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特開2020-143884ローラ搬送式焼成炉のシャッター装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-143884(P2020-143884A)
(43)【公開日】2020年9月10日
(54)【発明の名称】ローラ搬送式焼成炉のシャッター装置
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/30 20060101AFI20200814BHJP
   F27D 1/18 20060101ALI20200814BHJP
【FI】
   F27B9/30
   F27D1/18 J
   F27D1/18 N
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2019-42960(P2019-42960)
(22)【出願日】2019年3月8日
(11)【特許番号】特許第6667700号(P6667700)
(45)【特許公報発行日】2020年3月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(71)【出願人】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂仁
(72)【発明者】
【氏名】末吉 要介
(72)【発明者】
【氏名】林 守
(72)【発明者】
【氏名】石川 寛明
(72)【発明者】
【氏名】城井 一幸
【テーマコード(参考)】
4K050
4K051
【Fターム(参考)】
4K050AA02
4K050AA04
4K050CA10
4K050CA13
4K050CB03
4K050CB07
4K050CG04
4K051AA03
4K051AA04
4K051AB07
4K051MB03
4K051MB05
4K051MB13
(57)【要約】
【課題】上下シャッター部材の変形による脱落を抑制することができるローラ搬送式焼成炉のシャッター装置を提供する。
【解決手段】搬送ローラの間を通して上下シャッター部材48の下端部から下方へ突き出す一対の支持棒50により支持され、支持棒50を介して炉体16内の空間を開閉させられる上下シャッター部材48を、備え、上下シャッター部材48は、一対の支持棒50の端部を挟んだ状態で貼り合わせられた一対の前側断熱板82および後側断熱板84と、一対の前側断熱板82および後側断熱板84の一対の支持棒50側とは反対側の上側端面82a,84aにそれぞれ貼り付けられた上端側断熱板86とを、含む。上端側断熱板86によっての一対の前側断熱板82および後側断熱板84が相互にはがれることが好適に抑制され、上下シャッター部材48が支持棒50から脱落するという問題が解消される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル状の炉体を有し、前記炉体を幅方向に貫通する複数本の搬送ローラにより搬送される被加熱材に熱処理を施すローラ搬送式焼成炉において前記炉体内の空間を前記空間の長手方向に複数の加熱領域に分割する、ローラ搬送式焼成炉のシャッター装置であって、
前記搬送ローラの間を通して上方へ突き出す一対の支持棒により支持され、前記支持棒を介して前記炉体内の空間を開閉させられる上下シャッター部材を、備え、
前記上下シャッター部材は、前記一対の支持棒の端部を挟んだ状態で貼り合わせられた一対の前側断熱板および後側断熱板と、前記一対の前側断熱板および後側断熱板の上側端面にそれぞれ貼り付けられた上端側断熱板とを、含む
ことを特徴とするローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項2】
前記前側断熱板および後側断熱板と上端側断熱板とは、セラミックファイバーで構成された断熱板材であり、且つセラミックボンドによって相互に接着されている
ことを特徴とする請求項1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項3】
セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第1円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板に厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着され、
前記第1円柱状断熱補強ピンと同様にセラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第2円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板と前記上端側断熱板とに、前記上端側断熱板の厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着されている
ことを特徴とする請求項2に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項4】
前記一対の支持棒の端部には、セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された円筒状断熱ブッシュが固定されており、
前記一対の前側断熱板および後側断熱板の合わせ面には、前記一対の支持棒を嵌め入れる小径凹溝と、前記一対の支持棒の端部に固定された前記円筒状断熱ブッシュを嵌め入れる大径凹溝とが、連続して形成されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項5】
前記円筒状断熱ブッシュが固定された前記一対の支持棒の端部には、金属ピンが前記金属ピンの両端部を前記円筒状断熱ブッシュから突き出した状態で貫通させられている
ことを特徴とする請求項4に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項6】
前記支持棒は、セラミック材料から円管状に構成されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項7】
前記炉体に固定され、前記上下シャッター部材を収容して上下方向に案内するシャッターケースを、含み、
前記シャッターケースは、上下方向に積層された断熱板材の積層体により構成されている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項8】
前記シャッターケースを構成する前記断熱板材の積層体は、セラミックファイバーで構成され且つセラミックボンドによって相互に接着された枠状断熱板材から構成されている
ことを特徴とする請求項7のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項9】
前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みを有する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項10】
前記シャッターケースは、前記被加熱材を通過させる貫通穴がそれぞれ形成された前壁および後壁と、前記前壁および後壁の幅方向の両端部をそれぞれ接続する一対の側壁とを有し、前記前壁および後壁と前記一対の側壁との間に形成された収容空間内に前記上下シャッター部材を上下方向の移動可能に収容する
ことを特徴とする請求項7または8に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項11】
前記シャッターケースの前記前壁および後壁の内壁面には、案内レールが上下方向にそれぞれ延設され、
前記上下シャッター部材の前面および後面には、前記案内レールが嵌め入れられる凹状案内溝が形成され、
前記上下シャッター部材は、前記上下シャッター部材の前面および後面が前記案内レールの前記内壁面からの突出し寸法よりも小さな間隔を前記内壁面との間に隔てた状態で、前記案内レールにより上下方向に案内される
ことを特徴とする請求項10に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項12】
前記シャッターケースは、前記複数本の搬送ローラのうちの隣り合う2本の搬送ローラを間に挟んで位置する一対の前記搬送ローラの間隔よりも大きい寸法の厚み寸法を有し、
前記シャッターケースには、前記2本の搬送ローラを幅方向に貫通させる貫通穴と、前記一対の搬送ローラとの干渉を回避するため一対の凹溝とが形成されている
ことを特徴とする請求項7、8、10、および11のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項13】
前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記搬送ローラとの干渉を回避するために下端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝とを有し、閉位置に下降させられた状態では、前記下端開閉面が前記搬送ローラの間に位置するものである
ことを特徴とする請求項12に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項14】
前記シャッターケースは、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記搬送ローラとの干渉を回避するために上端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝と、前記搬送ローラの間に位置させられ、前記上下シャッター部材が前記閉位置に下降させられた状態では、前記上下シャッター部材の下端開閉面が接近させられる前記上端開閉面とを有し、前記炉体に固定された固定シャッター部材を、位置固定に収容する
ことを特徴とする請求項13に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項15】
前記搬送ローラの間を通して、前記上下シャッター部材の下端部から下方へ突き出す一対の支持棒と、前記炉体の下側に配置され、前記一対の支持棒を介して前記上下シャッター部材を上下方向に駆動して開位置と閉位置とに位置させるシャッター駆動装置とを、含む
ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項16】
前記炉体は、基台フレームによって支持されており、
前記基台フレームは、下側フレームと、前記下側フレームから上方へ突き出す支柱フレームと、前記支柱フレームにより支持され、前記炉体が載置される上側フレームとを有し、
前記シャッター駆動装置は、前記上側フレームに設けられている
ことを特徴とする請求項15に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項17】
前記シャッター駆動装置は、
前記一対の支持棒の下端部が固定された上下プレートと、
前記上側フレームに固定され、前記上下プレートを上下方向に案内する上下方向案内装置と、
前記上側フレームに固定され、前記上下プレートを上下方向に駆動する減速機付電動機とを、含む
ことを特徴とする請求項16に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理材を一方向に順次搬送しつつ加熱処理するローラ搬送式焼成炉内を、複数の加熱領域に分割する、ローラ搬送式焼成炉のシャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炉体を幅方向に貫通して設けられた水平な複数本の搬送ローラによって被加熱材を順次搬送する形式のローラ搬送式焼成炉が知られている。たとえば、このような特許文献1に記載された熱処理炉がそれである。このようなローラ搬送式焼成炉は、たとえばローラハースキルン(RHK)と称されている。
【0003】
ところで、上記のような焼成炉では、たとえば脱脂室、予熱室、焼成室、徐冷室、冷却室などの複数の加熱領域に分割するシャッター部材装置が設けられ、所定の雰囲気に維持されつつ所定のヒートプロファイルにて被加熱材に加熱処理が施される。このようなローラ搬送式焼成炉は、たとえばガス浸炭処理などに用いられる。
【0004】
