【解決手段】上記課題を解決するため、物体側から順に正の第1レンズG1と、負の第2レンズ群G2と、負の第3レンズ群G3と、全体で正の後群とから構成されるズームレンズであって、広角端では第2レンズ群G2と第3レンズ群G3面との空気間隔が最も大きく、第3レンズ群G3はd線におけるアッベ数が30より大きな正レンズを少なくとも1枚有し、広角端から望遠端への変倍に際して、第3レンズ群G3と後群の少なくとも一部のレンズ群とが物体側に移動させる。
物体側から順に正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、全体で正の屈折力を有する後群とから構成され、隣り合うレンズ群の空気間隔を変化させることで変倍を行うズームレンズであって、
当該ズームレンズにおいて最も物体側に配置されるレンズ面から最も像側に配置されるレンズ面までの空気間隔の中で、広角端では前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面と前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面との空気間隔が最も大きく、
前記第3レンズ群は、d線におけるアッベ数が30より大きな正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有し、
広角端から望遠端への変倍に際して、前記第3レンズ群と前記後群の少なくとも一部のレンズ群とが物体側に移動することを特徴とするズームレンズ。
前記第3レンズ群及び前記後群の少なくとも一方に、少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズLnrが配置され、以下の条件式を満足する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のズームレンズ。
1.85 < NdLnr < 2.20 ・・・(5)
但し、
NdLnr:前記レンズLnrのd線における屈折率
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載のズームレンズと、当該ズームレンズの像側に、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。但し、以下に説明する当該ズームレンズ及び撮像装置は本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の一態様であって、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置は以下の態様に限定されるものではない。
【0012】
1.ズームレンズ
1−1.ズームレンズの光学構成
本実施の形態のズームレンズは、物体側から順に正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する後群とから構成され、隣り合うレンズ群の空気間隔を変化させることで変倍を行う。このように、物体側と像側に正の屈折力を配置し、その間に負の屈折力を配置するという対称型のパワー配置を採用することで、収差を打ち消し合うことが容易になる。そのため、少ないレンズ枚数で当該ズームレンズを構成することで、低コスト化を図りつつ、小型で光学性能の高いズームレンズを実現することができる。
【0013】
また、このようなパワー配置を採用することで、第2レンズ群に負の強い屈折力を配置し、第2レンズ群の変倍作用を大きくしたときも、第1レンズ群だけでなく、第3レンズ群にも収差補正や変倍作用を分担させることができる。そのため、第2レンズ群のレンズ構成を簡素にすることができ、この点からも当該ズームレンズの低コスト化を図ることができる。
【0014】
さらに、当該ズームレンズは、最も物体側に配置されるレンズ面から最も像側に配置されるレンズ面までの空気間隔の中で、広角端では第2レンズ群の最も像側のレンズ面と第3レンズ群の最も物体側のレンズ面との空気間隔が最も大きい。つまり、広角端における最大空気間隔は、第2レンズ群の最も像側のレンズ面と第3レンズ群の最も物体側のレンズ面との間になる。このように、当該ズームレンズでは広角端において「正・負・最大空気間隔・負・正」という対称型のパワー配置となり、最大空気間隔を挟んで同じ符号の屈折力が配置される。そのため、最大空気間隔の前後で上下光線の収差の打ち消し合いが生じ、少ないレンズ枚数で収差補正が良好に行うことができ、光学性能の高いズームレンズを低コストで実現することができる。
【0015】
また、当該ズームレンズでは、第3レンズ群に対する入射光束の径は、第1レンズ群や第2レンズ群に対する入射光束の径よりも小さい。そのため、フォーカス群や防振群を第3レンズ群以降の群に配置すれば、フォーカス群や防振群を第1レンズ群又は第2レンズ群に配置する場合と比較すると、フォーカス群や防振群の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0016】
以下、各レンズ群の光学構成等について説明する。
【0017】
(1)第1レンズ群
第1レンズ群は、当該ズームレンズを構成する複数のレンズ群において最も物体側に配置される正の屈折力を有するレンズ群である。第1レンズ群は全体で正の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。第1レンズ群は全体で正の屈折力を有するため、第1レンズ群は少なくとも一つの正の屈折力を有するレンズを有すればよい。第1レンズ群を複数枚の正の屈折力を有するレンズを用いて構成すれば、望遠端における色収差や球面収差の補正が容易になるため好ましい。
【0018】
また、第1レンズ群は負の屈折力を有するレンズLn1を少なくとも1枚有することが、色収差や像面性の補正の点で好ましい。第1レンズ群は、負の屈折力を有するレンズL1nを少なくとも1枚有すればよく、複数枚の負の屈折力を有するレンズL1nを有していてもよい。
【0019】
さらに、第1レンズ群が少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズL1nを含む場合、少なくともいずれか一のレンズLn1は、少なくともいずれか一の正の屈折力を有するレンズと接合されていることが好ましい。両レンズを接合することで、負の屈折力を有するレンズL1nと正の屈折力を有するレンズとを空気間隔を介して配置した構成と比較すると、偏芯誤差や、単レンズ間の空気間隔の誤差等、種々の製造誤差を小さくすることができる。そのため、製造誤差に起因する光学性能の低下を小さくすることができ、製品毎の性能のバラツキを小さくすることができる。従って、光学性能の高いズームレンズを歩留まりよく製造することができる。
【0020】
さらに、第1レンズ群に含まれる負の屈折力を有するレンズL1nのうち、少なくともいずれか一のレンズL1nのd線におけるアッベ数は45より小さく、第1レンズ群に含まれる正の屈折力を有するレンズのうち、少なくともいずれか一のレンズのアッベ数は45より大きいことが色収差補正の点で好ましい。さらに、第1レンズ群に含まれる正の屈折力を有するレンズのうち、少なくともいずれか一のレンズのアッベ数が57より大きいことがより好ましい。
【0021】
第1レンズ群に含まれる正の屈折力を有するレンズのうち、少なくともいずれか一のレンズのd線におけるアッベ数が上記の条件を満たしていればよく、他の正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数は特に限定されるものではない。しかしながら、第1レンズ群に含まれる正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数が全て45より大きいと、色収差補正をより良好に行うことができるためより好ましい。また、色収差補正をさらに良好に行う上で、第1レンズ群に含まれる正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数が全て48より大きいことが一層好ましく、第1レンズ群に含まれる正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数が全て51より大きいことがより一層好ましい。
【0022】
第1レンズ群を構成するレンズ枚数は特に限定されるものではないが、当該ズームレンズの小型軽量化及び低コスト化を図りつつ、高い光学性能を実現する上で、2枚の正の屈折力を有するレンズと、1枚の負の屈折力を有するレンズL1nの合計3枚のレンズから構成することがより好ましい。
【0023】
(2)第2レンズ群
第2レンズ群は、上記第1レンズ群の像側に配置される負の屈折力を有するレンズ群である。第2レンズ群は全体で負の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。第2レンズ群は全体で負の屈折力を有するため、第2レンズ群は少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズを有すればよい。また、第2レンズ群は正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有することが、色収差の補正の点で好ましい。このとき、正の屈折力を有するレンズの像側に、負の屈折力を有するレンズを配置すると、望遠端において色収差補正をより良好に補正することができるため好ましい。
【0024】
さらに、第2レンズ群を複数枚の負の屈折力を有するレンズを用いて構成すれば、広角端における像面湾曲の補正が容易になるため好ましい。ここで、当該ズームレンズの径方向の小型化を図る上で、広角端では入射瞳位置をできる限り物体側に配置することが好ましい。広角端における入射瞳位置をより物体側に配置し、当該ズームレンズの小型化を図るという観点から、第2レンズ群が複数枚の負の屈折力を有するレンズを含む場合、互いに隣接配置された2枚以上の負の屈折力を有するレンズの像側に正の屈折力を有するレンズが配置されることが好ましい。また、当該ズームレンズの小型化を図る上で第2レンズ群の最も物体側に配置されるレンズはd線における屈折率が1.84より大きいことが好ましい。
【0025】
当該ズームレンズを構成するレンズ群の中で、第2レンズ群は比較的径の大きなレンズで構成される。そのため、第2レンズ群を非球面レンズを用いて構成すると、当該ズームレンズの低コスト化を図ることが困難になる。従って、当該第2レンズ群は非球面レンズを含まないことが当該ズームレンズの低コスト化を図る上で好ましい。ここで、非球面とは非球面係数によって定義されるレンズ面の形状をいう。第2レンズ群には非球面を有するレンズが含まれていなければよく、第2レンズ群には平面や回折格子面などを有するレンズが含まれていてもよい。
【0026】
(3)第3レンズ群
第3レンズ群は、上記第2レンズ群の像側に配置される負の屈折力を有するレンズ群である。第3レンズ群は全体で負の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。第3レンズ群は全体で負の屈折力を有するため、第3レンズ群は少なくとも一枚の負の屈折力を有するレンズを有すればよい。また、第3レンズ群は正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有することが、色収差の補正の点で好ましい。
【0027】
負の屈折力を有するレンズ群では、正の屈折力を有するレンズを高分散硝材製とすることで色収差を補正することが一般的である。しかしながら、第3レンズ群は広角端では上記最大空気間隔の像側に配置される。そのため、第3レンズ群に対する軸外光線と軸上光線の入射角の差が小さいため、軸上色収差の補正効果が軸外色収差の補正効果が第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が狭い場合と比較すると高くなる。従って、第3レンズ群に含まれる正の屈折力を有するレンズは低分散硝材製であることが好ましく、d線におけるアッベ数は30より大きいことが色収差の補正の点で好ましい。正の屈折力を有するレンズの枚数は限定されないが、複数枚正の屈折力を有するレンズを有する場合、少なくとも1枚が上記条件を満足することが好ましい。それ以外の正の屈折力を有するレンズのアッベ数は特に限定されない。さらに、正の屈折力を有するレンズのd線におけるアッベ数は33より大きいことがより好ましく、35より大きいことがさらに好ましく、40より大きいことが一層好ましく、45より大きいことがより一層好ましい。
【0028】
また、第3レンズ群の最も物体側のレンズ面は、物体側に凸の形状を有することが径の小型化を図る上で好ましい。第3レンズ群の最も物体側のレンズ面が物体側に凸の形状を有することは、第3レンズ群の最も物体側のレンズ面が正の屈折力を有することを意味する。第3レンズ群の最も物体側のレンズ面に入射光束を収束する作用を持たせることで、第3レンズ群以降に配置されるレンズ群の径小化を図ることができる。また、第3レンズ群以降のレンズ群が径小化されるとレンズ面を通過する光線高さが低くなるため、各レンズの部品誤差や組み立て誤差で発生する収差量が小さくなる。すなわち、誤差感度の低いズームレンズとなり、生産性を向上することができる。そのため、当該ズームレンズの低コスト化を図ることができる。
【0029】
また、第3レンズ群は負の屈折力を有するレンズLnrを少なくとも1枚有することが好ましい。負の屈折力を有するレンズLnrを少なくとも1枚有することで、像面性が向上し、色収差を低減することができる。そのため、当該ズームレンズの光学性能をより高いものとすることができる。但し、当該レンズLnrは当該ズームレンズにおいて任意の構成である。
【0030】
(4)後群
後群は、上記第3レンズ群よりも像側に配置されるレンズ群の総称である。後群は全体で正の屈折力を有するため、後群は少なくとも一つの正の屈折力を有するレンズ群を有する。後群は全体で正の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ群構成は特に限定されるものではない。例えば、後群の最も物体側に、正の屈折力を有する第4レンズ群を配置すれば、後群の径小化や当該ズームレンズの大口径化を図ることができるため好ましい。また、後群は、正の屈折力を有するレンズ群を2つ以上有していてもよい。
