【課題】車体中央倣い式のガイドと車軸倣い式のガイドとが併設された走行路においても正規のガイドに沿った走行を実現できる車両、走行路および車両走行システムを提供すること。
【解決手段】中央直進ガイドGCSと車軸右左折ガイドGATとが併設された交差走行路Cmを直進させる場合、中央センサ4による中央直進ガイドGCSの検知結果に基づいて無人搬送車1を走行させる。よって、交差走行路Cmを直進させる場合に、車軸右左折ガイドGATに沿うことなく交差走行路Cmを直進できる。また、交差走行路Cmを右左折させる場合、車軸センサ5による車軸右左折ガイドGATの検知結果に基づいて走行させる。車軸に配設される車軸センサ5は、車体に配設される中央センサ4よりも磁気ガイドのトレース精度が高い。よって、車軸右左折ガイドGATを精度良く検知し、交差走行路Cmを正確に右左折できる。
車体と、その車体に操舵自在に配設される複数の回転軸と、それら複数の回転軸をそれぞれ個別に操舵する複数の操舵手段と、前記複数の回転軸に車軸を介してそれぞれ取着される車輪と、その車輪を回転駆動させる駆動手段と、走行路を示すガイドを検知可能なガイドセンサと、そのガイドセンサの検知結果に基づいて前記操舵手段および前記駆動手段を制御して走行制御する走行制御手段とを備えた車両において、
前記ガイドセンサは、前記車体の中央に設けられた中央センサと、前記車軸に設けられた車軸センサとを有して構成され、
前記走行制御手段は、走行路が交差しない通常走行路を走行する場合は前記車軸センサの検知結果に基づいて走行制御を行い、走行路が交差する交差走行路を直進する場合は前記中央センサの検知結果に基づいて走行制御を行うものであることを特徴とする車両。
前記走行制御手段は、走行路の地図データを記憶しており、その地図データに基づいて前記通常走行路と前記交差走行路とを判別するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して、本実施形態における無人搬送車1の構成を説明する。
【0018】
図1(a)は本発明の一実施形態における無人搬送車1の側面図であり、
図1(b)は、
図1(a)の矢印Ibの方向から見た無人搬送車1の底面図である。
図1、
図2及び
図6における矢印Fの方向は、無人搬送車1の走行方向である。無人搬送車1は、搬送物(図示せず)を載置し、走行路上に設置された磁気テープ製のガイドである中央直進ガイドGCS、中央右左折ガイドGCT、車軸直進ガイドGAS及び車軸右左折ガイドGAT(
図2参照、以下まとめて「磁気ガイドG」と略す)に従って走行する車両である。無人搬送車1は、車体2と、走行装置3と、中央センサ4と、車軸センサ5と、磁気マークセンサ6と、IDタグセンサ7とを有している。
【0019】
走行装置3は、無人搬送車1を走行させる装置であり、車体2の下部であって、無人搬送車1の底面視における4隅にそれぞれ配設される。各走行装置3には、車軸3aと、その車軸3aの両端に配設される一対の車輪3bと、車軸3a及び車輪3bを車体2に対して操舵自在に接続する回転軸3cとが配設される。走行装置3には更に、車輪3bを回転駆動させる回転駆動装置3dと、回転軸3cを操舵させる操舵駆動装置3eとが設けられる(共に
図3参照)。
【0020】
中央センサ4は、中央直進ガイドGCS及び中央右左折ガイドGCTから発する磁力を検知することで、その位置を検知する幅広のセンサであり、車体2の下部であって、車体2の長さ方向側および幅方向側の両側中央に、それぞれ配設される。車軸センサ5は、車軸直進ガイドGAS及び車軸右左折ガイドGATから発する磁力を検知することで、その位置を検知する幅広のセンサであり、各走行装置3の車軸3aにおける前後、即ち車輪3bが配設される側と直交する側にそれぞれ配設される。
【0021】
ここで、中央センサ4は車体2に配設されるので、磁気ガイドGに対して中央センサ4が斜めに位置することもある。これに対して、車軸センサ5は、車軸3aに対して車輪3bと直交して配設される。よって、無人搬送車1を磁気ガイドGに沿わせるため、即ち車輪3bを磁気ガイドGに沿わせるために車軸3aを回転させると、車軸センサ5は磁気ガイドGと直交するように回転するので、磁気ガイドGと車軸センサ5とを直交させ易くなる。これにより、車軸センサ5における磁気ガイドGの位置が明確となるので、車軸センサ5の磁気ガイドGに対するトレース精度を、中央センサ4よりも高くできる。本実施形態の無人搬送車1には、かかる中央センサ4と車軸センサ5とが共に設けられるので、磁気ガイドGを可能な限り車軸センサ5で検知することで、トレース精度の高い走行を実現できる。
