特開2020-146201(P2020-146201A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-146201(P2020-146201A)
(43)【公開日】2020年9月17日
(54)【発明の名称】収納棚装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 51/00 20060101AFI20200821BHJP
   A47B 46/00 20060101ALI20200821BHJP
   A47B 77/00 20060101ALI20200821BHJP
   B60R 5/04 20060101ALI20200821BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20200821BHJP
【FI】
   A47B51/00 501E
   A47B46/00 501A
   A47B77/00
   B60R5/04 Z
   B60N3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-45772(P2019-45772)
(22)【出願日】2019年3月13日
(11)【特許番号】特許第6599579号(P6599579)
(45)【特許公報発行日】2019年10月30日
(71)【出願人】
【識別番号】519089716
【氏名又は名称】河内 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】河内 敏
【テーマコード(参考)】
3B060
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B060CA06
3B088CA06
3D022BA04
3D022BB04
3D022BC10
3D022CA22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】SUVやミニバン等の種々の自動車の後部荷物室や家庭のキッチン等に簡単に設置することができ、しかも荷物の量やサイズに合わせて収納スペースの調整変更が可能な収納棚装置を提供する。
【解決手段】互いに略同サイズの方形の底板2、天板3および棚板4を備え、底板2の四隅に回転自在に立設された雄ネジ支柱5が棚板4の四隅を貫通して天板3まで伸び、棚板4における前記雄ネジ支柱5の貫通部分には、該雄ネジ支柱5と螺合する雌ネジ孔が形成され、各雄ネジ支柱5の下部にスプロケットが装着され、各スプロケットにはチェーンが架け渡され、これらチェーンを介して電動モータ等で各雄ネジ支柱5を正逆回転させることで棚板4が昇降自在となされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに略同サイズの方形の底板、天板および棚板を備え、底板の四隅に回転自在に立設された雄ネジ支柱が棚板の四隅を貫通して天板まで伸び、棚板における前記雄ネジ支柱の貫通部分には、該雄ネジ支柱と螺合する雌ネジ孔が形成され、各雄ネジ支柱の上部または下部にスプロケットまたはプーリーが装着され、各スプロケットにはチェーンが架け渡され、各プーリーにはベルトが架け渡され、これらチェーンまたはプーリーを介して手動または電動で各雄ネジ支柱を正逆回転させることで棚板が昇降自在となされている、収納棚装置。
【請求項2】
底板の各角部からその上方の棚板および天板の各角部まで伸びる横断面略L字状のガイドフレームを更に有し、各ガイドフレームの内面軌道部に沿って棚板が昇降する、請求項1記載の収納棚装置。
【請求項3】
底板、棚板および天板の各両側および各後側を覆う両側壁部と後側壁部を備えたガイドジャケットを更に有し、ガイドジャケットの両側壁部と後側壁部の内面軌道部に沿って棚板が昇降する、請求項1記載の収納棚装置。
【請求項4】
各雄ネジ支柱に装着されたチェーンまたはプーリーに係合する駆動スプロケットまたは駆動プーリーを更に有し、これら駆動スプロケットまたは駆動プーリーが手動/電動切り換え手段によって、ハンドルまたはモータで選択的に回動するようになされている、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の収納棚装置。
の収納棚装置。
【請求項5】