【0031】
さらに、後群は負の屈折力を有するレンズ群Nを少なくとも一つ有することが好ましい。後群内に負の屈折力を有するレンズ群Nを少なくとも一つ配置することで、第2レンズ群で発生する像面湾曲や歪曲を打ち消しあうことができる。そのため、当該ズームレンズの光学性能をより高いものとすることができる。但し、後群のこれらのレンズ群構成は一例であり、上述したとおり後群の具体的なレンズ群構成は特に限定されるものではない。
【0032】
また、後群は負の屈折力を有するレンズLnrを少なくとも1枚有することが好ましい。後群内に負の屈折力を有するレンズLnrを少なくとも1枚配置することで、像面性が向上し、色収差を低減することができる。そのため、当該ズームレンズの光学性能をより高いものとすることができる。当該レンズLnrは後群を構成するレンズ群のうち、どのレンズ群に配置されていてもよいが、例えば、正の屈折力を有するレンズ群に配置されることが好ましく、上述した第4レンズ群に配置されることがより好ましい。但し、当該レンズLnrは当該ズームレンズにおいて任意の構成である。
【0033】
(5)フォーカス群
当該ズームレンズにおいて、フォーカス群の有無は特に限定されるものではない。フォーカス群を設ける場合、当該ズームレンズを構成するレンズのうち少なくとも1枚のレンズをフォーカス群とし、合焦時に当該フォーカス群を光軸方向に移動させて被写体に合焦させることができる。当該ズームレンズにおいてフォーカス群として用いるレンズの位置や屈折力は特に限定されるものではない。
【0034】
当該ズームレンズにフォーカス群を設ける場合、フォーカス群を構成するレンズの枚数は特に限定されるものではなく、フォーカス群を構成するレンズ枚数は1枚であっても、複数枚であってもよい。しかしながら、近接被写体に合焦する際に生じる収差変動を抑制する上では、フォーカス群は複数枚のレンズから構成されていることが好ましい。
【0035】
また、フォーカス群の小型化及び軽量化を図る上で、フォーカス群を1つの単レンズユニットから構成することが好ましい。ここで、単レンズユニットとは、1枚の単レンズ、或いは、複数の単レンズを空気間隔を介することなく一体化された接合レンズなどのレンズユニットをいう。すなわち、単レンズユニットは、複数の光学面を有する場合であっても、その最物体側面及び最像側面のみ空気と接し、その他の面は空気とは接していないものをいう。また、当該明細書において、単レンズは、球面レンズ及び非球面レンズのいずれであってもよい。また、非球面レンズには、表面に非球面フィルムが貼設されたいわゆる複合非球面レンズも含まれるものとする。特に、上記近接被写体に合焦する際に生じる収差変動を抑制しつつ、フォーカス群の小型化及び軽量化を図るという観点から、フォーカス群は複数枚の単レンズが空気間隔を介することなく一体化された接合レンズから構成されることがより好ましい。
【0036】
フォーカス群が上記1つの単レンズユニットから構成される場合、フォーカス群には空気間隔が含まれない。そのため、フォーカス群を複数の単レンズが空気間隔を介して配置された構成と比較すると、フォーカス群の小型化及び軽量化を図ることができる。その結果、合焦時にフォーカス群を光軸方向に移動させるためのメカ部材(以下、「フォーカス駆動機構」と称する。)の小型化及び軽量化を図ることができ、当該ズームレンズユニット全体の小型化及び軽量化を図ることができる。なお、ズームレンズユニットには、当該ズームレンズの他、変倍時に各レンズ群を相対的に移動させるための駆動機構(以下、ズーム駆動機構)や上記フォーカス駆動機構の他、これらを収容する鏡筒等が含まれるものとする。
【0037】
また、フォーカス群を複数枚の単レンズを空気間隔を介して配置した構成と比較すると、フォーカス群を上記1つの単レンズユニットから構成することにより、偏芯誤差や、単レンズ間の空気間隔の誤差等、種々の製造誤差を小さくすることができる。そのため、製造誤差に起因する光学性能の低下を小さくすることができ、製品毎の性能のバラツキを小さくすることができる。従って、光学性能の高いズームレンズを歩留まりよく製造することができる。
【0038】
当該ズームレンズにフォーカス群を設ける場合、フォーカス群の配置は特に限定されるものではないが、第2レンズ群以降に配置されるレンズ群のうちいずれか一のレンズ群、又は、その一部をフォーカス群とすることが好ましい。第1レンズ群は比較的径の大きなレンズにより構成されるため、第2レンズ群以降に配置されるレンズ群にフォーカス群を配置することによりフォーカス群の小型化及び軽量化が容易になる。
【0039】
特に、後群を構成するレンズ群のうちいずれか一のレンズ群、又は、その一部をフォーカス群とすることが好ましい。このとき、後群を構成するレンズ群のうち負の屈折力を有するレンズ群をフォーカス群とすることがさらに好ましい。後群中に、負の屈折力を有するフォーカス群を配置することにより、負の屈折力を有する第2レンズ群で発生する像面湾曲や歪曲収差を当該フォーカス群により相殺することができる。そのため、より光学性能の高いズームレンズを得ることができる。
【0040】
また、当該ズームレンズにフォーカス群を設ける場合、フォーカス群に含まれるレンズ面は球面のみであってもよいし、非球面を含んでいてもよい。当該ズームレンズの低コスト化を図る上ではフォーカス群には非球面が含まれないことが好ましい。
【0041】
一方、フォーカス群に含まれるレンズ面のうち、少なくとも1面を非球面とすることにより、少ないレンズ枚数でフォーカス群を構成したときも、当該ズームレンズに要求される光学性能を満たすことが容易になる。フォーカス群の小型化及び軽量化が図られるため、フォーカス駆動機構含め、ズームレンズユニット全体の小型化を図ることができる。このとき、フォーカス群に含まれる非球面を近軸曲率半径で定義される近軸球面から求められる屈折力を弱める形状とすることで、合焦時の球面収差、コマ収差及び像面湾曲を良好に補正することができるため、より光学性能の高いズームレンズを実現することができる。
【0042】
なお、当該ズームレンズに含まれるフォーカス群は一つに限定されるものではなく、複数のレンズ群又は複数のレンズ群の一部分をフォーカス群としてもよい。すなわち、フローティング方式により合焦してもよい。フローティング方式を採用することにより、より近接合焦時の球面収差や像面性をよくすることが出来るため、光学性能のより高いズームレンズを実現することができて好ましい。
【0043】
(6)防振群
当該ズームレンズにおいて、防振群の有無は特に限定されるものではない。撮像時に撮像装置に振動が伝わるなどして生じる像ブレを補正するためには、電気的に画像を補正したり、撮像素子を移動させたりすることにより行うことができる。当該ズームレンズに防振群を設けない場合、これらの方法で像ブレを補正することができる。
【0044】
当該ズームレンズに防振群を設ける場合、当該ズームレンズを構成するレンズのうち少なくとも1枚のレンズを偏芯することにより、像シフトすればよく、その方法は特に限定されるものではない。
【0045】
例えば、当該ズームレンズを構成するレンズのうち、少なくとも1枚のレンズを防振群とし、当該防振群を光軸と略直交する方向へ移動することで像シフトさせると、鏡筒含めたズームレンズユニット全体の小型化を図ることができるため、小型化を図る上で好ましい。
【0046】
当該ズームレンズに防振群を設ける場合、防振群の配置は特に限定されるものではないが、第3レンズ群以降に配置されるレンズ群に防振群を設けることがより好ましい。当該ズームレンズは上記パワー配置を採用することで、第3レンズ群に対する入射光束の径を第1レンズ群や第2レンズ群に対する入射光束の径よりも小さくすることができる。そのため、防振群を第3レンズ群以降のレンズ群に配置することにより、第1レンズ群又は第2レンズ群に防振群を配置する場合と比較すると、防振群の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0047】
また、当該ズームレンズにおいて、防振群は、開口絞りより像側に配置されることが好ましい。開口絞りより像側は、変倍中の光線高さの変動が小さい為、変倍中の収差変動も小さい。そのため開口絞りよりも像側に防振群を配置すれば、防振群により像シフトさせたときも変倍中の収差変動が小さく、変倍域全域において高い光学性能を実現することができる。
【0048】
当該ズームレンズに防振群を設ける場合、防振群の屈折力は特に限定されるものではなく、正であってもよいし、負であってもよい。後群内に防振群を設ける場合、後群は全体で正の屈折力を有するため、防振群に負の屈折力を配置することにより、像ブレを補正する際の防振群の移動量を小さくすることができる。そのため、鏡筒径が大きくなることを抑制することができて好ましい。
【0049】
当該ズームレンズに防振群を設ける場合、防振群を構成するレンズの枚数は特に限定されるものではない。防振群を複数枚のレンズで構成すれば、防振時の収差変動を抑えることができて好ましい。このとき、防振群は、負の屈折力を有するレンズと正の屈折力を有するレンズとをそれぞれ少なくとも1枚ずつ有することが好ましい。防振群が少なくともそれぞれ1枚の負の屈折力を有するレンズと正の屈折力を有するレンズとを有する場合、防振時の色収差の発生を抑制することができ、より光学性能の高いズームレンズを実現することができる。
【0050】
防振群は、1枚の負の屈折力を有するレンズと1枚の正の屈折力を有するレンズとから構成されることが好ましい。このように防振群を2枚のレンズのみから構成することにより防振群の小型化及び軽量化を図ることができ、防振駆動機構含む当該ズームレンズユニット全体の小型化が図られる。
【0051】
防振群を1枚の負の屈折力を有するレンズと1枚の正の屈折力を有するレンズとから構成する場合、これらの2枚のレンズは接合されていることが好ましい。すなわち、防振群は、負の屈折力を有するレンズと正の屈折力を有するレンズとが接合された上記単レンズユニットから構成されていることが好ましい。防振群を単レンズユニットから構成することで、防振群の小型化及び軽量化をより一層図ることができ、当該ズームレンズユニット全体の小型化をより一層図ることができる。また、防振群を単レンズユニットから構成することにより、偏芯誤差や、単レンズ間の空気間隔の誤差等、種々の製造誤差を小さくすることができる。そのため、製造誤差に起因する光学性能の低下を小さくすることができ、製品毎の性能のバラツキを小さくすることができる。従って、光学性能の高いズームレンズを歩留まりよく製造することができる。
【0052】
また、当該ズームレンズに防振群を設ける場合、防振群に含まれるレンズ面は球面のみであってもよいし、非球面を含んでいてもよい。当該ズームレンズの低コスト化を図る上では防振群には非球面が含まれないことが好ましい。
【0053】
一方、防振群に含まれるレンズ面のうち、少なくとも1面を非球面とすることにより、少ないレンズ枚数で防振群を構成したときも、当該ズームレンズに要求される光学性能を満たすことが容易になる。防振群の小型化及び軽量化が図られるため、防振駆動機構含め、防振ユニット全体の小型化を図ることができる。このとき、防振群に含まれる非球面をその周辺部における屈折力が近軸曲率半径で定義される近軸球面から求められる屈折力よりも弱くなる形状とすることで、防振(偏芯)時の球面収差、コマ収差及び像面湾曲を良好に補正することができる。
【0054】
(7)開口絞り
当該ズームレンズにおいて、開口絞りの配置は特に限定されるものではない。但し、ここでいう開口絞りは、当該ズームレンズの光束径を規定する絞り、すなわち当該ズームレンズのFnoを規定する絞りをいう。
【0055】
当該ズームレンズでは、開口絞りを第3レンズ群以降に配置することが、開口絞りの径小化及び絞りユニットの小型化の点で好ましい。但し、開口絞りを第3レンズ群以降に配置するとは、第3レンズ群又は後群を構成する各レンズ群の物体側又は像側、或いは、第3レンズ群内又は後群を構成する各レンズ群内に開口絞りが配置されることをいうものとする。上述したとおり、当該ズームレンズでは、第2レンズ群による変倍作用が比較的大きいため、第3レンズ群に対する入射光束の径の変動は小さい。そのため、開口絞りを第3レンズ群以降に配置することで開口絞りの径小化及び絞り径の変動を抑制する上でも有利である。
【0056】
当該ズームレンズでは、特に、第3レンズ群の物体側に開口絞りを配置することが好ましい。この場合、当該ズームレンズは物体側から順に「正・負・絞り・負・正」の構成となり、対称型のパワー配置となる。開口絞りを挟んで対称型のパワー配置を採用することにより、開口絞りの前後で上下光線の収差の打ち消し合いが生じ、少ないレンズ枚数で収差補正が良好に行うことができ、光学性能の高いズームレンズを低コストで実現することができる。
【0057】
また、後群が上記負の屈折力を有するレンズ群Nや負のレンズ面Lnrを備える場合、開口絞りはレンズ群N及びレンズ面Lnrよりも物体側に配置されることが好ましい。第2レンズ群で発生する負の歪曲収差や正の像面湾曲を打ち消すためには、開口絞りの前後で同じ方向の収差を発生させればよい。そのため、開口絞りを後群に配置する際に、レンズ群NやレンズLnrより物体側に開口絞りを配置すれば、第2レンズ群で発生する上記負の歪曲収差や正の像面湾曲を後群で効率的に打ち消すことができるため、小型で、且つ、高い光学性能を有するズームレンズを実現することがより容易になるため好ましい。
【0058】
(8)レンズ群構成
当該ズームレンズを構成するレンズ群の数は特に限定されるものではないが、例えば、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群、負の屈折力を有する第5レンズ群及び正の屈折力を有する第6レンズ群からなり、第4レンズ群以降が全体で正の屈折力を有する後群である6群構成のズームレンズ、また、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群、負の屈折力を有する第5レンズ群及び負の屈折力を有する第6レンズ群からなり、第4レンズ群以降が全体で正の屈折力を有する後群である6群構成のズームレンズなど種々のレンズ群構成を採用することができる。物体側から順に正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群と、全体で正の屈折力を有する後群とを備える構成であれば、当該ズームレンズの具体的なレンズ群構成は特に限定されるものではない。
