【解決手段】刷版装着位置誘導システムは、軸方向に沿って複数の刷版を装着可能な版胴に対する各刷版の装着作業を支援するための刷版装着位置誘導システムであって、刷版を識別する刷版識別部と、版胴に対する識別された刷版の装着位置を特定する装着位置特定部と、識別された刷版を特定された装着位置へ誘導する装着位置誘導部とを備える。オフセット輪転印刷機は、軸方向に沿って複数の刷版を装着可能な版胴と、版胴に対する各刷版の装着作業を支援するための刷版装着位置誘導システムとを備え、刷版装着位置誘導システムは、刷版を識別する刷版識別部と、版胴に対する識別された刷版の装着位置を特定する装着位置特定部と、識別された刷版を特定された装着位置へ誘導する装着位置誘導部とを備える。
前記面選択ボタンは、前記装着位置特定部により前記刷版の装着位置が特定された際に、該特定された装着位置に対応する面選択ボタンが点灯状態となり、それ以外の面選択ボタンが消灯状態となることにより、前記装着位置誘導部として機能するよう構成されている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の刷版装着位置誘導システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
[オフセット輪転印刷機の全体構成]
本実施形態に係るオフセット輪転印刷機は、新聞を印刷するために用いられる所謂新聞用オフセット輪転印刷機であり、連続紙(被印刷体)をロール状に巻いた複数の巻取紙を保持する給紙部(図示せず)と、給紙部から供給される連続紙の両面にオフセット印刷を施す印刷部1と、印刷後の単数又は複数の連続紙を所定のカットオフ(断裁長)で断裁して個々の枚葉状シート群を作成し、該枚葉状シート群を折り畳んで所望の折丁を作成する折部(図示せず)と、印刷部1から折部に至る連続紙の走行経路を形成するレールフレーム部(図示せず)と、折機により形成された折丁の処理を行い集積する後処理機構(図示せず)と、各構成の各種制御を実行する一又は複数の制御部(図示せず)とを備えている。
【0017】
本実施形態に係るオフセット輪転印刷機は、給紙部、印刷部1、レールフレーム部及び折部からなる。印刷部1の所謂タワーは、複数列(
図7に示す例では6列)設けられている。各タワーには、制御部及びグラフィックパネルGPが設けられており、互いに連動して動作可能であると共に、連動を解除することにより各々独立して動作可能に構成されている。なお、タワーの数(給紙部、印刷部1、レールフレーム部及び折部の設置数)は、作成する折丁の構成に応じて任意に変更することが可能である。
【0018】
なお、本実施形態に係るオフセット輪転印刷機において、給紙部、レールフレーム部、折部、後処理機構及び制御部は、種々の公知の構成を任意に採用可能であるため、その説明を省略する。
【0019】
[各印刷部の構成]
印刷部1は、
図1に示すように、連続紙の供給方向に沿って配された4つの印刷ユニット(第1印刷ユニット1a〜第4印刷ユニット1d)を備えるカラー(本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色)印刷対応のタワー型印刷ユニットである。第1印刷ユニット1a及び第2印刷ユニット1bは、工場(建屋)の印刷フロアに設置されており、第3印刷ユニット1c及び第4印刷ユニット1dは、工場の中段フロアに設置されている。なお、印刷部1は、オフセット輪転印刷機に設置される全ての印刷部1が4つの印刷ユニット1a〜1dからなるカラー印刷対応のタワー型印刷ユニットである必要はなく、その一部又は全てが、1つ又は2つの印刷ユニットのみからなる単色又は二色印刷対応の印刷ユニットであっても良い。
【0020】
以下、第1印刷ユニット1a及び第2印刷ユニット1bをまとめて「下部側印刷ユニット」といい、第3印刷ユニット1c及び第4印刷ユニット1dをまとめて「上部側印刷ユニット」という。また、印刷部1において、作業者によって運転操作等がなされる側(操作側)を「OS」(オペレーションサイド)といい、その反対側を「DS」(ドライブサイド)という。さらに、印刷部1をOS側から見た場合における右側を「R側」といい、左側を「L側」という。
【0021】
第1印刷ユニット1a〜第4印刷ユニット1dは、それぞれ、多数のインキ供給ローラーを有するインキ供給装置4と、湿し水を供給する湿し水供給装置5と、刷版7が装着される版胴2と、印刷用ブランケット(図示せず)が装着されるブランケット胴3とが連続紙を挟んで左右一対配された印刷カップルを備えている。第1印刷ユニット1a〜第4印刷ユニット1dは、従来の印刷ユニットと同様に、各インキ供給装置4から供給されたインキが各版胴2の刷版を介して各ブランケット胴3の印刷用ブランケットに供給され、印刷用ブランケットが走行する連続紙(被印刷体)と所定の圧力で接触することにより、連続紙に刷版の内容(文字や画像等)が転写されるよう構成されている。
【0022】
