【実施例】
【0056】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また、%は質量%を意味する。
【0057】
試験区分1(化合物Aとしてのポリオキシアルキレン化合物の製造)
・製造例1{化合物A(SRA−1)の製造}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」196.9g及び水酸化カリウム1.5gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド(表1中、「EO」と記す)1303.1gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(SRA−1)を得た。
【0058】
・製造例2{化合物A(SRA−2)の製造}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」318.9g及び水酸化カリウム3.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド2681.1gを0.4MPaのゲージ圧にて6時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、反応を終了した。その後、85%リン酸を用いてpH6になるよう中和を行った、脱水後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(SRA−2)を得た。
【0059】
・製造例3{化合物A(SRA−3)の製造}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」338.5g及びtert−ブトキシカリウム10.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4661.5gを0.4MPaのゲージ圧にて7時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード700(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(SRA−3)を得た。
【0060】
・製造例4{化合物A(SRA−4)の製造}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」272.5g及び水酸化カリウム5.0gを仕込んだ。次いで、反応系を130℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4727.5gを0.4MPaのゲージ圧にて8時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(SRA−4)を得た。
【0061】
・製造例5{化合物A(SRA−5)の製造}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、市販のビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン96.9g及びtert−ブトキシカリウム1.8gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、エチレンオキシドを34g仕込み、反応を開始した。圧力が低下することを確認後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド1669gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。反応温度で1時間保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(SRA−5)を得た。
【0062】
・製造例6{化合物A(SRA−6)の製造}
化合物A(SRA−6)は、表1に示すように、製造例5において使用したビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンに代えて、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンを使用し、更に、エチレンオキシドの量を変化させたこと以外は、製造例5と同様にして製造した。
【0063】
・製造例7{化合物A(SRA−7)の製造}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」229.2g及び水酸化カリウム1.8gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド1517gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した。更に同温度にてプロピレンオキシド(表1中、「PO」と記す)を54g添加し、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(SRA−7)を得た。
【0064】
・製造例8{化合物A(SRA−8)の製造}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」628.4g及び水酸化カリウム4.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド3371.7gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(150±5℃)で1時間保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(SRA−8)を得た。
【0065】
・製造例9{RE−1の製造}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、市販のジエチレングリコール106g及び水酸化カリウム4.4gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4312gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、その後、回収した。
【0066】
・製造例10{RE−2}
「ニューポールBPE−100(三洋化成工業社製)」をそのまま用いたものをRE−2とした。
【0067】
以上で調製した各化合物Aの内容を表1にまとめて示した。
【0068】
【表1】
【0069】
表1において、
※1:式(1)中の「R
1」は、この欄に記載された化合物から水酸基を除いた残基である。
※2:RE−2は、「ニューポールBPE−100(三洋化成工業社製)」をそのまま用いた。
a1+a2(平均総付加モル数)は、「EOモル数」と「POモル数」との和の値である。