【0059】
1−2.動作
(1)変倍時の動作
当該ズームレンズにおいて、広角端から望遠端への変倍に際して、隣り合うレンズ群の空気間隔を変化させる。後群が複数のレンズ群から構成される場合、変倍に際して各レンズ群間の空気間隔も変化するものとする。このように変倍の際に隣り合うレンズ群の空気間隔が変化していればよく、各レンズ群の空気間隔の増減は特に限定されるものではない。例えば、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔が減少し、第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔も減少することが好ましい。さらに、広角端から望遠端への変倍に際して、第3レンズ群と、後群において最も物体側に配置されるレンズ群との空気間隔、すなわち第3レンズ群と第4レンズ群との空気間隔が減少することが好ましい。
【0060】
広角端から望遠端への変倍に際して、隣り合うレンズ群の空気間隔が変化するように、各レンズ群が相対的に移動すればよく、変倍の際に全てのレンズ群が光軸に沿って移動してもよいし、一部のレンズ群が光軸方向に固定されていてもよい。また、各レンズ群の移動の向きや移動量は特に限定されるものではなく、要求される変倍比等に応じて適宜設定することができる。なお、レンズ群が相対的に移動するとは、隣り合うレンズ群の双方が共に移動すること、又は、隣り合うレンズ群のうちいずれか一方が移動することを意味する。
【0061】
例えば、広角端から望遠端への変倍に際して、当該ズームレンズにおいて最も物体側に配置される第1レンズ群を物体側に移動させるようにすれば、広角端における当該ズームレンズの光学全長を短くすることができる。この場合、鏡筒を外筒部分に対して内筒部分を繰り出し可能に収容した入れ子状の構造とし、広角端から望遠端への変倍時に例えば内筒部分を繰り出して第1レンズ群を物体側に移動させ、望遠端から広角端への変倍時に内筒部分が外筒部分に収容されるようにすれば、広角端状態における鏡筒長を短くすることができ、当該ズームレンズユニットの小型化を図ることができる。このとき、第1レンズ群は、望遠端における位置が広角端における位置よりも物体側であればよく、広角端から望遠端への変倍の際の第1レンズ群の移動の軌跡は限定されるものではない。
【0062】
また、広角端から望遠端への変倍に際して、第3レンズ群と後群の少なくとも1つのレンズ群とを物体側に移動させることが好ましい。この場合、後群の変倍作用を大きくすることができ、第2レンズ群の変倍作用を後群に分散させることができるため、第2レンズ群の変倍負担を軽減することができる。そのため、第2レンズ群に強い屈折力を配置したり、第2レンズ群の変倍時の移動量を大きくしたりせずに、要求される変倍比を得ることが容易になり、当該ズームレンズの小型化及び低コスト化を図ることができる。この際、第3レンズ群及び後群の少なくとも1つのレンズ群は、望遠端における位置が広角端における位置よりも物体側であればよく、広角端から望遠端への変倍の際の第3レンズ群及び後群の少なくとも1つのレンズ群の移動の軌跡は限定されるものではない。
【0063】
さらに、広角端から望遠端への変倍に際して、第2レンズ群を物体側に移動させることが好ましい。それにより、広角端における当該ズームレンズの光学全長を短くすることができる。広角端から望遠端への変倍に際して、第2レンズ群を像側に移動させると、望遠端では第1レンズ群と第2レンズ群との空気間隔を広くすることが容易になり、望遠端における当該ズームレンズの焦点距離を長くすることができ、これと同時に変倍時の第1レンズ群の移動量を小さくすることができる。しかしながら、この場合、当該ズームレンズの光学全長が広角端で長くなってしまう。そこで、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群と第2レンズ群とを物体側に移動させ、第1レンズ群の移動量を第2レンズ群の移動量よりも大きくなるようにすることで、広角端における当該ズームレンズの光学全長を短くすると共に、望遠端における当該ズームレンズの焦点距離を長くすることができる。このとき、第2レンズ群は、望遠端における位置が広角端における位置よりも物体側であればよく、広角端から望遠端への変倍の際の第2レンズ群の移動の軌跡は限定されるものではない。
【0064】
(2)合焦時の動作
当該ズームレンズにフォーカス群を設ける場合、上述したとおり、フォーカス群の位置や屈折力等は特に限定されるものではない。また、無限遠から近接物体への合焦の際に、フォーカス群の移動の方向等についても特に限定されるものではない。例えば、後群内に負の屈折力を有するフォーカス群を配置する場合、当該フォーカス群を像側に移動させて無限遠から近接物体に合焦することが好ましい。一方、第2レンズ群をフォーカス群として用いる場合、当該第2レンズ群を物体側に移動させて、無限遠から近接物体に合焦することが好ましい。
【0065】
ここで、近接被写体撮像時における軸上色収差の発生量や球面収差の発生量は広角端の方が望遠端より少ない。そのため、望遠端における最短撮像距離よりも広角端における最短撮像距離を短くしても広角端における上記収差の各発生量は少ない。従って、望遠端における最短撮像距離に対して、広角端における最短撮像距離を短くすることにより、被写体との距離や被写体の大きさに合わせて、撮像画角を適宜選択することができ、当該ズームレンズにより撮像可能な撮像シーンを拡大することができる。但し、最短撮像距離(最短撮影距離)とは、結像面から被写体までの最短の距離をいう。
【0066】
1−3.条件式
当該ズームレンズでは、上述した構成を採用すると共に、次に説明する条件式を少なくとも1つ以上満足することが好ましい。
【0067】
1−3−1.条件式(1)
−1.50 < β3rw < −0.65 ・・・(1)
但し、
β3rw:第3レンズ群及び後群の広角端における合成横倍率
【0068】
上記条件式(1)は、第3レンズ群及び後群の広角端における合成横倍率を規定する式である。条件式(1)を満足させることにより、交換レンズに適したバックフォーカスを確保しつつ、当該ズームレンズの小型化を図ることができる。
【0069】
これに対して、条件式(1)の数値が下限値以下になると、すなわち第3レンズ群及び後群の広角端における横倍率が大きくなりすぎると、広角端におけるバックフォーカスが長くなるため、広角端における当該ズームレンズの光学全長が長くなり、小型化の点で好ましくない。一方、条件式(1)の数値が上限値以上になると、すなわち第3レンズ群及び後群の広角端における横倍率が小さくなりすぎると、広角端におけるバックフォーカスが短くなるため、交換レンズに適したバックフォーカスを確保することが困難となるため、交換レンズとしては好ましくない。
【0070】
これらの効果を得る上で、条件式(1)の下限値は−1.30であることがより好ましく、−1.20であることがさらに好ましく、−1.15であることが一層好ましく、−1.10であるとより一層好ましい。また、条件式(1)の上限値は−0.70であることがより好ましく、−0.75であることがさらに好ましく、−0.80であることが一層好ましく、−0.85であるとより一層好ましく、−0.90であるとさらに一層好ましい。
【0071】
1−3−2.条件式(2)
−0.40 < β2w < −0.12 ・・・(2)
但し、
β2w:広角端における前記第2レンズ群の横倍率
【0072】
上記条件式(2)は、広角端における第2レンズ群の横倍率を規定するための式である。条件式(2)を満足させることにより、当該ズームレンズの広角端における画角を広くする上で、第2レンズ群の屈折力が適切な範囲内となり、当該ズームレンズの広角化を図ると共に低コスト化を実現することできる。
【0073】
これに対して、条件式(2)の数値が上限値以上になると、第2レンズ群の屈折力が強くなるため、少ないレンズ枚数で収差補正を行うことが困難になるため、当該ズームレンズの低コスト化を図る上で好ましくない。一方、条件式(2)の数値が下限値以下になると、当該ズームレンズの広角端における画角を広げる作用が弱くなるため好ましくない。
【0074】
上記効果を得る上で、条件式(2)の下限値は−0.38であることがより好ましく、−0.36であることがさらに好ましく、−0.34であることが一層好ましく、−0.32であることがより一層好ましく、−0.31であることがさらに一層好ましい。また、条件式(2)の上限値は−0.14であることが好ましく、−0.15であることがさらに好ましく、−0.16であることが一層好ましく、−0.18であることがより一層好ましい。
【0075】
1−3−3.条件式(3)
2.50 < CrL1f/fw < 1000.00 ・・・(3)
但し、
CrL1f:第1レンズ群の最も物体側のレンズ面の曲率半径
fw :広角端における当該ズームレンズの焦点距離
但し、レンズ面の曲率中心がレンズ面よりも像側にある場合は曲率半径の符号を正とし、レンズ面の曲率中心がレンズ面よりも物体側にある場合は曲率半径の符号を負とする。以下、条件式(4)においても同様である。
【0076】
上記条件式(3)は、第1レンズ群において最も物体側に配置されるレンズ面の曲率半径と広角端における当該ズームレンズの焦点距離との比を規定する式である。条件式(3)を満足させることにより、歪曲や像面湾曲を良好に補正することができ、低コストで小型で光学性能の高いズームレンズを実現しつつ、ゴーストの発生も抑制することができる。
【0077】
これに対して、条件式(3)の数値が下限値以下になると、すなわち広角端における当該ズームレンズの焦点距離に対して、第1レンズ群において最も物体側に配置されるレンズ面の曲率半径が小さくなりすぎると、歪曲収差が過補正となると共に、像面湾曲の補正が困難となり好ましくない。一方、条件式(3)の数値が上限値以上になると、第1レンズ群において最も物体側に配置されるレンズ面が平面に近い形状となり、当該ズームレンズに入射した光が像面やカバーガラス等の平面において反射し、その反射光が第1レンズ群において最も物体側に配置されるレンズ面で再反射し、それが再度像面に入射することによりゴーストが発生するため好ましくない。また、この場合、所定の変倍比や画角を得るためには、第1レンズ群において最も物体側に配置されるレンズ面の有効径を大きくする必要があるため、当該ズームレンズの小型化の点で好ましくない。
【0078】
上記効果を得る上で、条件式(3)の下限値は2.70であることがより好ましく、2.90であることがさらに好ましく、3.10であることが一層好ましく、3.20であることがより一層好ましい。また、条件式(3)の上限値は500.00であることが好ましく、100.00であることがさらに好ましく、50.00であることが一層好ましく、30.00であることがより一層好ましい。
【0079】
1−3−4.条件式(4)
0.02 < CrG3f/ft < 1.20 ・・・(4)
但し、
CrG3f:第3レンズ群の最も物体側のレンズ面の曲率半径
ft :望遠端における当該ズームレンズの焦点距離
【0080】
上記条件式(4)は、第3レンズ群の最も物体側のレンズ面の曲率半径と、望遠端における当該ズームレンズの焦点距離との比を規定する式である。条件式(4)を満足する場合、第3レンズ群の最も物体側のレンズ面は物体側に凸形状を有する。この場合、第3レンズ群の最も物体側のレンズ面は入射光を収束する作用を有するため、第3レンズ群及び第3レンズ群以降に配置されるレンズ群の径小化を図ることができる。また、第3レンズ群以降のレンズ群が径小化されるとレンズ面を通過する光線高さが低くなるため、各レンズの部品誤差や組み立て誤差で発生する収差量が小さくなる。すなわち、誤差感度の低いズームレンズとなり、生産性を向上することができる。そのため、当該ズームレンズの低コスト化を図ることができる。
【0081】
また、当該ズームレンズでは、第2レンズ群が負の屈折力を有するため、第2レンズ群において発散された光線が第3レンズ群に入射する。第3レンズ群の最も物体側のレンズ面に比較的強い正の屈折力を配置することで、光線高さの高い面において負の球面収差の補正を行うため、当該補正を効果的に行うことができ、より光学性能の高いズームレンズを得ることができる。従って、条件式(4)を満足させることで、小型で光学性能が高く、誤差感度の低いズームレンズを実現することができる。
【0082】
これに対して、条件式(4)の数値が上限値以上になると、第3レンズ群の最も物体側のレンズ面に配置する屈折力が望遠端における当該ズームレンズの焦点距離に対して弱くなり、球面収差が補正不足となるとともに、当該ズームレンズの径小化と誤差感度を低くすることが困難となるため好ましくない。一方、条件式(4)の数値が下限値以下になると、第3レンズ群の最も物体側のレンズ面に配置する屈折力が望遠端の焦点距離に対して強くなりすぎて、球面収差が過補正となり、光学性能の高いズームレンズを得ることが困難になるため好ましくない。
【0083】
上記効果を得る上で、条件式(4)の下限値は0.04であることがより好ましく、0.06であることがさらに好ましく、0.08であることが一層好ましく、0.10であることがより一層好ましく、0.12であることがさらに一層好ましい。また、条件式(4)の上限値は1.15であることがより好ましく、1.10であることがさらに好ましく、1.05であることが一層好ましく、1.00であることがより一層好ましく、0.95であることがさらに一層好ましい。
【0084】
1−3−5.条件式(5)
1.85 < NdLnr < 2.20 ・・・(5)
但し、
NdLnr:レンズLnrのd線における屈折率
【0085】
条件式(5)は、第3レンズ群及び/又は後群に含まれる負の屈折力を有するレンズLnrのd線における屈折率を規定する式である。当該ズームレンズにおいて、負の屈折力を有するレンズLnrは少なくとも1枚あればよく、レンズLnrの枚数は限定されるものではない。条件式(5)を満足するレンズLnrがあれば、ペッツバール和の補正が良好となり、像面湾曲の小さいズームレンズを実現することができる。
【0086】
