特開2020-151806(P2020-151806A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2020151806-研磨装置及び研磨方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-151806(P2020-151806A)
(43)【公開日】2020年9月24日
(54)【発明の名称】研磨装置及び研磨方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20200828BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20200828BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20200828BHJP
【FI】
   B24B37/30 E
   B24B37/10
   H01L21/304 622K
   H01L21/304 622R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-52786(P2019-52786)
(22)【出願日】2019年3月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】稲積 賢
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AA09
3C158AA11
3C158AA13
3C158AB01
3C158CA01
3C158CB01
3C158CB10
3C158DA12
3C158EA13
3C158EB01
3C158ED10
3C158ED11
3C158ED12
5F057AA16
5F057AA31
5F057BA15
5F057CA11
5F057DA03
5F057FA19
5F057GA02
5F057GA27
(57)【要約】
【課題】基板の面内の研磨レートを調整可能な研磨装置及び研磨方法を提供する。
【解決手段】実施形態の研磨装置は、研磨テーブルと、研磨テーブルの上に設けられた研磨パッドと、研磨テーブルを第1の回転軸を中心に回転させる第1の回転機構と、基板を保持し、基板を研磨パッドに押し付ける基板保持部と、基板保持部を第2の回転軸を中心に回転させる第2の回転機構と、第1の回転軸と第2の回転軸と間の角度を可変とする傾斜機構と、を備え、基板の研磨中に、基板の外縁は、常に研磨パッドの外縁の内側に維持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨テーブルと、
前記研磨テーブルの上に設けられた研磨パッドと、
前記研磨テーブルを第1の回転軸を中心に回転させる第1の回転機構と、
基板を保持し、前記基板を前記研磨パッドに押し付ける基板保持部と、
前記基板保持部を第2の回転軸を中心に回転させる第2の回転機構と、
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸と間の角度を可変とする傾斜機構と、を備え、
前記基板の研磨中に、前記基板の外縁は、常に前記研磨パッドの外縁の内側に維持される研磨装置。
【請求項2】
前記基板の研磨中に、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との相対位置が固定される請求項1記載の研磨装置。
【請求項3】
前記傾斜機構は前記角度を0度以上5度以下の範囲で可変とする請求項1又は請求項2記載の研磨装置。
【請求項4】
前記傾斜機構は、前記第2の回転軸の傾斜を変化させる請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の研磨装置。
【請求項5】
前記傾斜機構を制御し、前記基板の研磨中に前記角度を変化させる制御部を、更に備える請求項1ないし請求項4いずれか一項記載の研磨装置。
【請求項6】
前記第1の回転機構及び前記第2の回転機構は、前記研磨テーブルと前記基板保持部を同一方向に回転させる請求項1ないし請求項5いずれか一項記載の研磨装置。
【請求項7】
研磨パッドを第1の回転軸を中心に回転させ、
前記第1の回転軸に対して傾斜する第2の回転軸を中心に回転する基板を、前記基板の外縁が常に前記研磨パッドの外縁の内側に維持されるように前記研磨パッドに押し付けて前記基板を研磨する研磨方法。
【請求項8】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間の角度は0度より大きく5度以下である請求項7記載の研磨方法。
【請求項9】
前記基板の研磨中に前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間の角度を変化させる請求項7又は請求項8記載の研磨方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、研磨装置及び研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMP(Chemical Mechanical Polishing)は、例えば、回転するターンテーブルの表面に研磨剤を供給し、回転する基板をターンテーブル表面の研磨パッドに押し付けることにより、基板の表面を研磨する。基板の表面は、化学的作用及び機械的作用により研磨され平坦化される。
