(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-156865(P2020-156865A)
(43)【公開日】2020年10月1日
(54)【発明の名称】薬剤ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
A61L 9/12 20060101AFI20200904BHJP
A47K 5/12 20060101ALI20200904BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20200904BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20200904BHJP
B65D 83/00 20060101ALN20200904BHJP
【FI】
A61L9/12
A47K5/12 A
A47K17/00
E03D9/00 C
B65D83/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-60971(P2019-60971)
(22)【出願日】2019年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】390005212
【氏名又は名称】株式会社トーカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高井 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】清水 克彦
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
3E014
4C180
【Fターム(参考)】
2D037EA00
2D037EB06
2D038BC01
2D038ZA01
3E014PA01
3E014PA10
3E014PB01
3E014PC03
3E014PD11
3E014PE14
3E014PE30
4C180AA02
4C180AA03
4C180AA07
4C180BB12
4C180CA06
4C180HH05
4C180LL11
4C180MM01
(57)【要約】
【課題】簡易な装置で、必要な場合に集中して除菌を行うことができる薬剤ディスペンサを提供すること。
【解決手段】 本発明の薬剤ディスペンサ1は、基板2とハウジング3と押圧部材4と薬剤容器5とを備え、押圧部材4を押圧すると薬剤容器5から第1の薬剤が供給されるとともに、同時にハウジング3内で空気流を発生し、発生した空気流により薬剤収容部24に収容された第2の薬剤14を拡散して排出口39からハウジング3の外部に拡散することで、使用者が第1の薬剤を用いた時だけ、第2の薬剤を拡散するため、第2の薬剤の消耗を抑制することができる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面に配置される基板と、
当該基板の前面を覆うハウジングと、
当該ハウジングに使用者が押圧可能に配置された押圧部材と、
前記ハウジングの内部に配置され、前記押圧部材を押圧すると押圧部材が変位することにより、その被押圧部が押下されて容器内部に収容された第1の薬剤を薬剤供給口から外部に供給する薬剤容器と、
前記押圧部材を押圧すると押圧部材が変位することにより、空気流を発生する空気流発生機構と、
前記空気流をハウジングの外部に排出する排出口と、
当該発生した空気流により第2の薬剤が拡散され前記排出口からハウジングの外部に排出されるように、当該第2の薬剤を収容する薬剤収容部と、
を備えたことを特徴とする薬剤ディスペンサ。
【請求項2】
前記第1の薬剤は、便器若しくは手指の洗浄のための液体洗浄剤であり、前記第2の薬剤は、前記空気流により拡散可能な除菌剤、消臭剤若しくは芳香剤であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤ディスペンサ。
【請求項3】
前記薬剤容器は、ポンプ式容器から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤ディスペンサ。
【請求項4】
前記薬剤収容部は、上部が開口した凹部として形成され、
