【解決手段】第1ハウジングは、各第1端子を内部にそれぞれ収容可能な複数の第1端子収容孔が第1ハウジングの幅方向に並んだ複数の列となるように形成された本体部と、本体部の前面に形成されたMID形成導電パターンである導電パターンとを含み、第1端子のパターン接続部は、前面において第1ハウジングの幅方向に並んだ複数の列となるように配置されて導電パターンに接続され、導電パターンは、選択された複数のパターン接続部を相互に導通させ、第2ハウジングは嵌合空洞を含み、嵌合空洞内に第1ハウジングの本体部が進入して第1コネクタと第2コネクタとが嵌合すると、第1端子と第2端子とが接触し、選択された複数の電線が相互に導通する。
(a)第1端子が複数装着される第1ハウジングを備える第1コネクタと、電線に接続された第2端子が複数装着される第2ハウジングと、前記第2端子が第2ハウジングから外れることを防止する端子係止部材とを備え、前記第1コネクタと嵌合可能な第2コネクタとから構成されるコネクタ組立体であって、
(b)前記第1ハウジングは、少なくとも非導電性金属化合物を含む樹脂で形成され、各第1端子を内部にそれぞれ収容可能な複数の第1端子収容孔が前記第1ハウジングの幅方向に並んだ複数の列となるように形成された本体部と、該本体部の前面に、レーザー照射によって形成された金属シードにめっきされた導電パターンとを含み、
(c)前記第1端子のパターン接続部は、前記前面において前記第1ハウジングの幅方向に並んだ複数の列となるように配置されて前記導電パターンに接続され、該導電パターンは、選択された複数のパターン接続部を相互に導通させ、
(d)前記第2ハウジングは嵌合空洞を含み、該嵌合空洞内に前記第1ハウジングの本体部が進入して前記第1コネクタと第2コネクタとが嵌合すると、前記第1端子と第2端子とが接触し、選択された複数の電線が相互に導通することを特徴とするコネクタ組立体。
前記導電パターンは、前記複数の列の各々において前記第1ハウジングの幅方向に並んだ複数のパターン接続部を相互に導通させる帯状のパターンと、異なる列のパターン接続部を相互に導通させる帯状のパターンとを含む請求項1に記載のコネクタ組立体。
前記第1ハウジングにはその本体部の前面を覆うカバー部材が取付けられ、前記導電パターンは前記カバー部材に形成されたパターン収容凹部内に収容される請求項1又は2に記載のコネクタ組立体。
前記第1ハウジングの本体部は、上下両面から突出する第1係合凸部を含み、前記第2ハウジングは、その前面よりも前方に突出し、前記嵌合空洞の周囲を取囲む第2筒状部を含み、前記第1コネクタと第2コネクタとが嵌合すると、前記第1係合凸部は、前記第2筒状部の上下の側壁に形成された第2係合凹部に進入して係合する請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタ組立体。
前記第2ハウジングは、各第2端子を内部にそれぞれ収容可能な複数の第2端子収容凹部であって、前記第2ハウジングの幅方向に並んだ複数の列となるように形成された第2端子収容凹部と、該第2端子収容凹部の途中を横断するように形成され、前記端子係止部材を収容する係止部材収容凹部とを含み、前記第2端子収容凹部は、その天面から斜め下に向けて前方に突出するカンチレバー状のランスを含み、該ランスは、複数の列の第2端子収容凹部内に収容された第2端子の前方係止部と係合し、前記端子係止部材は、複数の列の第2端子収容凹部内に収容された第2端子の後方係止部と係合する請求項1〜4のいずれか1項に記載のコネクタ組立体。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本実施の形態におけるコネクタ組立体の第1の二面図、
図2は本実施の形態におけるコネクタ組立体の第2の二面図、
図3は本実施の形態におけるコネクタ組立体の分解図、
図4は本実施の形態における電線に接続された端子の三面図である。なお、
図1において、(a)は斜視図、(b)は上面図であり、
図2において、(a)は正面図、(b)は(a)におけるA−A矢視断面図であり、
図4において、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【0019】
図において、1は本実施の形態におけるコネクタであって、プラグコネクタとしての第1コネクタである。また、101は本実施の形態における相手方コネクタであって、レセプタクルコネクタとしての第2コネクタである。該第2コネクタ101は、また、複数の電線191を備えるケーブルの終端に接続されるケーブルコネクタである。そして、第1コネクタ1と第2コネクタ101とは、コネクタアセンブリ、すなわち、コネクタ組立体を構成し、互いに嵌合されて接続される。
【0020】
