(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-152687(P2020-152687A)
(43)【公開日】2020年9月24日
(54)【発明の名称】毛髪用組成物および毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20200828BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20200828BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20200828BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20200828BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20200828BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20200828BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20200828BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/44
A61K8/67
A61K8/60
A61Q5/00
A61Q5/12
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-54038(P2019-54038)
(22)【出願日】2019年3月22日
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】木村 優介
(72)【発明者】
【氏名】志賀 もえみ
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳史
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC891
4C083AC892
4C083BB45
4C083BB53
4C083CC32
4C083CC33
4C083CC36
4C083EE26
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】染色された毛髪の熱による退色を抑制するための毛髪用組成物、及びこの組成物を使用する毛髪処理方法の提供。
【解決手段】毛髪用組成物は、キレート剤、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、マルチトール、ビワ葉エキス、アーモンドエキス、及びチャ葉エキスから選ばれた一種又は二種以上の退色抑制成分が配合され、加熱される前の毛髪に塗布されるものであり、毛髪処理方法は、その毛髪用組成物を使用するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱される前の毛髪に塗布される毛髪用組成物であって、
キレート剤、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、マルチトール、ビワ葉エキス、アーモンドエキス、及びチャ葉エキスから選ばれた一種又は二種以上の退色抑制成分が配合されたことを特徴とする毛髪用組成物。
【請求項2】
前記退色抑制成分として、キレート剤が配合された請求項1に記載の毛髪用組成物。
【請求項3】
前記キレート剤として、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸塩、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸、及びヒドロキシエタンジホスホン酸塩から選ばれた一種又は二種以上が配合された請求項1又は2に記載の毛髪用組成物。
【請求項4】
前記キレート剤が0.2質量%以上配合された請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
【請求項5】
スタイリング剤又は洗い流さないトリートメントとして使用される請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
【請求項6】
前記加熱がヘアアイロンにより行われる請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の毛髪用組成物を使用する毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色された毛髪の熱による退色の抑制に適する毛髪用組成物、および当該組成物を使用する毛髪処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カールアイロン、ストレートアイロンなどのヘアアイロンを使用すると、ヘアスタイル形成が容易となるが、毛髪が高温で加熱されてしまう。酸化染毛剤などで染色された毛髪は、その加熱によって退色することが知られている。また、毛髪と発熱体が接触するヘアアイロンの加熱によらずとも、ドライヤーの使用、特にドライヤーと毛髪とを近接させて使用する場合、毛髪には熱風が吹き付けられるために退色することがある。
【0003】