この特許文献1に記載のローラ搬送式焼成炉では、炉体の上に配置されたシリンダ機構を含む開閉扉昇降器により支持シャフトを介して開閉扉すなわち上下シャッター部材がシャッターケース内を上下方向に駆動されることにより、上下シャッター部材がシャッターケースに貫通して形成された貫通穴を開閉するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−209060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のローラ搬送式焼成炉によれば、上下シャッター部材は、上下シャッター部材から下方に突き出した支持棒の上端部を挟むように、一対の前側断熱板および後側断熱板が貼り合わせられることにより構成される。このような前側断熱板および後側断熱板は、たとえば、セラミックファイバーからなる繊維性断熱板材によって構成されることから、耐熱性や断熱性が高く、柔軟且つ軽量であるため、加工性および施行性が高く、安価であるという特徴がある。しかしながら、上記のようにセラミックファイバーから成る断熱板材などによって上下シャッター部材が構成される場合において、特にシャッター部材が分割した加熱領域の温度差が大きいと、熱変形による反りが発生して、一対の前側断熱板および後側断熱板が相互にはがれて上下シャッター部材が支持棒から脱落するという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、上下シャッター部材を構成する一対の前側断熱板および後側断熱板の変形による、上下シャッター部材の脱落を抑制することができるローラ搬送式焼成炉のシャッター装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の要旨とするところは、トンネル状の炉体を有し、前記炉体を幅方向に貫通する複数本の搬送ローラにより搬送される被加熱材に熱処理を施すローラ搬送式焼成炉において前記炉体内の空間を前記空間の長手方向に複数の加熱領域に分割する、ローラ搬送式焼成炉のシャッター装置であって、前記搬送ローラの間を通して上方へ突き出す一対の支持棒により支持され、前記支持棒を介して前記炉体内の空間を開閉させられる上下シャッター部材を、備え、前記上下シャッター部材は、前記一対の支持棒の端部を挟んだ状態で貼り合わせられた一対の前側断熱板および後側断熱板と、前記一対の前側断熱板および後側断熱板の上側端面にそれぞれ貼り付けられた上端側断熱板とを、含むことにある。
【0009】
第2発明の要旨とするとろは、第1発明において、前記前側断熱板および後側断熱板と上端側断熱板とは、セラミックファイバーで構成された断熱板材であり、且つセラミックボンドによって相互に接着されていることにある。
【0010】
第3発明の要旨とするところは、第2発明において、セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第1円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板にそれら厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着され、第1円柱状断熱補強ピンと同様にセラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第2円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板と前記上端側断熱板とに、前記上端側断熱板の厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着されていることにある。
【0011】
第4発明の要旨とするところは、第2発明または第3発明において、前記一対の支持棒の端部には、セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された円筒状断熱ブッシュが固定されており、前記一対の前側断熱板および後側断熱板の合わせ面には、前記一対の支持棒を嵌め入れる小径凹溝と、前記一対の支持棒の端部に固定された円筒状断熱ブッシュを嵌め入れる大径凹溝とが、連続して形成されていることにある。
【0012】
第5発明の要旨とするところは、前記円筒状断熱ブッシュが固定された前記一対の支持棒の端部には、金属ピンが前記金属ピンの両端部を前記円筒状断熱ブッシュから突き出した状態で貫通させられていることにある。
【0013】
第6発明の要旨とするところは、第1発明から第5発明のいずれか1の発明において、前記支持棒は、セラミック材料から円管状に構成されていることにある。
【0014】
第7発明の要旨とするとろは、第1発明から第6発明のいずれか1の発明において、前記炉体に固定され、前記上下シャッター部材を収容して上下方向に案内するシャッターケースを、含み、前記シャッターケースは、上下方向に積層された断熱板材の積層体により構成されていることにある。
【0015】
第8発明の要旨とするところは、第7発明において、前記シャッターケースを構成する前記断熱板材の積層体は、セラミックファイバーで構成され且つセラミックボンドによって相互に接着された枠状断熱板材から構成されていることにある。
【0016】
第9発明の要旨とするところは、第1発明から第8発明のいずれか1の発明において、前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みを有することにある。
【0017】
第10発明の要旨とするところは、第7発明または第8発明において、前記シャッターケースは、前記被加熱材を通過させる貫通穴がそれぞれ形成された前壁および後壁と、前記前壁および後壁の幅方向の両端部をそれぞれ接続する一対の側壁とを有し、前記前壁および後壁と前記一対の側壁との間に形成された収容空間内に前記上下シャッター部材を上下方向の移動可能に収容することにある。
【0018】
第11発明の要旨とするところは、第10発明において、前記シャッターケースの前記前壁および後壁の内壁面には、案内レールが上下方向にそれぞれ延設され、前記上下シャッター部材の前面および後面には、前記案内レールが嵌め入れられる凹状案内溝が形成され、前記上下シャッター部材は、前記上下シャッター部材の前面および後面が前記案内レールの前記内壁面からの突出し寸法よりも小さな間隔を前記内壁面との間に隔てた状態で、前記案内レールにより上下方向に案内されることにある。
【0019】
第12発明の要旨とするところは、第7発明、第8発明、第10発明、第11発明のいずれか1の発明において、前記シャッターケースは、前記複数本の搬送ローラのうちの隣り合う2本の搬送ローラを間に挟んで位置する一対の前記搬送ローラの間隔よりも大きい寸法の厚み寸法を有し、前記シャッターケースには、前記2本の搬送ローラを幅方向に貫通させる貫通穴と、前記一対の搬送ローラとの干渉を回避するため一対の凹溝とが形成されていることにある。
【0020】
第13発明の要旨とするところは、第12発明において、前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記搬送ローラとの干渉を回避するために下端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝とを有し、閉位置に下降させられた状態では、前記下端開閉面が前記搬送ローラの間に位置するものであることにある。
【0021】
第14発明の要旨とするところは、第13発明において、前記シャッターケースは、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記搬送ローラとの干渉を回避するために上端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝と、前記搬送ローラの間に位置させられ、前記上下シャッター部材が前記閉位置に下降させられた状態では、前記上下シャッター部材の下端開閉面が接近させられる前記上端開閉面とを有し、前記炉体に固定された固定シャッター部材を、位置固定に収容することにある。
【0022】
第15発明の要旨とするところは、第1発明から第14発明のいずれか1の発明において、前記搬送ローラの間を通して、前記上下シャッター部材の下端部から下方へ突き出す一対の支持棒と、前記炉体の下側に配置され、前記一対の支持棒を介して前記上下シャッター部材を上下方向に駆動して開位置と閉位置とに位置させるシャッター駆動装置とを、含むことにある。
【0023】
第16発明の要旨とするところは、第15発明において、前記炉体は、基台フレームによって支持されており、前記基台フレームは、下側フレームと、下側フレームから上方へ突き出す支柱フレームと、支柱フレームにより支持され、前記炉体が載置される上側フレームとを有し、前記シャッター駆動装置は、前記上側フレームに設けられていることにある。
【0024】
第17発明の要旨とするところは、第16発明において、前記シャッター駆動装置は、前記一対の支持棒の下端部が固定された上下プレートと、前記上側フレームに固定され、前記上下プレートを上下方向に案内する上下方向案内装置と、前記上側フレームに固定され、前記上下プレートを上下方向に駆動する減速機付電動機とを、含むことにある。
【発明の効果】
【0025】
第1発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記搬送ローラの間を通して上方へ突き出す一対の支持棒により支持され、前記支持棒を介して前記炉体内の空間を開閉させられる上下シャッター部材を、備え、前記上下シャッター部材は、前記一対の支持棒の端部を挟んだ状態で貼り合わせられた一対の前側断熱板および後側断熱板と、前記一対の前側断熱板および後側断熱板の上側端面にそれぞれ貼り付けられた上端側断熱板とを、含む。熱変形による反りが発生しようとしても、上端側断熱板の接着面は一対の前側断熱板および後側断熱板のはがれ方向と平行であるので、上端側断熱板によっての一対の前側断熱板および後側断熱板が相互にはがれることが好適に抑制され、上下シャッター部材が支持棒から脱落するという問題が解消される。
【0026】
第2発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記前側断熱板および後側断熱板と上端側断熱板とは、セラミックファイバーで構成された断熱板材であり、且つセラミックボンドによって相互に接着されている。セラミックボンドは、加熱後にはセラミックスが残留して前側断熱板および後側断熱板と上端側断熱板とを接着するので、それら前側断熱板および後側断熱板と上端側断熱板との熱膨張係数差が相互に小さいことから、上端側断熱板によっての一対の前側断熱板および後側断熱板が相互にはがれることが一層抑制され、上下シャッター部材が支持棒から脱落することが抑制される。
【0027】
第3発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第1円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板にそれらの厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着され、前記第1円柱状断熱補強ピンと同様にセラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第2円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板と前記上端側断熱板とに、前記上端側断熱板の厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着されている。このように、セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第1円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板にそれらの厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着され、同様にセラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第2円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板と前記上端側断熱板とに、前記上端側断熱板の厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着されているので、一対の断熱板材が相互にはがれることが一層抑制され、上下シャッター部材が支持棒から脱落することが防止される。
