特開2020-154485(P2020-154485A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-154485(P2020-154485A)
(43)【公開日】2020年9月24日
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/046 20060101AFI20200828BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20200828BHJP
   G06F 3/0354 20130101ALI20200828BHJP
【FI】
   G06F3/046 Z
   G06F3/03 400A
   G06F3/0354 440
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-50561(P2019-50561)
(22)【出願日】2019年3月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】泉澤 武瑠
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087BC34
5B087CC32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】筐体の高さを低くして、使い勝手のよい角度情報の入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置1は、座標入力タブレット2の入力面2a上に載置されて、使用者による矢印RTの方向の回転操作により、その回転操作に応じた角度情報及び回転方向の情報の入力を行う。なお、入力装置1は、入力面2a上で、回転操作のみでなく、任意の方向にスライド移動させることができる。座標入力タブレット2には、入力面2aの下部に位置検出センサ210を備える位置検出装置200が設けられている。入力面2aは、位置検出センサ210の位置検出領域に対応した大きさを有しており、位置検出センサ210において、指示位置入力を受ける入力面となっている。位置検出装置200は、電磁誘導結合により、入力装置1が備える位置指示部21及び22と信号のインタラクションを行うことで、位置指示部21及び22で指示された位置を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出センサと信号のインタラクションを行うことで、前記位置検出センサ上における位置を指示する位置指示部を筐体内に備え、
前記位置指示部は、
芯体と、
前記インタラクションを行うためのインタラクション部と、
前記芯体の先端部に印加される圧力を検出するための筆圧検出部と、
前記インタラクション部を通じて前記位置検出センサとインタラクションする信号を形成する回路部と、
を備え、
前記筐体は、前記位置検出センサと前記インタラクションをする際に、前記位置検出センサの入力面と対向する面を備え、前記位置検出センサの入力面と対向する前記面上に、前記筆圧検出部と前記回路部が配設されると共に、前記筆圧検出部は、前記位置検出センサの入力面と対向する前記面に対して直交する方向の圧力を検出するように配設されており、
前記芯体及び前記インタラクション部は、前記位置検出センサの入力面と対向する前記面に対して前記芯体の軸心方向と直交するような状態で、且つ、前記芯体の先端に印加される圧力が前記筆圧検出部に伝達される状態で、配設されている
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記位置検出センサの入力面と対向する前記面に直交する力が外部から前記筐体に印加されたときに、前記位置指示部の前記芯体の先端部に圧力が印加され、前記印加された圧力が前記筆圧検出部で検出されるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記位置検出センサの入力面と対向する前記面に直交する力が外部から前記筐体に印加されたときに、
前記位置検出センサの入力面と対向する前記面と前記位置検出センサの入力面との距離を、弾性的に短く変位させるための弾性部材を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記位置検出センサの入力面と対向する前記面には、2個の前記位置指示部が、所定距離離れた位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記2個の前記位置指示部は、前記位置検出センサとインタラクションする信号の周波数が異なる
ことを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記筐体は、回転部と台座部とからなり、
前記回転部は、円筒状部の少なくとも一方の開口側が、前記位置検出センサの入力面と対向する円形の前記面を備える面部により閉塞された形状を備え、