前記排出口は、前記ハウジングの当該薬剤収容部の下方に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬剤ディスペンサ。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記ハウジングの上面に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬剤ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤ディスペンサに係り、詳しくは使用者の操作により1回分の薬剤が提供される薬剤ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、
図15に示す特許文献1に開示された発明のように、便座の除菌をするための薬剤を供給する除菌便座クリーニングディスペンサーが提案され、蓋板101を押圧することで、内部に収容された薬液タンク102のバネ付押釦103を押圧し、薬液タンク102に収容された薬液を噴出孔104から供給するような発明があった。
【0003】
近年、便座だけでなく、トイレや洗面所において空気を除菌するものとして、例えば二酸化塩素による除菌が知られるようになった。この二酸化塩素は、塩素原子上に不対電子をもつラジカルであり、反応性が高く、殺菌作用があり、消臭・消毒などに使われる。常温、常圧では塩素やオゾンのような刺激臭があり空気より重い気体であるが、濃度等により臭気・色調は異なる。光や熱に対しては不安定である。水溶液も同様に不安定である。特許文献2には、薬剤の安定化のため、収容体内に収容されている二酸化塩素粉末が空気中の水分と反応して二酸化塩素ガスを発生し、その二酸化塩素ガスが開口部から外部に排出されるようなものが提案された。
【0004】
また、特許文献3では、保存安定性に優れ、二酸化塩素濃度を長期間、略一定の範囲内に保持させることができる純粋二酸化塩素液剤が提案された。
このように安定化され二酸化塩素を一定の濃度で室内を除菌できるようになった。
【0005】
また、二酸化塩素は空気より重いため、特許文献4の空気浄化装置のように、送風ファンにより、二酸化塩素を拡散するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−247495号公報
【特許文献2】実用新案登録第3154094号公報
【特許文献3】特開2013−56907号公報
【特許文献4】特開2016−19642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、使用時に集中した二酸化塩素等による除菌が望まれる一方で、不使用時には二酸化塩素等の消耗を抑えたいという要望があった。特許文献3のように人体をセンサで検知して、使用時のみ拡散する方法も考えられるが、装置が複雑で高価となりメンテナンスも必要となる。
【0008】
本発明は、簡易な装置で、必要な場合に集中して除菌を行うことができる薬剤ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の薬剤ディスペンサは、背面に配置される基板と、当該基板の前面を覆うハウジングと、当該ハウジングに使用者が押圧可能に配置された押圧部材と、前記ハウジングの内部に配置され、前記押圧部材を押圧すると押圧部材が変位することにより、その被押圧部が押下されて容器内部に収容された第1の薬剤を薬剤供給口から外部に供給する薬剤容器と、前記押圧部材を押圧すると押圧部材が変位することにより、空気流を発生する空気流発生機構と、前記空気流をハウジングの外部に排出する排出口と、当該発生した空気流により第2の薬剤が拡散され前記排出口からハウジングの外部に排出されるように、当該第2の薬剤を収容する薬剤収容部とを備えたことを要旨とする。
【0010】
また、前記第1の薬剤は、便器若しくは手指の洗浄のための液体洗浄剤であり、前記第2の薬剤は、前記空気流により拡散可能な除菌剤、消臭剤若しくは芳香剤であることも望ましい。
【0011】
また、前記薬剤容器は、ポンプ式容器から構成されることも望ましい。
また、前記薬剤収容部は、上部が開口した凹部として形成され、前記排出口は、前記ハウジングの当該薬剤収容部の下方に設けることも好ましい。
【0012】
