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特開2020-144458情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-144458(P2020-144458A)
(43)【公開日】2020年9月10日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20200814BHJP
【FI】
   G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-38789(P2019-38789)
(22)【出願日】2019年3月4日
(71)【出願人】
【識別番号】507417422
【氏名又は名称】株式会社 ゆうちょ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 晶規
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB07
(57)【要約】
【課題】現金の入出金を行う取引装置における現金の補充作業や取り出し作業の頻度を低減する。
【解決手段】本情報処理装置は、格納庫に格納した現金を利用者の要求に応じて入出金する取引装置に接続された情報処理装置であり、利用者を記憶する記憶手段と、格納庫が格納する現金の格納量を取得する取得手段と、取得した格納量に応じて、格納庫への現金の補充または格納庫からの現金の取り出しの要否の少なくとも一方を判定する判定手段と、格納庫への現金の補充要または格納庫からの現金の取り出し要と判定すると、取引装置を利用する利用者を特定する特定手段と、格納庫への現金の補充要と判定すると特定した利用者に対して取引装置への入金を促す情報を第1送信処理と、格納庫からの現金の取り出し要と判定すると特定した利用者に対して取引装置からの出金を促す情報を送信する第2送信処理の少なくとも一方の送信処理を実行する送信手段と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納庫に格納した現金を利用者の要求に応じて入出金する取引装置に接続された情報処理装置であって、
利用者を記憶する記憶手段と、
前記格納庫が格納する現金の格納量を取得する取得手段と、
取得した前記格納量に応じて、前記格納庫への現金の補充または前記格納庫からの現金の取り出しの要否の少なくとも一方を判定する判定手段と、
前記格納庫への現金の補充要または前記格納庫からの現金の取り出し要と判定すると、前記取引装置を利用する利用者を特定する特定手段と、
前記格納庫への現金の補充要と判定すると特定した前記利用者に対して前記取引装置への入金を促す情報を送信する第1送信処理と、前記格納庫からの現金の取り出し要と判定すると特定した前記利用者に対して前記取引装置からの出金を促す情報を送信する第2送信処理の少なくとも一方の送信処理を実行する送信手段と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、顧客属性毎に分類して前記利用者を記憶する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記格納庫からの現金の補充要または前記格納庫からの現金の取り出し要と判定してからの経過時間に応じて、特定する前記利用者の人数を増大させる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記顧客属性毎に優先度を対応付けて記憶し、
前記特定手段は、前記経過時間が長くなる程、前記優先度が低い利用者も特定する利用者に含める、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記利用者一人あたりが入金または出金する現金の量の期待値を記憶し、
前記特定手段は、補充要または取り出し要と判定された状態を解消可能な現金の量を算出し、前記期待値と前記利用者の人数との積が前記解消可能な現金の量を超える人数の利用者を特定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記利用者を時間帯毎の前記顧客属性に分類して記憶し、
前記特定手段は、前記判定を行った時間帯に応じて、前記利用者を特定する、
請求項2から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
格納庫に格納した現金を利用者の要求に応じて入出金する取引装置に接続された情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記情報処理装置が、
前記格納庫が格納する現金の格納量を取得し、
取得した前記格納量に応じて、前記格納庫への現金の補充または前記格納庫からの現金の取り出しの要否の少なくとも一方を判定し、
前記格納庫への現金の補充要または前記格納庫からの現金の取り出し要と判定すると、利用者を記憶する記憶装置を参照して、前記取引装置を利用する利用者を特定する特定手段と、
前記格納庫への現金の補充要と判定すると特定した前記利用者に対して前記取引装置への入金を促す情報を送信する第1送信処理と、前記格納庫からの現金の取り出し要と判定
すると特定した前記利用者に対して前記取引装置からの出金を促す情報を送信する第2送信処理の少なくも一方の送信処理を実行する、
情報処理方法。
【請求項8】
格納庫に格納した現金を利用者の要求に応じて入出金する取引装置に接続された情報処理装置に実行させる情報処理プログラムであって、
前記情報処理装置に、
前記格納庫が格納する現金の格納量を取得させ、
取得した前記格納量に応じて、前記格納庫への現金の補充または前記格納庫からの現金の取り出しの要否の少なくとも一方を判定させ、
前記格納庫への現金の補充要または前記格納庫からの現金の取り出し要と判定すると、利用者を記憶する記憶装置を参照して、前記取引装置を利用する利用者を特定する特定手段と、
前記格納庫への現金の補充要と判定すると特定した前記利用者に対して前記取引装置への入金を促す情報を送信させる第1送信処理と、前記格納庫からの現金の取り出し要と判定すると特定した前記利用者に対して前記取引装置からの出金を促す情報を送信させる第2送信処理の少なくとも一方の送信処理を実行させる、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等において、現金自動預入支払機、自動取引装置、自動窓口機および現金自動支払機によって例示される取引装置が利用されている。取引装置には、硬貨や紙幣に例示される現金が格納される。取引装置は、顧客の求めに応じて、格納した現金の出金や顧客から入金された現金の格納を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−55220号公報
【特許文献2】特開2017−220044号公報
【特許文献3】国際公開第2016/098219号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