いずれかの雄ネジ支柱が、一対の噛み合うベベルギアを介して手動または電動で直接的に回転し、他の雄ネジ支柱がチェーンまたはスプロケットを介して従動する、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の収納棚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所謂SUVやミニバン等のワンボックスカーの後部荷室や家庭のキッチン等における収納スペースを有効に活用するための収納棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の後部荷室のスペースにおける収納装置としては、所謂、跳ね上げ式の荷室扉を有する開閉自在な後部荷室に、基礎部分となる棚ベースと、棚ベース上に立設された前後左右の枠体と、枠体内に、所定の段数だけ設けられた棚板を有する荷物棚を設置し、該荷物棚がリンク機構を介して前記後部扉に連結され、後部扉を開けると荷物棚がスライドして出てくる構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−083858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の収納装置の場合、荷物棚は、予め荷室のスペースに合わせて製作しておく必要があり、所謂、自動車ごとに専用のものを製作する必要があった。しかも、前述した通り、リンク機構を介して荷物棚がスライド自在に出し入れされる構造は非常に複雑であるため、実質的には自動車ごとの組み込み作業によって実現されるものであった。
【0005】
そのため、用途が荷物を配達のための業務用車両に限定され、一般の自家用自動車には設置できないものであった。
【0006】
また、近年、SUVやミニバン等の大幅な増加に伴って、車中泊やキャンプを行うユーザーが増え、そのため、車中泊のための寝具や食事のための食器、食品および調理器具、並びに衣類といった多くの荷物を後部荷室に積み込む必要があるが、後部荷室のスペースを有効に活用するための収納装置がなかったため、後部荷室に前述した種々の荷物を適当に積み重ねて収納する場合が多い。しかしながら、適当に積み上げられた荷物は、自動車の走行中に荷崩れを起こし易い。
【0007】
この他、前述した車中泊に使用するための組立て式ベットが市販されているが、これは後部荷室および後部座席を含む広範な車内スペースに人が横たわれる寝台を形成するためのもので、荷物を収納するものではなかった。
【0008】
本発明の目的は、SUVやミニバン等の種々の自動車の後部荷室や家庭のキッチン等に簡単に設置することができ、しかも荷物の量やサイズに合わせて収納スペースの調整が可能な収納棚装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明は、互いに略同サイズの方形の底板、天板および棚板を備え、底板の四隅に回転自在に立設された雄ネジ支柱が棚板の四隅を貫通して天板まで伸び、棚板における前記雄ネジ支柱の貫通部分には、該雄ネジ支柱と螺合する雌ネジ孔が形成され、各雄ネジ支柱の上部または下部にスプロケットまたはプーリーが装着され、各スプロケットにはチェーンが架け渡され、各プーリーにはベルトが架け渡され、これらチェーンまたはプーリーを介して手動または電動で各雄ネジ支柱を正逆回転させることで棚板が昇降自在となされている収納棚装置である。なお、本発明に係る収納棚装置においては、前記雄ネジ支柱と雌ネジ孔との螺合について、所謂ボールネジを使用することも含まれる。
【0010】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の収納棚装置について、底板の各角部からその上方の棚板および天板の各角部まで伸びる横断面略L字状のガイドフレームを更に有し、各ガイドフレームの内面軌道部に沿って棚板が昇降することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1記載の収納棚装置について、底板、棚板および天板の各両側および各後側を覆う両側壁部と後側壁部を備えたガイドジャケットを更に有し、ガイドジャケットの両側壁部と後側壁部の内面軌道部に沿って棚板が昇降することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の収納棚装置について、各雄ネジ支柱に装着されたチェーンまたはプーリーに係合する駆動スプロケットまたは駆動プーリーを更に有し、これら駆動スプロケットまたは駆動プーリーが手動/電動切り換え手段によって、ハンドルまたはモータによって、選択的に回動されるものである。