【0028】
第4発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記一対の支持棒の上端部には、セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された円筒状断熱ブッシュが固定されており、前記一対の前側断熱板および後側断熱板の合わせ面には、前記一対の支持棒を嵌め入れる小径凹溝と、前記一対の支持棒の端部に固定された円筒状断熱ブッシュを嵌め入れる大径凹溝とが、連続して形成される。このように、セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された円筒状断熱ブッシュが支持棒の上端部に固定されており、前記一対の前側断熱板および後側断熱板は、その円筒状断熱ブッシュを挟んで相互にセラミックボンドにより接着されているので、一対の前側断熱板および後側断熱板が相互にはがれることが一層抑制され、上下シャッター部材が支持棒から脱落することが防止される。
【0029】
第5発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記円筒状断熱ブッシュが固定された前記一対の支持棒の端部には、金属ピンが前記金属ピンの両端部を前記円筒状断熱ブッシュから突き出した状態で貫通させられている。これにより、支持棒が金属ピンによって一対の前側断熱板および後側断熱板または円筒状断熱ブッシュに強固に固定される。
【0030】
第6発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記支持棒は、セラミック材料から円管状に構成されている。これにより、支持棒が同系の材料によって構成されているので、支持棒がセラミックボンドによって一対の前側断熱板および後側断熱板または円筒状断熱ブッシュに強固に接着される。
【0031】
第7発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記炉体に固定され、前記上下シャッター部材を収容して上下方向に案内するシャッターケースを、含み、前記シャッターケースは、上下方向に積層された断熱板材の積層体により構成されている。このことから、前記上下シャッター部材を収容する前記シャッターケースの熱変形を抑制することができる。これにより、前記上下シャッター部材とそれを収容する前記シャッターケースとの間で干渉が発生し、摩耗粉が炉内に散乱することが、解消される。
【0032】
第8発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記シャッターケースを構成する前記断熱板材の積層体は、セラミックファイバーで構成され且つセラミックボンドによって相互に接着された枠状断熱板材から構成されている。これにより、前記シャッターケースの剛性が高められるので、前記上下シャッター部材を収容する前記シャッターケースの熱変形が一層抑制される。
【0033】
第9発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みを有する。これにより、高い断熱性が得られるので、前記上下シャッター部材で分割された加熱領域間の断熱性能が高められ、処理空間(加熱領域)Z間の温度差を急峻に形成できる。また、炉長を短縮することができる。
【0034】
第10発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記シャッターケースは、前記被加熱材を通過させる貫通穴がそれぞれ形成された前壁および後壁と、前記前壁および後壁の幅方向の両端部をそれぞれ接続する一対の側壁とを有し、前記前壁および後壁と前記一対の側壁との間に形成された収容空間内に前記上下シャッター部材を上下方向の移動可能に収容する。これにより、前記上下シャッター部材で分割された加熱領域間の断熱性能が高められ、処理空間(加熱領域)Z間の温度差を急峻に形成できる。また、炉長を短縮することができる。
【0035】
第11発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記シャッターケースの前記前壁および後壁の内壁面には、案内レールが上下方向にそれぞれ延設され、前記上下シャッター部材の前面および後面には、前記案内レールが嵌め入れられる凹状案内溝が形成され、前記上下シャッター部材は、前記上下シャッター部材の前面および後面が前記案内レールの前記内壁面からの突出し寸法よりも小さな間隔を前記内壁面との間に隔てた状態で、前記案内レールにより上下方向に案内される。これにより、前記上下シャッター部材は、前記上下シャッター部材の前面および後面が前記案内レールの内壁面からの突出し寸法よりも小さな間隔kを内壁面との間に隔てた状態で、前記案内レールにより上下方向に案内されるので、前記上下シャッター部材とそれを収容する前記シャッターケースとの間で干渉が防止されるとともに、前記上下シャッター部材で分割された処理空間(加熱領域)Z間の断熱性能が高められる。
【0036】
第12発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記シャッターケースは、前記複数本の搬送ローラのうちの隣り合う2本の搬送ローラを間に挟んで位置する一対の前記搬送ローラの間隔よりも大きい寸法の厚み寸法を有し、前記シャッターケースには、前記2本の搬送ローラを幅方向に貫通させる貫通穴と、前記一対の搬送ローラとの干渉を回避するため一対の凹溝とが形成されている。これにより、前記上下シャッター部材全体が比較的肉厚の断熱材により構成できるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、加熱領域間の温度差を急峻に形成できる。また、前記搬送ローラ間の間隔を小さくでき、小さな被加熱物の搬送を安定して行なうことができる利点がある。
【0037】
第13発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記搬送ローラとの干渉を回避するために下端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝とを有し、閉位置に下降させられた状態では、前記下端開閉面が前記搬送ローラの間に位置する。これにより、前記上下シャッター部材全体が比較的肉厚の断熱材により構成できるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、加熱領域間の温度差を急峻に形成できる。また、前記搬送ローラ間の間隔を小さくでき、小さな被加熱物の搬送を安定して行なうことができる利点がある。
【0038】
第14発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記シャッターケースは、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記搬送ローラとの干渉を回避するために上端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝と、前記搬送ローラの間に位置させられ、前記上下シャッター部材が前記閉位置に下降させられた状態では、前記上下シャッター部材の下端開閉面が接近させられる前記上端開閉面とを有し、前記炉体に固定された固定シャッター部材を、位置固定に収容する。これにより、前記上下シャッター部材全体が比較的肉厚の断熱材により構成できるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、加熱領域間の温度差を急峻に形成できる。また、前記搬送ローラ間の間隔を小さくでき、小さな被加熱物の搬送を安定して行なうことができる利点がある。
【0039】
第15発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記搬送ローラの間を通して、前記上下シャッター部材の下端部から下方へ突き出す一対の支持棒と、前記炉体の下側に配置され、前記一対の支持棒を介して前記上下シャッター部材を上下方向に駆動して開位置と閉位置とに位置させるシャッター駆動装置とを、含む。このように、シャッター駆動装置は、炉体の下側に配置されていることから、炉体の熱の影響を受け難いので、上下シャッター部材を上下に駆動するシャッター駆動装置に大がかりな冷却機構装置を設ける必要がない。
【0040】
第16発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記炉体は、基台フレームによって支持されており、前記基台フレームは、下側フレームと、下側フレームから上方へ突き出す支柱フレームと、支柱フレームにより支持され、前記炉体が載置される上側フレームとを有し、前記シャッター駆動装置は、前記上側フレームに設けられている。このように、シャッター駆動装置は、基台フレームのうちの上側フレームに設けられていることから、シャッター駆動装置による上下シャッター部材に対する位置ずれが抑制されるので、機械的強度が比較的低い上下シャッター部材の消耗が抑制される。
【0041】
第17発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記シャッター駆動装置は、前記一対の支持棒の下端部が固定された上下プレートと、前記上側フレームに固定され、前記上下プレートを上下方向に案内する上下方向案内装置と、前記前記上側フレームに固定され、前記上下プレートを上下方向に駆動する減速機付電動機とを、含む。これにより、上下方向案内装置や減速機付電動機について、の大がかりな冷却装置を必要とせず、特別な耐熱性が要求されることがないので、一般的な性能の上下方向案内装置や減速機付電動機を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の一実施例のローラ搬送式焼成炉を示す側面図である。
図2図1のローラ搬送式焼成炉において、炉壁とシャッター装置との関係を説明する水平断面図である。
図3図1のローラ搬送式焼成炉のIII−III視断面を拡大して示す図である。
図4図1のローラ搬送式焼成炉内に設けられているシャッター装置を拡大して示す図である。
図5図4の上下シャッター部材を収容するシャッターケースを示す斜視図である。
図6図4の上下シャッター部材がシャッターケース内に収容された状態を示す平面図である。
図7図4の上下シャッター部材の構成を、一部を切り欠いて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置の一実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0044】
図1は、本発明の一例である複数の開閉可能なシャッター装置S1〜S7を複数個所に備えたローラ搬送式焼成炉(以下、焼成炉という)12の側面図である。図2は、シャッター装置S1〜S7と焼成炉12の炉壁24と関係を説明する水平断面図である。焼成炉12は、基台フレーム14と基台フレーム14に支持されたトンネル状の炉体16とを備えている。基台フレーム14は、下側フレーム18と、下側フレーム18から上方へ突き出す複数本の支柱フレーム20と、支柱フレーム20により支持され、炉体16が載置される上側フレーム22とを有している。
【0045】
炉体16は、たとえばバルクファイバーに無機フィラーと無機・有機結合材とを添加して板状に成形したセラミックファイバーボードが厚み方向に積み重ねられた断熱材によって構成された炉壁24と、炉壁24内において入口16aから出口16bへ向かって形成された加熱領域すなわち処理空間Zとを備えている。そして、その処理空間Zは、炉体16の長手方向において複数個所(本実施例では7個所)に設けられたシャッター装置S1〜S7および隔壁PWによって7つの処理空間Z1〜Z7に分割され、それら7つの処理空間Z1〜Z7のうちのZ1とZ2とZ3〜Z4とZ5とZ6とZ7とはシャッター装置S1〜S7によって熱的および雰囲気的に遮蔽されるようになっている。また、処理空間Z3とZ4との間は、同じ温度および雰囲気(酸素濃度)であるが、たとえば処理空間Z3とZ4との温度制御を容易とするための隔壁PWが介在させられている。なお、処理空間Z4とZ5との間には、相互の温度差が大きいため、隔壁PWがシャッター装置S4に重ねて設けられている。
【0046】
