいて、液ガス熱交換器16を通過する液冷媒Rの流量を調整することができるため、液冷媒Rが極度に冷却されることがなくなる。よって、膨張弁14を通過した後の冷媒Rが確実に湿り蒸気に相変化することで、蒸発器15および液ガス熱交換器16では、冷媒Rの気化が確実に行われるので、液圧縮による圧縮機11の破損を防止することができる。
【0041】
(2)本実施形態のヒートポンプシステム1は、凝縮器12より上流側の加温対象流体としての用水W1と、凝縮器12から膨張弁14に向かって流れる液冷媒Rとを熱交換する過冷却器13をさらに備え、液ガス熱交換器16は、過冷却器13から膨張弁14に向かって流れる液冷媒Rと、蒸発器15から圧縮機11に向かって流れるガス冷媒Rとを熱交換する。
これにより、用水W1が過冷却器13および凝縮器12を通過するため、過冷却器13では液冷媒Rの顕熱を利用して、また凝縮器12ではガス冷媒Rの顕熱および潜熱を利用して、用水W1を効率的に加温することができる。
【0042】
(3)本実施形態の冷媒バイパスラインL20は、液冷媒Rを、液ガス熱交換器16を通過することなく、凝縮器12から膨張弁14に向かって流すラインであり、温度センサ22は、液ガス熱交換器16から膨張弁14に向かって液冷媒Rを流すラインと冷媒バイパスラインL20との合流部Bの下流側に配置されている。
これにより、バイパス流量調整部としての三方弁21の制御を、膨張弁14に流入する液冷媒Rの温度情報、すなわち過冷却度に基づいて適切に実行することができる。
【0043】
(4)本実施形態の制御部100は、膨張弁14に流入する液冷媒Rの温度が目標温度となるように、バイパス流量調整部としての三方弁21を制御する。
これにより、膨張弁14に流入する液冷媒Rの温度が目標温度となるようにバイパス流量を制御するため、膨張弁14を通過した後の冷媒を確実に湿り蒸気に相変化させることができる。よって、蒸発器15および液ガス熱交換器16では、冷媒Rの気化が確実に行われるので、液圧縮による圧縮機11の破損を防止することができる。
【0044】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について、図4〜5を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。
【0045】
第2実施形態のヒートポンプシステム1は、図4に示すように、冷媒循環ラインL10に、膨張弁14に流入する液冷媒Rの圧力を測定する圧力センサ23を備える。
そして、制御部100は、圧力センサ23が測定した圧力に基づいて前述の目標温度を設定し、この目標温度と温度センサ22が測定した温度情報とに基づき、バイパス流量調整部としての三方弁21を制御する。
【0046】
ここで、このような制御を行う理由について、図5のモリエル線図を用いて説明する。
図5において破線R4で示されるように、膨張弁14に流入する過冷却液状態の液冷媒Rの圧力が高い場合は、膨張弁14での減圧量が十分でないと、冷媒Rが湿り蒸気の状態とならない(c4→d4)。すなわち、冷媒Rを湿り蒸気の状態とするためには、一点鎖線R5で示されるように、膨張弁14での減圧量を大きく取らなくてはならない(c4→d5)。
【0047】
このような状況に対して、膨張弁14に流入する過冷却液状態の液冷媒Rの目標温度を高めの温度に設定する(すなわち、冷媒Rの過冷却度を小さく設定する)ことで、図5のモリエル図において実線R6で示されるように、少ない減圧量であっても、膨張弁を通過した後の冷媒Rを、湿り蒸気状態の冷媒Rとすることができる(c6→d6)。
【0048】
このように、膨張弁14に流入する液冷媒Rの圧力に基づいて目標温度を設定する構成を採用することにより、膨張弁14を通過した後の冷媒Rを、適切に湿り蒸気状態の冷媒Rに相変化させることができる。よって、蒸発器15および液ガス熱交換器16では、冷媒Rの気化が確実に行われるので、液圧縮による圧縮機11の破損を防止することができる。
【0049】
以上説明した本実施形態のヒートポンプシステム1によれば、(1)〜(4)に加えて、以下のような効果が奏される。
【0050】
(5)本実施形態のヒートポンプシステム1における目標温度は、膨張弁14に流入する液冷媒Rの圧力に基づいて設定される。