版胴2は、軸方向に沿って延びる直線状の刷版装着溝を有し、軸方向に沿って複数の刷版を装着可能に構成されている。例えば、本実施形態に係る版胴2は、新聞1頁の横方向の長さの4倍に略等しい軸方向の長さ(W)と、新聞1頁の縦方向の長さと略等しい周方向の長さ(L)とを有する、所謂4(W)×1(L)型の版胴であり、軸方向に沿って4枚の刷版を装着可能に構成されている。なお、版胴2は、4(W)×1(L)型の版胴に限定されず、例えば所謂4(W)×2(L)型の版胴等、種々の版胴を用いることが可能である。本実施形態に係るオフセット輪転印刷機において、インキ供給装置4、湿し水供給装置5、版胴2及びブランケット胴3は、種々の公知のものを任意に用いることができるため、その説明を省略する。
【0023】
また、第1印刷ユニット1a〜第4印刷ユニット1dは、
図1及び
図2に示すように、それぞれ、各版胴2に近接して配置された刷版自動着脱装置6を備えている。刷版自動着脱装置6は、
図2に示すように、左右一対のブラケットを介してOS側フレームF
OSとDS側フレームF
DSとの間に懸架されており、各版胴2における刷版7の装着位置(本実施形態では4箇所)毎に設けられた複数(本実施形態では4箇所)の版押さえ部(図示せず)を備えている。版押さえ部は、刷版7と1対1で対応するように設けられており、それぞれ独立して動作可能に構成されている。
【0024】
各版押さえ部は、対応する刷版7を版胴2に対して自動で装着させることが可能で、かつ、該刷版7を版胴2から自動で取り外すことが可能に構成されている。具体的には、各版押さえ部は、版胴2に対する刷版7の装着時において、刷版装着溝の咥え側エッジ部に刷版7の後述する咥え側端部7aが係止された状態で順方向に回転する版胴2に対して、対応する刷版7を押し付けるよう構成されている。また、各版押さえ部は、刷版装着溝に到達した刷版7の後述する咥え尻側端部7bを刷版装着溝に押し込むことで、咥え尻側端部7bに形成された切り欠き部7dを刷版装着溝内のレジスターピンに嵌合させるよう構成されている。さらに、各版押さえ部は、版胴2からの刷版7の取り外し時においても、刷版装着溝の咥え側エッジ部に刷版7の咥え側端部7aが係止された状態で逆方向に回転する版胴2に対して、対応する刷版7を押し付け、刷版7のばたつきを抑制するよう構成されている。
【0025】
なお、本実施形態に係る刷版自動着脱装置6の詳細な構成は、例えば特開2018−111244号公報及び特開2018−187781号公報等に開示された公知の刷版自動着脱装置の構成を任意に採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0026】
また、印刷部1は、
図1及び
図2に示すように、第1印刷ユニット1a〜第4印刷ユニット1dの各種制御を実行する印刷部制御盤(図示せず)と、各種設定情報を入力するためのグラフィックパネルGPと、刷版自動着脱装置6等を手動で操作するための操作部10と、装着予定の刷版7を一時的に保管するための版保管部9とを備えている。
【0027】
印刷部制御盤は、第1印刷ユニット1a〜第4印刷ユニット1dを動作させるための通常の稼働制御に加え、後述する刷版装着位置誘導制御を実行可能に構成されている。このような印刷部制御盤は、第1印刷ユニット1a〜第4印刷ユニット1dを動作させるために従来用いられている既存の印刷部制御盤に、後述する刷版装着位置誘導用の制御部21(
図5参照)を組み込むことで実現することが可能である。
【0028】
グラフィックパネルGPは、
図1及び
図2に示すように、第1印刷ユニット1aのOS側フレームF
OSのOS側の面に設けられている。グラフィックパネルGPは、稼働条件の表示や設定等を行うための通常の画面に加え、該グラフィックパネルGPが設置された印刷部1の版掛状態等を表示するための版掛状態表示画面100(
図6参照)と、輪転印刷機全体の版掛状態等を表示するための全体版掛状態表示画面200(
図7参照)とを表示可能に構成されている。これら版掛状態表示画面100及び全体版掛状態表示画面200については、後述する。
【0029】
操作部10は、
図1に示すように、第1印刷ユニット1aのL側の側面及びR側の側面と、第3印刷ユニット1cのL側の側面及びR側の側面とにそれぞれ設けられている。以下、第1印刷ユニット1aのL側の側面に設けられた操作部10を「第1操作部10」といい、第1印刷ユニット1aのR側の側面に設けられた操作部10を「第2操作部10」といい、第3印刷ユニット1cのL側の側面に設けられた操作部10を「第3操作部10」といい、第3印刷ユニット1cのR側の側面に設けられた操作部10を「第4操作部10」という。
【0030】
第1操作部10は、下部側印刷ユニット(第1印刷ユニット1a及び第2印刷ユニット1b)のL側の刷版自動着脱装置6等を操作可能に構成されており、第2操作部10は、下部側印刷ユニット(第1印刷ユニット1a及び第2印刷ユニット1b)のR側の刷版自動着脱装置6等を操作可能に構成されている。また、第3操作部10は、上部側印刷ユニット(第3印刷ユニット1c及び第4印刷ユニット1d)のL側の刷版自動着脱装置6等を操作可能に構成されており、第4操作部10は、上部側印刷ユニット(第3印刷ユニット1c及び第4印刷ユニット1d)のR側の刷版自動着脱装置6等を操作可能に構成されている。
