【実施例1】
【0018】
実施例1に係る摺動部品につき、
図1から
図8を参照して説明する。尚、本実施例においては、摺動部品がメカニカルシールである形態を例に挙げ説明する。また、メカニカルシールを構成する摺動部品の外径側を被密封液体側(高圧側)、内径側を大気側(漏れ側、低圧側)として説明する。尚、これに限らず、被密封液体側が低圧側で、漏れ側が高圧側であってもよいし、また被密封流体は、液体に限らず気体でもよく、例えば大気であっても構わない。また、説明の便宜上、図面において、摺動面に形成される溝等にドットを付すことがある。
【0019】
図1に示される一般産業機械用のメカニカルシールは、摺動面の被密封液体側から内径側に向かって漏れようとする被密封液体Fを密封するインサイド形のものであって、回転軸1にスリーブ2を介して回転軸1と一体的に回転可能な状態で設けられた円環状の摺動部品である回転密封環20と、被取付機器のハウジング4に固定されたシールカバー5に非回転状態且つ軸方向移動可能な状態で設けられた摺動部品としての円環状の静止密封環10と、から主に構成され、ベローズ7によって静止密封環10が軸方向に付勢されることにより、静止密封環10の摺動面11と回転密封環20の摺動面21とが互いに密接摺動するようになっている。尚、回転密封環20の摺動面21は平坦面を成すものでも、凹み部が設けられているものでもよい。
【0020】
静止密封環10及び回転密封環20は、代表的にはSiC(硬質材料)同士またはSiC(硬質材料)とカーボン(軟質材料)の組み合わせで形成されるが、これに限らず、摺動材料はメカニカルシール用摺動材料として使用されているものであれば適用可能である。尚、SiCとしては、ボロン、アルミニウム、カーボン等を焼結助剤とした焼結体をはじめ、成分、組成の異なる2種類以上の相からなる材料、例えば、黒鉛粒子の分散したSiC、SiCとSiからなる反応焼結SiC、SiC−TiC、SiC−TiN等があり、カーボンとしては、炭素質と黒鉛質の混合したカーボンをはじめ、樹脂成形カーボン、焼結カーボン等が利用できる。また、上記摺動材料以外では、金属材料、樹脂材料、表面改質材料(コーティング材料)、複合材料等も適用可能である。
【0021】
図2に示されるように、静止密封環10に対して回転密封環20が矢印で示すように相対摺動するようになっており、静止密封環10の摺動面11には複数の動圧発生機構14が静止密封環10の周方向に均等に配設されている。摺動面11の動圧発生機構14以外の部分、より詳しくは動圧発生機構14よりも大気側の部分、及び周方向に隣接する動圧発生機構14の間の部分等は、平端面を成すランド12となっている。
【0022】
次に、動圧発生機構14の概略について
図2〜
図4に基づいて説明する。尚、以下、静止密封環10及び回転密封環20が相対的に回転したときに、
図4の紙面左側を後述するレイリーステップ9A内を流れる被密封液体Fの下流側とし、
図4の紙面右側をレイリーステップ9A内を流れる被密封液体Fの上流側として説明する。
【0023】
動圧発生機構14は、被密封液体F側に連通する開口部15aを備え内径方向の大気側に延びる導入溝部15と、導入溝部15の内径側端部から下流側に向けて静止密封環10と同心状に周方向に延びる動圧発生溝部としてのレイリーステップ9Aと、を備えている。また、導入溝部15は内径側の端部が閉塞しており、その内径側端面がレイリーステップ9Aの内径側端面と連続している。すなわち、動圧発生機構14は、導入溝部15、レイリーステップ9Aにより、摺動面11を直交する方向から見て略L字形状を成している。また、本実施例1の導入溝部15は、静止密封環10の径方向に延設されている。
【0024】
また、レイリーステップ9Aは、下流側の端部に回転方向に対して傾斜する壁部9aが形成されている。尚、壁部9aは、回転方向に傾斜することに限られるものではなく、例えば回転方向に対して直交していてもよいし、階段状に形成されていてもよい。
【0025】