【0013】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の収納棚装置について、いずれかの雄ネジ支柱が、一対の噛み合うベベルギアを介して手動または電動で直接的に回転し、他の雄ネジ支柱がチェーンまたはスプロケットを介して従動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る収納棚装置は、前述した構成であるため、SUVやミニバンといった種々の自家用自動車の荷室に簡単に載置することができ、従来の専用品のような組み込み設置作業も不要である。また、自動車以外の一般家庭の流し台や洗面、或いはクローゼット等の収納スペースにも簡単に設置でき、これら収納スペースにおけるデッドスペースの発生を解消して有効な収納空間を形成することができる。
【0015】
そして、本発明に係る収納棚装置では、各雄ネジ支柱に架け渡されたチェーンまたはベルトを介して手動または電動で各雄ネジ支柱を正逆回転させるだけで底板と天板との間の棚板が昇降して該棚板の上方の天板との間隔および棚板の下方の底板との間隔を収納する荷物の量やサイズに合わせて適宜調整変更することができるため、前記自動車の荷室の他、一般家庭におけるキッチンやクローゼット等における収納スペースの有効活用が可能となる。
【0016】
更に、ガイドジャケットやガイドフレームを備えた本発明の収納棚装置によれば、前述した棚板の昇降がより安定的に行え、しかも収納装置全体としての強度が高められるため、特に自動車の荷室に載置した場合に、走行中の揺れ等に対していっそう強固に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る収納棚装置が載置されたワンボックスカーのハッチバックを開いた状態の正面図である。
図2】同実施形態に係る収納棚装置の断面図である。
図3図2におけるA−A線断面図である。
図4図2におけるB−B線断面図である。
図5図4と同位置における断面図であって、ガイドジャケットをガイドフレームに変更した場合を示す。
図6】本発明の他の実施形態に係る収納棚装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1図4に示すように、本実施形態に係る収納棚装置1は、例えばミニバン等のワンボックスカーCBの後部荷室BRに載置されて、該後部荷室BRのスペースの有効利用を図るために用いられる。
【0020】
収納棚装置1は、互いに略同サイズの方形の底板2、天板3および棚板4を備え、底板2の四隅に回転自在に立設された雄ネジ支柱5が棚板4の四隅を貫通して天板3まで伸び、棚板4における前記雄ネジ支柱5の貫通部分には、該雄ネジ支柱5と螺合する雌ネジ孔6が形成され、各雄ネジ支柱5の下部にスプロケット7が装着され、各スプロケット7にはチェーン8が架け渡され、これらチェーン8を介して電動モータMで各雄ネジ支柱5を正逆回転させることで棚板4が昇降自在となされているものである。
【0021】
なお、前記スプロケット7はプーリーに、前記チェーン8はベルトに変更される場合もある。
【0022】
雄ネジ支柱5は、その上下両端部5a・5bが底板2と天板3内に組み込まれた軸受部材としてのボールベアリング9によって回転自在に立設されている。
【0023】
また、雌ネジ孔6は、本実施形態では、棚板4内に内設されたナット11によって形成されている。
【0024】
更に、本実施形態の収納棚装置1では、各雄ネジ支柱5に装着されたチェーン8に係合する駆動スプロケット12の支軸13に手動/電動切り換え手段として、下端部がモータMと連結され、上端部にはL字形のハンドルHの基部が嵌め入れられる方形穴14が形成されている。そして、このような切り換え手段によって、ハンドルHとモータMで選択的に雄ネジ支柱5が回動するようになされている。すなわち、前記手動/電動切り換え手段である支軸13と方形穴14によって、手動または電動で駆動スプロケット12が自転する。そのため、方形穴14に前記ハンドルHが装着されていない場合には、モータMによって電動で雄ネジ支柱5が回動され、ハンドルHが前記方形穴14に装着されている場合には、モータMを使用せず(省略)、ハンドルHを回して棚板4を回動させる。
