【解決手段】空中像形成装置10は、表示面21から第1光を出射する表示素子20と、第1光201を第2光202として鏡面反射する鏡面反射面41を有する鏡面反射素子40と、第2光を第3光203として再帰透過する再帰透過面61を有する再帰透過素子60と、第1回転軸71を中心に表示面を回転させる第1回転機構81と、第2回転軸72を中心に鏡面反射面を回転させる第2回転機構91とを備える。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の空中像形成装置の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態の空中像形成装置10は、空中像を形成する光学系として、表示素子20と、鏡面反射素子40と、再帰透過素子60と、第1回転機構81と、第2回転機構91と、回転制御部75とを備えている。
【0015】
表示素子20は、光源であり、表示面21を有する。表示面21からは、光源画像から出射される光として第1光201が出射される。表示素子20は、例えばスマートフォンや液晶ディスプレイであるが、表示面21から第1光201を発することができる任意の光学素子であればよい。
【0016】
鏡面反射素子40は、第1光201の進行方向の表示面21より奥側の空間に配置されている。鏡面反射素子40は、入射する第1光201を第2光202として鏡面反射する鏡面反射面41を有する。鏡面反射素子40は、例えば板状部材の一面(鏡面反射面)にアルミニウム等の金属が蒸着された金属ミラーや、前述の一面に誘電体多層膜が積層された誘電体多層膜ミラーであるが、鏡面反射面41で第1光201を第2光202として鏡面反射できる任意の光学素子であればよい。
【0017】
再帰透過素子60は、第2光202の進行方向の鏡面反射面41より奥側の空間に配置されている。再帰透過素子60は、入射する第2光202を第3光203として再帰透過させ、所定の位置で結像させる再帰透過面61を有する。再帰透過素子60は、例えばマイクロミラーアレイプレート(micro-mirror array plates:MMAPs)や市販のASKA3Dプレート(販売製造元;株式会社アスカネット)である。なお、再帰透過素子60は、入射する第2光202を再帰透過できる任意の光学素子であればよい。
【0018】
本実施形態の再帰透過素子60には、MMAPsが用いられている。MMAPsは、再帰透過面61と平行な入射面62及び出射面63、複数のマイクロミラー64,65を有する。複数のマイクロミラー64は、再帰透過面61に直交し且つ第2光202の光軸212に対して45°をなす方向において、互いに所定の間隔をあけて配置されている。各マイクロミラー64は、入射面62と再帰透過面61との間で再帰透過面61に直交している。複数のマイクロミラー65は、再帰透過面61に直交し且つ第2光202の光軸212に対して45°をなす方向において、互いに所定の間隔をあけて配置されている。複数のマイクロミラー65は、複数のマイクロミラー64にも直交している。各マイクロミラー65は、再帰透過面61と出射面63との間で再帰透過面61に直交している。
【0019】
表示面21には、空中像255を形成させる元の画像251が表示される。画像251は、表示面21の解像度等に応じた複数の発光点から出射される第1光201で構成される。
図1には、複数の発光点のうち1つの発光点22から出射される第1光201が示されている。
【0020】
発光点22から出射された第1光201は、鏡面反射素子40に入射し、鏡面反射面41で鏡面反射される。このとき、鏡面反射面41を中心に第1光201を折り返すようにして、画像251と面対称な位置に虚像254が形成される。鏡面反射面41で鏡面反射された第2光202は、再帰透過素子60に入射し、再帰透過面61を再帰透過する。第2光202は、複数のマイクロミラー64に対して、鏡面反射面41で鏡面反射した位置とマイクロミラー64に入射する位置とを結ぶ直線に沿って入射し、第3光203として鏡面反射される。
【0021】