図3は焼成炉12の横断面すなわち図1のIII−III視断面を拡大して示す図である。炉壁24は、炉壁24の上面を覆う上面カバープレート28aと、炉壁24の一対の側面を覆う側面カバープレート28bおよび28cと、炉壁24の底面を覆う底面カバープレート28dとによって保護されている。それらの上面カバープレート28aと、一対の側面カバープレート28bおよび28cと、底面カバープレート28dとは、炉体16の長手方向に沿った端縁部において相互にボルト28eにより締結されると共に、側面カバープレート28bおよび28cと底面カバープレート28dの端縁部とは、上側フレーム22の側縁部にボルト28eの共締めにより固定されている。
【0047】
炉壁24には、炉体16の幅方向に貫通する複数本の搬送ローラ26が入口16aから出口16bへ向って所定間隔で配設されている。これらの搬送ローラ26は、たとえばアルミナ製等の耐熱性能の高い管状体である。搬送ローラ26は、図3に示すように、炉体16から外へ突き出した両端部を、炉壁24の側面を覆う一対の側面カバープレート28bおよび28cに設けられた一対の搬送ローラ支持装置30によってそれぞれ回転可能に支持され、一対の搬送ローラ支持装置30の一方が上側フレーム22に設けられた搬送ローラ駆動装置32に駆動チェーン38を介してそれぞれ連結されることで、複数本の搬送ローラ26が、処理空間Z7以外は等間隔で配置され、一様な方向および回転速度で間欠的に回転駆動される。これにより、搬送ローラ26に載置された搬送プレート34上の被加熱材36は、入口16aから出口16bへ向かって搬送される過程で、所定の熱処理が施されるようになっている。焼成炉12は、所謂トンネル式焼成炉(ローラハースキルン)である。
【0048】
一対の搬送ローラ支持装置30は、ベアリングによって水平な軸線まわりに回転可能に支持され、管状体である搬送ローラ26の軸端に嵌め入れられる支持ロッド30aと、支持ロッド30aと同心に設けられ、搬送ローラ26の端面を炉体16側へ付勢するスプリング30bとを備えている。複数本の搬送ローラ26を支持する前記一方の搬送ローラ支持装置30は、スプロケット30cをそれぞれ備えており、同期チェーン40によって相互に連結されている。また、前記一方の搬送ローラ支持装置30の複数毎に、および、搬送ローラ駆動装置32に、スプロケット33が設けられており、それらスプロケット33に駆動チェーン38が巻き掛けられている。
【0049】
炉体16の長手方向において複数個所(本実施例では7個所)に設けられたシャッター装置S1〜S7および隔壁PWによって分割された7つの処理空間Z1〜Z7には、両端部が炉壁24によって支持された複数本のヒータHが、加熱源として搬送ローラ26の上下に位置するようにそれぞれ配設されている。また、たとえばガス浸炭処理を行なうためのガス雰囲気を形成するためのガス注入管GPや、図示しない温度センサがそれぞれ設けられている。
【0050】
たとえば、空炉(無負荷)時において、7つの処理空間のうちの第1処理(脱脂)空間Z1の温度および酸素濃度は、たとえば800℃および100ppm、第2処理(予熱)空間Z2の温度および酸素濃度は、たとえば1000℃および80ppm、第3処理(予熱)空間Z3の温度および酸素濃度は、たとえば1115℃および10ppm、第4処理(焼結)空間Z4の温度および酸素濃度は、たとえば1115℃および10ppm、第5処理(徐冷)空間Z5の温度および酸素濃度は、たとえば500℃および10ppm、第6処理(徐冷)空間Z6の温度および酸素濃度は、たとえば50℃および10ppm、第7処理(徐冷)空間Z7の温度および酸素濃度は、たとえば50℃および10ppmとなるように、図示しない温度制御装置および雰囲気制御装置によって温度および雰囲気が独立してそれぞれ制御される。これにより、入口16a〜第1処理(脱脂)空間Z1において、常温から800℃の急速昇温が達成され、第1処理(脱脂)空間Z1〜第3処理(予熱)空間Z3において、脱脂処理(100ppm)から焼結処理(10ppm)まで、3ゾーンで達成される。
【0051】
シャッター装置S1〜S7は、略同様に構成されているので、図1の縦断面である図4に表れたシャッター装置S1を代表させて説明する。シャッター装置S1は、炉体16内に形成された処理空間Z1と入口16aとの間において炉体16に固定され、上端開閉面42を有する固定シャッター部材44と、上端開閉面42に当接可能な下端開閉面46を有し、炉体16内に形成された処理空間Z1と入口16aとの間を開閉する上下シャッター部材48と、搬送ローラ26の間を通して上下シャッター部材48から下方へ突き出す一対の支持棒50と、炉体16の下側に配置されたシャッター駆動装置52とを備えている。
【0052】
シャッター駆動装置52は、一対の支持棒50を介して上下シャッター部材48を上下方向に駆動し、上下シャッター部材48の下端開閉面46を上端開閉面42から離隔させる開位置と、上下シャッター部材48の下端開閉面46を固定シャッター部材44の上端開閉面42に当接する閉位置とに位置させる。図4において、実線で示す上下シャッター部材48は開位置を示し、破線で示す上下シャッター部材48は閉位置を示している。
【0053】
固定シャッター部材44および上下シャッター部材48は、隣接する2本の搬送ローラ26の配置間隔d1、好適には隣接する2本の搬送ローラ26の芯間隔pよりも大きい厚みt2およびt1をそれぞれ有する、セラミックファイバーから成る断熱材から構成されている。この断熱材は、たとえばセラミックファイバーに無機フィラーと無機・有機結合材とを添加して成形された、1300℃程度の耐熱温度と0.3(g/cm)程度の密度を有するものである。セラミックファイバーとは、高純度のアルミナ・シリカを主成分とした人造無機繊維である。また、支持棒50は、たとえばセラミック材料たとえばアルミナを主成分とする材料から円管状に形成され、高い耐熱性を備えている。
【0054】
固定シャッター部材44の上端開閉面42と被加熱材36の搬送方向に向かう前面44aおよび被加熱材36の搬送方向に対向する後面44bとの間の一対の陵部には、搬送ローラ26との干渉を回避するための一対の凹溝44c、44dがそれぞれ形成されている。また、上下シャッター部材48の下端開閉面46と被加熱材36の搬送方向に向かう前面48aおよび被加熱材36の搬送方向に対向する後面48bとの間の一対の陵部には、搬送ローラ26との干渉を回避するための一対の凹溝48c、48dがそれぞれ形成されている。これにより、上下シャッター部材48の閉位置では、固定シャッター部材44の上端開閉面42と上下シャッター部材48の下端開閉面46とが、搬送ローラ26の間に位置させられて、相互に接近或いは接触させられるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、処理空間Z1と入口16aとの間すなわち処理空間Z1に対応する加熱領域Z1と入口16aに対応する炉外領域との間の温度差を急峻に形成できる。また、たとえば、加熱領域Z2とZ3との間を開閉するシャッター装置S3であれば、加熱領域Z2とZ3との間の温度差を急峻に形成できる。
【0055】
シャッター駆動装置52は、基台フレーム14のうち、炉体16が載置される上側フレーム22に設けられている。シャッター駆動装置52は、一対の支持棒50の下端部が固定された上下プレート54と、上側フレーム22に固定され、上下プレート54を上下方向に案内する上下方向案内装置56と、上側フレーム22に固定され、上下プレート54を上下方向に駆動する減速機付電動機58とを、備えている。
【0056】
上側フレーム22には、下方へ向かって伸びる固定ブラケット60が固定されており、その固定ブラケット60には、上下プレート54に固定された案内ブッシュ62と、案内ブッシュ62を上下方向に案内する案内ロッド64とが固定されている。また、固定ブラケット60の下部には、減速機付電動機58が備えられ、減速機付電動機58の出力軸に固定されたスプロケット66と固定ブラケット60の上部に回転可能に設けられたスプロケット68(図3を参照)とには、駆動チェーン70が上下方向に巻き掛けられている。また、図3に示すように、駆動チェーン70の一部を上下プレート54に固定する駆動チェーン固定具72が設けられており、減速機付電動機58によって上下シャッター部材48が上下方向に駆動されるようになっている。上記上下プレート54に固定された案内ブッシュ62と、案内ブッシュ62を上下方向に案内する案内ロッド64とが、上下方向案内装置56として機能し、上記スプロケット66およびスプロケット68に巻掛けられた駆動チェーン70と減速機付電動機58とが、シャッター駆動装置52の一部として機能している。
【0057】
図5はシャッターケース76を示す斜視図であり、図6はシャッターケース76を示す平面図である。シャッター装置S1は、図5および図6に示すように、炉体16に固定され、上下シャッター部材48を収容して上下方向に案内するシャッターケース76を備えている。このシャッターケース76は、上下方向に積層されたセラミックファイバーから成る断熱板材CFBが、積層状態でセラミックボンドにより接着されることで構成されている。この断熱板材CFBは、セラミックファイバーに無機フィラーと無機・有機結合材とを添加した枠状に成形された枠状断熱材であって、1300℃程度の耐熱温度と0.3(g/cm)程度の密度を有するものである。セラミックボンドとは、たとえば高純度アルミナ或いは高純度シリカを主成分とする1液性接着剤であり、たとえば100℃〜150℃の硬化温度、1500℃程度の耐熱温度、40×10−7/K程度の熱膨張係数、15(kg/cm)程度の接着強度を有する。
【0058】
シャッターケース76は、被加熱材36を通過させる貫通穴78がそれぞれ形成された、被加熱材36の搬送方向下流側に位置する前壁76aおよび被加熱材36の搬送方向上流側に位置する後壁76bと、前壁76aおよび後壁76bの幅方向の両端部を連結する一対の側壁76cとを有し、前壁76aおよび後壁76bと一対の側壁76cとの間に形成された収容空間内に上下シャッター部材48を上下方向の移動可能に収容する。
【0059】
シャッターケース76の前壁76aおよび後壁76bの内壁面には、上下方向に伸びる円形断面を有する各一対の案内レール80が上下方向に延設され、上下シャッター部材48の前面48aおよび後面48bには、各一対の案内レール80が嵌め入れられる凹状案内溝48e、48fが形成されている。これにより、上下シャッター部材48は、上下シャッター部材48の前面48aおよび後面48bが案内レール80の内壁面からの突出し寸法よりも小さな間隔kをシャッターケース76の前壁76aおよび後壁76bの内壁面との間に隔てた状態で、案内レール80により上下方向に案内されるようになっている。
【0060】
シャッターケース76は、複数本の搬送ローラ26の芯間隔pよりも3倍程度に大きい厚み寸法Tと、搬送ローラ26を貫通させる一対の貫通穴76dおよび76eと、搬送ローラ26との干渉を回避するためにシャッターケース76の前壁76aおよび後壁76bにそれぞれ形成された一対の凹溝76fおよび76gとを備え、上下シャッター部材48が閉位置に位置させられた状態では、被加熱材36を通過させる貫通穴78が上下シャッター部材48によって閉じられるようになっている。なお、シャッターケース76の厚み寸法Tは、2本の搬送ローラ26を挟む一対の搬送ローラ26の間隔d2(図4を参照)よりも大きい。
【0061】
図7は、上下シャッター部材48の構成を、一部を切り欠いて説明する図である。上下シャッター部材48は、一対の支持棒50の上端部を挟む状態でセラミックボンドによって相互の合わせ面が接着されることにより一体的に固定された一対の前側断熱板82および後側断熱板84と、それら一対の前側断熱板82および後側断熱板84の一対の支持棒50とは反対側の端面すなわち上側端面82a、84aにセラミックボンドによってそれぞれ接着されることにより一体的に固定された共通の上端側断熱板86とを備えている。前側断熱板82および後側断熱板84と上端側断熱板86とは、たとえばセラミックバルクファイバーに無機フィラーと無機・有機結合材とを添加して板状に成形したセラミックファイバーボードから構成されている。
【0062】
前側断熱板82および後側断熱板84には、たとえばセラミックバルクファイバーに無機フィラーと無機・有機結合材とを添加してそれら前側断熱板82および後側断熱板84よりも硬く円柱状に形成され、前側断熱板82および後側断熱板84の厚み寸法と同じ長さを有する複数本(図示しないが本実施例では3本)の第1円柱状断熱補強ピン88が、上下シャッター部材48の幅方向において等間隔で、前側断熱板82および後側断熱板84の厚み方向に打ち込まれ、且つセラミックボンドにより固定されている。