前記台座部は、前記回転部を、前記回転部の前記円形の前記面が、その中心位置を回転軸として回転可能の状態で支持する構成を備えると共に、前記円形の前記面に対向する面を備え、前記円形の前記面に対向する前記台座部の前記面上に、前記位置検出センサが配設されており、
前記位置指示部は、前記回転部の前記位置検出センサの入力面と対向する円形の前記面の中心位置からずれた位置に配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項7】
前記台座部には、前記位置検出センサで検出された前記位置指示部による指示位置を、外部に無線送信する無線送信部が設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記台座部には、外部から電源電圧を受けるための端子が設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
【請求項9】
前記インタラクション部は、前記芯体を挿通可能とする貫通孔を備える磁性体コアに巻回されたコイルと、前記回路部に配設されている第1のコンデンサを含む共振回路からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項10】
前記筐体には、外部から操作可能な1以上のスイッチが設けられており、
前記スイッチは、前記回路部に配設されている第2のコンデンサを前記共振回路に対して接続するか否かを切替制御する
ことを特徴とする請求項11に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転方向や回転角度を入力する場合に使用して好適な入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、位置検出センサの入力面上で位置指示部で移動指示することで、角度情報を入力することができるようにする角度情報入力装置として、例えば特許文献1(特開平10−320112号公報)に開示されているものが知られている。
【0003】
この特許文献1に開示されている角度情報入力装置は、回転部が、本体部の円柱状の凹状部分に収納されている。回転部は、本体部と、中心軸を中心として同心状に構成されていて、本体部の凹状部分において、前記中心軸を中心として回転するように構成されている。そして、回転部の底部に位置指示部が設けられている。
【0004】
この角度情報入力装置を、座標入力タブレットの位置検出センサの入力面に、回転部の回転軸が前記入力面に対して直交する方向となるような状態で載置して、回転部を回転される。すると、回転部の回転に伴い、位置指示部が回転するので、位置検出センサでは、その回転の軌跡を角度情報として検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−320112号公報
【特許文献2】特開2014−206775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の角度情報入力装置で用いられている位置指示部は、平面コイルとされている。このため、位置指示部で指示される位置が、点的な位置ではなく、平面コイルの面積に応じたものとなり、精度が粗いという問題がある。
【0007】
ところで、最近は、電子ペン用の複数の部品、例えば芯体、筆圧検出部、回路基板を含む回路部、が軸心方向に並べられてユニット化された電子ペンモジュールが提案されている(例えば特許文献2(特開2014−206775号公報)参照)。
【0008】
そこで、位置指示部として、この電子ペンモジュールを用いることで、位置検出センサの入力面での指示位置を精細にすることが考えられる。その場合には、電子ペンモジュールは、その軸心方向が、位置検出センサの入力面に対して直交するように設けられる。
【0009】
このため、角度情報入力装置としては、位置検出センサの入力面に対して直交する方向の高さが、電子ペンモジュールの軸心方向の長さとなる。しかしながら、上述の電子ペンモジュールは、電子ペン用の複数の部品が軸心方向に並べられてユニット化されたものであるため、軸心方向の長さが長いため、角度情報入力装置の筐体(ケース)の高さが大きくなって、使い勝手が悪いという問題がある。
【0010】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、
位置検出センサと信号のインタラクションを行うことで、前記位置検出センサ上における位置を指示する位置指示部を筐体内に備え、
前記位置指示部は、
芯体と、
前記インタラクションを行うためのインタラクション部と、
前記芯体の先端部に印加される圧力を検出するための筆圧検出部と、
前記インタラクション部を通じて前記位置検出センサとインタラクションする信号を形成する回路部と、
を備え、