【0022】
磁気マークセンサ6は、磁気マークM(
図2参照)を検知するセンサであり、車体2の下部における四隅にそれぞれ配設される。IDタグセンサ7は、IDタグT(
図2参照)を検知するセンサであり、車体2の下部であって、無人搬送車1の底面視における長さ方向側の両側中央にそれぞれ配設される。
【0023】
本実施形態の無人搬送車1は、車体2の長さ方向側または幅方向側のいずれかが走行方向とされ、その走行方向における前後2か所の中央センサ4、または車軸センサ5によって、走行路上の磁気ガイドGを検知しながら走行する。次に、無人搬送車1が走行する走行路について、
図2を参照して説明する。
【0024】
図2は、無人搬送車1が走行する走行路を表す模式図である。本実施形態における走行路は、通常走行路N1〜N7と、交差走行路C1〜C3とを連続して接続することで形成される。通常走行路N1〜N7は、走行路が交差しない走行路である。その通常走行路N1〜N7の長さは、それぞれ無人搬送車1の車体2の長さ以上に形成される。
【0025】
交差走行路C1〜C3は、走行路が交差する走行路である。このうち、交差走行路C1,C3が2の走行路が丁字に交差した所謂「丁字路」であり、交差走行路C2が2の走行路が十字に交差した所謂「十字路」である。以下、通常走行路N1〜N7について特に区別しない場合は「通常走行路Nn」(nは自然数)と称し、交差走行路C1〜C3について、特に区別しない場合は「交差走行路Cm」(mは自然数)と称す。
【0026】
通常走行路Nn及び交差走行路Cmには、それぞれ中央直進ガイドGCS、中央右左折ガイドGCT、車軸直進ガイドGAS及び車軸右左折ガイドGATが設置される。
【0027】
中央直進ガイドGCSは、中央センサ4に基づいて走行する無人搬送車1を直進させるガイド(中央ガイド)であり、通常走行路Nnの略中央と、交差走行路Cmにおいて交差する走行路のうち直進させる走行路の略中央とに沿って設置される。
【0028】
中央右左折ガイドGCTは、中央センサ4に基づいて走行する無人搬送車1を右左折させるガイド(中央ガイド)であり、交差走行路Cmの交差する走行路のうち、右左折させる走行路の略中央に沿って設置される。
【0029】
車軸直進ガイドGASは、車軸センサ5に基づいて走行する無人搬送車1を直進させるガイド(車軸ガイド)であり、通常走行路Nnにおける中央直進ガイドGCSの左右と、丁字路である交差走行路C1,C3の直進させる走行路において、中央直進ガイドGCSの左右のうち、通常走行路Nnが非接続とされる側(以下「非接続側」と略す)とに沿って設置される。
【0030】
車軸右左折ガイドGATは、車軸センサ5に基づいて走行する無人搬送車1を右左折させるガイド(車軸ガイド)であり、交差走行路Cmにおける中央右左折ガイドGCTの左右のうち、右左折する無人搬送車1の車輪3b(
図1参照)の内輪に該当する側(以下「内輪側」と略す)に沿って設置される。
【0031】
図2に示す通り、交差走行路Cm、特に十字路である交差走行路C2では、無人搬送車1を右左折するガイドとして、中央右左折ガイドGCTと内輪側の車軸右左折ガイドGATとが併設される一方で、無人搬送車1を直進させるガイドとして、中央直進ガイドGCSのみが設置され、車軸直進ガイドGASが設置されない。
【0032】
これにより、中央直進ガイドGCSと車軸直進ガイドGASとの交差や、中央右左折ガイドGCTと車軸直進ガイドGASとの交差を無くすことができるので、無人搬送車1による中央直進ガイドGCSと車軸直進ガイドGASとの誤検知を低減できる。
【0033】
その一方で、交差走行路C2には車軸直進ガイドGASが設置されないので、車軸センサ5の検知結果に基づいて、交差走行路C2を直進させることができない。そこで本実施形態では、詳細は後述するが、交差走行路C2を含めた交差走行路Cmを直進させる場合は、中央センサ4によって中央直進ガイドGCSを検知させることで、交差走行路Cmに併設される車軸右左折ガイドGATに沿うことなく、交差走行路Cmを直進させる。このような無人搬送車1と、通常走行路Nn及び交差走行路Cmとを有するシステムが「車両走行システムS」とされる。
【0034】
