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  • 特開2020143827-真空冷却装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-143827(P2020-143827A)
(43)【公開日】2020年9月10日
(54)【発明の名称】真空冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 7/00 20060101AFI20200814BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20200814BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20200814BHJP
【FI】
   F25D7/00 A
   F25D23/00 301Z
   F25D23/00 307
   A23L3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-40077(P2019-40077)
(22)【出願日】2019年3月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】蔵野 雅夫
【テーマコード(参考)】
3L044
3L345
4B022
【Fターム(参考)】
3L044AA01
3L044BA04
3L044BA05
3L044CA11
3L044DD04
3L044FA08
3L044HA01
3L044HA05
3L044HA06
3L044JA00
3L044JA01
3L044KA04
3L345AA02
3L345AA16
3L345AA26
3L345AA27
3L345BB02
3L345BB07
3L345CC10
3L345EE03
3L345EE04
3L345EE33
3L345EE35
3L345GG02
3L345GG05
3L345HH02
3L345HH04
3L345HH12
3L345HH13
3L345HH25
3L345HH42
3L345KK04
4B022LF02
4B022LP03
4B022LT06
(57)【要約】
【課題】真空冷却装置において、品温センサの差し忘れによる冷却不良を防止する。また、冷却運転中、品温センサが抜けているか、または冷却されにくい食品かを判定する。
【解決手段】食品Fが収容される処理槽2と、この処理槽2内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段3と、減圧された処理槽2内へ外気を導入する復圧手段4と、処理槽2内の圧力を検出する圧力センサ10と、処理槽2内に収容された食品Fに差し込まれて温度を検出する品温センサ11と、各手段3,4を制御する制御手段とを備える。処理槽2内の減圧の開始前、品温センサ11の検出温度に基づき、品温センサ11が食品Fから抜けているかを判定する。処理槽2内の食品Fの冷却運転中、圧力センサ10の検出圧力と品温センサ11の検出温度とに基づき、品温センサ11が食品Fから抜けているか、または真空冷却されにくい食品Fであるかを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品が収容される処理槽と、この処理槽内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段と、減圧された前記処理槽内へ外気を導入する復圧手段と、前記処理槽内の圧力を検出する圧力センサと、前記処理槽内に収容された食品に差し込まれて温度を検出する品温センサと、前記各手段を制御する制御手段とを備え、下記(a)または(b)の一方または双方を実行可能とされた
ことを特徴とする真空冷却装置。
(a)前記処理槽内の減圧の開始前、前記品温センサの検出温度に基づき、前記品温センサが食品から抜けているかを判定する。
(b)前記処理槽内の食品の冷却運転中、前記圧力センサの検出圧力と前記品温センサの検出温度とに基づき、前記品温センサが食品から抜けているか、または真空冷却されにくい食品であるかを判定する。
【請求項2】
前記処理槽の扉の閉鎖後で前記処理槽内の減圧の開始前、前記品温センサの検出温度が設定初期品温以下であれば、前記品温センサが食品から抜けていると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の真空冷却装置。
【請求項3】
前記処理槽内の減圧の開始前、前記品温センサが食品から抜けていると判定した場合、操作パネルに報知すると共に、操作パネルから所定操作が行われたことを条件に、前記処理槽内の減圧を開始する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空冷却装置。