ここで、コネクタ組立体は、所望の電線191同士を電気的に接続するための、いわゆるジョイントコネクタとして機能するものであるとして説明する。また、前記コネクタ組立体は、各種電子機器や、家庭用機器、医療機器、産業機器、輸送機器などの各種の機器において使用されるもので、いかなる用途において使用されるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、自動車等の輸送機器において、CAN(Controller Area Network )規格に適合した通信に使用されるものとする。
【0021】
なお、本実施の形態において、第1コネクタ1、第2コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、第1コネクタ1、第2コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、第1コネクタ1、第2コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0022】
前記第2コネクタ101は、絶縁性材料である合成樹脂等の樹脂によって一体的に形成され、概略直方体のような全体形状を備える第2ハウジング111と、前記電線191の終端に接続された状態で前記第2ハウジング111に装着される導電性の金属から成る端子である第2端子151と、絶縁性材料である合成樹脂等の樹脂によって一体的に形成され、前記第2端子151が第2ハウジング111から外れることを防止するリテーナとしての端子係止部材121とを備える。なお、
図3には、説明の都合上、1つの第2端子151のみが示されているが、第2端子151の数は電線191の数に対応して任意に変更することができる。また、第2端子151のピッチも任意に決定することができる。さらに、前記電線191は、図示の都合上、第2端子151の近傍部分のみが描画され、それ以外の部分が省略されている。
【0023】
前記第2ハウジング111は、該第2ハウジング111内において前後方向に延在する第2端子収容凹部116を備える。該第2端子収容凹部116は、第2ハウジング111を前後方向に貫通する貫通孔であって、その両端が前面111f及び後面111rに開口する。そして、第2端子収容凹部116は、第2ハウジング111の幅方向に並んで列を成すように配設され、隣接する第2端子収容凹部116同士は、その間に形成された仕切壁によって仕切られている。図に示される例において、第2端子収容凹部116は、11個の第2端子収容凹部116が第2ハウジング111の幅方向に並んだ列が、複数の列、例えば、上下2列となるように配置されている。なお、第2端子収容凹部116の数は第2端子151及び電線191の数に対応して任意に変更することができる。また、第2端子収容凹部116のピッチも第2端子151及び電線191のピッチに対応して任意に決定することができる。さらに、必ずしもすべての第2端子収容凹部116内に第2端子151が収容される必要はなく、いくつかの第2端子収容凹部116には第2端子151が収容されていなくてもよい。
【0024】
なお、前記第2ハウジング111は、前面111fよりも前方(X軸正方)に突出した角筒状の第2筒状部111gを含んでいる。そして、該第2筒状部111gによって周囲を取囲まれた前面111fよりも前方の空間は、第1コネクタ1の第1ハウジング11の本体部12が進入する嵌合空洞111hとして機能する。また、前記第2筒状部111gの左右両側の側壁内面には、第2ハウジング111の幅方向中心方向に向けて突出する第2係合凸部111jが形成されている。該第2係合凸部111jは、嵌合空洞111hに進入する前記第1ハウジング11の本体部12の左右両側面に形成された後述される第1係合凹部12cと係合する。さらに、前記第2筒状部111gの上下両側の側壁には、該側壁を貫通する第2係合凹部111kが形成されている。該第2係合凹部111kは、嵌合空洞111hに進入する前記第1ハウジング11の本体部12の上下両面から突出するように形成された第1係合凸部12bと係合する。これにより、前記第1ハウジング11の本体部12が嵌合空洞111hから抜出ることが防止され、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合状態が安定的に維持される。
【0025】
また、前記第2ハウジング111は、第2コネクタ101の前後方向(X軸方向)に延在する一対の側壁部111cと、上方に位置する天壁部111aと、該天壁部111aと平行な下方に位置する底壁部111bとを備える。
【0026】
そして、該底壁部111bの下面には、図示されない固定用部材を取付けるための固定用部材取付部112が形成されている。前記固定用部材は、いかなる種類の部材であってもよいが、例えば、鋼等の金属から成る帯状の板材であって、一般にステーと称される細長い部材であり、その基端は、例えば、自動車等の輸送機器のボディ等の構造用部材に安定的に取付けられており、その先端が固定用部材取付部112の取付空洞112aに挿入されて係合される。これにより、前記第2ハウジング111は、固定用部材を介して、構造用部材に安定的に固定される。