通常走行路Nn及び交差走行路Cmにはまた、無人搬送車1を停車させたり、搬送物を積み降ろしするためのステーションST1,ST2が設けられる。各ステーションST1,ST2には、上記した磁気マークM及びIDタグTが設けられ、走行している無人搬送車1が磁気マークM及びIDタグTを検知した場合、ステーションST1,ST2に到着したと判断し、無人搬送車1の走行位置(
図3で後述の走行位置メモリ12a)を該当するステーションST1,ST2の位置に更新する。
【0035】
かかる磁気マークMは、ステーションST1,ST2以外の位置(例えば、通常走行路N1における、交差走行路C1に突入する手前)にも設けられ、ステーションST1,ST2以外で磁気マークMを検知した場合も、無人搬送車1はその走行位置を該当する位置に更新する。
【0036】
次に、
図3を参照して無人搬送車1の電気的構成について説明する。
図3は無人搬送車1の電気的構成を示すブロック図である。無人搬送車1は、CPU10と、フラッシュROM11と、RAM12とを備え、これらはバスライン13を介して、入出力ポート14にそれぞれ接続されている。
【0037】
入出力ポート14には、上記した中央センサ4と、車軸センサ5と、磁気マークセンサ6と、IDタグセンサ7と、回転駆動装置3dと、操舵駆動装置3eとがそれぞれ接続されている。なお、これらは無人搬送車1に対してそれぞれ複数配設されるが、
図3においては、それぞれまとめて1つの中央センサ4、車軸センサ5、磁気マークセンサ6、IDタグセンサ7、回転駆動装置3d及び操舵駆動装置3eとして表している。
【0038】
CPU10は、バスライン13及び入出力ポート14に接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュROM11は、書き換え可能な不揮発性のメモリであり、制御プログラム11aと、地図データ11bとが記憶される。制御プログラム11aは、CPU10に
図4のメイン処理や
図5の交差路処理を実行させるプログラムである。地図データ11bは、無人搬送車1の走行路に関する情報が記憶されるデータであり、走行路の地図情報と共に、走行位置毎の走行路(即ち通常走行路Nnまたは交差走行路Cm)と、磁気マークM及びIDタグT毎の走行位置とが記憶される。
【0039】
RAM12は、CPU10が制御プログラム11a等の実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、無人搬送車1の走行位置が記憶される走行位置メモリ12aと、前側センサメモリ12bと、後側センサメモリ12cとが設けられる。前側センサメモリ12bは、走行方向の前側に設けられる中央センサ4又は車軸センサ5のうち、磁気ガイドGを検知するセンサ情報が記憶されるメモリであり、後側センサメモリ12cは、走行方向の後側に設けられる中央センサ4又は車軸センサ5のうち、磁気ガイドGを検知するセンサ情報が記憶されるメモリである。
【0040】
次に、
図4,
図5を参照して、無人搬送車1のCPU10で実行されるメイン処理について説明する。
図4は、メイン処理のフローチャートを示す図である。メイン処理は、無人搬送車1の電源投入直後から繰り返し実行される。
【0041】
メイン処理はまず、磁気マークセンサ6によって磁気マークMが検知されたか、又はIDタグセンサ7によってIDタグTが検知されたかを確認する(S1)。S1の処理において、磁気マークM又はIDタグTが検知された場合は(S1:Yes)、検知された磁気マークM又はIDタグTに該当する走行位置を地図データ11bから取得し、走行位置メモリ12aへ保存する(S2)。一方、S1の処理において、磁気マークMやIDタグTが検知されない場合は(S1:No)、S2の処理をスキップする。
【0042】
S1又はS2の処理の後、地図データ11bから走行位置メモリ12aの走行位置に該当する走行路を取得する(S3)。S3の処理の後、地図データ11bから取得された走行路を確認(判別)する(S4)。
【0043】
S4の処理において、取得された走行路が通常走行路Nnである場合は(S4:通常走行路)、無人搬送車1が通常走行路Nnを走行し始めてから、前後の車軸センサ5間以上に走行したかを確認する(S5)。S5の処理において、前後の車軸センサ5間以上走行した場合は(S5:Yes)、前側センサメモリ12bに、走行方向における左前側の車軸センサ5を表すセンサ情報である「左前車軸」を保存し(S6)、後側センサメモリ12cに、走行方向における左後側の車軸センサ5を表すセンサ情報である「左後車軸」を保存する(S7)。