【請求項4】
前記処理槽内の食品の冷却運転中、前記圧力センサの検出圧力の低下速度が第一設定値以下になった後、前記品温センサの検出温度の低下速度が第二設定値以下になると、前記品温センサが食品から抜けているか、または真空冷却されにくい食品であると判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空冷却装置。
【請求項5】
前記処理槽内の食品の冷却運転中、前記品温センサが食品から抜けているか、または真空冷却されにくい食品であると判定した場合、操作パネルに報知すると共に、冷却運転を終了可能とされた
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の真空冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理槽内を減圧して食品を冷却する真空冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、蒸気エゼクタ(12)、熱交換器(15)および真空ポンプ(16)を備えた真空冷却装置が知られている。この真空冷却装置では、食品に品温センサ(8)を差し込んで、品温センサの検出温度を監視しながら、食品を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−355020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、品温センサを食品に差し忘れて冷却運転を実施した場合、品温を監視できないので、冷却不良(通常は過冷却)の原因となる。この点について、具体的に説明すると、次のとおりである。
【0005】
まず前提として、次の事情がある。すなわち、品温センサを用いた冷却運転では、冷却終了条件として、品温が冷却目標温度以下になるか、冷却時間が冷却最大時間を超えるかを設定していても、通常、冷却最大時間の経過までに品温が冷却目標温度以下になるので、それをもって冷却運転は終了される。つまり、冷却最大時間は、品温が冷却目標温度まで下がらない場合のバックアップとして設定される。
【0006】
ところが、品温センサを食品に差し忘れて冷却運転を実施した場合、品温センサの検出温度が下がらず、冷却最大時間の経過が実質的な終了条件となる。つまり、実際には品温が冷却目標温度以下まで下がっているのに、それを検出できないことで冷却最大時間の経過を待つことになる。そのため、食品は過冷却され、時間とエネルギ(たとえば真空ポンプの水や電力)を無駄に消費するおそれがある。冷却運転中に食品から品温センサが抜けた場合も同様である。
【0007】
また、冷却最大時間まで時間とエネルギを無駄に消費するもう一つのケースとして、真空冷却されにくい食品(冷却不適食品)を真空冷却する場合がある。すなわち、まず前提として、真空冷却装置により食品を真空冷却する場合、処理槽内の圧力を低下させるに従って、品温は、槽内圧力換算温度(処理槽内圧力における飽和温度)に追従する形で下がっていくことになる。ところが、冷却不適食品の場合には、最高到達圧(減圧し得る限界圧力)に到達しそれ以上品温が下がらない状況に至っても、品温が冷却目標温度以下にならないため、冷却最大時間の経過まで冷却運転を行うことになる。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、品温センサが抜けているか、または冷却されにくい食品の場合でも、無駄な運転継続を抑制して、時間とエネルギの無駄を防止できる真空冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、食品が収容される処理槽と、この処理槽内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段と、減圧された前記処理槽内へ外気を導入する復圧手段と、前記処理槽内の圧力を検出する圧力センサと、前記処理槽内に収容された食品に差し込まれて温度を検出する品温センサと、前記各手段を制御する制御手段とを備え、下記(a)または(b)の一方または双方を実行可能とされたことを特徴とする真空冷却装置である。
【0010】
(a)前記処理槽内の減圧の開始前、前記品温センサの検出温度に基づき、前記品温センサが食品から抜けているかを判定する。