取引装置に格納される現金に過不足が生じると、取引装置への現金の補充作業や取引装置からの現金の取り出し作業が行われる。取引装置に格納される現金に過不足が生じてから補充作業や取り出し作業が完了するまでの間、取引装置が実行可能な取引に制限(例えば、取引装置に格納されている現金が不足する場合、現金の引き出しが制限される等)が生じる。また、補充作業や取り出し作業を業者に委託したり金融機関等の職員が実行したりすると、作業コストが生じる。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、現金の入出金を行う取引装置における現金の補充作業や取り出し作業の頻度を低減できる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のような情報処理装置によって例示される。本情報処理装置は、格納庫に格納した現金を利用者の要求に応じて入出金する取引装置に接続された情報処理装置である。本情報処理装置は、利用者を記憶する記憶手段と、前記格納庫が格納する現金の格納量を取得する取得手段と、取得した前記格納量に応じて、前記格納庫への現金の補充または前記格納庫からの現金の取り出しの要否の少なくとも一方を判定する判定手段と、前記格納庫への現金の補充要または前記格納庫からの現金の取り出し要と判定すると前記取引装置を利用する利用者を特定する特定手段と、前記格納庫への現金の補充要と判定すると特定した前記利用者に対して前記取引装置への入金を促す情報を送信する第1送信処理と、前記格納庫からの現金の取り出し要と判定すると特定した前記利用者に対して前記取引装置からの出金を促す情報を送信する第2送信処理の少なくとも一方を実行する送信手段と、を備える。
【0007】
開示の技術によれば、取引装置における格納庫への現金の補充要または格納庫への現金の取り出し要と判定すると、取引装置を利用する利用者に対して、当該取引装置への入金または当該取引装置からの出金を促す情報を送信する。情報を受信した利用者が入金または出金することで、取引装置の格納庫に格納される現金の量を補充や取り出しを行わなくともよい範囲内へと近づけるまたは範囲内に収めることができる。そのため、このような技術によれば、現金の入出金を行う取引装置における現金の補充作業や取り出し作業の頻
度を低減できる。
【0008】
開示の技術は、次の特徴を有してもよい。記憶手段は顧客属性毎に分類して利用者を記憶する。顧客属性としては、利用者の行動パターンを示す顧客属性や、利用者が保有する口座に係る口座情報等を挙げることができる。取引装置を利用する蓋然性は、顧客属性毎に異なると考えられる。利用者を顧客属性毎に分類して記憶することで、顧客属性毎に利用者を特定することができる。顧客属性毎に利用者を特定することで、個々の利用者に存在する事情を吸収することができ、取引装置の出金または入金の管理をより安定的に行うことができる。
【0009】
開示の技術は、次の特徴を有してもよい。前記特定手段は、前記格納庫からの現金の補充要または前記格納庫からの現金の取り出し要と判定してからの経過時間に応じて、特定する前記利用者の人数を増大させる。利用者の増大では、前記記憶手段は、前記顧客属性毎に優先度を対応付けて記憶し、前記特定手段は、前記経過時間が長くなる程、前記優先度が低い利用者も特定する利用者に含めるとしてもよい。このような特徴を有することで、開示の技術は、経過時間に応じてより多くの利用者に取引装置の利用を促すことができるため、取引装置が補充要または取り出し要となる期間を短縮することができる。
【0010】
開示の技術は、次の特徴を有してもよい。前記記憶手段は、前記利用者一人あたりが入金または出金する現金の量の期待値を記憶し、前記特定手段は、補充要または取り出し要と判定された状態を解消可能な現金の量を算出し、前記期待値と前記利用者の人数との積が前記解消可能な現金の量を超える人数の利用者を特定する。このような特徴を有することで、開示の技術は、取引装置における補充要または取り出し要の状態をより短期に(または一度の情報送信で)解消することができる。
【0011】
開示の技術は、次の特徴を有してもよい。前記記憶手段は、前記利用者を時間帯毎の前記顧客属性に分類して記憶し、前記特定手段は、前記判定を行った時間帯に応じて、前記利用者を特定する。利用者は、時間帯によって所在や行動が変わることがある。このような特徴を有することで、開示の技術は、時間帯によって変化する利用者の顧客属性に応じて、情報を送信する利用者を特定できる。
【0012】
開示の技術は、情報処理方法および情報処理プログラムの側面から把握することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
本情報処理装置は、現金の入出金を行う取引装置における現金の補充作業や取り出し作業の頻度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る入出金システムの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る入出金システムの処理ブロックの一例を示す図である。
図3図3は、実施形態において、顧客管理データベースに格納される顧客管理テーブルの一例を示す図である。
図4図4は、実施形態において、顧客管理データベースに格納される口座管理テーブルの一例を示す図である。
図5図5は、実施形態において、ATM管理データベースに格納されるATM管理テーブルの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態において、条件データベースに格納されるグループテーブルの一例を示す図である。
図7図7は、実施形態において、条件データベースに格納される条件テーブルの一例を示す図である。
図8図8は、実施形態において、条件データベースに格納されるメッセージテーブルの一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る入出金システムの処理シーケンスの一例を示す図である。
図10図10は、第1変形例に係る入出金システムの処理ブロックの一例を示す図である。
図11図11は、第1変形例において、条件データベースに格納されるグループテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、実施形態に係る入出金システムの一例を示す図である。実施形態に係る入出金システム500は、Automatic Teller Machine(ATM)1、管理サーバ2および顧客端末3を含む。ATM1、管理サーバ2および顧客端末3は、ネットワーク環境5を介して相互に通信可能に接続される。入出金システム500は、金融機関が顧客に対して現金の入出金サービスを提供するシステムである。
【0017】
ATM1は、金融機関が保有する情報処理装置である。ATM1は、紙幣の入金および出金等を実行する。ATM1は、顧客への便宜のため、様々な場所に設置される。ATM1は、入金された紙幣をATM1が有する格納庫106に格納するとともに、顧客の口座への入金処理を管理サーバ2に依頼する。また、ATM1は、紙幣の出金を要求されると、格納庫106から指定された金額の紙幣を出金するとともに、顧客の口座への出金処理を管理サーバ2に依頼する。ATM1は、「取引装置」の一例である。顧客は「利用者」の一例である。
【0018】