上記効果を得る上で、条件式(5)の下限値は1.86であることがより好ましく、1.87であることがさらに好ましく、1.88であることが一層好ましく、1.90であるとより一層好ましい。また、条件式(5)の上限値は2.10であることがより好ましく、2.05であることがさらに好ましい。
【0087】
1−3−6.条件式(6)
後群の最も物体側に正の屈折力を有する第4レンズ群を有する場合、以下の条件式を満足することが好ましい。
0.01 < f4/ft < 0.50 ・・・(6)
但し、
f4:第4レンズ群の焦点距離
ft:望遠端における当該ズームレンズの焦点距離
【0088】
上記条件式(6)は、後群の最も物体側に正の屈折力を有する第4レンズ群が配置される場合、当該第4レンズ群の焦点距離と望遠端における当該ズームレンズの焦点距離との比を規定する式である。条件式(6)を満足させることで、第4レンズ群の屈折力が適切な範囲内とすることができ、光学性能が高く小型のズームレンズを実現することが容易になる。
【0089】
これに対して、条件式(6)の数値が下限値以下になると、第4レンズ群の屈折力が大きくなりすぎるため、望遠端における球面収差やコマ収差が発生し、光学性能の高いズームレンズを実現することが困難になるため好ましくない。一方、条件式(6)の数値が上限値以上になると、第4レンズ群の屈折力が小さくなりすぎるため、望遠端における当該ズームレンズの光学全長が長くなるとともに、径小化が不十分となり、小型のズームレンズを実現することが困難になるため好ましくない。
【0090】
上記効果を得る上で、条件式(6)の下限値は0.02であることがより好ましく、0.03であることがさらに好ましく、0.05であることが一層好ましく、0.07であることがより一層好ましく、0.09であることがさらに一層好ましい。また、条件式(6)の上限値は0.45であることがより好ましく、0.40であることがさらに好ましく、0.35であることが一層好ましく、0.30であることがより一層好ましく、0.25であることがさらに一層好ましい。
【0091】
1−3−7.条件式(7)
後群が負の屈折力を有するレンズ群Nを少なくとも1つ有する場合、以下の条件式を満足することが好ましい。
0.40 < fN/f2 < 10.00 ・・・(7)
但し、
fN:レンズ群Nの焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離
【0092】
上記条件式(7)は、レンズ群Nの焦点距離と第2レンズ群の焦点距離との比を規定するための式である。条件式(7)を満足させることにより、レンズ群Nと第2レンズ群とにより収差を適切に打ち消し合わせることができ、少ないレンズ枚数で光学性能の高いズームレンズを実現することができる。すなわち、低コストで光学性能の高いズームレンズを実現することができる。但し、後群が複数のレンズ群Nを有する場合、少なくともいずれか一つのレンズ群Nが上記条件式(7)を満足していればよい。
【0093】
これに対して、条件式(7)の数値が下限値以下になると、第2レンズ群に比してレンズ群Nの屈折力が大きくなりすぎるため、望遠端では正の歪曲収差やコマ収差が発生し、これらを補正するためのレンズ枚数を要するため、少ないレンズ枚数で後群を構成することが困難になる。一方、条件式(7)の数値が上限値以上になると、レンズ群Nに比して第2レンズ群の屈折力が大きくなりすぎるため、広角端では負の歪曲や負の像面湾曲が発生し、これらを補正するためのレンズ枚数を要する。そのため、少ないレンズ枚数で第2レンズ群を構成することが困難になる。これらのことから、いずれの場合も、低コストで光学性能の高いズームレンズを実現することが困難になり好ましくない。
【0094】
上記効果を得る上で、条件式(7)の下限値は0.50であることがより好ましく、0.60であることがさらに好ましく、0.70であることが一層好ましく、0.80であることがより一層好ましく、0.90であることがさらに一層好ましい。また、条件式(7)の上限値は9.00であることがより好ましく、8.00であることがさらに好ましく、7.00であることが一層好ましく、6.00であることがより一層好ましく、5.50であることがさらに一層好ましい。
【0095】
1−3−8.条件式(8)
第1レンズ群が少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズLn1を有する場合、以下の条件式を満足することが好ましい。
1.82 < NdLn1 < 2.20 ・・・(8)
但し、
NdLn1:レンズLn1のd線における屈折率
【0096】
上記条件式(8)は、負の屈折力を有するレンズLn1のd線における屈折率を規定するための式である。正の屈折力を有するレンズ群では、負の屈折力を有するレンズを高屈折率硝材製とし、正の屈折力を有するレンズを低屈折率硝材製とすることでペッツバール和の補正を行うことが一般的である。しかしながら、屈折率が高い硝材からなるレンズは高価である。そのため、当該レンズLn1の屈折率が高くなりすぎると、当該ズームレンズの低コスト化の点で好ましくない。条件式(8)を満足することで、良好な像面性を確保しながら、当該ズームレンズの低コスト化を図ることができる。
【0097】
これらの効果を得る上で、条件式(8)の下限値は1.83であることがより好ましく、1.85であることがさらに好ましく、1.86であることが一層好ましく、1.88であることがより一層好ましく、1.90であることがさらに一層好ましい。また、条件式(8)の上限値は2.10であることがより好ましく、2.05であることがさらに好ましい。
【0098】
1−3−9.条件式(9)
0.01 < |X1|/ft < 0.70 ・・・(9)
但し、
X1:広角端から望遠端に変倍する間に第1レンズ群が位置し得る最像側位置から最物体側位置までの距離
ft:望遠端における当該ズームレンズの焦点距離
【0099】
上記条件式(9)は、広角端から望遠端に変倍する際の第1レンズ群の物体側への移動量を規定するための式である。条件式(9)を満足する場合、第1レンズ群の屈折力が適正であり、且つ、変倍時における当該移動量が適正な範囲内となる。そのため、所定の変倍を確保しつつ、広角端における当該ズームレンズの光学全長を短くすることができ、当該ズームレンズの小型化を図ることができる。
【0100】
これに対して、条件式(9)の数値が下限値以下になると、変倍時における第1レンズ群の上記移動量が小さくなる。この場合、所定の変倍比を確保するには、各レンズ群の屈折力を強くする必要がある。各レンズ群の屈折力を強くすると、軸上色収差や球面収差等の収差補正の為に多くのレンズ枚数が必要となり、当該ズームレンズの小型化を図ることが困難になる。一方、条件式(9)の数値が上限値以上になると、変倍時における第1レンズ群の上記移動量が大きくなる。この場合、鏡筒を外筒部分に内筒部分を収容した入れ子状の構造とした場合、広角端における光学全長に合わせて鏡筒長を設計すると、内筒部分を2重にして外筒部分に収容する必要が生じるなど、鏡筒の構造が複雑となり、鏡筒の外径も大きくなるため好ましくない。
【0101】
但し、「広角端から望遠端に変倍する間に第1レンズ群が位置し得る最像側位置から最物体側位置まで、第1レンズ群が移動する際の移動量」は、「広角端から望遠端に変倍する間に第1レンズ群が位置し得る最も像側の位置と、第1レンズ群が位置し得る最も物体側の位置との間の光軸上の距離(差分)」に等しい。よって、「X1」は「広角端から望遠端に変倍する間に第1レンズ群が位置し得る最も像側の位置と、第1レンズ群が位置し得る最も物体側の位置との間の光軸上の距離」と換言することができる。例えば、広角端から望遠端に変倍する際に第1レンズ群が像側に凸の軌跡を描きながら物体側に移動する場合には、変倍の際に第1レンズ群が描く凸の軌跡の頂点の位置(最像側位置)と、広角端又は望遠端において第1レンズ群が最も物体側となる位置(最物体側位置)との間の距離がX1となる。なお、第1レンズ群の移動の軌跡は、上述のように像側に凸であってもよいし、物体側に凸であってもよいし、S字を描いてもよいし、特に限定されるものではない。第1レンズ群の移動の軌跡が直線であってもよいのは勿論である。
【0102】
これらの効果を得る上で、条件式(9)の下限値は0.05であることがより好ましく、0.10であることがさらに好ましく、0.15であることが一層好ましく、0.20であるとより一層好ましい。また、条件式(9)の上限値は0.67であることがより好ましく、0.65であることがさらに好ましく、0.62であることが一層好ましく、0.60であるとより一層好ましい。
【0103】
1−3−10.条件式(10)
0.10 < f1/ft < 1.20 ・・・(10)
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
ft:望遠端における当該ズームレンズの焦点距離
【0104】
上記条件式(10)は、前記第1レンズ群の焦点距離と前記ズームレンズの望遠端における焦点距離の比を規定するための式である。条件式(10)を満足させることで、第1レンズ群の屈折力が適切な範囲内となり、小型で光学性能の高いズームレンズを実現することが容易になる。
【0105】
これに対して、条件式(10)の数値が下限値以下になると、第1レンズ群の屈折力が大きくなりすぎる。そのため、望遠端における球面収差や像面湾曲が発生し、光学性能の高いズームレンズを得ることが困難になり、好ましくない。一方、条件式(10)の数値が上限値以上になると、第1レンズ群の屈折力が小さくなりすぎる。そのため、望遠端における光学全長が長くなるため、当該ズームレンズの小型化を図る上で好ましくない。
【0106】
上記効果を得る上で、条件式(10)の下限値は0.15であることがより好ましく、0.20であることがさらに好ましく、0.25であることが一層好ましく、0.30であることがより一層好ましく、0.35であることがさらに一層好ましい。また、条件式(10)の上限値は1.15であることがより好ましく、1.10であることがさらに好ましく、1.05であることが一層好ましく、1.00であることがより一層好ましく、0.98であることがさらに一層好ましい。
【0107】
1−3−11.条件式(11)
−1.50 < f2/fw < −0.50 ・・・(11)
但し、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
fw:広角端における当該ズームレンズの焦点距離
【0108】
上記条件式(11)は、第2レンズ群の焦点距離と広角端における当該ズームレンズの焦点距離との比を規定するための式である。条件式(11)を満足させることで、第2レンズ群の屈折力が適切な範囲内とすることができ、小型で光学性能の高いズームレンズを実現することが容易になる。
【0109】
これに対して、条件式(11)の数値が下限値以下になると、第2レンズ群の屈折力が小さくなりすぎるため、入射瞳位置を物体側に配置することが困難となり、広角端において第1レンズ群を構成するレンズの径小化が困難になるため好ましくない。一方、条件式(11)の数値が上限値以上になると、第2レンズ群の屈折力が大きくなりすぎる。そのため、像面湾曲や歪曲収差が過補正となり、光学性能の高いズームレンズを実現することが困難になるため好ましくない。
【0110】
上記効果を得る上で、条件式(11)の下限値は−1.40であることがより好ましく、−1.30であることがさらに好ましく、−1.20であることが一層好ましく、−1.10であることがより一層好ましく、−1.00であることがさらに一層好ましい。また、条件式(11)の上限値は−0.52であることがより好ましく、−0.55であることがさらに好ましく、−0.58であることが一層好ましく、−0.62であることがより一層好ましく、−0.65であることがさらに一層好ましく、−0.70であることがよりさらに一層好ましい。
【0111】
1−3−12.条件式(12)
−0.50 < ft/f3 < 0.00 ・・・(12)
但し、
ft:望遠端における当該ズームレンズの焦点距離
f3:第3レンズ群の焦点距離
【0112】
上記条件式(12)は、望遠端における当該ズームレンズの焦点距離と第3レンズ群の焦点距離との比を規定するための式である。条件式(12)を満足させることで、第3レンズ群の屈折力が適切な範囲内とすることができ、小型で光学性能の高いズームレンズを実現することが容易になる。
【0113】
これに対して、条件式(12)の数値が下限値以下になると、第3レンズ群の屈折力が大きくなりすぎるため、望遠端における球面収差が発生し、光学性能の高いズームレンズを実現することが困難になる。また、光学全長が長くなるため当該ズームレンズの小型化を図る上でも好ましくない。一方、条件式(12)の数値が上限値以上になると、第3レンズ群の屈折力が小さくなりすぎる。そのため、球面収差が補正不足となり、光学性能の高いズームレンズを実現することが困難になる。
【0114】
上記効果を得る上で、条件式(12)の下限値は−0.45であることがより好ましく、−0.40であることがさらに好ましく、−0.35であることが一層好ましく、−0.30であることがより一層好ましく、−0.25であることがさらに一層好ましい。また、条件式(10)の上限値は−0.01であることがより好ましく、−0.02であることがさらに好ましく、−0.03であることが一層好ましく、−0.04であることがより一層好ましい。
【0115】
1−3−13.条件式(13)
0.001 < D23t/ft < 0.230 ・・・(13)
但し、
D23t:望遠端における第2レンズ群の最も像側レンズ面と前記第3レンズ群の最も物体側レンズ面との間の光軸上の距離
ft :望遠端における当該ズームレンズの焦点距離
【0116】
上記条件式(13)は、望遠端における第2レンズ群の最も像側レンズ面と前記第3レンズ群の最も物体側レンズ面との間の光軸上の距離と、望遠端における当該ズームレンズの焦点距離との比を規定する式である。条件式(13)を満足させることで、望遠端における第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が適正な範囲内となり、鏡筒内のメカ構成を簡素化することができ、且つ、望遠端における当該ズームレンズの光学全長を短くすることができる。また、望遠端で後群における光線高さを低くできるため、第3レンズ群以降のレンズの誤差感度を低減できる。そのため製造誤差に起因する光学性能の低下を小さくすることが出来るので、光学性能の高いズームレンズを歩留まりよく製造することができる。
