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特開2020-152667N,N’−ジアリール尿素誘導体及びその製造方法、並びに、それを用いた感熱記録材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-152667(P2020-152667A)
(43)【公開日】2020年9月24日
(54)【発明の名称】N,N’−ジアリール尿素誘導体及びその製造方法、並びに、それを用いた感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
   C07C 309/73 20060101AFI20200828BHJP
   C07C 303/28 20060101ALI20200828BHJP
   B41M 5/333 20060101ALI20200828BHJP
   C09B 11/28 20060101ALN20200828BHJP
【FI】
   C07C309/73CSP
   C07C303/28
   B41M5/333 220
   C09B11/28 H
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2019-51776(P2019-51776)
(22)【出願日】2019年3月19日
(71)【出願人】
【識別番号】391052574
【氏名又は名称】三光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】木西 良一
(72)【発明者】
【氏名】石橋 良三
【テーマコード(参考)】
2H026
4H006
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026BB02
2H026BB24
4H006AA01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB93
4H006AC61
4H006BA92
(57)【要約】
【課題】非印字部の白色度、発色濃度、及び印字部の保存性などの感熱記録材料としての要求性能を満足するN,N’−ジフェニル尿素誘導体及びその製造方法、並びに、それを顕色剤として用いた感熱記録材料を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表されるN,N’−ジアリール尿素誘導体。(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは2価の連結基である。R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシアルキル基、などである。−O−Z−O−、R1−O−の少なくとも一方はスルホン酸エステルである。A、Bは水素原子若しくはメチル基である。a,bは1〜4の整数である。nは1〜7の整数である。)
[化1]

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるN,N’−ジアリール尿素誘導体。
【化1】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルキルアミノカルボニル基、又は、アリールアミノカルボニル基である。
−O−Z−O−、R1−O−の少なくとも一方はスルホン酸エステルである。A、Bは水素原子若しくはメチル基である。a,bは1〜4の整数である。
nは1〜7の整数である。)
【請求項2】
下記一般式(2)で表される、請求項1に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体。
【化2】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
R2はC1〜C4のアルキル基、C1〜C3のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子である。
cは1〜4の整数であり、nは1〜7の整数である。)
【請求項3】
下記一般式(3)で表される、請求項1に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体。
【化3】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルキルアミノカルボニル基、又は、アリールアミノカルボニル基である。
−O−Z−O−、R1−O−の少なくとも一方はスルホン酸エステルである。A、Bは水素原子若しくはメチル基である。a,bは1〜4の整数である。)
【請求項4】
下記一般式(4)で表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体。
【化4】
(Ar:アリール基である。
R2はC1〜C4のアルキル基、C1〜C3のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子である。
cは1〜4の整数である。)
【請求項5】
下記一般式(5) 、(6) 、(7)、又は(8)で表される、請求項2に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
(nは1〜7の整数である。)
【請求項6】
下記一般式(9)で表される化合物と、下記一般式(10)で表される化合物とを、塩基存在下に反応させる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体の製造方法。
【化9】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
A、Bは水素原子若しくはメチル基である。a,bは1〜4の整数である。
nは1〜7の整数である。)
【化10】
(式中R2はアルキル基、アルケニル基、置換アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又は、アシル基である。
Xはハロゲン、アシルオキシ基などの脱離基、又は、イソシアネート基である。)
【請求項7】
下記一般式(9)で表されるジアリール尿素誘導体。
【化11】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
A、Bは水素原子若しくはメチル基である。a,bは1〜4の整数である。
nは1〜7の整数である。)
【請求項8】
下記一般式(11)で表される化合物と、下記一般式(12)で表される化合物とを、塩基存在下に反応させる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体の製造方法。
【化12】
(式中、R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルキルアミノカルボニル基、又は、アリールアミノカルボニル基である。
A、Bは水素原子若しくはメチル基である。a,bは1〜4の整数である。)
【化13】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
Xはハロゲン、アシルオキシ基などの脱離基、又は、イソシアネート基である。)
【請求項9】
常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により該染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料であって、前記顕色剤が、請求項1〜5のいずれか一項に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体を含有することを特徴とする感熱記録材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N,N’−ジアリール尿素誘導体及びその製造方法並びにそれを用いた感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱記録材料は常温で無色ないし淡色の塩基性染料と有機顕色剤とをそれぞれ微細な粒子に粉砕分散した後、両者を混合し、これと増感剤、バインダー、滑剤、その他各種添加剤等を添加して得た塗工液を、紙、プラスティックフィルム、加工紙等の支持体上に塗工して感熱記録層を形成したものであり、感熱ヘッド、熱ペン等の熱エネルギー(ジユール熱)を加えることにより発色記録が得られるものである。このような感熱記録材料はすでに広く実用化されている。
【0003】
その感熱記録材料に求められる性能として、未印字部の白色度と種々の環境条件における未印字部の白色度、印字部の発色濃度とその印字部の保存性などが挙げられる。特に印字部の保存性に関しては、種々の試験、例えば耐湿熱性、耐水性、耐光性、耐油性および耐可塑剤性等が求められる。
【0004】
これまで感熱記録材料の顕色剤として数多くの顕色剤が提案されてきた。例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシ−ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシ−ジフェニルスルホン(特許文献1)などのフェノール系顕色剤、N−3−[(p−トルエンスルホニル)オキシ]フェニル−N’−(p−トルエンスルホニル)−尿素(特許文献2)、N−(2−(3−フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド(特許文献3)などの非フェノール系顕色剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−052842号公報
【特許文献2】特表2002−532441号公報
【特許文献3】国際公開第2014/080615号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】大饗茂編著、「有機硫黄化学」、化学同人社、1982年9月、p349
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、フェノール系顕色剤は印字部、非印字部の各種保存安定性が十分でなく、非フェノール系顕色剤であるN−3−[(p−トルエンスルホニル)オキシ]フェニル−N’−(p−トルエンスルホニル)−尿素(特許文献2)は発色感度や保存性は改善されているものの、十分なものでなく、更に改善が求められている。加えて、N−3−[(p−トルエンスルホニル)オキシ]フェニル−N’−(p−トルエンスルホニル)−尿素 はトルエンスルホニルイソシナネートから誘導されるトルエンスルホニル尿素基およびトルエンスルホニルクロライドから誘導される芳香族スルホン酸アリールエステル基の2つの官能基を有し、芳香族スルホン酸アリールエステル基は水に対して安定であるものの(非特許文献1)、一方のトルエンスルホニル尿素基は元来アミノ基等の保護基として活用されてきたものであるが、水によって容易に加水分解される欠点がある。
【0008】
一方、N−(2−(3−フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド(特許文献3)は未だ記録部の保存性に課題があり、感熱記録材料としての要求性能に関しては充分満足できるものでなく、特に印字部の保存性に更なる向上が求められている。
更に近年は4,4’−イソプロピリデンジフェノールや4,4’−ビスフェノールスルホンなどは、環境ホルモンや変異原性などの環境衛生上の問題が指摘されているため、これらの問題のない非フェノール系顕色剤が求められているのが実情である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、非印字部の白色度、発色濃度、及び印字部の保存性などの感熱記録材料としての要求性能を満足するN,N’−ジフェニル尿素誘導体及びその製造方法、並びに、それを顕色剤として用いた感熱記録材料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意検討の結果、本発明の新規なN,N’−ジフェニル尿素誘導体が感熱記録材料の顕色剤として利用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1]下記一般式(1)で表されるN,N’−ジアリール尿素誘導体。