【0025】
なお、雄ネジ支柱5を正逆に回転させるための機構は、既に公知の種々のものを利用する。例えばモータMでは、減速装置や正逆回転の切り替えを行う制御回路基盤を設けたり、手動ハンドルHの場合は、双方向の機械的な回転構造とする。
【0026】
また、本実施形態の収納棚装置1は、前述した底板2、天板3および棚板4の各両側および各後側を覆う両側壁部15aと後側壁部15bを備えたガイドジャケット15が設けられ、ガイドジャケット15の両側壁部15aと後側壁部15bの内面軌道部16に沿って棚板4が昇降する構造となされている。
【0027】
図5に示すように、本発明に係る収納棚装置1では、前述した両側壁部15aと後側壁部15bを備えたガイドジャケット15に代えて、底板2の各角部2aからその上方の天板3および棚板4の各角部3a・4aまで伸びる横断面略L字状のガイドフレーム35を設ける場合もある。この場合、ガイドフレーム35の内面軌道部35aに沿って棚板4が昇降する。
【0028】
図6に示すように、本発明の収納棚装置21は、前述した収納棚装置1と同様の基本構成とし、棚板4の昇降機構を変更したものである。
【0029】
すなわち、収納棚装置21は、互いに略同サイズの方形の底板22、天板23および棚板24を備え、底板22の四隅に回転自在に立設された雄ネジ支柱25が棚板24の四隅を貫通して天板23まで伸び、棚板24における前記雄ネジ支柱25の貫通部分には、該雄ネジ支柱25と螺合する雌ネジ孔26が形成され、各雄ネジ支柱25の下部にスプロケット27が装着され、各スプロケット27にはチェーン28が架け渡され、これらチェーン28を介して電動モータMで各雄ネジ支柱25を正逆回転させることで棚板24が昇降自在となされているものである。
【0030】
そして、本実施形態の収納棚装置21では、その側方に前記モータMを設置し、該モータMの駆動シャフトM1の先端と隣り合う1本の雄ネジ支柱25の下端部とに互いに噛み合うべべルギア31・32が取り付けられ、これらべべルギア31・32を介して各雄ネジ支柱25が正逆に回転することで、棚板24が昇降する構造となされている。
【0031】
なお、図中29は軸受部材としてのボールベアリングを示す。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の収納棚装置によれば、昇降する棚板の位置によって、該棚板と底板並びに該棚板と天板の間隔を収納しようとする荷物の量やその大きさに合わせて適宜変更し得るため、自動車用品やキッチン用品等の分野において幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0033】
1・21 収納棚装置
2・22 底板
3・23 天板
4・24 棚板
5・25 雄ネジ支柱
6・26 雌ネジ孔
7・27 スプロケット
8・28 チェーン
15 ガイドジャケット
35 ガイドフレーム
M モータ
H ハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2019年8月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに略同サイズの方形の底板、天板および棚板を備え、底板の四隅に回転自在に立設された雄ネジ支柱が棚板の四隅を貫通して天板まで伸び、棚板における前記雄ネジ支柱の貫通部分には、該雄ネジ支柱と螺合する雌ネジ孔が形成され、各雄ネジ支柱の上部または下部にスプロケットまたはプーリーが装着され、各スプロケットにはチェーンが架け渡され、各プーリーにはベルトが架け渡され、これらチェーンまたはプーリーを介して手動または電動で各雄ネジ支柱を正逆回転させることで棚板が昇降自在となされており、底板の各角部からその上方の棚板および天板の各角部まで伸びる横断面略L字状のガイドフレームを更に有し、各ガイドフレームの内面軌道部に沿って棚板が昇降することを特徴とする、収納棚装置。
【請求項2】