再帰透過面61を再帰透過した第3光203は、再帰透過面61を中心に、虚像254から出射された光204及び第2光202を折り返すようにして、虚像254と面対称な位置に結像する。このことによって、再帰透過面61を中心として虚像254と面対称な位置に空中像255が形成される。空中像255を形成した第3光203は、第3光203の進行方向の奥側に進むに従って拡散する第5光205として進行する。
【0022】
以下、光軸212に対して再帰透過面61が45°の角度をなして配置されている状態において、再帰透過面61における光軸212と第3光203の光軸213との交点を原点Oとする。原点Oを通り、光軸213に沿って第3光203の進行方向の手前側に進む方向を+X方向とする。原点Oを通り、光軸213に沿って第3光203の進行方向の奥側に進む方向を−X方向とする。原点Oを通り、光軸212に沿って第2光202の進行方向の奥側に進む方向を+Y方向とする。原点Oを通り、光軸212に沿って第2光202の進行方向の手前側に進む方向を−Y方向とする。+X方向及び−X方向に重なる同一直線方向については、「X方向」と記載する。+Y方向及び−Y方向に重なる同一直線方向については、「Y方向」と記載する。X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。
【0023】
第1回転機構81は、表示面21に含まれる第1回転軸71を中心に表示面21を回転させる。本実施形態の第1回転軸71は、Z方向に沿っており、光軸211と角度θをなし且つZ方向に直交する方向において、表示面21の中央に位置している。第1回転軸71を中心とする表示面21の回転により、−X方向(第3光の進行方向)と表示面21との角度θが変化し、−X方向に対する光軸211の傾きが変わる。第1回転機構81は、例えば回転モータであるが、第1回転軸71を中心に表示面21を回転できる任意の回転機構であればよい。
【0024】
第2回転機構91は、鏡面反射面41又は鏡面反射面41の延長上に含まれる第2回転軸72を中心に鏡面反射面41を回転させる。
図1では、第2回転機構91は、鏡面反射面41の−X方向の最も奥側の端縁(第3光の進行方向の最も手前側の端縁)42と重なっている。第2回転軸72を中心とする鏡面反射面41の回転により、−X方向(第3光の進行方向)と鏡面反射面41との角度φが変化し、−X方向に対する光軸212,213のそれぞれの傾きが変わる。第2回転機構91は、例えば回転モータであるが、第2回転軸72を中心に鏡面反射面41を回転できる任意の回転機構であればよい。
【0025】
回転制御部75は、第1回転機構81と第2回転機構91の少なくとも一方を制御する。回転制御部75は、例えば空中像形成装置10の設計パラメータ等を変数として表示面21及び鏡面反射面41の回転角度を算出するプログラムで構成され、コンピュータ等に内蔵されている。
【0026】
図1には、画像251の向き、画像251の向きに対応する虚像254の向き、虚像254の向きに対応する空中像255の向きがそれぞれ白矢印で示されている。なお、
図1以降の図面では、各像の向きは適宜省略されている。
【0027】
図2には、第1回転軸71を中心に表示面21が回転したときの5つの配置、第1回転軸71の回転に伴って第2回転軸72を中心に鏡面反射面41が回転したときの5つの配置、及び各配置における光と像のふるまいが模式的に示されている。
図2及び明細書本文において、表示素子20−1は、表示素子20の1番目の配置を意味する。
図2では、全ての構成に1番目から5番目の各配置を表す符号を付すと煩雑になるため、虚像254及び空中像255以外の各構成には1番目及び5番目のみの各配置を表す符号が付されている。
【0028】