管理サーバ2は、金融機関が保有する情報処理装置である。管理サーバ2は、金融機関のATM1および顧客が保有する口座を管理する。管理サーバ2は、ATM1からの依頼に応じて、入金処理や出金処理を行う。また、管理サーバ2は、ATM1に格納されている紙幣の量の過不足に応じた処理を実行する。ATM1に格納されている紙幣の量の過不足に応じた処理の詳細については、後述する。
【0019】
顧客端末3は、金融機関の顧客が利用する情報処理装置である。顧客端末3は、例えば、ネットワーク環境5を介して、メールの送受信を行うことができる。顧客端末3として、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ウェアラブルコンピュータ等を挙げることができる。
【0020】
図1を参照して、ATM1、管理サーバ2および顧客端末3のハードウェア構成についてさらに説明する。ATM1は、Central Processing Unit(CPU)101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104、入出金口105、格納庫106および接続バスB1を含む。CPU101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104、入出金口105および格納庫106は、接続バスB1によって相互に接続される。
【0021】
CPU101は、マイクロプロセッサユニット(MPU)、プロセッサとも呼ばれる。CPU101は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であ
ってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU101がマルチコア構成を有していても良い。CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、CPU101以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のディジタル回路によって実行されてもよい。また、CPU101の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、Large Scale Integrated circuit(LSI)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field−Programmable Gate Array(FPGA)を含む。CPU101は、プロセッサと集積回路との組み合わせであっても良い。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、System−on−a−chip(SoC)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。情報処理装置100では、CPU101が補助記憶部103に記憶されたプログラムを主記憶部102の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、情報処理装置100は、所定の目的に合致した処理を実行することができる。主記憶部102および補助記憶部103は、ATM1が読み取り可能な記録媒体である。
【0022】
主記憶部102は、CPU101から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部102は、Random Access Memory(RAM)およびRead
Only Memory(ROM)を含む。
【0023】
補助記憶部103は、各種のプログラムおよび各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部103は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部103には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、通信部104を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、コンピュータネットワーク等で接続された、他の情報処理装置および外部記憶装置が含まれる。なお、補助記憶部103は、例えば、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドシステムの一部であってもよい。
【0024】
補助記憶部103は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。また、補助記憶部103は、例えば、Compact Disc(CD)ドライブ装置、Digital Versatile Disc(DVD)ドライブ装置、Blu−ray(登録商標) Disc(BD)ドライブ装置等である。また、補助記憶部103は、Network Attached Storage(NAS)あるいはStorage Area Network(SAN)によって提供されてもよい。
【0025】
通信部104は、例えば、ネットワーク環境5とのインターフェースである。通信部104は、ネットワーク環境5を介して外部の装置と通信を行う。
【0026】
入出金口105は、顧客からの紙幣の入金および出金を受け付ける窓口である。ATM1は、顧客から入金の指示を受けると、入出金口105を開いて紙幣を受け付ける。また、ATM1は、顧客から出勤の指示を受けると、入出金口105を開いてATM1内の紙幣を出金する。
【0027】
格納庫106は、紙幣を格納する格納庫である。格納庫106は、実際には金種別に用意されるが、本明細書では簡単のため、ATM1は格納庫106をひとつ備えるものとする。入出金口105を介して入金された紙幣は格納庫106に格納される。また、ATM1は、顧客から出金を指示されると、指示された額の紙幣を格納庫106から取り出し、入出金口105を介して出金する。
【0028】
ATM1は、例えば、顧客等からの操作指示等を受け付ける入力部をさらに備えてもよい。このような入力部として、キーボード、タッチパネルあるいは音声入力装置といった入力デバイスを例示できる。
【0029】
ATM1は、例えば、CPU101で処理されるデータや主記憶部102に記憶されるデータを出力する出力部を備えるものとしてもよい。このような、出力部として、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、Liquid Crystal Display(LCD)、Plasma Display Panel(PDP)、Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネルあるいはプリンタといった出力デバイスを例示できる。
【0030】
管理サーバ2は、CPU201、主記憶部202、補助記憶部203、通信部204および接続バスB2を含む。CPU201、主記憶部202、補助記憶部203、通信部204および接続バスB2のそれぞれは、ATM1のCPU101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104および接続バスB1のそれぞれと同一の構成であるため、その説明を省略する。
【0031】