(b)前記処理槽内の食品の冷却運転中、前記圧力センサの検出圧力と前記品温センサの検出温度とに基づき、前記品温センサが食品から抜けているか、または真空冷却されにくい食品であるかを判定する。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、前記(a)の場合、処理槽内の減圧の開始前、品温センサの検出温度に基づき、品温センサが食品から抜けているかを判定することができる。品温センサが食品から抜けていると、実際の品温を監視した冷却ができず、冷却不良(より具体的には運転継続による過冷却)を生じるおそれがあるが、事前に品温センサの抜けを確認することで、冷却不良を防止することができる。また、無駄な運転継続を抑制して、時間とエネルギの無駄を防止することができる。しかも、品温センサの食品からの抜けの確認は、処理槽内の減圧の開始前になされる。仮に、処理槽内の減圧の開始後に確認したのでは、品温センサが抜けている場合には、処理槽内の減圧の解除が必要となるが、減圧の開始前に判定することで、万一の差し忘れの場合にも、処理槽内の減圧解除を必要とせず容易に対応することができる。
【0012】
一方、前記(b)の場合、処理槽内の食品の冷却運転中、圧力センサの検出圧力と品温センサの検出温度とに基づき、品温センサが食品から抜けているか、または真空冷却されにくい食品であるかを判定することができる。品温センサが食品から抜けているか、または冷却されにくい食品であると、最高到達圧の近傍に到達してそれ以上品温が下がらない状況に至っても、無駄に運転を続けるおそれがあるが、品温センサが抜けているか、または冷却不適食品であるかの判定を行うことで、無駄な運転継続を防止することができる。それにより、時間とエネルギの無駄を防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記処理槽の扉の閉鎖後で前記処理槽内の減圧の開始前、前記品温センサの検出温度が設定初期品温以下であれば、前記品温センサが食品から抜けていると判定することを特徴とする請求項1に記載の真空冷却装置である。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、品温センサの検出温度が設定初期品温以下であるか否かにより、品温センサが食品から抜けているか否かを、容易に判定することができる。しかも、処理槽の扉の閉鎖後で処理槽内の減圧の開始前に、品温センサの食品からの抜けを確認することができる。処理槽内に食品を収容して扉を閉めた後は、作業者の作業によるセンサ抜けは生じないので、この段階で品温センサの抜けを容易に確実に判定することができる。また、処理槽内の減圧の開始前に判定することで、品温センサの万一の差し忘れの場合にも、処理槽内の減圧解除を必要とせず容易に対応することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記処理槽内の減圧の開始前、前記品温センサが食品から抜けていると判定した場合、操作パネルに報知すると共に、操作パネルから所定操作が行われたことを条件に、前記処理槽内の減圧を開始することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空冷却装置である。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、処理槽内の減圧の開始前、品温センサが食品から抜けていると判定した場合、操作パネルに報知することで、品温センサの確認を促すことができる。また、操作パネルから所定操作が行われたことを条件に、処理槽内の減圧を開始することができるので、たとえば、初期品温(処理槽内への収容時の品温)が低いことが予め分かっていれば、品温センサを差し直すことなく、操作パネルからの所定操作により、処理槽内の減圧を開始することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記処理槽内の食品の冷却運転中、前記圧力センサの検出圧力の低下速度が第一設定値以下になった後、前記品温センサの検出温度の低下速度が第二設定値以下になると、前記品温センサが食品から抜けているか、または真空冷却されにくい食品であると判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空冷却装置である。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、処理槽内の食品の冷却運転中、圧力センサの検出圧力の低下速度が第一設定値以下になった後、品温センサの検出温度の低下速度が第二設定値以下になることで、品温センサが食品から抜けているか、または真空冷却されにくい食品であるかを判定することができる。つまり、最高到達圧の近傍に達したことを確認後、品温センサの検出温度の低下具合から、品温センサが食品から抜けているか、または真空冷却されにくい食品であるかを判定することができる。これにより、最高到達圧の近傍に到達したことで、それ以上品温が下がらない状況に至っても、無駄に運転を続けるおそれがなく、時間とエネルギの無駄を防止することができる。
【0019】
