(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-155050(P2020-155050A)
(43)【公開日】2020年9月24日
(54)【発明の名称】ヒートマップ表示制御装置、ヒートマップ表示制御方法及びヒートマップ表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20200828BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-55380(P2019-55380)
(22)【出願日】2019年3月22日
(71)【出願人】
【識別番号】399127832
【氏名又は名称】株式会社LIFULL
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135518
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 隆
(72)【発明者】
【氏名】中島 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】荻野 友紀子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】領域間における不動産価格の違いを容易に把握可能なヒートマップを表示させる。
【解決手段】複数の領域それぞれについて、領域内の単位不動産当たりの不動産価格の代表値の取得と、不動産価格の対数の計算と、対数に応じた色彩の割り当てと、を行い、色彩の割り当てに従って対数の範囲別に複数の領域が色分けされたヒートマップを表示させるシステム制御部11を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域それぞれについて、前記領域内の単位不動産当たりの不動産価格の代表値の取得と、前記代表値の対数の計算と、前記対数に応じた色彩の割り当てと、を行い、
前記色彩の割り当てに従って前記対数の範囲別に前記複数の領域を色分けしたヒートマップを表示させる
システム制御部を備えることを特徴とするヒートマップ表示制御装置。
【請求項2】
前記システム制御部は、前記複数の領域について取得された前記代表値のうち予め設定された範囲外にある代表値を、前記範囲の下限値又は上限値に変更して、前記対数の計算を行うことを特徴とする請求項1に記載のヒートマップ表示制御装置。
【請求項3】
前記システム制御部は、前記複数の領域について取得された前記代表値の散らばりの程度に基づいて、前記下限値及び前記上限値を設定することを特徴とする請求項2に記載のヒートマップ表示制御装置。
【請求項4】
前記システム制御部は、
前記ヒートマップの対象地域に定められる地域内から、前記複数の領域を特定し、
前記ヒートマップが表示されているときに、ユーザの操作により前記対象地域が変更されたことに応じて前記変更後の対象地域内の複数の領域を色分けした前記ヒートマップを表示させる場合、前記変更後の対象地域に応じて前記下限値及び前記上限値を設定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のヒートマップ表示制御装置。
【請求項5】
前記システム制御部は、
前記ヒートマップの対象地域に定められる地域内から、前記複数の領域を特定し、
前記ヒートマップが表示されているときに、ユーザの操作により、現在の前記対象地域よりも狭い地域に前記対象地域が変更されたことに応じて前記変更後の対象地域内の複数の領域を色分けした前記ヒートマップを表示させる場合、前記変更後の対象地域における一領域当たりの面積を、前記変更前の対象地域における一領域当たりの面積よりも小さくすることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御装置。
【請求項6】
前記複数の領域は、所定鉄道路線内の複数の駅それぞれが所在する領域であることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御装置。
【請求項7】
前記システム制御部は、前記複数の領域それぞれについて、複数年分の不動産価格の代表値を取得し、前記複数年分の不動産価格の代表値それぞれに対応する複数年分の前記ヒートマップを古い年順に順次表示させることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御装置。
【請求項8】
前記システム制御部は、前記複数の領域それぞれについて、複数年分の不動産価格の代表値を取得し、前記複数年分の不動産価格の代表値に基づいて将来の不動産価格を予測し、前記将来の不動産価格について前記対数を計算することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御装置。
【請求項9】
