【解決手段】 本実施形態に係る磁気ディスク装置は、円周方向に並んでいる2つの第1サーボセクタと、2つの前記第1サーボセクタの間に位置する第2サーボセクタとを有するディスクと、前記ディスクに対してデータのライトし、前記ディスクからデータをリードするヘッドと、前記第1サーボセクタを復調した第1タイミングに基づいて前記第2サーボセクタを復調する第2タイミングを調整し、前記第2タイミングで前記第2サーボセクタを復調した第1復調信号の第1初期位相を前記第1復調信号の第1振幅に基づいて補正する、コントローラと、を備える。
前記コントローラは、前記サーボアドレスマークを復調した前記第1タイミングに基づいて前記第2Nバーストを復調する前記第2タイミングを調整する、請求項2に記載の磁気ディスク装置。
前記コントローラは、前記第2タイミングで前記第2Nバーストを復調した前記第1復調信号の前記第1振幅の絶対値の2乗を前記第1振幅の絶対値の2乗と前記第2Qバーストを復調した第2復調信号の第2振幅の絶対値の2乗との和で割った第1比率に応じて、前記第1初期位相と前記第2復調信号の第2初期位相とを重み付けして平均化する、請求項2又は3に記載の磁気ディスク装置。
前記コントローラは、前記第1振幅の絶対値の2乗と前記第1復調信号の重みとの関係を示すテーブルと前記第1振幅の絶対値の2乗とに基づいて前記第1初期位相を重み付けして平均化する、請求項5に記載の磁気ディスク装置。
前記コントローラは、前記第2サーボセクタを復調する第1位置を推定した推定位置と、複数の第2位置とを比較し、前記複数の第2位置の内の前記推定位置に最も近い第3位置を前記第1位置として算出する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の磁気ディスク装置。
前記複数の第2位置は、前記第1サーボセクタに基づいて算出した第1トラックアドレスと前記第2サーボセクタを復調した第1サーボ位置とを合成した第4位置と、前記第1トラックアドレスと前記第2サーボセクタの第1データパターンを反転させた第2データパターンを復調した第2サーボ位置とを合成した第5位置と、前記第1トラックアドレスの第1トラックの半径方向に隣接する第2トラックの第2トラックアドレスと前記第1サーボ位置とを合成した第6位置と、前記第2トラックアドレスと前記第2サーボ位置とを合成した第7位置と、前記第1トラックの半径方向に前記第2トラックと反対側で隣接する第3トラックの第3トラックアドレスと前記第1サーボ位置とを合成した第8位置と、前記第3トラックアドレスと前記第2サーボ位置とを合成した第9位置とを含む、請求項7に記載の磁気ディスク装置。
円周方向に並んでいる2つの第1サーボセクタと、2つの前記第1サーボセクタの間に位置する第2サーボセクタとを有するディスクと、前記ディスクに対してデータのライトし、前記ディスクからデータをリードするヘッドと、を備える磁気ディスク装置に適用されるサーボ復調位置の復調方法であって、
前記第1サーボセクタを復調した第1タイミングに基づいて前記第2サーボセクタを復調する第2タイミングを調整し、
前記第2タイミングで前記第2サーボセクタを復調した第1復調信号の第1初期位相を前記第1復調信号の第1振幅に基づいて補正する、サーボ復調位置の復調方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面は、一例であって、発明の範囲を限定するものではない。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置1の構成を示すブロック図である。
磁気ディスク装置1は、後述するヘッドディスクアセンブリ(HDA)と、ドライバIC20と、ヘッドアンプ集積回路(以下、ヘッドアンプIC、又はプリアンプ)30と、揮発性メモリ70と、不揮発性メモリ80と、バッファメモリ(バッファ)90と、1チップの集積回路であるシステムコントローラ130とを備える。また、磁気ディスク装置1は、ホストシステム(以下、単に、ホストと称する)100と接続される。
【0010】
HDAは、磁気ディスク(以下、ディスクと称する)10と、スピンドルモータ(以下、SPMと称する)12と、ヘッド15を搭載しているアーム13と、ボイスコイルモータ(以下、VCMと称する)14とを有する。ディスク10は、SPM12に取り付けられ、SPM12の駆動により回転する。アーム13及びVCM14は、アクチュエータを構成している。アクチュエータは、VCM14の駆動により、アーム13に搭載されているヘッド15をディスク10の所定の位置まで移動制御する。ディスク10およびヘッド15は、2つ以上の数が設けられてもよい。
【0011】
ディスク10は、そのデータをライト可能な領域に、ユーザから利用可能なユーザデータ領域10aと、システム管理に必要な情報をライトするシステムエリア10bとが割り当てられている。以下、ディスク10の半径方向に直交する方向を円周方向と称する。また、ディスク10の半径方向の所定の位置を半径位置と称し、ディスク10の円周方向の所定の位置を円周位置と称する場合もある。半径位置は、例えば、トラックに相当し、円周位置は、例えば、セクタに相当する。半径位置及び円周位置をまとめて単に位置と称する場合もある。
ヘッド15は、スライダを本体として、当該スライダに実装されているライトヘッド15Wとリードヘッド15Rとを備える。ライトヘッド15Wは、ディスク10上にデータをライトする。リードヘッド15Rは、ディスク10上のトラックに記録されているデータをリードする。なお、ライトヘッド15Wを単にヘッド15と称する場合もあるし、リードヘッド15Rを単にヘッド15と称する場合もあるし、ライトヘッド15W及びリードヘッド15Rをまとめてヘッド15と称する場合もある。ヘッド15の中心部をヘッド15と称し、ライトヘッド15Wの中心部をライトヘッド15Wと称し、リードヘッド15Rの中心部をリードヘッド15Rと称する場合もある。「トラック」は、ディスク10の半径方向に区分した複数の領域の内の1つの領域、ディスク10の円周方向に延長するデータ、トラックにライトされたデータや、その他の種々の意味で用いる。「セクタ」は、トラックを円周方向に区分した複数の領域の内の1つの領域、ディスク10の所定の位置にライトされたデータ、セクタにライトされたデータや、その他の種々の意味で用いる。また、トラックの半径方向の幅をトラック幅と称し、トラック幅の中心位置をトラックセンタと称する。
【0012】
図2は、実施形態に係るノーマルサーボ領域及びショートサーボ領域の配置の一例を示す模式図である。
図2に示すように、半径方向において、ディスク10の外周に向かう方向を外方向(外側)と称し、外方向と反対方向を内方向(内側)と称する。また、
図2には、ディスク10の回転方向を示している。なお、回転方向は逆向きであってもよい。
【0013】
ディスク10は、複数のサーボ領域SVを有している。以下、サーボ領域SVをサーボセクタと称する場合もある。複数のサーボ領域SVは、ディスク10の半径方向に放射状に延出して円周方向に所定の間隔を空けて離散的に配置されている。円周方向で連続する2つのサーボ領域SVの間には、ユーザデータ等をライトする記録領域が配置されている。サーボ領域SVは、例えば、サーボ領域NSV(以下、ノーマルサーボと称する)と、サーボ領域NSVと異なるサーボ領域(以下、ショートサーボと称する)SSVとを有している。ショートサーボSSVの円周方向のデータパターンの長さ(以下、単に、長さと称する場合もある)が、ノーマルサーボNSVの長さよりも短い。