【0031】
各操作部10は、
図3に示すように、各版押さえ部毎に設けられた面選択ボタン12a〜12d,14a〜14dと、刷版7に設けられた後述する標識8aから識別情報を読み取る読取部CRと、エラーを報知するブザー18とを備えている。
【0032】
面選択ボタン12a〜12d,14a〜14dは、複数の版押さえ部の中から動作させる版押さえ部を選択するためのボタンであり、版押さえ部毎、すなわち、各版胴2における刷版7の装着位置(本実施形態では4箇所)に対して1対1で対応するように設けられている。具体的には、面選択ボタンは、下側の印刷ユニット(第1印刷ユニット1a又は第3印刷ユニット1c)の版胴2のA面に対応付けて配置された版押さえ部を動作させるための下段A面選択ボタン12aと、同版胴2のB面に対応付けて配置された版押さえ部を動作させるための下段B面選択ボタン12bと、同版胴2のC面に対応付けて配置された版押さえ部を動作させるための下段C面選択ボタン12cと、同版胴2のD面に対応付けて配置された版押さえ部を動作させるための下段D面選択ボタン12dとを備えている。また、面選択ボタンは、上側の印刷ユニット(第2印刷ユニット1b又は第4印刷ユニット1d)の版胴2のA面に対応付けて配置された版押さえ部を動作させるための上段A面選択ボタン14aと、同版胴2のB面に対応付けて配置された版押さえ部を動作させるための上段B面選択ボタン14bと、同版胴2のC面に対応付けて配置された版押さえ部を動作させるための上段C面選択ボタン14cと、同版胴2のD面に対応付けて配置された版押さえ部を動作させるための上段D面選択ボタン14dとを備えている。各面選択ボタン12a〜12d,14a〜14dは、光源が内蔵されており、該光源が発光及び消灯することにより、点灯状態と消灯状態とを切り替え可能に構成されている。
【0033】
読取部CRは、対象となる刷版7の標識8aから、該刷版7の識別情報、具体的には、当該刷版7がどのタワーのどの印刷ユニットのどの版胴のどの面に装着されるのかを示す情報(装着位置情報)を取得するよう構成されている。読取部CRは、本実施形態では、一次元コードや二次元コードから情報を読み込むことが可能なコードリーダーであるが、刷版7の標識8aの種類に応じて適宜変更可能である。例えば刷版7の標識8aが文字情報である場合には、該文字情報を文字データとして認識可能なOCR(光学式文字読取装置)を採用することが可能であり、また、刷版7の標識8aがICタグ等の電子部品である場合には、近距離無線通信により情報を読み込むことが可能な近距離無線通信手段等の構成を採用することが可能である。
【0034】
ブザー18は、操作不能状態の面選択ボタン12a〜12d,14a〜14dが操作された際に、アラート音を発することによりエラーを報知する報知手段として機能するよう構成されている。なお、ブザー18は、胴を手動で正回転又は逆回転させる際や、胴が刷版咥え装着位置で自動停止した際等にもブザー音を報知するよう構成されている。
【0035】
また、各操作部10は、
図3に示すように、下段A面選択ボタン12a〜下段D面選択ボタン12dの操作可能状態(単動制御)と操作不能状態(連動制御)とを一括で切り替えるための下段選択ボタン12eと、上段A面選択ボタン14a〜上段D面選択ボタン14dの操作可能状態(単動制御)と操作不能状態(連動制御)とを一括で切り替えるための上段選択ボタン14eと、刷版自動着脱装置6の自動制御と手動制御とを切り替えるための自動ボタン19と、自動ボタン19がON状態(自動制御状態)の際に押下されることにより自動刷版装着動作を実行するための版掛けボタン15と、自動ボタン19がON状態(自動制御状態)の際に押下されることにより自動刷版取り外し動作を実行するための版外しボタン16と、輪転印刷機を強制的に停止させるためのSTOPボタン17とを備えている。なお、これら下段選択ボタン12e、上段選択ボタン14e、自動ボタン19、版掛けボタン15、版外しボタン16及びSTOPボタン17は、従来公知であり、また、
図3中において符号の振られていない他のボタンは、本願発明の説明に不要な構成であるため、それらの説明を省略する。
【0036】
版保管部9は、
図2に示すように、刷版7の後述する咥え側端部7aを引っ掛けて支持可能に構成されており、操作部10を挟むようにOS側フレームF
OSの側面とDS側フレームF
DSの側面とにそれぞれ設けられている。各版保管部9は、シングル版の刷版7を2枚(ダブル版の場合には1枚)並べて支持可能な幅を有しており、装着対象となる版胴2の近傍において、装着予定の刷版7を一時的に保管可能に構成されている。
【0037】
刷版7は、可撓性の金属製薄板材(一般的にアルミ板)から形成されており、