【0044】
即ち無人搬送車1の走行路が交差走行路Cmから通常走行路Nnに切り替わった後、かつ前後の車軸センサ5が共に通常走行路Nnに位置する場合に、磁気ガイドGを検知する前後センサを略同時に車軸センサ5へ切り替える。特に、交差走行路Cmを直進させて通常走行路Nnへ進行する場合は、磁気ガイドGを検知するセンサを中央センサ4から車軸センサ5へ切り替える必要がある。そこで、磁気ガイドGを検知するセンサの切り替えを、多くの磁気ガイドGが設置された交差走行路Cmと比較して、磁気ガイドGの構成がシンプルな通常走行路Nn内において、安定した直進走行中に行うことでかかる切り替えによる磁気ガイドGの誤検知を低減できる。
【0045】
S5の処理において、前後の車軸センサ5間の距離以上走行していない場合は(S5:No)、S6,S7の処理をスキップする。
【0046】
S4の処理において、取得された走行路が交差走行路Cmである場合は(S4:交差走行路)、交差路処理(S8)を実行する。かかる交差路処理を
図5を参照して説明する。
【0047】
図5は、交差路処理のフローチャートを示す図である。交差路処理は、まず、地図データ11bと、走行位置メモリ12aの走行位置とに基づき交差走行路Cmにおける無人搬送車1の走行方向を確認する(S20)。
【0048】
S20の処理において、無人搬送車1を直進させる場合は(S20:直進)、前側センサメモリ12bに走行方向における前側の中央センサ4を表すセンサ情報である「前中央」を保存し(S21)、後側センサメモリ12cに走行方向における後側の中央センサ4を表すセンサ情報である「後中央」を保存する(S22)。
【0049】
S20の処理において、無人搬送車1を左折させる場合は(S20:左折)、前側センサメモリ12bに、走行方向における左前側の車軸センサ5を表すセンサ情報である「左前車軸」を保存し(S23)、後側センサメモリ12cに、走行方向おける左後側の車軸センサ5を表す「左後車軸」を保存する(S24)。またS20の処理において、無人搬送車1を右折させる場合は(S20:右折)、前側センサメモリ12bに、走行方向おける右前側の車軸センサ5を表すセンサ情報である「右前車軸」を保存し(S25)、後側センサメモリ12cに、走行方向おける左後側の車軸センサ5を表すセンサ情報である「右後車軸」を保存する(S26)。
【0050】
即ち無人搬送車1の走行路が、通常走行路Nnから交差走行路Cmに切り替わった場合も、無人搬送車1の前後のセンサを略同時に切り替える。これにより、前後のセンサの切り替えを交差走行路Cmに進入する前の通常走行路Nn内において、安定した直進走行中に行うことができるので、かかる切り替えによる磁気ガイドGの誤検知を低減できる。
【0051】
S22,S24,S26の処理の後、交差路処理を終了し、
図4のメイン処理に戻る。
【0052】
図4のS5,S7,S8の処理の後、前側センサメモリ12b及び後側センサメモリ12cのガイド情報に該当するセンサと、そのセンサによって検知された磁気ガイドGとのズレ量を取得する(S9)。
【0053】
この際、通常走行路Nnから交差走行路Cmに切り替わる部分、例えば、
図2における通常走行路N2から交差走行路C2に切り替わる部分において、1つの中央直進ガイドGCSから、中央直進ガイドGCS及び右左折用の中央右左折ガイドGCTへ三分岐する位置が存在する。かかる位置において中央センサ4には3つの位置が検知されてしまう。
【0054】
そこで、中央センサ4で検知される磁気ガイドGの位置のうち、走行方向に該当する位置(例えば、3つの位置のうち、直進させる場合は中央センサ4の幅方向における中央に該当する位置、右折させる場合は中央センサ4の幅方向における右側に該当する位置)を優先的に検知することで、磁気ガイドGが分岐する場合でも、走行方向に応じた磁気ガイドGを的確に検知させることができる。
【0055】
S9の処理の後、S9の処理で取得したズレ量に基づき、無人搬送車1が磁気ガイドGに沿って走行するように、各走行装置3の回転駆動装置3d、操舵駆動装置3eを動作させる(S10)。そして、S10の処理による、無人搬送車1の走行距離に応じた走行位置を走行位置メモリ12aに保存し(S11)、S1の処理を繰り返す。
【0056】
ここで
図6を参照して、
図4のS5,S7,S8の処理および
図5の交差路処理における、走行路または走行方向に応じた中央センサ4及び車軸センサ5の切り替えを説明する。
