【実施例】
【0054】
試験区分1(A成分としてのビニル共重合体の合成)
【0055】
・製造例1{ビニル共重合体(A−1)の合成}
蒸留水436.2g、α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=23)オキシエチレン351.3g、メタクリル酸43.4g、3−メルカプトプロピオン酸6.3gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて70℃に保持した。次に、2.3%過酸化水素水溶液77.9gを投入し、2時間かけてラジカル共重合反応を行った。2時間経過後、1.3%過酸化水素水溶液33.6gを投入し、更に2時間反応を行った後、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液7.5gを投入し、蒸留水にて濃度を40%に調整して反応混合物を得た。この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量18000であった。この反応物をビニル共重合体(A−1)とした。
【0056】
・製造例2{ビニル共重合体(A−2)の合成}
製造例2(A−2)は、表1に示すように、製造例1(A−1)において使用したα−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=23)オキシエチレンに代えて、α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=45)オキシエチレンを使用し、更に、各種構成成分の仕込み量を変化させたこと以外は、製造例1(A−1)と同様にして製造した。
【0057】
・製造例3{ビニル共重合体(A−3)の合成}
蒸留水204.1g、α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=53)オキシエチレン365.5gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて70℃に保持した。次に、3.5%過酸化水素水溶液19.9gを3時間かけて滴下し、それと同時に蒸留水158.9gにアクリル酸31.8gを均一に溶解させた水溶液を3時間かけて滴下し、それと同時に蒸留水17.5gにL−アスコルビン酸1.6gと3−メルカプトプロピオン酸2.8gを溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。その後、2時間、反応系の温度を70℃に維持し、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液6.2gを加え、蒸留水にて濃度を40%に調整して反応混合物を得た。この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量32000であった。この反応物をビニル共重合体(A−3)とした。
【0058】
・製造例4{ビニル共重合体(A−4)の合成}
蒸留水194.4gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、雰囲気を窒素置換し、窒素雰囲気下にて反応系の温度を60℃に保持した。次に、蒸留水240.2g、α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=113)オキシエチレン365.5g、メタクリル酸19.4g、ヒドロキシエチルアクリレート3.9g、3−メルカプトプロピオン酸3.9gを均一混合し、単量体混合物水溶液を調製した。この単量体混合物水溶液と10%過硫酸ナトリウム水溶液58.3gとを4時間かけて反応容器に同時に滴下してラジカル共重合反応を行った。その後、反応系の温度を60℃に保持して、1時間反応を行い、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液20.8gを加え、蒸留水にて濃度を40%に調整して反応混合物を得た。この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量40000であった。この反応物をビニル共重合体(A−4)とした。
【0059】
・製造例5{ビニル共重合体(A−5)の合成}
蒸留水424.8g、α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=9)オキシエチレン282.9g、メタクリル酸70.7g、アクリル酸メチル19.6g、チオグリコール酸11.8gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて60℃に保持した。次に、10%過硫酸ナトリウム水溶液39.3gを投入し、2時間かけてラジカル共重合反応を行った。2時間経過後、10%過硫酸ナトリウム水溶液19.7gを投入し、更に2時間反応を行った後、重合反応を終了した。その後、反応系に30%水酸化ナトリウム水溶液66.6gを投入し、蒸留水にて濃度を40%に調整して反応混合物を得た。この反応混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量12000であった。この反応物をビニル共重合体(A−5)とした。以上製造したビニル共重合体について、表1にまとめて示した。
【0060】
【表1】
【0061】
表1において、
*1:A成分であるビニル共重合体の種類
*2:構成単位1を形成することとなる単量体1の種類
*3:構成単位2を形成することとなるカルボン酸単量体の種類
*4:構成単位3を形成することとなる単量体3の種類
割合:単位は質量%
L−1:α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=23)オキシエチレン
L−2:α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=45)オキシエチレン
L−3:α−(3−メチル−3−ブテニル)−ω−ヒドロキシ−ポリ(n=53)オキシエチレン
L−4:α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=113)オキシエチレン
L−5:ヒドロキシエチルアクリレート
L−6:α−メタクリロイル−ω−メトキシ−ポリ(n=9)オキシエチレン
M−1:メタクリル酸
M−2:アクリル酸
N−1:アクリル酸メチル
【0062】
A成分であるビニル共重合体の質量平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)にて行い、条件を以下のものとした。結果を表1に示した。
【0063】
[測定条件]
検出器:示差屈折計(RI)
カラム:昭和電工社製OHpak SB−G+SB−806M HQ+SB−806M HQ