図2に示すように、表示面21が1番目から5番目の配置に順次変わるように第1回転軸71を中心に回転すると、角度θが順次小さくなる。表示面21の回転に連動し、鏡面反射面41が1番目から5番目の配置に順次変わるように第2回転軸72を中心に回転する。鏡面反射面41の回転に伴い、角度φが順次小さくなる。そのため、表示面21及び鏡面反射面41の配置が1番目から5番目の配置に順次変わると、角度θ,φ及び表示面21と鏡面反射面41との対向距離及び対向姿勢が変わる。このことによって、虚像254−1が−Y方向に沿って虚像254−2,…,254−5に移動し、空中像255−1が−X方向に沿って空中像255−2,…,255−5に移動する。不図示の観察者は、移動する空中像255のうち−X方向の最も奥側に形成される空中像255−5よりさらに奥側の位置から、X方向に沿って移動する空中像を観ることができる。
【0029】
図3に示すように、空中像形成装置10は、さらに筐体100を備える。上述の表示素子20、鏡面反射素子40、再帰透過素子60、第1回転機構81及び第2回転機構91は、筐体100に装着又は支持されている。筐体100は、上板102、側板104,106及び後板108を備えている。上板102は、X方向及びZ方向に延在し、矩形状に形成され、Z方向において再帰透過素子60より大きい。側板104,106はそれぞれ、X方向及びY方向に延在し、矩形状に形成されている。側板104,106は、X方向において少なくとも上板102より大きく、第2回転機構91によって支持されている鏡面反射素子40より大きい。上板102のZ方向の両端でX方向に延びる端部は、側板104,106の+X方向の奥側に且つ+Y方向の奥側の端部に接している。後板108は、上板102及び側板104,106の+X方向の奥側の端部に接している。
【0030】
筐体100には、Z方向に沿って側板104を正面視したときに、前述の表示素子20、鏡面反射素子40、再帰透過素子60、第1回転機構81、第2回転機構91の相対配置と同様に、空中像形成装置10の各構成が配置されている。なお、第1回転機構81及び第2回転機構91は,
図3に示す筐体100の紙面の奥側に配置され、第1回転機構81及び第2回転機構91は、
図3に示す筐体100の紙面の奥側に配置され、
図3では省略されている。図示されていないが、空中像255は、側板104,106の−X方向の奥側の端部よりさらに奥側の空間に形成される。
【0031】
側板104,106のぞれぞれには、開口111,112が形成されている。開口111の正面視形状は、第1回転軸71を中心とする鏡面反射素子40の回転時の通過領域と同様の形状であり、本実施形態では円形である。開口112の正面視形状は、第2回転軸72を中心とする鏡面反射素子40の回転時の通過領域と同様の形状であり、本実施形態では略扇形である。
【0032】
次に、空中像形成装置10において空中像255を形成する光学系の各構成要素の好ましい設置条件について説明する。
【0033】
ここで、
図4を参照すると、以下の設計パラメータが想定される。なお、
図4では、第1光201から第5光205について光軸のみ図示されている。
[設計パラメータ]
*再帰透過面61の中心と観察者の目の中心との距離L
1
*原点Oを通り且つX方向及びY方向を含む面での再帰透過面61の長さL
2
*原点Oを通り且つX方向及びY方向を含む面での表示面21の長さL
3
*光軸213(第3光の進行方向)に沿って前後に移動する空中像のうち−X方向の最も手前側の空間に形成される空中像255−1における光軸213との交点と原点Oとの距離L
4
*光軸213(第3光の進行方向)に沿って前後に移動する空中像のうち−X方向の最も奥側の空間に形成される空中像255−nにおける光軸213との交点と原点Oとの距離L
5(nは、2以上の自然数)
【0034】
X方向及びY方向を2軸とする座標系を用いると、表示面21の中心Pの位置(x
P,y
P)は、次に示す(1)式のように表される。本実施形態では、中心Pの位置(x
P,y
P)は、第1回転軸71の位置といえる。
【0036】
図5を参照し、以下の境界線が導入される。
*再帰透過素子60の+Y方向の最も奥側の端を通って光軸213に平行な境界線261
*再帰透過素子60の−Y方向の最も奥側の端を通って光軸213に平行な境界線262
*再帰透過素子60の+X方向の最も奥側の端を通って光軸212に平行な境界線263
*再帰透過素子60の−X方向の最も奥側の端を通って光軸212に平行な境界線264