【0003】
CMPでは、基板の中心部と外周部の研磨レートが異なり、基板の表面を均一に研磨できない場合がある。したがって、基板の面内の研磨レートを調整する方法が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−150339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、基板の面内の研磨レートを調整可能な研磨装置及び研磨方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の研磨装置は、研磨テーブルと、前記研磨テーブルの上に設けられた研磨パッドと、前記研磨テーブルを第1の回転軸を中心に回転させる第1の回転機構と、基板を保持し、前記基板を前記研磨パッドに押し付ける基板保持部と、前記基板保持部を第2の回転軸を中心に回転させる第2の回転機構と、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸と間の角度を可変とする傾斜機構と、を備え、前記基板の研磨中に、前記基板の外縁は、常に前記研磨パッドの外縁の内側に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の研磨装置の模式図。
図2】第2の実施形態の研磨装置の模式図。
図3】第3の実施形態の研磨装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する。
【0009】
以下、実施形態の研磨装置及び研磨方法を、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の研磨装置は、研磨テーブルと、研磨テーブルの上に設けられた研磨パッドと、研磨テーブルを第1の回転軸を中心に回転させる第1の回転機構と、基板を保持し、基板を研磨パッドに押し付ける基板保持部と、基板保持部を第2の回転軸を中心に回転させる第2の回転機構と、第1の回転軸と第2の回転軸と間の角度を可変とする傾斜機構と、を備え、基板の研磨中に、基板の外縁は、常に研磨パッドの外縁の内側に維持される。
【0011】
また、第1の実施形態の研磨方法は、研磨パッドを第1の回転軸を中心に回転させ、第1の回転軸に対して傾斜する第2の回転軸を中心に回転する基板を、基板の外縁が常に研磨パッドの外縁の内側に維持されるように研磨パッドに押し付けて基板を研磨する。
【0012】
図1は、第1の実施形態の研磨装置の模式図である。図1(a)は研磨装置の側面図、図1(b)は研磨装置の上面図である。第1の実施形態の研磨装置は、半導体ウェハ等の基板の表面を研磨するCMP装置100である。
【0013】
第1の実施形態のCMP装置100は、ターンテーブル10(研磨テーブル)、研磨パッド12、第1の支持軸14、第1の回転機構18、トップリング20(基板保持部)、第2の支持軸22、第2の回転機構24、トップリング傾斜機構26(傾斜機構)、及び、研磨剤供給ノズル28を備える。
【0014】
ターンテーブル10は、第1の回転軸RA1を中心として回転する。ターンテーブル10は、第1の回転軸RA1を中心として自転する。ターンテーブル10は、研磨テーブルの一例である。
【0015】
研磨パッド12は、ターンテーブル10の上に設けられる。研磨パッド12は、ターンテーブル10に固定される。研磨パッド12は、ターンテーブル10と同様、第1の回転軸RA1を中心として自転する。研磨パッド12は円周方向に回転する。
【0016】
研磨パッド12は弾性体である。研磨パッド12は、例えば、樹脂又は不織布を含む。研磨パッド12は、例えば、ポリウレタン樹脂である。
【0017】
第1の支持軸14は、ターンテーブル10の中心を支持する。
【0018】
第1の回転機構18は、ターンテーブル10を回転させる機能を有する。第1の回転機構18は、第1の支持軸14を回転させる。第1の回転機構18は、例えば、モータと、第1の支持軸14を回転可能に保持するベアリングを備える。
【0019】
トップリング20は、被研磨対象となる半導体ウェハWを保持する機能を有する。トップリング20は、保持した半導体ウェハWを研磨パッド12に押し付ける機能を有する。
【0020】
トップリング20は、第2の回転軸RA2を中心として回転する。トップリング20は、第2の回転軸RA2を中心として自転する。トップリング20に保持された半導体ウェハWは、トップリング20と同様、第2の回転軸RA2を中心として自転する。トップリング20は、基板保持部の一例である。
【0021】
第2の支持軸22は、トップリング20の中心を支持する。
【0022】
第2の回転機構24は、トップリング20を回転させる機能を有する。第2の回転機構24は、第2の支持軸22を回転させる。第2の回転機構24は、例えば、モータと、第2の支持軸22を回転可能に保持するベアリングを備える。
【0023】
第1の回転機構18及び第2の回転機構24は、ターンテーブル10とトップリング20を同一方向に回転させる。例えば、図1では、ターンテーブル10とトップリング20はいずれも反時計回りに回転する。
【0024】
トップリング傾斜機構26は、半導体ウェハWを研磨する際の第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度(図1中のθ)を可変とする機能を有する。トップリング傾斜機構26は、例えば、第2の回転機構24を支持する。トップリング傾斜機構26は、第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度θを、半導体ウェハWの研磨中に固定して維持する機能を有する。