退色抑制のために、例えば特許文献1には、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコールなどのシクロヘキサンジカルボン酸ジエステルを配合することが開示されている(請求項1参照)。ただ、熱による退色抑制のための提案は少なく、毛髪の退色を抑制するための提案が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−15434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、染色された毛髪の熱による退色を抑制するための毛髪用組成物、及び当該組成物を使用する毛髪処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等が鋭意検討を行った結果、キレート剤などの特定の成分によれば、染毛された毛髪の熱による退色の抑制に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係る毛髪用組成物は、加熱される前の毛髪に塗布されるものであって、キレート剤、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、マルチトール、ビワ葉エキス、アーモンドエキス、及びチャ葉エキスから選ばれた一種又は二種以上の退色抑制成分が配合されたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る毛髪用組成物は、前記退色抑制成分としてキレート剤が配合されたものが良い。この配合されるキレート剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸塩、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸、及びヒドロキシエタンジホスホン酸塩から選ばれた一種又は二種以上である。
【0009】
本発明に係る毛髪用組成物にキレート剤を配合する場合、当該毛髪用組成物におけるキレート剤の配合量は、0.2質量%以上が良い。0.2質量%以上の配合量であれば、退色抑制に特に優れる。
【0010】
本発明に係る毛髪用組成物は、スタイリング剤又は洗い流さないトリートメントとして使用されるものが良い。
【0011】
本発明における前記加熱は、例えばヘアアイロンにより行われる。ヘアアイロンにより毛髪が直接加熱される場合であっても、毛髪の退色抑制が可能となる。
【0012】
本発明に係る毛髪処理方法は、本発明に係る毛髪用組成物を使用するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る毛髪用組成物によれば、キレート剤などの特定の成分が配合されるから、染色された毛髪の熱による退色を抑制できる。
【0014】
また、本発明に係る毛髪処理方法によれば、キレート剤などの特定成分が配合された毛髪用組成物を使用するから、染色された毛髪の熱による退色を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態に係る毛髪用組成物は、酸化染料が配合された酸化染毛剤などで染色された毛髪の退色を抑制するための特定成分(退色抑制成分)が配合されたものである。また、公知の毛髪用組成物に配合されている成分を任意成分として配合しても良い。
【0016】
(退色抑制成分)
本実施形態の退色抑制成分は、キレート剤、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、マルチトール、ビワ葉エキス、アーモンドエキス、及びチャ葉エキスから選ばれた一種又は二種以上である。
【0017】
キレート剤は、複数の配位子による金属イオンとの結合機能を有するものである。当該機能と退色抑止との関係は明確ではないが、結果として、キレート剤の配合が毛髪の退色を抑制する。退色抑制成分の中でも、キレート剤の配合は退色抑制に好適である。
【0018】
本実施形態の毛髪用組成物におけるキレート剤の配合量は、0.2質量%以上が良く、0.4質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上が更に好ましい。0.2質量%以上の配合であると退色抑制に好ましく、0.5質量%程度までは退色抑制効果の向上率が特に大きい。一方、キレート剤の配合量の上限は、例えば、2.0質量%である。
【0019】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウムなど)、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウムなど)、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩(エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウムなど)、ヒドロキシエタンジホスホン酸、及びヒドロキシエタンジホスホン酸塩(ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウムなど)から選ばれた一種又は二種以上を配合する。配合するキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸塩が好ましく、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸塩がより好ましい。
【0020】