図6(a)は、通常走行路Nnを走行した後、交差走行路Cmを左折する場合の無人搬送車1を表す図であり、
図6(b)は、通常走行路Nnを走行した後、交差走行路Cmを直進する場合の無人搬送車1を表す図である。なお、
図6においては説明のため、中央センサ4及び車軸センサ5を図示している。
【0057】
図6(a)に示す通り、無人搬送車1を通常走行路Nnに対して走行させる場合、または無人搬送車1を交差走行路Cmに対して左折または右折(図示せず)させる場合は、車軸センサ5によって、車軸直進ガイドGAS又は車軸右左折ガイドGATを検知させる。車軸センサ5は、中央センサ4よりも磁気ガイドGに対するトレース精度が高いので、車軸センサ5によって、これら車軸直進ガイドGAS又は車軸右左折ガイドGATを精度良く検知できる。これにより、無人搬送車1を通常走行路Nn又は交差走行路Cmから逸脱させることなく、正確に走行させることができる。
【0058】
一方で、
図6(b)に示す通り、無人搬送車1を交差走行路Cmを直進させる場合は、中央センサ4によって中央直進ガイドGCSを検知させる。本実施形態の車両走行システムSでは、中央直進ガイドGCSは車軸直進ガイドGASと異なり、交差走行路Cmの直進させる走行路には必ず設置されるので、かかる中央直進ガイドGCSを中央センサ4で検知させることで、交差走行路Cmに併設された車軸右左折ガイドGATに沿うことなく、交差走行路Cmを直進させることができる。
【0059】
また、
図2で上記した通り、通常走行路Nnの長さは、無人搬送車1の車体2の長さよりも長く設定される。
図6(b)のように、通常走行路Nnから交差走行路Cmを直進させる場合、少なくとも交差走行路Cmに突入するまでには、前後の車軸センサ5が共に車軸直進ガイドGASを検知している。従って、前後の車軸センサ5が通常走行路Nn内から交差走行路Cmに切り替わるタイミングで、磁気ガイドGを検知するセンサを車軸センサ5から中央センサ4に切り替えることにより、車軸センサ5から中央センサ4に切り替えるタイミングがズレる等して、磁気ガイドGが誤検知するのを低減できる。また、車軸センサ5から中央センサ4への切り替えを、通常走行路Nn内で安定した直進走行中にできるので、かかる切り替えによる磁気ガイドGの誤検知を低減できる。
【0060】
ところで、
図2において、通常走行路Nnには中央直進ガイドGCSが設置される。また交差走行路Cmには、中央右左折ガイドGCTが設置され、更に交差走行路C1,C3において他の走行路が非接続とされる側に車軸直進ガイドGASが設置される。これらは上記した
図4,
図5の無人搬送車1の走行制御によって中央センサ4及び車軸センサ5で検知されないが、それぞれの走行路を直進または右左折させる走行方向に沿ったものである。よって、中央センサ4や車軸センサ5のいずれか一方が故障した場合に、一時的に正常動作する中央センサ4や車軸センサ5で、これらの磁気ガイドGを検知させることで、無人搬送車1を通常走行路Nn及び交差走行路Cmに対して走行させることができる。
【0061】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0062】
上記実施形態では、走行路が通常走行路Nnから交差走行路Cmに切り替わる際、または交差走行路Cmから通常走行路Nnに切り替わる際に、前後のセンサを略同時に切り替えた。しかし、後側のセンサを切り替えるタイミングは、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、走行路が切り替わったことで前側のセンサを切り替えてから、無人搬送車1が前後のセンサ間以上走行した場合に後側のセンサを切り替えても良い。
【0063】
例えば、
図7のメイン処理において、S4の処理で、取得された走行路が通常走行路Nnである場合は(S4:通常走行路)、まず、前側センサメモリ12bに「左前車軸」を保存し(S40)、その後、S6の処理によって無人搬送車1が通常走行路Nnを走行し始めてから、前後の車軸センサ5間以上に走行したかを確認し、前後の車軸センサ5間以上走行した場合は(S6:Yes)、後側センサメモリ12cに「左後車軸」を保存(S7)すれば良い。
【0064】