図4に示すように、長手方向の一端部に、版胴2の刷版装着溝の一方側のエッジ部(咥え側エッジ部)に係止可能な咥え側端部7aを有し、他端部に、刷版締め付け機構によって刷版装着溝内に引き込まれるよう構成された咥え尻側端部7bを有している。刷版7の咥え側端部7a及び咥え尻側端部7bには、それぞれ、版胴2のレジスターピンに係合可能な切り欠き部7c,7dが形成されており、これら切り欠き部7c,7dをレジスターピンに係合させることにより、刷版7の位置決めを行うよう構成されている。なお、
図4では、新聞1頁に相当する大きさを有するシングル版を図示しているが、これに限定されず、新聞2頁分に相当する大きさを有するダブル版等、刷版の種類は任意に選定可能である。
【0038】
また、刷版7の咥え側端部7aには、当該刷版7がどのタワーのどの印刷ユニットのどの版胴のどの面に装着されるのかを示す情報(装着位置情報)を有する標識8aが設けられている。標識8aは、装着位置情報を機械により読み取り可能な手段であれば良く、例えば、装着位置情報を含む一次元コード(バーコード)や二次元コード(スタック型二次元コードやマトリクス型二次元コード)等のコード情報であっても良いし、装着位置情報が記録されたICタグ等の電子部品であっても良い。また、コード情報の場合には、製版時にインクジェットプリンターで印字される構成としても良いし、コード情報が印字されたシール等を貼り付ける構成としても良いし、レーザー、焼き付け、刻印等の他の任意の手段で印字される構成としても良い。インクジェットプリンターで印字される構成の場合には、水性インクが用いられることが好ましい。なお、刷版7が現像有版である場合には、CTP(製版機)にて印字可能であり、刷版7が無処理版である場合には、CTP(製版機)とは別にインクジェットプリンターを設ければ良い。
【0039】
このように刷版7の咥え側端部7aに標識8aが設けられることにより、読取部CRへの読み込み作業を行った後、持ち変えることなく版胴2への版掛け作業に移行することが可能となるため、作業効率が向上するという利点がある。ただし、これに限定されず、標識8aの位置は任意に変更可能である。また、図示の例では、作業性を向上させる目的で標識8aが2箇所設けられているが、これに限定されず、1箇所のみに設けられる構成であっても良い。
【0040】
刷版7の表面には、標識8aの位置を示すための目印8bと、刷版7の装着位置を示す文字情報8cとが設けられている。目印8bは、例えば三角形等のマークであり、標識8aと整合する位置に設けられている。文字情報8cは、作業者が目視にて確認可能な文字や記号等の情報であり、例えば、15番のNo.が振られたタワー(T15)の第1印刷ユニット1a(1D)のR側の版胴2のA面という装着位置を意味する「T15−1D−R−A」等の任意の文字列を採用可能であるが、これに限定されるものではない。これら目印8b及び文字情報8cは、例えば、製版時にインクジェットプリンターで印字することが可能であり、水性インクが用いられることにより、印刷時に消失するよう構成されている。なお、目印8b及び文字情報8cがインクジェットプリンターで印字される構成に代えて又はこれと共に、
図2及び
図3に示すように、操作部10自体に刷版7(シングル版及びダブル版)の読取基準位置を示す目印8b´を設ける構成としても良い。読取基準位置を示す目印8b´は、例えば、該目印8b´に刷版7の咥え側端部7aの側縁等を合わせた際に、刷版7の標識8aが読取部CRによって読み取られる位置に設けられている。該目印8b´は、
図2及び
図3に示す位置に限定されず、読取部CRの位置や、刷版7のサイズ、形状及び標識8aの位置等に応じて、任意に変更することが可能である。また、目印8b´は、刷版7のサイズや形状等に応じて自由に読取基準位置を変更可能となるよう、例えばテープやシール等の付け替え可能な構成であることが好ましいが、これに限定されず、操作盤10等に直接印字される構成としても良い。
【0041】
[刷版装着位置誘導システムの構成]
以上の構成を備えるオフセット輪転印刷機は、版胴2に対する各刷版7の装着作業を支援するための刷版装着位置誘導システム20を備えている。刷版装着位置誘導システム20は、
図5に示すように、刷版装着位置誘導制御を実行する制御部21と、上述した読取部CRと、上述したグラフィックパネルGPと、上述した第1〜第4操作部10と、刷版装着位置誘導制御に関する各種データやプログラム等が格納された記憶部28により構成されている。刷版装着位置誘導システム20は、各タワーにそれぞれ設けられており、各々独立して動作可能に構成されている。これにより、例えば、オフセット輪転印刷機の稼働状態(印刷中)において、非連動状態で停止しているタワーに対して刷版7の装着作業等が可能となる。
【0042】