また、導入溝部15の深さ寸法L10は、レイリーステップ9Aの深さ寸法L20よりも深くなっている(L10>L20)。具体的には、本実施例1における導入溝部15の深さ寸法L10は、100μmに形成されており、レイリーステップ9Aの深さ寸法L20は、5μmに形成されている。すなわち、導入溝部15とレイリーステップ9Aとの間には、導入溝部15における下流側の側面とレイリーステップ9Aの底面とにより深さ方向の段差18bが形成されている。尚、導入溝部15の深さ寸法がレイリーステップ9Aの深さ寸法よりも深く形成されていれば、導入溝部15及びレイリーステップ9Aの深さ寸法は自由に変更でき、好ましくは寸法L10は寸法L20の5倍以上である。
【0026】
尚、レイリーステップ9Aの底面は平坦面をなしランド12に平行に形成されているが、平坦面に微細凹部を設けることやランド12に対して傾斜するように形成することを妨げない。更に、レイリーステップ9Aの周方向に延びる2つの円弧状の面はそれぞれレイリーステップ9Aの底面に直交している。また、導入溝部15の底面は一様深さの平坦面をなしランド12に平行に形成されているが、平坦面に微細凹部を設けることやランド12に対して傾斜するように形成することを妨げない。例えば、導入溝部15の底面は、被密封液体側である開口部15aから内径側であるレイリーステップ9Aに向けて浅くなるようにテーパ状若しくは段差状に構成されてもよい。更に、導入溝部15の開口部15aに延びる2つの平面はそれぞれ導入溝部15の底面に直交している。
【0027】
次いで、静止密封環10と回転密封環20との相対回転時の動作について説明する。まず、回転密封環20が回転していない一般産業機械の非稼動時には、摺動面11,21間には摺動面11,21よりも被密封液体側の被密封液体Fが毛細管現象によって僅かに進入しているとともに、動圧発生機構14には導入溝部15の開口部15aで被密封液体側から流入した被密封液体Fによって満たされている。尚、被密封液体Fは気体と比べ粘度が高いため、一般産業機械の停止時に動圧発生機構14から大気側に漏れ出す量は少ない。
【0028】
一般産業機械の停止時に動圧発生機構14に被密封液体Fが満たされている場合には、回転密封環20が静止密封環10に対して相対回転(
図2の黒矢印参照)すると、
図4に示されるように、被密封液体側の被密封液体Fが矢印H1に示すように導入溝部15から導入されるとともに、レイリーステップ9Aによって被密封液体Fが回転密封環20の回転方向に矢印H2に示すように追随移動するため、レイリーステップ9A内に動圧が発生するようになる。尚、レイリーステップ9Aの上流側に向かうにつれて漸次圧力が低くなっている。
【0029】
レイリーステップ9Aの下流側端部である壁部9a近傍が最も圧力が高くなり、摺動面11,21同士が離間するとともに、摺動面11に被密封液体Fの液膜が形成され、被密封液体Fは矢印H3に示すように壁部9a近傍からその周辺に流出する。これによれば、複数のレイリーステップ9A,9A,…の壁部9a,9a,…近傍で被密封液体Fの液膜が形成されるため、摺動面11,21間においていわゆる流体潤滑を成し、潤滑性が向上し、低摩擦化を実現している。このとき、上述したように特にレイリーステップ9Aの下流側で高圧となっているため、矢印H4に示すようにレイリーステップ9A近傍の被密封液体Fは、レイリーステップ9A内に略侵入しない。
【0030】
図5に示されるように、周方向に隣接した動圧発生機構14,14’(以下、説明の便宜上、相対回転方向の上流側を動圧発生機構14と称し、下流側を動圧発生機構14’と称する場合がある)の間のランド12には、被密封液体Fに含まれるコンタミCを摺動面の外部に排出するための排出溝35と、このコンタミCの周方向の進行を阻止する排出壁30とが設けられる。より詳しくは、上流側の動圧発生機構14のレイリーステップ9Aの下流側にランド12を介し排出溝35が凹設され、この排出溝35の周方向の下流側に排出壁30が連なり、更にこの排出壁30の下流側に動圧発生機構14’が設けられている。
【0031】