こうすることで、交差走行路Cmから通常走行路Nnに切り替わった場合に、まず前側のセンサが車軸センサ5に切り替わり、その後、無人搬送車1が前後の車軸センサ5間以上走行した場合に、後側のセンサが車軸センサ5に切り替わる。これにより、交差走行路Cmから通常走行路Nnへ切り替わる場合に、無人搬送車1の後側のセンサでも、同一の走行位置において前側のセンサと同一の磁気ガイドGを検知できるので、無人搬送車1を安定して走行させることができる。
【0065】
一方で、S4の処理で、取得された走行路が交差走行路Cmである場合は(S4:交差走行路)、
図8の交差路処理を実行する(S80)。S80の交差路処理においては、S20の処理で、無人搬送車1を直進させる場合は(S20:直進)、前側センサメモリ12bに「前中央」を保存し(S21)、無人搬送車1が直進し始めてから、前後の中央センサ4間の距離以上走行したかを確認する(S41)。S41の処理において、無人搬送車1が直進し始めてから前後の中央センサ4間以上走行した場合は(S41:Yes)、後側センサメモリ12cに「後中央」を保存する(S22)。一方で、無人搬送車1が直進し始めてから、前後の中央センサ4間以上走行していない場合は(S41:No)、S22の処理をスキップする。
【0066】
また、S20の処理において無人搬送車1を左折させる場合は(S20:左折)、前側センサメモリ12bに「左前車軸」を保存し(S23)、無人搬送車1が左折し始めてから、前後の車軸センサ5間の距離以上走行したかを確認する(S42)。無人搬送車1が左折し始めてから前後の車軸センサ5間以上走行した場合は(S42:Yes)、後側センサメモリ12cに「左後車軸」を保存する(S24)。一方で、前後の車軸センサ5間以上走行していない場合は(S42:No)、S24の処理をスキップする。
【0067】
同様に、S20の処理において無人搬送車1を右折させる場合は(S20:右折)、前側センサメモリ12bに「右前車軸」を保存し(S25)、無人搬送車1が右折し始めてから、前後の車軸センサ5間の距離以上走行したかを確認する(S43)。無人搬送車1が右折し始めてから前後の車軸センサ5間以上走行した場合は(S43:Yes)、後側センサメモリ12cに「右後車軸」を保存する(S26)。一方で、前後の車軸センサ5間以上走行していない場合は(S43:No)、S26の処理をスキップする。
【0068】
即ち通常走行路Nnから交差走行路Cmに切り替わった場合、無人搬送車1の後側のセンサでも、同一の走行位置において前側のセンサと同一の磁気ガイドGを検知できるので、無人搬送車1を安定して走行させることができる。加えて、通常走行路Nnから交差走行路Cmを走行させる場合、前側のセンサが切り替わってから前後センサ間以上走行するまでは、後側のセンサとしてトレース精度の高い左後側の車軸センサ5が用いられるので、車軸直進ガイドGASに対してより忠実に無人搬送車1を走行させることができる。
【0069】
上記実施形態では、無人搬送車1を通常走行路Nnを走行させる場合、左側の車軸センサ5によって走行方向における左側の車軸直進ガイドGASを検知させた。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、無人搬送車1を通常走行路Nnを走行させる場合に、右側の車軸センサ5によって走行方向における右側の車軸直進ガイドGASを検知させても良い。
【0070】
上記実施形態では、走行路上に設置されるガイドは、磁気テープ製の磁気ガイドGとした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、ガイドを走行路上に塗られた白線としても良い。かかる場合、中央センサ4の代わりに車体2の下部に設けた光学式センサや、車軸センサ5の代わりに車軸3aに配設された光学式センサによって、該白線の位置を検知すれば良い。
【0071】
上記実施形態では、制御プログラム11aをフラッシュROM11に記憶した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、制御プログラム11aをDVD等の光ディスクや、ハードディスク・ドライブ等の磁気媒体に記憶して実行しても良いし、ネットワーク(インターネットやイントラネット等)上のサーバに制御プログラム11aを記憶し、該サーバから制御プログラム11aをダウンロードして実行しても良い。
【0072】
上記実施形態では、車両の例として、無人搬送車1を用いて説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば本発明を有人または無人のユニットキャリアなどに適用しても良い。