【0027】
また、前記側壁部111cは、概ね平坦な板部材であるが、一方の外側面(
図2(a)における右側面)には結合用凸部113aが形成され、他方の外側面(
図2(a)における左側面)には結合用凹部113bが形成されている。前記結合用凸部113aは、前記結合用凹部113bに挿入されて係合されるようになっているので、1つの第2ハウジング111の結合用凸部113aを他の第2ハウジング111の結合用凹部113bに挿入して係合させることによって、複数の第2ハウジング111を幅方向(Y軸方向)に並べて相互に結合させることができる。
【0028】
さらに、前記天壁部111aには、係止部材収容凹部としての係止部材受入溝117が開口している。該係止部材受入溝117は、第2ハウジング111の幅方向に延在してすべての第2端子収容凹部116の途中を横断するように形成された細長い溝状の凹部であって、端子係止部材121を収容する。
【0029】
前記第2端子151は、導電性の金属板に曲げ加工及び打抜き加工を施すことによって一体的に形成され、本体部としての接触筒部152と、該接触筒部152の後端に連結部154を接続された電線接続部153とを備える。該電線接続部153は、電線191に固定されるとともに、該電線191が備える図示されない導線としての芯線と電気的に接続される部分であり、芯線及び電線191をかしめて固定する。なお、必要に応じてはんだを付与することによって、芯線と電線接続部153とを更に強固に接続固定することができる。
【0030】
また、前記接触筒部152は、連結部154の先端から前方に向けて延出する角筒状の部分であって、
図4(b)に示されるように、先端に開口する内部空洞152a内には、接触弾性片156が配設されている。該接触弾性片156は、接触筒部152の底壁から斜め上に向けて前方に突出するカンチレバー状のばね部材である。そして、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合し、
図2(b)に示されるように、第1コネクタ1の第1端子51の接触ピン部52が内部空洞152a内に進入すると、前記接触弾性片156は、接触筒部152の天壁と協働して、接触ピン部52を上下から弾性的に挟持する。これにより、接触ピン部52と接触筒部152との接触が確実に維持され、第1端子51と第2端子151との導通状態が確実に維持される。
【0031】
図4(c)に示されるように、前記連結部154の上面は、接触筒部152の上面よりも下方に窪むように形成され、前記連結部154の上方に係止凹部158が形成される。そして、前記接触筒部152の後端は後方係止部155Bとして機能し、第2端子151が第2端子収容凹部116内に収容され、係止部材受入溝117内に収容された端子係止部材121が第2端子151の挿抜を不能とする本係止位置にまで変位すると、端子係止部材121の本体部122における上側係止部122a及び/又は下側係止部122bが前記係止凹部158に進入し、前記後方係止部155Bと係合する。これにより、第2端子収容凹部116内に収容された第2端子151が後方へ抜出ることが防止される。また、接触筒部152の上面の途中には、前方係止部155Aが形成され、第2端子151が第2端子収容凹部116内に収容されると、該第2端子収容凹部116の天面から斜め下に向けて前方に突出するカンチレバー状のランス116aの先端と係合する。これによっても、第2端子収容凹部116内に収容された第2端子151が後方へ抜出ることが防止される。
【0032】
前記端子係止部材121は、第2ハウジング111の幅方向に延在する概略細長い直方体のような全体形状の本体部122を備え、該本体部122は、前後方向に延在する端子挿通開口123が複数形成されている。該端子挿通開口123は、本体部122を前後方向に貫通する貫通孔であって、端子係止部材121の幅方向に並んで列を成すように配設され、隣接する端子挿通開口123同士は、その間に形成された仕切壁によって仕切られている。図に示される例において、端子挿通開口123は、1列となるように配置され、端子係止部材121が第2ハウジング111の係止部材受入溝117に収容されると、2列のうちの上側の列の第2端子収容凹部116に対応する。また、前記本体部122における端子挿通開口123の直上部分は前記上側係止部122aとして機能し、前記本体部122における端子挿通開口123の直下部分は前記下側係止部122bとして機能する。
【0033】
前記第1コネクタ1は、絶縁性材料である合成樹脂等の樹脂によって一体的に形成された第1ハウジング11と、該第1ハウジング11の前方を保護するカバー部材21と、前記第1ハウジング11に装着される導電性の金属から成る端子である第1端子51とを備える。該第1端子51の数、配置の形態、ピッチ等は、前記第2端子151と同様であって、図に示される例においては、8本の第1端子51が第1ハウジング11の幅方向に並んだ列が、複数の列、例えば、上下2列となるように配置されるとともに、1本の第1端子51がやや離れて下側の列に対応する位置に配置されているが、適宜変更することができる。