前記押圧部材は、前記ハウジングの上面に配置されることも好ましく、この場合前記ハウジングは、前記押圧部材に設けられた鍵穴からロック解除キーを挿入することでロックが解除されて、基板から開放することが可能に構成されることも好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な装置で、必要な場合に集中して除菌を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の薬剤ディスペンサの正面斜め上からの斜視図。
【
図2】本実施形態の薬剤ディスペンサの正面斜め下からの斜視図。
【
図8】本実施形態の薬剤ディスペンサの分解斜視図。
【
図9】本実施形態の薬剤ディスペンサのハウジングを背面斜め下から見た斜視図。
【
図10】本実施形態の薬剤ディスペンサの
図3のA−A断面図。
【
図11】
図9の薬剤ディスペンサの押圧部材を押下した状態を示す断面図。
【
図12】本実施形態の薬剤ディスペンサのハウジングを省略した正面斜め上からの斜視図。
【
図13】本実施形態の薬剤ディスペンサのハウジングを省略した正面斜め下からの斜視図。
【
図15】従来の薬剤ディスペンサの一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した薬剤ディスペンサの一実施形態を
図1〜
図13にしたがって説明する。
【0016】
<薬剤ディスペンサ1の外観>
まず、薬剤ディスペンサ1の外観を説明する。
図1は、本実施形態の薬剤ディスペンサ1の正面斜め上からの斜視図、
図2は正面斜め下からの斜視図である。
図3は正面図、
図4は背面図、
図5は右側面図、
図6は平面図、
図7は底面図である。
【0017】
薬剤ディスペンサ1は、全体がポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂などの樹脂製で、一定の強度と弾力性を備えた素材で製造される。
図6、
図7に示すように概ね半円状の底面を有する柱状で、
図5に示すように上端部は背面から正面に向けて下降し、下端部は背面から正面に向けて上昇するような面となっている。
【0018】
ハウジング本体31は、概ね半割円筒状であるが、
図1に示すように、正面側の下部に正面凹部32が形成されている。この正面凹部32は、
図7に示す底面側から見て弧状の凹部で、
図3に示す正面図では、砲弾型の形状となっている。
【0019】
この正面凹部32の上端近傍には、薬剤供給ノズル54のための長孔であるノズル開口33が縦方向に穿設されている。ノズル開口33が縦長なのは、薬剤供給時に薬剤供給ノズル54が上下に移動するからである。
【0020】
ハウジング3の下部には排出口39が設けられる。排出口39は、前後方向に設けられた12本の平行なスリットから構成され、ハウジング3内部と外部空間とを連通している。
【0021】
図4に示すように、薬剤ディスペンサ1の背面には、基板2が設けられ、さらに基板2の背面には、取付部材6が配置される。
<取付部材6>
図8に示すように、取付部材6は、基板2の背面を概ね覆うような長方形の取付板61を備える。この取付板61は、トイレの壁面などに接着剤などで固定され、基板2が着脱自在に装着される。この壁面に固定された取付板61の四隅に配置された係止爪62を基板2の対応する位置に設けられた係止孔28に挿入する。係止爪62は、先端が上方に屈曲している鈎状に形成されているので、基板2を取り付けたあと下方にずらす。そうすると取付部材6の一部に設けられた係止ばね63が基板2の係止ロック孔29にその弾性で入り込み、基板2が取付部材6に対して上方にずれないようにロックされる。基板2を取付部材6から外すには、この係止ばね63を係止ロック孔29から押し付けながら上方にずらす必要がある。この手順は、ハウジング3が開放されている場合にしか行うことができないため、薬剤ディスペンサ1の盗難が防止できる。
【0022】
<基板2>
図8に示すように、基板2は、取付部材6に取り付けられ、取付部材6が見えないような概ね一回り大きな長方形の背板21を備える。
【0023】
<薬剤容器支持部22、薬剤容器受け部23>
背板21の左右両端部中央には、前方に向けて突出する一対の薬剤容器支持部22が突設され、その前方端部は内側に湾曲するように形成されている。また、下端から5分の1くらいの位置に、前方に水平に突出する棚状の薬剤容器受け部23が設けられる。ここには、