顧客端末3は、CPU301、主記憶部302、補助記憶部303、通信部304および接続バスB3を含む。CPU301、主記憶部302、補助記憶部303、通信部304および接続バスB3のそれぞれは、ATM1のCPU101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104および接続バスB1のそれぞれと同一の構成であるため、その説明を省略する。
【0032】
<入出金システム500の処理ブロック>
図2は、実施形態に係る入出金システムの処理ブロックの一例を示す図である。以下、図2を参照して、入出金システム500の処理ブロックの一例について説明する。
【0033】
(ATM1の処理ブロック)
ATM1は、入出金部11および検知部12を備える。ATM1は、主記憶部102に実行可能に展開されたコンピュータプログラムをCPU101が実行することで、上記ATM1の、入出金部11および検知部12等の各部としての処理を実行する。
【0034】
入出金部11は、顧客から入出金口105を介して入金された紙幣を格納庫106に格納するとともに、顧客ID、預け入れられた金額および入金先となる口座の口座番号を管理サーバ2に通知することで、顧客の口座に対する入金処理を管理サーバ2に依頼する。また、入出金部11は、顧客から紙幣の出金を要求されると、格納庫106から指定された金額の紙幣を格納庫106から入出金口105を介して出金するとともに、顧客ID、出金した金額および出金元となる口座の口座番号を管理サーバ2に通知することで、顧客の口座に対する出金処理を管理サーバ2に依頼する。
【0035】
検知部12は、入出金部11による入出金が行われると、格納庫106に格納された紙幣の格納量を検知する。検知部12は、検知した格納量とATM1を識別するATM−IDとを管理サーバ2に通知する。ATM−IDは、ATM1を一意に識別する情報であり、例えば、補助記憶部103に記憶される。
【0036】
(管理サーバ2の処理ブロック)
管理サーバ2は、取得部21、判定部22、決定部23、通知部24、顧客管理データベース25、ATM管理データベース26および条件データベース27を備える。管理サーバ2は、主記憶部202に実行可能に展開されたコンピュータプログラムをCPU201が実行することで、上記管理サーバ2の、取得部21、判定部22、決定部23、通知部24、顧客管理データベース25、ATM管理データベース26および条件データベース27等の各部としての処理を実行する。なお、図中では、顧客管理データベース25、ATM管理データベース26および条件データベース27は、それぞれ顧客管理DB25、ATM管理DB26および条件DB27と記載される。
【0037】
顧客管理データベース25は、顧客を管理するデータベースである。図3は、実施形態において、顧客管理データベースに格納される顧客管理テーブルの一例を示す図である。図3に例示される顧客管理テーブル251は、「顧客ID」、「氏名」、「住所」および「連絡先」の各項目を対応付けて記憶する。「顧客ID」には、顧客を一意に識別する情報が記憶される。「氏名」には、顧客の氏名が記憶される。「住所」には、顧客の住所が記憶される。「連絡先」には、顧客の連絡先が記憶される。図3では、「連絡先」には顧客端末3に設定されたメールアドレスが記憶されているが、「連絡先」に記憶される顧客の連絡先がメールアドレスに限定されるわけではない。「連絡先」に記憶される連絡先は、例えば、Social Networking Service(SNS)アカウント、電話番号等であってもよい。
【0038】
図4は、実施形態において、顧客管理データベースに格納される口座管理テーブルの一例を示す図である。図4に例示される口座管理テーブル252は、「顧客ID」、「口座番号」および「残高」の各項目を対応付けて記憶する。「顧客ID」は、顧客管理テーブル251が記憶する「顧客ID」と同一である。「口座番号」には、顧客IDで識別される顧客が保有する口座の口座番号が記憶される。「残高」には、口座の残高が記憶される。
【0039】
図5は、実施形態において、ATM管理データベースに格納されるATM管理テーブルの一例を示す図である。図5に例示されるATM管理テーブル261は、「ATM−ID」、「場所」、「格納量」、「上限量」、「下限量」および「時刻」の各項目を対応付けて記憶する。「ATM−ID」には、ATM1を一意に識別する情報が記憶される。「場所」には、ATM1が設置された場所を示す情報が記憶される。「格納量」には、ATM1の格納庫106に格納される紙幣の格納量を示す情報が記憶される。「上限量」には、ATM1から紙幣の取り出しを行う格納量を示す情報が記憶される。「下限量」には、ATM1に紙幣の補充を行う格納量を示す情報が記憶される。「時刻」には、後述する判定部22が補充要または取り出し要と判定した時刻が記憶される。「時刻」に記憶される情報は、補充要または取り出し要のいずれか一方の時刻でもよい。
【0040】
図6は、実施形態において、条件データベースに格納されるグループテーブルの一例を示す図である。図6に例示されるグループテーブル271は、「ATM−ID」、「グループID」、「グループ」、「顧客ID」および「通知レベル」の各項目を対応付けて記憶する。「ATM−ID」には、ATM管理テーブル261の「ATM−ID」と同一の情報が記憶される。「グループID」には、顧客が属するグループを一意に識別するIDが記憶される。「グループ」には、顧客が属するグループを説明する説明文が記憶される。「顧客ID」には、「グループ」に属する顧客の顧客IDが記憶される。「グループ」に属する顧客が複数存在する場合には、複数の顧客の顧客IDが列挙される。「通知レベル」には、出金または入金を促すメッセージを送信する優先度を示す情報が記憶される。なお、本明細書において、「グループID」がAであるグループをグループAと称し、同
様に、「グループID」がBであるグループをグループB、「グループID」がCであるグループをグループCと称する。
【0041】
グループテーブル271では、上記の通り、顧客をグループに分類して記憶する。ここで、グループは、一定の傾向がみられる顧客属性にしたがって顧客を分類するものであり、グループに設定された顧客属性を有する顧客がグループに分類される。顧客属性としては、顧客の口座情報や行動類型を挙げることができる。口座情報や行動類型等の顧客属性に応じて、顧客がATM1を利用する蓋然性は異なると考えられる。行動類型としては、例えば、顧客の勤務地、通勤ルート、ATM1の手数料に応じたATM1の利用頻度の変動等を挙げることができる。口座情報としては、例えば、顧客の居住地や年齢、法人・個人の別、職業、口座の用途等を挙げることができる。顧客属性に基づいたグループの例として、は通勤ルート上にATM1が存在する顧客が属するグループ(以下、グループAとする)、ATM1の周辺に居住する顧客が属するグループ(以下、グループBとする)、ATM1の手数料を重視する顧客が属するグループ(以下、グループC)を挙げることができる。グループAに属する顧客は出勤時や帰宅時にATM1を利用する蓋然性が高いと考えられる。グループBに属する顧客は買い物等の外出のついでにATM1を利用する蓋然性が高いと考えられる。グループCに属する顧客はATM1の手数料を下げるとATM1を利用する蓋然性が高くなると考えられる。
【0042】