図2に示した例では、ノーマルサーボNSVとショートサーボSSVとは、円周方向に交互に配置されている。言い換えると、円周方向において、連続する2つのノーマルサーボNSVの間に、1つのショートサーボSSVが配置されている。なお、円周方向において、連続する2つのノーマルサーボNSVの間に、2つ以上のショートサーボSSVが配置されていてもよい。
【0014】
図3は、本実施形態に係るノーマルサーボNSV及びショートサーボSSVの構成の一例を示す模式図である。
図3には、円周方向において、リード/ライトする方向に対応するリード/ライト方向を示している。リード/ライト方向は、例えば、
図2に示した回転方向と反対方向に相当する。リード/ライト方向は、前方から後方に向かっている。前方は、時間的に前の方向に相当し、後方は、時間的に後の方向に相当する。以下、前方を単に前又は先と称し、後方を単に後と称する場合もある。
図3には、所定のトラックに交互にライトされたノーマルサーボNSV及びショートサーボSSVを示している。また、
図3には、ノーマルサーボNSVを復調するタイミング及びショートサーボSSVを復調するタイミングを示すサーボゲートを示している。
図3に示したサーボゲートでは、ノーマルサーボNSV及びショートサーボSSVを所定の周期で交互に復調する。以下、説明の便宜上、“フーリエ変換、例えば、離散フーリエ変換等により復調した所定のデータ”を“復調信号”と称する場合もある。また、“復調信号の波形の位相”を単に“復調信号の位相”と称する場合もある。
【0015】
図3に示した例では、ノーマルサーボNSVは、サーボデータ、例えば、シンクフィールド(Sync Field)、サーボアドレスマーク(SAM)、グレイコード(Gray Code)、GAP、Nバースト(N Burst)、Qバースト(Q Burst)、及びポストコード(Post Code)を含んでいる。以下、Nバーストを単にバーストと称し、Qバーストを単にバーストと称し、Nバースト及びQバーストをまとめてバーストと称する場合もある。シンクフィールド、サーボアドレスマーク、グレイコード、GAP、Nバースト、Qバースト、及びポストコードは、これらの順番で、リード/ライト方向の前方から後方に連続して配置されている。シンクフィールドは、サーボアドレスマーク及びグレイコードなどで構成されるサーボパターンの再生信号に同期するためのシンクフィールド情報を含む。サーボアドレスマークは、サーボパターンの開始を示すサーボアドレスマーク情報を含む。グレイコードは、所定のトラックのアドレス(シリンダアドレス)と、所定のトラックのサーボセクタのアドレスとから構成される。Nバースト及びQバーストは、それぞれ、所定のトラックのトラックセンタに対するヘッド15の半径方向及び/又は円周方向の位置ずれ(位置誤差)を検出するために使用されるデータ(相対位置データ)であり、所定の周期の繰り返しパターンから構成される。サーボトラック(サーボシリンダ)とは、ホスト100等からのコマンドによりライト処理又はリード処理の対象とするトラックに相当する。Nバースト及びQバーストは、例えば、ディスク10におけるヘッド15の半径方向及び/又は円周方向の位置(以下、ヘッド位置と称する場合もある)を取得するために使用される。Nバースト及びQバーストは、例えば、Nullバーストである。GAPは、ギャップ及びサーボAGCなどの同期信号のGAP情報を含む。ポストコードは、サーボデータをディスクにライトをしたときのディスク10の回転に同期したブレ(繰り返しランナウト:RRO)によって生じるディスク10と同心円状のトラックセンタ(目標経路)に対するトラックの歪みに起因する誤差を補正するためのデータ(以下、RRO補正データと称する)等を含む。以下、説明の便宜上、RROによって生じるトラックセンタに対するトラックの歪みに起因する誤差を単にRROと称する場合もある。また、ポストコードは、ショートサーボSSVに対応するポストコードも含んでもよい。
【0016】
図3には、SAMを検出したタイミングを示すSAM Foundと、Nバースト及びQバーストを復調するタイミングを示すバーストゲートとを示している。バーストゲートの内のノーマルサーボNSVのNバーストを復調するタイミングは、SAM Foundの立ち上がりのタイミングに基づいて設定される。バーストゲートの内のノーマルサーボNSVのNバーストを復調するタイミングは、例えば、SAM Foundの立ち上がりのタイミングから一定のタイミングNBT後に立ち上がるように設定されている。タイミングNBTは、例えば、所定のトラックの各ノーマルサーボにおいて一定である。
【0017】
図3に示した例では、ショートサーボSSVは、サーボデータ、例えば、Nバースト及びQバーストを含んでいる。Nバースト及びQバーストは、これらの順番で、リード/ライト方向の前方から後方に連続して配置されている。ショートサーボSSVのNバーストの長さは、例えば、ノーマルサーボNSVのNバーストの長さと同等である。なお、ショートサーボSSVのNバーストの長さは、ノーマルサーボNSVのNバーストの長さと異なっていてもよい。ショートサーボSSVのQバーストの長さは、例えば、ノーマルサーボNSVのQバーストの長さと同等である。なお、ショートサーボSSVのQバーストの長さは、ノーマルサーボNSVのQバーストの長さと異なっていてもよい。
バーストゲートの内のショートサーボSSVのバースト、例えば、Nバーストを復調するタイミングは、例えば、ノーマルサーボNSVの立ち上がりのタイミングに基づいて設定される。バーストゲートの内のショートサーボSSVのNバーストを復調するタイミングは、ずれが生じ得る。そのため、バーストゲートの内のショートサーボSSVのNバーストを復調するタイミングは、例えば、直前のノーマルサーボNSVのSAM Foundの立ち上がりのタイミングから調整したタイミングSBT後に立ち上がるように設定される。タイミングSBTは、サーボ領域SV毎、例えば、ノーマルサーボNSV及びショートサーボSSV毎に調整される。
【0018】
図4は、Nバースト及びQバーストのデータパターンの一例を示す図である。
図4には、トラックTRnと、トラックTRnの半径方向、例えば、内方向に隣接するトラックTRn+1とを示している。以下、所定のトラックの半径方向に隣接トラックを隣接トラックと称する。
図4には、トラックTRnのトラックセンタTRCnと、トラックTRn+1のトラックセンタTRCn+1とを示している。
図4には、トラックTRnのNバーストと、トラックTRnのQバーストと、トラックTRn+1のNバーストと、トラックTRn+1のQバーストとを示している。トラックTRnのNバーストとトラックTRn+1のNバーストとは、半径方向で互いに隣接している。トラックTRnのQバーストとトラックTRn+1のQバーストとは、半径方向で互いに隣接している。以下、所定のバーストの半径方向に隣接する他のバーストを隣接バーストと称する場合もある。
図4には、トラックTRnのNバーストをフーリエ変換、例えば、離散フーリエ変換等により復調した円周方向のNバーストの波形(以下、円周波形と称する場合もある)CDNと、Qバーストの円周方向の波形CDQと、を示している。以下、