図12、
図13に示すように薬剤容器5が配置される。
【0024】
<薬剤収容部24>
また、下端部近傍には、やはり前方に水平に突出された棚状に形成された薬剤収容部24が形成されている。この薬剤収容部24の前端は、ハウジング3の内部面近くまで延びており、かつ2つの切り込み24aが形成されている。
【0025】
図12、
図13に示すように、この薬剤収容部24には、二酸化塩素を袋詰めした第2の薬剤(固形)14が収容される。この切り込み24aは、二酸化塩素の気体が拡散されるための通路となっている。
【0026】
<ハウジング3の回動>
図9に示すように、ハウジング3の下端の基板2側には、左右に内側に突出するハウジング回動軸38が設けられている。このハウジング回動軸38は、
図13に示すように、基板2の補強リブ26の後端部に穿設された孔からなるハウジング支持部25に挿入され、回動自由に基板2により支持される。
【0027】
<ハウジング3のロック>
図8に示すようにハウジング3の上端部の基板2側には、前側に水平に突出する板状の押圧部材ストッパ36が設けられる。そして、その前端部の幅方向中央部には、一対の切欠からなるロック凹部37が設けられる。一方、基板2の上端部には、前方に突出する一対のロック爪27が設けられている。ロック爪27の前端部には上向きの係止爪が形成されている。
【0028】
ハウジング支持部25にハウジング回動軸38が支持されたハウジング3は回動可能に支持されるが、ハウジング3の上部を基板2側に押し付けると、基板2のロック爪27が押圧部材ストッパ36の下に沿って摺動し、ハウジング3が閉じられると、ロック爪27がロック凹部37に嵌り込み、ハウジング3が固定される。
【0029】
<ハウジング3のロック解除>
図8に示すように、基板2の一対のロック爪27の先端の間には、ロック解除ブロック27aが設けられている。
【0030】
押圧部材4の基板2側端部近傍には、横方向に穿設されたスリットである鍵穴44が設けられ、この鍵穴44に板状のロック解除キー7を挿入する。ロック解除キー7を挿入すると、その先端が一対のロック爪27の先端に設けられたロック解除ブロック27aに当接し、さらに押圧すると一対のロック爪27を同時に下方に撓ませる。そうすると、ロック凹部37に嵌り込んでいた一対のロック爪27のロックが外れ、ハウジング3の上部が、前方に解放される。ロック解除ブロック27aは、ロック解除キー7がロック爪27に当接しにくいのを、当接させ、下方に撓みやすくする部材である。
【0031】
<押圧部材4>
押圧部材4は、概ね半円状の板状部材で、その基板側の両端部に軸状に突設して形成されたヒンジ部43が設けられる。このヒンジ部43は、ハウジング3の上端縁34の開口部の基板2側に孔状に穿設された押圧部材支持部35に嵌入される。そのため、押圧部材4は、このヒンジ部43を中心に回動可能にハウジング3に支持される。
【0032】
押圧部材4の基板側の基端部近傍の下方には、前方に水平に突出するハウジング3の押圧部材ストッパ36が形成されている。このため、押圧部材4は、薬剤容器5がセットされていないときでも、下方への回動が規制され、押圧部材4が下方に落ち込むようなことはない。
【0033】
<薬剤容器5>
薬剤容器5は、例えば便座のふき取り用の洗浄剤が収容されるボトルである。
図12、
図13に示すように、薬剤容器5は、基板2の薬剤容器支持部22と薬剤容器受け部23により、基板2に位置決めされて動かないように保持される。
【0034】
薬剤容器5は、いわゆるポンプディスペンサからなるポンプ式容器であり、
図10に示すように、薬剤容器5の上部には、キャップ52を備える。またキャップ52に支持され押下することでポンプが働きスプリングで戻る被押圧部53を備える。そして、
図11に示すように被押圧部53を押下することでポンプが働き薬剤を供給する薬剤供給口55を備えた薬剤供給ノズル54が設けられている。この薬剤供給ノズル54は被押圧部53を押下すると被押圧部53とともに上下する。
【0035】
(実施形態の作用)
<薬剤ディスペンサ1により第1の薬剤の供給>
ここで、
図10および
図11を参照して薬剤ディスペンサ1による第1の薬剤の供給について説明する。