また、例えば顧客の職業に着目した場合、顧客がATM1の存在する周辺で営業する自営業者の場合、当該顧客が保有する売上金等の現金をATM1に格納して自身が保有する現金量を減少させたいという需要や逆に釣銭等の目的で現金を自身が保有する現金量を増加させたいという需要が存在し、同じ自営業者であっても現金取扱い割合の多寡によってさらに需要が異なり、これらの需要が高くなる性質を有する顧客についてはATM1を利用する蓋然性が高くなると考えられる。すなわち、顧客属性として職業に着目し、職業を加味して顧客をグループに分類してもよい。
【0043】
なお、グループテーブル271に登録されるそれぞれの情報は、例えば、以下のように取得できる。顧客の通勤ルート上にATM1が存在するか否かについては、例えば、顧客端末3で収集される顧客の行動履歴を取得すればよい。また、ATM1の周辺に顧客が居住しているか否かを示す情報は、口座を開設する際に登録された顧客の住所を基に取得すればよい。さらに、手数料重視であるか否かについては、ATM1の利用履歴を基に、手数料を値引きしたときの利用頻度が高いか否かによって取得できる。
【0044】
図7は、実施形態において、条件データベースに格納される条件テーブルの一例を示す図である。図7に例示される条件テーブル272は、「通知レベル」および「基準」の各項目を対応付けて記憶する。「通知レベル」は、グループテーブル271が記憶する「通知レベル」と同一である。「基準」は、通知を行う判定基準が記憶される。条件データベース27は、「記憶手段」の一例である。
【0045】
図8は、実施形態において、条件データベースに格納されるメッセージテーブルの一例を示す図である。図8に例示されるメッセージテーブル273は、「MSG−ID」、「種別」および「メッセージ」の各項目を対応付けて記憶する。「MSG−ID」には、顧客に通知するメッセージを一意に識別するIDが記憶される。「種別」には、取り出しまたは補充を示す情報が記憶される。「メッセージ」には、顧客に送信するメッセージのメッセージ本文が記憶される。なお、メッセージ本文中の「$START$」、「$END$」、「$ATM$」は、それぞれ顧客にメッセージを送信する際に通知部24によってインセンティブを与える開始時刻、インセンティブを与える終了時刻、ATM1の場所、に置換される。
【0046】
取得部21は、ATM1から格納庫106に格納された現金の格納量とATM−IDを通知されると、ATM管理テーブル261において、ATM−IDで識別されるATM1の「格納量」を更新する。また、ATM1からの入金処理または出金処理を受信すると、受信した入金処理または出金処理に応じて、口座管理テーブル252の「残高」を更新する。取得部21は、「取得手段」の一例である。
【0047】
判定部22は、ATM1から通知されたATM−IDで特定されるATM1について、現金の補充またはATM1からの現金の取り出しの要否を判定する。判定部22は、ATM管理テーブル261の「格納量」に記憶される格納量が、ATM管理テーブル261の「上限量」に記憶される上限量を超えているか否か、「下限量」に記憶される下限量を下回っているか否かを判定する。判定部22は、「格納量」に記憶される格納量が「上限量」に記憶される上限量を超えている場合にはATM1からの現金の取り出し要と判定し、「格納量」に記憶される格納量が「上限量」に記憶される上限量以下である場合にはATM1からの現金の取り出し不要と判定する。また、判定部22は、「格納量」に記憶される格納量が「下限量」に記憶される下限量を下回っている場合にはATM1への現金の補充要と判定し、「格納量」に記憶される格納量が「下限量」に記憶される下限量以上である場合にはATM1への現金の補充不要と判定する。
【0048】
判定部22は、取り出し要または補充要と判定し、ATM管理テーブル261の「時刻」が空(から)である場合には、ATM管理テーブル261の「時刻」に判定を実行した時刻を記憶させる。判定部22は、取り出しおよび補充のいずれも不要と判定した場合には、ATM管理テーブル261の「時刻」を空(から)に初期化する。判定部22は、「判定手段」の一例である。
【0049】
決定部23は、判定部22が現金の取り出し要または現金の補充要と判定すると、ATM1への入金またはATM1からの出金にインセンティブを与える顧客を決定する。決定部23は、ATM管理テーブル261の「時刻」に記憶された時刻からの経過時間を計測する。決定部23は、条件テーブル272を参照して、計測した経過時間を基にインセンティブを与える通知レベルを選定する。判定部22は、グループテーブル271を参照して、選定した通知レベルに対応付けられたグループを特定し、特定したグループに属する顧客に対してインセンティブを与えることを決定する。
【0050】
例えば、ATM1からの現金の取り出し要、または、ATM1への現金の補充要と判定した直後である場合、決定部23は、条件テーブル272を参照して、インセンティブを与える対象として通知レベル1を選定する。決定部23は、グループテーブル271を参照して、通知レベル1に対応付けられるグループAに属する顧客に対してインセンティブを与えることを決定する。すなわち、決定部23は、顧客IDが1、12、50の顧客に対してインセンティブを与えることを決定する。
【0051】
その後、ATM1からの現金の取り出し要、または、ATM1への現金の補充要の状態が解消しないまま1時間が経過した場合、決定部23は、条件テーブル272を参照して、インセンティブを与える対象として通知レベル2を選定する。決定部23は、グループテーブル271を参照して、通知レベル2に対応付けられるグループBに属する顧客に対してインセンティブを与えることを決定する。すなわち、決定部23は、顧客IDが7、19、22、41の顧客に対してインセンティブを与えることを決定する。
【0052】
すなわち、経過時間が長くなれば長くなる程、通知レベルが低いグループにインセンティブを与える対象が拡大していく。上記の通り、判定直後では通知レベル1が通知の対象となり、通知レベル1に通知した後も補充要または取り出し要の状態が継続する場合には、通知レベル2、通知レベル3と通知の対象となる通知レベルが拡大する。入出金システ
ム500は、このように経過時間に応じて通知の対象を拡大することで、ATM1の補充要または取り出し要の状態を解消する方向に向けることができる。決定部23は、「特定手段」の一例である。
【0053】
通知部24は、判定部22が補充要と判定した場合、条件データベース27のメッセージテーブル273を参照して、「種別」が「補充」に対応付けられたメッセージを取得する。通知部24は、ATM管理データベース26のATM管理テーブル261を参照して、補充要と判定されたATM1の場所を取得する。通知部24は、メッセージテーブル273から取得したメッセージのうち「$START$」、「$END$」、「$ATM$」のそれぞれを、判定した時刻、判定した時刻から所定時間後(例えば1時間後)の時刻、ATM管理テーブル261から取得したATM1の場所に置換して、顧客に通知するメッセージを生成する。例えば、ATM−IDが1であるATM1について補充要と午後1時に判定された場合、通知部24は、「午後1時から午後2時までの間、○○店前のATMで入金する際の入金手数料が無料です。」とのメッセージを生成する。通知部24は、決定部23が決定した顧客の連絡先を顧客管理データベース25の顧客管理テーブル251から取得する。通知部24は、顧客管理テーブル251から取得した顧客の連絡先に対して、生成したメッセージを送信する。補充要と判定された場合にメッセージを送信する処理は、「第1送信処理」の一例である。判定部22が取り出し要と判定した場合の処理も同様である。取り出し要と判定した場合にメッセージを送信する処理は「第2送信処理」の一例である。通知部24は、「送信手段」の一例である。