図4には、トラックTRn及びトラックTRn+1のNバーストをフーリエ変換、例えば、離散フーリエ変換等により復調して算出した半径方向のNバーストの復調信号(以下、Nバースト復調信号と称する場合もある)のCOS成分(以下、単に、NバーストCOS成分と称する)NCSと、トラックTRn及びトラックTRn+1のQバーストをフーリエ変換、例えば、離散フーリエ変換等により復調して算出した半径方向のQバーストの復調信号(以下、Qバースト復調信号と称する場合もある)のCOS成分(以下、単に、QバーストCOS成分と称する)QCSとを示している。NバーストCOS成分NCSにおいて、トラックTRnのNバーストに相当する部分をトラックTRnのNバーストCOS成分NCSと称し、トラックTRn+1のNバーストに相当する部分をトラックTRn+1のNバーストCOS成分NCSと称する。QバーストCOS成分QCSにおいて、トラックTRnのQバーストに相当する部分をトラックTRnのQバーストCOS成分QCSと称し、トラックTRn+1のQバーストに相当する部分をトラックTRn+1のQバーストCOS成分QCSと称する。
図4には、半径方向に沿ってリードしたトラックTRn及びトラックTRn+1のNバースト復調信号のSIN成分(以下、単に、NバーストSIN成分と称する)NSNと、半径方向に沿ってリードしたトラックTRn及びトラックTRn+1のQバースト復調信号のSIN成分(以下、単に、QバーストSIN成分と称する)QSNとを示している。NバーストSIN成分NSNにおいて、トラックTRnのNバーストに相当する部分をトラックTRnのNバーストSIN成分NSNと称し、トラックTRn+1のNバーストに相当する部分をトラックTRn+1のNバーストSIN成分NSNと称する。QバーストSIN成分QSNにおいて、トラックTRnのQバーストに相当する部分をトラックTRnのQバーストSIN成分QSNと称し、トラックTRn+1のQバーストに相当する部分をトラックTRn+1のQバーストSIN成分QSNと称する。以下で、“半径方向のバーストの復調信号”を単に“バースト復調信号”と称し、“半径方向のNバーストの復調信号”を単に“Nバースト復調信号”と称し、“半径方向のQバーストの復調信号”を単に“Qバースト復調信号”と称する場合もある。
【0019】
Nバースト及びQバーストは、それぞれ、ディスク10の円周方向に周期的に変動している。
図4に示した例では、Nバーストの円周波形CDNの振幅とQバーストの円周波形NCSの振幅とは、異なっている。
Nバースト及びQバーストは、それぞれ、半径方向に2サーボトラックで1周期となるデータパターンでライトされている。Nバースト及びQバーストは、それぞれ、ディスク10の半径方向に1サーボトラック周期でバーストデータの位相が180°反転するデータパターンでライトされている。言い換えると、所定のNバーストの位相は、この所定のNバーストに隣接する隣接Nバーストの位相に対して180°反転している。
図4に示した例では、トラックTRnのNバーストCOS成分は、トラックTRn+1のNバーストCOS成分に対して180°反転している。トラックTRnのNバーストSIN成分は、トラックTRn+1のNバーストSIN成分に対して180°反転している。また、所定のQバーストの位相は、この所定のQバーストに隣接する隣接Qバーストの位相に対して180°反転している。
図4に示した例では、トラックTRnのNバーストCOS成分は、トラックTRn+1のNバーストCOS成分に対して180°反転している。トラックTRnのNバーストSIN成分は、トラックTRn+1のNバーストSIN成分に対して180°反転している。NバーストとQバーストとは、互いにディスク10の半径方向に位相が90°ずれるデータパターンでライトされている。言い換えると、Nバーストの位相とQバーストの位相とは、例えば、互いに半径方向に90°ずれている。
図4に示した例では、NバーストCOS成分NCSとQバーストCOS成分QCSとは、互いに半径方向に90°ずれている。また、NバーストSIN成分NSNとQバーストSIN成分QSNとは、互いに半径方向に90°ずれている。
【0020】
ドライバIC20は、システムコントローラ130(詳細には、後述するMPU60)の制御に従って、SPM12およびVCM14の駆動を制御する。
ヘッドアンプIC(プリアンプ)30は、リードアンプ及びライトドライバを備えている。リードアンプは、ディスク10からリードされたリード信号を増幅して、システムコントローラ130(詳細には、後述するリード/ライト(R/W)チャネル40)に出力する。ライトドライバは、R/Wチャネル40から出力される信号に応じたライト電流をヘッド15に出力する。
【0021】
揮発性メモリ70は、電力供給が断たれると保存しているデータが失われる半導体メモリである。揮発性メモリ70は、磁気ディスク装置1の各部での処理に必要なデータ等を格納する。揮発性メモリ70は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、又はSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)である。
【0022】
不揮発性メモリ80は、電力供給が断たれても保存しているデータを記録する半導体メモリである。不揮発性メモリ80は、例えば、NOR型またはNAND型のフラッシュROM(Flash Read Only Memory :FROM)である。
バッファメモリ90は、磁気ディスク装置1とホスト100との間で送受信されるデータ等を一時的に記録する半導体メモリである。なお、バッファメモリ90は、揮発性メモリ70と一体に構成されていてもよい。バッファメモリ90は、例えば、DRAM、SRAM(Static Random Access Memory)、SDRAM、FeRAM(Ferroelectric Random Access memory)、又はMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)等である。
【0023】
システムコントローラ(コントローラ)130は、例えば、複数の素子が単一チップに集積されたSystem-on-a-Chip(SoC)と称される大規模集積回路(LSI)を用いて実現される。システムコントローラ130は、リード/ライト(R/W)チャネル40と、ハードディスクコントローラ(HDC)50と、マイクロプロセッサ(MPU)60と、を含む。システムコントローラ130は、例えば、ドライバIC20、ヘッドアンプIC30、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、バッファメモリ90、及びホスト100に電気的に接続されている。
【0024】
R/Wチャネル40は、後述するMPU60からの指示に応じて、ディスク10からホスト100に転送されるリードデータ及びホスト100から転送されるライトデータの信号処理を実行する。R/Wチャネル40は、リードデータの信号品質を測定する回路、又は機能を有している。R/Wチャネル40は、例えば、ヘッドアンプIC30、HDC50、及びMPU60等に電気的に接続されている。
【0025】
HDC50は、後述するMPU60からの指示に応じて、ホスト100とR/Wチャネル40との間のデータ転送を制御する。HDC50は、例えば、R/Wチャネル40、MPU60、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、及びバッファメモリ90等に電気的に接続されている。