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流速:0.7mL/分
カラム温度:40℃
標準物質:PEG/PEO(アジレント社製)
【0064】
試験区分2(B成分としてのポリオキシアルキレン化合物の合成)
【0065】
・製造例1{ポリオキシアルキレン化合物(B−1)の合成}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」318.9g及び水酸化カリウム3.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド(表2中、「EO」と記す)2681.1gを0.4MPaのゲージ圧にて6時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物(B−1)を得た。
【0066】
・製造例2{ポリオキシアルキレン化合物(B−2)の合成}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」257.3g及び水酸化カリウム1.5gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド1702.7gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物(B−2)を得た。
【0067】
・製造例3{ポリオキシアルキレン化合物(B−3)の合成}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」338.5g及びカリウムtert−ブトキシド10.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4661.5gを0.4MPaのゲージ圧にて7時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物(B−3)を得た。
【0068】
・製造例4{ポリオキシアルキレン化合物(B−4)の合成}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」272.5g及び水酸化カリウム5.0gを仕込んだ。次いで、反応系を130℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4727.5gを0.4MPaのゲージ圧にて8時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物(B−4)を得た。
【0069】
・製造例5{ポリオキシアルキレン化合物(B−5)の合成}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、市販のビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン250.3g及びカリウムtert−ブトキシド8.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、エチレンオキシドを176.0g仕込み、反応を開始した。圧力が低下することを確認後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4224.0gを0.4MPaのゲージ圧にて8時間かけて添加した。反応温度で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物(B−5)を得た。
【0070】
・製造例6{ポリオキシアルキレン化合物(B−6)の合成}
化合物B(B−6)は、表2に示すように、製造例5において使用したビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンに代えて、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンを使用したこと以外は、製造例5と同様にして製造した。
【0071】
・製造例7{ポリオキシアルキレン化合物(B−7)の合成}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」700.3g及び水酸化カリウム5.5gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド5886.8gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した。更に同温度にてプロピレンオキシド(表2中、「PO」と記す)を826.9g添加し、反応温度(130±5℃)で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物(B−7)を得た。
【0072】
・製造例8{ポリオキシアルキレン化合物(B−8)の合成}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成工業社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」628.4g及び水酸化カリウム4.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド3315.6gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(150±5℃)で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、式(2)で示されるポリオキシアルキレン化合物(B−8)を得た。
【0073】
・製造例9{RB−1の合成}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、市販のジエチレングリコール106.1g及び水酸化カリウム4.4gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4311.9gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(RB−1)を得た。
【0074】
・製造例10{RB−2}
「ニューポールBPE−100(三洋化成工業社製)」をそのまま用いたものをRB−2とした。
【0075】
・製造例11{RB−3の合成}
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−40(三洋化成工業製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計4モル付加物)」451.1g及び水酸化カリウム3.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド2259.9gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(150±5℃)で1時間保持した後、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行った後、ろ過を行い、ポリオキシアルキレン化合物(RB−3)を得た。