記憶部28は、例えばハードディスクやメモリ等の種々の記憶手段からなり、刷版装着位置誘導システム20を動作させるための各種処理プログラムに加えて、各刷版7の装着位置の情報を含む割付情報が記憶されている。この割付情報は、各印刷ユニットの各版胴の各刷版装着位置に装着されるべき刷版7を割り付けた情報、すなわち、各刷版7の正しい装着位置を示す情報であり、上位システムから取得した生産指示情報(印刷スケジュール)に基づいて作成されるものである。割付情報は、上位システムから取得した生産指示情報が更新されるたびに作成され、記憶部28に格納された割付情報もリアルタイムに更新される。なお、このような割付情報は、従来のオフセット輪転印刷機においても作成される情報であり、公知であるため、その説明を省略する。
【0043】
制御部21は、本実施形態では刷版装着位置誘導用のPLC(Programmable Logic Controller)であり、読取部CRによって読み取った刷版7の識別情報から、該刷版7の版胴2に対する装着位置を特定する装着位置特定部22と、該刷版7を装着位置特定部22により特定された装着位置へ誘導する装着位置誘導部23とを備えている。
【0044】
装着位置特定部22は、読取部CRによって読み取った刷版7の識別情報と、記憶部28に記憶された割付情報とを対比することで、該刷版7が装着対象の刷版7であるか否かを判定すると共に、該刷版7の正確な装着位置を特定する処理を実行するよう構成されている。また、装着位置特定部22は、この判定処理によって装着対象の刷版ではないと判定した場合には、ブザー18によりエラーを報知する処理を実行すると共に、グラフィックパネルGP上にエラー情報や正しい装着位置等を表示させる処理を実行するよう構成されている。
【0045】
具体的には、装着位置特定部22は、例えば第4印刷ユニット1dのR側の版胴2に装着すべき刷版7を第1操作部10の読取部CRに読み込ませた場合には、該第1操作部10の対象外の刷版7(第1印刷ユニット1aのL側の版胴2及び第2印刷ユニット1bのL側の版胴2に装着すべき刷版以外の刷版)であると判定し、ブザー18によりエラーを報知する。一方、装着位置特定部22は、例えば第1印刷ユニット1aのL側の版胴2に装着すべき刷版7を第1操作部10の読取部CRに読み込ませた場合には、該第1操作部10が対象とする刷版7であると判定した上で、該刷版7が第1印刷ユニット1aのL側の版胴2のA面〜D面のどの面に装着されるべき刷版7であるのかを特定する。
【0046】
装着位置誘導部23は、
図5に示すように、装着位置特定部22によって特定された装着位置の情報に基づいて、面選択ボタン12a〜12d,14a〜14dの点灯状態の切り替え制御及びロック制御を実行可能なボタン制御部24と、同じく装着位置の情報に基づいて、グラフィックパネルGP上に装着位置を表示する処理を実行可能な表示制御部26とを備えている。
【0047】
ボタン制御部24は、装着位置特定部22により刷版7の装着位置が特定された際に、該特定された装着位置に対応する面選択ボタンを点灯状態とし、それ以外の面選択ボタンを消灯状態とする点灯制御を実行するよう構成されている。なお、ここでいう「点灯」には、点灯と消灯とを短期間で繰り返す「点滅」も含むこととする。また、ボタン制御部24は、装着位置特定部22により刷版7の装着位置が特定された際に、該特定された装着位置に対応する面選択ボタンを操作可能状態とし、それ以外の面選択ボタンを操作不能状態とするロック制御を実行するよう構成されている。さらに、ボタン制御部24は、操作不能状態の面選択ボタンが操作された際に、ブザー18によりエラーを報知する報知制御を実行するよう構成されている。
【0048】
具体的には、読取部CRによって読み取った刷版7が例えば第1印刷ユニット1aのL側の版胴2のA面に装着されるべき刷版7であると装着位置特定部22によって特定された場合には、ボタン制御部24は、第1操作部10の下段A面選択ボタン12aのみを点灯させると共に操作可能な状態とし、他の面選択ボタン12b〜12d、14a〜14dは消灯状態のままとすると共に、操作できないようロックする制御を実行する。そして、この状態において第1操作部10の下段A面選択ボタン12aが操作された場合には、該下段A面選択ボタン12aに対応する版押さえ部(第1印刷ユニット1aのL側の版胴2のA面に配置された版押さえ部)が下降し、該版胴2に対して刷版7を押し付ける。一方、同状態に下段A面選択ボタン12a以外の面選択ボタン12b〜12d、14a〜14dが操作された場合には、ボタン制御部24は、ブザー18によりエラーを報知する報知制御を実行する。
【0049】
表示制御部26は、グラフィックパネルGPの表示制御を実行可能に構成されており、印刷部1の版掛状態等を表示するための版掛状態表示画面100と、輪転印刷機全体の版掛状態等を表示するための全体版掛状態表示画面200とをグラフィックパネルGP上に表示させるよう構成されている。また、表示制御部26は、装着位置特定部22により刷版7の装着位置が特定された際に、該特定された装着位置をグラフィックパネルGP上に表示させるよう構成されている。さらに、表示制御部26は、操作不能状態の面選択ボタンが操作された際に、グラフィックパネルGP上にエラー情報を表示させるよう構成されている。