MPU60は、磁気ディスク装置1の各部を制御するメインコントローラである。MPU60は、ドライバIC20を介してVCM14を制御し、ヘッド15の位置決めを行なうサーボ制御を実行する。また、MPU60は、ドライバIC20を介してSPM12を制御し、ディスク10を回転させる。MPU60は、ディスク10へのデータのライト動作を制御すると共に、ライトデータの保存先を選択する。また、MPU60は、ディスク10からのデータのリード動作を制御すると共に、リードデータの処理を制御する。MPU60は、磁気ディスク装置1の各部に接続されている。MPU60は、例えば、ドライバIC20、R/Wチャネル40、及びHDC50等に電気的に接続されている。
【0026】
MPU60は、リード/ライト制御部610と、復調部620と、推定部630とを含む。MPU60は、これら各部、例えば、リード/ライト制御部610、復調部620、及び推定部630等の処理をファームウェア上で実行する。なお、MPU60は、これら各部、例えば、リード/ライト制御部610、復調部620、及び推定部630を回路として備えていてもよい。
【0027】
リード/ライト制御部610は、ホスト100からのコマンドに従って、データのリード処理及びライト処理を制御する。リード/ライト制御部610は、ドライバIC20を介してVCM14を制御し、ヘッド15をディスク10の所定の位置に位置決めし、データをリード又はライトする。
【0028】
復調部620は、R/Wチャネル40を介して所定のトラックのサーボ領域SVの所定の位置(以下、サーボ復調位置と称する)にヘッド15(リードヘッド15R)を位置決めして、所定のタイミング(以下、リードタイミングと称する)でリードしたリードデータに復調処理を実行する。以下、半径方向のサーボ復調位置をサーボ半径位置又は、単にサーボ復調位置と称し、円周方向のサーボ復調位置をサーボ円周位置又は、単にサーボ復調位置と称し、半径方向及び円周方向のサーボ復調位置をまとめてサーボ復調位置と称する場合もある。なお、復調部620は、R/Wチャネル40に備わっていてもよい。
【0029】
復調部620は、所定のトラックのノーマルサーボNSVの所定のデータに基づいて算出した目標とするサーボ復調位置(以下、目標サーボ復調位置と称する)にヘッド15(リードヘッド15R)を位置決めして、ノーマルサーボNSVで所定のデータをリードしたタイミング、例えば、SAMをリードしたタイミングに基づいてリードしたリードデータ、例えば、Nバースト及びQバーストにフーリエ変換、例えば、離散フーリエ変換等により復調処理を実行する。復調部620は、直前にリードしたノーマルサーボNSVの所定のデータに基づいて算出したショートサーボSSVの目標サーボ復調位置にヘッド15(リードヘッド15R)を位置決めし、直前にリードしたノーマルサーボNSVで所定のデータ、例えば、SAMをリードしたタイミングに基づいてリードしたリードデータ、例えば、Nバースト及びQバーストにフーリエ変換、例えば、離散フーリエ変換等により復調処理を実行する。
【0030】
復調部620は、復調処理において、種々の補正を実行する。例えば、復調部620は、サーボ領域SVの所定のサーボデータ、例えば、バーストを復調、例えば、離散フーリエ変換し、復調信号の復調を開始する位相(以下、初期位相と称する)を算出し、算出した初期位相を補正し、初期位相を補正した復調信号に回転補正を実行し、回転補正を実行した復調信号に速度補正を実行し、速度補正を実行した復調信号にリニアリティ補正を実行し、リニアリティ補正を実行して復調信号に基づいて算出した位置(以下、バースト位置と称する場合もある)にトラック(シリンダ)アドレスを合成してヘッド15のサーボ復調位置、例えば、半径位置を復調する。復調部620は、ヘッド15のサーボ復調位置を復調する場合、バースト復調信号のCOS成分又はSIN成分に基づいてヘッド15のサーボ復調位置を復調する。以下、復調部620は、バースト復調信号のCOS成分に基づいてヘッド15のサーボ復調位置を復調するものとする。なお、復調部620は、バースト復調信号のSIN成分に基づいてヘッド15のサーボ復調位置を復調してもよい。
【0031】
復調部620は、サーボ領域SV毎、例えば、ショートサーボSSV毎に調整したタイミングで所定のサーボデータを復調した復調信号、例えば、バーストを復調したバースト復調信号の初期位相を算出する。なお、復調部620は、ノーマルサーボNSV及びショートサーボSSV毎に調整したタイミングでバーストを復調したバースト復調信号の初期位相を算出してもよい。以下、“サーボ領域SV毎に調整したタイミングでバーストを復調したバースト復調信号”を“調整復調信号”と称する場合もある。また、“サーボ領域SV毎に調整したタイミングでNバーストを復調したNバースト復調信号”を“N調整復調信号”と称し、“サーボ領域SV毎に調整したタイミングでQバーストを復調したQバースト復調信号”を“Q調整復調信号”と称する場合もある。調整復調信号のS/N比を最大にするように初期位相を算出する場合、調整復調信号の振幅が小さい箇所で不感帯が発生し得る。例えばフーリエ変換で得た調整復調信号のCOS成分、SIN成分を用いて、COS成分が最大となる初期位相をアークタンジェントで算出する場合に生じる。そのため、復調部620は、調整復調信号の振幅に基づいて調整復調信号の初期位相を補正する。なお、復調部620は、ショートサーボSSV毎に調整したタイミングで所定のサーボデータを復調した調整復調信号の振幅に基づいてこの調整復調信号の初期位相を補正してもよいし、ノーマルサーボNSV及びショートサーボSSV毎に調整したタイミングで所定のサーボデータを復調したこの調整復調信号の振幅に基づいて調整復調信号の初期位相を補正してもよい。例えば、復調部620は、調整復調信号の振幅の絶対値の2乗比に基づいて重み付けして平均化することで調整復調信号の初期位相を補正する。以下、“補正した調整復調信号”を“補正復調信号”と称し、“補正したN調整復調信号”を“N補正復調信号”と称し、“補正したQ調整復調信号”を“Q補正復調信号”と称する場合もある。また、“補正復調信号の初期位相”を“補正位相”と称する場合もある。復調部620は、例えば、以下の式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)及び(8)より、サーボ領域SV毎に補正位相を算出する。
【0032】
θn=arctan(Ns/Nc)・・・(1)
θq=arctan(Qs/Qc)・・・(2)
if(abs(θn−θq)≧π/2){
if(Nr<0.5){
if((θn―θq)≧0){
θn=θn−π
}else{
θn=θn+π
}
else{
if((θn−θq)>0){
θq=θq−π
}else{
θq=θq+π
}
}
}・・・・(3)
Nr=(Ns^2+Nc^2)/(Ns^2+Nc^2+Q^2+Q^2)・・・(4)
Nwt=Weight Table[Nr×128]・・・(5)
θcr=θn×Nwt+θq×(1−Nwt)・・・(6)
Ncc=Nc×cоs(θcr)+Ns×sin(θcr)・・・(7)
Qcc=Qc×cоs(θcr)+Qs×sin(θcr)・・・(8)
【0033】