さらに、請求項5に記載の発明は、前記処理槽内の食品の冷却運転中、前記品温センサが食品から抜けているか、または真空冷却されにくい食品であると判定した場合、操作パネルに報知すると共に、冷却運転を終了可能とされたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の真空冷却装置である。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、処理槽内の食品の冷却運転中、品温センサが食品から抜けているか、または真空冷却されにくい食品であると判定した場合、操作パネルに報知することで、その旨作業者に知らせることができる。また、冷却運転を終了すれば、冷却運転の継続による時間とエネルギの無駄を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の真空冷却装置によれば、品温センサが抜けているか、または冷却されにくい食品の場合でも、無駄な運転継続を抑制して、時間とエネルギの無駄を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例の真空冷却装置を示す概略図であり、一部を断面にして示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の真空冷却装置1を示す概略図であり、一部を断面にして示している。
【0024】
本実施例の真空冷却装置1は、食品Fが収容される処理槽2と、この処理槽2内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段3と、減圧された処理槽2内へ外気を導入する復圧手段4と、これら各手段を制御して処理槽2内の食品Fを冷却する制御手段(図示省略)とを備える。
【0025】
処理槽2は、内部空間の減圧に耐える中空容器であり、扉(図示省略)で開閉可能とされる。処理槽2は、典型的には略矩形の箱状に形成され、前面の開口部が扉で開閉可能とされる。扉を開けることで、処理槽2に食品Fを出し入れすることができ、扉を閉じることで、処理槽2の開口部を気密に閉じることができる。扉は、手動で開閉されてもよいし、自動で開閉されてもよい。扉は、処理槽2の正面および背面の双方に設けられてもよい。なお、図示例では、食品Fは、ホテルパンや番重のような食品容器に入れられて、処理槽2内に収容されている。
【0026】
減圧手段3は、処理槽2内の気体を外部へ吸引排出して、処理槽2内を減圧する手段である。本実施例では、減圧手段3は、処理槽2内からの排気路5に、真空発生装置6を備える。真空発生装置6は、その具体的構成を特に問わないが、典型的には、蒸気凝縮用の熱交換器(排気路5内の流体と冷却水との熱交換器)と、その下流に配置される水封式の真空ポンプとを備える。熱交換器の上流に、さらに蒸気エゼクタを備えてもよい。真空ポンプの発停、真空ポンプへの給水の有無、熱交換器の通水の有無、真空ポンプおよび熱交換器への給水として常温水と冷水との切替え、蒸気エゼクタへの給蒸の有無などを制御して、真空発生装置6による減圧の有無や能力を制御可能である。
【0027】
復圧手段4は、減圧された処理槽2内へ外気を導入して、処理槽2内を復圧する手段である。本実施例では、復圧手段4は、処理槽2内への給気路7に、エアフィルタ8および給気弁9を順に備える。処理槽2内が減圧された状態で、給気弁9を開けると、外気がエアフィルタ8を介して処理槽2内へ導入され、処理槽2内を復圧することができる。給気弁9は、好ましくは開度調整可能な弁から構成される。
【0028】
真空冷却装置1は、さらに、処理槽2内の圧力を検出する圧力センサ10と、処理槽2内に収容された食品Fの温度(品温)を検出する品温センサ11とを備える。品温センサ11は、処理槽2内に収容された食品Fに差し込まれて温度を検出する。典型的には、品温センサ11は、棒状のプローブの先端部に測温部(センサ本体)を備えて構成され、先端部を食品F内に差し込まれて用いられる。
【0029】
真空冷却装置1は、さらに、操作パネル(図示省略)を備える。操作パネルは、図示しないが、たとえば、タッチパネルと各種の操作ボタンの他、所望によりランプやブザーなどを備える。操作パネルは、設定器として機能すると共に、報知器としても機能する。
【0030】
制御手段は、前記各センサ10,11の検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段3,4を制御する制御器(図示省略)である。具体的には、真空発生装置6および給気弁9の他、圧力センサ10および品温センサ11などは、制御器に接続されている。そして、制御器は、後述するように、所定の手順(プログラム)に従い、処理槽2内の食品Fの真空冷却を図る。
【0031】
制御器は、操作パネルにも接続されており、操作パネルから各種設定がなされたり、操作パネルに各種情報を出力したりできる。たとえば、操作パネルを用いて、運転条件を設定したり、運転の開始や停止を指示したりすることができる。また、制御パネルに、運転状況を出力したり、各種情報を報知したりすることができる。