【0012】
【化1】
【0013】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルキルアミノカルボニル基、又は、アリールアミノカルボニル基である。
−O−Z−O−、R1−O−の少なくとも一方はスルホン酸エステルである。A、Bは水素原子若しくはメチル基である。a,bは1〜4の整数である。
nは1〜7の整数である。)
【0014】
[2]下記一般式(2)で表される、前記[1]に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体。
【0015】
【化2】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
R2はC1〜C4のアルキル基、C1〜C3のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子である。
cは1〜4の整数であり、nは1〜7の整数である。)
【0016】
[3]下記一般式(3)で表される、前記[1]に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体。
【0017】
【化3】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルキルアミノカルボニル基、又は、アリールアミノカルボニル基である。
−O−Z−O−、R1−O−の少なくとも一方はスルホン酸エステルである。A、Bは水素原子若しくはメチル基である。a,bは1〜4の整数である。)
【0018】
[4]下記一般式(4)で表される、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体。
【0019】
【化4】
(Ar:アリール基である。
R2はC1〜C4のアルキル基、C1〜C3のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子である。
cは1〜4の整数である。)
【0020】
[5]下記一般式(5) 、(6) 、(7)、又は(8)で表される、前記[2]に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体。
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
(nは1〜7の整数である。)
【0025】
[6]下記一般式(9)で表される化合物と、下記一般式(10)で表される化合物とを、塩基存在下に反応させる、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体の製造方法。
【0026】
【化9】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
A、Bは水素原子若しくはメチル基である。a,bは1〜4の整数である。
nは1〜7の整数である。)
【0027】
【化10】
(式中R2はアルキル基、アルケニル基、置換アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又は、アシル基である。
Xはハロゲン、アシルオキシ基などの脱離基、又は、イソシアネート基である。)
【0028】
[7]下記一般式(9)で表されるジアリール尿素誘導体。
【0029】
【化11】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
A、Bは水素原子若しくはメチル基である。a,bは1〜4の整数である。
nは1〜7の整数である。)
【0030】
[8]下記一般式(11)で表される化合物と、下記一般式(12)で表される化合物とを、塩基存在下に反応させる、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体の製造方法。
【0031】
【化12】
(式中、R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルキルアミノカルボニル基、又は、アリールアミノカルボニル基である。
A、Bは水素原子若しくはメチル基である。a,bは1〜4の整数である。)
【0032】
【化13】
(Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−,−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基であり、Eは、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、C1〜C8の飽和若しくは不飽和の、ヘテロ元素を含んでいてもよい連結基で連結された脂肪族炭化水素若しくは脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、2価のヘテロ元素、単環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、又は、2価のヘテロ元素若しくはヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
Xはハロゲン、アシルオキシ基などの脱離基、又は、イソシアネート基である。)
【0033】
[9]常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により該染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料であって、前記顕色剤が、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のN,N’−ジアリール尿素誘導体を含有することを特徴とする感熱記録材料。
【発明の効果】
【0034】
本発明のN,N’−ジアリール尿素誘導体を顕色剤として用いることにより、非印字部の白色度、発色濃度、及び印字部の保存性を高めた感熱記録材料が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明に係る1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)のIRチャートを示す。
図2】本発明に係る1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)のH−NMRスペクトルを示す。
図3】本発明に係る1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)のFDマススペクトルを示す。
図4】本発明に係る式(5)(n=2)である化合物(合成例3)のIRチャートを示す。
図5】本発明に係る式(5)(n=2)である化合物(合成例3)のH−NMRスペクトルを示す。
図6】本発明に係る式(5)(n=2)である化合物(合成例3)のFDマススペクトルを示す。
図7】本発明に係る式(5)(n=3)である化合物(合成例3)のIRチャートを示す。
図8】本発明に係る式(5)(n=4)である化合物(合成例3)のIRチャートを示す。
図9】本発明に係る式(5)(n=5)である化合物(合成例3)のIRチャートを示す。
図10】本発明に係る式(5)(n=6)である化合物(合成例3)のIRチャートを示す。
図11】本発明に係る1,3-ビス(3-{3-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例4)のIRチャートを示す。
図12】本発明に係る1,3−ビス(3−{3−[3−(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例5)のIRチャートを示す。
図13】本発明に係る4,4' -ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル(合成例6)のIRチャートを示す。
図14】本発明に係る1,3-ビス(4-{3-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例7)のIRチャートを示す。
図15】本発明に係る1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン(合成例8)のIRチャートを示す。
図16】本発明に係る4,4’−ビス(3−[3−{3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル(合成例11)のIRチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(N,N’−ジアリール尿素誘導体)
本発明のN,N’−ジアリール尿素誘導体は、前記一般式(1)で表される。また、本発明のN,N’−ジアリール尿素誘導体は、前記一般式(2)〜(8)で表されるものであってもよい。
【0037】
一般式(1)〜(8)中、Zは、式:−SO−E−SO−、−CO−、−CO−CO−、−CO−E−CO−、−CONH−E−NHCO−、又は、−E−で表される基である。
【0038】
Eは、2価の連結基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、イソプロピリデン基、シクロヘキサンジイル基、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基などのC1〜C8の飽和、不飽和の脂肪族炭化水素または脂環式炭化水素から誘導される2価の連結基、−COC−基、−COCOC−基、−CSC−基、−C−SO−C−基、−CCOC−基などの−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−などのヘテロ元素を含む連結基で連結された脂肪族炭化水素から誘導される2価の連結基、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの単環芳香族炭化水素から誘導されるフェニレン基誘導体の2価の連結基、ベンジル、フェネチル、キシレンなどの単環芳香族アルキルから誘導されるベンジリデン基などの2価の連結基、ナフタレン、置換ナフタレンなどの多環芳香族炭化水素から誘導されるナフタレンジイル基である2価の連結基、
【0039】
ビフェニル、置換ビフェニルなどの多環芳香族炭化水素から誘導されるビフェニルジイル基の2価の連結基、ジフェニルメタン、2,2-ジフェニルプロパンなどの多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基、ジフェニルエーテル、ジフェノキシエタン、ビス(フェノキシエチル)エーテル、ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルホンなどのヘテロ元素を含む連結基で連結された多環芳香族炭化水素から誘導される2価の連結基である。
好ましい2価の連結基としては、フェニレン基、ジフェニルジイル基、オキシビス(フェニレン)基(-Ph-O-Ph-基)、C2〜C6のアルキレン基、−COC−基である。
【0040】