【0025】
トップリング傾斜機構26は、例えば、モータを用いて、トップリング20、第2の支持軸22、及び、第2の回転機構24を回転させ、鉛直方向に対して傾斜させる。
【0026】
トップリング傾斜機構26は、第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度θを、例えば、0度以上5度以下の範囲で可変とする機能を有する。
【0027】
トップリング傾斜機構26は、例えば、第2の支持軸22を鉛直方向に対して、角度θだけ傾ける機能を有する。第2の支持軸22を傾けることにより、第2の回転軸RA2の傾斜を変化させる。
【0028】
第2の支持軸22を傾けることにより、研磨中の半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面に対して、角度θだけ傾くことになる。研磨中の半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面と非平行になる。
【0029】
研磨剤供給ノズル28は、研磨パッド12の表面にスラリーを供給する機能を有する。スラリーには、砥粒が含まれる。砥粒は、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、又は、酸化セリウムを含む粒子である。
【0030】
CMP装置100は、半導体ウェハWを研磨する際に、半導体ウェハWの外縁(図1(b)中のWe)は、常に研磨パッド12の外縁(図1(b)中の12e)の内側に維持されるように構成されている。
【0031】
CMP装置100では、ターンテーブル10の第1の回転軸RA1と、トップリング20の第2の回転軸RA2は、半導体ウェハWの研磨中には相対移動しないように構成されている。CMP装置100では、半導体ウェハWの研磨中には、ターンテーブル10とトップリング20の相対位置は変化しない。また、半導体ウェハWの研磨中には、第1の支持軸14と第2の支持軸22の相対位置は変化しない。
【0032】
次に、第1の実施形態のCMP方法について説明する。第1の実施形態のCMP装置100を用いる場合を例に説明する。
【0033】
第1の実施形態のCMP方法は、半導体ウェハWの表面を研磨することにより平坦化する。被研磨対象となる半導体ウェハWには、例えば、膜の堆積や、膜のエッチングを繰り返すことによって、回路パターンが形成されている。被研磨対象となる半導体ウェハWの表面には、例えば、絶縁膜及び導電膜の少なくともいずれか一方が露出している。
【0034】
最初に、半導体ウェハWをCMP装置100の中に搬入する。
【0035】
次に、ターンテーブル10を第1の回転機構18を用いて、第1の回転軸RA1を中心に回転させる。ターンテーブル10の上に固定された研磨パッド12が第1の回転軸RA1を中心に回転する。
【0036】
次に、研磨剤供給ノズル28から研磨パッド12の表面に、スラリーを供給する。
【0037】
次に、トップリング20に保持された半導体ウェハWの表面を、研磨パッド12に押し付ける。トップリング20は第2の回転機構24を用いて、第2の回転軸RA2を中心に回転する。トップリング20に保持された半導体ウェハWも、第2の回転軸RA2を中心に回転する。
【0038】
トップリング傾斜機構26により、第2の支持軸22を鉛直方向に対して、角度θだけ傾ける。第2の回転軸RA2が第1の回転軸RA1に対して角度θだけ傾く。第2の回転軸RA2が鉛直方向に対して角度θだけ傾く。
【0039】
第2の支持軸22を傾けることにより、半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面に対して、角度θだけ傾くことになる。半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面と非平行になる。
【0040】
半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面と非平行に固定された状態で、半導体ウェハWを研磨パッド12に押し付ける。半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面と非平行に固定された状態で、半導体ウェハWの表面を研磨する。
【0041】
第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2との間の角度θは、例えば、0度より大きく5度以下である。第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2との間の角度θは、研磨中は固定される。
【0042】
半導体ウェハWの表面の研磨が終了した後、研磨パッド12へのスラリーの供給を終了する。その後、半導体ウェハWをCMP装置100の外に搬出する。
【0043】
次に、第1の実施形態のCMP装置100及びCMP方法の作用及び効果について説明する。
【0044】
CMPは、回転するターンテーブルの表面に研磨剤を供給し、回転する半導体ウェハをターンテーブル表面の研磨パッドに押し付けることにより、半導体ウェハの表面を研磨する。半導体ウェハの表面は、化学的作用及び機械的作用により研磨され平坦化される。