【0063】
また、第1円柱状断熱補強ピン88と同様に、セラミックバルクファイバーに無機フィラーと無機・有機結合材とを添加してそれら前側断熱板82および後側断熱板84よりも硬く円柱状に形成された複数本(本実施例では6本)の第2円柱状断熱補強ピン90が、上端側断熱板86を通して前側断熱板82および後側断熱板84に支持棒50と平行な方向にそれぞれ打ち込まれ、且つセラミックボンドにより固定されている。
【0064】
一対の支持棒50の上端部には、第1円柱状断熱補強ピン88および第2円柱状断熱補強ピン90と同様に、セラミックバルクファイバーに無機フィラーと無機・有機結合材とを添加してそれら前側断熱板82および後側断熱板84よりも硬く円筒状に形成された円筒状断熱ブッシュ92がそれぞれ嵌め付けられ、セラミックボンドにより固定されている。
【0065】
前側断熱板82および後側断熱板84の合わせ面には、一対の支持棒50を嵌め入れる一対の小径凹溝94と、一対の支持棒50の上端部に固定された一対の円筒状断熱ブッシュ92を嵌め入れる大径凹溝96とが、上下方向に連続して生成されている。そして、一対の支持棒50の上端部には、耐熱合金製たとえばステンレス鋼製の複数本(本実施例では2本)の金属ピン98が金属ピン98の両端部が円筒状断熱ブッシュ92から前側断熱板82および後側断熱板84の合わせ面の方向に突き出た状態で、それぞれ固定されている。
【0066】
一対の支持棒50とそれを嵌め入れる一対の小径凹溝94との間、および、一対の支持棒50の上端部に固定された一対の円筒状断熱ブッシュ92とそれを嵌め入れる大径凹溝96との間も、前側断熱板82および後側断熱板84の合わせ面がセラミックボンドにより接着されると同時に、セラミックボンドにより接着されている。なお、炉体16の底部には、図4に示すように、一対の支持棒50を下方へ貫通させる支持棒貫通孔100が形成されており、支持棒貫通孔100の開口と支持棒50の下端部に固定された円板状の蛇腹連結部材102との間には、蛇腹104が配設されている。
【0067】
以上のように構成された本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7によれば、搬送ローラ26の間を通して上下シャッター部材48の下端部から下方へ突き出す一対の支持棒50により支持され、支持棒50を介して炉体16内の空間を開閉させられる上下シャッター部材48を、備え、上下シャッター部材48は、一対の支持棒50の端部を挟んだ状態で貼り合わせられた一対の前側断熱板82および後側断熱板84と、一対の前側断熱板82および後側断熱板84の一対の支持棒50側とは反対側の上側端面82a、84aにそれぞれ貼り付けられた上端側断熱板86とを、含む。前側断熱板82および後側断熱板84に互いに離反する方向の熱変形による反りが発生しようとしても、上端側断熱板86の接着面は一対の前側断熱板82および後側断熱板84のはがれ方向と平行であるので、上端側断熱板86によっての一対の前側断熱板82および後側断熱板84が相互にはがれることが好適に抑制され、上下シャッター部材48が支持棒50から脱落するという問題が解消される。
【0068】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、前側断熱板82および後側断熱板84と上端側断熱板86とは、セラミックファイバーで構成された断熱板材であり、且つセラミックボンドによって相互に接着されている。セラミックボンドは、加熱後にはセラミックスが残留して前側断熱板82および後側断熱板84と上端側断熱板86とを接着するので、それら前側断熱板82および後側断熱板84と上端側断熱板86との熱膨張係数差が相互に小さいことから、上端側断熱板86によっての一対の前側断熱板82および後側断熱板84が相互にはがれることが一層抑制され、上下シャッター部材48が支持棒50から脱落することが抑制される。
【0069】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、セラミックファイバーにより繊維性断熱板材(前側断熱板82、後側断熱板84、および、上端側断熱板86)よりも硬く構成された複数本の第1円柱状断熱補強ピン88が、前側断熱板82および後側断熱板84にその厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着されている。また、第2円柱状断熱補強ピン90が、前側断熱板82および後側断熱板84と上端側断熱板86とに、上端側断熱板86の厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着されている。このように、セラミックファイバーにより繊維性断熱板材よりも硬く構成された複数本の第1円柱状断熱補強ピン88が、前記前側断熱板および後側断熱板にそれらの厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着され、第1円柱状断熱補強ピンと同様にセラミックファイバーにより前記繊維性断熱板材よりも硬く構成された複数本の第2円柱状断熱補強ピン90が、前側断熱板82および後側断熱板84に、およびそれら前側断熱板82および後側断熱板84と上端側断熱板86とに打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着されているので、一対の繊維性断熱板材である前側断熱板82および後側断熱板84の間、および前側断熱板82および後側断熱板84と上端側断熱板86とが相互にはがれることが一層抑制され、上下シャッター部材48が支持棒50から脱落することが防止される。
【0070】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、一対の支持棒50の上端部には、セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された円筒状断熱ブッシュ92が固定されており、一対の前側断熱板82および後側断熱板84の合わせ面には、一対の支持棒50を嵌め入れる小径凹溝94と、一対の支持棒50の上端部に固定された円筒状断熱ブッシュ92を嵌め入れる大径凹溝96とが、連続して形成される。このように、セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された円筒状断熱ブッシュ92が支持棒50の上端部に固定されており、一対の前側断熱板82および後側断熱板84は、その円筒状断熱ブッシュ92を挟んで相互にセラミックボンドにより接着されているので、一対の繊維性断熱板材(前側断熱板82および後側断熱板84)が相互にはがれることが一層抑制され、上下シャッター部材48が支持棒50から脱落することが防止される。
【0071】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、円筒状断熱ブッシュ92が固定された一対の支持棒50の上端部には、金属ピン98が金属ピン98の両端部を円筒状断熱ブッシュ92から突き出した状態で貫通させられている。これにより、支持棒50が金属ピン98によって一対の繊維性断熱板材(前側断熱板82および後側断熱板84)または円筒状断熱ブッシュ92に強固に固定される。
【0072】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、支持棒50は、セラミック材料から円管状に構成されている。これにより、支持棒50が一対の繊維性断熱板材(前側断熱板82および後側断熱板84)または円筒状断熱ブッシュ92と同系のセラミック材料によって構成されているので、支持棒50がセラミックボンドによって一対の繊維性断熱板材(前側断熱板82および後側断熱板84)または円筒状断熱ブッシュ92に強固に接着される。
【0073】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7は、炉体16に固定され、上下シャッター部材48を収容して上下方向に案内するシャッターケース76を、含み、シャッターケース76は、上下方向に積層された断熱板材の積層体により構成されている。このことから、上下シャッター部材48を収容するシャッターケース76の熱変形を抑制することができる。これにより、上下シャッター部材48とそれを収容するシャッターケース76との間で干渉が発生し、摩耗粉が炉内に散乱することが、解消される。
【0074】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、シャッターケース76を構成する断熱板材CFBの積層体は、セラミックファイバーで構成され且つセラミックボンドによって相互に接着された枠状断熱板材から構成されている。これにより、シャッターケース76の剛性が高められるので、上下シャッター部材48を収容するシャッターケース76の熱変形が一層抑制される。
【0075】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、上下シャッター部材48は、複数本の搬送ローラ26の芯間隔pよりも大きい厚みt1を有することから、高い断熱性が得られるので、上下シャッター部材48で分割された加熱領域間の断熱性能が高められ、処理空間(加熱領域)Z間の温度差を急峻に形成できる。また、炉長を短縮することができる。
【0076】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、シャッターケース76は、被加熱材36を通過させる貫通穴78がそれぞれ形成された前壁76aおよび後壁76bと、前壁76aおよび後壁76bの幅w方向の両端部をそれぞれ接続する一対の側壁76cとを有し、前壁76aおよび後壁76bと一対の側壁76cとの間に形成された収容空間内に上下シャッター部材48が上下方向の移動可能に収容される。これにより、上下シャッター部材48で分割された加熱領域間の断熱性能が高められ、処理空間(加熱領域)Z間の温度差を急峻に形成できる。また、炉長を短縮することができる。
【0077】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、シャッターケース76の前壁76aおよび後壁76bの内壁面には、案内レール80が上下方向にそれぞれ延設され、上下シャッター部材48の前面48aおよび後面48bには、案内レール80が嵌め入れられる凹状案内溝48eおよび48fが形成され、上下シャッター部材48は、上下シャッター部材48の前面48aおよび後面48bが案内レール80の内壁面からの突出し寸法よりも小さな間隔kを内壁面との間に隔てた状態で、案内レール80により上下方向に案内される。これにより、上下シャッター部材48は、上下シャッター部材48の前面48aおよび後面48bが案内レール80の内壁面からの突出し寸法よりも小さな間隔kを内壁面との間に隔てた状態で、案内レール80により上下方向に案内されるので、上下シャッター部材48とそれを収容するシャッターケース76との間で干渉が防止されるとともに、上下シャッター部材48で分割された処理空間(加熱領域)Z間の断熱性能が高められる。
【0078】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、シャッターケース76は、複数本の搬送ローラ26のうちの隣り合う2本の搬送ローラ26を間に挟んで位置する一対の搬送ローラ26の間隔d2よりも大きい寸法の厚み寸法Tを有し、シャッターケース76には、隣り合う2本の搬送ローラ26の外側に隣接する2本の搬送ローラ26を幅方向に貫通させる貫通穴76d、76eと、一対の搬送ローラ26との干渉を回避するため一対の凹溝76f、76gとが形成されている。このことから、上下シャッター部材48全体が比較的肉厚の断熱材により構成できるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、加熱領域間の温度差を急峻に形成できる。また、搬送ローラ26間の間隔を小さくでき、小さな被加熱物の搬送を安定して行なうことができる利点がある。
【0079】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、上下シャッター部材48は、隣り合う2本の搬送ローラ26の芯間隔pよりも大きい厚みt1と、隣り合う2本の搬送ローラ26との干渉を回避するために下端開閉面46と前面48aおよび後面48bとの間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝48c、48dとを有し、前記閉位置に下降させられた状態では、下端開閉面46が搬送ローラ26の間に位置する。このことから、上下シャッター部材48全体が比較的肉厚の断熱材により構成できるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、加熱領域間の温度差を急峻に形成できる。また、搬送ローラ26間の間隔を小さくでき、小さな被加熱物の搬送を安定して行なうことができる利点がある。