R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1〜C4のアルキル基、エチレン基、アリル基、メタリル基、ブテニル基などのC1〜C4のアルケニル基、(CO)n−C−(n=1〜3)、(CO)n−C−(n=1〜3)などのC2〜C4のアルキルオキシアルキル基、ベンジル基、p−メチルベンジル基、p-t-ブチルベンジル基、p−クロロベンジル基、p-メトキシベンジル基、p-ブトキシベンジル基、フェネチル基、α-フェネチル基、フェニルプロピル基などのC7〜C12のアラルキル基、フェニル基、トリル基、p-エチルフェニル基、p−キシリル基、m−キシリル基、メシチレン基、2−ナフチル基、ビフェニル基、ジメチルビフェニル基などのC6〜C14のアリール基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基などのC1〜C4のアルキルスルホニル基、ベンジルスルホニル基などのC7〜C12のアラルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、2−p−キシレンスルホニル基、メシチレンスルホニル基、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニル基、1-ナフタレンスルホニル基、2−ナフタレンスルホニル基、4-ビフェニルスルホニル基などのC6〜C15のアリールスルホニル基、アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、メタロイル基、ベンゾイル基、トルオイルア基、2−ナフトイル基などのC2〜C10のアシル基、ブチルアミノカルボニル基、ヘキシルアミノカルボニル基などのC1〜C12アルキルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、p−トリルアミノカルボニル基、m−トリルアミノカルボニル基、1−ナフチルアミノカルボニル基、2-ナフチルアミノカルボニル基などのC6〜C12のアリールアミノカルボニル基である。
【0041】
好ましいR1の置換基として、C1〜C4のアルキルスルホニル基、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどのC6〜C15のアリールスルホニル基である。
【0042】
−O−Z−O−、R1−O−の少なくとも一方がスルホン酸エステルであるが、好ましくはジスルホン酸ジエステル、Zがジカルボン酸ジエステルかつR1がスルホン酸エステルのものが好適である。A,Bは水素原子若しくはメチル基であり、特にHのものが好適である。a,bは1〜4の整数である。nは1〜7の整数であり、n=2が最も好適である。
【0043】
本発明の一般式(1)〜(8)で表されるN,N’−ジアリール尿素誘導体の具体的な化合物として、以下の化合物が挙げられるが、これ等化合物に限定されるものでなく、顕色剤として2種以上の化合物を併用して用いてもよい。また、顕色剤として、n=0の化合物であるN,N’-ビス(3−p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル尿素を含んでいてもよい。
【0044】
更に、既存の顕色剤、例えば、N−3−[(p−トルエンスルホニル)オキシ]フェニル−N’−(p−トルエンスルホニル)−尿素(商品名:PF−201)、N−[2−(3−フェニルウレイド)フェニル]−ベンゼンスルホンアミド(商品名:NKK−1304)などの公知の非フェノール顕色剤、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(BPA)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(BPS)、4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン(商品名:BPS−MAE)、4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシ−ジフェニルスルホン(商品名:TGSA)、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシスルホン(商品名:D−8)、N−(m−トリルアミノカルボニル)−メチオニン、N−(m−トリルアミノカルボニル)−フェニルアラニンおよびN−(フェニルアミノカルボニル)−フェニルアラニンなどの公知の顕色剤と併用して用いることにより、これら公知の顕色剤の課題である保存性を更に向上させることが可能となる。
【0045】
以下に、本発明のN,N’−ジアリール尿素誘導体として、最も簡明な構造である一般式(3)の化合物(n=1の化合物)を具体的に例示し、n=1〜7に相当する化合物である多量体について具体的構造式を例示して説明する。
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】
1,3-ビス(3-{3-[3-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(エタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(プロパンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(ベンジルスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(m-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(o-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(p-クロロベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(p-メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(2-p-キシレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(1-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(2-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン
【0049】
【化16】
【0050】
1,3-ビス(3-{3-[3-(フェニルアミノカルボニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トリルアミノカルボニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(m-トリルアミノカルボニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(o-トリルアミノカルボニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(2-ナフチルアミノカルボニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(ブチルアミノカルボニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(ヘキシルアミノカルボニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン
【0051】
【化17】
【0052】
1,3-ビス{3-[3-(m-メトキシフェニル) ウレイド]フェニルオキシスルホニル}ベンゼン、1,3-ビス{3-[3-(m-エトキシフェニル) ウレイド]フェニルオキシスルホニル}ベンゼン、1,3-ビス{3-[3-(m-イソプロポキシフェニル) ウレイド]フェニルオキシスルホニル}ベンゼン、1,3-ビス{3-[3-(m-ベンジルオキシフェニル) ウレイド]フェニルオキシスルホニル}ベンゼン、1,3-ビス{3-[3-(m-フェノキシフェニル) ウレイド]フェニルオキシスルホニル}ベンゼン、1,3-ビス{3-[3-(m-アリルオキシフェニル)ウレイド]フェニルオキシスルホニル}ベンゼン、1,3-ビス{3-[3-(m-メタリルオキシフェニル)ウレイド]フェニルオキシスルホニル}ベンゼン
【0053】
【化18】
【0054】
1,3-ビス(3-{3-[3-(アセチルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(アセチルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(3-{3-[3-(アセチルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン
【0055】
【化19】
【0056】
1,3-ビス(4-{3-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-(エタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン1,3-ビス(4-{3-[4-(ブタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-(プロパンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-(m-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-(o-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-(2-p-キシレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-(1-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-(2-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン
【0057】
【化20】
【0058】
4,4’-ビス(3-{3-[3-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-{3-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-{3-[3-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-{3-[3-(1-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(3-{3-[3-(2-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル
【0059】
【化21】
【0060】
4,4’-ビス(4-{3-[4-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-{3-[4-(エタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-{3-[4-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-{3-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-{3-[4-(m-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-{3-[4-(p-キシレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-{3-[4-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-{3-[4-(1-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-{3-[4-(2-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル
【0061】
【化22】
【0062】
4,4’−ビス[3−{3−[3−(エタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル]フェニルエーテル、4,4’−ビス(3−{3−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(4−{3−[4−(m−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(3−{3−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(3−{3−[3−(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(3−{3−[3−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(3−{3−[3−(2−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル
【0063】
【化23】
【0064】
4,4’-ビス(4−{3−[4−(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(4−{3−[4−(エタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(4−{3−[4−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(4−{3−[4−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(4−{3−[4−(m−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(4−{3−[4−(p−キシレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(4−{3−[4−(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(4−{3−[4−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル、4,4’−ビス(4−{3−[4−(2−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニルエーテル
【0065】
【化24】
【0066】
2,4-ビス3-{3-[3-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル-1,3,5-トリメチルベンゼン、2,4-ビス3-{3-[3-(エタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル-1,3,5-トリメチルベンゼン、2,4-ビス3-{3-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル-1,3,5-トリメチルベンゼン、2,4-ビス3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル-1,3,5-トリメチルベンゼン、2,4-ビス3-{3-[3-(p-キシレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル-1,3,5-トリメチルベンゼン、2,4-ビス3-{3-[3-(2-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル-1,3,5-トリメチルベンゼン
【0067】
【化25】
【0068】
2,4-ビス4-{3-[4-(エタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル-1,3,5-トリメチルベンゼン、2,4-ビス4-{3-[4-(プロパンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル-1,3,5-トリメチルベンゼン、2,4-ビス4-{3-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル-1,3,5-トリメチルベンゼン、2,4-ビス4-{3-[4-(m-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル-1,3,5-トリメチルベンゼン、2,4-ビス4-{3-[4-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル-1,3,5-トリメチルベンゼン
【0069】
【化26】
【0070】
1,2-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン
【0071】
【化27】
【0072】
1,2-ビス(4-{3-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン
【0073】
【化28】
【0074】
2,2−ビス[4,4’−ビス(4−{3−[4−(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4,4’−ビス(4−{3−[4−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4,4’−ビス(4−{3−(4−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル)ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4,4’−ビス(4−{3−[4−(2−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)フェニル]プロパン
【0075】
【化29】
【0076】
1,3−ビス(3−{3−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン、
1,3−ビス(3−{3−[3−(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン、1,3−ビス(3−{3−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン、1,3−ビス(3−{3−[3−(2−ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン
【0077】
【化30】
【0078】
1,3-ビス(4-{3-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン
【0079】
【化31】
【0080】
1,4-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン、1,4-ビス(3-{3-[3-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン、1,4-ビス(3-{3-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン、1,4-ビス(3-{3-[3-(2-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン
【0081】
【化32】
【0082】
シュウ酸ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニル)エステル、コハク酸ビス(3-{3-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニル)エステル、コハク酸ビス(3-{3-[3-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニル)エステル、フマル酸ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニル)エステル
【0083】
【化33】
【0084】
1,2-ビス(4-{3-[4-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシ)エタン、1,4-ビス(4-{3-[4-(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシ)ブタン、[2,2’-ビス(4-{3-[4-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシ)エチル]エーテル、[2,2’-ビス(4-{3-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシ)エチル]エーテル、α、α’-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシ)-m-キシレン、α、α’-ビス(4-{3-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシ)-p-キシレン
【0085】
【化34】
【0086】
1-メチル-2,4-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニルアミノ)ベンゼン、1-メチル-2,4-ビス(3-{3-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニルアミノ)ベンゼン、1-メチル-2,6-ビス(3-{3-[3-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニルアミノ)ベンゼン
【0087】
【化35】
【0088】
1,3-ビス(3-{3-[3-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン、4,4’-ビス(3-{3-[3-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-{3-[4-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニル、1,3-ビス(3-{3-[3-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-{3-[4-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼン、コハク酸ビス(3-{3-[3-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニル)エステル、1,4-ビス(4-{3-[4-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニルオキシ)ブタン、[2,2’-ビス(4-{3-[4-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニルオキシ)エチル]エーテル、α、α’-ビス(4-{3-[4-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニルオキシ)-p-キシレン、α、α’-ビス(3-{3-[3-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニルオキシ)-m-キシレン、1-メチル-2,4-ビス(3-{3-[3-ヒドロキシフェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニルアミノ)ベンゼン、などが挙げられるが、これ等に限定されるものでない。
【0089】
(N,N’−ジアリール尿素誘導体の製造方法)