*境界線262から(L
3/2)だけ−Y方向の奥側の位置に移動して表示面21と直交する境界線265
*境界線263から所定の距離だけ+X方向の奥側に移動した境界線266
【0037】
観察者の視点が無限大である場合、表示素子20の設置範囲は、少なくとも境界線263より+X方向の奥側の空間、且つ境界線262より−Y方向の奥側の空間280である。なお、設置範囲とは、表示素子20の中心を設置できる範囲である。
【0038】
上述の設置範囲をふまえて、表示素子20は、境界線266より+X方向の奥側の空間、且つ境界線265より−Y方向の奥側の空間282にあることが好ましい。上述の境界線266の定義における「所定の距離」は、表示面21の回転によって表示面21の+Y方向の奥側の部分が−X方向の奥側に傾斜する傾斜量等によって決まる。
【0039】
図6に示すように、観察者の視点が有限であることを考慮する場合、以下の境界線が導入される。
*視点Qと再帰透過素子60の+Y方向の最も奥側の端とを通る境界線271
*視点Qと再帰透過素子60の−Y方向の最も奥側の端とを通る境界線272
*再帰透過面61を中心として境界線271を折り返した境界線273
*再帰透過面61を中心として境界線272を折り返した境界線274
【0040】
観察者の視点が有限である場合、境界線266は、境界線265,266の交点を通って境界線273に平行な境界線267に変更される。つまり、観察者の視点が有限である場合、表示素子20は、境界線267より+X方向の奥側の空間、且つ境界線265より−Y方向の奥側の空間にあることが好ましい。
【0041】
なお、表示素子20の中心位置が境界線266より+X方向の手前側の空間280にあると、空中像255を結像するための第2光202が回転した表示素子20によって遮られるため、空中像255が結像できなくなってしまう。また、回転した表示素子20の一部が境界線263より+X方向の手前側の空間280にあると、観察者が空中像255を観察したときに、表示素子20の一部が再帰透過素子60に映るので、空中像255の視認性が低下してしまう。表示素子20の一部が境界線262より−Y方向の手前側の空間にあると、観察者が空中像255を観察したときに、表示素子20や画像251が再帰透過素子60越しに直接見えるので、空中像255の視認性が低下してしまう。
【0042】
図7に示すように、X方向及びY方向を2軸とする座標系を用いると、空中像255−1が形成されるときの鏡面反射面41−1のZ方向に平行な位置(x
41−1,y
41−1)について次に示す(2)式のように表される。
【0044】
同座標系を用いると、空中像255−nが形成されるときの鏡面反射面41−nのZ方向に平行な位置(x
41−n,y
41−n)は、次に示す(3)式のように表される。
【0046】
上述をふまえ、第2回転軸72の位置(x
72,y
72)は、次に示す(4)式のように表される。
【0048】
さらに、表示素子20の回転角度βを考えるにあたり、虚像254−nと境界線273との交点C−1を通り且つ鏡面反射面41−nに直交する仮想線290が導入される。X方向及びY方向を2軸とする座標系を用いると、交点C−1の位置(x
C−1,y
C−1)は、次に示す(5)式のように表される。
【0050】
仮想線290と表示面21との交点C−2の位置(x
C−2,y
C−2)は、次に示す(6)式及び(7)式のように表される。回転角度βは、次に示す(8)式のように表される。
【0054】
同座標系を用いて、鏡面反射面41の回転角度γは、次に示す(9)式のように表される。
【0056】
上述の設計パラメータ同士の相互関係から、距離L
5は、次に示す(10)式のように表される。
【0058】
上述の設計パラメータ同士の相互関係や(1)式〜(10)式をふまえ、表示素子20、鏡面反射素子40、再帰透過素子60、第1回転機構81及び第2回転機構91の配置が決められる。
【0059】