【0070】
試験区分2(化合物Bとしてのポリオキシアルキレン化合物の製造)
・製造例1{化合物B(SRB−1)の製造}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、市販のジエチレングリコールモノブチルエーテル(n−ブチルアルコールのエチレンオキシド(表2中、「EO」と記す)2モル付加物)526.6g及び水酸化カリウム1.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらプロピレンオキシド(表2中、「PO」と記す)377gを0.4MPaのゲージ圧にて3時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード700(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(SRB−1)を得た。
【0071】
・製造例2{化合物B(SRB−3)の製造}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、市販のイソブチルアルコール363.1g及び水酸化カリウム1.5gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらプロピレンオキシド1137gを0.4MPaのゲージ圧にて3時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(SRB−3)を得た。
【0072】
・製造例4{化合物B(SRB−4)の製造}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、市販のエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(イソプロピルアルコールのエチレンオキシド(表2中、「EO」と記す)1モル付加物))757.6g及び水酸化カリウム1.5gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド320gを0.4MPaのゲージ圧にて1時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した。更に同温度にてプロピレンオキシド(表1中、「PO」と記す)422gを2時間かけて添加し、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、反応を終了した。その後、85%リン酸を用いてpH6まで中和を行った後、減圧脱水・ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(SRB−4)を得た。
【0073】
以上で調製した各化合物Bの内容を表2にまとめて示した。
【0074】
【表2】
【0075】
表2において、
SRB−2:東京化成製 試薬 トリエチレングリコールモノブチルエーテルをそのまま用いた。
SRB−5:日油製 ユニオックスAA−480をそのまま用いた。
【0076】
試験区分3(収縮低減剤の調製)
表1に記載の化合物A及び表2に記載の化合物Bを表3に示す割合で配合して、よく振り混ぜ、混合し、収縮低減剤(EX−1)〜(EX−14)を調製した。
【0077】
収縮低減剤(EX−1)と同様にして、収縮低減剤(R−1)〜(R−4)を調製した。
【0078】
以上で調製した各収縮低減剤の内容を表3にまとめて示した。
【0079】
【表3】
【0080】
試験区分4(水硬性組成物としてのコンクリートの調製及び評価)
表3で示した収縮低減剤をコンクリートに添加し、以下の評価を行った。
【0081】
具体的には、表4に示した配合条件で、20℃の試験室内で50Lのパン型強制練りミキサーに、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、宇部三菱セメント社製、及び住友大阪セメント社製等量混合、密度=3.16g/cm
3)からなる水硬性結合材と、骨材として陸砂(大井川水系産、密度=2.58g/cm
3)及び砕石(岡崎産砕石、密度=2.66g/cm
3)とを添加し、更に、AE減水剤として「チューポールEX60(竹本油脂社製)」をセメントに対して0.7〜1.0%と、更に表5に示した添加量で、収縮低減剤(表3参照)及び空気連行剤「AE−300(竹本油脂社製)」を、それぞれ所定量と、消泡剤である「AFK−2(竹本油脂社製)」を上記セメントに対して0.002%として練り混ぜ水(水道水)の一部として計量し、ミキサーに投入して90秒間練混ぜた。スランプが18±1cm、連行空気量が4.5±0.5%の範囲となるよう、AE減水剤、空気連行剤の量を調整し、コンクリート組成物(水硬性組成物)を調製した。
【0082】
【表4】
【0083】
表4中、「セメント」は、上述した普通ポルトランドセメントを示す。「細骨材」は、上述した陸砂(大井川水系産、密度=2.58g/cm
3)を示し、「粗骨材」は、砕石(岡崎産砕石、密度=2.66g/cm
3)を示す。また、「水/セメントの割合(%)」は、式:水/セメント×100により算出した値を示す。
【0084】
調製したコンクリート組成物について、スランプ、空気量、圧縮強度及び乾燥収縮率の評価を行い、結果を表5にまとめて示した。
【0085】
・スランプ(cm):
連行空気量の測定と同時にJIS A 1101に準拠して測定した。
【0086】
・空気量(容量%):
「混練直後の空気量」は、練り混ぜ直後のコンクリート組成物について、寸法Φ100mm、高さ200mmの円柱供試体を採取し、JIS A 1128に準拠して測定した。「硬化後空気量」は、練り混ぜから24時間後に、寸法Φ100mm、高さ200mmの円柱供試体を脱型し、大気中質量(A)、水中質量(B)を測定し式:(1−(A×測定時の水の密度/A−B)×(1/単位容積質量))×100により算出した値を示す。
【0087】
・長さ変化率(乾燥収縮率):
JIS A 1129に準拠し、各コンクリート組成物を20℃×60%RHの条件下で保存した材齢26週の供試体について、コンパレータ法により乾燥収縮ひずみを測定し、長さ変化率(乾燥収縮率)を求めた。この数値は小さいほど、乾燥収縮が小さいことを示す。
【0088】
・圧縮強度(N/mm
2)
JIS A 1108に準拠して試験を行った。20℃×80%RHの恒温室で鋼製型枠に充填し硬化させ、材齢1日で脱型し、水温20℃の養生槽にて材齢28日まで養生した。
【0089】
【表5】
【0090】
(結果)
表5に示すように、実施例1〜14に示される収縮低減剤は、得られる水硬性組成物の乾燥収縮を低減する収縮低減性能に優れ、且つ、硬化後の空気残存率が大きく、水硬性組成物の品質の均一性を図ることができることが分かった。