【0054】
(顧客端末3の処理ブロック)
顧客端末3は、表示部31を備える。顧客端末3は、主記憶部302に実行可能に展開されたコンピュータプログラムをCPU301が実行することで、上記顧客端末3の、表示部31等の各部としての処理を実行する。
【0055】
表示部31は、管理サーバ2から通知を受信すると、受信した通知を顧客端末3のディスプレイ等に表示する。
【0056】
<入出金システム500の処理シーケンス>
図9は、実施形態に係る入出金システムの処理シーケンスの一例を示す図である。図9を参照して、入出金システム500の処理シーケンスの一例について説明する。
【0057】
S1では、ATM1の入出金部11は、顧客からの入金または出金を受け付ける。入出金部11は、入金の場合には顧客から預け入れられた現金を格納庫106に格納し、出金の場合には顧客から指定された金額の現金を格納庫106から出金する。S2では、入出金部11は、S1で実行した入金に係る入金処理または出金に係る出金処理を管理サーバ2に依頼する。
【0058】
S3では、管理サーバ2の取得部21は、S2でATM1から受信した入金処理または出金処理として、顧客管理データベース25の口座管理テーブル252の「残高」を更新する。
【0059】
S4では、ATM1の検知部12は、格納庫106に格納された現金の格納量を検知する。S5では、検知部12は、検知した格納量とATM1を識別するATM−IDとを管理サーバ2に通知する。
【0060】
S6では、管理サーバ2の取得部21は、ATM管理テーブル261において、S5で受信したATM−IDで識別されるATM1の「格納量」をS5で受信した格納量に更新する。
【0061】
S7では、管理サーバ2の判定部22は、ATM1への現金の補充またはATM1からの紙幣の取り出しの要否を判定する。判定部22は、S6で更新した「格納量」が、ATM管理テーブル261の「上限量」に記憶される上限量を超えている場合、ATM1からの紙幣の取り出し要と判定する。また、判定部22は、S6で更新した「格納量」が「下限量」に記憶される下限量を下回っている場合、ATM1への紙幣の補充要と判定する。判定部22は、取り出し要または補充要と判定すると、その時刻をATM管理テーブル261の「時刻」に記憶させる。判定部22は、S6で更新した「格納量」が、ATM管理テーブル261の「上限量」に記憶される上限量以下、「下限量」に記憶される下限量以上の範囲内である場合、取り出しおよび補充のいずれも不要と判定し、ATM管理テーブル261の「時刻」を空(から)に初期化する。
【0062】
S8では、管理サーバ2の決定部23は、S7において判定部22が取り出し要と判定した場合、ATM1からの出金にインセンティブを与える顧客を決定する。また、決定部23は、S7において判定部22が補充要と判定した場合、ATM1への入金にインセンティブを与える顧客を決定する。顧客の決定において、決定部23は、ATM管理テーブル261の「時刻」に記憶された時刻からの経過時間を基に、条件テーブル272を参照して、インセンティブを与える通知レベルを選定する。判定部22は、グループテーブル271を参照して、選定した通知レベルに対応付けられたグループを特定し、特定したグループに属する顧客に対してインセンティブを与えることを決定する。
【0063】
S9では、管理サーバ2の通知部24は、顧客に通知するメッセージを生成する。通知部24は、S7において判定部22が紙幣の取り出し要と判定した場合、条件データベース27のメッセージテーブル273を参照して、「種別」が「取り出し」に対応付けられたメッセージを取得する。通知部24は、ATM管理データベース26のATM管理テーブル261を参照して、取り出し要と判定されたATM1の場所を取得する。通知部24は、メッセージテーブル273から取得したメッセージのうち「$START$」、「$END$」、「$ATM$」の部分のそれぞれを、判定した時刻、判定した時刻から所定時間後、ATM管理テーブル261から取得したATM1の場所に置換して、顧客に通知するメッセージを生成する。判定部22が補充要と判定した場合の処理も同様である。
【0064】
S10では、管理サーバ2の通知部24は、S8でインセンティブを与えることを決定した顧客に対し、S9で生成したメッセージの送信を行う。通知部24は、S8で決定した顧客の連絡先を顧客管理データベース25の顧客管理テーブル251から取得する。通知部24は、顧客管理テーブル251から取得した連絡先に対して、S9で生成したメッセージを送信する。
【0065】
S11では、S9で送信したメッセージを受信した顧客端末3の表示部31は、受信したメッセージを顧客端末3のディスプレイ等に表示する。顧客端末3を保有する顧客は、インセンティブが与えられることで、通知に記載されたATM1での入金または出金が促される。
【0066】
例えば、S10において、ATM1から出金する際の手数料が無料になる旨のメッセージを管理サーバ2が顧客端末3に送信した場合、顧客端末3で受信したメッセージを見た顧客に対して、ATM1からの出金にインセンティブを与えることができる。そのため、顧客がATM1から出金することが促され、顧客がATM1から出金することで、ATM1の格納庫106に格納される現金の格納量を減少させることができる。
【0067】
また、例えば、S10において、管理サーバ2がATM1に入金する際の手数料が無料になる旨のメッセージを管理サーバ2が顧客端末3に送信した場合、顧客端末3で受信し
たメッセージを見た顧客に対して、ATM1への入金にインセンティブを与えることができる。そのため、顧客がATM1に入金することが促され、顧客がATM1に入金することで、ATM1の格納庫106に格納される現金の格納量を増加させることができる。
【0068】
顧客がATM1に入金または出金することで、処理はS1以降の処理が継続される。すなわち、顧客がATM1に入金または出金した後に、管理サーバ2は格納庫106の格納量を更新する(S1からS6)。管理サーバ2は、更新後の格納量が補充要または取り出し要の状態が継続していると判定すると(S7)、補充要または取り出し要の状態の継続時間に応じてインセンティブを与える通知先を決定(S8)してメッセージを生成(S9)し、生成したメッセージの送信を行う(S10)。
【0069】
<実施形態の作用効果>
実施形態に係る入出金システム500では、管理サーバ2は、ATM1の格納庫106に格納される現金の格納量が上限量を超えると、ATM1からの出金に対してインセンティブを与える顧客を決定し、決定した顧客に対してATM1からの出金に対してインセンティブを与える旨のメッセージを送信する。インセンティブを顧客に与えることで、顧客がATM1から出金することが促され、ATM1の格納庫106に格納される現金の格納量を減少させることができる。そのため、実施形態によれば、ATM1からの現金の取り出し作業の頻度を低減することができる。
【0070】