【0117】
これに対して、条件式(13)の数値が下限値以下になると、望遠端における第2レンズ群の最も像側レンズ面と第3レンズ群の最も物体側レンズ面との間の光軸上の距離が小さくなる。第3レンズ群の物体側に絞りユニットを配置すると、第2レンズ群と絞りユニットとの干渉が起きるため、第2レンズ群や絞りを駆動するためのメカ構成が困難となるため好ましくない。一方、条件式(13)の数値が上限値以上になると、望遠端における第2レンズ群と前記第3レンズ群の空気間隔が大きくなる。この場合、望遠端における光学全長が長くなるため、小型化を図ることが困難になる。また、望遠端における第2レンズ群と後群の間隔が大きくなると、後群に入射する光線高さが高くなる。球面収差係数は入射瞳径の3乗に比例する。そのため、光線高さが高くなると諸収差の発生量が大きくなる。そのため、後群に入射する光線高さが高くなると、製造誤差によって発生する収差が大きくなり、高い部品精度や組み立て性を要求することとなり、光学性能の高いズームレンズを歩留まり良く製造することが困難になり、低コスト化を図る上でも好ましくない。
【0118】
これらの効果を得る上で、条件式(13)の下限値は0.002であることがより好ましく、0.004であることがさらに好ましく、0.005であることが一層好ましく、0.010であるとさらに一層好ましい。また、条件式(13)の上限値は0.200であることがより好ましく、0.150であることがさらに好ましく、0.120であることが一層好ましく、0.100であることがより一層好ましく、0.080であることがさらに一層好ましい。
【0119】
1−3−14.条件式(14)
0.50 < D23w/fw < 6.20 ・・・(14)
但し、
D23w:広角端における第2レンズ群の最も像側レンズ面と第3レンズ群の最も物体側レンズ面との間の光軸上の距離
fw :広角端における当該ズームレンズの焦点距離
【0120】
上記条件式(14)は、第2レンズ群の最も像側レンズ面と第3レンズ群の最も物体側レンズ面との間の光軸上の距離と広角端における当該ズームレンズの焦点距離との比を規定する式である。条件式(14)を満足させることにより、広角端における第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が適正になり、広角端における当該ズームレンズの光学全長方向の小型化と前玉径の小型化とを同時に実現することができる。
【0121】
これに対して、条件式(14)の数値が下限値以下になると、広角端における第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が狭くなる。当該ズームレンズでは第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔を変化させることで変倍作用を得ている。そのため、広角端における第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が狭いと、変倍比の高いズームレンズを実現することが困難になるため好ましくない。一方、条件式(14)の数値が上限値以上になると、広角端における第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が広くなる。この場合、広角端における当該ズームレンズの光学全長が長くなるため、当該ズームレンズの小型化を図る上で好ましくない。また、広角端における第2レンズ群と第3レンズ群との空気間隔が大きくなると、第3レンズ群に開口絞りを配置した場合、入射瞳位置を物体側に配置することが困難になり、入射瞳位置が像側に移動してしまう。そのため、前玉径が大きくなり、当該ズームレンズの径方向の小型化を図る上で好ましくない。また前玉径が大きくなるにつれ、レンズコストが高くなるため、当該ズームレンズの低コスト化を図る上でも好ましくない。
【0122】
これらの効果を得る上で、条件式(14)の下限値は0.55であることがより好ましく、0.60であることがさらに好ましく、0.65であることが一層好ましく、0.70であるとより一層好ましく、0.75であるとさらに一層好ましい。また、条件式(14)の上限値は5.90であることがより好ましく、5.00であることがさらに好ましく、4.00であることが一層好ましく、3.00であるとより一層好ましく、2.00であるとさらに一層好ましい。
【0123】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係るズームレンズと、当該ズームレンズの像面側に、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。
【0124】
ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子等も用いることができる。本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。特に、本件発明に係るズームレンズは交換レンズシステムに好適なバックフォーカスを確保することができる。そのため、光学式ファインダーや、位相差センサ、これらに光を分岐するためのリフレックスミラー等を備えた一眼レフカメラ等の撮像装置に好適である。
【0125】
当該撮像装置は、撮像素子により取得した撮像画像データを電気的に加工して、撮像画像の形状を変化させる画像処理部や、当該画像処理部において撮像画像データを加工するために用いる画像補正データ、画像補正プログラム等を保持する画像補正データ保持部等を有することがより好ましい。ズームレンズを小型化した場合、結像面において結像された撮像画像形状の歪み(歪曲)が生じやすくなる。その際、画像補正データ保持部に予め撮像画像形状の歪みを補正するための歪み補正データを保持させておき、上記画像処理部において、画像補正データ保持部に保持された歪み補正データを用いて、撮像画像形状の歪みを補正することが好ましい。このような撮像装置によれば、ズームレンズの小型化をより一層図ることができ、秀麗な撮像画像を得ると共に、撮像装置全体の小型化を図ることができる。
【0126】
さらに、本件発明に係る撮像装置において、上記画像補正データ保持部に予め倍率色収差補正データを保持させておき、上記画像処理部において、画像補正データ保持部に保持された倍率色収差補正データを用いて、当該撮像画像の倍率色収差補正を行わせることが好ましい。画像処理部により、倍率色収差を補正することで、ズームレンズを構成するレンズ枚数を削減することが可能になる。そのため、このような撮像装置によれば、ズームレンズの小型化をより一層図ることができ、秀麗な撮像画像を得ると共に、撮像装置全体の小型化を図ることができる。
【0127】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0128】
(1)ズームレンズの光学構成
図1は、本件発明に係る実施例1のズームレンズの広角端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。なお、図中に示す「IMG」は結像面であり、具体的にはCCDセンサ、CMOSセンサ等の固体撮像素子の撮像面、或いは、銀塩フィルムのフィルム面等を表す。また、結像面IMGの物体側にはカバーガラス「CG」等の実質的な屈折力を有さない平行平板を備える。これらの点は、他の実施例で示す各レンズ断面図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0129】
実施例1のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6とから構成されている。開口絞りSは第3レンズ群G3の物体側に配置されている。当該ズームレンズにおいて最も物体側に配置されるレンズ面から最も像側に配置されるレンズ面までの空気間隔の中で、広角端では第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が最も大きい。本実施例では、後群は第4レンズ群G4、第5レンズ群G5、及び第6レンズ群G6から構成され、負の屈折力を有する第5レンズ群G5はレンズ群Nに相当する。
【0130】
以下、各レンズ群の構成を説明する。第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側凸形状の負メニスカスレンズL1及び両凸レンズL2が接合された接合レンズと、物体側凸形状の正メニスカスレンズL3とから構成される。物体側凸形状の負メニスカスレンズL1は本件発明にいう負の屈折力を有するレンズLn1に相当する。
【0131】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側凸形状の負メニスカスレンズL4と、両凹レンズL5と、両凸レンズL6と、両凹レンズL7とから構成されている。
【0132】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、開口絞りSと、両凸レンズL8と、両凸レンズL9及び物体側凹形状の負メニスカスレンズL10が接合された接合レンズと、両凹レンズL11及び物体側凸形状の正メニスカスレンズL12が接合された接合レンズとから構成されている。物体側凹形状の負メニスカスレンズL10は本件発明にいう負の屈折力を有するレンズLnrに相当する。
【0133】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL13と、両凸レンズL14及び物体側凹形状の負メニスカスL15が接合された接合レンズとから構成されている。両凸レンズL13の両面は非球面である。
【0134】
第5レンズ群G5は、物体側凸形状の負メニスカスレンズL16から構成されている。
【0135】
第6レンズ群G6は、物体側凹形状の正メニスカスレンズL17から構成されている。
【0136】
実施例1のズームレンズは、広角端から望遠端への変倍時に、像面に対して第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は物体側に移動し、第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は物体側に移動し、第6レンズ群G6は光軸方向に固定されている。なお、後群に含まれる負の屈折力を有する群を、その物体側に配置されるレンズ群に対して像側にUターンするような軌跡で移動させると、中間焦点距離の像面性が向上する。本実施例では負の屈折力を有する第5レンズ群G5を第4レンズ群G4に対して像側にUターンするような動きをさせることで、上記効果が得られる。
【0137】
また、無限遠物体から近接物体への合焦の際、第5レンズ群G5が光軸に沿って像側に移動する。
【0138】
なお、当該ズームレンズを構成するレンズのうち、少なくともいずれか1枚のレンズを防振群とすることも好ましい。防振群を設けることで、当該ズームレンズに手振れ等により振動が伝達された際に、当該防振群を光軸と略垂直方向に移動させて像をシフトさせることで、いわゆる手ブレ補正を行うことができる。実施例1のズームレンズでは、第3レンズ群G3に含まれる両凹レンズL11及び物体側凸形状の正メニスカスレンズL12から構成される接合レンズを防振群とすることが好ましい。
【0139】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表1に当該ズームレンズの面データを示す。表1において、「面番号」は物体側から数えたレンズ面の順番、「r」は曲率半径、「d」はレンズ面の光軸上の間隔、「Nd」はd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、「νd」はd線におけるアッベ数、「H」は有効半径を示している。また、面番号の次の欄に表示する「ASP」は当該レンズ面が非球面であることを表し、「S」は開口絞りを表している。さらに、レンズ面の光軸上の間隔の欄に、「D6」、「D14」等と示すのは、当該レンズ面の光軸上の間隔が変倍時又は合焦時に変化する可変間隔であることを意味する。なお、各表中の長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」である。また、曲率半径の「0.0000」は平面を意味する。なお、表1における第36面及び第37面はカバーガラスCGの面データである。
【0140】
表2は、当該ズームレンズの諸元表である。当該緒元表には、無限遠合焦時における当該ズームレンズの焦点距離「f」、Fナンバー「Fno」、半画角「ω」、像高「Y」、光学全長「TL」を示す。但し、表2には、左側から順に、広角端、中間焦点距離状態、望遠端におけるそれぞれの値を示している。なお、各表中の長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」である。
【0141】
表3に、変倍時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔を示す。表3において、左側から順に、広角端、中間焦点距離状態、望遠端における無限遠合焦時におけるそれぞれの値を示している。なお、表中「INF」は「∞(無限大)」であることを示す。なお、表中の長さの単位は全て「mm」である。
【0142】
表4に、合焦時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔を示す。表4には、広角端、中間焦点距離状態、望遠端において、それぞれ撮影距離(撮像距離)が350.00mm、700.00mm、1000.00mmのときの値を示している。これらの撮影距離が各焦点距離における最短撮像距離である。なお、表中の長さの単位は全て「mm」である。
【0143】
表5は、当該ズームレンズを構成する各レンズ群の焦点距離を示している。
【0144】
表6は、各非球面の非球面係数である。当該非球面係数は、各非球面形状を下記式で定義したときの値である。
【0145】
X(Y)=CY
2/[1+{1−(1+Κ)・C
2Y
2}
1/2]+A4・Y
4+A6・Y
6+A8・Y