前記筐体は、前記位置検出センサと前記インタラクションをする際に、前記位置検出センサの入力面と対向する面を備え、前記位置検出センサの入力面と対向する前記面上に、前記筆圧検出部と前記回路部が配設されると共に、前記筆圧検出部は、前記位置検出センサの入力面と対向する前記面に対して直交する方向の圧力を検出するように配設されており、
前記芯体及び前記インタラクション部は、前記位置検出センサの入力面と対向する前記面に対して前記芯体の軸心方向と直交するような状態で、且つ、前記芯体の先端に印加される圧力が前記筆圧検出部に伝達される状態で、配設されている
ことを特徴とする入力装置を提供する。
【0012】
上述の構成の入力装置においては、位置検出センサの入力面と対向する筐体の面上に、筆圧検出部と回路部が配設されると共に、筆圧検出部は、位置検出センサの入力面と対向する面に対して直交する方向の圧力を検出するように配設される。そして、芯体及インタラクション部は、位置検出センサの入力面と対向する面に対して芯体の軸心方向と直交するような状態で、且つ、芯体の先端に印加される圧力が筆圧検出部に伝達される状態で、配設されている。
【0013】
したがって、位置検出センサの入力面に対して、入力装置の筐体の高さ方向の長さとしては、筆圧検出部とプリント基板との長さ部分は考慮に入れる必要がなく、芯体とインタラクション部のみの長さとなる。これにより、入力装置の筐体の高さは、低いものとすることができ、使い勝手のよい角度情報の入力装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明による入力装置の第1の実施形態の概要を示す図である。
図2】この発明による入力装置の第1の実施形態の構成例を説明するための図である。
図3】この発明による入力装置の第1の実施形態の構成例の要部を説明する他Mの図である。
図4】この発明による入力装置の第1の実施形態の電子回路と、位置検出回路の構成例を説明するための図である。
図5】この発明による入力装置の第2の実施形態の構成例を説明するための図である。
図6】この発明による入力装置の第2の実施形態の電子回路の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明による入力装置の幾つかの実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の入力装置1の概要及びその使用態様を説明するための図である。また、図2(A)は、第1の実施形態の入力装置1を上面方向から見た図、図2(B)は、第1の実施形態の入力装置1のケース(筐体)10を断面とした状態の図である。
【0017】
この実施形態の入力装置1は、座標入力タブレット2の入力面2a上に載置されて、使用者により矢印RTの方向の回転操作をされることで、その回転操作に応じた角度情報及び回転方向の情報の入力を行う。なお、入力装置1は、入力面2a上で、回転操作のみでなく、任意の方向にスライド移動させることができる。
【0018】
座標入力タブレット2には、入力面2aの下部に位置検出センサ210を備える位置検出装置200が設けられている。入力面2aは、位置検出センサ210の位置検出領域に対応した大きさを有しており、位置検出センサ210において、指示位置入力を受ける入力面となっている。位置検出装置200は、この例においては、電磁誘導結合により、入力装置1が備える位置指示部21及び22と信号のインタラクションを行うことで、位置指示部21及び22で指示された位置を検出する。
【0019】
入力装置1のケース10は、この例では、図1に示すように、外観が円柱状形状を有し、図2(B)に示すように、ケース10の内部に円柱状の空間10aを備える。そして、図1及び図2(A)及び(B)に示すように、ケース10の円柱状の空間10a内には、2個の位置指示部21,22が設けられる。
【0020】
この実施形態の入力装置1のケース10は、この例では、樹脂で構成されており、図2(B)に示すように、上ケース11と下ケース12とからなる。上ケース11は、円筒状壁部111の一方の開口側を上板部112で閉塞した形状を備えている。また、下ケース12も同様に、円筒状壁部121の一方の開口側を底板部122で閉塞した形状を備えている。
【0021】
そして、この例においては、上ケース11の円筒状壁部111の内径は、下ケース12の円筒状壁部121の外径よりも若干大きい径とされている。また、円筒状壁部111及び121は、軸心方向の長さ(高さ)が、この例では等しくされている。また、下ケース12の底板部122には、上ケース11の円筒状壁部112の壁の厚さ分だけ円筒状壁部121よりも外側に張り出す鍔部122aが形成されている。
【0022】
したがって、上ケース11の円筒状壁部111の内側に、下ケース12の円筒状壁部121が入るようにして、上ケース11と下ケース12とが結合され、この結合により、円筒状壁部121と、上板部112と、底板部122とで囲まれる空間として、ケース10の円柱状空間10aが形成される。この場合に、ケース10を回転させる場合に、上ケース11が下ケース12に対して回転してもよいし、下ケースと一体的に回転してもよい。