本発明のN,N’−ジアリール尿素誘導体は、合成中間体として有用な前記一般式(9)で表される化合物と前記一般式(10)で表される化合物を塩基存在下に反応させることによって合成することができる。前記一般式(9)で表される化合物は、一般式(11)で表される化合物と一般式(12)で表される芳香族アミン化合物を塩基存在下に反応させることによって合成することもできる。
【0090】
上記の合成方法を具体的化合物で例示する。
(合成方法1)
【0091】
【化36】
(nは1〜7の整数である。)
【0092】
(合成方法2)
【0093】
【化37】
【0094】
反応方法1.式(5)(n=1〜7)の化合物:
式(5)(n=1〜7)の合成原料として有用な式(9)の化合物は、塩基存在下にN,N’-ビス(3-ヒドロキシフェニル)尿素と式(12)で表される2価の連結基を有する化合物を反応させることによって合成される。
式(5)(n=1〜7)の化合物は、式(9)の化合物と式(10)の化合物を塩基存在下に反応させることによって得ることができる。
反応方法2.式(5)(n=1)の化合物:
式(11)の化合物と式(12)の化合物を塩基存在下に反応させることによって得られる。式(11)の3-ヒドロキシ-3’-置換オキシ-ジフェニル尿素は、3,3’-ジフェニル尿素と式(10)で表される1価の反応性置換基(すなわち、ハロゲン、アシルオキシ基などの脱離基、又は、イソシアネート基)を有する化合物を塩基存在下に反応させて得ることができる。
【0095】
式(12)で表される2価の連結基を有する化合物は、エタン-1,2-ジスルホニルクロライド、ブタン-1,4-ジスルホニルクロライド、ヘプタン-1,5-ジスルホニルクロライド、ベンゼン-1,2-ジスルホニルクロライド、ベンゼン-1,3-ジスルホニルクロライド、メシチレン-2,4-ジスルホニルクロライド、p-キシレン-2,5-ジスルホニルクロライド、ビフェニル-4,4’-ジスルホニルクロライド、ナフタレン-1,5-ジスルホニルクロライド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルクロライド)、4,4’-メチレンビス(ベンゼンスルホニルクロライド)、4,4'-チオビス(ベンゼンスルホニルクロライド)4,4’-スルホニルビス(ベンゼンスルホニルクロライド)などのジスルホン酸クロライド;
【0096】
ホスゲン、シュウ酸ジクロライド、マロン酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、1,4-シクロヘキサンジカルボニルクロライド、フマル酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、5-メチルイソフタル酸ジクロライド、4,4’-ビフェニルジカルボニルクロライド、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロライド)、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジクロライドなどのカルボン酸ジハライド;
【0097】
シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、フマル酸ジエチル、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、5-メチルイソフタル酸ジメチル、4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジメチル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどのカルボン酸エステル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルなどの炭酸エステル;
【0098】
ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジクロロプロパン、ジブロモブタン、ビス(2-クロロエチル)エーテル、α、α’-ジクロロ-p-キシレン、α、α’-ジクロロ-m-キシレン、α、α’-ジクロロ-o-キシレン、p-ジブロモベンゼン、m-ジブロモベンゼンなどのジハロゲン化炭化水素;
【0099】
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、1,5-ジイソシアナートナフタレン、4,4’-ジイソシアナート-3,3’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジイソシアナート-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、メチレンジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンなどのジイソシアネート化合物である。
【0100】
式(10)で表される1価の反応性置換基を有する化合物は、メタンスルホニルクロライド、エタンスルホニルクロライド、プロパンスルホニルクロライド、ブタンスルホニルクロライド、ヘプタンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、p-トルエンスルホニルクロライド、m-トルエンスルホニルクロライド、o-トルエンスルホニルクロライド、メシチレンスルホニルクロライド、p-キシレンスルホニルクロライド、ナフタレン-1-スルホニルクロライド、ナフタレン-2-スルホニルクロライド、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンなどのスルホン酸クロライド;
【0101】
酢酸クロライド、プロピオン酸クロライド、フェニル酢酸クロライド、安息香酸クロライド、トルイル酸クロライド、3,5-ジメチルベンゾイルクロライド、シクロヘキサンカルボン酸クロライド、桂皮酸クロライド、1-ナフトイルクロライド、2-ナフトイルクロライドなどのカルボン酸ハライド;
【0102】
酢酸フェニル、プロピオン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、安息香酸メチル、1-ナフトエ酸メチル、桂皮酸メチルなどのカルボン酸エステル;
無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸などの酸無水物;
【0103】
エチルブロマイド、プロピルブロマイド、イソプロピルブロマイド、ブロモブタン、ベンジルクロライド、フェネチルブロマイドなどのハロゲン化炭化水素;
【0104】
フェニルイソシアネート、m-トリルイソシアネート、p−キシリルイソシアネート、1-ナフチルイソシアネート、2-ナフチルイソシアネートなどのジイソシアネート化合物である。
【0105】
塩基は、LiOH,NaOH,KOH,NaHCO,KHCO,NaCO,KCO、MeONaなどの無機塩基、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどの有機塩基などが挙げられる。無機塩基と有機塩基を併用して用いてもよい。
【0106】
反応溶媒は、水、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなどの炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、酢酸ベンジルなどの酢酸エステル、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、THF,ジオキサン、アニソールなどのエーテル類、トリエチルアミン、ピリジンなどの3級アミン溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。好ましい反応溶媒としては、水、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、酢酸ベンジルなどの酢酸エステル、THF、アセトニトリル、トリエチルアミン、ピリジンなどの3級アミン溶媒があげられる。又、水とこれら溶媒との混合溶媒で用いてもよい。
【0107】
反応温度は10℃から150℃の範囲であるが好ましい反応温度は20℃から100℃の範囲である。
【0108】
反応は、式(9)または式(11)と塩基に溶媒に加え、その中にトシルクロライドを滴下してもよく、あるいは、式(9)または式(11)とトシルクロライドに溶媒を加え、塩基を滴下して反応をおこなってもよい。
【0109】
反応終了後、反応液はアルカリ水溶液で水洗処理された後、カラム精製操作、晶析操作、濃縮操作等で目的生成物を得ることができる。
【0110】
更に高純度な目的物を得るためには、再結晶操作等により高純度な目的物を得ることができる。
【0111】
(感熱記録材料)
本発明の感熱記録材料は、常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により該塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含有する感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料であって、前記顕色剤が、前記のN,N’−ジアリール尿素誘導体である。
【0112】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層は、例えば、前記塩基性染料と前記式(1)〜式(8)で表されるN,N’−ジアリール尿素誘導体を微細な粒子に粉砕分散し、バインダー、増感剤、充填剤、滑剤、その他各種添加剤等を添加して得た塗工液を調製し、これを紙、プラスティックフィルム、加工紙等の支持体上に塗工して形成される。
【0113】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層に使用される、常温で無色ないし淡色の塩基性染料としてトリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系、スピロ系、フルオレン系、チアジン系化合物が挙げられ、従来公知のロイコ染料から選ぶことができる。
【0114】
例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(P−メチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
【0115】
3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノベンゾ[α]フルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−n−ヘキシルオキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−メチル−1−n−オクチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ]6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ヘキシル−N−エチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−2−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0116】