【0034】
前記第1ハウジング11は、概略直方体のような全体形状を備える本体部12と、該本体部12の前面12fの周囲を取囲み、かつ、前面12fよりも前方(X軸正方)に突出した角筒状の第1筒状部13とを含んでいる。そして、該第1筒状部13内における本体部12の前面12fよりも前方の空間は、カバー部材21が進入するカバー収容空洞15として機能する。また、前記本体部12には、該本体部12を前後方向に貫通する貫通孔としての第1端子収容孔12aが複数形成されている。該第1端子収容孔12aは、上述の第1端子51の数、配置の形態、ピッチ等に適合するように形成されている。そして、前記第1端子収容孔12aの各々には、各第1端子51が圧入されて収容される。また、前記本体部12の上下両面には、外方に突出する第1係合凸部12bが形成されている。該第1係合凸部12bは、第2ハウジング111の第2筒状部111gに形成された第2係合凹部111kと係合する部材である。さらに、前記第1筒状部13の左右両側の側壁内面には、第1係合凹部13bが形成されている。該第1係合凹部13bは、カバー収容空洞15に進入するカバー部材21の左右両側面に形成されたカバー係合凸部21bと係合する。
【0035】
さらに、前記本体部12の前面12fの所定の箇所には、導電パターン61が、MID技術を使用して、選択的に形成されている。前記導電パターン61を介して、第1ハウジング11に装着された第1端子51のうちの選択されたもの同士が相互に導通する。なお、図に示される例においては、前記導電パターン61に、第1端子51の他に、例えば、LED、ダイオード等の電子部品である第1部品71や、抵抗、コンデンサ等の電気部品である第2部品72が接続されているが、第1部品71、第2部品72等の部品は、必ずしも必要なものでなく、適宜省略することができる。
【0036】
前記第1端子51は、導電性の金属板に曲げ加工及び打抜き加工を施すことによって一体的に形成され、本体部54と、該本体部54の後端に接続された接触部としての接触ピン部52と、前記本体部54の前端に接続されたはんだ付部としてのパターン接続部53とを備える。前記本体部54は、第1端子収容孔12a内に圧入され、該第1端子収容孔12aによって保持される部分である。また、前記接触ピン部52は、本体部12の後面12rから後方に突出し、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合すると、対応する第2端子151の接触筒部152の内部空洞152a内に進入して前記接触筒部152と接触する部分である。さらに、前記パターン接続部53は、その先端が前面12fから突出し、はんだのような導電性の接続剤62を介して、導電パターン61に電気的に接続される。
【0037】
前記カバー部材21は、絶縁性材料である合成樹脂等の樹脂によって一体的に形成され、第1ハウジング11の幅方向に延在する長方形の皿乃至盆のような全体形状を有して本体部12の前面12fを覆う部材であり、後面21r側には凹入したパターン収容凹部21cが形成されている。また、前記カバー部材21の左右両側面には、外方に突出するカバー係合凸部21bが形成されている。そして、前記カバー部材21は、
図2(b)に示されるように、第1ハウジング11のカバー収容空洞15内に収容されて保持される。この際、前記カバー係合凸部21bが第1筒状部13の左右両側の側壁内面に形成された第1係合凹部13bと係合することによって、カバー部材21と第1ハウジング11との結合状態が確実に維持される。
【0038】
また、前記カバー部材21がカバー収容空洞15内に収容された状態においては、
図2(b)に示されるように、カバー部材21の後面21rが本体部12の前面12fに近接又は当接し、前後方向に関して、カバー部材21の前面21fの位置が第1筒状部13の前端の位置とほぼ同様になる。そして、カバー係合凸部21b内に、導電パターン61、第1端子51のパターン接続部53、接続剤62、第1部品71、第2部品72等が収容されて保護される。なお、前記カバー部材21は、透明な材料から成るものであってもよい。この場合、導電パターン61、第1端子51のパターン接続部53、接続剤62、第1部品71、第2部品72等の状態を外部から視認することが可能となる。
【0039】
次に、前記第1コネクタ1の構成について詳細に説明する。
【0040】
図5は本実施の形態におけるカバー部材を取外した状態の第1コネクタの斜視図、
図6は本実施の形態におけるカバー部材を取外した状態の第1コネクタの五面図、
図7は本実施の形態における第1ハウジングの三面図、