前記システム制御部は、前記ヒートマップの対象地域内にある複数の不動産業者の事業所を示すマークを、前記事業所の住所に対応する位置で前記ヒートマップ上に表示させる請求項1から請求項8の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御装置。
【請求項10】
前記不動産価格は路線価であることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御装置。
【請求項11】
前記不動産価格は、土地の実勢価格と路線価との乖離率であることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御装置。
【請求項12】
コンピュータにより実行されるヒートマップ表示制御方法において、
複数の領域それぞれについて、前記領域内の単位不動産当たりの不動産価格の代表値を取得するステップと、
前記複数の領域それぞれについて、前記代表値の対数を計算するステップと、
前記複数の領域それぞれについて、前記対数に応じた色彩の割り当てを行うステップと、
前記色彩の割り当てに従って前記対数の範囲別に前記複数の領域を色分けしたヒートマップを表示させるステップと、
を含むことを特徴とするヒートマップ表示制御方法。
【請求項13】
前記複数の領域について取得された前記代表値のうち予め設定された範囲外にある代表値を、前記範囲の下限値又は上限値に変更するステップを更に含み、
前記変更された代表値について前記対数を計算することを特徴とする請求項12に記載のヒートマップ表示制御方法。
【請求項14】
前記複数の領域について取得された前記代表値の散らばりの程度に基づいて、前記下限値及び前記上限値を設定するステップを更に含むことを特徴とする請求項13に記載のヒートマップ表示制御方法。
【請求項15】
前記ヒートマップの対象地域に定められる地域内から、前記複数の領域を特定し、
前記ヒートマップが表示されているときに、ユーザの操作により前記対象地域が変更されたことに応じて前記変更後の対象地域内の複数の領域を色分けした前記ヒートマップを表示させる場合、前記変更後の対象地域に応じて前記下限値及び前記上限値を設定することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のヒートマップ表示制御方法。
【請求項16】
前記ヒートマップの対象地域に定められる地域内から、前記複数の領域を特定し、
前記ヒートマップが表示されているときに、ユーザの操作により、現在の前記対象地域よりも狭い地域に前記対象地域が変更されたことに応じて前記変更後の対象地域内の複数の領域を色分けした前記ヒートマップを表示させる場合、前記変更後の対象地域における一領域当たりの面積を、前記変更前の対象地域における一領域当たりの面積よりも小さくすることを特徴とする請求項12から請求項15の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御方法。
【請求項17】
前記複数の領域は、所定鉄道路線内の複数の駅それぞれが所在する領域であることを特徴とする請求項12から請求項16の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御方法。
【請求項18】
前記複数の領域それぞれについて、複数年分の不動産価格の代表値を取得し、前記複数年分の不動産価格の代表値それぞれに対応する複数年分の前記ヒートマップを古い年順に順次表示させることを特徴とする請求項12から請求項17の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御方法。
【請求項19】
前記複数の領域それぞれについて、複数年分の不動産価格の代表値を取得し、前記複数年分の不動産価格の代表値に基づいて将来の不動産価格を予測し、前記将来の不動産価格について前記対数を計算することを特徴とする請求項12から請求項18の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御方法。
【請求項20】
前記ヒートマップの対象地域内にある複数の不動産業者の事業所を示すマークを、前記事業所の住所に対応する位置で前記ヒートマップ上に表示させる請求項12から請求項19の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御方法。
【請求項21】
前記不動産価格は路線価であることを特徴とする請求項12から請求項20の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御方法。
【請求項22】
前記不動産価格は、土地の実勢価格と路線価との乖離率であることを特徴とする請求項12から請求項21の何れか一項に記載のヒートマップ表示制御方法。
【請求項23】
コンピュータに、
複数の領域それぞれについて、前記領域内の単位不動産当たりの不動産価格の代表値を取得するステップと、