2,2−ビス{4−[6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ[フタリド−3,9’−キサンテン]−2’−イルアミノ]フェニル}プロパンおよび3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−ピロリジノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ジベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ジメチルフルオラン、3−(N−メチル−p−トルイジノ)−7−メチルフルオラン、3−(N−メチル−N−イソアミルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラン、3,3−ビス(1−n−アミル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(N−メチル−N−イソアミルアミノ)−7−フェノキシフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−7−(N−フェニル−N−メチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ピロリジノ−7−ジベンジルアミノフルオランなどからも選ぶことができ、本発明はこれらに限定されるものではなく、又2種類以上を併用してもよい。
【0117】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層において、必要に応じ増感剤を使用することができ、増感剤としては従来公知の増感剤が使用できる。
【0118】
例えば、ステアリン酸アミド、ビスステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド、p−トルエンスルホンアミド、ステアリン酸、ベヘン酸やパルミチン酸などのカルシウム、亜鉛あるいはアルミニウムなどの脂肪酸金属塩、p−ベンジルビフェニル、ジフェニルスルホン、ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2−ベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(p−トリルオキシ)エタン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,3−ビス(フェノキシ)プロパン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸p−メチルベンジル、m−ターフェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などが挙げられる。
【0119】
特に1,2−ビス(p−トリルオキシ)エタン、1,2−ビス(フェノキシ)エタンが感度の面で好適である。
【0120】
本発明の記録材料は特に耐油性が良好であり、従来公知の顕色剤の保存安定剤としても使用ができる。
【0121】
公知の顕色剤としては、例えば、4,4’−イソプリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェノキシエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3−アリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2’−ビス(4−(4−ヒドロキシフェニル)フェノキシ)ジエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、N,N−ジ−m−クロロフェニルチオウレア、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア、4,4’−ビス−〔p−トリルスルホニルアミノカクボニルアミノ〕ジフェニルメタン、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸亜鉛、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸亜鉛、5−[2−(p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸亜鉛塩、4−(n-(オクチルオキシカルボニルアミノ))サリチル酸亜鉛、
【0122】
N−(m−トリルアミノカルボニル)−フェニルアラニン、N−(フェニルアミノカルボニル)―フェニルアラニン、N−(m−トリルアミノカルボニル)−メチオニン、N−(m−トリルアミノカルボニル)−バリン、N−(m−トリルアミノカルボニル)−フェニルグリシン、N−(m−トリルアミノカルボニル)―チロシン、N,N’−ビス[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’−ビス[3−(ベンゼンルオキシ)フェニル]尿素、N,N’−ビス[3−(メシチレンフェスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N−(3−ヒドロキシフェニル)−N’−〔3−(p−トルエンスルホニル)オキシ〕フェニル尿素、N−(3−ヒドロキシフェニル)−N’−〔3−(2’,4’,6’−トリメチルベンゼンスルホニル)オキシ〕フェニル尿素、N−(3−ヒドロキシフェニル)−N’−〔3−(p−ベンジルスルホニル)オキシ〕フェニル尿素等が挙げられる。
【0123】
更に、本発明の感熱記録材料の感熱記録層には、従来公知の保存安定剤を併用することもできる。
【0124】
例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチルm−クレゾール)、1,1、3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1、3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、トリス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸グリシジル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂型、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’―ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウム塩または多価金属塩、ビス(4−エチレンイミンカルボニルアミノフェニル)メタン、更に、一般式(10)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。
【0125】
特に、1,1、3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1、3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホンおよび一般式(10)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物が更なる保存性改良に好適である。
【0126】
【化38】
(式中、nは1〜7の整数である。)
【0127】
また、本発明の感熱記録材料の感熱記録層において、必要に応じ助剤を使用することができ、助剤としては、例えばジオクチオルコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムおよび高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、カスターワックス、エステルワックス等のワックス類、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、グリオキザール、ホウ酸、ジアルデヒドスターチ、メチロール尿素、グリオキシル酸塩、エポキシ系化合物等の耐水化剤、消泡剤、着色染料、蛍光染料、および顔料等が挙げられる。
【0128】
本発明の感熱記録材料で感熱記録層に使用されるバインダーとしては、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類、カゼイン、ゼラチン、完全(または部分)鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレンーブタジエン共重合体樹脂ならびに、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルアミド樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ビニルブチラール・スチロールおよびそれらの共重合体樹脂、アミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クロマン樹脂などが挙げられる。これらのバインダーは単独または2種以上を使用でき、溶剤に溶解して使用するほか、水または他の媒体中に乳化あるいはペースト状に分散した状態で使用することもできる。
【0129】
感熱記録層に配合される顔料としては、非晶性シリカ、非晶性珪酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、コロイダルシリカ、ポリスチレンパウダー、ナイロンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体や中空プラスチックピグメント等の無機あるいは有機顔料等が挙げられる。
【0130】
本発明において感熱記録層に使用される塩基性染料、顕色剤、増感剤、バインダー、顔料およびその他助剤等の添加剤の種類や使用量は、感熱記録層に要求される品質性能に応じて適宜決定される。
【0131】
本発明における感熱記録層において、顕色剤として前記式(1)〜(8)で表されるN,N’−ジアリール尿素誘導体の含有量は、発色濃度の観点から、感熱記録層の塩基性染料1質量部に対して、0.3〜5質量部が好ましく、更には0.4〜3質量部がより好ましい。
【0132】
更に、増感剤はロイコ染料1部に対し0.2〜4質量部、バインダーは全固形分中5〜50質量%が適当である。支持体としては、紙、再生紙、合成紙、プラスティックフィルム、不織布、金属箔等が使用可能である。また、これらを組み合せた複合シートも使用可能である。
【0133】
また、保存性を高める目的で有機顔料を含有する高分子物質からなるオーバーコート層を設けても良い。さらにサーマルヘッドヘの粕付着を防止、印字画質向上、感度を向上させる目的で有機顔料、無機顔料、中空微粒子および発泡粒子などを含有するアンダーコート層を設けても良い。
【0134】
本発明において感熱記録層に使用される塩基性染料、顕色剤、増感剤および必要により保存安定剤等は、例えば水を分散媒体として、ボールミル、アトライター、サンドミル等の攪拌粉砕機によって平均粒子径が2μm以下になるように微分散され使用される。
【0135】
このように微分散された分散液に、必要により顔料、バインダー、助剤等を混合撹拌することで感熱記録層塗料を調整される。
【0136】
このようにして得られた感熱記録層塗料を、乾燥後の塗布量が1.0〜20g/m程度、好ましくは1.5〜12g/m程度、より好ましくは2.0〜7.0g/m程度、特に好ましくは3〜7g/m程度になるように、支持体上に塗布し、乾燥することで形成される。
【0137】
感熱層を形成するための塗工方法は特に限定されるものではなく、例えば、エアーナイフコーティング、バリバーコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、スライドビロードコーティング、オフセットグラビアコーティング、5本ロールコーティング等の適当な塗工方式により塗工することができる。
【0138】
このようにして調整される感熱記録層用塗料を、支持体上に直接塗工することにより、支持体上に感熱記録層を積層してもよいし、支持体上にまず下塗り層を形成し、形成された下塗り層上に感熱記録層を形成してもよい。下塗り層の設けることにより、感度、画質の改善、印字粕吸収機能改善することができる。