ここで、θnは、補正前のN調整復調信号の初期位相であり、θqは、補正前のQ調整復調信号の初期位相であり、Nrは、N調整復調信号の振幅の絶対値の2乗を分子とし、N調整復調信号の振幅の絶対値の2乗とQ調整復調信号振幅の絶対値の2乗の和を分母とした時の信号比であり、Weight Tableは、N調整復調信号の初期位相及びQ調整復調信号の初期位相の重み付けのテーブルであり、Nwtは、N調整復調信号の重みを示し、θcrは、補正位相であり、Ncは、補正前のN調整復調信号のCOS成分(以下、N調整COS成分と称する場合もある)の振幅であり、Qcは、補正前のQ調整復調信号のCOS成分(以下、Q調整COS成分と称する場合もある)の振幅であり、Nccは、N補正復調信号のCOS成分(以下、N補正COS成分と称する場合もある)の振幅であり、Qccは、Q補正復調信号のCOS成分(以下、Q補正COS成分と称する場合もある)の振幅であり、Nsは、N調整復調信号のSIN成分(以下、N調整SIN成分と称する場合もある)の振幅であり、Qsは、Q調整復調信号のSIN成分(以下、Q調整SIN成分と称する場合もある)の振幅である。
【0034】
Weight Tableは、例えば、128分解能に相当する。Weight Tableは、例えば、N調整復調信号の振幅の絶対値の2乗を分子とし、N調整復調信号の振幅の絶対値の2乗とQ調整復調信号振幅の絶対値の2乗の和を分母とした時の比と、N調整復調信号の初期位相及びQ調整復調信号の初期位相の重みとの関係を示している。なお、Weight Tableは、例えば、QN整復調信号の振幅の絶対値の2乗を分子とし、N調整復調信号の振幅の絶対値の2乗とQ調整復調信号振幅の絶対値の2乗の和を分母とした時の比と、N調整復調信号の初期位相及びQ調整復調信号の初期位相の重みとの関係を示していてもよい。Weight Tableは、例えば、装置毎、ヘッド毎、及び半径位置毎に最適化されている。前述したように、調整復調信号の振幅の絶対値の2乗比に基づいて重み付けして平均化することで調整復調信号の初期位相を補正することで、不感帯を生じさせずに調整復調信号のS/N比を改善することができる。
【0035】
図5は、サーボ領域SV毎にSAM Foundの立ち上がりのタイミングから一定のタイミングでバーストを復調したバースト復調信号のNバーストCOS成分NCS1とQバーストCOS成分QCS1との一例を示す図である。
図5には、半径方向に連続して並ぶトラックTRn+1、TRn、TRn−1、及びTRn−2を示している。
図5には、トラックTRn+1乃至TRn−2のNバーストCOS成分NCS1と、トラックTRn+1乃至TRn−2のQバーストCOS成分QCS1とを示している。NバーストCOS成分NCS1は、サーボ領域SV毎の直前のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから一定のタイミングでNバーストを復調したNバースト復調信号のCOS成分に相当し、QバーストCOS成分QCS1は、サーボ領域SV毎の直前のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから一定のタイミングで復調したNバーストに対応する各サーボ領域SVのQバーストCOS成分に相当する。例えば、NバーストCOS成分NSC1は、ノーマルサーボNSV毎のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから一定のタイミングでNバーストを復調し、ショートサーボSSV毎に直前のノーマルサーボNSVのSAM Foundの立ち上がりのタイミングから一定のタイミングでNバーストを復調して算出される。例えば、QバーストCOS成分QCS1は、ノーマルサーボNSV毎のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから一定のタイミングで復調したNバーストに基づいてQバーストを復調し、ショートサーボSSV毎に直前のノーマルサーボNSVのSAM Foundの立ち上がりのタイミングから一定のタイミングで復調したNバーストに基づいてQバーストを復調して算出される。以下、“サーボ領域SV毎に一定のタイミングでバーストを復調したバースト復調信号“を“一定復調信号”と称する場合もある。また、“サーボ領域SV毎に一定のタイミングでNバーストを復調したNバースト復調信号“を“N一定復調信号”と称し、“サーボ領域SV毎に一定のタイミングでQバーストを復調したQバースト復調信号“を“Q一定復調信号”と称する場合もある。
【0036】
サーボ領域SV毎に直前のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから一定のタイミングでNバーストを復調した場合、各サーボ領域SVのNバーストを復調するタイミングにずれが生じるため、N一定復調信号のCOS成分(以下、N一定COS成分と称する場合もある)NCS1とQ一定復調信号のCOS成分(以下、Q一定COS成分と称する場合もある)QCS1とは、
図5に示すように変動し得る。
【0037】
図6は、
図5に示した2トラックTRn及びTRn+1のN一定COS成分NCS1及びQ一定COS成分QCS1に基づくリサージュ波形の一例を示す図である。
図6において、横軸は、NバーストCOS成分を示し、縦軸は、QバーストCOS成分を示している。
図6の横軸において、NバーストCOS成分は、原点(=0)よりも正の矢印の方向に進むに従って正の値の方向へ大きくなり、原点(=0)よりも負の矢印の方向に進むに従って負の値の方向に小さくなる。
図6の縦軸において、QバーストCOS成分は、原点(=0)よりも正の矢印の方向に進むに従って正の値の方向へ大きくなり、原点(=0)よりも負の矢印の方向に進むに従って負の値の方向に小さくなる。
【0038】
トラックTRn及びTRn+1のサーボ領域SV毎に直前のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから一定のタイミングでNバーストを復調した場合、トラックTRn及びTRn+1の各サーボ領域SVのNバーストを復調するタイミングにずれが生じるため、トラックTRn及びTRn+1のN一定COS成分NCS1とトラックTRn及びTRn+1のQ一定COS成分QCS1とに基づくリサージュ波形は、
図6に示すように全体的に分布する。
【0039】
図7は、2トラックTRn及びTRn+1のN調整COS成分NCS1及びQ調整COS成分QCS1に基づくリサージュ波形の一例を示す図である。
図7において、横軸は、NバーストCOS成分を示し、縦軸は、QバーストCOS成分を示している。
図7の横軸において、NバーストCOS成分は、原点(=0)よりも正の矢印の方向に進むに従って正の値の方向へ大きくなり、原点(=0)よりも負の矢印の方向に進むに従って負の値の方向に小さくなる。
図6の縦軸において、QバーストCOS成分は、原点(=0)よりも正の矢印の方向に進むに従って正の値の方向へ大きくなり、原点(=0)よりも負の矢印の方向に進むに従って負の値の方向に小さくなる。
【0040】
トラックTRn及びTRn+1のサーボ領域SV毎に直前のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから調整したタイミングでNバーストを復調した場合、トラックTRn及びTRn+1のN調整COS成分とトラックTRn及びTRn+1のQ調整COS成分とに基づくリサージュ波形は、
図7に示すようにほぼ円形形状になり得る。
図7に示したリサージュ波形において、トラックTRn及びTRn+1のN調整COS成分とトラックTRn及びTRn+1のQ調整COS成分とが小さい位相で不感帯が生じる。
【0041】