図8は本実施の形態におけるカバー部材を取外した状態の第1コネクタの変形例の斜視図である。なお、
図6において、(a)は正面図、(b)は(a)におけるB−B矢視断面図、(c)は上面図、(d)は(a)におけるC−C矢視断面図、(e)は側面図であり、
図7において、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は(a)におけるD−D矢視断面図である。
【0041】
図5〜7に示されるように、第1ハウジング11の本体部12の前面12fにおける所定の箇所には、MID技術を使用して形成された導電パターンであるMID形成導電パターンとしての導電パターン61が選択的に形成されている。この場合、第1ハウジング11の材料である樹脂として、例えば、レーザーダイレクトストラクチャリング(LDS)に使用される樹脂であって、芳香族ポリアミド等の高耐熱性の樹脂をベースとして有機金属錯体等の非導電性金属化合物を含む添加物を混合したものを使用する。非導電性金属化合物である有機金属錯体は、レーザービーム照射によって熱エネルギが付与されると活性化し、有機物の配位子が分離して金属核としての金属原子を出現させるという性質を有する。そこで、レーザービームを照射して、本体部12の前面12fに前記導電パターン61と同様のパターンを描画する。すると、前記前面12fに前記導電パターン61と同様のパターンを形成するように金属原子が露出して金属シードを形成する。続いて、無電解銅めっき処理を行って、前記前面12fに露出している金属シードに導電性金属である銅を析出させる。これにより、前記前面12fに銅めっき膜から成る導電パターン61を得ることができる。
【0042】
図7に示されるように、前記本体部12に形成された第1端子収容孔12aは、8個の第1端子収容孔12aが第1ハウジング11の幅方向に並んだ列が、複数の列、例えば、上下2列となるように配置されるとともに、1個の第1端子収容孔12aがやや離れて下側の列に対応する位置に配置されている。なお、前記第1端子収容孔12aの横断面は、第1端子51の本体部54の外形に適合するように、略矩形となっている。
【0043】
そして、
図5〜7に示される例において、導電パターン61は、
図7(a)において、第1導電パターン61−1〜第3導電パターン61−3として示されるように、3種類のものが形成されている。
【0044】
第1導電パターン61−1は、
図7(a)において、上下各列の第1端子収容孔12aのうちの左端寄りの4個の第1端子収容孔12aの各々、及び、やや離れて下側の列に対応する位置に配置されている1個の第1端子収容孔12aの周囲を取囲むように形成された独立したパターンである。すなわち、第1導電パターン61−1は、それぞれが互いに接続されていない独立したパターンであって、かつ、それぞれが1個の略矩形の第1端子収容孔12aの周囲を取囲むように形成された外形が略矩形のフランジのようなパターンである。なお、第1導電パターン61−1には、必要に応じて、フランジのような部分から外方に突出する突出部61aが形成されていてもよい。
【0045】
次に、第2導電パターン61−2は、
図7(a)において、上下各列の第1端子収容孔12aのうちの右端寄りの4個の第1端子収容孔12aの周囲を取囲んで連結するように形成されたパターンである。すなわち、複数の列の各々において第1ハウジング11の幅方向に並んだ複数のパターン接続部53を相互に導通させる帯状のパターンを含むものであって、4つの第1導電パターン61−1の隣接するもの同士を連結するように形成されたパターンである。なお、第2導電パターン61−2の適所にも、必要に応じて、突出部61aが形成されていてもよい。
【0046】
次に、第3導電パターン61−3は、
図7(a)において、上側の列に対応する位置において横方向に延在する帯状の左右延在部分と、該左右延在部分から下側の列に対応する位置にまで下方向に延在する帯状の上下延在部分とから成るように形成されたパターンである。すなわち、異なる列のパターン接続部53を相互に導通させる帯状のパターンを含むものであって、概略T字状に形成されたパターンである。なお、第3導電パターン61−3の適所にも、必要に応じて、突出部61aが形成されていてもよい。
【0047】
また、レーザービームを照射して形成される導電パターン61は、すべて、第1筒状部13によって周囲を取囲まれた本体部12の前面12fに集中して形成されているので、図示されないレーザービーム照射装置に対する第1ハウジング11の姿勢を、その前方からレーザービームが照射されるように制御するだけで、容易に所望の導電パターン61を形成することができる。
【0048】