【0023】
この例においては、上ケース11の円筒状壁部111の開口側の端縁にはクッション部材11CSが被着されていると共に、下ケース12の円筒状壁部121の開口側の端縁には、クッション部材12CSが被着されている。このクッション部材11CS及び12CSの存在により、例えば上ケース11を、その上板部112に直交する方向(ケース10の軸心方向)に押下したときに、上ケース11を下ケース12に対して軸心方向に変位させることができる。クッション部材11CS及び12CSの一方のみを設けるようにしてもよい。
【0024】
入力装置1を図1に示すように座標入力タブレット2の入力面2a上に載置して使用する時には、上ケース11の上板部112は、座標入力タブレット2の入力面2aとは、円柱状の空間10aを介して離間して対向する状態となる。この上ケース11の入力面2a側となる円形の面112aに、位置指示部21及び22は取り付けられる。
【0025】
この例の位置指示部21及び22は、それぞれ、芯体と、位置検出センサ210とインタラクションを行うためのインタラクション部と、芯体の先端部に印加される圧力を検出するための筆圧検出部と、インタラクション部を通じて位置検出センサとインタラクションする信号を形成する回路部とを備える。
【0026】
位置指示部21及び22のそれぞれは、上ケース11の上板部112の面112a上に配設される平面配設部21A及び22Aと、面112aに対して直交する方向に配設される直交配設部21B及び22Bとからなる。平面配設部21A及び22Aは、回路部と筆圧検出部とを備えてなる。また、直交配設部21B及び22Bは、芯体とインタラクション部とを備えてなる。
【0027】
この例では、位置指示部21と位置指示部22とでは、位置検出センサ210との間でやり取りする信号の周波数は異なる。しかし、位置指示部21及び22の平面配設部21A及び22A、また、直交配設部21B及び22Bは、構造的には同一の構成を備えている。そこで、以下の説明では、位置指示部21を代表として、その構成例について説明する。
【0028】
図3(A)は、平面配設部21Aの構成例を説明するための図である。また、図3(B)は、位置指示部21を、上ケース11の上板部112の面112aに取り付けた状態を、面112aに沿う方向から見た図であり、平面配設部21Aと直交配設部21Bを結合した構成を説明するための断面図である。なお、図3(B)では、説明の便宜のために一部は断面とせずに示した。
【0029】
平面配設部21Aは、図3(A)に示すような細長形状のフレキシブル基板30が用いられて構成されている。フレキシブル基板30は、この例では、その長手方向に沿って、位置検出センサ210とインタラクションする信号を生成するための回路(この例では共振回路)を構成する回路素子を含む回路載置部31と、筆圧検出部40を載置する筆圧検出部載置部32とを備える。
【0030】
回路載置部31には、フレキシブル基板30の一面(表面)30a上に、直交配設部21Bに設けられる後述するコイル51と並列に接続されて共振回路を構成するキャパシタ33a,33b,33cが設けられていると共に、当該共振回路を構成するようにするための導体パターン34a,34b等からなる回路用の導体パターンが設けられている。
【0031】
また、回路載置部31には、図3(A)に示すように、コイル51の一端及び他端が半田付けされて接続されて、回路部のキャパシタ33a,33b,33cと共に共振回路を構成するためのランド部35a及び35bも形成されている。
【0032】
フレキシブル基板30の筆圧検出部載置部32の部分は、この例では、筆圧検出部40の形状及び大きさに合わせた形状及び大きさとされている。
【0033】
フレキシブル基板30の回路載置部31と筆圧検出部載置部32との連結部分には、筆圧検出部載置部32に載置されている筆圧検出部40と、回路載置部31に形成される回路部とを接続するための導体パターン34c及び34dが形成されている。
【0034】
この例の筆圧検出部40は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術により製作されている半導体デバイスとして構成される圧力感知チップを、例えば直方体の箱型のパッケージ内に封止して構成した単一部品からなる。なお、この筆圧検出部40は、例えば特開2013−161307号公報に開示されているような筆圧に応じて静電容量を可変とするMEMS(Micro Elector Mechanical Systems)素子からなる可変容量キャパシタとして構成され半導体デバイスを用いて構成することができるので、ここでは、その詳細な構成は省略する。
【0035】