膨張弁14に流入する過冷却液としての液冷媒Rの圧力が高いほど、膨張弁14での減圧量を大きく取らないと湿り蒸気が生成しない。この場合、過冷却液をより高い目標温度で膨張弁14に流入させることで、少ない減圧量で湿り蒸気を生成させることができる。これにより、膨張弁14を通過した後の冷媒Rを確実に湿り蒸気に相変化させることができる。よって、蒸発器15および液ガス熱交換器16では、冷媒Rの気化が確実に行われるので、液圧縮による圧縮機11の破損を防止することができる。
【0051】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について、図6を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。
【0052】
第3実施形態のヒートポンプシステム1は、図6に示すように、凝縮器12から流出した液冷媒Rが液ガス熱交換器16に流入し、液ガス熱交換器16から流出した液冷媒Rが過冷却器13に流入する。すなわち、本実施形態の液ガス熱交換器16は、凝縮器12から過冷却器13に向かって流れる液冷媒Rと、蒸発器15から圧縮機11に向かって流れるガス冷媒Rとを熱交換する。
【0053】
このような構成であっても、用水W1が過冷却器13および凝縮器12を通過するので、凝縮器12ではガス冷媒Rの顕熱および潜熱を利用して、過冷却器13では液冷媒Rの顕熱を利用して用水W1を効率的に加温することができる。
【0054】
なお、第3実施形態においても、第2実施形態と同様、膨張弁14に流入する液冷媒Rの圧力を計測する圧力センサ23を設け、その検出結果に基づいて、上述の目標温度を設定してもよい。
【0055】
以上説明した本実施形態のヒートポンプシステム1によれば、(1)、(3)〜(5)に加えて、以下のような効果が奏される。
【0056】
(6)本実施形態のヒートポンプシステム1は、凝縮器12より上流側の加温対象流体としての用水W1と、凝縮器12から膨張弁14に向かって流れる液冷媒Rとを熱交換する過冷却器13をさらに備え、液ガス熱交換器16は、凝縮器12から過冷却器13に向かって流れる液冷媒Rと、蒸発器15から圧縮機11に向かって流れるガス冷媒Rとを熱交換する。
これにより、用水W1が過冷却器13および凝縮器12を通過するため、過冷却器13では液冷媒Rの顕熱を利用して、また凝縮器12ではガス冷媒Rの顕熱および潜熱を利用して、加温対象流体を効率的に加温することができる。
【0057】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について、図7を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。
【0058】
第4実施形態のヒートポンプシステム1は、図7に示すように、液冷媒Rが液ガス熱交換器16を通過することを迂回するための液冷媒バイパス手段20に換えて、ガス冷媒Rが液ガス熱交換器16を通過することを迂回するためのガス冷媒バイパス手段30を備えている。ガス冷媒バイパス手段30は、冷媒バイパスラインL30と、冷媒バイパスラインL30を流れるガス冷媒Rの流量を調整するバイパス流量調整部とを備えている。冷媒バイパスラインL30は、分岐部Cで冷媒循環ラインL10から分岐し、合流部Dで冷媒循環ラインL10と合流している。
冷媒バイパス流量調整部は、液ガス熱交換器16に向かう冷媒循環ラインL10を流れるガス冷媒Rの流量と、冷媒バイパスラインL30に流入させるガス冷媒Rの流量とを適切に分配するものであればよく、冷媒バイパスラインL30に設けられていてもよいし、冷媒循環ラインL10に設けられていてもよい。あるいは、その両方や、分岐部に設けられていてもよい。本実施形態においては、分岐部Cに三方弁31が設けられている。
【0059】
そして、制御部100は、温度センサ22が測定した温度情報と、目標温度とに基づき、バイパス流量調整部としての三方弁31を制御する。
【0060】