下塗り層の組成は、目的のより適宜選択すればよいが、一般に、バインダー、顔料などが含まれる。
【0139】
下塗り層に用いられるバインダーは感熱記録層で使用するような樹脂を用いることができる。すなわち、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、メチルセルロース、カルボキシセルロース、メトキシセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース樹脂、カゼイン、ゼラチン、完全(または部分)鹸化ポリビニアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、スチレン−無水マレイン酸共重合体系ラテックス、スチレンーブタジエン共重合体系ラテックス、酢酸ビニル樹脂系ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス及びアクリル樹脂系ラテックス等を用いることができる。
【0140】
下塗り層に含有される無機顔料としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物、金属水酸化物、硫酸塩、炭酸塩などの金属化合物、無定形シリカ、焼成カオリン、タルク等の無機白色顔料などが挙げられる。これらのうち、特に焼成カオリンは発色感度と感度および粕吸収性に優れていることから、好ましく用いられる。尚、無機顔料の粒子径としては0.5〜3.0μm程度のものが好ましい。
【0141】
また、下塗り層に含有される有機顔料としては、球状樹脂粒子(所謂、密実型樹脂粒子)、中空粒子、貫通孔を有する樹脂粒子、中空樹脂粒子の一部を変面で裁断して得られるような開口部を有する樹脂等が挙げられる。記録濃度を高めるには中空樹脂が好ましく使用される。
【0142】
感度と粕付着性を両立させるため、無機顔料系と有機樹脂系を併用することが一般的に行われ、無機顔料と有機顔料の使用比率が、質量比で90:10〜30:70程度が好ましく、更には70:30〜50:50がより好ましい。
更に、感度の向上を図るため、発泡系樹脂を使用することもできる。
【0143】
下塗り層は、一般に水を分散媒体とし、無機顔料、有機顔料から選ばれる少なくとも1種とバインダーを混合攪拌して得られる下塗り層塗料を、支持体上に乾燥後の塗布量が1〜20g/m、好ましくは5〜15g/m程度となるように塗布乾燥して形成される。前記バインダー及び顔料の使用量としては、下塗り層全固形分に対してバインダーが5〜40質量%程度、顔料が10〜95質量%程度が好ましい。更に下塗り層用塗料には、必要に応じて、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス等の滑剤、蛍光染料、着色染料、界面活性剤、架橋剤等の各種助剤を添加することもできる。
下塗り層は1層でも良く、場合によっては2層以上設けてもよい。
【0144】
感熱記録層上に、成膜性を有するバインダーを主成分とする保護層を設けてもよい。保護層用塗料は、例えば水を媒体とし、バインダー成分、顔料、及び、更に必要により助剤とを混合攪拌して調整される。
保護層に用いられるバインダー、顔料、助剤は、上記の感熱記録層で用いられるものを使用される。
【0145】
更にまた、保護層上に光沢層を設けてもよい。
光沢層としては、例えば電子線または紫外線硬化性化合物を主成分とする塗液を塗布後、電子線や紫外線を照射して硬化させる方法や超微粒子のコアシェル型アクリル樹脂を使用する方法等が挙げられる。
または更に、支持体の裏面側に帯電防止層を設けてもよい。
【0146】
下塗り層、保護層、光沢層等を形成するための塗料は、感熱記録層と同様に、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、カーテンコーティング、オフセットグラビアコーティング等の適当な塗工方式により塗工することができ、乾燥により各層が形成される。
【0147】
各層を形成した後、スーパーキャレンダー処理する等の感熱記録材料製造分野における各種の公知処理技術を適宜付加してもよい。
【実施例】
【0148】
以下、合成例、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例中、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を表わす。
【0149】
(反応生成物組成のHPLC分析)
HPLC分析は島津製作所社製HPLC分析装置を用い、測定は溶離液:CHCN/0.05%リン酸水=80/20(vol/vol%)、流速:0.8ml/min、カラム温度:40℃、検出波長:254nmの条件でおこなった。
【0150】
(合成例1)
1,3−ビス(3−{3−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼンの合成
温度計、攪拌機を付した四ツ口フラスコにN-3-ヒドロキシフェニル-N'-3' -(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル尿素7.96g、酢酸エチル80g、トリエチルアミン2.5gを仕込み60℃に加温した後、酢酸エチルに溶解したベンゼン−1,3−ジスルホニルクロライド2.89gを滴下し4時間反応した。反応終了後、有機層を希薄NaOH水溶液、塩酸水溶液で水洗し、中和・水洗した。溶媒を留去した後、メタノールで結晶化した。
【0151】
この結晶は、式(5)のn=1成分である1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼンであることを確認した。(図1にIRチャートを示す。図2H−NMRスペクトルを示す。図3にFDマススペクトルを示す。)
【0152】
(合成例2)
式(5):n=1〜7の化合物合成
【0153】
【化39】
温度計、攪拌機、窒素導入管を付した四ツ口フラスコにN,N'-ビス(3-ヒドロキシフェニル)尿素39.04g、酢酸エチル320g、トリエチルアミン19.2gを仕込み50℃に加温した後、酢酸エチルに溶解したベンゼン-1,3-ジスルホニルクロライド20.0gを滴下した。4時間反応した反応液生成物(式(9)で表されるジフェニル尿素化合物)組成のHPLC分析をおこなった。表1に結果を示す。
【0154】
【表1】
【0155】
反応終了後、反応液を希薄水酸化ナトリウム水溶液で水洗い後、有機層を中和し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層にトリエチルアミン21.2gを加え70℃に加温した後、酢酸エチルに溶解したp-トルエンスルホニルクロライド7.93gを滴下反応した。4時間反応した後、有機層を塩酸水、希薄水酸化ナトリウム水溶液で順次水洗した。有機層中の反応生成物(式(5)で表されるジフェニル尿素化合物)組成のHPLC分析をおこなった。表2に結果を示す。
【0156】
【表2】
【0157】
有機層にトルエンを加え、固形物を沈殿させ濾別し、減圧乾燥して式(5)で表されるジフェニル尿素化合物の固形物を得た。
【0158】
(合成例3)
式(5):n=1〜7の化合物合成
上記で得られた固形物を少量の酢酸エチル/THF溶媒に溶解し、その溶解液のシリカゲルクロマトグラフィーをおこなった。トルエン/酢酸エチル/酢酸=10/1/0.05(容量比)の溶離液を用いて、組成物の各成分を溶出単離した。各成分の溶出液をそれぞれ濃縮してn=1成分、n=2成分(図4にIRチャートを示す。図5H−NMRスペクトルを示す。図6にFDマススペクトルを示す。)、n=3成分(図7にIRチャートを示す。)、n=4成分(図8にIRチャートを示す。)、n=5成分(図9にIRチャートを示す。)、n=6成分(図10にIRチャートを示す。)の機器分析を行った。n=2成分は、式(5)のn=2成分であることを確認した。
【0159】
(合成例4)
1,3−ビス(3−{3−[3−(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼンの合成
合成例1のN−3−ヒドロキシフェニル−N’−3’−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル尿素7.96gをN-3-ヒドロキシフェニル-N'-3'-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル尿素7.68gに代える以外合成例1と同様の操作をして1,3-ビス(3-{3-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼンを合成した。図11にIRチャートを示す。
【0160】
(合成例5)
1,3−ビス(3−{3−[3−(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼンの合成
合成例1のN-3-ヒドロキシフェニル-N'-3'-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル尿素7.96をN-3-ヒドロキシフェニル-N'-3'-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル尿素8.58gに代える以外合成例1と同様の操作をして1,3-ビス(3-{3-[3-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼンを合成した。図12にIRチャートを示す。
【0161】
(合成例6)
4,4' -ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニルの合成
合成例1のN-3-ヒドロキシフェニル-N'-3'-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル尿素7.96gをN-3-ヒドロキシフェニル-N'-3'-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル尿素7.96gに代え、ベンゼン-1,3-ジスルホニルクロライド2.89gをビフェニル-4,4’-スルホニルクロライド3.86gに代える以外合成例1と同様の操作をして4,4' -ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ビフェニルを合成した。図13にIRチャートを示す。
【0162】
(合成例7)
1,3-ビス(4-{3-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼンの合成
合成例1のN-3-ヒドロキシフェニル-N'-3'-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル尿素7.96gをN-4-ヒドロキシフェニル-N'-4'-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル尿素7.96gに代える以外合成例1と同様の操作をして1,3-ビス(4-{3-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼンを合成した。図14にIRチャートを示す。
【0163】
(合成例8)
1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼンの合成
合成例1のベンゼン-1,3-ジスルホニルクロライド2.89gをイソフタル酸ジクロライド2.24gに代える以外合成例1と同様の操作をして、1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニル)ベンゼンを合成した。図15にIRチャートを示す。
【0164】
(合成例9)
1,3-ビス(3-{3-[3-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼンの合成