この筆圧検出部40は、圧力受付側を上面として、当該上面に対向する裏面側を、フレキシブル基板30の筆圧検出部載置部32に被着して固定するようにする。この場合に、筆圧検出部40の裏面には、筆圧検出部40で構成される可変容量キャパシタの一方の電極及び他方の電極と接続されている2個のリード端子が形成されている。
【0036】
筆圧検出部40は、その2個のリード端子と、筆圧検出部載置部32に延伸されている導体パターン34c及び34dとがそれぞれ電気的に接続されるようにして、フレキシブル基板30の筆圧検出部載置部32に載置され、固定される。筆圧検出部40で構成される可変容量キャパシタ40Cは、共振回路の一部を構成する。
【0037】
このようにして、筆圧検出部40が筆圧検出部載置部32上に載置されて電気的に接続されて固定されたフレキシブル基板30は、その裏面側が、図3(B)に示すように、上ケース11の上板部112の面112aに、例えば両面テープなどの接着材により貼り付けられて装着される。したがって、筆圧検出部40は、面112aに対して直交する方向の圧力を検出する状態となる。
【0038】
次に、直交配設部21Bの構成について説明する。直交配設部21Bは、図3(B)に示すように、コイル51が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア52が、ホルダー部53に保持されると共に、フェライトコア52を貫通して、芯体54が挿通可能となるように構成されている。
【0039】
この例のフェライトコア52は、軸心方向の貫通孔52aを備え、この貫通孔52aにフェライトコア52の補強用の芯パイプ部材55が挿通され、接着材により固定されている。芯パイプ部材55は、この例では、金属で構成されており、フェライトコア52の軸心方向の長さよりも長いものとされており、フェライトコア52の貫通孔52aよりも芯体54の先端側及び芯体54の先端側とは反対側とに飛び出している突出部55a及び55bを備える。
【0040】
芯体54は、この例では比較的硬質で弾性を有する樹脂材料、例えばPOM(Polyoxymethylene)からなる棒状の部材である。芯体54は、芯パイプ部材55の貫通孔55c内を軸芯方向に移動可能に挿通することができるように構成されている。
【0041】
ホルダー部53は、例えば樹脂材料で構成され、フェライトコア52と嵌合する筒状部531を備えると共に、平面配設部21Aと結合して、上ケース11の上板部112の面112aに、直交配設部21Bを、例えば接着して固定させるための固定用鍔部532を備える。固定用鍔部532は、図3(B)に示すように、平面配設部21Aの筆圧検出部載置部32側の部分を収納するようにする凹部532aを備えている。
【0042】
ホルダー部53の筒状部531は、フェライトコア52の径とほぼ同径の嵌合凹部531aと、嵌合凹部531aを貫通し、内径が芯パイプ部材55の芯体54の先端側とは反対側の突出部55bの外径とほぼ同径の貫通孔531bとを備える。貫通孔531bの、固定用鍔部532の凹部532aにおいては、当該固定用鍔部532を貫通して開口となっている。
【0043】
そして、フェライトコア52が、ホルダー部53の筒状部531の嵌合凹部531aに嵌合し、芯パイプ部材55のペン先側とは反対側の突出部55bが貫通孔531bに嵌合する状態で、フェライトコア52が、ホルダー部53の筒状部531に結合される。筒状部531の貫通孔531bには、フェライトコア52及び芯パイプ部材55との結合に先立ち、圧力伝達部材56と、コイルばね57とが配設されている。圧力伝達部材56には、芯体54の先端側とは反対側の端部が嵌合される嵌合凹部(図示は省略)が形成されている。そして、芯体54を、芯パイプ部材55の貫通孔55cを貫通させて、芯体54の先端側とは反対側の端部をコイルばね57を通した後、圧力伝達部材56の嵌合凹部に嵌合させる。なお、芯体54は、先端部54aを引っ張ることにより、圧力伝達部材56との嵌合から離脱させて引き抜くことが可能である。
【0044】
以上のように構成した直交配設部21Bは、その軸心方向が、上ケース11の上板部112に直交する状態で、上ケース11の上板部112の面112aに、ホルダー部53の鍔部532の底面側が、例えば接着されて固定される。この場合に、ホルダー部53の鍔部532の凹部532aに、平面配設部21Aの筆圧検出部載置部32側が収納され、且つ、ホルダー部53の筒状部531の貫通孔531bの開口が、丁度、筆圧検出部40の圧力感知チップの真上に来るようにされる。そして、直交配設部21Bのコイル51の両端が、それぞれ、平面配設部21Aの回路載置部31のランド部35a及び35bに半田付けされる。
【0045】
これにより、平面配設部21Aと、直交配設部21Bとが結合され、位置指示部21が上ケース11の上板部112の面112aに固定されて取り付けられる。この状態では、コイルばね57の弾性により、芯体54の端部が嵌合されている圧力伝達部材56が常に筆圧検出部40の圧力受付部に当接するような状態となる。