本実施例の排出溝35は、被密封液体F側に連通する開口部35aを備え内径方向に延設されており、内径側の端部は閉塞されている。本実施例の排出溝35の底面は、導入溝部15と同じ深さであって、一様深さの平坦面をなしランド12に平行に形成されているが、平坦面に微細凹部を設けることやランド12に対して傾斜するように形成することを妨げない。なお、排出溝35の底面は、必ずしも導入溝部15と同じ深さに形成されるものに限られず、導入溝部15よりも浅く形成されてもよいし、若しくは導入溝部15よりも深く形成されても構わない。
【0032】
排出壁30は、ランド12と面一の回転密封環20に対向する端面32を有するとともに、排出壁30の上流側を向く側面31が排出溝35の内側面を構成し、また排出壁30の下流側を向く側面13が動圧発生機構14’の導入溝部15の内側面を構成している。なお、排出壁30の端面32は、必ずしもランド12と面一に形成されるものに限られず、ランドよりも低い位置に形成されてもよい。
【0033】
次いで、動圧発生機構14に混入したコンタミCが排出される動作を説明する。
図5に示されるように、上流側の動圧発生機構14に被密封液体Fが満たされている状態で回転密封環20が静止密封環10に対して相対回転すると、動圧発生機構14内の被密封液体Fは周方向の下流側に移動する。このとき、動圧発生機構14に混入したコンタミCは、回転密封環20に対向する表面側の被密封液体Fの流れに乗じて、矢印H6に示すように、レイリーステップ9Aの壁部9aよりランド12を乗り越えるが、該レイリーステップ9Aよりも下流側に設けられた排出壁30により周方向の進行を阻まれて、下流側の動圧発生機構14’まで移動することなく、その手前の排出溝35内に進入する。更に排出溝35内のコンタミCは、矢印H6に示すように排出溝35内に順次流入する被密封液体Fの流れに加え、回転密封環20の回転で生じる遠心力が作用し、矢印H7に示すように、排出壁30の側面31を伝って被密封液体側方向に移動し、開口部35aを介し排出溝35の外部に排出される。
【0034】
このように、上流側の動圧発生機構14のレイリーステップ9Aと下流側の動圧発生機構14’の導入溝部15との間に、被密封液体側に連通して被密封液体Fを被密封液体側に排出する排出溝35が延設されていることで、摺動部品の相対回転時に、被密封液体Fに伴い上流側の導入溝部15を経てレイリーステップ9A内に混入したコンタミCが、その下流側の導入溝部15の手前に延設された排出壁30に阻まれて排出溝35内に進入し、この排出溝35から被密封液体側に排出し易くなるため、摺動面の周方向に複数並設された動圧発生機構14,14’に架けて進行しようとするコンタミCを除去し、摺動面の潤滑性能及びシール機能を良好に保つことができる。
また上記したように、上流側の動圧発生機構14と下流側の動圧発生機構14’との間の領域に、排出溝35及び排出壁30を設けることで、各導入溝部15の周方向の溝幅が狭く形成されることになり、各動圧発生機構14への被密封液体Fの流入量を必要最小限に抑えることができる。
【0035】
また、排出溝35は、下流側の導入溝部15に沿って並設されているため、レイリーステップ9Aから下流側の導入溝部15側に向かうコンタミCを、この導入溝部15に沿って並設された排出溝35に導入させることができる。
【0036】
また、本実施例では、摺動面の外径側に高圧の被密封液体Fが存在するインサイド形であり、導入溝部15は、被密封液体側且つ外径側に連通していることで、遠心力が外径方向に働くため、混入したコンタミCを除去しやすい。
【0037】
次に、本実施例1の変形例について説明する。
図6〜
図8に示されるように、変形例1〜3の排出溝35は、該排出溝35よりも下流側の動圧発生機構14’の導入溝部15と連通している。より詳しくは、
図6に示されるように、変形例1の排出溝35は、その被密封液体側の開口部35aが導入溝部15の開口部15aと連通溝26を介し周方向に連通しており、すなわち排出壁30Aの被密封液体側を迂回するように連通している。なお、連通溝26は、その被密封液体側が周方向に沿って開放されている。
【0038】
また、