【0045】
通常、ターンテーブルの回転軸と半導体ウェハWの回転軸は、半導体ウェハWの表面を均一に研磨することを意図して平行に保たれる。すなわち、研磨中の半導体ウェハWの表面と、ターンテーブル10の表面は平行に保たれる。
【0046】
しかしながら、半導体ウェハWの中心部の研磨レートと外周部の研磨レートが異なり、半導体ウェハWの表面を均一に研磨できない場合がある。例えば、半導体ウェハWの中心部の研磨レートが外周部の研磨レートより速くなるような場合がある。研磨レートの差異は、半導体ウェハWの表面に形成された膜の種類や、形成されたパターンに依存して生ずると考えられる。
【0047】
第1の実施形態のCMP装置100は、トップリング傾斜機構26を備える。トップリング傾斜機構26は、半導体ウェハWを研磨する際の第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度(図1中のθ)を可変とする機能を有する。
【0048】
トップリング傾斜機構26を用いることにより、半導体ウェハWの表面を、ターンテーブル10の表面に対し非平行に固定された状態で、半導体ウェハWの表面を研磨することができる。半導体ウェハWの表面をターンテーブル10の表面と非平行にすることで、半導体ウェハWを研磨パッド12に押し付ける力が半導体ウェハW面内で変化する。半導体ウェハWを研磨パッド12に押し付ける力が、半導体ウェハWの中心部に比べ外周部で大きくなる。したがって、半導体ウェハWの外周部の研磨レートが中心部の研磨レートより速くなる。
【0049】
トップリング傾斜機構26を用いることにより、半導体ウェハWの面内の研磨レートを調整することが可能である。
【0050】
例えば、半導体ウェハWの表面に形成された膜の種類や、形成されたパターンに応じて、第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度θを適切な角度に固定することにより、半導体ウェハWの表面を均一に研磨することが可能となる。例えば、角度θを大きな値にすることで、半導体ウェハWの外周部の研磨レートを中心部の研磨レートよりも速くすることができる。
【0051】
トップリング傾斜機構26は、第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度θを、0度以上5度以下の範囲で変えられることが好ましい。角度θが0度で、均一に研磨することができる場合もある。角度θが5度を超えると、膜の種類や、形成されたパターンによらず、均一に研磨することは困難となる。半導体ウェハWを研磨中の第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2との間の角度θは、例えば、0度より大きく5度以下の角度であることが好ましく、0.5度以上5度以下であることが好ましく、1度以上4度以下であることがより好ましい。
【0052】
半導体ウェハWを研磨する際に、半導体ウェハWの外縁は、常に研磨パッド12の外縁の内側に維持されることで、半導体ウェハWの表面を均一に研磨することができる。
【0053】
半導体ウェハWの表面を均一に研磨する観点から、ターンテーブル10の第1の回転軸RA1と、トップリング20の第2の回転軸RA2の相対位置は変化しないことが好ましい。言い換えれば、半導体ウェハWの研磨中には、第1の支持軸14と第2の支持軸22の相対位置は変化しないことが好ましい。
【0054】
半導体ウェハWの表面を均一に研磨する観点から、ターンテーブル10とトップリング20を同一方向に回転させることが好ましい。
【0055】
以上、第1の実施形態によれば、半導体ウェハWの表面をターンテーブル10の表面と非平行にすることで、半導体ウェハWの面内の研磨レートを調整可能な研磨装置及び研磨方法を提供できる。よって、半導体ウェハWの表面を均一に研磨することが可能となる。
【0056】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の研磨装置は、傾斜機構が、第2の回転軸ではなく第1の回転軸の傾斜を変化させる点で、第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態の研磨装置及び研磨方法と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0057】
図2は、第2の実施形態の研磨装置の模式図である。図2は研磨装置の側面図である。第2の実施形態の研磨装置は、半導体ウェハ等の基板の表面を研磨するCMP装置200である。
【0058】
第2の実施形態のCMP装置200は、ターンテーブル10(研磨テーブル)、研磨パッド12、第1の支持軸14、第1の回転機構18、トップリング20(基板保持部)、第2の支持軸22、第2の回転機構24、ターンテーブル傾斜機構27(傾斜機構)、及び、研磨剤供給ノズル28を備える。
【0059】
ターンテーブル傾斜機構27は、半導体ウェハWを研磨する際の第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度(図2中のθ)を可変とする機能を有する。ターンテーブル傾斜機構27は、例えば、第1の回転機構18を支持する。ターンテーブル傾斜機構27は、第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度θを、半導体ウェハWの研磨中に固定して維持する機能を有する。