【0080】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、炉体16に固定されたシャッターケース76には、隣り合う2本の搬送ローラ26の芯間隔pよりも大きい厚みt2と、隣り合う2本の搬送ローラ26との干渉を回避するために上端開閉面42と前面44aおよび後面44bとの間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝44c、44dと、搬送ローラ26の間に位置させられ、上下シャッター部材48が閉位置に下降させられた状態では、上下シャッター部材48の下端開閉面46が接近させられる上端開閉面42とを有する固定シャッター部材44が、位置固定に収容される。このことから、上下シャッター部材48全体が比較的肉厚の断熱材により構成できるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、加熱領域間の温度差を急峻に形成できる。また、搬送ローラ26間の間隔を小さくでき、小さな被加熱物の搬送を安定して行なうことができる利点がある。
【0081】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7は、上下シャッター部材48と、複数本の搬送ローラ26ののうちの隣り合う一対の搬送ローラ26の間を通して、上下シャッター部材48の下端部から下方へ突き出す一対の支持棒50と、炉体16の下側に配置され、一対の支持棒50を介して上下シャッター部材48を上下方向に駆動して開位置と閉位置とに位置させるシャッター駆動装置52とを、含む。このように、シャッター駆動装置52は、炉体16の下側に配置されていることから、炉体16の熱の影響を受け難いので、上下シャッター部材48を上下に駆動するシャッター駆動装置52に大がかりな冷却機構装置を設ける必要がない。
【0082】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、炉体16は、基台フレーム14によって支持されており、基台フレーム14は、下側フレーム18と、下側フレーム18から上方へ突き出す支柱フレーム20と、支柱フレーム20により支持され、炉体16が載置される上側フレーム22とを有し、シャッター駆動装置52は、上側フレーム22に設けられている。このように、シャッター駆動装置52は、基台フレーム14のうちの上側フレーム22に設けられていることから、シャッター駆動装置52による上下シャッター部材48に対する位置ずれが抑制されるので、機械的強度が比較的低い上下シャッター部材48の消耗が抑制される。
【0083】
また、本実施例の焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S1〜S7において、シャッター駆動装置52は、一対の支持棒50の下端部が固定された上下プレート54と、上側フレーム22に固定され、上下プレート54を上下方向に案内する上下方向案内装置56と、上側フレーム22に固定され、上下プレート54を上下方向に駆動する減速機付電動機58とを、含む。これにより、上下方向案内装置56や減速機付電動機58について、大がかりな冷却装置を必要とせず、特別な耐熱性が要求されることがないので、一般的な性能の上下方向案内装置56や減速機付電動機58を用いることができる。
【0084】
以上、本発明を表及び図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【0085】
たとえば、前述の実施例では、上下シャッター部材48の厚みt1が、搬送ローラ26の配置間隔d1或いは搬送ローラ26の芯間隔pよりも大きいものであったが、搬送ローラ26の配置間隔d1或いは搬送ローラ26の芯間隔pよりも小さいものであってもよい。
【0086】
また、上下シャッター部材48の厚みt1が、搬送ローラ26の配置間隔d1以下である場合は、上下シャッター部材48が下降させられることで開位置とされ、上昇させられることで閉位置とされてもよい。
【0087】
また、前述の実施例において、焼成炉(ローラ搬送式焼成炉)12のシャッター装置S2〜S7は、案内レール80の本数と位置がシャッター装置S1と異なっていたが、シャッター装置S1のシャッターケース76と同様に構成されていてもよい。また、シャッター装置S1〜S7が、相互に異なるように構成されていてもよい。また、シャッター装置S1〜S7のうちの一部、たとえば処理空間Z1〜Z7の間のうちの処理温度が高温の位置に設けられるたとえばシャッター装置S1〜S5について、シャッター駆動装置52が炉体16の下側に配置されていてもよい。
【0088】
なお、上述したのはあくまでの本発明の一実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が加えられるものである。
【符号の説明】
【0089】
12:ローラ搬送式焼成炉(焼成炉)
14:基台フレーム
16:炉体
18:下側フレーム
20:支柱フレーム
22:上側フレーム
26:搬送ローラ
30:搬送ローラ支持装置
32:搬送ローラ駆動装置
36:被加熱材
42:上端開閉面
44:固定シャッター部材
44a:前面
44b:後面
44c、44d:凹溝
46:下端開閉面
48:上下シャッター部材
48a:前面
48b:後面
48c、48d:凹溝
48e、48f:凹状案内溝
50:支持棒
52:シャッター駆動装置
54:上下プレート
56:上下方向案内装置
58:減速機付電動機
76:シャッターケース
76a:前壁
76b:後壁
76c:側壁
76d、76e:貫通穴
76f、76g:凹溝
78:貫通穴
80:案内レール
82:前側断熱板
84:後側断熱板
86:上端側断熱板
88:第1円柱状断熱補強ピン
90:第2円柱状断熱補強ピン
92:円筒状断熱ブッシュ
94:小径凹溝
96:大径凹溝
98:金属ピン
100:支持棒貫通穴
S1〜S7:シャッター装置
PW:隔壁
Z1〜Z8:処理空間(加熱領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2019年8月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル状の炉体を有し、前記炉体を幅方向に貫通する複数本の搬送ローラにより搬送される被加熱材に熱処理を施すローラ搬送式焼成炉において前記炉体内の空間を前記空間の長手方向に複数の加熱領域に分割する、ローラ搬送式焼成炉のシャッター装置であって、
前記搬送ローラの間を通して上方へ突き出す一対の支持棒により支持され、前記支持棒を介して前記炉体内の空間を開閉させられる上下シャッター部材を、備え、
前記上下シャッター部材は、前記一対の支持棒の端部を挟んだ状態で貼り合わせられた一対の前側断熱板および後側断熱板と、前記一対の前側断熱板および後側断熱板の上側端面にそれぞれ貼り付けられた上端側断熱板とを、含む
ことを特徴とするローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項2】
前記前側断熱板および後側断熱板と上端側断熱板とは、セラミックファイバーで構成された断熱板材であり、且つセラミックボンドによって相互に接着されている
ことを特徴とする請求項1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項3】
セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第1円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板に厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着され、
前記第1円柱状断熱補強ピンと同様にセラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第2円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板と前記上端側断熱板とに、前記上端側断熱板の厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着されている
ことを特徴とする請求項2に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項4】
前記一対の支持棒の端部には、セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された円筒状断熱ブッシュが固定されており、
前記一対の前側断熱板および後側断熱板の合わせ面には、前記一対の支持棒を嵌め入れる小径凹溝と、前記一対の支持棒の端部に固定された前記円筒状断熱ブッシュを嵌め入れる大径凹溝とが、連続して形成されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項5】
前記円筒状断熱ブッシュが固定された前記一対の支持棒の端部には、金属ピンが前記金属ピンの両端部を前記円筒状断熱ブッシュから突き出した状態で貫通させられている
ことを特徴とする請求項4に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項6】
前記支持棒は、セラミック材料から円管状に構成されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項7】
前記炉体に固定され、前記上下シャッター部材を収容して上下方向に案内するシャッターケースを、含み、
前記シャッターケースは、上下方向に積層された断熱板材の積層体により構成されている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項8】
前記シャッターケースを構成する前記断熱板材の積層体は、セラミックファイバーで構成された枠状断熱板材同士が積層状態でセラミックボンドによって相互に接着されたものであ
ことを特徴とする請求項7のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項9】
前記複数本の搬送ローラは一定の芯間隔で配置されており、
前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みを有する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項10】
前記シャッターケースは、前記被加熱材を通過させる貫通穴がそれぞれ形成された前壁および後壁と、前記前壁および後壁の幅方向の両端部をそれぞれ接続する一対の側壁とを有し、前記前壁および後壁と前記一対の側壁との間に形成された収容空間内に前記上下シャッター部材を上下方向の移動可能に収容する
ことを特徴とする請求項7または8に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項11】
前記シャッターケースの前記前壁および後壁の内壁面には、案内レールが上下方向にそれぞれ延設され、
前記上下シャッター部材の前面および後面には、前記案内レールが嵌め入れられる凹状案内溝が形成され、
前記上下シャッター部材は、前記上下シャッター部材の前面および後面が前記案内レールの前記内壁面からの突出し寸法よりも小さな間隔を前記内壁面との間に隔てた状態で、前記案内レールにより上下方向に案内される
ことを特徴とする請求項10に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項12】
前記シャッターケースは、前記複数本の搬送ローラのうちの隣り合う2本の搬送ローラを間に挟んで位置する一対の搬送ローラの間隔よりも大きい寸法の厚み寸法を有し、
前記シャッターケースには、前記2本の搬送ローラを幅方向に貫通させる貫通穴と、前記一対の搬送ローラとの干渉を回避するため一対の凹溝とが形成されている
ことを特徴とする請求項7、8、10、および11のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項13】