前記複数の領域それぞれについて、前記代表値の対数を計算するステップと、
前記複数の領域それぞれについて、前記対数に応じた色彩の割り当てを行うステップと、
前記色彩の割り当てに従って前記対数の範囲別に前記複数の領域を色分けしたヒートマップを表示させるステップと、
を実行させることを特徴とするヒートマップ表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産価格に応じて複数の領域を色分けしたヒートマップの表示制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したヒートマップの表示制御方法に関する従来技術を開示する文献として、特許文献1が挙げられる。特許文献1に開示された技術では、区画されたセル領域を、地価のランクによって濃淡表示又は色表示する(段落[0006]、
図19)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−289266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ヒートマップの表示対象となる地域内には、他の領域と比較して不動産価格が極端に高い領域が往々にして存在する。それ故、単純に不動産価格に応じて各領域に色彩を割り当てると、不動産価格が極端に高い領域の周辺以外では色彩の変化が乏しくなる。そのため、従来のヒートマップでは、領域間で不動産価格に有意義な違いがあったとしても、その違いを色彩から把握することが難しかった。
【0005】
本発明の課題の一例は、領域間における不動産価格の違いを容易に把握可能なヒートマップを表示させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の領域それぞれについて、単位不動産当たりの不動産価格の代表値の対数を計算し、対数に応じて、ヒートマップ表示用の色彩を割り当てることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】システム制御部を備える情報提供サーバと、ネットワークと、ユーザ端末と、からなる、一実施形態の不動産情報提供システムの概要構成の一例を示す図である。
【
図2】一実施形態のヒートマップ提供処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】一実施形態の色彩の割り当て方法の概要の一例を示す図である。
【
図4】一実施形態における東京都の路線価のヒートマップの画面表示例を示す図である。
【
図5】比較例として、路線価をそのまま用いた場合のヒートマップの画面表示例を示す図である。
【
図6】一実施形態の変形例において、或る鉄道路線が敷かれている地域の不動産価格のヒートマップの画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、
図1乃至
図6を参照して、本発明の一実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、不動産に関する情報を提供するための不動産情報提供システムに対して、本発明を適用した場合の実施形態である。提供される情報の1つとして、或る地域が、その地域内にある複数の領域を不動産価格に応じて色分けしたヒートマップがある。不動産価格は、例えば単位面積当たりの土地の評価額として道路に付された路線価である。路線価は、固定資産税路線価及び相続税路線価の何れであってもよい。複数の領域は、例えば標準地域メッシュ等のメッシュであってもよい。例えば、第3次メッシュ等が用いられてもよい。
【0009】
情報提供サーバ1が備えるハードディスク等の記憶部には、ヒートマップの対象地域となり得る1又は複数の地域について、各道路の路線価を定義する路線価データが予め記憶される。例えば、路線価データにおいて、道路ごとに、道路の形状、経緯度及び路線価等が定義されている。各道路の情報は、例えばGeoJSONフォーマットで定義されている。対象地域は、ヒートマップにより色分け表示される地域である。対象地域は、例えば都道府県や市区町村等であってもよい。また、記憶部には、対象地域から複数の領域を特定するためのメッシュデータが記憶される。
【0010】
図2のフローチャートを参照して、本実施形態に係る動作を説明する。情報提供サーバ1のシステム制御部11は、ヒートマップの対象地域と定められる地域内における複数の領域それぞれについて、領域に敷設されている各道路の路線価を路線価データから取得する(ステップS1)。システム制御部11は、メッシュデータに基づいて、各領域の位置及び範囲を特定し、各道路が何れの領域に敷設されているかを判定する。複数の領域の中には、道路が敷設されておらず、倍率地域のみを含む領域が存在する可能性がある。システム制御部11は、そのような領域に対しては、路線価に代えて、倍率方式で単位面積当たりの土地評価額を計算してもよい。