【0050】
版掛状態表示画面100は、
図6に示すように、現在の印刷速度(単位時間あたりの印刷部数)を表示する速度表示領域102と、印刷部1全体の必要刷版数(装着予定の刷版7の総数)、装着済みの刷版数及び残りの刷版数を表示する刷版数表示領域104と、割付情報を表示する割付情報表示領域106と、刷版7の装着状況を表示する装着状況表示領域108と、刷版装着位置の誘導機能を無効とするための解除ボタン110a〜110dとが設けられている。
【0051】
装着状況表示領域108には、印刷部1の全ての面(第1印刷ユニット1aのL側の版胴2のA〜D面及びR側の版胴2のA〜D面と、第2印刷ユニット1bのL側の版胴2のA〜D面及びR側の版胴2のA〜D面と、第3印刷ユニット1cのL側の版胴2のA〜D面及びR側の版胴2のA〜D面と、第4印刷ユニット1dのL側の版胴2のA〜D面及びR側の版胴2のA〜D面)に対応付けて、表示ボックス109が設けられている。各表示ボックス109は、刷版7の装着状況に応じて、着色や模様等の表示態様が変化するよう構成されている。具体的には、本実施形態に係る表示ボックス109は、未装着の状態と、読取部CRによってコードがスキャンされた状態と、版押さえ部によって版胴2に対して押さえ付けられた状態と、装着済みの状態とで段階的に表示態様を異ならせることで、視覚的かつ直感的に状況を認識できるよう構成されている。また、本実施形態に係る表示ボックス109は、新聞の作成に使用されない箇所についても異なる表示態様で表示するよう構成されている。
【0052】
解除ボタン110a〜110dは、第1操作部10、第2操作部10、第3操作部10及び第4操作部10に対応付けてそれぞれ設けられており、作業者の操作によってONとOFFとを切り替え可能に構成されている。各解除ボタン110a〜110dは、ON状態において、ON状態にされた解除ボタン110a〜110dに対応する操作部10に対する装着位置特定部22及び装着位置誘導部23の制御(刷版装着位置の誘導機能)を無効にし、手動で版押さえ部を操作させることを可能とするよう構成されている。
【0053】
全体版掛状態表示画面200は、
図7に示すように、現在の印刷速度(単位時間あたりの印刷部数)を表示する速度表示領域202と、輪転印刷機全体の必要刷版数(装着予定の刷版7の総数)、装着済みの刷版数及び残りの刷版数を表示する全体刷版数表示領域204と、輪転印刷機全体における刷版7の装着状況を表示する装着状況表示領域206と、各印刷部1における必要刷版数(装着予定の刷版7の総数)、装着済みの刷版数及び残りの刷版数を表示する個別刷版数表示領域208a〜208fとが設けられている。全体版掛状態表示画面200は、異なるタワーに設置された複数のグラフィックパネルGPや、主に操作を行うコンソールに設置されたグラフィックパネルの全てにおいて閲覧することが可能である。
【0054】
装着状況表示領域206は、輪転印刷機が有する全ての印刷部1の全ての面(刷版装着位置)に対応付けて、表示ボックス207が設けられている。各表示ボックス207は、刷版7の装着状況に応じて、着色や模様等の表示態様が変化するよう構成されている。なお、各表示ボックス207の表示態様は、版掛状態表示画面100の装着状況表示領域108の表示ボックス109と同様に設定することが可能であるため、その説明を省略する。
【0055】
[刷版装着位置誘導システムの使用方法]
次に、本実施形態に係る刷版装着位置誘導システム20を用いて版胴2に対する各刷版7の装着作業を支援する方法について、
図8を用いて説明する。
【0056】
まず、刷版7の装着に先立ち、印刷タワー毎に上位システムから生産指示情報(印刷スケジュール)が送られ、上述した割付情報が作成される。作成された割付情報は、任意の手段によりCTP(製版機)に受け渡され、CTP(製版機)において、該割付情報に基づいて各刷版7の製版が行われる。この製版時又は製版の前後において、刷版7の咥え側端部7aに上述した標識8aが設けられると共に、刷版7の表面に印刷画像と、上述した目印8b及び文字情報8cとが設けられる。刷版7が製版されると、作業者は、刷版7の表面に印字された文字情報8cに基づき、該刷版7を装着対象となる印刷ユニットまで搬送し、版保管部9に引っ掛けて一時的に保管する。以上が、刷版7の装着作業前の準備工程である。
【0057】
以上の準備工程を経て、実際に刷版7を装着する段階においては、
図8に示すように、まず、作業者は、版保管部9にて保管されている刷版7を手に取り、該刷版7に印字された標識8aを読取部CRに読み取らせる(S1)。なお、当該読み取り作業において、読取部CRを起動させるためのトリガにボタン等を用いても良いし、常時、読取部CRが起動している構成としても良い。
【0058】
読取部CRにおいて刷版7の標識8aを読み取ると、読取部CRは、標識8aから該刷版7の識別情報を取得し、該識別情報を制御部21に受け渡す。また、版掛状態表示画面100及び全体版掛状態表示画面200における該当の表示ボックス109,207の装着状況が未装着状態からコードスキャン状態へと変化する。