エチレンジアミン四酢酸及びエチレンジアミン四酢酸塩から選ばれた一種又は二種以上を配合する場合、本実施形態の毛髪用組成物におけるエチレンジアミン四酢酸及びエチレンジアミン四酢酸塩の配合量は、0.2質量%以上が良く、0.4質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上が更に好ましい。0.2質量%以上の配合であると退色抑制に好ましく、0.5質量%程度までは退色抑制効果の向上率が特に大きい。一方、エチレンジアミン四酢酸及びエチレンジアミン四酢酸塩の配合量の上限は、例えば、2.0質量%である。
【0021】
ジエチレントリアミン五酢酸及びジエチレントリアミン五酢酸塩から選ばれた一種又は二種以上を配合する場合、本実施形態の毛髪用組成物におけるジエチレントリアミン五酢酸及びジエチレントリアミン五酢酸塩の配合量は、0.2質量%以上が良く、0.4質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上が更に好ましい。0.2質量%以上の配合であると退色抑制に好ましく、0.5質量%程度までは退色抑制効果の向上率が特に大きい。一方、ジエチレントリアミン五酢酸及びジエチレントリアミン五酢酸塩の配合量の上限は、例えば、2.0質量%である。
【0022】
ヒドロキシエタンジホスホン酸及びヒドロキシエタンジホスホン酸塩から選ばれた一種又は二種以上を配合する場合、本実施形態の毛髪用組成物におけるヒドロキシエタンジホスホン酸及びヒドロキシエタンジホスホン酸塩の配合量は、0.2質量%以上が良く、0.4質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上が更に好ましい。0.2質量%以上の配合であると退色抑制に好ましく、0.5質量%程度までは退色抑制効果の向上率が特に大きい。一方、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びヒドロキシエタンジホスホン酸塩の配合量の上限は、例えば、2.0質量%である。
【0023】
テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルを配合する場合、本実施形態の毛髪用組成物におけるテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの配合量は、0.05質量%以上が良く、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上が更に好ましい。0.05質量%以上の配合であると、退色抑制に好ましい。一方、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの配合量の上限は、低コスト化のために、例えば1.0質量%である。
【0024】
マルチトールを配合する場合、本実施形態の毛髪用組成物におけるマルチトールの配合量は、0.1質量%以上が良く、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましい。0.1質量%以上の配合であると、退色抑制に好ましい。一方、マルチトールの配合量の上限は、低コスト化のために、例えば1.0質量%である。
【0025】
ビワ葉エキスを配合する場合、本実施形態の毛髪用組成物におけるビワ葉エキスの配合量は、0.005質量%以上が良い。0.005質量%以上の配合であると、退色抑制に好ましい。一方、ビワ葉エキスの配合量の上限は、低コスト化のために、例えば0.5質量%である。
【0026】
アーモンドエキスを配合する場合、本実施形態の毛髪用組成物におけるアーモンドエキスの配合量は、0.005質量%以上が良い。0.005質量%以上の配合であると、退色抑制に好ましい。一方、アーモンドエキスの配合量の上限は、低コスト化のために、例えば0.5質量%である。
【0027】
チャ葉エキスを配合する場合、本実施形態の毛髪用組成物におけるチャ葉エキスの配合量は、0.005質量%以上が良い。0.005質量%以上の配合であると、退色抑制に好ましい。一方、チャ葉エキスの配合量の上限は、低コスト化のために、例えば0.5質量%である。
【0028】
(任意成分)
本実施形態の毛髪用組成物にキレート剤を配合する場合、キレート剤の溶剤として適する水を配合すると良い。このとき、本実施形態の毛髪用組成物における水の配合量は、当該組成物の用途などに応じて適宜設定されるべきであるが、
例えば3質量%以上99質量%以下である。
【0029】
また、公知の毛髪用組成物に配合されている成分を、本実施形態の毛髪用組成物の任意成分として配合しても良い。当該任意成分は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、紫外線吸収剤などである。
【0030】
(剤型)
本実施形態の毛髪用組成物を使用する際の剤型は、特に限定されず、例えば、液状、乳液状、ローション状、クリーム状、ワックス状、ゲル状、固形状、フォーム状(泡状)、霧状が挙げられる。また、エマルションである場合は、O/W型のエマルション、W/O型のエマルションのいずれであっても良い。
【0031】
(pH)
水が配合されている場合、本実施形態の毛髪用組成物のpHは、例えば4.0以上9.0以下である。
【0032】
(用途)