互いに略同サイズの方形の底板、天板および棚板を備え、底板の四隅に回転自在に立設された雄ネジ支柱が棚板の四隅を貫通して天板まで伸び、棚板における前記雄ネジ支柱の貫通部分には、該雄ネジ支柱と螺合する雌ネジ孔が形成され、各雄ネジ支柱の上部または下部にスプロケットまたはプーリーが装着され、各スプロケットにはチェーンが架け渡され、各プーリーにはベルトが架け渡され、これらチェーンまたはプーリーを介して手動または電動で各雄ネジ支柱を正逆回転させることで棚板が昇降自在となされており、底板、棚板および天板の各両側および各後側を覆う両側壁部と後側壁部を備えたガイドジャケットを更に有し、ガイドジャケットの両側壁部と後側壁部の内面軌道部に沿って棚板が昇降することを特徴とする、収納棚装置。
【請求項3】
各雄ネジ支柱に装着されたチェーンまたはプーリーに係合する駆動スプロケットまたは駆動プーリーを更に有し、これら駆動スプロケットまたは駆動プーリーが手動/電動切り換え手段によって、ハンドルまたはモータで選択的に回動するようになされている、請求項1または請求項2記載の収納棚装置。
【請求項4】
いずれかの雄ネジ支柱が、一対の噛み合うベベルギアを介して手動または電動で直接的に回転し、他の雄ネジ支柱がチェーンまたはスプロケットを介して従動する、請求項1または請求項2記載の収納棚装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所謂SUVやミニバン等のワンボックスカーの後部荷室や家庭のキッチン等における収納スペースを有効に活用するための収納棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の後部荷室のスペースにおける収納装置としては、所謂、跳ね上げ式の荷室扉を有する開閉自在な後部荷室に、基礎部分となる棚ベースと、棚ベース上に立設された前後左右の枠体と、枠体内に、所定の段数だけ設けられた棚板を有する荷物棚を設置し、該荷物棚がリンク機構を介して前記後部扉に連結され、後部扉を開けると荷物棚がスライドして出てくる構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−083858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の収納装置の場合、荷物棚は、予め荷室のスペースに合わせて製作しておく必要があり、所謂、自動車ごとに専用のものを製作する必要があった。しかも、前述した通り、リンク機構を介して荷物棚がスライド自在に出し入れされる構造は非常に複雑であるため、実質的には自動車ごとの組み込み作業によって実現されるものであった。
【0005】
そのため、用途が荷物を配達のための業務用車両に限定され、一般の自家用自動車には設置できないものであった。
【0006】
また、近年、SUVやミニバン等の大幅な増加に伴って、車中泊やキャンプを行うユーザーが増え、そのため、車中泊のための寝具や食事のための食器、食品および調理器具、並びに衣類といった多くの荷物を後部荷室に積み込む必要があるが、後部荷室のスペースを有効に活用するための収納装置がなかったため、後部荷室に前述した種々の荷物を適当に積み重ねて収納する場合が多い。しかしながら、適当に積み上げられた荷物は、自動車の走行中に荷崩れを起こし易い。
【0007】
この他、前述した車中泊に使用するための組立て式ベットが市販されているが、これは後部荷室および後部座席を含む広範な車内スペースに人が横たわれる寝台を形成するためのもので、荷物を収納するものではなかった。
【0008】
本発明の目的は、SUVやミニバン等の種々の自動車の後部荷室や家庭のキッチン等に簡単に設置することができ、しかも荷物の量やサイズに合わせて収納スペースの調整が可能な収納棚装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明は、互いに略同サイズの方形の底板、天板および棚板を備え、底板の四隅に回転自在に立設された雄ネジ支柱が棚板の四隅を貫通して天板まで伸び、棚板における前記雄ネジ支柱の貫通部分には、該雄ネジ支柱と螺合する雌ネジ孔が形成され、各雄ネジ支柱の上部または下部にスプロケットまたはプーリーが装着され、各スプロケットにはチェーンが架け渡され、各プーリーにはベルトが架け渡され、これらチェーンまたはプーリーを介して手動または電動で各雄ネジ支柱を正逆回転させることで棚板が昇降自在となされており、底板の各角部からその上方の棚板および天板の各角部まで伸びる横断面略L字状のガイドフレームを更に有し、各ガイドフレームの内面軌道部に沿って棚板が昇降することを特徴とする収納棚装置である。