【0059】
読取部CRから識別情報を受け取ると、制御部21では、まず、装着位置特定部22において、読取部CRによって読み取った刷版7の識別情報から該刷版7がどの印刷ユニットのどの版胴のどの面に装着されるのかを特定し(S2)、その特定結果と記憶部28に記憶された割付情報と照合させることで、該刷版7が装着対象の刷版であるか否かを判定する(S3)。そして、装着位置特定部22は、この判定処理によって装着対象の刷版ではないと判定した場合には、ブザー18やグラフィックパネルGPによりエラーを報知する(S4´)。これにより、作業者に刷版7の保管位置が異なることを認知させ、正しい版胴2の位置へ再度の搬送を促す。この際、グラフィックパネルGP上に刷版7の正しい装着位置を表示することが好ましい。
【0060】
一方、装着位置特定部22の判定処理によって装着対象の刷版であると判定された場合には、装着位置誘導部23は、装着位置特定部22によって特定された装着位置の情報に基づいて、該特定された装着位置に対応する面選択ボタン(対象の面選択ボタン)を点灯状態とし、それ以外の面選択ボタンを消灯状態とすると共に(S4−1)、該特定された装着位置に対応する面選択ボタンを操作可能状態とし、それ以外の面選択ボタンを操作不能状態(ロック状態)とする(S4−2)。また、これと同時又はその前後に、表示制御部26は、該特定された装着位置をグラフィックパネルGP上に表示する(S4−3)。これにより、作業者は、間違えることなく、刷版7を版胴2の正しい装着位置に装着させることが可能となる。
【0061】
その後、作業者は、刷版7の咥え側端部7aを版胴2の刷版装着溝に係止させた状態において、係止させた刷版7の位置に対応する面選択ボタンを押下する。この際、作業者によって押下された面選択ボタンが操作可能状態の面選択ボタンである場合には、該面選択ボタンに対応する版押さえ部が下降し、版胴2に対して刷版7を押し付ける(S6)。また、版掛状態表示画面100及び全体版掛状態表示画面200における該当の表示ボックス109,207の装着状況がコードスキャン状態から版押さえ状態(コロ固定中)へと変化する。一方、作業者によって押下された面選択ボタンが操作不能状態の面選択ボタンである場合には、ブザー18やグラフィックパネルGPによりエラーが報知される(S6´)。
【0062】
このように、装着位置に対応する面選択ボタンの点灯やグラフィックパネルGPの表示により刷版7の装着位置を誘導すると共に、正しい装着位置以外の面選択ボタンの操作を不能とすることにより、確実に刷版7を正しい装着位置に誘導することが可能となるため、刷版7の装着間違いを未然に防止することが可能となる。また、仮に、刷版7の装着位置を誤った状態において、正しい面選択ボタン(操作可能状態の面選択ボタン)を押下した場合には、該面選択ボタンに対応する版押さえ部は動作するものの、刷版7が装着された位置とは異なる位置の版押さえ部が動作することとなるから、いずれにしても、作業者は刷版7の装着間違えにその場で気づくことが可能となる。
【0063】
なお、読取部CRにおいて刷版7の標識8aを読み取った後、該刷版7を版押さえ部により版押さえする前に、他の刷版7の標識8aが読取部CRにより読み取られた場合には、前に読み取られた刷版7に対する装着位置誘導処理は解除され、新たに読み取られた刷版7に対する装着位置誘導処理が開始される。
【0064】
そして、版押さえ部により刷版7が版胴2に対して押し付けられ、仮装着状態となると、点灯状態であった面選択ボタンを消灯させると共に(S7−1)、操作不能状態であった面選択ボタンを操作可能状態に変更(ロック解除)する(S7−2)。その後、所定のタイミングにて版掛けボタン15が押下されることにより、仮装着状態の刷版7に対する自動刷版装着動作が実行され、版胴2に対する刷版7の装着が行われる。この装着動作が行われると、仮装着状態であった刷版7に対応する、版掛状態表示画面100及び全体版掛状態表示画面200上の表示ボックス109,207の装着状況が、版押さえ状態(コロ固定中)から装着状態へと変化する。
【0065】
以降、新聞を作成するために必要な全ての刷版7の装着が完了するまで、以上の工程が繰り返し実行される。
【0066】
以上説明したとおり、本実施形態に係る刷版装着位置誘導システム20は、刷版7に設けられた識別情報を読み取る読取部CRと、該刷版7の版胴2に対する装着位置を特定する装着位置特定部22と、該刷版7を特定された装着位置へ誘導する装着位置誘導部23とを備えている。このような刷版装着位置誘導システム20によれば、確実に刷版7を正しい装着位置に誘導することが可能となるため、刷版7の装着間違いを未然に防止することが可能となる。
【0067】