鏡面反射面41の−X方向の奥側且つ−Y方向の手前側の端の位置が一定であれば、第2回転軸72の位置が+X方向の奥側且つ−Y方向の奥側の位置に移動する程、回転角度γに対して空中像255のX方向に沿った移動距離が大きくなる。このとき、第2回転機構91は、回転制御部75(
図1参照)によって制御され、第1回転機構81の回転に連動して回転する。一方で、第2回転軸72の位置が+X方向の奥側且つ−Y方向の奥側の位置に移動する程、鏡面反射素子40及び空中像形成装置10の光学系の設置スペースが大きくなる。そのため、第2回転軸72の位置は、空中像255のX方向における移動距離及び鏡面反射素子40、第2回転機構91の負荷等を重点に考慮し、上述の設計パラメータ同士の相互関係をふまえて、適宜設定される。
【0060】
回転制御部75は、表示面21の回転角度βと鏡面反射面41の回転角度γとが所定の関係を保つように制御する。所定の関係とは、上述の(1)式〜(10)式の少なくとも2つ以上の式の組み合わせで得られる相対関係を意味する。回転制御部75は、回転角度β,γを前述のように制御することによって、第3光203の結像位置を変えつつ、第3光203の進行方向を略一方向に保つ。ここで、「略一方向」は、表示面21及び鏡面反射面41の回転時において、第3光203の進行方向が全く変わらない状態のみではなく、第3光の進行方向がY方向において境界線271と境界線272との間の領域内で変化する状態も含んでいる。回転制御部75は、第3光203の進行方向を略一方向に保つために、第2光202の進行方向を略一方向に保ち、第2光202の再帰透過面61への入射角度を略一定に保つように、回転角度β,γを制御する。
【0061】
回転制御部75は、上述のように、空中像255をX方向に沿って移動させる移動距離、即ち観察者が空中像255を観察した際に空中像255が飛び出して見える距離に応じて、回転角度β,γを算出し、第1回転機構81と第2回転機構91の少なくとも一方を制御する。
【0062】
以上説明した本実施形態の空中像形成装置10は、表示素子20、鏡面反射素子40、再帰透過素子60、第1回転機構81及び第2回転機構91を備え、表示面21は第1回転機構81によって回転可能であり、鏡面反射面41は第2回転機構91によって回転可能である。本実施形態の空中像形成装置10によれば、表示面21の回転及び鏡面反射面41の回転によって、虚像254及び空中像255が形成される位置をY方向及びX方向に沿って移動させることができる。そのため、従来のように移動機構を用いて空中像の移動距離と同じ距離で表示素子を所定の方向に沿って直線状に移動させる場合に比べて、空中像255を形成する光学系のスペースの大型化を抑え、第1回転機構81及び第2回転機構91の負荷を減らすことができる。
【0063】
本実施形態の空中像形成装置10では、第2回転軸72が第1光201が鏡面反射面41で鏡面反射する位置Rより+X方向の奥側の空間(第3光の進行方向の手前側の位置)にある。このことによって、第2回転軸72が位置Rより+X方向の手前側の空間にある場合に比べて、所定の回転角度γに対する虚像254の光軸214,212に沿った移動距離を拡大し、空中像255のX方向の移動距離を拡大できる。
【0064】
本実施形態の空中像形成装置10では、第2回転軸72は端縁42と重なるので、例えばX方向において第2回転軸72が端縁42とは反対側の端縁43に近い側の鏡面反射面41内にある場合に比べて、空中像255のX方向の移動距離を拡大しつつ、鏡面反射素子40の大型化を抑えることができる。
【0065】
本実施形態の空中像形成装置10は、回転制御部75をさらに備えるので、空中像255のX方向の移動距離に応じて、好適な回転角度β,γで第1回転機構81と第2回転機構91の少なくとも一方の回転を制御できる。
【0066】
<空中像形成装置10の第1変形例>
上述の空中像形成装置10において、例えば、鏡面反射素子40の少なくとも一部は、X方向において原点0より−X方面の奥側の空間に配置されてもよい。
図8に示すように、第1変形例では、
図1等に示す空中像形成装置10に比べて、光軸213に対して再帰透過面61がなす角度σが小さくなり、光軸213に近づくように傾斜している。なお、