【0032】
さらに、詳細は後述するが、制御器は、設定タイミングにおいて、品温センサ11が食品Fから抜けているか、または真空冷却されにくい食品(冷却不適食品)であるかを判定可能とされる。つまり、品温センサ11の抜けや冷却不適食品の判定手段として機能する。
【0033】
なお、制御器は、さらに情報記憶部(図示省略)にも接続されており、この情報記憶部には、タッチパネルの表示画面のデータや、真空冷却装置1の動作用プログラムなどが保存されている。また、情報記憶部には、操作パネルにより設定される運転条件の他、後述する判定処理の判定条件なども保存される。判定条件も、操作パネルにより変更可能とされてもよい。
【0034】
以下、本実施例の真空冷却装置1の運転方法の具体例について説明する。まずは食品Fの冷却運転について説明し、その後、品温センサ11の抜けや冷却不適食品の判定処理について説明する。
【0035】
冷却運転の開始前、給気弁9は開けられた状態にあり、真空発生装置6は停止している。その状態で、処理槽2の扉を開けて、処理槽2内に食品Fを収容する。処理槽2内に収容された食品Fには、品温センサ11を差し込んで、品温を検出可能とする。その後、処理槽2の扉を閉めることで、処理槽2の開口部は気密に閉じられる。その状態で、操作パネルのスタートボタンを押すなど、運転開始を指示すると、制御器は、冷却運転を開始する。
【0036】
制御器は、冷却運転を開始すると、給気弁9を閉じる一方、真空発生装置6を作動させて処理槽2内を減圧する。冷却運転では、品温センサ11の検出温度を監視しながら、品温が冷却目標温度以下になるまで、処理槽2内を減圧する。この際、所望により、真空発生装置6の排気能力を途中で変更したり、給気弁9の開度を調整したりしてもよい。
【0037】
処理槽2内を減圧することで、食品Fは、水分蒸発を伴いながら冷却される。品温センサ11の検出温度が冷却目標温度(たとえば20℃)以下になると、真空発生装置6を停止して減圧を停止する。但し、冷却最大時間内に品温が冷却目標温度まで下がらない場合には、減圧開始から冷却最大時間(たとえば40分)経過すると、品温に関わらず、真空発生装置6を停止する。冷却目標温度や冷却最大時間は、運転開始前、操作パネルから設定可能(変更可能)とされるのがよい。
【0038】
その後、給気弁9を開けて処理槽2内を大気圧まで復圧する。この際、給気弁9を徐々に開けることで、処理槽2内を徐々に復圧することができる。処理槽2内が大気圧まで復圧されたら、処理槽2の扉を開けて、処理槽2内から食品Fを取り出すことができる。
【0039】
次に、品温センサ11の抜けや冷却不適食品の判定処理について説明する。本実施例の真空冷却装置1は、下記の第一判定処理と第二判定処理との内、一方または双方を実行可能とされる。
【0040】
≪第一判定処理≫
第一判定処理として、制御器は、処理槽2内の減圧の開始前、品温センサ11の検出温度に基づき、品温センサ11が食品Fから抜けているかを判定する。好ましくは、処理槽2の扉の閉鎖後で処理槽2内の減圧の開始前、品温センサ11の検出温度が設定初期品温以下であるか否かにより、品温センサ11が食品Fから抜けているか否かを判定する。
【0041】
具体例を示すと次のとおりである。すなわち、真空冷却装置1にて冷却を図ろうとする食品Fの温度(処理槽2内への収容時の品温)として、たとえば70〜80℃が想定される場合において、その想定初期品温よりも低い温度として、前記設定初期品温が設定(たとえば50℃に設定)される。制御器は、品温センサ11の検出温度が設定初期品温以下であれば、品温センサ11が食品Fから抜けていると判定し、品温センサ11の検出温度が設定初期品温を超えていれば、品温センサ11が食品Fに差し込まれていると判定する。
【0042】
この判定の実行は、処理槽2内の減圧開始前であれば特に問わないが、好ましくは、処理槽2の扉が閉じられた際、または、冷却運転の開始が指示された際(スタートボタンが押された際)とすることができる。
【0043】
なお、処理槽2の扉を閉じる際、処理槽2の開口部と対応した位置に扉を配置した後、扉を処理槽2に締め付けて(言い換えれば押し付けて)、処理槽2の開口部がパッキンを介して扉で気密に閉鎖される。この場合において、前記判定の実行タイミングとしての「処理槽2の扉が閉じられた際」とは、処理槽2の開口部と対応した位置に扉を配置した際でもよいし、その後さらに扉を処理槽2に締め付け終えた際でもよい。
【0044】
判定の結果、品温センサ11が食品Fから抜けていると判定した場合、操作パネルに報知すると共に、操作パネルから所定操作が行われたことを条件に、処理槽2内の減圧を可能にするがのよい。たとえば、処理槽2の扉を閉めた際に、品温センサ11の抜けを判定した場合、操作パネルから所定操作が行われたことを条件に、冷却運転の開始を受け付ける。あるいは、冷却運転の開始を指示した際(あるいはその後で且つ減圧開始前)、品温センサ11の抜けを判定した場合、操作パネルから所定操作が行われたことを条件に、処理槽2内の減圧を開始する。