図8は、半径位置に対するノーマルサーボNSVのみを含む各サーボ領域SVの一定復調信号の初期位相の変化と半径位置に対するノーマルサーボNSVのみを含む各サーボ領域SVの一定復調信号のNバースト復調信号の振幅の絶対値の2乗を分子とし、Nバースト復調信号の振幅の絶対値の2乗とQバースト復調信号の振幅の絶対値の2乗の和を分母とした時の比の変化との一例を示す図である。
図8において、横軸は、半径位置を示し、縦軸は、バースト復調信号(Nバースト復調信号及びQバースト復調信号)の初期位相と、Nバースト復調信号の振幅の絶対値の2乗比とを示している。以下、“Nバースト復調信号の振幅の絶対値の2乗を分子とし、Nバースト復調信号の振幅の絶対値の2乗とQバースト復調信号の振幅の絶対値の2乗の和を分母とした時の比”を“N絶対値2乗比”と称する場合もある。
図8の縦軸において、バースト復調信号の初期位相は、原点(=0)よりも正の矢印の方向に進むに従って正の値の方向へ大きくなり、原点(=0)よりも負の矢印の方向に進むに従って負の値の方向に小さくなる。
図8の縦軸において、N絶対値2乗比は、大の矢印の方向に進むに従って大きくなり、小の矢印に向かって進むに従って小さくなる。
図8には、半径位置に対するノーマルサーボNSVのみを含む各サーボ領域SVのN一定復調信号の初期位相の変化NIP1と、半径位置に対するノーマルサーボNSVのみを含む各サーボ領域SVのQ一定復調信号の初期位相の変化QIP1と、半径位置に対するノーマルサーボNSVのみを含む各サーボ領域SVの一定復調信号のN絶対値2乗比の変化NSR1と、N絶対値2乗比の変化NSR1に基づいて重み付けして平均化した初期位相(以下、重み平均初期位相と称する)の変化WAP1とを示している。
【0042】
図8に示した例では、一定復調信号のN絶対値2乗比の変化NSR1は、N一定復調信号の初期位相の変化NIP1とQ一定復調信号の初期位相の変化QIP1とに基づいて算出される。重み平均初期位相の変化WAP1は、一定復調信号のN絶対値2乗比の変化NSR1と各半径位置でのNバースト復調信号の初期位相及びQバースト復調信号の初期位相の重みとに基づいて算出される。重み平均初期位相の変化WAP1は、各半径方向においてほぼ一定である。
【0043】
図9は、半径位置に対するノーマルサーボ及びショートサーボを含む各サーボ領域の一定復調信号の初期位相の変化と半径位置に対するノーマルサーボ及びショートサーボを含む各サーボ領域の一定復調信号のNバースト振幅の絶対値の2乗を分子とし、Nバースト振幅の絶対値の2乗とQバースト振幅の絶対値の2乗の和を分母とした時の比の変化との一例を示す図である。
図9において、横軸は、半径位置を示し、縦軸は、バースト復調信号(Nバースト復調信号及びQバースト復調信号)の初期位相と、N絶対値2乗比とを示している。
図9の縦軸において、バースト復調信号の初期位相は、原点(=0)よりも正の矢印の方向に進むに従って正の値の方向へ大きくなり、原点(=0)よりも負の矢印の方向に進むに従って負の値の方向に小さくなる。
図9の縦軸において、N絶対値2乗比は、大の矢印の方向に進むに従って大きくなり、小の矢印に向かって進むに従って小さくなる。
図9には、半径位置に対するノーマルサーボNSV及びショートサーボSSVを含む各サーボ領域SVのN一定復調信号の初期位相の変化NIP2と、半径位置に対するノーマルサーボNSV及びショートサーボSSVを含む各サーボ領域SVの一定復調信号のQ一定復調信号の初期位相の変化QIP2と、半径位置に対するノーマルサーボNSV及びショートサーボSSVを含む各サーボ領域SVの一定復調信号のN絶対値2乗比の変化NSR2と、N絶対値2乗比の変化NSR2に基づいて重み付けして平均化した重み平均初期位相の変化WAP2とを示している。
図9において、N一定復調信号の初期位相の変化NIP2及びQ一定復調信号の初期位相の変化QIP2は、重み平均初期位相の変化WAP2によって覆われている。
【0044】
図9に示した例では、一定復調信号のN絶対値2乗比の変化NSR2は、N一定復調信号の初期位相の変化NIP2とQ一定復調信号の初期位相の変化QIP2とに基づいて算出される。重み平均初期位相の変化WAP2は、一定復調信号のN絶対値2乗比の変化NSR2と各半径位置でのNバースト復調信号の初期位相及びQバースト復調信号の初期位相の重みとに基づいて算出される。重み平均初期位相の変化WAP2は、各半径方向においてほぼ一定である。N絶対値2乗比の変化NSR2は、
図8に示したN絶対値2乗比の変化NSR1とほぼ同じである。そのため、N絶対値2乗比の変化NSR2に基づいてNバースト復調信号の初期位相及びQバースト復調信号の初期位相を重み付けして平均化することで、重み平均初期位相の変化WAP2を
図8に示した重み平均初期位相の変化WAP1に補正することできる。
【0045】
図10は、N絶対値2乗比に対するNバースト復調信号の初期位相の重みの一例を示す図である。
図10において、横軸は、N絶対値2乗比を示し、縦軸は、Nバースト復調信号の初期位相の重み(以下、N位相重みと称する)を示している。
図10の横軸において、N絶対値2乗比は、大の矢印の方向に進むに従って大きくなり、小の矢印に向かって進むに従って小さくなる。
図10の縦軸において、N位相重みは、大の矢印の方向に進むに従って大きくなり、小の矢印に向かって進むに従って小さくなる。
図10には、N絶対値2乗比に対するN位相重みの変化WLを示している。
図10に示した例では、N位相重みの変化WLは、N絶対値2乗比が大きくなるに従って大きくなり、N絶対値2乗比が小さくなるに従って小さくなる。
【0046】
図11は、N補正COS成分NCS2とQ補正COS成分QCS2との一例を示す図である。
図11には、トラックTRn+1乃至TRn−2のN補正COS成分NCS2と、トラックTRn+1乃至TRn−2のQ補正COS成分QCS2とを示している。N補正COS成分NCS2は、サーボ領域SV毎の直前のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから調整したタイミングでNバーストを復調したN調整復調信号のN調整COS成分をN絶対値2乗比とN絶対値2乗比に対するN位相重みとに基づいて補正したNバーストCOS成分に相当し、QバーストCOS成分QCS2は、サーボ領域SV毎の直前のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから調整したタイミングでQバーストを復調したQ調整復調信号のQ調整COS成分をN絶対値2乗比とN絶対値2乗比に対するN位相重みとに基づいて補正したQバーストCOS成分に相当する。
【0047】
図11に示した例では、復調部620は、サーボ領域SV毎の直前のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから調整したタイミングでNバーストを復調したN調整復調信号のN調整COS成分を
図9に示したN絶対値2乗比と
図10に示したN絶対値2乗比に対するN位相重みとに基づいて補正してN補正COS成分NCS2を算出する。また、復調部620は、サーボ領域SV毎の直前のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから調整したタイミングで復調したNバーストに基づいてQバーストを復調したQ調整復調信号のQ調整COS成分を
図9に示したN絶対値2乗比と
図10に示したN絶対値2乗比に対するN位相重みとに基づいて補正してQ補正COS成分QCS2を算出する。
【0048】
図12は、