【0046】
直交配設部21Bの上板部112の面112aからの軸心方向の長さ(高さ)は、上ケース11の上板部112の面112aと、下ケース12の底板部122の内側面までの距離とほぼ等しくなるように構成されている。
【0047】
したがって、使用者が上ケース11を、その上板部112の面112aに直交する方向に押圧すると、クッション部材11CS及び12CSの弾性力に抗して、面112aが下ケース12の底板部122に対して近づくように変位するので、芯体54の先端部54aが下ケース12の底板部122に当接して圧力を受ける状態となる。このときの筆圧の情報が、共振回路の共振周波数の変移として位置指示部21から位置検出センサ210を通じて位置検出装置200に送信される。位置検出装置200では、この位置指示部21から受信した筆圧の情報が、所定の値以上のときに、入力装置1が使用者により入力操作されたと判断して、位置指示部21により指示された位置を検出するようにする。
【0048】
位置指示部22も同様にして、入力装置1のケース10の上ケース11の上板部112の面112aに取り付けられる。この場合に、位置指示部22は、その直交配設部22Bの軸心中心位置が円形の面112aの中心位置となるように取り付けられ、位置指示部22は、その直交配設部22Bの軸心中心位置が円形の面部112aの中心位置からずれた位置となるように取り付けられる。なお、位置指示部22の直交配設部22Bの軸心中心位置が、円形の面112aの中心位置から外れた位置となっていてもよい。
【0049】
したがって、使用者が、図1に示したようにして、座標入力タブレット2の入力面2a上に入力装置1を載置して回転させると、位置指示部21と位置指示部22との指示位置から、その回転方向及び回転角度が位置検出装置200で検出することができる。この場合に、回転角度は、位置指示部21が指示する位置と、位置指示部22が指示する位置とを結ぶ線分がなす角度として検出することができるので、入力装置1を入力面2a上において固定した位置で回転操作する必要はない。
【0050】
[位置検出装置200における角度情報の検出のための回路構成]
図4は、入力装置1の位置指示部21及び22の等価回路と、位置検出装置200の電子回路構成例を示す図である。
【0051】
入力装置1の位置指示部21及び22は、図4に示すように、共に、コイル51と、キャパシタ33a,33b,33c等からなる共振用キャパシタCrと、筆圧検出部40で構成される可変容量キャパシタ40Cとからなる共振回路RC1及びRC2を備えており、共振回路RC1及びRC2が位置検出センサ210と電磁誘導結合する。この場合に、共振回路RC1と共振回路RC2とは、共振周波数が異なっている。
【0052】
位置検出装置200の位置検出センサ210は、X軸方向ループコイル群211と、Y軸方向ループコイル群212とが積層された位置検出コイルにより構成されている。位置検出装置200は、位置検出センサ210を通じて、入力装置1の位置指示部21及び22の共振回路RC1及び共振回路RC2に対して電磁結合により信号を送信する。入力装置1の位置指示部21及び22の共振回路RC1及び共振回路RC2は、受信した信号を、位置検出センサ210に帰還する。
【0053】
そして、位置検出装置200では、位置検出センサ210に対して選択回路213を介して送受信処理回路220が接続されている。選択回路213は、ループコイル群211,212のうちの一のループコイルを順次選択して、共振回路RC1及びRC2に対して信号を送信させると共に、共振回路RC1及びRC2から帰還される信号を受信させる。
【0054】
送受信処理回路220は、位置指示部21の共振回路RC1用の第1の送受信処理回路221と、位置指示部22の共振回路RC2用の第2の送受信処理回路222と、制御回路223とを備える。この例では、制御回路223は、第1の送受信処理回路221と、第2の送受信処理回路222とを、所定の期間ごとに、交互に動作させるように時分割制御する。
【0055】
第1の送受信処理回路221及び第2の送受信処理回路222は、それぞれ、制御回路223の制御に基づいて、共振回路RC1用の周波数の交流信号及び共振回路RC2用の周波数の交流信号を選択回路213を通じて位置検出センサ210から送信し、共振回路RC1及びRC2により帰還される信号を電磁結合により受信する。そして、受信した帰還信号が検出される位置検出センサ210上の位置から、位置指示部21及び22により指示された位置検出センサ210上の位置を検出すると共に、受信した信号の位相変化を検出することより共振回路RC1及び共振回路RC2の共振周波数の変化を検出して、位置指示部21及び22の芯体54に印加された筆圧を検出するようにする。
【0056】
なお、第1の送受信処理回路221及び第2の送受信処理回路222は、受信信号については、それぞれの共振周波数に応じた周波数成分を抽出するための帯域制限フィルタを備えている。