【0076】
以上で調製した各B成分の内容を表2にまとめて示した。
【0077】
【表2】
【0078】
表2おいて、
※1:式(2)中の「R
6」は、この欄に記載された化合物から水酸基を除いた残基である。
a+b(平均総付加モル数)における、「合計モル数」は、「EO付加モル数」と「PO付加モル数」との和の値である。
【0079】
試験区分3(水硬性組成物用混和剤の調製)
表1に記載のA成分、表2に記載のB成分、及び蒸留水を表3に示す割合で配合容器に投入し、攪拌機を用いて混合することで、混和剤(SR−1)〜(SR−16)を調製した。
【0080】
混和剤(SR−1)〜(SR−16)と同様にして、混和剤(RSR−1)〜(RSR−3)を調製した。
【0081】
以上で調製した各混和剤の内容を表3にまとめて示した。
【0082】
【表3】
【0083】
試験区分4(水硬性組成物としてのコンクリートの調製及び評価)
【0084】
[コンクリート試験1]
・実施例1〜16及び比較例1〜4
表3で示した水硬性組成物用混和剤を水硬性組成物にて評価を行った。表4に示した配合条件で、20℃の試験室内で50Lのパン型強制練りミキサーに、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、宇部三菱セメント社製、及び住友大阪セメント社製等量混合、密度=3.16g/cm
3)からなる水硬性結合材と、骨材として陸砂(大井川水系産、密度=2.58g/cm
3)及び砕石(岡崎産砕石、密度=2.66g/cm
3)とを添加し、更に表5に示した添加量で、混和剤(表3参照)及び空気連行剤「AE−300(竹本油脂社製)」を、それぞれ所定量と、消泡剤である「AFK−2(竹本油脂社製)」を上記セメントに対して0.002%として練り混ぜ水(上水道水)の一部として計量し、ミキサーに投入して90秒間練混ぜた。スランプが18±1cm、連行空気量が4.5±0.5%の範囲となるようコンクリート組成物(水硬性組成物)を調製した。
【0085】
【表4】
【0086】
・水硬性組成物の評価
調製した各例のコンクリート組成物について、スランプ、空気量、凍結融解抵抗性及び長さ変化率を下記のように求めた。結果を表5にまとめて示した。
【0087】
・スランプ(cm):
空気量の測定と同時にJIS A 1101に準拠して測定した。
【0088】
・空気量(容積%):
練り混ぜ直後及び30分間静置後の水硬性組成物について、JIS A 1128に準拠して測定した。
【0089】
・耐久性指数(凍結融解抵抗性):
各コンクリート組成物の硬化体を作製し、この硬化体についてJIS A 1148に準拠して耐久性指数を求めた。評価は、以下の基準に基づいて行った。この数値は、最大値が100であり、100に近いほど、凍結融解に対する抵抗性が優れていることを示す。
耐久性指数(凍結融解抵抗性)の評価:
S:90〜100
A:80〜90未満
B:60〜80未満
C:60未満
【0090】
・長さ変化率:
JIS A 1129に準拠し、各コンクリート組成物を20℃×60%RHの条件下で保存した材齢26週の供試体について、コンパレータ法により乾燥収縮ひずみを測定し、長さ変化率を求めた。評価は、以下の基準に基づいて行った。この数値は小さいほど、乾燥収縮が小さいことを示す。
長さ変化率の評価:
A:500(×10
−6)〜650(×10
−6)未満
B:650(×10
−6)〜700(×10
−6)未満
C:700(×10
−6)〜
【0091】
【表5】
【0092】
表5において、
※1:混和剤使用量は、結合材100質量%に対する質量%である。表3に示す蒸留水を含めた混和剤有姿の使用量と、混和剤中に含まれるA成分及びB成分のみの合計の使用量を示した。
※2:空気量調整剤使用量は、結合材100質量%に対する質量%である。
※3:HP−11は、竹本油脂社製チューポールHP−11である。
【0093】
[コンクリート試験2]
・実施例17〜32及び比較例5〜8
表3で示した水硬性組成物用混和剤を水硬性組成物にて評価を行った。表6に示した配合条件で、20℃の試験室内で50Lのパン型強制練りミキサーに、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、宇部三菱セメント社製、及び住友大阪セメント社製等量混合、密度=3.16g/cm
3)からなる水硬性結合材と、骨材として陸砂(大井川水系産、密度=2.58g/cm
3)及び砕石(岡崎産砕石、密度=2.66g/cm
3)とを添加し、更に表7に示した添加量で、混和剤(表3参照)及び空気連行剤「AE−300(竹本油脂社製)」を、それぞれ所定量と、消泡剤である「AFK−2(竹本油脂社製)」を上記セメントに対して0.002%として練り混ぜ水(上水道水)の一部として計量し、ミキサーに投入して90秒間練混ぜた。スランプフローが600±30mm、連行空気量が4.5±0.5%の範囲となるよう、コンクリート組成物(水硬性組成物)を調製した。
【0094】
【表6】
【0095】
・水硬性組成物の評価
調製した各例のコンクリート組成物について、コンクリート試験1と同様な方法及び基準に基づいて、空気量、凍結融解抵抗性及び長さ変化率を求めた。なお、スランプフロー及び材料分離抵抗性については、下記のように求めた。結果を表7にまとめて示した。
【0096】
・スランプフロー(mm):
JIS A 1150に準拠して測定した。
【0097】
・材料分離抵抗性:
コンクリート組成物について、目視により、材料分離抵抗性を次の基準で評価した。
材料分離抵抗性の評価:
A:非常に良好(骨材とモルタル・ペーストの分離なし)
B:良好(わずかに骨材とモルタル・ペーストが分離)
C:悪い(明らかに骨材とモルタル・ペーストが分離)
【0098】
【表7】
【0099】
表7において、
※1:混和剤使用量は、結合材100質量%に対する質量%である。表3に示す蒸留水を含めた混和剤有姿の使用量と、混和剤中に含まれるA成分及びB成分のみの合計の使用量を示した。
※2:空気量調整剤使用量は、結合材100質量%に対する質量%である。
※3:HP−11は、竹本油脂社製チューポールHP−11である。
【0100】
(結果)
想定スランプが18cmである普通コンクリートを対象とするコンクリート試験1においては、表5に示すように、実施例1〜16は、比較例1〜4に比べて、得られる硬化体の乾燥収縮が低減すると共に、凍結融解作用に対する抵抗性が向上することが分かる。また、想定スランプフローが600mmである高流動コンクリートを対象とするコンクリート試験2においては、表7に示すように、実施例17〜32は、比較例5〜8に比べて、得られる硬化体の乾燥収縮が低減すると共に、凍結融解作用に対する抵抗性及び材料分離抵抗性が向上することが分かる。