前記複数本の搬送ローラは一定の芯間隔で配置されており、
前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記搬送ローラとの干渉を回避するために下端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝とを有し、閉位置に下降させられた状態では、前記下端開閉面が前記搬送ローラの間に位置するものである
ことを特徴とする請求項12に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項14】
前記シャッターケースは、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記搬送ローラとの干渉を回避するために上端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝と、前記搬送ローラの間に位置させられ、前記上下シャッター部材が前記閉位置に下降させられた状態では、前記上下シャッター部材の下端開閉面が接近させられる前記上端開閉面とを有し、前記炉体に固定された固定シャッター部材を、位置固定に収容する
ことを特徴とする請求項13に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項15】
前記搬送ローラの間を通して、前記上下シャッター部材の下端部から下方へ突き出す一対の支持棒と、前記炉体の下側に配置され、前記一対の支持棒を介して前記上下シャッター部材を上下方向に駆動して開位置と閉位置とに位置させるシャッター駆動装置とを、含む
ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項16】
前記炉体は、基台フレームによって支持されており、
前記基台フレームは、下側フレームと、前記下側フレームから上方へ突き出す支柱フレームと、前記支柱フレームにより支持され、前記炉体が載置される上側フレームとを有し、
前記シャッター駆動装置は、前記上側フレームに設けられている
ことを特徴とする請求項15に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項17】
前記シャッター駆動装置は、
前記一対の支持棒の下端部が固定された上下プレートと、
前記上側フレームに固定され、前記上下プレートを上下方向に案内する上下方向案内装置と、
前記上側フレームに固定され、前記上下プレートを上下方向に駆動する減速機付電動機とを、含む
ことを特徴とする請求項16に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
第8発明の要旨とするところは、第7発明において、前記シャッターケースを構成する前記断熱板材の積層体は、セラミックファイバーで構成された枠状断熱板材同士が積層状態でセラミックボンドによって相互に接着されたものであることにある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
第9発明の要旨とするところは、第1発明から第8発明のいずれか1の発明において、前記複数本の搬送ローラは一定の芯間隔で配置されており、前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みを有することにある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
第12発明の要旨とするところは、第7発明、第8発明、第10発明、第11発明のいずれか1の発明において、前記シャッターケースは、前記複数本の搬送ローラのうちの隣り合う2本の搬送ローラを間に挟んで位置する一対の搬送ローラの間隔よりも大きい寸法の厚み寸法を有し、前記シャッターケースには、前記2本の搬送ローラを幅方向に貫通させる貫通穴と、前記一対の搬送ローラとの干渉を回避するため一対の凹溝とが形成されていることにある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
第13発明の要旨とするところは、第12発明において、前記複数本の搬送ローラは一定の芯間隔で配置されており、前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記搬送ローラとの干渉を回避するために下端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝とを有し、閉位置に下降させられた状態では、前記下端開閉面が前記搬送ローラの間に位置するものであることにある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
第8発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記シャッターケースを構成する前記断熱板材の積層体は、セラミックファイバーで構成された枠状断熱板材同士が積層状態でセラミックボンドによって相互に接着されたものである。これにより、前記シャッターケースの剛性が高められるので、前記上下シャッター部材を収容する前記シャッターケースの熱変形が一層抑制される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
第9発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記複数本の搬送ローラは一定の芯間隔で配置されており、前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みを有する。これにより、高い断熱性が得られるので、前記上下シャッター部材で分割された加熱領域間の断熱性能が高められ、処理空間(加熱領域)Z間の温度差を急峻に形成できる。また、炉長を短縮することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
第12発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記シャッターケースは、前記複数本の搬送ローラのうちの隣り合う2本の搬送ローラを間に挟んで位置する一対の搬送ローラの間隔よりも大きい寸法の厚み寸法を有し、前記シャッターケースには、前記2本の搬送ローラを幅方向に貫通させる貫通穴と、前記一対の搬送ローラとの干渉を回避するため一対の凹溝とが形成されている。これにより、前記上下シャッター部材全体が比較的肉厚の断熱材により構成できるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、加熱領域間の温度差を急峻に形成できる。また、前記搬送ローラ間の間隔を小さくでき、小さな被加熱物の搬送を安定して行なうことができる利点がある。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
第13発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記複数本の搬送ローラは一定の芯間隔で配置されており、前記上下シャッター部材は、前記複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記搬送ローラとの干渉を回避するために下端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝とを有し、閉位置に下降させられた状態では、前記下端開閉面が前記搬送ローラの間に位置する。これにより、前記上下シャッター部材全体が比較的肉厚の断熱材により構成できるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、加熱領域間の温度差を急峻に形成できる。また、前記搬送ローラ間の間隔を小さくでき、小さな被加熱物の搬送を安定して行なうことができる利点がある。
【手続補正書】
【提出日】2019年12月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル状の炉体を有し、前記炉体を幅方向に貫通する複数本の搬送ローラにより搬送される被加熱材に熱処理を施すローラ搬送式焼成炉において前記炉体内の空間を前記空間の長手方向に複数の加熱領域に分割する、ローラ搬送式焼成炉のシャッター装置であって、
前記搬送ローラの間を通して上方へ突き出す一対の支持棒により支持され、前記支持棒を介して前記炉体内の空間を開閉させられる上下シャッター部材を、備え、
前記上下シャッター部材は、前記一対の支持棒の端部を挟んだ状態で貼り合わせられた一対の前側断熱板および後側断熱板と、前記一対の前側断熱板および後側断熱板の上側端面にそれぞれ貼り付けられた上端側断熱板とを、含む
ことを特徴とするローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項2】
前記前側断熱板および後側断熱板と上端側断熱板とは、セラミックファイバーで構成された断熱板材であり、且つセラミックボンドによって相互に接着されている
ことを特徴とする請求項1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項3】
セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第1円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板に厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着され、
前記第1円柱状断熱補強ピンと同様にセラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された複数本の第2円柱状断熱補強ピンが、前記前側断熱板および後側断熱板と前記上端側断熱板とに、前記上端側断熱板の厚み方向に打ち込まれた状態でセラミックボンドによって接着されている
ことを特徴とする請求項2に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項4】
前記一対の支持棒の端部には、セラミックファイバーにより前記断熱板材よりも硬く構成された円筒状断熱ブッシュが固定されており、
前記一対の前側断熱板および後側断熱板の合わせ面には、前記一対の支持棒を嵌め入れる小径凹溝と、前記一対の支持棒の端部に固定された前記円筒状断熱ブッシュを嵌め入れる大径凹溝とが、連続して形成されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項5】
前記円筒状断熱ブッシュが固定された前記一対の支持棒の端部には、金属ピンが前記金属ピンの両端部を前記円筒状断熱ブッシュから突き出した状態で貫通させられている
ことを特徴とする請求項4に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項6】
前記支持棒は、セラミック材料から円管状に構成されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項7】
前記炉体に固定され、前記上下シャッター部材を収容して上下方向に案内するシャッターケースを、含み、
前記シャッターケースは、上下方向に積層された断熱板材の積層体により構成されている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項8】
前記シャッターケースを構成する前記断熱板材の積層体は、セラミックファイバーで構成された枠状断熱板材同士が積層状態でセラミックボンドによって相互に接着されたものである
ことを特徴とする請求項7のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項9】
前記複数本の搬送ローラは、前記上下シャッター部材の下方に位置して一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラを含み、
前記上下シャッター部材は、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みを有する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項10】
前記シャッターケースは、前記被加熱材を通過させる貫通穴がそれぞれ形成された前壁および後壁と、前記前壁および後壁の幅方向の両端部をそれぞれ接続する一対の側壁とを有し、前記前壁および後壁と前記一対の側壁との間に形成された収容空間内に前記上下シャッター部材を上下方向の移動可能に収容する