【0057】
前述したように、位置検出装置200の制御回路223は、位置指示部21及び22の芯体54に印加された筆圧を検出し、その検出した筆圧検出が所定の値以上となった時に、使用者により入力装置1が操作されたと判断する。そして、制御回路223は、位置指示部21及び22の指示位置に基づいて、入力装置1により入力された角度情報を検出するようにする。
【0058】
なお、第1の送受信処理回路221と第2の送受信処理回路222とを設ける代わりに、1個の送受信処理回路を設け、当該1個の送受信処理回路が備える、送信信号の発振器と、共振回路RC1及び共振回路RC2の共振周波数用の2個の帯域制限フィルタとを、位置指示部21に対する期間と位置指示部22に対する期間とで、時分割で切り替えるように構成してもよい。
【0059】
以上説明した入力装置1においては、位置指示部21及び22は、平面配設部21A及び22Aと、直交配設部21B及び22Bを備え、高さ方向の寸法は、直交配設部21B及び22Bの長さとなるので、入力装置1のケース10の高さを、低くすることができ、使い勝手の良い入力装置が実現できる。
【0060】
[第2の実施形態]
図5は、この発明による入力装置の第2の実施形態の構成例を説明するための図であり、図5(A)は、第2の実施形態の入力装置1Aを上面方向から見た図、図5(B)は、第2の実施形態の入力装置1Aのケース10Aを断面とした状態の図である。第1の実施形態の入力装置1は、座標入力タブレット上で角度情報の入力操作を行うようにする場合であった。これに対して、第2の実施形態の入力装置1Aは、自身で角度情報を生成し、生成した角度情報を外部に送出することができるように構成した例である。
【0061】
この第2の例の入力装置1Aのケース10Aも、外観が円柱状形状を有し、図2(B)に示すように、ケース10Aの内部に円柱状の空間10aを備える。そして、図2(A)及び(B)に示すように、ケース10Aの円柱状の空間10Aa内には、1個の位置指示部23が設けられる。
【0062】
この第2の実施形態の入力装置1Aのケース10Aは、この例では、樹脂で構成されており、図5(B)に示すように、上ケース11Aと下ケース12Aとからなる。上ケース11A及び下ケース12Aは、第1の実施形態の入力装置1のケース10の上ケース11及び下ケース12と同様に、円筒状壁部111Aの一方の開口側を上板部112Aで閉塞した形状及び円筒状壁部121Aの一方の開口側を底板部122Aで閉塞した形状を備えている。なお、11ACS及び12ACSは、クッション部材である。
【0063】
そして、この第2の実施形態では、上ケース11Aは、下ケース12Aに対して、容易に回転することが可能なように構成されている。例えば、上ケース11Aの壁部111Aの内壁面と、下ケース12Aの壁部121Aの外壁面とは、の間は、若干隙間が空くように構成されている。あるいは、壁部111Aの内壁面と壁部121Aの外壁面とには、互いの摩擦係数が小さくなるようなコーティングが施されている。
【0064】
そして、下ケース12Aの底板部122Aの外側面には、図5(B)に示すように、摩擦係数が大きい部材13が貼り付けられており、下ケース12Aは、上ケース11Aを回転したときに、回転せずに、係止するように構成されている。
【0065】
位置指示部23は、第1の実施形態の位置指示部21及び22と同様に、平面配設部23A及び直交配設部23Bとを備える。これら平面配設部23A及び直交配設部23Bの構成は、第1の実施形態の位置指示部21及び22の平面配設部21A及び22A、直交配設部21B及び22Bと同様であるので、説明は省略する。
【0066】
位置指示部23は、図5(A)に示すように、上板部112Aの面112Aaの中心位置Ocからずれた位置が、直交配設部23Bの軸心中心位置となるように取り付けられいる。そして、この第2の実施形態では、上ケース11Aの上板部112Aの表面112Abには、この例では、2個のボタンスイッチ14と15とが配設されている。これらボタンスイッチ14及び15は、平面配設部23Aを構成するフレキシブル基板上には配設されているキャパシタを、共振回路に対して接続するか否かを切り替えて、共振周波数を切り替えるためのものである。
【0067】
そして、この第2の実施形態では、下ケース12Aの底板部122Aの、上板部112Aの面112Aaに対向する面122Ab上には、位置検出センサ16が配設される。この位置検出センサ16は、円形の検出領域を備えるが、上述した位置検出センサ210と同様にループコイル群が配設されたものである。
【0068】
そして、下ケース12Aの底板部122Aの面122Abと反対側の面の下には、位置検出センサ16と電気的に接続されている位置検出回路17が設けられている。また、下ケース12Aの底板部122Aの側面部には、位置検出センサ16及び位置検出回路17用の電源電圧を外部から得るための端子、この例では、USB(Universal Serial Bus)ジャック18が設けられている。