図11に示した2トラックTRn及びTRn+1のN補正COS成分NCS2とQ補正COS成分QCS2に基づくリサージュ波形の一例を示す図である。
図12において、横軸は、NバーストCOS成分を示し、縦軸は、QバーストCOS成分を示している。
図12の横軸において、NバーストCOS成分は、原点(=0)よりも正の矢印の方向に進むに従って正の値の方向へ大きくなり、原点(=0)よりも負の矢印の方向に進むに従って負の値の方向に小さくなる。
図12の縦軸おいて、QバーストCOS成分は、原点(=0)よりも正の矢印の方向に進むに従って正の値の方向へ大きくなり、原点(=0)よりも負の矢印の方向に進むに従って負の値の方向に小さくなる。
【0049】
サーボ領域SV毎の直前のSAM Foundの立ち上がりのタイミングから調整したタイミングでNバーストを復調したN調整復調信号のN調整COS成分を
図9に示したN絶対値2乗比と
図10に示したN絶対値2乗比に対するN位相重みとに基づいて補正した場合、トラックTRn及びTRn+1のN補正COS成分とトラックTRn及びTRn+1のQ補正COS成分とに基づくリサージュ波形は、
図12に示すように円形形状になり得る。
【0050】
推定部630は、ショートサーボSSVのサーボデータを復調する際に目標とするヘッド15の位置(目標サーボ復調位置)を推定する。以下、“推定したショートサーボSSVの目標サーボ復調位置”を“推定位置”と称する。例えば、推定部630は、ノーマルサーボNSVのサーボデータを復調したヘッド15の位置にヘッド15の速度及び時間から算出した距離を加算して推定位置を算出してもよいし、モデルをオブザーバで実機に近づくように補正しながら推定位置を算出してもよい。
【0051】
推定部630は、推定位置と、サーボ復調位置として算出する可能性のある複数のサーボ復調位置(以下、予測復調位置と称する場合もある)とを比較し、複数の予測復調位置の内の推定部に最も近い予測復調位置を目標サーボ復調位置として算出する。例えば、推定部630は、対象とするショートサーボSSV(以下、対象ショートサーボと称する場合もある)の直前のノーマルサーボNSVのトラック(シリンダ)アドレス、例えば、グレイコードに基づいて、対象ショートサーボSSVのトラック(シリンダ)を算出する。以下、“対象ショートサーボSSVの直前のノーマルサーボNSVのトラック(シリンダ)アドレスに基づいて算出した対象ショートサーボSSVのトラック(シリンダ)”を“対象トラック(シリンダ)“と称する。推定部630は、例えば、対象トラックの半径位置、及び対象トラックの半径方向に隣接する2つの隣接トラックのそれぞれの2つの半径位置と、対象ショートサーボSSVのバーストを復調した補正復調信号に基づいて算出したバースト復調位置(以下、補正復調位置と称する場合もある)、及び対象ショートサーボSSVのバーストを180°反転させて復調した補正復調位置と、をそれぞれ合成した6つの予測復調位置を算出する。言い換えると、推定部630は、対象トラックの半径位置と対象ショートサーボSSVのバーストを復調した補正復調信号に基づいて算出したバースト復調位置とを合成した予測復調位置と、対象トラックの半径位置と対象ショートサーボSSVのバーストを180°反転させて復調した補正復調信号に基づいて算出したバースト復調位置とを合成した予測復調位置と、対象トラックの外方向に隣接する隣接トラックの半径位置と対象ショートサーボSSVのバーストを復調した補正復調信号に基づいて算出したバースト復調位置とを合成した予測復調位置と、対象トラックの外方向に隣接する隣接トラックの半径位置と対象ショートサーボSSVのバーストを180°反転させて復調した補正復調信号に基づいて算出したバースト復調位置とを合成した予測復調位置と、対象トラックの内方向に隣接する隣接トラックの半径位置と対象ショートサーボSSVのバーストを復調した補正復調信号に基づいて算出したバースト復調位置とを合成した予測復調位置と、対象トラックの内方向に隣接する隣接トラックの半径位置と対象ショートサーボSSVのバーストを180°反転させて復調した補正復調信号に基づいて算出したバースト復調位置とを合成した予測復調位置とを算出する。推定部630は、推定位置と6つの予測復調位置とを比較し、算出した6つの予測復調位置の内の推定位置との差分値が最も小さい予測復調位置を選択し、選択した予測復調位置を対象ショートサーボSSVのサーボ復調位置として算出する。前述したように、複数の予測復調位置と推定位置とを比較して複数の予測復調位置の内の推定位置に最も近い予測復調位置をサーボ復調位置とすることにより、ショートサーボSSVのサーボデータを復調するサーボ復調位置が半径方向又は円周方向にずれたとしても、ショートサーボSSVのサーボデータを復調するサーボ復調位置を精度よく算出することが可能となる。なお、推定部630は、復調部620に含まれていてもよい。
【0052】
図13は、半径方向の各サーボ領域SVにおけるヘッド15のサーボ復調位置SPとヘッド15の推定位置EPとの一例を示す図である。
図13において、横軸は、ヘッド15の目標位置を示し、縦軸は、ヘッド15の実際の位置を示している。
図13の横軸において、目標位置は、大の矢印の方向に進むに従って大きくなり、小の矢印に向かって進むに従って小さくなる。
図13の縦軸において、実際の位置は、大の矢印の方向に進むに従って大きくなり、小の矢印に向かって進むに従って小さくなる。
図13には、半径方向の各サーボ領域SVにおけるヘッド15のサーボ復調位置SPと、半径方向の各サーボ領域SVにおけるヘッド15の推定位置EPとを示している。
図13において、サーボ復調位置SPと推定位置EPとは、重なっている。
【0053】
推定部630は、推定位置EPを算出する。推定部630は、対象トラックの半径位置及び対象トラックの半径方向に隣接する2つの隣接トラックの半径位置と、対象ショートサーボSSVのバーストを復調した補正復調位置及び対象ショートサーボSSVのバーストを180°反転させて復調した補正復調位置と、をそれぞれ合成した6つの予測復調位置を算出する。推定部630は、推定位置EPと6つの予測復調位置とを比較し、6つの予測復調位置の内の推定位置に最も近い予測復調位置SPを選択し、選択した予測復調位置SPを対象ショートサーボSSVのサーボ復調位置として算出する。
図13に示すように、推定位置EPと複数の予測復調位置とを比較して複数の予測復調位置の内の推定位置に最も近い予測復調位置SPをサーボ復調位置とすることで、ショートサーボSSVのサーボデータを復調するサーボ復調位置が半径方向又は円周方向にずれたとしても、ショートサーボSSVのサーボデータを復調するサーボ復調位置を精度よく算出することが可能となる。
【0054】
図14A及び
図14Bは、本実施形態に係る初期位相の補正方法の一例を示すフローチャートである。