8+A10・Y
10+A12・Y
12
【0146】
但し、表6において、「E−a」は「×10
−a」を示す。また、上記式において、「X」は光軸方向の基準面からの変位量、「C」は面頂点での曲率、「Y」は光軸に垂直な方向の光軸からの高さ、「Κ」はコーニック係数、「An」はn次の非球面係数とする。
【0147】
また、表25に各条件式(1)〜条件式(14)の値を示す。さらに、表26に条件式(1)〜条件式(14)の計算に用いた各値を示す。
【0148】
上述した各表に関する事項は他の実施例で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0149】
[表1]
面番号 r d Nd vd H
1 116.0437 1.370 1.90440 31.31 25.800
2 62.1234 0.020 1.56766 42.84 25.075
3 62.1234 7.089 1.48767 70.44 25.073
4 -660.0622 0.140 24.903
5 56.5319 5.330 1.59373 67.00 23.700
6 366.6100 D6 23.476
7 73.1105 0.950 1.91149 35.25 12.848
8 14.8677 5.720 10.171
9 -52.3595 0.830 1.77291 49.62 9.772
10 35.8574 0.167 9.272
11 24.1476 4.502 1.84756 23.78 9.200
12 -36.9502 0.547 8.902
13 -28.1911 0.830 1.77291 49.62 8.715
14 98.7836 D14 8.299
15 S 0.0000 1.060 5.620
16 67.4001 2.350 1.48767 70.44 5.874
17 -1195.1709 0.575 6.083
18 24.0699 3.493 1.48767 70.44 6.303
19 -21.1357 0.010 1.56766 42.84 6.323
20 -21.1357 0.800 1.90440 31.31 6.324
21 -114.9128 3.030 6.450
22 -33.7527 0.890 1.59373 67.00 6.841
23 24.6903 0.010 1.56766 42.84 7.139
24 24.6903 1.645 1.80598 25.46 7.140
25 69.5662 D25 7.200
26 ASP 28.8941 4.008 1.59225 67.02 8.752
27 ASP -23.1730 0.115 8.820
28 93.5454 3.774 1.48767 70.44 8.878
29 -20.7679 0.010 1.56766 42.84 8.860
30 -20.7679 0.800 1.80598 25.46 8.860
31 -50.5655 D31 9.000
32 65.1102 0.800 1.48767 70.44 8.940
33 20.2552 D33 8.815
34 -4405.2863 1.770 1.52297 68.02 12.218
35 -151.9757 35.111 12.303
36 0.0000 2.000 1.51654 64.14 14.385
37 0.0000 1.000 14.462
【0150】
[表2]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 18.442 54.706 103.541
Fno 3.728 5.123 5.718
ω 39.955 14.433 7.706
Y 14.500 14.500 14.500
TL 128.620 161.607 185.651
【0151】
[表3]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 18.442 54.706 103.541
撮影距離 INF INF INF
D6 1.441 25.922 45.260
D14 19.916 5.298 2.680
D25 7.051 5.066 4.154
D31 1.342 4.283 2.719
D33 8.125 30.295 40.094
【0152】
[表4]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 18.442 54.706 103.541
撮影距離 350.00 700.00 1000.00
D31 2.065 5.878 5.798
D33 7.402 28.700 37.015
【0153】
[表5]
群 面番号 焦点距離
G1 1-6 93.429
G2 7-14 -14.876
G3 15-25 -957.373
G4 26-31 20.044
G5 32-33 -60.645
G6 34-35 300.939
【0154】
[表6]
面番号 Κ A4 A6 A8 A10 A12
26 0.000 -2.3253E-05 2.4323E-08 1.0641E-10 0.0000E+00 0.0000E+00
27 0.000 1.1783E-05 3.3426E-09 1.4743E-10 0.0000E+00 0.0000E+00
【0155】
また、
図2〜
図4に当該実施例1のズームレンズの広角端、中間焦点距離状態、望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。各図に示す縦収差図は、図面に向かって左側から順に、それぞれ球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)である。球面収差を表す図では、縦軸はF値、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線(波長λ=587.6nm)、一点鎖線がg線(波長λ=435.8nm)、点線がC線(波長λ=656.3nm)における球面収差を示す。非点収差を表す図では、縦軸は半画角、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線に対するサジタル像面、点線がd線に対するメリジオナル像面を示す。歪曲収差を表す図では、縦軸は半画角、横軸に%をとり、歪曲収差を表す。これらの縦収差図に関する事項は、他の実施例で示す縦収差図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0156】
また、当該ズームレンズの広角端における無限遠合焦時のバックフォーカス「fb」は以下のとおりである。但し、以下の値は、カバーガラス(Nd=1.5168)を含まない値であり、他の実施例に示すバックフォーカスも同様である。
fb= 37.430(mm)
【実施例2】
【0157】
(1)ズームレンズの光学構成
図5は、本件発明に係る実施例2のズームレンズの広角端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6とから構成されている。開口絞りSは第3レンズ群G3の最も像側に配置されている。当該ズームレンズにおいて最も物体側に配置されるレンズ面から最も像側に配置されるレンズ面までの空気間隔の中で、広角端では第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が最も大きい。本実施例では、後群は第4レンズ群G4、第5レンズ群G5及び第6レンズ群G6から構成され、負の屈折力を有する第5レンズ群G5はレンズ群Nに相当する。
【0158】
以下、各レンズ群の構成を説明する。各レンズ群の構成を説明する。第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側凸形状の負メニスカスレンズL1及び物体側凸形状の正メニスカスレンズL2が接合された接合レンズと、物体側凸形状の正メニスカスレンズL3とから構成される。物体側凸形状の負メニスカスレンズL1が本件発明にいう上記レンズLn1に相当する。
【0159】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側凸形状の負メニスカスレンズL4と、両凹レンズL5、両凸レンズL6及び両凹レンズL7が接合された3枚接合レンズとから構成されている。負メニスカスレンズL4の物体側面は非球面である。
【0160】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、開口絞りSと、両凸レンズL8と、物体側凸形状の負メニスカスレンズL9及び物体側凸形状の正メニスカスレンズL10が接合された接合レンズと、両凹レンズL11とから構成されている。両凹レンズL11は、その物体側のレンズ面に非球面フィルムが貼設されたいわゆる複合非球面レンズである。また、両凹レンズL11は本件発明にいう負の屈折力を有するレンズLnrに相当する。
【0161】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL12と、物体側凸形状の負メニスカスレンズL13及び両凸レンズL14が接合された接合レンズとから構成されている。両凸レンズL12の両面は非球面である。また、負メニスカスレンズL13が、本件発明にいう第3レンズ群G3から像側に含まれる負の屈折力を有するレンズLnrに相当する。
【0162】
第5レンズ群G5は、物体側凸形状の負メニスカスレンズL15から構成されている。
【0163】
第6レンズ群G6は、両凸レンズL16と、両凹レンズL17と、物体側凹形状の負メニスカスレンズL18とから構成されている。
【0164】
実施例2のズームレンズは、広角端から望遠端への変倍時に、像面に対して第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像側にUターンするように移動し、第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は物体側に移動し、第6レンズ群G6は物体側に移動する。第4レンズ群G4と第6レンズ群G6とは、同じ軌跡で移動する。第4レンズ群G4と第6レンズ群G6とを同じ軌跡で移動させることで、第4レンズ群G4と第6レンズ群G6とをメカ的に結合した一つのユニットとして構成することができる。そのため、鏡筒に形成するカム溝の本数を削減することができ、鏡筒の構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。また、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5と第6レンズ群G6とにおいて、偏芯によるガタが生じた場合でも、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と負の屈折力を有する第6レンズ群とが同時に偏芯することとなるため、偏芯により生じる収差を相殺することで偏芯時の収差発生が小さくなる。そのため、より高い光学性能を有するズームレンズを得ることが容易になる。
【0165】
本実施例では、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を第4レンズ群G4に対して像側にUターンするような軌跡で移動させることで、中間焦点距離の像面性を向上させることができる。
【0166】
また、無限遠物体から近接物体への合焦の際、第5レンズ群G5が光軸に沿って像側に移動する。
【0167】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表7に、当該ズームレンズの面データを示し、表8に当該ズームレンズの緒元表を示す。なお、表7における第35面及び第36面はカバーガラスCGの面データである。表8に、変倍時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔を示し、表9に、合焦時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔を示す。なお、表10には、広角端、中間焦点距離状態、望遠端において、それぞれ撮影距離(撮像距離)が300.00mm、500.00mm、800.00mmのときの値を示している。これらの撮影距離が各焦点距離における最短撮像距離である。
【0168】
表11は、当該ズームレンズを構成する各レンズ群の焦点距離を示している。表12は、各非球面の非球面係数である。また、表25に各条件式(1)〜条件式(14)の値を示す。さらに、表26に条件式(1)〜条件式(14)の計算に用いた各値を示す。また、
図6〜
図8に、当該実施例2のズームレンズの広角端、中間焦点距離状態、望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。さらに、当該ズームレンズの広角端における無限遠合焦時のバックフォーカスは以下のとおりである。
fb= 16.1482(mm)
【0169】
[表7]
面番号 r d Nd vd H
1 95.1092 1.200 1.85478 24.80 26.391
2 64.2264 6.406 1.49700 81.61 25.376
3 662.0131 0.200 24.776
4 67.6122 4.758 1.59349 67.00 22.700
5 315.2953 D5 22.367
6 ASP 310.4616 1.100 1.87070 40.73 16.000
7 24.1852 5.170 13.422
8 -98.7520 0.800 1.87070 40.73 13.330
9 26.2339 6.916 1.84666 23.78 12.588
10 -34.4045 0.900 1.83481 42.72 12.385
11 1105.4772 D11 11.920
12 STOP 0.0000 1.200 9.600
13 31.0839 3.473 1.80610 33.27 10.215
14 -191.2813 0.269 10.148
15 49.5690 0.900 1.84666 23.78 9.955
16 22.1063 3.570 1.49700 81.61 9.619