【0060】
ターンテーブル傾斜機構27は、例えば、油圧機構を用いて、ターンテーブル10、第1の支持軸14、及び、第1の回転機構18を、鉛直方向に対して傾斜させる。
【0061】
ターンテーブル傾斜機構27は、第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度θを、例えば、0度以上5度以下の範囲で可変とする機能を有する。
【0062】
ターンテーブル傾斜機構27は、例えば、第1の支持軸14を鉛直方向に対して、角度θだけ傾ける機能を有する。第1の支持軸14を傾けることにより、第1の回転軸RA1の傾斜を変化させる。
【0063】
第1の支持軸14を傾けることにより、研磨中の半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面に対して、角度θだけ傾くことになる。研磨中の半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面と非平行になる。
【0064】
次に、第2の実施形態のCMP方法について説明する。第2の実施形態のCMP装置200を用いる場合を例に説明する。
【0065】
最初に、半導体ウェハWをCMP装置200の中に搬入する。
【0066】
ターンテーブル傾斜機構27により、第1の支持軸14を鉛直方向に対して、角度θだけ傾ける。第1の回転軸RA1が第2の回転軸RA2に対して角度θだけ傾く。第1の回転軸RA1が鉛直方向に対して角度θだけ傾く。
【0067】
次に、ターンテーブル10を第1の回転機構18を用いて、第1の回転軸RA1を中心に回転させる。ターンテーブル10の上に固定された研磨パッド12が第1の回転軸RA1を中心に回転する。
【0068】
次に、研磨剤供給ノズル28から研磨パッド12の表面に、スラリーを供給する。
【0069】
次に、トップリング20に保持された半導体ウェハWの表面を、研磨パッド12に押し付ける。トップリング20は第2の回転機構24を用いて、第2の回転軸RA2を中心に回転する。トップリング20に保持された半導体ウェハWも、第2の回転軸RA2を中心に回転する。
【0070】
半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面と非平行に固定された状態で、半導体ウェハWを研磨パッド12に押し付ける。半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面と非平行に固定された状態で、半導体ウェハWの表面を研磨する。
【0071】
第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2との間の角度θは、例えば、0度より大きく5度以下の角度で研磨中は固定される。
【0072】
半導体ウェハWの表面の研磨が終了した後、研磨パッド12へのスラリーの供給を終了する。その後、半導体ウェハWをCMP装置200の外に搬出する。
【0073】
以上、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、半導体ウェハWの表面をターンテーブル10の表面と非平行にすることで、半導体ウェハWの面内の研磨レートを調整可能な研磨装置及び研磨方法を提供できる。よって、半導体ウェハWの表面を均一に研磨することが可能となる。
【0074】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の研磨装置は、傾斜機構を制御し、基板の研磨中に第1の回転軸と第2の回転軸と間の角度を変化させる制御部を、更に備える点で、第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態の研磨装置及び研磨方法と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0075】
図3は、第3の実施形態の研磨装置の模式図である。図3は研磨装置の側面図である。第3の実施形態の研磨装置は、半導体ウェハ等の基板の表面を研磨するCMP装置300である。
【0076】
第3の実施形態のCMP装置300は、ターンテーブル10(研磨テーブル)、研磨パッド12、第1の支持軸14、第1の回転機構18、トップリング20(基板保持部)、第2の支持軸22、第2の回転機構24、トップリング傾斜機構26(傾斜機構)、研磨剤供給ノズル28、及び、傾斜機構制御部30(制御部)を備える。
【0077】
傾斜機構制御部30は、トップリング傾斜機構26を制御する。傾斜機構制御部30は、トップリング傾斜機構26を制御して、半導体ウェハWの研磨中に第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度(図3中のθ)を変化させる機能を有する。
【0078】
傾斜機構制御部30は、例えば、回路基板等のハードウェア、又は、ハードウェアとメモリに記憶される制御プログラム等のソフトウェアとの組み合わせで構成される。
【0079】
次に、第3の実施形態のCMP方法について説明する。第3の実施形態のCMP装置300を用いる場合を例に説明する。
【0080】
最初に、半導体ウェハWをCMP装置300の中に搬入する。
【0081】