合成例1のN-3-ヒドロキシフェニル-N'-3'-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル尿素7.96gをN-3-ヒドロキシフェニル-N'-3'-(メタンスルホニルオキシ)フェニル尿素6.44に代える以外合成例1と同様の操作をして1,3-ビス(3-{3-[3-(メタンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼンを合成した。
【0165】
(合成例10)
1−メチル−2,4−ビス(3−{3−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニルアミノ)ベンゼンの合成
合成例1のベンゼン-1,3-ジスルホニルクロライド2.89gをトリレン-2,4-ジイソシアネート1.92gに代える以外合成例1と同様の操作をして、1−メチル−2,4−ビス(3−{3−[3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシカルボニルアミノ)ベンゼンを合成した。
【0166】
(合成例11)
4,4’−ビス(3−[3−{3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエーテルの合成
合成例1のベンゼン−1,3−ジスルホニルクロライド2.89gに代えて4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルクロライド)3.86gに代える以外、合成例1と同様の操作をして4,4’−ビス(3−[3−{3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル}ウレイド]フェニルオキシスルホニル)ジフェニルエーテルを合成した。図16にIRチャートを示す。
【0167】
[アンダーコート用塗料の調製]
プラスチック中空粒子(商品名:ローペイクSN−1055:中空率:55%、固形分26.5%)100部、焼成カオリンの50%分散液100部、スチレン−ブタジエン系ラテックス(商品名:L−1571 固形分48%)25部、酸化澱粉の10%水溶液50部および水20部を混合して、アンダーコート用塗料を作成した。
【0168】
(実施例1)
[感熱記録用塗料の作成]
A液(染料分散液の調製)
3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン 10部
10%ポリビニルアルコール水溶液 10部
水 16.7部
【0169】
B液(顕色剤分散液の調製)
1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1) 20部
10%ポリビニルアルコール水溶液 20部
水 33.3部
【0170】
C液(増感剤分散液の調製)
1,2−ビス(m−トリルオキシ)エタン 15部
10%ポリビニルアルコール水溶液 15部
水 25部
【0171】
上記A液、B液およびC液の分散液をサンドグラインダーで平均粒子径が1μm以下になるまで粉砕し、下記割合で分散液を混合して塗布液とした。
A液(染料剤分散液) 36.7部
B液(顕色剤分散液) 73.3部
C液(増感剤分散液) 55.0部
【0172】
水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH−42)27部、無定形シリカ(商品名:ミズカシルP−527)10部、酸化澱粉の10%溶解物100部、ステアリン酸亜鉛分散液:(商品名:ハイドリンZ−8−36)19.4部および水50部からなる組成分を混合して感熱記録用塗料を作製した。
【0173】
[感熱記録材料の作成]
支持体として坪量が53gの上質紙(酸性紙)にアンダーコート用塗料を乾燥後の面積当たりの質量が6g/mとなるように塗布および乾燥し、その後、感熱記録層用塗料を、乾燥後の面積当たりの質量が3.8g/mになるように塗布乾燥した。
このシートをス−パーカレンダーで平滑度(JISP8155:2010)が900〜1200sになるように処理して感熱記録材料を作成した。
【0174】
[各種試験]
1.感熱記録性試験(発色試験)
作成した感熱記録材料について、感熱記録紙印字試験機(大倉電気社製TH−PMD)を用い、印加エネルギー0.38mJ/dotで印加した。記録部の印字濃度はマクベス反射濃度計RD−914で測定した。これを試験前サンプル(ブランク)とした。
【0175】
2.耐湿熱性試験
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料を試験温度40℃、90%RHの環境下に24時間放置した後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0176】
3.耐熱性試験
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料を試験温度60℃の恒温環境下に24時間放置した後、試験片の印字部画像濃度と未印字部の濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0177】
4.耐光性試験
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料を5000Luxに100時間暴露しその後、画像濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0178】
5.耐水性試験
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料を水中に15時間浸漬しその後、試験片を風乾させ、画像濃度と未印字部をマクベス反射濃度計で測定した。
【0179】
6.耐油性試験−1
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料にサラダオイル中に10分間浸漬しその後、試験片の油をふき取り、画像濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0180】
7.耐油性試験−2
感熱記録性試験で印加エネルギー0.38mJ/dotで記録した感熱記録材料にサラダオイル中に3時間浸漬しその後、試験片の油をふき取り、画像濃度をマクベス反射濃度計で測定した。この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0181】
(実施例2)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン(合成例1)を合成例2の固形物に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0182】
(実施例3)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1)を合成例3のn=2の化合物に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0183】
(実施例4)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼンを 合成例4に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0184】
(実施例5)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1)を合成例5に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0185】
(実施例6)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1)を合成例6に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0186】
(実施例7)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1)を合成例7に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0187】
(実施例8)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1)を合成例8に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。
この実施例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0188】
【表3】
【0189】
(比較例1)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1)を4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0190】
(比較例2)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1)を4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0191】
(比較例3)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1)を4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンに代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0192】
(比較例4)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1)を4−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシ−ジフェニルスルホンに代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0193】
(比較例5)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1)をN−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル−N’−(p−トルエンスルホニル)−尿素に代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0194】
(比較例6)
実施例1のB液の1,3-ビス(3-{3-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]ウレイド}フェニルオキシスルホニル)ベンゼン (合成例1)をN−(2−(3−フェニルウレイド)フェニル)−ベンゼンスルホンアミドに代える以外は実施例1と同様の操作をおこなった。この参照例による感熱記録材料の各種試験結果は、表3に記載の通りであった。
【0195】
実施例および表より明らかなように、本発明のN,N’−ジ−アリール尿素誘導体から作成される感熱記録材料は、非印字部の高い白色度で良好な発色濃度を示し、印字部の耐熱性、耐湿性、耐光性、耐水性、耐油性の全ての保存性試験に於いても良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明の感熱記録材料は、使用する顕色剤が、一般式(1)で表されるN,N’−ジアリール尿素誘導体であるため、内分泌攪乱の懸念がなく非印字部の白色度が高く、更に全ての保存性試験で良好な保存性が得られ、従来の感熱記録材料に代わるものとして産業上の利用可能性は極めて有望である。
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