そして、各第1端子収容孔12aには、第1端子51が本体部12の後面12rから圧入されて収容される。具体的には、少なくとも1つ側面に係合用の凹凸が形成された第1端子51の本体部54が第1端子収容孔12aに圧入され、前記係合用の凹凸が第1端子収容孔12aの内面に食込むことによって、第1端子51が本体部12に確実に保持される。なお、該本体部12の左右両側面には、第2ハウジング111の第2係合凸部111jと係合する第1係合凹部12cが形成されている。また、第1端子51のパターン接続部53の先端が前面12fから突出し、はんだのような導電性の接続剤62を介して、第1端子収容孔12aの周囲を取囲むように形成された導電パターン61に電気的に接続される。
【0049】
さらに、必要に応じて、第1部品71や第2部品72を接続剤62を介して導電パターン61に接続することができる。例えば、
図5及び6に示されるように、LED、ダイオード等の電子部品である第1部品71、及び、抵抗、コンデンサ等の電気部品である第2部品72によって、上側の列の第1導電パターン61−1と下側の列の第1導電パターン61−1とを接続することができる。また、第2部品72によって、上側及び下側の列の第2導電パターン61−2と第3導電パターン61−3とを接続することができる。さらに、第2部品72によって、やや離れて下側の列に対応する位置に配置されている1つの第1導電パターン61−1と第3導電パターン61−3とを接続することができる。
【0050】
また、
図8に示されるような第1コネクタ1の変形例においては、導電パターン61は、第3導電パターン61−3と第4導電パターン61−4との2種類のものが形成されている。なお、第3導電パターン61−3は、
図7(a)におけるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0051】
第4導電パターン61−4は、
図7(a)における第2導電パターン61−2の変形とも言えるものであって、上下各列の第1端子収容孔12aのうちの8個すべての第1端子収容孔12aの周囲を取囲んで連結するように形成されたパターンである。すなわち、8つの第1導電パターン61−1の隣接するもの同士を連結するように形成されたパターンである。そして、第2部品72によって、上側及び下側の列の第4導電パターン61−4と第3導電パターン61−3とが接続されている。なお、
図8に示されるような第1コネクタ1の変形例においては、第1導電パターン61−1が含まれていない。また、その他の点の構成において、
図8に示されるような変形例は、
図5〜7に示される例と同様であるので、その説明を省略する。
【0052】
なお、本実施の形態においては、導電パターン61が、
図5〜8に示されるように、第1導電パターン61−1〜第4導電パターン61−4となるように形成された例についてのみ説明したが、導電パターン61の形態、すなわち、パターニングは、
図5〜8に示される例に限定されるものでなく、任意に変更することができる。
【0053】
そして、前記第1コネクタ1を第2コネクタ101と嵌合させると、
図2(b)に示されるように、第1コネクタ1の第1端子51の接触ピン部52が第2コネクタ101の第2端子151の接触筒部152の内部空洞152a内に進入し、前記接触筒部152と接触するので、第1端子51と第2端子151とが導通する。これにより、第2端子151及び該第2端子151に接続された電線191は、第1端子51を介して、導電パターン61に電気的に接続されるので、導電パターン61のパターニングに応じて、所定の電線191同士が所定の組合せで相互に電気的に接続される。すなわち、第1コネクタ1と第2コネクタ101とから構成されるコネクタ組立体は、いわゆるジョイントコネクタとして機能し、複数の電線191同士を所定の組合せで相互に電気的に接続することができる。
【0054】
また、第1コネクタ1を、
図5〜7に示される例のような導電パターン61のパターニングを有するものから、
図8に示される変形例のような導電パターン61のパターニングを有するものに変更することによって、相互に電気的に接続される電線191同士の組合せを容易に変更することができる。さらに、多数種類の導電パターン61のパターニングを有する第1コネクタ1をあらかじめ用意しておけば、多数種類の組合せで電線191同士を相互に電気的に接続することができる。
【0055】
なお、前記第1コネクタ1は、第1端子51の接触ピン部52を覆うものを有しておらず、第1ハウジング11の本体部12が第2ハウジング111の嵌合空洞111hに入込んで互いがロックされるようになっている。これにより、第2ハウジング111の第2筒状部111gを小さくすることができ、また、該第2筒状部111gの外側に出張るものがないので、コネクタ組立体を小さくすることができる。
【0056】