【0045】
典型的には、次のように構成することができる。すなわち、処理槽2の扉が閉じられたことをリミットスイッチなどで検知し、それに基づき判定処理を開始することができる。そして、品温センサ11の検出温度が設定初期品温以下であれば、品温センサ11が食品Fから抜けていると判定し、その旨、報知する。たとえば、操作パネルのタッチパネルに、「品温センサが抜けていませんか」のお知らせを出すと共に、「はい」「いいえ」のボタンを表示して、選択可能とする。あるいは、これに代えてまたは加えて、ブザーやランプなどでお知らせしてもよい。この状態では、操作パネルからの運転開始の指示は受け付けられない。つまり、スタートボタンを押しても、運転は開始されず、操作パネルには、上述した品温センサ11の状況確認画面が表示されたままとなる。
【0046】
これに対し、作業者は、所望により、一旦処理槽2の扉を開けて、品温センサ11の状況を確認する。そして、品温センサ11が食品Fから抜けていれば、食品Fに差し込めばよいし、場合により品温センサ11を差し直せばよい。品温センサ11の差込みにより、品温センサ11の検出温度が設定初期品温を超えれば、タッチパネルの前記表示(「品温センサが抜けていませんか」とその回答欄の表示)は消え、扉の閉鎖後、冷却運転の開始を指示可能とされる。その後、スタートボタンを押すなどして、運転開始を指示すれば、冷却運転を実行する。
【0047】
一方、タッチパネルに「品温センサが抜けていませんか」のお知らせが出ても、そのまま(つまり扉を開けることなく)冷却運転を開始したい場合には、「いいえ」ボタンを押せば、冷却運転の開始を指示可能とされる。たとえば、処理槽2内に収容した食品Fの品温が、通常よりも低い(つまり前記想定初期品温よりも低い)ことが予め分かっている場合などには、「いいえ」ボタンを押せばよい。その後、スタートボタンを押すなどして、運転開始を指示すれば、冷却運転を実行する。
【0048】
処理槽2の扉を閉めた際に品温センサ11の抜けを判定する以外に、前述したとおり、冷却運転の開始を指示した際(またはその後の減圧開始前)に品温センサ11の抜けを判定してもよい。たとえば、処理槽2内に食品Fを収容して扉を閉めた後、スタートボタンを押すなどして運転開始を指示すると、制御器は、品温センサ11の抜けの判定を行い、前述した場合と同様、「品温センサが抜けていませんか」のお知らせなどを出せばよい。その後の処理は、前述した場合と同様である。
【0049】
第一判定処理によれば、処理槽2内の減圧の開始前、品温センサ11の検出温度に基づき、品温センサ11が食品Fから抜けているか否かを、容易に判定することができる。品温センサ11が食品Fから抜けていると、実際の品温を監視した冷却ができず(言い換えれば品温が冷却目標温度以下になっても運転停止ができず)、冷却最大時間の経過まで無駄に運転を続けるおそれがあるが、事前に品温センサ11の抜けを確認することで、無駄な運転継続を防止することができる。それにより、食品Fの過冷却を防止したり、時間とエネルギの無駄を防止したりすることができる。
【0050】
しかも、処理槽2内の減圧の開始前に、品温センサ11の食品Fからの抜けを確認することができる。仮に、処理槽2内の減圧の開始後に確認したのでは、品温センサ11が抜けている場合には、処理槽2内の減圧の解除が必要となるが、減圧の開始前に判定することで、万一の差し忘れの場合にも、処理槽2内の減圧解除を必要とせず容易に対応することができる。また、処理槽2内に食品Fを収容して扉を閉めた後は、作業者の作業によるセンサ抜けは生じないので、この段階で品温センサ11の抜けを容易に確実に判定することができる。しかも、扉が閉じられたことの検知により自動的に判定を開始することもでき、冷却運転の開始前に容易に確実に品温センサ11の抜けの確認が可能となる。
【0051】
さらに、品温センサ11が抜けていると判定した場合でも、操作パネルから所定操作が行われたことを条件に、処理槽2内の減圧を開始することができるので、たとえば、再冷却食品など、初期品温(処理槽2内への収容時の品温)が低いことが予め分かっていれば、品温センサ11を差し直すことなく、操作パネルからの所定操作により、処理槽2内の減圧を開始することができる。
【0052】
≪第二判定処理≫
第二判定処理として、制御器は、処理槽2内の食品Fの冷却運転中、圧力センサ10の検出圧力と品温センサ11の検出温度とに基づき、品温センサ11が食品Fから抜けているか、または真空冷却されにくい食品Fであるかを判定する。
【0053】