特に、本実施形態に係る刷版装着位置誘導システム20は、装着位置特定部22により刷版7の装着位置が特定された際に、該特定された装着位置に対応する面選択ボタンのみが操作可能状態となり、それ以外の前記面選択ボタンが操作不能状態となるよう構成されている。また、刷版装着位置誘導システム20は、装着位置特定部22により刷版7の装着位置が特定された際に、該特定された装着位置に対応する面選択ボタンが点灯状態となり、それ以外の面選択ボタンが消灯状態となるよう構成されている。このような刷版装着位置誘導システム20によれば、より一層確実に、刷版7の装着間違いを未然に防止することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態に係る刷版装着位置誘導システム20は、操作不能状態の面選択ボタンが操作された際にエラーを報知する報知手段(上述した例ではブザー18やグラフィックパネルGP)を備えている。このような刷版装着位置誘導システム20によれば、作業者に対して刷版7の装着間違えを認識させることが可能となるため、より一層確実に、刷版7の装着間違いを未然に防止することが可能となる。
【0069】
そして、本実施形態に係る刷版装着位置誘導システム20によれば、刷版7の装着間違いを未然に防止することが可能となることにより、刷版7の装着間違いに起因する諸資材(主に巻取紙)の浪費や作業遅延(出荷時間の遅れ)を防ぐことができると共に、刷版7の装着に要する作業負担を大幅に軽減し、作業性を大幅に向上させることができるという利点がある。
【0070】
また、本実施形態に係る刷版装着位置誘導システム20では、刷版7から読み取った識別情報を常に最新の割付情報と対比し、正しい装着位置を特定するため、例えば輪転印刷機の事故や印刷画像の差し替え等により、刷版7の装着位置や装着する刷版7に変更が生じた場合であっても、正しい最新の装着位置に、正しい刷版7を装着することが可能となる。
【0071】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0072】
例えば、上述した実施形態では、版押さえ部が刷版7と1対1で対応するように設けられ、それぞれ独立して動作可能に構成されるものとして説明したが、これに限定されず、例えば刷版7がダブル版の場合には、1枚の刷版7に対して2つの版押さえ部が連動して動作する構成とすることも可能である。この場合において、2つの版押さえ部に対応して設けられた2つの面選択ボタンのうちの一方を操作することで、2つの版押さえ部が同時に動作する構成を採用可能である。
【0073】
上述した実施形態では、操作部10が、第1印刷ユニット1aのL側の側面及びR側の側面と、第3印刷ユニット1cのL側の側面及びR側の側面との計4箇所に設けられるものとして説明したが、これに限定されず、操作部10の設置数と位置は任意に変更可能である。例えば、印刷ユニット毎に設置される構成としても良いし、L側及びR側のいずれか一方側のみに設置される構成としても良いし、1つの操作部で全ての印刷ユニットを操作可能な構成としても良いし、主に操作を行うコンソールに設置される構成としても良い。作業人員の削減により、版保管部9を使わずに実施することも可能である。
【0074】
上述した実施形態では、グラフィックパネルGPが第1印刷ユニット1aのOS側フレームF
OSのOS側の面に設けられる構成としたが、これに限定されず、グラフィックパネルGPの設置数と位置は任意に変更可能である。また、グラフィックパネルGPは、持ち運び可能なタブレットとすることも可能である。
【0075】
上述した実施形態では、刷版7を装着位置へ誘導するための構成として、装着位置に対応する面選択ボタン12a〜12d,14a〜14dを点灯させる構成や、グラフィックパネルGP上に装着位置を表示する構成を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、これらの構成に代えて、又はこれらの構成に加えて、面選択ボタンとは別に装着位置毎に設けた光源を点灯させる構成や、レーザー光等により装着位置を照射する構成や、プロジェクター等により装着位置に映像を重ねて表示する構成や、装着位置を読み上げる等の音声を用いた構成等、種々の構成を採用することも可能である。
【0076】
上述した実施形態では、刷版7に設けられた標識8aに刷版7の装着位置情報が含まれるものとして説明したが、これに限定されず、標識8aには刷版7を識別するための特殊な識別子のみが含まれる構成としても良い。この場合には、例えば、刷版装着位置誘導システム20の記憶部28に、刷版7の識別子と装着位置情報とを紐付けたデータテーブルを格納しておき、読取部CRにより読み取った識別子から該データテーブルを用いて装着位置情報を特定する構成とすることができる。
【0077】
また、上述した構成に加え、例えば特許文献1の刷版装着位置判定装置のような、装着後の刷版7から装着位置情報を再度読み込み、誤装着を検出する構成を採用することも可能である。
【0078】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。