実施形態に係る入出金システム500では、管理サーバ2は、ATM1の格納庫106に格納される現金の格納量が下限量を下回ると、ATM1への入金に対してインセンティブを与える顧客を決定し、決定した顧客に対してATM1からの入金に対してインセンティブを与える旨のメッセージを送信する。インセンティブを顧客に与えることで、顧客がATM1に入金することが促され、ATM1の格納庫106に格納される現金の格納量を増加させることができる。そのため、実施形態によれば、ATM1からの現金の補充作業の頻度を低減することができる。
【0071】
実施形態に係る入出金システム500では、行動類型毎に顧客をグループ化し、それぞれのグループに対して、ATM1を用いて入金または出金する蓋然性の高さに応じた通知レベルが設定される。実施形態では、通知レベルの高い顧客を優先してインセンティブを与えるメッセージを送信するため、メッセージを受信した顧客によって出金または入金される可能性を高めることができる。また、個々の顧客に対して通知レベルを設定するのではなく、顧客属性に基づいて顧客を分類したグループ毎に通知レベルを設定してグループ単位で通知するため、実施形態に係る入出金システム500は、個々の顧客に存在する事情を吸収することができ、通知の結果生じるATM1の出金または入金の管理をより安定的に行うことができる。
【0072】
<第1変形例>
実施形態では、補充要または取り出し要と判定されてからの経過時間に応じて、通知レベルが決定される。第1変形例では、補充要または取り出し要の状態を解消可能と想定される人数の顧客に対して通知を行う。実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、図面を参照して、第1変形例について説明する。
【0073】
図10は、第1変形例に係る入出金システムの処理ブロックの一例を示す図である。図10に例示される入出金システム500aは、管理サーバ2に代えて管理サーバ2aを有する点で、実施形態に係る入出金システム500と異なる。管理サーバ2aは、取得部21、決定部23および条件データベース27に代えて、取得部21a、決定部23aおよび条件データベース27aを備える点で、管理サーバ2と異なる。
【0074】
条件データベース27aは、グループテーブル271に代えてグループテーブル271aを格納する点で、条件データベース27と異なる。図11は、第1変形例において条件データベースに格納されるグループテーブルの一例を示す図である。図11に例示されるグループテーブル271aは、グループテーブル271有する各項目に加えて、「反応割合」および「期待値(枚)」を項目としてさらに含む。「反応割合」には、メッセージを送信した際に、グループに属する顧客のうちATM1を用いて実際に入金または出金を行う顧客の割合が格納される。「期待値(枚)」には、顧客一人当たりにおける出金または入金する紙幣の枚数の期待値が格納される。
【0075】
取得部21aは、取得部21が実行する処理に加えて、メッセージを受信した顧客のうち、実際にATM1を用いて入金または出金を行った顧客の割合と、顧客一人当たりの出金または入金する紙幣の枚数の期待値を算出する。取得部21aは、ATM1から通知される顧客IDを基に、入金または出金を行った顧客が通知を行った顧客であるか否かを判定する。取得部21aは、通知を行った顧客のうち所定期間において入金または出金を行った顧客の人数を集計し、集計した人数をメッセージ送信対象とした顧客の人数で除算した値をグループテーブル271aの「反応割合」に記憶させる。取得部21aは、メッセージ送信対象とした顧客が入金または出金した紙幣の枚数を集計し、当該枚数を所定期間において入金または出金を行った顧客の人数で除算した値を、グループテーブル271aの「期待値(枚)」に記憶させる。
【0076】
決定部23aは、判定部22が現金の取り出し要または現金の補充要と判定すると、まず、通知レベル1に対応付けられたグループを特定し、特定したグループに属する顧客に対してインセンティブを与えるメッセージを送信することを決定する。決定部23aは、グループテーブル271aを参照して、通知レベル1のグループの顧客にメッセージを送信する場合に入金または出金される紙幣の枚数の期待値を算出する。紙幣の枚数の期待値の算出は、例えば、グループテーブル271aの「反応割合」に対して当該グループに属する顧客の人数を乗算し、乗算した値に「期待値(枚)」を乗算することで算出できる。
【0077】
決定部23aは、算出した紙幣の枚数の期待値が、ATM1の格納庫106が補充要または取り出し要の状態を解消可能な枚数であるか否かを判定する。不足する場合、決定部23aは、通知レベル1に加えて通知レベル2に対しても、メッセージを送信する旨を決定する。決定部23aは、算出した紙幣の枚数の期待値が、ATM1の格納庫106が補充要または取り出し要の状態を解消可能となるまで、このような処理を繰り返す。
【0078】
第1変形例によれば、補充要または取り出し要の状態を解消可能と想定される人数の顧客に入金または出金を促すメッセージを送信することができる。そのため、第1変形例によれば、より速やかにATM1の補充要または取り出し要の状態の解消を行うことができる。
【0079】
第1変形例において、グループに属する顧客が、時間帯別のサブグループにさらに属するようにしてもよい。例えば、グループAでは通勤ルートにATM−ID1のATM1が存在する顧客が分類されている。このグループAの顧客を、さらに、通勤時間毎にグループ分けしてもよい。例えば、午前6時から7時の間にATM1近辺を通過する顧客が属するサブグループ、午前7時から8時の間にATM1近辺を通過する顧客が属するサブグループ、午後7時から8時の間にATM1近辺を通過する顧客が属するサブグループ、のようにサブグループを作成することができる。
【0080】
このようにサブグループを作成する場合、決定部23aは、まず、通知レベル1に対応するグループに属する顧客のうち、補充要または取り出し要と判定された時刻に対応するサブグループに属する顧客を通知対象として決定する。決定部23aは、通知対象として
決定した顧客による紙幣の枚数の期待値を上記方法で算出し、算出した期待値が不足する場合には、通知レベル2以降に対応するグループに属する顧客のうち、補充要または取り出し要と判定された時刻に対応するサブグループに属する顧客を通知対象としてさらに決定すればよい。
【0081】
<その他の変形>
実施形態や変形例では、グループとして、通勤途中、周辺居住、手数料重視の3種類が例示されたが、グループによる顧客の分類がこれらに限定されるわけではない。グループは、例えば、毎月同じ日(または、前後数日の範囲内)に資金流入または資金流出が発生する顧客を一つのグループに属するようにしてもよい。毎月同じ日(または前後数日の範囲内)に資金流入する場合として、例えば、給与振込、保護者からの仕送り等を挙げることができる。また、所定期間内に所定回数以上の資金流入がある顧客を一つのグループに属するようにしてもよい。このような資金流入が生じる顧客は、ATM1を利用して出金する蓋然性が高いと考えられる。このような顧客に対して取り出し要と判定されたATM1からの出金にインセンティブを与えるメッセージを送信することで、ATM1から出金される可能性を高めることができる。
【0082】