図7に示されるように、変形例2の排出溝35は、その内径端が導入溝部15の内径端と連通溝27を介し周方向に連通しており、すなわち排出壁30Bの内径側を迂回するように連通している。
【0039】
更に、
図8に示されるように、変形例3の排出溝35は、その被密封液体側の開口部35aが導入溝部15の開口部15aと連通溝26を介し周方向に連通するとともに、その内径端が導入溝部15の内径端と連通溝27を介し周方向に連通しており、すなわち排出壁30Cの被密封液体側及び内径側を迂回するように連通している。
【0040】
このように、変形例1〜3の排出溝35は、排出壁30A,30B,30Cを迂回して下流側の導入溝部15に連通していることで、排出溝35内の被密封液体Fを下流側の導入溝部15に流入させ、該導入溝部15内に導入される被密封液体Fの流入量を増加させることができる。
【実施例2】
【0041】
次に、実施例2に係る摺動部品につき、
図9,10を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する説明を省略する。
【0042】
図9に示されるように、本実施例2の摺動部品の静止密封環101は、周方向に隣接した動圧発生機構14,14’の間のランド12には、被密封液体Fに含まれるコンタミCを摺動面の外部に排出するための排出溝135と、このコンタミCの周方向の進行を阻止する排出壁130とから成るユニットが、周方向に二組に設けられる。より詳しくは、上流側の動圧発生機構14のレイリーステップ9Aの下流側にランド12を介し、一組目の排出溝135及び排出壁130が連なり、この排出壁130の下流側に二組目の排出溝135’及び排出壁130’が連なり、この排出壁130’の下流側に動圧発生機構14’が設けられている。
【0043】
このように、排出溝135が、周方向に複数に設けられていることで、コンタミCの排出効果を高めることができる。なお、本実施例の排出溝135,135’は、互いに同じ深さ及び同じ周方向幅に形成されているが、これに限らず、排出溝は、例えば上流側の排出溝135が下流側の排出溝135’よりも深く、若しくは周方向に大きな幅に形成される等、互いに異なる深さ若しくは周方向幅に形成されてもよい。
【0044】
なお、本実施例では、排出溝135及び排出壁130が周方向に二組連設されているが、これに限らず排出溝135及び排出壁130が三組以上の所定組数で連設されてもよい。
【0045】
次に、実施例2の変形例について説明する。
図10に示されるように、実施例2の変形例は、上流側の排出溝135と、下流側の排出溝135’と、更に下流側の動圧発生機構14’の導入溝部15とが互いに連通している。より詳しくは、本変形例の上流側の排出溝135は、その被密封液体側の開口部が、下流側の排出溝135’及び導入溝部15と連通溝28を介し周方向に連通しており、すなわち複数の排出壁130A,130A’の被密封液体側を迂回するように連通している。
【0046】
このように、周方向に複数組に設けられた排出溝135及び排出壁130が、導入溝部15に連通していることで、複数の排出溝135,135’内の被密封液体Fを下流側の導入溝部15に流入させ、該導入溝部15内に導入される被密封液体Fの流入量を増加させることができるとともに、周方向に複数組に設けられた排出壁130A,130A’によって、コンタミCの排出効果を高めることができる。
【0047】
なお、これに限らず特に図示しないが、複数の排出溝及び導入溝は、これらの内径端に形成された連通溝を介し、排出壁の内径側を迂回するように連通してもよいし、或いは複数の排出溝及び導入溝は、その被密封液体側が周方向に連通するとともに、その内径端が周方向に連通しており、すなわち排出壁の被密封液体側及び内径側を迂回するように連通しても構わない。
【実施例3】
【0048】
次に、実施例3に係る摺動部品につき、
図11を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する説明を省略する。
【0049】