【0011】
次いで、システム制御部11は、複数の領域それぞれについて、領域に施設されている複数の路線価の代表値(すなわち、単位面積当たりの土地評価額の代表値)を取得する(ステップS2)。代表値の例として、平均値、中央値等が挙げられる。
【0012】
次いで、システム制御部11は、複数の領域について取得された路線価の代表値のうち、後述の対数への変換対象となる路線価の範囲外にある外れ値を、その範囲の下限値又は上限値に変更する(ステップS3)。下限値及び上限値は、例えば予め設定されている。下限値及び上限値は、対象地域ごとに予め設定されてもよい。例えば、対象地域が東京都である場合、下限値は2万円に設定され、上限値は50万円に設定されてもよい。システム制御部11は、下限値よりも低い路線価を下限値に変更する。また、システム制御部11は、上限値よりも高い路線価を上限値に変更する。
【0013】
次いで、システム制御部11は、各領域について、路線価の代表値の対数を計算する(ステップS4)。対数の底は、ネイピア数や10等であってもよい。システム制御部11は、ステップS3で変更された代表値については、変更後の代表値の対数を計算する。
【0014】
次いで、システム制御部11は、各領域について、路線価の代表値の対数に応じた色彩を割り当てる(ステップS5)。例えば、路線価の下限値に対して青が割り当てられ、上限値に対して赤が割り当てられるものとする。また、システム制御部11は、色彩の段階数を取得する。色彩の段階数は、最大何段階の色彩でヒートマップを描画可能であるかを示す。段階数は予め設定されている。段階数は、例えば100等であってもよい。システム制御部11は、下限値と上限値との差分を段階数で除算することにより、1段階当たりの色彩に対応する単位対数価格幅を計算する。また例えば、色彩を、HLS色空間における色相成分の角度で示すものとする。例えば、赤は0度であり、青は240度とする。システム制御部11は、240度を段階数で除算することにより、1段階当たりの色彩の単位角度を計算する。また、システム制御部11は、各領域について、路線価の代表値の対数と下限値の対数との差分から単位対数価格幅を除算して得られる商を、その領域に割り当てられる色彩の段階として計算する。そして、システム制御部11は、各領域の色彩の段階に単位角度を乗算して得られる角度を、240度から減算することにより、各領域に割り当てられる色彩の角度を計算する。これにより、下限値から上限値までの路線価の対数の範囲は、対数幅が同一である複数の範囲に分割され、これらの範囲に対して割り当てられる色彩の色相成分の値が、青から赤まで等間隔に変化する。システム制御部11は、割り当てられた色彩を領域ごとに示す情報を、システム制御部11内のメモリに記憶させる。ステップS3〜S5の各ステップの実行結果の一例を
図3に示す。
【0015】
次いで、システム制御部11は、色彩の割り当てに従って、不動産価格の対数の範囲別に対象地域を色分けしたヒートマップを生成する(ステップS6)。具体的に、システム制御部11は、各領域を、その領域に割り当てられた色彩で塗りつぶした画像データを生成する。例えば、システム制御部11は、対象地域内の主要道路、河川等が描画された地図の画像を、各領域の色彩により半透明で塗りつぶしてもよい。システム制御部11は、生成された画像データを、情報提供サーバ1の記憶部に記憶させる。ヒートマップの対象地域となり得る地域が複数存在する場合、システム制御部11は、地域ごとにステップS1〜S6を実行する。
【0016】
その後、システム制御部11は、インターネット等のネットワークNWを介してユーザ端末2からヒートマップのリクエストを受信すると、生成されたヒートマップをユーザ端末2に表示させる。リクエストには、例えばユーザにより指定された対象地域を示す識別情報が含まれている。システム制御部11は、対象地域のヒートマップを含むウェブページを、ネットワークNWを介してユーザ端末2へ送信する。ユーザ端末2は、受信したウェブページを画面に表示させる。
【0017】
図4に示されるヒートマップにおいては、路線価が高くなるに従って、色彩が青から、水色、緑、黄色、赤へ次第に変化している。例えば、皇居周辺の狭い範囲の領域においては、道路が比較的少ない上に、それらの道路の多くを、幅員が極めて広い道路が占めている。それ故、皇居周辺の領域の路線価の代表値は、他の領域の路線価の代表値と比較して極端に高い。しかしながら、路線価の代表値の対数に応じて色彩が割り当てられるので、各色彩が、或る程度以上の数の領域に割り当てられる。そのため、全段階の色彩のうち比較的多くの色彩が視認容易にヒートマップが表示される。
【0018】
図5に示される比較例のヒートマップにおいては、対数が計算されず、路線価そのものに対して色彩が割り当てられている。これにより、皇居周辺の狭い範囲のみ赤で領域が塗りつぶされ、他の大部分の領域は水色で塗りつぶされている。緑や黄色で塗りつぶされた領域はほとんど存在しない。水色の領域の中に路線価が有意に異なる領域は存在するものの、その違いを把握することは困難である。