具体例を示すと次のとおりである。すなわち、処理槽2内の減圧中、処理槽2内の圧力が最高到達圧(真空発生装置6で減圧し得る限界圧力)の近傍に達してからの、品温の低下具合から、品温センサ11が食品Fから抜けているか、または冷却不適食品であるかを判定することができる。
【0054】
たとえば、処理槽2内を減圧中、圧力センサ10の検出圧力の低下速度が第一設定値以下になった後、品温センサ11の検出温度の低下速度が第二設定値以下になると、品温センサ11が食品Fから抜けているか、または冷却不適食品であると判定する。より具体的には、処理槽2内の減圧開始後、制御器は、圧力センサ10の検出圧力に基づき第一設定時間(たとえば1分間)ごとの圧力降下量を求め、第一設定時間での圧力降下量が第一設定値(たとえば1.0hPa)以下になると、最高到達圧と判断する。その後、品温センサ11の検出温度に基づき第二設定時間(たとえば1分間)ごとの品温降下量の判定を開始し、第二設定時間での品温降下量が第二設定値(たとえば0.1℃)以下になると、品温センサ11が食品Fから抜けているか、または冷却不適食品であると判定する。
【0055】
品温センサ11が食品Fから抜けているかまたは冷却不適食品であると判定した場合、その旨操作パネルに報知すると共に、冷却運転を終了してもよい。たとえば、操作パネルのタッチパネルに、「品温センサが抜けているか、または冷却されにくい食品です」とのお知らせを出したり、ブザーやランプなどでお知らせしたりして、冷却運転を終了すればよい。但し、場合により、本来の冷却終了条件を満たすまで(冷却最大時間を経過するまで)、冷却運転を継続してもよい。品温センサ11が食品Fから抜けているかまたは冷却不適食品であると判定した場合、タッチパネルに「冷却運転を終了しますか」のお知らせを出すと共に、「はい」「いいえ」のボタンを表示して、その選択結果に基づき、運転の終了の有無を切り替えるようにしてもよい。
【0056】
第二判定処理によれば、処理槽2内の食品Fの冷却運転中、圧力センサ10の検出圧力と品温センサ11の検出温度とに基づき、品温センサ11が食品Fから抜けているか、または冷却不適食品であるかを判定することができる。品温センサ11が食品Fから抜けているか、または冷却不適食品であると、最高到達圧の近傍に到達してそれ以上品温が下がらない状況に至っても、冷却最大時間の経過まで無駄に運転を続けるおそれがあるが、品温センサ11の抜けまたは冷却不適食品かを確認して冷却を終了可能とすることで、無駄な運転継続を防止することができる。それにより、時間とエネルギの無駄を防止することができる。
【0057】
本発明の真空冷却装置1は、前記実施例の構成(制御を含む)に限らず適宜変更可能である。特に、食品Fが収容される処理槽2と、この処理槽2内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段3と、減圧された処理槽2内へ外気を導入する復圧手段4と、処理槽2内の圧力を検出する圧力センサ10と、処理槽2内に収容された食品Fに差し込まれて温度を検出する品温センサ11と、前記各手段3,4を制御する制御手段とを備え、下記(a)または(b)の一方または双方を実行可能とされるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0058】
(a)第一判定処理として、処理槽2内の減圧の開始前、品温センサ11の検出温度に基づき、品温センサ11が食品Fから抜けているかを判定する。
【0059】
(b)第二判定処理として、処理槽2内の食品Fの冷却運転中、圧力センサ10の検出圧力と品温センサ11の検出温度とに基づき、品温センサ11が食品Fから抜けているか、または真空冷却されにくい食品Fであるかを判定する。
【0060】
たとえば、第二判定処理として、処理槽2内の食品Fの冷却運転中、圧力センサ10の検出圧力と、品温センサ11の検出温度の低下速度とに基づき、品温センサ11が食品Fから抜けているか、または真空冷却されにくい食品Fであるかを判定してもよい。具体的には、処理槽2内の圧力が設定圧力に到達した後、品温低下速度が設定値以下になると、品温センサ11が食品Fから抜けているか、または冷却されにくい食品Fであると判定してもよい。
【0061】
さらに、前記実施例では、真空冷却装置1は、冷却専用機として説明したが、真空冷却機能を有するのであれば、適宜に変更可能である。たとえば、蒸気による加熱手段を備えることで、蒸煮冷却装置や飽和蒸気調理装置のように構成されてもよい。あるいは、冷凍機やファンを用いた冷風冷却手段を備えることで、冷風真空複合冷却装置のように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 真空冷却装置
2 処理槽
3 減圧手段
4 復圧手段
5 排気路
6 真空発生装置
7 給気路
8 エアフィルタ
9 給気弁
10 圧力センサ
11 品温センサ
F 食品
図1