【実施例】
【0029】
以下、本発明について、実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
<1.エポキシエステル樹脂の調製(合成例1)>
【0030】
攪拌機、温度計、還流冷却器、脱水装置及び窒素ガス導入管を備えた反応容器にエポキシ樹脂(jER1001、三菱ケミカル社製)36質量部、大豆油 24質量部、酢酸ブチル 15質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル 12質量部を仕込み、窒素雰囲気下で加熱攪拌し、250℃で酸価が3mgKOH/g以下に達するまで反応を行った後、冷却した。次に、イプゾール100(炭化水素系溶剤混合物、出光興産社製)13質量部を仕込み、目的とするエポキシエステル樹脂溶液(B−1)(不揮発分60質量%)を得た。
【0031】
<2.変性エポキシ樹脂塗料(実施例1)の調製>
容器に、変性エポキシ樹脂溶液(A−1)17.5質量部、エポキシエステル樹脂溶液(B−1)5質量部、エポキシ樹脂溶液(E−1)4質量部、着色顔料6質量部、体質顔料(C−1a)31質量部、体質顔料(C−1b)7質量部、体質顔料(C−1c)5質量部、防錆顔料5質量部、沈降防止剤、消泡剤、表面調整剤 、キシレン14.5質量部、イプゾール100−2質量部を順次仕込み、公知の製造方法により、実施例1の変性エポキシ樹脂塗料1を調製した。
【0032】
<3.変性エポキシ樹脂塗料(実施例2〜4、比較例2,3)の調製>
実施例1の原料配合を、表1の配合に変更する以外は、実施例1と同様の製造方法により、実施例2〜4、比較例2、3の変性エポキシ樹脂塗料(塗料2〜4、6、7)を調製した。
【0033】
<4.エポキシ樹脂塗料(比較例1)の調製>
実施例1の原料配合を、表1の配合に変更する以外は、実施例1と同様の製造方法により、比較例1のエポキシ樹脂塗料(塗料5)を調製した。
【0034】
表1に記載の原料は次の通りである。
1)変性エポキシ樹脂溶液(A−1)(商品名:アラキード9212、荒川化学工業社製、不揮発分40質量%、溶剤成分:キシレン50質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20質量%、シクロヘキサノン20質量%、nブタノール10質量%)
2)変性エポキシ樹脂溶液(A−2)(商品名:KA−1439A、荒川化学工業社製、不揮発分40質量%、溶剤成分:キシレン50質量%、シクロヘキサノン50質量%)
3)変性エポキシ樹脂溶液(A−3)(商品名:KA−1433J、荒川化学工業社、不揮発分40質量%、溶剤成分:キシレン70質量%、シクロヘキサノン30質量%)
4)エポキシエステル樹脂溶液(B−1)(合成例1より調製)
5)エポキシ樹脂溶液(E−1)(三菱化学社製エポキシ樹脂jER834(重量平均分子量530)をキシレンで希釈したもの。キシレン含有量10質量%。)
6)着色顔料(商品名:TITONE R−5N、堺化学工業社製酸化チタン、吸油量20ml/100g)
7)体質顔料(C−1a)(商品名:TF重炭、丸尾カルシウム社製)、炭酸カルシウム、吸油量23ml/100g)、
8)体質顔料(C−1b)(商品名:沈降性硫酸バリウム、堺化学工業社製、吸油量20ml/100g)、
9)体質顔料(C−1c)(商品名:タルクS、日本滑石精錬社製、タルク、吸油量25ml/100g)
10)防錆顔料(商品名:ジンクホスフェートPZ20、SNCZ社製、リン酸亜鉛)
11)沈殿防止剤(商品名:ディスパロン4200−20、楠本化成社製、酸化ポリオレフィン沈殿防止剤、不揮発分20質量%)
12)消泡剤(商品名:フローレンAC300、共栄社化学社製、アクリル系消泡剤、不揮発分77質量%)
13)表面調整剤(商品名:KF−69、信越シリコーン社製、シリコーンオイル系表面調整剤、不揮発分1質量%)
【0035】
<5.塗膜の形成>
ノンクロメート処理を施した亜鉛めっき鋼板上に、上記調製した一液型エポキシ樹脂塗料組成物を、エアースプレーを用いて、乾燥膜厚が25〜35μmとなるように塗装し、80℃で30分間乾燥させて、試験塗膜を形成した。
【0036】
<6.性能評価>
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた樹脂組成物、試験塗膜について、塗装作業性、ウォータースポット性、防錆性、および耐ブロッキング性を次の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0037】
≪塗装作業性の評価≫
専用シンナー(酢酸エチル:トルエン:酢酸ブチル:イソブタノール=25:55:10:10(質量比)の混合溶剤)を用いて、良好に塗装できるよう粘度調整し、乾燥後膜厚が25〜35μmとなるようエアースプレーを用いて塗装を行った場合の塗装作業性を評価した。
○:不揮発分が55質量%を超える状態で粘度調整できた。
△:不揮発分が50〜55質量%の状態で粘度調整できた。
×:不揮発分が50質量%未満の状態で粘度調整できた。
【0038】
≪ウォータースポット性の評価≫
専用シンナーを用いて規定の希釈量に調整し、乾燥後膜厚が25〜35μmとなるようエアースプレーを用いて塗装を行った。塗装後、23℃, 50%RH環境下で5時間静置する。その後塗膜表面にスポイトを用いて1mlのイオン交換水を滴下し、蒸発を防ぐため50ml容量程度のポリカップをかぶせる。滴下して18時間経過後、水滴を除去し塗膜表面に白化等の変色跡が見られるかどうかを確認し、以下の基準で評価した。
○:ウォータースポット跡が全く残らない。
△:ウォータースポット跡がわずかに残る。
×:ウォータースポット跡が著しく残る。
【0039】
≪防錆性の評価≫
耐塩水性試験:試験塗板の表面にカッターナイフでクロスカットを入れた。該試験塗板を35℃で240時間塩水噴霧試験に供し、錆の発生を観察し、カット部からの異常幅を次の基準で評価した。
◎:クロスカット部以外に錆、膨れが認められず、錆はカット部より1mm未満。
○:クロスカット部以外に錆、膨れが認められず、錆はカット部より1〜3mm以内。
×:塗膜全体に錆・フクレが認められる。
【0040】
≪耐ブロッキング性≫
100×100×0.3mmのブリキ板2枚に、専用シンナーを用いて規定の希釈量に調整した塗料組成物を乾燥後膜厚が25〜35μmとなるようエアースプレーを用いて塗装を行った。23℃, 50%RH環境下で30分静置後、2枚の塗装面同士を重ね合わせ、均等になるようにして20kgの荷重(0.2kg/cm
2)を30分かけた。その後塗板同士をはがし、表面の塗膜の剥がれ、粘着の有無を以下の基準で評価した。
○:剥がれ、粘着なく塗膜表面に跡が残らない。
△:一部に塗膜の剥がれが認められる。
×:塗膜表面の大部分で塗膜の剥がれが認められる。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から明らかなように、本発明の一液型エポキシ樹脂塗料組成物では、ウォータースポットが発生しにくく、高濃度であっても塗装作業性に優れ、かつ高い防錆性を有することがわかる。