【0019】
以上のステップS1〜S7のヒートマップ提供処理によれば、各領域に対して、その領域内における不動産価格の代表値の対数に応じた色彩が割り合てられる。そして、このような色彩の割り当てに従ってヒートマップが表示される。これにより、ヒートマップから比較的に多くの色彩の領域を視認可能となるので、領域間における不動産価格の違いを色彩から容易に把握することができる。
【0020】
また、ステップS3によれば、複数の領域について取得された路線価の代表値のうち予め設定された範囲外にある代表値が、その範囲の下限値又は上限値に変更される。そして、変更された代表値について対数が計算される。これにより、極端に低い路線価の代表値及び極端に高い路線価の代表値が削減されるので、領域間における不動産価格の違いの把握が更に容易となる。
【0021】
本実施形態の変形例として、不動産価格は、例えば物件の実勢価格、販売価格、賃貸価格や、公示地価、基準地価等であってもよい。物件の例として、建物、建物の一室、土地等が挙げられる。システム制御部11は、領域ごとに、領域内の複数の物件について不動産価格を取得し、単位不動産(例えば一物件又は単位面積)当たりの不動産価格の代表値を計算する。また、不動産価格は、土地の実勢価格と路線価との乖離率であってもよい。また、システム制御部11は、ユーザから物件の条件(例えば、物件の種類、駅からの徒歩所要時間、土地面積、建物面積、専有面積、間取り、築年数、付帯設備の有無等)の指定を受け付け、指定された条件を満たす物件のみの不動産価格について、ヒートマップを表示させてもよい。
【0022】
また、ユーザ端末2がヒートマップを表示しているとき、ユーザによる対象地域を変更する操作が可能であってもよい。対象地域の変更は、例えばヒートマップのスクロール、ヒートマップの拡大及び縮小、対象地域内からの一部の地域の選択等を含む。システム制御部11は、ユーザの操作により対象地域の変更されたことに応じて、変更後の対象地域内の複数の領域を色分けしたヒートマップをユーザ端末2に表示させる。例えば、システム制御部11は、対象地域を変更する操作が行われるごとに、ステップS1〜S6を実行して、ヒートマップの画像データをユーザ端末2へ送信する。ユーザ端末2は、受信した画像データをウェブページ内に表示させる。ここで、ステップS3において、システム制御部11は、対数への変換対象となる不動産価格の範囲の下限値及び上限値を、変更後の対象地域に応じて自動的に設定してもよい。これにより、対象地域に応じて、極端に低い路線価の代表値及び極端に高い路線価の代表値が適切に削減される。例えば、予め設定された百分率をNとする。システム制御部11は、ステップS2で取得した、変更後の対象地域内の複数の領域の不動産価格のうち、下限値をNパーセンタイルに設定し、上限値をN−1パーセンタイルに設定してもよい。また、システム制御部11は、変更後の対象地域内の複数の領域の不動産価格の散らばりの程度に基づいて、下限値及び上限値を設定してもよい。これにより、極端に低い路線価の代表値及び極端に高い路線価の代表値が、より適切に削減される。散らばりの程度は、例えば不動産価格の最小値と最大値との差もしくは比率、分散又は標準偏差等であってもよい。システム制御部11は、散らばりの程度が大きいほど、下限値を高くするとともに、上限値を低くする。例えば、システム制御部11は、散らばりの程度が大きいほど、百分率Nを大きい値に設定してもよい。
【0023】
また、ユーザの操作により、現在の対象地域よりも狭い地域に対象地域が変更された場合、システム制御部11は、変更後の対象地域における一領域当たりの面積を、変更前の対象地域における一領域当たりの面積より小さくしてもよい。そして、システム制御部11は、一領域当たりの面積がより小さくなった複数の領域に対する色彩の割り当てに従って、変更後の対象地域内の複数の領域を色分けしたヒートマップを表示させてもよい。これにより、対象地域が狭くなっても、ヒートマップの色彩から得られる情報量を一定に保つことができる。このような変更は、例えば、ヒートマップの拡大、対象地域内からの一部の地域の選択等を含む。例えば、或る都道府県を対象地域としてヒートマップが表示されているときに、その都道府県内の何れかの市区町村を、変更後の対象地域として選択することが可能であるとする。この場合、システム制御部11は、市区町村における一領域当たりの面積を、都道府県における一領域当たりの面積より小さくしてもよい。或いは、システム制御部11は、ヒートマップの縮尺に応じて、一領域当たりの面積を変更してもよい。
【0024】