MPU60は、Nc!=0、Qc!=0、Ns!=0、Qs!=0であるか、でないかを判定する(B1401)。ここで、Ncは、N調整COS成分であり、Qcは、Q調整COS成分であり、Nsは、N調整SIN成分であり、Qsは、Q調整SIN成分である。Nc!=0、Qc!=0、Ns!=0、Qs!=0でないと判定した場合(B1401のNO)、MPU60は、Nr=0とし(B1402)、B1406の処理へ進む。ここで、Nrは、N絶対値2乗比である。Nc!=0、Qc!=0、Ns!=0、Qs!=0であると判定した場合(B1401のYES)、MPU60は、Nr=(Ns^2+Nc^2)/(Ns^2+Nc^2+Qs^2+Qc^2)を算出する(B403)。MPU60は、Nr>1であるかNr≦1であるかを判定する(B1404)。Nr≦1であると判定した場合(B1404のNо)、MPU60は、B1406の処理へ進む。Nr>1であると判定した場合(B1404のYes)、MPU60は、Nr=1とする(B1405)。MPU60は、Nwt=Weight Table[128×Nr]を算出する(B1406)。ここで、Nwtは、N調整復調信号の重みを示し、Weight Tableは、N調整復調信号の初期位相及びQ調整復調信号の初期位相の重み付けのテーブルである。Weight Tableは、例えば、128分解能である。MPU60は、Nc!=0であるか、Nc!=0でないかを判定する(B1407)。Nc!=0でないと判定した場合(B1407のNo)、MPU60は、θn=π/2とし(B1408)、B1410の処理へ進む。ここで、θnは、補正前のN調整復調信号の初期位相である。Nc!=0であると判定した場合(B1407のYes)、MPU60は、θn=atan(Ns/Nc)を算出し(B1409)、Nc!=0であるか、Nc!=0でないかを判定する(B1410)。Nc!=0でないと判定した場合(B1410のNo)、MPU60は、θq=π/2とし、Aの処理に進む。ここで、θqは、補正前のQ調整復調信号の初期位相である。Nc!=0であると判定した場合(B1410のYes)、MPU60は、θq=atan(Qs/Qc)を算出し(B1412)、
図14AのAの処理へ進む。
【0055】
MPU60は、
図14AのAの処理に相当する
図14BのAの処理からB1413の処理へ進み、|θn−θq|≧π/2であるか|θn−θq|<π/2であるかを判定する(B1413)。|θn−θq|<π/2であると判定した場合(B1413のNo)、MPU60は、B1421の処理へ進む。|θn−θq|≧π/2であると判定した場合(B1413のYes)、MPU60は、Nr≦0.5であるかNr>0.5であるかを判定する(B1414)。Nr>0.5であると判定した場合(B1414のNo)、MPU60は、(θn−θq)>0であるか(θn−θq)≦0であるかを判定する(B1415)。(θn−θq)≦0であると判定した場合(B1415のNo)、MPU60は、θq=θq−πとし(B1416)、処理B1421に進む。(θn−θq)>0であると判定した場合(B1415のYes)、MPU60は、θq=θq+πとし(B1417)、B1421の処理へ進む。
【0056】
Nr≦0.5であると判定した場合(B1414のYes)、MPU60は、(θn−θq)<0であるか(θn−θq)≧0であるかを判定する(B1418)。(θn−θq)≧0であると判定した場合(B1418のNо)、MPU60は、θn=θn−πとし(B1419)、B1421の処理へ進む。(θn−θq)<0であると判定した場合(B1418のYes)、MPU60は、θn=θn+πとし(B1420)、θcr=θn×Nwt+θq×(1−Nwt)を算出する(B1421)。MPU60は、Ncc=Nc×cоs(θcr)+Ns×sin(θcr)、Qcc=Qc×cоs(θcr)+Qs×sin(θcr)を算出し(B1422)、処理を終了する。
【0057】
図15A及び
図15Bは、本実施形態に係る復調位置の算出方法の一例を示すフローチャートである。
MPU60は、pоs_diff=0x7ffffffである(B1501)。ここで、pоs_diffは、推定位置と実際の復調位置との差である。MPU60は、c[0]=cx−1、cx[1]=cx、c[2]=cx+1、p[0]=bstを算出する(B1502)。cは、トラック(シリンダ)である。cxは、対象トラック(シリンダ)である。pは、バースト復調位置、例えば、補正復調位置であり、bstは、バースト復調位置、例えば、補正復調位置である。MPU60は、bst≧0であるかbst<0であるかを判定する(B1503)。bst<0であると判定した場合(B1503のNo)、MPU60は、bst´=bst+1とし(B1504)、B1506の処理へ進む。ここで、bst´は、bstを±1Cyl基準で180°反転させたバースト復調位置、例えば、補正復調位置である。Bst≧0であると判定した場合(B1503のYes)、MPU60は、bst´=bst−1とし(B1505)、p[1]=bst´とし(B1506)、i=0とし(B1507)、
図15AのAの処理へ進む。ここで、iは、シリンダ個数変数である。
【0058】
MPU60は、
図15AのAの処理に相当する
図15BのAの処理からB1508の処理へ進み、i≧3はであるかi<3であるかを判定する(B1508)。i≧3であると判定した場合(B1508のYes)、MPU60は、処理を終了する。i<3であると判定した場合(B1508のNo)、MPU60は、j=0とし(B1510)、j≧2であるかj<2であるかを判定する(B1511)。j≧2であると判定した場合(B1511のYes)、MPU60は、i=i+1とし(B1509)、B1508の処理へ進む。j<2であると判定した場合(B1511のNo)、MPU60は、pоs=c[i]+p[i]を算出し(B1512)、abs(pоs−estpоs)≧pоs_diffであるかabs(pоs−estpоs)<pоs_diffであるかを判定する(B1513)。ここで、pоsは、復調位置であり、estpоsは、推定位置である。abs(pоs−estpоs)≧pоs_diffであると判定した場合(B1513のYes)、MPU60は、j=j+1とし(B1515)、B1511の処理へ進む。ここで、jは、バースト復調位置、例えば、補正復調位置の個数変数である。abs(pоs−estpоs)<pоs_diffであると判定した場合(B1513のNo)、MPU60は、detpоs=pоs、pоs_diff=abs(pоs−estpоs)を算出し(B1514)、j=j+1とし(B1515)、B1511の処理へ進む。ここで、detpоsは、サーボ復調位置である。
【0059】
本実施形態によれば、磁気ディスク装置1は、サーボ領域SVの所定のサーボデータに基づいてヘッド15のサーボ復調位置を復調する。ヘッド15の位置を復調する場合、磁気ディスク装置1は、サーボ領域SV毎に調整したタイミングでバーストを復調した調整復調信号の位相を算出する。磁気ディスク装置1は、調整復調信号の内のN調整復調信号の振幅のN絶対値2乗比に基づいて重み付けして平均化することで調整復調信号の初期位相を補正する。また、ヘッド15のサーボ復調位置を復調する場合、磁気ディスク装置1は、推定位置と、複数の予測復調位置とを比較し、複数の予測復調位置の内の推定位置に最も近い予測復調位置を対象ショートサーボSSVの目標サーボ復調位置として算出する。そのため、磁気ディスク装置1は、ノーマルサーボNSV及びショートサーボSSVを含むサーボ領域SVのサーボデータから復調したヘッド15のサーボ復調位置の精度を向上できる。したがって、磁気ディスク装置1は、信頼性を向上することができる。
【0060】
なお、磁気ディスク装置1は、複数のノーマルサーボNSVのみを含むサーボ領域SVを有し、ノーマルサーボNSV毎に調整したタイミングでバーストを復調した調整復調信号の初期位相を算出し、ノーマルサーボNSV毎に調整したタイミングでバーストを復調した調整復調信号の振幅に基づいてこの調整復調信号の初期位相を補正してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。