また、毎月同じ日(または前後数日の範囲内)に資金流出する場合として、例えば、クレジットカードの支払い、公共料金の引き落とし、住宅ローン返済、奨学金返済、保険料の引き落とし等を挙げることができる。また、所定期間内に所定回数以上の資金流出がある顧客を一つのグループに属するようにしてもよい。このような資金流出がある顧客は、ATM1を利用して入金する蓋然性が高いと考えられる。このような顧客に対して補充要と判定されたATM1への入金にインセンティブを与えるメッセージを送信することで、ATM1に入金される可能性を高めることができる。
【0083】
また、管理サーバ2が顧客の個人スケジュールの登録を受け付け、登録された個人スケジュールにしたがって、顧客がATM1の近辺にいるか否かを判定し、ATM1の近辺にいる顧客を優先してメッセージを送信してもよい。
【0084】
また、ATM1それぞれが設置された地域毎のイベントスケジュールを管理サーバ2が記憶しておき、イベントが開催されるときにはイベント会場近辺の顧客がイベント会場に移動するものと想定して、イベント会場近くのATM1についてのメッセージをイベント会場周辺に居住する顧客に送信してもよい。
【0085】
実施形態では、簡単のため、ATM1が紙幣を格納する格納庫106をひとつ備えることとしたが、ATM1は金種毎に用意した複数の格納庫106を備えてもよい。また、ATM1は、紙幣を格納する格納庫106に限定されず、硬貨を格納する格納庫106を備えてもよい。この場合、ATM1の検知部12は、格納庫106のそれぞれについて格納量を検知し、格納庫106それぞれの格納量を管理サーバ2に通知する。管理サーバ2では、金種毎に用意された格納庫106それぞれについて、「格納量」、「上限量」および「下限量」をATM管理テーブル261が記憶し、通知されたそれぞれの格納庫106の格納量について、補充要否や取り出し要否を判定部22が判定する。そして、管理サーバ2の通知部24は、補充要または取り出し要と判定された金種での出金や入金にインセンティブを与える旨のメッセージを顧客に送信すればよい。
【0086】
管理サーバ2の通知部24は、補充要または取り出し要と判定された金種に応じて、メッセージの送信先を変更してもよい。例えば、一万円札の補充要と判定された場合、通知部24は、売上金のATM1への入金が期待できる自営業が分類されるグループ宛にメッセージを送信してもよい。一万円札の取り出し要と判定された場合、通知部24は、比較的大きな金額をATM1から出金することが期待できる会社員や20歳以上の顧客が分類
されるグループ宛にメッセージを送信してもよい。千円札の取り出し要と判定された場合、日中や帰宅時の買い物等の日常的な支出(比較的少額の支出)を期待できる、通勤ルート上にATM1が存在する顧客が分類されるグループ宛にメッセージを送信してもよい。
【0087】
実施形態では、通知レベルに応じてインセンティブを与えるグループが変更されるが、通知レベルによって顧客に与えるインセンティブの内容を変更してもよい。例えば、通知レベルが高くなる程、顧客にとって一層有利となるインセンティブを与えるようにしてもよい。このような構成を採用することで、補充要または取り出し要の状態をより短期に解消する方向に顧客の行動を誘導できる。
【0088】
インセンティブは、例えば、ATM1を利用する蓋然性が高いグループほど、顧客にとって一層有利となるインセンティブが与えられてもよい。このような構成とすることで、ATM1を利用する蓋然性が高いグループに属する顧客に対して、ATM1を利用する可能性を高めることができる。また、インセンティブは、例えば、ATM1を利用する蓋然性が低いグループほど、顧客にとって一層有利となるインセンティブが与えられてもよい。このような構成とすることで、ATM1を利用する蓋然性が低いグループに属する顧客に対して、ATM1の利用を促すことができる。
【0089】
実施形態では、顧客に与えるインセンティブとして、ATM1の手数料を無料にすることを挙げた。しかしながら、インセンティブがATM1の手数料の無料にすることに限定されるわけではない。インセンティブの他の例としては、ATM1の手数料の割引、預金利息の付与、ポイントの付与等を挙げることができる。
【0090】
実施形態では、管理サーバ2は、ATM1への補充の要否およびATM1からの取り出しの要否の双方を判定し、判定結果に応じてインセンティブを与えるメッセージを送信した。しかしながら、管理サーバ2は、補充の要否または取り出しの要否のいずれか一方を判定するものとしてもよい。例えば、管理サーバ2は、ATM1への補充の要否を判定し、補充要と判定された場合にATM1への入金にインセンティブを与えるメッセージを送信してもよく、この場合、管理サーバ2は取り出しの要否については判定を行わないとしてもよい。管理サーバ2がこのような構成を採用しても、ATM1からの現金の補充作業の頻度を低減することができる。
【0091】
また、管理サーバ2は、ATM1からの取り出しの要否を判定し、取り出し要と判定された場合にATM1からの出金にインセンティブを与えるメッセージを送信してもよく、この場合、管理サーバ2は補充の要否については判定を行わないとしてもよい。管理サーバ2がこのような構成を採用しても、ATM1からの現金の取り出し作業の頻度を低減することができる。
【0092】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【0093】
<<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させる情報処理プログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0094】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、Com
pact Disc Read Only Memory(CD−ROM)、Compact Disc−Recordable(CD−R)、Compact Disc−ReWriterable(CD−RW)、Digital Versatile Disc(DVD)、ブルーレイディスク(BD)、Digital Audio Tape(DAT)、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【符号の説明】
【0095】
1・・・ATM
11・・・入出金部
12・・・検知部
101、201、301・・・CPU
102、202、302・・・主記憶部
103、203、303・・・補助記憶部
104、204、304・・・通信部
105・・・入出金口
106・・・格納庫
2、2a・・・管理サーバ
21、21a・・・取得部
22・・・判定部
23、23a・・・決定部
24・・・通知部
25・・・顧客管理データベース
251・・・顧客管理テーブル
252・・・口座管理テーブル
26・・・ATM管理データベース
261・・・ATM管理テーブル
27、27a・・・条件データベース
271、271a・・・グループテーブル
272・・・条件テーブル
273・・・メッセージテーブル
3・・・顧客端末
31・・・表示部
5・・・ネットワーク環境
500、500a・・・入出金システム
B1、B2、B3・・・接続バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11