図8以降
図12までは、第1光201から第3光203について進行方向及び光軸のみ図示されている。第1変形例では、
図1等に示す空中像形成装置10に比べて、再帰透過面61に対して光軸212がなす角度が小さくなり、45°未満になっている。また、第1変形例では、鏡面反射面41−1における端縁42は、X方向において原点0と略重なっている。鏡面反射面41−1における端縁43は、再帰透過素子60の−X方向の最も奥側の端縁より−X方向の奥側且つ−Y方向の手前側の空間に位置している。なお、
図8では、第1回転機構81及び第2回転機構91は省略されている。
【0067】
図9に示すように、空中像形成装置10の第1変形例では、回転角度γ(
図7参照)が大きくなる程、端縁43が+X方向の手前側及び−X方向の奥側の空間に移動していくように第2回転軸72を中心として鏡面反射素子40が回転する。鏡面反射面41の回転は、表示面21の回転に連動している。表示面21及び鏡面反射面41の回転により、虚像254が光軸212,214に沿って移動する。このことによって、観察者は、X方向に前後する空中像として空中像255−1から空中像255−nを観察できる。
【0068】
空中像形成装置10の第1変形例によれば、空中像形成装置10と同様の構成を備えるので、空中像形成装置10と同様の作用効果が得られる。また、空中像形成装置10の第1変形例では、鏡面反射素子40−1がX方向において原点0より−X方面の奥側の空間に配置されているので、空中像形成装置の主にX方向の大きさを縮小できる。
【0069】
<空中像形成装置10の第2変形例>
上述の空中像形成装置10において、例えば、鏡面反射素子40の少なくとも一部は、X方向において原点0より+X方面の奥側の空間に配置されてもよい。
図10に示すように、第2変形例では、空中像形成装置10に比べて、光軸213に対して再帰透過面61がなす角度σが大きくなり、光軸213から離れるように傾斜している。第2変形例では、空中像形成装置10及び空中像形成装置10の第1変形例に比べて、再帰透過面61に対して光軸212がなす角度が大きくなり、45°より大きくなっている。また、第2変形例では、鏡面反射面41−1における端縁42は、X方向において原点0より+X方向の奥側の空間に位置している。鏡面反射面41−1における端縁43は、X方向において、再帰透過素子60の−X方向の最も奥側の端縁と+X方向の最も奥側の端縁との間の空間に位置している。なお、
図10では、第1回転機構81及び第2回転機構91は省略されている。
【0070】
図11に示すように、空中像形成装置10の第2変形例では、回転角度γ(
図7参照)が大きくなる程、端縁43が−X方向の奥側又は手前側の空間に移動していくように第2回転軸72を中心として鏡面反射素子40が回転する。第1変形例と同様に、鏡面反射面41の回転は、表示面21の回転に連動している。表示面21及び鏡面反射面41の回転により、虚像254が光軸212,214に沿って移動する。このことによって、観察者は、X方向に前後する空中像として空中像255−1から空中像255−nを観察できる。
【0071】
空中像形成装置10の第2変形例によれば、空中像形成装置10と同様の構成を備えるので、空中像形成装置10と同様の作用効果が得られる。また、空中像形成装置10の第2変形例では、鏡面反射素子40−1がX方向において原点0より+X方面の奥側の空間に配置されているので、空中像形成装置の主にY方向の大きさを縮小できる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は特定の態様に限定されない。本発明は、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々変形及び変更可能である。
【0073】
例えば、空中像255をX方向に沿って移動させる移動距離に応じて、表示面21及び鏡面反射面41を回転角度β,γで回転させることができれば、第1回転機構81及び第2回転機構91の各設置位置は空中像形成装置10の任意の位置であってよい。