なお、本発明に係る収納棚装置においては、前記雄ネジ支柱と雌ネジ孔との螺合について、所謂ボールネジを使用することも含まれる。
【0010】
請求項2記載の本発明は、互いに略同サイズの方形の底板、天板および棚板を備え、底板の四隅に回転自在に立設された雄ネジ支柱が棚板の四隅を貫通して天板まで伸び、棚板における前記雄ネジ支柱の貫通部分には、該雄ネジ支柱と螺合する雌ネジ孔が形成され、各雄ネジ支柱の上部または下部にスプロケットまたはプーリーが装着され、各スプロケットにはチェーンが架け渡され、各プーリーにはベルトが架け渡され、これらチェーンまたはプーリーを介して手動または電動で各雄ネジ支柱を正逆回転させることで棚板が昇降自在となされており、底板、棚板および天板の各両側および各後側を覆う両側壁部と後側壁部を備えたガイドジャケットを更に有し、ガイドジャケットの両側壁部と後側壁部の内面軌道部に沿って棚板が昇降することを特徴とする収納棚装置に係るものである。
【0011】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の収納棚装置について、各雄ネジ支柱に装着されたチェーンまたはプーリーに係合する駆動スプロケットまたは駆動プーリーを更に有し、これら駆動スプロケットまたは駆動プーリーが手動/電動切り換え手段によって、ハンドルまたはモータで選択的に回動するようになされていることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の収納棚装置について、いずれかの雄ネジ支柱が、一対の噛み合うベベルギアを介して手動または電動で直接的に回転し、他の雄ネジ支柱がチェーンまたはスプロケットを介して従動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る収納棚装置は、前述した構成であるため、SUVやミニバンといった種々の自家用自動車の荷室に簡単に載置することができ、従来の専用品のような組み込み設置作業も不要である。また、自動車以外の一般家庭の流し台や洗面、或いはクローゼット等の収納スペースにも簡単に設置でき、これら収納スペースにおけるデッドスペースの発生を解消して有効な収納空間を形成することができる。
【0014】
そして、本発明に係る収納棚装置では、各雄ネジ支柱に架け渡されたチェーンまたはベルトを介して手動または電動で各雄ネジ支柱を正逆回転させるだけで底板と天板との間の棚板が昇降して該棚板の上方の天板との間隔および棚板の下方の底板との間隔を収納する荷物の量やサイズに合わせて適宜調整変更することができるため、前記自動車の荷室の他、一般家庭におけるキッチンやクローゼット等における収納スペースの有効活用が可能となる。
【0015】
更に、ガイドジャケットやガイドフレームを備えた本発明の収納棚装置によれば、前述した棚板の昇降がより安定的に行え、しかも収納装置全体としての強度が高められるため、特に自動車の荷室に載置した場合に、走行中の揺れ等に対していっそう強固に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る収納棚装置が載置されたワンボックスカーのハッチバックを開いた状態の正面図である。
図2】同実施形態に係る収納棚装置の断面図である。
図3図2におけるA−A線断面図である。
図4図2におけるB−B線断面図である。
図5図4と同位置における断面図であって、ガイドジャケットをガイドフレームに変更した場合を示す。
図6】本発明の他の実施形態に係る収納棚装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1図4に示すように、本実施形態に係る収納棚装置1は、例えばミニバン等のワンボックスカーCBの後部荷室BRに載置されて、該後部荷室BRのスペースの有効利用を図るために用いられる。
【0019】
収納棚装置1は、互いに略同サイズの方形の底板2、天板3および棚板4を備え、底板2の四隅に回転自在に立設された雄ネジ支柱5が棚板4の四隅を貫通して天板3まで伸び、棚板4における前記雄ネジ支柱5の貫通部分には、該雄ネジ支柱5と螺合する雌ネジ孔6が形成され、各雄ネジ支柱5の下部にスプロケット7が装着され、各スプロケット7にはチェーン8が架け渡され、これらチェーン8を介して電動モータMで各雄ネジ支柱5を正逆回転させることで棚板4が昇降自在となされているものである。