図11に示されるように、本実施例3の摺動部品の静止密封環102は、排出溝352に被密封液体側の連通溝26を介し連通した動圧発生機構142が、静止密封環102の周方向に亘り無端状に連通したものである。より詳しくは、動圧発生機構142は、導入溝部152の内径端部に連なり、レイリーステップ9Aよりも内径側で周方向に延びる周方向溝17に連通しており、更にこの周方向溝17は、当該動圧発生機構142に隣接する下流側の動圧発生機構142’の排出溝352に連通している。
【0050】
すなわち、排出溝352及び連通溝26を介し連通する導入溝部152は、周方向溝17を介し周方向に連通しており、要するに複数の動圧発生機構142が、周方向に亘り無端状に連通している。
【0051】
このように、導入溝部152は、この導入溝部152よりも下流側の排出溝352に連通していることで、導入溝部152に混入したコンタミCの流動性を高め、下流側の排出溝352からも排出できる。
【0052】
また、導入溝部152は、下流側の排出溝352を介し、この排出溝352よりも下流側の導入溝部152に連通していることで、導入溝部152内に導入される被密封液体Fの流入量を増加させることができる。
【0053】
更に、周方向に沿って複数並設された導入溝部152は、周方向溝17、排出溝352及び連通溝26からなる無端状に延設された溝を介し互いに連通しているため、導入溝部152内に混入したコンタミCの流動性を更に高め、周方向に複数並設されたいずれの導入溝部152からも排出しやすくなる。尚、周方向溝17、排出溝352及び連通溝26からなる溝が、必ずしも本実施例のように無端状に延設されたものに限られず、当該溝が周方向に端部を有して弧状に延設されてもよい。
【実施例4】
【0054】
次に、実施例4に係る摺動部品につき、
図12を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する説明を省略する。
【0055】
図12に示されるように、本実施例4の摺動部品の静止密封環103は、排出壁33の導入溝部153に面する側面が、導入溝部153の内径側から開口部153a側に向かって、漸次レイリーステップ9Aに向け傾斜する傾斜面34として構成されている。すなわち本実施例の開口部153aは上述した実施例1の導入溝部15の開口部15aよりも周方向の開口幅が狭く形成されている。このようにすることで、被密封液体Fは静圧により導入溝部153への流入を阻害されず、且つ回転による慣性で流動するコンタミCは導入溝部153内に流入し難い。
【0056】
また、本実施例4の周方向に並設された動圧発生機構143の導入溝部153及び排出溝353は、これら導入溝部153及び排出溝353よりも内径側にて無端状に形成された環状溝19によって、全周に亘り互いに連通して形成されている。
【0057】
このように、周方向に沿って複数並設された導入溝部153は、環状溝19からなる無端状に延設された溝を介し互いに連通しているため、導入溝部153内に混入したコンタミCの流動性を更に高め、周方向に複数並設されたいずれの導入溝部153からも排出しやすくなる。尚、必ずしも本実施例のように全周に亘り無端状に延設された環状溝19であるものに限られず、周方向に端部を有する弧状溝が延設されてもよい。
【0058】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0059】
例えば、前記実施例では、摺動部品として、一般産業機械用のメカニカルシールを例に説明したが、自動車やウォータポンプ用等の他のメカニカルシールであってもよい。また、メカニカルシールに限られず、すべり軸受などメカニカルシール以外の摺動部品であってもよい。
【0060】
また、前記実施例では、動圧発生機構を静止密封環にのみ設ける例について説明したが、動圧発生機構を回転密封環20にのみ設けてもよく、静止密封環と回転密封環の両方に設けてもよい。
【0061】
また、前記実施例では、摺動部品に同一形状の動圧発生機構が複数設けられる形態を例示したが、形状の異なる動圧発生機構が複数設けられていてもよい。また、動圧発生機構の間隔や数量などは適宜変更できる。