17 440.9180 2.931 9.491
18 ASP -20.8585 0.250 1.51460 49.96 9.500
19 -21.9935 0.800 1.85150 40.78 9.406
20 1032.1369 D20 9.824
21 ASP 22.2958 6.756 1.69350 53.18 11.145
22 ASP -46.6580 0.200 10.770
23 39.6470 0.800 1.90043 37.37 10.250
24 14.8522 6.923 1.49700 81.61 9.614
25 -34.1700 D25 9.500
26 ASP 79.1618 0.900 1.59201 67.02 9.753
27 ASP 21.0191 D27 9.728
28 34.7736 6.359 1.67270 32.10 13.251
29 -41.3322 0.200 13.245
30 -3760.5872 0.900 1.83481 42.74 12.652
31 38.3379 6.565 12.263
32 -19.2312 1.000 1.75500 52.32 12.268
33 -62.9318 D33 13.642
34 0.0000 10.900 18.474
35 0.0000 2.500 1.51680 64.20 21.014
36 0.0000 1.000 21.669
【0170】
[表8]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 28.800 75.000 194.000
Fno 2.901 4.254 5.842
ω 37.359 15.356 6.160
Y 21.633 21.633 21.633
TL 131.786 159.259 186.787
【0171】
[表9]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 28.800 75.000 194.000
撮影距離 INF INF INF
D5 1.573 26.520 48.547
D11 23.390 11.286 2.241
D20 5.394 3.372 1.100
D25 1.300 1.578 1.549
D27 11.684 11.406 11.436
D33 2.600 19.252 36.069
【0172】
[表10]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 28.800 75.000 194.000
撮影距離 300.00 500.00 800.00
D25 2.988 4.419 8.169
D27 9.997 8.566 4.815
【0173】
[表11]
群 面番号 焦点距離
G1 1-5 104.962
G2 6-11 -22.167
G3 12-20 -3889.475
G4 21-25 19.819
G5 26-27 -48.620
G6 28-33 -136.477
【0174】
[表12]
面番号 Κ A4 A6 A8 A10 A12
6 0.000 1.5319E-06 -5.2655E-10 -1.8432E-12 2.5281E-15 0.0000E+00
18 0.346 3.7292E-05 -3.2121E-08 8.8638E-10 -4.6080E-12 1.0749E-14
21 0.627 -2.2348E-05 4.7618E-08 3.4038E-10 -5.9952E-12 2.7593E-14
22 0.000 3.5099E-05 -3.3681E-08 1.2326E-09 -1.1881E-11 4.8568E-14
26 0.000 -1.1636E-05 2.3331E-07 -2.1327E-09 4.0680E-12 2.1123E-14
27 0.000 -1.5356E-05 2.7205E-07 -2.9737E-09 1.0471E-11 -2.5126E-15
【実施例3】
【0175】
(1)ズームレンズの光学構成
図9は、本件発明に係る実施例3のズームレンズの広角端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6とから構成されている。開口絞りSは第3レンズ群G3の最も像側に配置されている。当該ズームレンズにおいて最も物体側に配置されるレンズ面から最も像側に配置されるレンズ面までの空気間隔の中で、広角端では第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が最も大きい。本実施例では、後群は第4レンズ群G4、第5レンズ群G5及び第6レンズ群G6から構成され、負の屈折力を有する第5レンズ群G5はレンズ群Nに相当する。
【0176】
以下、各レンズ群の構成を説明する。第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側凸形状の負メニスカスレンズL1及び両凸レンズL2が接合された接合レンズと、物体側凸形状の正メニスカスレンズL3とから構成される。物体側凸形状の負メニスカスレンズL1は本件発明にいう上記レンズLn1に相当する。
【0177】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側凸形状の負メニスカスレンズL4と、物体側凹形状の負メニスカスレンズL5及び両凸レンズL6が接合された接合レンズと、物体側凹形状の負メニスカスレンズL7とから構成されている。負メニスカスレンズL4は、その物体側のレンズ面に非球面フィルムが貼設されたいわゆる複合非球面レンズである。また、負メニスカスレンズL7の両面は非球面である。
【0178】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、開口絞りSと、両凸レンズL8と、両凸レンズL9と、両凹レンズL10とから構成されている。両凹レンズL10の像側面は非球面である。両凹レンズL10は本件発明にいう負の屈折力を有するレンズLnrに相当する。
【0179】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL11と、物体側凸形状の負メニスカスレンズL12及び両凸レンズL13が接合された接合レンズと、物体側凹形状の正メニスカスレンズL14とから構成されている。正メニスカスレンズL14の両面は非球面である。
【0180】
第5レンズ群G5は、両凸レンズL15と両凹レンズL16とが接合された接合レンズから構成されている。両凹レンズL16の像側は非球面である。
【0181】
第6レンズ群G6は、物体側凸形状を有する正メニスカスレンズL17と、物体側凹形状の負メニスカスレンズL18とから構成されている。物体側凹形状の負メニスカスレンズL18の負メニスカスレンズL18は本件発明にいう負の屈折力を有するレンズLnrに相当する。
【0182】
実施例3のズームレンズは、広角端から望遠端への変倍時に、像面に対して第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2はまず像側に移動し、その後、物体側に移動し、さらにその後、像側に移動する。第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は物体側に移動し、第6レンズ群G6は物体側に移動する。変倍時に第2レンズ群G2を上記のようにS字カーブを描くように移動させることで、中間焦点距離における像面性を向上させることができる。
【0183】
本実施例では、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を第4レンズ群G4に対して像側にUターンするような軌跡で移動させることで、中間焦点距離の像面性を向上させることができる。
【0184】
また、無限遠物体から近接物体への合焦の際、第5レンズ群G5が光軸に沿って像側に移動する。
【0185】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表13に、当該ズームレンズの面データを示し、表14に当該ズームレンズの緒元表を示す。なお、表13における第35面及び第36面はカバーガラスCGの面データである。表15に、変倍時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔を示し、表16に、合焦時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔を示す。なお、表16には、広角端、中間焦点距離状態、望遠端において、それぞれ撮影距離(撮像距離)が800.00mm、800.00mm、800.00mmのときの値を示している。これらの撮影距離が各焦点距離における最短撮像距離である。
【0186】
表17は、当該ズームレンズを構成する各レンズ群の焦点距離を示している。表18は、各非球面の非球面係数である。また、表25に各条件式(1)〜条件式(14)の値を示す。さらに、表26に条件式(1)〜条件式(14)の計算に用いた各値を示す。また、
図10〜
図12に、当該実施例3のズームレンズの広角端、中間焦点距離状態、望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。さらに、当該ズームレンズの広角端における無限遠合焦時のバックフォーカスは以下のとおりである。
fb= 16.6482(mm)
【0187】
[表13]
面番号 r d Nd vd H
1 180.4274 1.200 1.88100 40.14 30.000
2 80.6962 9.632 1.49700 81.61 29.636
3 -509.9050 0.150 29.619
4 79.3203 6.943 1.49700 81.61 29.380
5 2429.6225 D5 29.200
6 ASP 44.6175 0.200 1.51460 49.96 14.925
7 67.0188 1.000 1.85150 40.78 14.719
8 15.3187 5.812 11.850
9 1041.9131 1.000 1.88100 40.14 11.804
10 26.2980 7.626 1.76182 26.61 11.461
11 -29.0361 0.393 11.269
12 ASP -24.3959 0.700 1.76802 49.24 11.270
13 ASP -191.1448 D13 11.200
14 STOP 0.0000 1.500 10.705
15 22.7957 5.474 1.56732 42.82 11.479
16 -61.2921 0.100 11.338
17 80.8050 3.149 1.49700 81.61 10.789
18 -39.7533 0.766 10.550
19 -29.7265 1.000 1.90366 31.34 10.353
20 ASP 27.2435 D20 10.032
21 24.7067 3.800 1.62280 57.05 10.419
22 -787.2088 0.300 10.403
23 29.7568 0.700 1.71300 53.87 10.351
24 16.5596 4.813 1.49700 81.61 9.988
25 -110.6026 1.094 9.899
26 ASP -63.9362 3.472 1.62263 58.16 9.900
27 ASP -22.6407 D27 10.100
28 87.1261 2.491 1.84666 23.78 9.710
29 -50.6490 0.700 1.80400 46.53 9.607
30 ASP 20.8329 D30 9.208
31 46.7419 6.269 1.56732 42.84 12.918
32 128.1293 4.685 12.989
33 -23.0708 2.000 1.88100 40.14 12.991
34 -50.8918 D34 14.348
35 0.0000 2.500 1.51680 64.20 21.115
36 0.0000 1.000 21.442
【0188】
[表14]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 28.847 100.012 387.792
Fno 3.545 6.017 6.486
ω 37.780 11.667 3.055
Y 21.633 21.633 21.633
TL 155.722 183.328 244.735
【0189】
[表15]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 28.847 100.012 387.792
撮影距離 INF INF INF
D5 1.200 34.101 92.359
D13 38.147 9.207 1.000
D20 1.494 1.327 1.000
D27 0.999 7.145 1.084
D30 19.413 11.660 14.412
D34 14.000 39.420 54.412
【0190】
[表16]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 28.847 100.012 387.792
撮影距離 800.00 800.00 800.00
D27 1.249 8.603 12.138
D30 19.163 10.202 3.357
【0191】
[表17]
群 面番号 焦点距離
G1 1-5 139.809
G2 6-13 -22.354
G3 15-20 -2000.000
G4 21-27 19.4459
G5 28-30 -36.5228
G6 31-34 -93.7569
【0192】
[表18]
面番号 Κ A4 A6 A8 A10 A12
6 0.000 -1.9658E-05 7.5400E-09 -2.1553E-10 1.0305E-12 -1.4906E-15
12 0.000 7.0173E-06 -3.0933E-08 4.5984E-10 -2.4795E-12 -1.8519E-19
13 0.000 -1.9383E-05 -5.4499E-08 2.9768E-10 -2.3288E-12 0.0000E+00