また、ヒートマップの対象地域は、所定の鉄道路線が敷かれている地域であってもよい。この場合、対象地域内の複数の領域は、その鉄道路線内の複数の駅それぞれが所在する領域として定められてもよい。これにより、購入又は賃借する物件をユーザが最寄り駅で探すときに、各駅について不動産価格の目安を把握することができる。駅が所在する領域は、例えば駅が所在する市区町村や、市区町村を細分化した区画としての町のうち、駅が所在する町等であってもよい。或いは、駅が所在する領域は、駅からの半径が所定距離である円形の領域であってもよい。システム制御部11は、ヒートマップを生成する場合、各領域に対して駅名を表示させることが望ましい。例えば
図6に示すようなヒートマップがユーザ端末2に表示される。このヒートマップにおいては、各駅の駅名とともに路線図が表示されている。ヒートマップにおける各駅の背景領域は、その駅が所在する領域を表している。各背景領域は、駅が所在する領域に対して割り当てられた色彩で塗りつぶされる。ユーザがヒートマップから何れかの駅を選択した場合、システム制御部11は、選択された駅が所在する領域内の不動産物件を検索し、検索結果をユーザ端末2に表示させてもよい。
【0025】
また、システム制御部11は、一の対象地域について、今年以前で何れかの複数年分の不動産価格の代表値を取得してもよい。そして、システム制御部11は、年ごとに、その年分の不動産価格の代表値に基づいて、ステップS1〜S6によりヒートマップを生成してもよい。これにより、システム制御部11は、複数年分の不動産価格の代表値それぞれに対応する複数年分のヒートマップを、古い年順にユーザ端末2に表示させてもよい。これにより、ユーザは、各領域について不動産価格の変化の傾向を把握することができる。この傾向から、ユーザは、将来の不動産価格を或る程度予測することができる。ユーザがヒートマップを切り替える操作を行うごとに次の年のヒートマップが表示されてもよい。或いは、アニメーションのように自動的にヒートマップが変化してもよい。
【0026】
また、システム制御部11は、今年以前で何れかの複数年分の不動産価格の代表値を取得し、複数年分の不動産価格の代表値に基づいて、複数の領域それぞれについて単位不動産当たりの不動産価格を予測してもよい。そして、システム制御部11は、予測された将来の不動産価格について対数を計算して、ヒートマップを生成してもよい。これにより、将来の不動産価格の予測値を、ヒートマップで把握することができる。何年後の不動産価格を予測するかは、予め設定されてもよいし、ユーザにより指定されてもよい。システム制御部11は、例えば回帰分析を用いて不動産価格を予測してもよい。この場合の目的変数は、例えば設定された年数後の価格である。説明変数は、例えば予め設定された年数前の年から去年までの各年の不動産価格を少なくとも含む。説明変数は、更に各年の人口増加率、着工件数、路線価と実勢価格との乖離率等のうち少なくとも1つの情報を含んでもよい。システム制御部11は、如何なる情報を用いて予測を行ったかを、ヒートマップとともに表示させてもよい。
【0027】
また、システム制御部11は、ヒートマップ上に、対象地域内にある複数の不動産業者の事業所を示すマークを、その事業所の住所に対応する位置で表示させてもよい。これにより、不動産情報提供システムSでは得られない物件の情報を、不動産業者の事業所に直接行って問い合わせたい場合に、その事業所の場所をユーザが把握することができる。マークの例として、図形、記号等が挙げられる。ヒートマップから何れかの事業所を示すマークをユーザが選択した場合、システム制御部11は、選択された事業所の情報をユーザ端末2に表示させてもよい。事業所の情報の例として、不動産業者名、電話番号、住所等が挙げられる。
【0028】
また、ヒートマップの描画に用いられる複数段階の色彩はグレースケールであってもよい。この場合、不動産価格の対数が大きくなるに従って、例えば白から黒まで、割り当てられる色彩の輝度値が等間隔で変化する。
【0029】
また、システム制御部11は、不動産価格の代表値の外れ値を、予め設定された下限値又は上限値へ変更することなく、対数の計算を行ってもよい。
【0030】
また、上述した鉄道路線が敷かれている地域のヒートマップの表示、複数年分のヒートマップの表示、及び不動産価格の予測値に応じたヒートマップの表示については、対数の計算は必須ではない。システム制御部11は、不動産価格の代表値そのものに応じて各領域に色彩の割り当てを行ってもよい。
【0031】
また、
図2に示すフローチャートに相当するプログラムが、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録され、或いはインターネット等のネットワークから取得されて記録されてもよい。このプログラムをマイクロコンピュータが読み出して実行することにより、マイクロコンピュータが本実施形態のシステム制御部として機能してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 情報提供サーバ
11 システム制御部
2 ユーザ端末
S 不動産情報提供システム