ことを特徴とする請求項7または8に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項11】
前記シャッターケースの前記前壁および後壁の内壁面には、案内レールが上下方向にそれぞれ延設され、
前記上下シャッター部材の前面および後面には、前記案内レールが嵌め入れられる凹状案内溝が形成され、
前記上下シャッター部材は、前記上下シャッター部材の前面および後面が前記案内レールの前記内壁面からの突出し寸法よりも小さな間隔を前記内壁面との間に隔てた状態で、前記案内レールにより上下方向に案内される
ことを特徴とする請求項10に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項12】
前記複数本の搬送ローラは、前記上下シャッター部材の下方に位置して一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラを含み、
前記シャッターケースは、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラのうちの隣り合う2本の搬送ローラを間に挟んで位置する一対の搬送ローラの間隔よりも大きい寸法の厚み寸法を有し、
前記シャッターケースには、前記2本の搬送ローラを幅方向に貫通させる貫通穴と、前記一対の搬送ローラとの干渉を回避するため一対の凹溝とが形成されている
ことを特徴とする請求項7、8、10、および11のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項13】
前記上下シャッター部材は、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記2本の搬送ローラとの干渉を回避するために下端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝とを有し、閉位置に下降させられた状態では、前記下端開閉面が前記2本の搬送ローラの間に位置するものである
ことを特徴とする請求項12に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項14】
前記シャッターケースは、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記2本の搬送ローラとの干渉を回避するために上端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝と、前記2本の搬送ローラの間に位置させられ、前記上下シャッター部材が前記閉位置に下降させられた状態では、前記上下シャッター部材の下端開閉面が接近させられる前記上端開閉面とを有し、前記炉体に固定された固定シャッター部材を、位置固定に収容する
ことを特徴とする請求項13に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項15】
前記上下シャッター部材の下端部から下方へ突き出す前記一対の支持棒と、前記炉体の下側に配置され、前記一対の支持棒を介して前記上下シャッター部材を上下方向に駆動して開位置と閉位置とに位置させるシャッター駆動装置とを、含む
ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項16】
前記炉体は、基台フレームによって支持されており、
前記基台フレームは、下側フレームと、前記下側フレームから上方へ突き出す支柱フレームと、前記支柱フレームにより支持され、前記炉体が載置される上側フレームとを有し、
前記シャッター駆動装置は、前記上側フレームに設けられている
ことを特徴とする請求項15に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【請求項17】
前記シャッター駆動装置は、
前記一対の支持棒の下端部が固定された上下プレートと、
前記上側フレームに固定され、前記上下プレートを上下方向に案内する上下方向案内装置と、
前記上側フレームに固定され、前記上下プレートを上下方向に駆動する減速機付電動機とを、含む
ことを特徴とする請求項16に記載のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
第9発明の要旨とするところは、第1発明から第8発明のいずれか1の発明において、前記複数本の搬送ローラは、前記上下シャッター部材の下方に位置して一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラを含み、前記上下シャッター部材は、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みを有することにある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
第12発明の要旨とするところは、第7発明、第8発明、第10発明、第11発明のいずれか1の発明において、前記複数本の搬送ローラは、前記上下シャッター部材の下方に位置して一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラを含み、前記シャッターケースは、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラのうちの隣り合う2本の搬送ローラを間に挟んで位置する一対の搬送ローラの間隔よりも大きい寸法の厚み寸法を有し、前記シャッターケースには、前記2本の搬送ローラを幅方向に貫通させる貫通穴と、前記一対の搬送ローラとの干渉を回避するため一対の凹溝とが形成されていることにある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
第13発明の要旨とするところは、第12発明において、前記上下シャッター部材は、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記2本の搬送ローラとの干渉を回避するために下端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝とを有し、閉位置に下降させられた状態では、前記下端開閉面が前記2本の搬送ローラの間に位置するものであることにある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
第14発明の要旨とするところは、第13発明において、前記シャッターケースは、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記2本の搬送ローラとの干渉を回避するために上端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝と、前記2本の搬送ローラの間に位置させられ、前記上下シャッター部材が前記閉位置に下降させられた状態では、前記上下シャッター部材の下端開閉面が接近させられる前記上端開閉面とを有し、前記炉体に固定された固定シャッター部材を、位置固定に収容することにある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
第15発明の要旨とするところは、第1発明から第14発明のいずれか1の発明において、前記上下シャッター部材の下端部から下方へ突き出す一対の支持棒と、前記炉体の下側に配置され、前記一対の支持棒を介して前記上下シャッター部材を上下方向に駆動して開位置と閉位置とに位置させるシャッター駆動装置とを、含むことにある。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
第9発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記複数本の搬送ローラは、前記上下シャッター部材の下方に位置して一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラを含み、前記上下シャッター部材は、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みを有する。これにより、高い断熱性が得られるので、前記上下シャッター部材で分割された加熱領域間の断熱性能が高められ、処理空間(加熱領域)Z間の温度差を急峻に形成できる。また、炉長を短縮することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
第12発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記複数本の搬送ローラは、前記上下シャッター部材の下方に位置して一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラを含み、前記シャッターケースは、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラのうちの隣り合う2本の搬送ローラを間に挟んで位置する一対の搬送ローラの間隔よりも大きい寸法の厚み寸法を有し、前記シャッターケースには、前記2本の搬送ローラを幅方向に貫通させる貫通穴と、前記一対の搬送ローラとの干渉を回避するため一対の凹溝とが形成されている。これにより、前記上下シャッター部材全体が比較的肉厚の断熱材により構成できるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、加熱領域間の温度差を急峻に形成できる。また、前記搬送ローラ間の間隔を小さくでき、小さな被加熱物の搬送を安定して行なうことができる利点がある。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
第13発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記上下シャッター部材は、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記2本の搬送ローラとの干渉を回避するために下端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝とを有し、閉位置に下降させられた状態では、前記下端開閉面が前記2本の搬送ローラの間に位置する。これにより、前記上下シャッター部材全体が比較的肉厚の断熱材により構成できるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、加熱領域間の温度差を急峻に形成できる。また、前記搬送ローラ間の間隔を小さくでき、小さな被加熱物の搬送を安定して行なうことができる利点がある。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
第14発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記シャッターケースは、前記一定の芯間隔で配置された複数本の搬送ローラの芯間隔よりも大きい厚みと、前記2本の搬送ローラとの干渉を回避するために上端開閉面と前面および後面との間の稜部にそれぞれ形成された一対の凹溝と、前記2本の搬送ローラの間に位置させられ、前記上下シャッター部材が前記閉位置に下降させられた状態では、前記上下シャッター部材の下端開閉面が接近させられる前記上端開閉面とを有し、前記炉体に固定された固定シャッター部材を、位置固定に収容する。これにより、前記上下シャッター部材全体が比較的肉厚の断熱材により構成できるので、加熱領域間の断熱性能が充分に得られ、加熱領域間の温度差を急峻に形成できる。また、前記搬送ローラ間の間隔を小さくでき、小さな被加熱物の搬送を安定して行なうことができる利点がある。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
第15発明のローラ搬送式焼成炉のシャッター装置によれば、前記上下シャッター部材の下端部から下方へ突き出す一対の支持棒と、前記炉体の下側に配置され、前記一対の支持棒を介して前記上下シャッター部材を上下方向に駆動して開位置と閉位置とに位置させるシャッター駆動装置とを、含む。このように、シャッター駆動装置は、炉体の下側に配置されていることから、炉体の熱の影響を受け難いので、上下シャッター部材を上下に駆動するシャッター駆動装置に大がかりな冷却機構装置を設ける必要がない。