本実施形態の毛髪用組成物は、当該組成物を毛髪に塗布した後に洗い流さない態様で使用する用途、同組成物を毛髪に塗布した後に洗い流す態様で使用する用途のいずれであっても良い。本実施形態の毛髪用組成物が毛髪に塗布した後に洗い流さない態様で使用するものであれば、退色抑制成分が毛髪から洗い流されることがないので、好適である。この洗い流さない態様で使用する毛髪用組成物としては、例えば、スタリング剤、洗い流さないトリートメントが挙げられる。また、上記洗い流す態様で使用する本実施形態の毛髪用組成物としては、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、洗い流すトリートメント、多剤式トリートメントの一構成剤、パーマの前処理のためのトリートメント、パーマの後処理のためのトリートメント、染毛処理の前処理のためのトリートメント、染毛処理の後処理のためのトリートメント、永久染毛剤(酸化染毛剤、非酸化染毛剤)、半永久染毛料(ヘアマニキュア、酸性カラー、カラーリンス、カラートリートメント)が挙げられる。
【0033】
本実施形態の毛髪用組成物を使用する場合、加熱する前の毛髪に当該組成物を塗布し、当該毛髪を、水で洗い流さず又は洗い流してから加熱する。なお、加熱する前には、毛髪を乾燥させると良い。乾燥させない場合には、通常よりも多く含まれる水分が沸騰して、毛髪を傷めるおそれがある。
【0034】
上記加熱を行う際は、ヘアアイロン、ドライヤー、ホットカーラーなどの公知の器具で加熱すると良い。公知のヘアアイロンとしては、毛髪を巻き付ける棒状発熱体を有するカールアイロン(例えば、クレイツイオン社製「ion curl iron 19mm」)、対向する一対の板状発熱体を有するストレートアイロン(例えば、ハッコー社製「ADST Premium DS」、小泉成器社製「VSI−1009/PJ」)が挙げられる。
【0035】
上記加熱における加熱温度は、毛髪の温度ではなく、毛髪に当接する毛髪外温度を意味する。加熱温度の上限は、熱による毛髪の損傷を抑えるために、220℃が良く、200℃が好ましく、190℃がより好ましく、170℃が更に好ましく、150℃がより更に好ましい。一方の加熱温度の下限は、毛髪形状の形成を効率良く行うために、100℃が良く、120℃が好ましく、130℃がより好ましく、140℃が更に好ましい。なお、加熱温度が高いほど毛髪の退色が進む傾向があるが、その退色は、本実施形態の毛髪用組成物の使用によって抑制できる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0037】
実施例及び比較例の毛髪用組成物を製造し、これら毛髪用組成物による毛髪処理を行った。詳細は、次の通りである。
【0038】
(毛髪用組成物)
成分、成分配合量が下記表1〜4に記載の通りである実施例1a〜1d、実施例2a〜2c、実施例3a〜3f、実施例4a〜4fの液状毛髪用組成物を製造した(表1〜4における「残部」とは、全量を100質量%とする量である。)。
【0039】
(毛髪処理)
後述の染毛処理を行った毛束に、実施例の毛髪用組成物0.2gを塗布し、ドライヤーの温風で乾燥させた。その後、発熱体の設定温度を190℃としたカールアイロン(クレイツイオン社製「カールプロ SR(32mm))で毛束を挟み、3秒間加熱した。また、当該加熱は毛髪用組成物の塗布を行っていない毛束にも行い、これを比較例の染毛処理とした。
【0040】
上記毛髪処理で使用した毛束は、次の酸化染毛処理を行ったものである。市販の毛束(ビューラックス社製「BM−YK−A」:約1g、約10cmのヤク毛毛束)に対し、酸化染料が配合された酸化染毛剤(ミルボン社製「オルディーブ アディクシー 1剤 9− GP」と同社製「オルディーブ アディクシー オキシダン 6.0」との等量混合4g程度)を塗布した後、室温で20分間放置した。その後、温水で毛束から酸化染毛剤を洗い流し、毛束を櫛通しを行いながら温風で乾燥させた。以上をもって染毛処理とした。
【0041】
(退色抑制評価)
毛髪処理を行った毛束について、退色抑制評価を行った。この評価は、毛髪処理前後の毛束の色差計(コニカミノルタ社製「分光測色計 CM−5」)測定値の差(ΔE*ab)による評価、又は、評価者2名による目視評価によるものとした。目視評価では、各表における基準と比較して、評価者2名が基準よりも退色が抑制されていると評価した場合を「○」、評価者2名が基準と退色が同等と評価した場合を「―」、評価者2名が基準よりも退色が進行と評価した場合を「×」、と評価した。
【0042】
下表1〜4に、毛髪用組成物に配合した成分、配合量と共に、退色抑制評価の結果を示す。
【0043】
下記表1において、キレート剤を配合した実施例1a〜1dは、比較例1よりも色差(ΔE*ab)が小さく、染色された毛髪の退色が抑制されていたことを確認できる。なお、目視による退色抑制評価が比較対象と比べて優れる場合、色差も優れる(小さくなる)ことが確認されている。
【表1】
【0044】
下記表2において、実施例2a〜実施例2cの比較により、キレート剤を配合する場合、0.5質量%までの配合量の増量が退色抑制効果を顕著に高めることを確認できる。
【表2】
【0045】
下記表3において、退色抑制成分を配合した実施例3a〜3fは、比較例3よりも退色が抑制されていたことを確認できる。
【表3】
【0046】
下記表4において、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)と、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、マルチトール、又はビワ葉エキスとの併用が、退色抑制により効果的であることを確認できる。
【表4】