20 0.000 1.2251E-05 -8.8664E-09 1.1854E-10 -1.2148E-12 2.0775E-15
26 0.000 -5.8269E-05 -1.6032E-07 -5.7643E-10 5.5042E-12 -4.4372E-14
27 0.000 -2.5566E-05 -1.3516E-07 4.0980E-11 8.4616E-13 -1.9625E-14
30 0.000 -6.7503E-06 4.4684E-08 -9.1049E-10 4.7996E-12 0.0000E+00
【実施例4】
【0193】
(1)ズームレンズの光学構成
図13は、本件発明に係る実施例4のズームレンズの広角端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6と、正の屈折力を有する第7レンズ群G7とから構成されている。開口絞りSは第3レンズ群G3の最も像側に配置されている。当該ズームレンズにおいて最も物体側に配置されるレンズ面から最も像側に配置されるレンズ面までの空気間隔の中で、広角端では第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が最も大きい。本実施例では、後群は第4レンズ群G4、第5レンズ群G5、第6レンズ群G6及び第7レンズ群G7から構成され、負の屈折力を有する第5レンズ群G5はレンズ群Nに相当する。
【0194】
以下、各レンズ群の構成を説明する。第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側凸形状の負メニスカスレンズL1及び両凸レンズL2が接合された接合レンズと、物体側凸形状の正メニスカスレンズL3とから構成される。物体側凸形状の負メニスカスレンズL1は本発明にいう上記レンズLn1に相当する。
【0195】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側凸形状の負メニスカスレンズL4と、両凹レンズL5と、両凸レンズL6と、両凹レンズL7とから構成されている。
【0196】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、開口絞りSと、両凸レンズL8と、両凸レンズL9及び物体側凹形状の負メニスカスレンズL10が接合された接合レンズと、両凹レンズL11及び物体側凸形状の正メニスカスレンズL12が接合された接合レンズとから構成されている。物体側凹形状の負メニスカスレンズL10は本発明にいう負の屈折力を有するレンズLnrである。
【0197】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL13と、両凸レンズL14及び物体側凹形状の負メニスカスレンズL15が接合された接合レンズとから構成されている。両凸レンズL13の両面は非球面である。
【0198】
第5レンズ群G5は、物体側凸形状の負メニスカスレンズL16から構成されている。
【0199】
第6レンズ群G6は、物体側凹形状の負メニスカスレンズL17から構成されている。
【0200】
第7レンズ群G7は、物体側凹形状の正メニスカスレンズL18から構成されている。
【0201】
実施例4のズームレンズは、広角端から望遠端への変倍時に、像面に対して、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は物体側に移動し、第3レンズ群G3は物体側に移動し、第4レンズ群G4は物体側に移動し、第5レンズ群G5は物体側に移動し、第6レンズ群G6は物体側に移動し、第7レンズ群G7は光軸方向に固定されている。第4レンズ群G4と第6レンズ群G6は、同じカム軌跡で移動する。第4レンズ群G4と第6レンズ群G6とを同じ軌跡で移動させることで、第4レンズ群G4と第6レンズ群G6とをメカ的に結合した一つのユニットとして構成することができる。そのため、鏡筒に形成するカム溝の本数を削減することができ、鏡筒の構成を簡素化して低コスト化を図ることができる。また、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5と第6レンズ群G6とにおいて、偏芯によるガタが生じた場合でも、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と負の屈折力を有する第6レンズ群とが同時に偏芯することとなるため、偏芯により生じる収差を相殺することで偏芯時の収差発生が小さくなる。そのため、より高い光学性能を有するズームレンズを得ることが容易になる。
【0202】
本実施例では、負の屈折力を有する第5レンズ群G5を第4レンズ群G4に対して像側にUターンするような軌跡で移動させることで、中間焦点距離の像面性を向上させることができる。
【0203】
また、無限遠物体から近接物体への合焦の際、第5レンズ群G5が光軸に沿って像側に移動する。
【0204】
なお、当該ズームレンズを構成するレンズのうち、少なくともいずれか1枚のレンズを防振群とすることも好ましい。防振群を設けることで、当該ズームレンズに手振れ等により振動が伝達された際に、当該防芯群を光軸と略垂直方向に移動させて像をシフトさせることで、いわゆる手ブレ補正を行うことができる。実施例1のズームレンズでは、第3レンズ群G3に含まれる両凹レンズL11及び物体側凸形状の正メニスカスレンズL12から構成される接合レンズを防振群とすることが好ましい。
【0205】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表19に、当該ズームレンズの面データを示し、表20に当該ズームレンズの緒元表を示す。なお、表19における第38面及び第39面はカバーガラスCGの面データである。表21に、変倍時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔を示し、表22に、合焦時における当該ズームレンズの光軸上の可変間隔を示す。なお、表22には、広角端、中間焦点距離状態、望遠端において、それぞれ撮影距離(撮像距離)が350.00mm、700.00mm、1000.00mmのときの値を示している。これらの撮影距離が各焦点距離における最短撮像距離である。
【0206】
表23は、当該ズームレンズを構成する各レンズ群の焦点距離を示している。表24は、各非球面の非球面係数である。また、表25に各条件式(1)〜条件式(14)の値を示す。さらに、表26に条件式(1)〜条件式(14)の計算に用いた各値を示す。また、
図14〜
図16に、当該実施例4のズームレンズの広角端、中間焦点距離状態、望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。さらに、当該ズームレンズの広角端における無限遠合焦時のバックフォーカスは以下のとおりである。
fb= 34.9988(mm)
【0207】
[表19]
面番号 r d Nd vd H
1 117.2317 1.370 1.90440 31.31 26.000
2 62.8654 0.020 1.56766 42.84 25.146
3 62.8654 7.102 1.48767 70.44 25.143
4 -527.6711 0.140 24.983
5 56.2813 5.291 1.59373 67.00 23.700
6 347.2818 D6 23.475
7 74.9778 0.950 1.91149 35.25 12.783
8 14.9054 5.727 10.124
9 -46.6271 0.830 1.77291 49.62 9.744
10 38.9947 0.151 9.273
11 24.8925 4.346 1.84756 23.78 9.200
12 -35.1072 0.565 8.943
13 -27.1977 0.830 1.77291 49.62 8.733
14 102.3523 D14 8.324
15 STOP 0.0000 1.060 5.620
16 78.8813 2.330 1.48767 70.44 5.867
17 -561.1672 0.478 6.086
18 24.5880 3.338 1.48767 70.44 6.297
19 -19.9425 0.010 1.56766 42.84 6.324
20 -19.9425 0.800 1.90440 31.31 6.324
21 -86.0243 3.010 6.463
22 -33.3352 0.890 1.59373 67.00 6.839
23 24.3225 0.010 1.56766 42.84 7.140
24 24.3225 1.639 1.80598 25.46 7.142
25 69.0684 D25 7.200
26 ASP 28.5306 3.940 1.59225 67.02 8.762
27 ASP -22.8595 0.100 8.820
28 113.9731 3.719 1.48767 70.44 8.859
29 -20.0240 0.010 1.56766 42.84 8.841
30 -20.0240 0.800 1.80598 25.46 8.841
31 -47.0080 D31 8.988
32 52.2416 0.787 1.48767 70.44 8.903
33 19.3277 D33 8.751
34 -24.1944 0.900 1.51545 56.76 9.581
35 -25.9617 D35 9.808
36 -641.8485 1.770 1.52202 68.08 12.502
37 -118.9061 32.680 12.590
38 0.0000 2.000 1.51654 64.14 14.400
39 0.0000 1.000 14.525
【0208】
[表20]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 18.554 55.000 104.218
Fno 3.744 5.153 5.721
ω 39.915 14.363 7.648
Y 14.500 14.500 14.500
TL 128.746 162.124 185.588
【0209】
[表21]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 18.554 55.000 104.218
撮影距離 INF INF INF
D6 1.431 25.525 44.845
D14 19.586 5.223 2.666
D25 7.037 5.119 4.203
D31 1.371 4.320 2.812
D33 9.884 6.936 8.444
D35 0.843 26.408 34.024
【0210】
[表22]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f 18.554 55.000 104.218
撮影距離 350.00 700.00 1000.00
D31 2.103 5.915 5.906
D33 9.152 5.341 5.349
【0211】
[表23]
群 面番号 焦点距離
G1 1-6 92.184
G2 7-14 -14.663
G3 15-25 -943.396
G4 26-31 19.951
G5 32-33 -63.403
G6 34-35 -834.029
G7 36-37 279.250
【0212】
[表24]
面番号 Κ A4 A6 A8 A10 A12
26 0.000 -2.3746E-05 1.3951E-08 2.1396E-10 0.0000E+00 0.0000E+00
27 0.000 -2.3746E-05 1.3951E-08 2.1396E-10 0.0000E+00 0.0000E+00
【0213】
[表25]
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
条件式(1) β3rw -0.927 -0.911 -1.006 -0.945
条件式(2) β2w -0.213 -0.301 -0.205 -0.213
条件式(3) CrL1f/fw 6.292 3.302 6.255 6.318
条件式(4) CrG3f/ft 0.651 0.160 0.059 0.757
条件式(5) NdLnr 1.904 1.900 1.904 1.904
条件式(6) f4/ft 0.194 0.102 0.050 0.191
条件式(7) fN/f2 3.834 2.193 1.634 4.324
条件式(8) NdLn1 1.904 1.855 1.881 1.904
条件式(9) |X1|/ft 0.551 0.284 0.230 0.545
条件式(10) f1/ft 0.902 0.541 0.361 0.885
条件式(11) f2/fw -0.807 -0.770 -0.775 -0.790
条件式(12) ft/f3 -0.108 -0.050 -0.194 -0.110
条件式(13) D23t/ft 0.036 0.018 0.006 0.036
条件式(14) D23w/fw 1.137 0.854 1.374 1.113
【0214】
[表26]
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
fw 18.442 28.800 28.847 18.554
ft 103.541 194.000 387.7915 104.218
CrG3f 67.400 31.084 22.796 78.881
CrL1f 116.044 95.109 180.427 117.232
f4 20.044 19.819 19.446 19.951
fN -57.031 -48.620 -36.523 -63.403
f2 -14.876 -22.167 -22.354 -14.663
X1 -57.031 -55.000 -89.013 -56.842
f1 93.429 104.962 139.809 92.184
f3 -957.373 -3889.475 -2000.000 -943.396
D23t 3.740 3.441 2.500 3.726
D23w 20.977 24.590 39.647 20.646