【0069】
この第2の実施形態の入力装置1Aでは、上述したように、下ケース12Aが係止している状態で、上ケース11Aを下ケース12Aに対して回転させることができる。この上ケース11Aの回転により、位置指示部23の芯体54による指示位置は、位置検出センサ16上で、上ケース11Aの上板部112の中心位置Ocを中心とした円弧を描くように移動する。位置検出センサ16を通じて、位置検出回路17は、この回転移動方向及び回転移動距離を検出する。
【0070】
図6は、この第2の実施形態の入力装置1Aの位置指示部23の平面配設部23Aに設けられるフレキシブル基板で形成される共振回路RCAの構成例と、位置検出センサ16並びに位置検出回路17の構成例を示す図である。
【0071】
入力装置1Aにおいては、図6に示すように、位置指示部23の直交配設部23Bに設けられているコイル51(図3(B)参照)と、平面配設部23Aに配設されている共振用キャパシタCr及び筆圧検出部40で構成される可変容量キャパシタ40Cとにより並列共振回路RCAが形成される。この第2の実施形態では、更に、この共振回路RCAには、平面配設部23Aに設けられているキャパシタC1と、ボタンスイッチ14との直列回路が並列に接続されると共に、平面配設部23Aに設けられているキャパシタC2と、ボタンスイッチ15との直列回路が並列に接続される。
【0072】
したがって、この第2の実施形態の入力装置1Aでは、位置指示部23の共振回路RCAの共振周波数を、ボタンスイッチ14及びボタンスイッチ15のオン、オフ操作に応じて変化させることができる。
【0073】
位置検出回路17は、図6に示すように、送受信処理回路171と、制御回路172と、無線通信部173とからなっている。この例では、USBジャック18を通じて送られてくる電圧が電源回路180に供給されて、電源電圧が生成され、位置検出センサ16及び位置検出回路17の各部に供給される。
【0074】
位置検出センサ16は、ループコイルの選択回路(図4の選択回路213と同様)を含み、送受信処理回路171に接続されている。送受信処理回路171は、第1の実施形態における送受信処理回路と同様に、位置指示部23による指示位置を検出すると共に、筆圧を検出する回路である。
【0075】
制御回路172は、送受信処理回路171からの出力を受けて、筆圧が所定値以上になったことに基づいて、入力装置1Aが操作されたことを検知し、位置検出センサ16上での位置指示部23の芯体54による指示位置の軌跡を検出することで、回転移動方向及び回転移動距離を検出する。そして、制御回路172は、検出した回転移動方向及び回転移動距離の情報を、この例では、無線通信部173を通じて、対応する無線通信部を備えるパソコンなどの電子機器に送信するようにする。
【0076】
制御回路172は、送受信処理回路171で処理する信号の周波数(共振周波数)を検出する機能も備えている。したがって、制御回路172は、位置指示部23の共振回路RCAが、ボタンスイッチ14及び15が共にオフのとき、ボタンスイッチ14がオンのとき、ボタンスイッチ15がオンのとき、ボタンスイッチ14及び15が共にオンのとき、の4種の共振周波数を検出することができる。
【0077】
この例では、制御回路172は、4種の共振周波数のいずれであるかを示す種別情報を、検出した回転移動方向及び回転移動距離の情報に対応付けて、無線通信部173を通じて無線送信する。
【0078】
したがって、入力装置1Aからの無線情報を受信したパソコン等の電子機器においては、予め、種別情報に対応する機能を割り付けておくことで、受信した回転移動方向及び回転移動距離の情報を、それら割り付けた機能に用いることができる。この場合に、機能としては、音量調整(ボリューム)、描画画像のカラー調整(色相調整)、描画画像の濃度調整、描画画像のコントラスト調整、などを割り当てることができる。
【0079】
[その他の実施形態及び変形例]
第1の実施形態の入力装置1では、上ケース11と下ケース12とが一体的に回転してもよいので、ケース10は、外観が円柱状形状ではなく、多角形形状であってもよい。
【0080】
第2の実施形態の入力装置1Aでは、回転方向及び回転角度の情報を、無線通信部173を通じて送出するようにしたが、USBジャック18に接続されるUSBケーブルを通じて送出するようにしてもよい。
【0081】
上述の実施形態では、入力装置の位置指示部は、位置検出センサと電磁誘導結合するものとしたが、静電結合方式で信号をやり取りするものであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1,1A…入力装置、10,10A…ケース、112…上板部、112a…上板部の面、21,22,23…位置指示部、21A,22A,23A…平面配設部、21B,22B,23B…直交配設部
図1
図2
図3
図4
図5
図6