具体的には、制御部100は、温度センサ22が測定した温度情報に基づき、膨張弁14に流入する液冷媒Rの温度が目標温度となるように三方弁31を制御する。例えば、制御部100は、温度センサ22により測定した温度情報と目標温度とを比較し、目標温度に比べて液冷媒Rの温度が低いときは、バイパス流量を増やす方向となるような開度指定信号を生成し、三方弁31に供給する。一方、目標温度に比べて液冷媒Rの温度が高いときは、バイパス流量を減らす方向となるような開度指定信号を生成し、三方弁31に供給する。制御部100は、PID制御等の各種の制御手法を用いて、このような制御を実行する。
【0061】
また、温度閾値に基づいて、バイパス流量調整部の切り替え制御を行う構成を採用してもよい。例えば、測定した温度情報が第1温度閾値を下回ったとき、100%の流量が冷媒バイパスラインL30に向かうようにバイパス流量調整部を制御する。一方、測定した温度情報が第1温度閾値よりも高温の第2温度閾値を上回ったとき、100%の流量が液ガス熱交換器16に向かうように冷媒バイパス流量調整部を制御する。この制御は、例えばバイパス流量調整部を構成する弁の開閉制御等によって行われる。なお、第1温度閾値と第2温度閾値を同じ温度としてもよいし、第2温度閾値を第1温度閾値よりも高い温度としてもよい。
【0062】
このような構成であっても、膨張弁に流入する前の液冷媒Rの温度情報に基づいて、液ガス熱交換器16を通過するガス冷媒Rの流量を調整することができるため、液冷媒Rが極度に冷却されることがなくなる。よって、膨張弁14を通過した後の冷媒Rが確実に湿り蒸気状態に相変化し、蒸発器15および液ガス熱交換器16では、冷媒Rの気化が確実に行われるので、液圧縮による圧縮機11の破損を防止することができる。
【0063】
なお、第4実施形態においても、第2実施形態と同様、膨張弁14に流入する液冷媒Rの圧力を計測する圧力センサ23を設け、その検出結果に基づいて、上述の目標温度を設定してもよい。
【0064】
以上説明した本実施形態のヒートポンプシステム1によれば、(1)〜(2)、(4)〜(6)に加えて、以下のような効果が奏される。
【0065】
(7)本実施形態の冷媒バイパスラインL30は、ガス冷媒Rを、液ガス熱交換器16を通過することなく、蒸発器15から圧縮機11に向かって流すラインであり、制御部100は、膨張弁14に流入する液冷媒Rの温度が目標温度となるように、バイパス流量調整部としての三方弁31を制御する。
これにより、膨張弁14に流入する液冷媒Rの温度が目標温度となるようにバイパス流量を制御するため、膨張弁14を通過した後の冷媒を確実に湿り蒸気に相変化させることができる。よって、蒸発器15および液ガス熱交換器16では、冷媒Rの気化が確実に行われるので、液圧縮による圧縮機11の破損を防止することができる。
【0066】
なお、各実施形態等において示されるように、ヒートポンプシステム1は、凝縮器12に加えて、過冷却器13を備えることが好ましいが、凝縮器12のみを設けて、凝縮器12によって凝縮および必要な過冷却を行う構成としてもよい。
【0067】
なお、ヒートポンプシステム1により加温する加温対象流体は、用水W1に限らず、その他の液体や、気体であってもよい。すなわち、温水製造システムに限らず、様々な加温対象流体を加温するためのシステムに適用することが可能である。
【0068】
以上、本発明のヒートポンプシステムの好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。また、複数の実施形態を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…ヒートポンプシステム
10…ヒートポンプ
11…圧縮機
12…凝縮器
13…過冷却器
14…膨張弁
15…蒸発器
16…液ガス熱交換器
20…液冷媒バイパス手段
21…三方弁(バイパス流量調整部)
22…温度センサ
23…圧力センサ
30…ガス冷媒バイパス手段
31…三方弁(バイパス流量調整部)
100…制御部
L1…用水ライン
L2…熱源水ライン
L10…冷媒循環ライン
L20…冷媒バイパスライン
L30…冷媒バイパスライン
R…冷媒
…ガス冷媒
…液冷媒
…湿り蒸気状態の冷媒
W1…用水(加温対象流体)
W2…熱源水(熱源流体)
B…合流部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7