このように、本実施の形態において、コネクタ組立体は、第1端子51が複数装着される第1ハウジング11を備える第1コネクタ1と、電線191に接続された第2端子151が複数装着される第2ハウジング111と、第2端子151が第2ハウジング111から外れることを防止する端子係止部材121とを備え、第1コネクタ1と嵌合可能な第2コネクタ101とから構成される。そして、第1ハウジング11は、各第1端子51を内部にそれぞれ収容可能な複数の第1端子収容孔12aが第1ハウジング11の幅方向に並んだ複数の列となるように形成された本体部12と、本体部12の前面12fに形成されたMID形成導電パターンである導電パターン61とを含み、第1端子51のパターン接続部53は、前面12fにおいて第1ハウジング11の幅方向に並んだ複数の列となるように配置されて導電パターン61に接続され、導電パターン61は、選択された複数のパターン接続部53を相互に導通させ、第2ハウジング111は嵌合空洞111hを含み、嵌合空洞111h内に第1ハウジング11の本体部12が進入して第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合すると、第1端子51と第2端子151とが接触し、選択された複数の電線191が相互に導通する。
【0057】
これにより、第1端子51同士を導通させる所望の導電パターン61が形成された各種の第1ハウジング11を、第1ハウジング11の成形用金型を変更する必要がなく、低コストで、かつ、容易に用意することができ、第1ハウジング11を所望の導電パターン61が形成されたものに変更するだけで、所望の第1端子51同士を、延いては、所望の電線191同士を導通させることができる第1コネクタ1を得ることができる。したがって、第1端子51同士又は第2端子端子151に接続された電線191同士を導通させるパターンとして多種多様なものを低コストで容易に用意することができ、多種多様なパターンのうちから、所望のものを適宜選択することができる。
【0058】
また、導電パターン61は、複数の列の各々において第1ハウジング11の幅方向に並んだ複数のパターン接続部53を相互に導通させる帯状のパターンと、異なる列のパターン接続部53を相互に導通させる帯状のパターンとを含んでいる。これにより、複数の列となるように配置された第1端子51のパターン接続部53のうちの所望のもの同士を相互に導通させることができ、延いては、複数の電線191のうちの所望のもの同士を相互に導通させることができる。
【0059】
さらに、第1ハウジング11には本体部12の前面12fを覆うカバー部材21が取付けられ、導電パターン61はカバー部材21に形成されたパターン収容凹部21c内に収容される。これにより、導電パターン61が保護され、所望の電線191同士の導通を確実に維持することができる。
【0060】
さらに、第1ハウジング11の本体部12は、上下両面から突出する第1係合凸部12bを含み、第2ハウジング111は、前面111fよりも前方に突出し、嵌合空洞111hの周囲を取囲む第2筒状部111gを含み、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合すると、第1係合凸部12bは、第2筒状部111gの上下の側壁に形成された第2係合凹部111kに進入して係合する。これにより、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合作業を容易に行うことができ、かつ、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合状態を確実に維持することができる。
【0061】
さらに、第2ハウジング111は、各第2端子151を内部にそれぞれ収容可能な複数の第2端子収容凹部116であって、第2ハウジング111の幅方向に並んだ複数の列となるように形成された第2端子収容凹部116と、第2端子収容凹部116の途中を横断するように形成され、端子係止部材121を収容する係止部材受入溝117とを含み、第2端子収容凹部116は、その天面から斜め下に向けて前方に突出するカンチレバー状のランス116aを含み、ランス116aは、複数の列の第2端子収容凹部116内に収容された第2端子151の前方係止部155Aと係合し、端子係止部材121は、複数の列の第2端子収容凹部116内に収容された第2端子151の後方係止部155Bと係合する。これにより、電線191を引張る動作によって後方に引く外力が第2端子151に付与された場合でも、第2端子151が第2端子収容凹部116から抜出ることが確実に防止される。
【0062】
さらに、MID形成導電パターンは、第1ハウジング11の本体部12の前面12fにレーザービームを照射して第1ハウジング11の材料に含まれる非導電性金属化合物から金属核を出現させ、めっき処理を行って形成された前記金属核を核とする導電性金属のめっき膜から成る。これにより、導電パターン61を銅等の導電性金属のめっき膜によって形成することができ、極めて導電抵抗の低い導電パターン61を得ることができる。
【0063】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。