【0020】
なお、前記スプロケット7はプーリーに、前記チェーン8はベルトに変更される場合もある。
【0021】
雄ネジ支柱5は、その上下両端部5a・5bが底板2と天板3内に組み込まれた軸受部材としてのボールベアリング9によって回転自在に立設されている。
【0022】
また、雌ネジ孔6は、本実施形態では、棚板4内に内設されたナット11によって形成されている。
【0023】
更に、本実施形態の収納棚装置1では、各雄ネジ支柱5に装着されたチェーン8に係合する駆動スプロケット12の支軸13に手動/電動切り換え手段として、下端部がモータMと連結され、上端部にはL字形のハンドルHの基部が嵌め入れられる方形穴14が形成されている。そして、このような切り換え手段によって、ハンドルHとモータMで選択的に雄ネジ支柱5が回動するようになされている。すなわち、前記手動/電動切り換え手段である支軸13と方形穴14によって、手動または電動で駆動スプロケット12が自転する。そのため、方形穴14に前記ハンドルHが装着されていない場合には、モータMによって電動で雄ネジ支柱5が回動され、ハンドルHが前記方形穴14に装着されている場合には、モータMを使用せず(省略)、ハンドルHを回して棚板4を回動させる。
【0024】
なお、雄ネジ支柱5を正逆に回転させるための機構は、既に公知の種々のものを利用する。例えばモータMでは、減速装置や正逆回転の切り替えを行う制御回路基盤を設けたり、手動ハンドルHの場合は、双方向の機械的な回転構造とする。
【0025】
また、本実施形態の収納棚装置1は、前述した底板2、天板3および棚板4の各両側および各後側を覆う両側壁部15aと後側壁部15bを備えたガイドジャケット15が設けられ、ガイドジャケット15の両側壁部15aと後側壁部15bの内面軌道部16に沿って棚板4が昇降する構造となされている。
【0026】
図5に示すように、本発明に係る収納棚装置1では、前述した両側壁部15aと後側壁部15bを備えたガイドジャケット15に代えて、底板2の各角部2aからその上方の天板3および棚板4の各角部3a・4aまで伸びる横断面略L字状のガイドフレーム35を設ける場合もある。この場合、ガイドフレーム35の内面軌道部35aに沿って棚板4が昇降する。
【0027】
図6に示すように、本発明の収納棚装置21は、前述した収納棚装置1と同様の基本構成とし、棚板4の昇降機構を変更したものである。
【0028】
すなわち、収納棚装置21は、互いに略同サイズの方形の底板22、天板23および棚板24を備え、底板22の四隅に回転自在に立設された雄ネジ支柱25が棚板24の四隅を貫通して天板23まで伸び、棚板24における前記雄ネジ支柱25の貫通部分には、該雄ネジ支柱25と螺合する雌ネジ孔26が形成され、各雄ネジ支柱25の下部にスプロケット27が装着され、各スプロケット27にはチェーン28が架け渡され、これらチェーン28を介して電動モータMで各雄ネジ支柱25を正逆回転させることで棚板24が昇降自在となされているものである。
【0029】
そして、本実施形態の収納棚装置21では、その側方に前記モータMを設置し、該モータMの駆動シャフトM1の先端と隣り合う1本の雄ネジ支柱25の下端部とに互いに噛み合うべべルギア31・32が取り付けられ、これらべべルギア31・32を介して各雄ネジ支柱25が正逆に回転することで、棚板24が昇降する構造となされている。
【0030】
なお、図中29は軸受部材としてのボールベアリングを示す。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の収納棚装置によれば、昇降する棚板の位置によって、該棚板と底板並びに該棚板と天板の間隔を収納しようとする荷物の量やその大きさに合わせて適宜変更し得るため、自動車用品やキッチン用品等の分野において幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0032】
1・21 収納棚装置
2・22 底板
3・23 天板
4・24 棚板
5・25 雄ネジ支柱
6・26 雌ネジ孔
7・27 スプロケット
8・28 チェーン
15 ガイドジャケット
35 ガイドフレーム
M モータ
H ハンドル