次に、ターンテーブル10を第1の回転機構18を用いて、第1の回転軸RA1を中心に回転させる。ターンテーブル10の上に固定された研磨パッド12が第1の回転軸RA1を中心に回転する。
【0082】
次に、研磨剤供給ノズル28から研磨パッド12の表面に、スラリーを供給する。
【0083】
次に、トップリング20に保持された半導体ウェハWの表面を、研磨パッド12に押し付ける。トップリング20は第2の回転機構24を用いて、第2の回転軸RA2を中心に回転する。トップリング20に保持された半導体ウェハWも、第2の回転軸RA2を中心に回転する。
【0084】
トップリング傾斜機構26は、第2の支持軸22を鉛直方向に対して平行に維持する。すなわち、第2の回転軸RA2を第1の回転軸RA1に対して平行に保つ。第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度(図3中のθ)は、0度である。研磨中の半導体ウェハWの表面と、ターンテーブル10の表面は平行に保たれる。
【0085】
所定の時間、半導体ウェハWの表面を研磨した後に、傾斜機構制御部30の指令によりトップリング傾斜機構26が、第2の支持軸22を鉛直方向に対して傾ける。第2の回転軸RA2が第1の回転軸RA1に対して角度θ(θ>0)だけ傾く。第2の回転軸RA2が鉛直方向に対して角度θだけ傾く。
【0086】
第2の支持軸22は、ターンテーブル10の回転が継続されている状態で、傾けられる。
【0087】
第2の支持軸22を傾けることにより、半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面に対して、角度θだけ傾くことになる。半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面と非平行になる。
【0088】
半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面と非平行に固定された状態で、半導体ウェハWを研磨パッド12に押し付ける。半導体ウェハWの表面が、ターンテーブル10の表面と非平行に固定された状態で、半導体ウェハWの表面を所定の時間だけ研磨する。
【0089】
半導体ウェハWの表面の研磨が終了した後、研磨パッド12へのスラリーの供給を終了する。その後、半導体ウェハWをCMP装置300の外に搬出する。
【0090】
第3の実施形態のCMP方法によれば、半導体ウェハWの表面とターンテーブル10の表面を平行に保つ第1の研磨ステップから、半導体ウェハWの表面とターンテーブル10の表面を非平行に保つ第2の研磨ステップに連続的に移行する。第2の研磨ステップの方が、第1の研磨ステップと比べ、半導体ウェハWの外周部の研磨レートが速くなる。
【0091】
第3の実施形態のCMP装置300及びCMP方法によれば、第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度(図3中のθ)を研磨中に切り換えることにより、半導体ウェハWの面内の研磨レートの調整をより精細に行うことが可能である。したがって、半導体ウェハWの表面を更に均一に研磨することが可能となる。また、第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度θを研磨中に連続して切り換えるため、例えば、間に研磨の中断を挟む場合に比べ、研磨工程のスループットが向上する。
【0092】
なお、上述のCMP方法では、第1の回転軸RA1と第2の回転軸RA2と間の角度θが0度の第1の研磨ステップから角度θが0度より大きい第2の研磨ステップに移行する場合を例に説明したが、CMP方法はこの例に限定されるわけではない。例えば、角度θが0度より大きい第1の研磨ステップから、角度θが0度の第2の研磨ステップに移行しても構わない。あるいは、角度θが0度より大きい第1のステップから、更に角度θが大きい第2の研磨ステップに移行しても構わない。あるいは、第1のステップ及び第2のステップと異なる角度θの第3の研磨ステップを設けても構わない。あるいは、第1の研磨ステップから第2の研磨ステップで角度θを大きくし、第2の研磨ステップから第3の研磨ステップで角度θを小さくしても構わない。
【0093】
以上、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、半導体ウェハWの表面をターンテーブル10の表面と非平行にすることで、半導体ウェハWの面内の研磨レートを調整可能な研磨装置及び研磨方法を提供できる。よって、半導体ウェハWの表面を均一に研磨することが可能となる。更に、制御部を設けることにより、半導体ウェハWの面内の研磨レートの調整を精細に行うことが可能となる。よって、半導体ウェハWの表面を更に均一に研磨することが可能となる。
【0094】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
10 ターンテーブル(研磨テーブル)
12 研磨パッド
12e 研磨パッドの外縁
18 第1の回転機構
20 トップリング(基板保持部)
24 第2の回転機構
26 トップリング傾斜機構(傾斜機構)
27 ターンテーブル傾斜機構(傾斜機構)
30 傾斜機構制御部(制御部)
100 CMP装置(研磨装置)
200 CMP装置(研磨装置)
300 CMP装置(研磨装置)
RA1 第1の回転軸
RA2 第2の回転軸
W 半導体ウェハ(基板)
We 半導体ウェハの外縁(基板の外縁)
θ 角度

図1
図2
図3