【0036】
図10に示すように、薬剤ディスペンサ1の押圧部材4の下部は、薬剤容器5の被押圧部53に当接している。
ここで、使用者が薬剤ディスペンサ1の押圧部材4の押下部42を押圧すると、
図11に示すように、押圧部材4はヒンジ部43を中心に下向きに回動する。そうすると押圧部材4の下部が、薬剤容器5の被押圧部53を押圧する。薬剤容器5の被押圧部53は押圧されることで、下方に移動しつつポンプが働き、それに伴って薬剤供給ノズル54も下方に移動しながら、薬剤供給口55から第1の薬剤56を噴出する。薬剤供給ノズル54の先端は、ハウジング3のノズル開口33を介して外部に露出しているため、使用者は、第1の薬剤56をトイレットペーパなどで受け止めて、便器の拭き取り洗浄などに供する。
【0037】
<第2の薬剤の拡散について>
上述のとおり、薬剤ディスペンサ1の押圧部材4を操作することで、使用者は第1の薬剤の供給を受けて便器の拭き取り洗浄などに供することができる。
【0038】
このとき、第2の薬剤(固形)14の拡散も同時に行うことができる。
図10に示す状態から使用者が押圧部材4を押圧して
図11の状態にすると、押圧部材4の下方にある空間である圧縮部12の空気が圧縮される。押圧部材4とハウジング3の隙間も小さく、ノズル開口33も比較的面積が狭いため、圧縮部12の空気は、押圧部材4の変位でも十分に圧縮される。圧縮された空気は、主に薬剤容器5と基板2との間の空間、特に左右両端の空間を使って下方に送られる。下方に送られた空気は、背面側から薬剤収容部24に流れ込み、ここに収容された第2の薬剤(固形)14の表面を通過する。ここを通過する空気により、第2の薬剤(固形)14から気体の二酸化塩素が拡散される。拡散した第2の薬剤15は、切り込み24aを通り、排出口39から、外部に拡散される。
【0039】
(実施形態の効果)
本発明の薬剤ディスペンサ1は、上記のような構成を備え、上記のような作用を奏するため、以下のような効果を奏する。
【0040】
(1)押圧部材4を押圧すると押圧部材4が変位することにより、空気流を発生する空気流発生機構を備え、発生した空気流により第2の薬剤(たとえば固形化した二酸化塩素)14が拡散され排出口39からハウジングの外部に排出されるように、当該第2の薬剤を収容する薬剤収容部24とを備えたため、
使用者が第1の薬剤(たとえば便座洗浄剤)を使用した時だけ第2の薬剤を積極的に拡散する。そのため、使用者が存在するときに限り第2の薬剤を積極的に拡散することができるとともに、使用者が不在な時には、第2の薬剤の拡散を抑制して、第2の薬剤の消耗を抑えることができる。
【0041】
(2)例えば、第1の薬剤は、便器若しくは手指の洗浄のための液体洗浄剤であり、第2の薬剤を、空気流により拡散可能な除菌剤、消臭剤若しくは芳香剤とすることができ、使用者が存在する場合、特に洗浄剤を使用するような潔癖な使用者に対しては、除菌剤のみならず消臭剤や芳香剤を用いて、好感度を上げることができる。
【0042】
(3)特に薬剤容器5をポンプ式容器から構成することで、押圧部材4のストロークを大きくして変位を大きくすることで、より空気流の発生量を大きくすることができる。
(4)本実施形態の押圧部材4は、ハウジング3の上面に配置されるため、第1の薬剤の供給を上部で行うことができ、薬剤ディスペンサ1の下部の構成を簡易にすることができる。そのため第2の薬剤の収容スペースを容易に確保することができる。
【0043】
(5)また、押圧部材4をハウジング3の上面に配置したため、ハウジング3は、基板2の下部に軸支されるとともにその上部が基板2に設けられたロック爪27により係止され、押圧部材4に設けられた鍵穴44からロック解除キー7を挿入することでロックが解除されて、基板2から開放する構成とすることができた。
【0044】
そのため、簡易な構成で、一般の公衆トイレにおいて、薬剤容器5や薬剤ディスペンサ1自体の盗難などを効果的に防止することができる。
(変形例)
なお、上記実施形態は、以下のように実施してもよい。
【0045】
・
図14に示すように、実施形態の薬剤収容部24は、上部が開口し、底部が閉鎖された容器状の凹部として形成され、排出口39は、ハウジング3の薬剤収容部24の下方に設ける。つまり、空気より重い二酸化塩素などをこの凹部に収容することで、無人時の薬剤の消耗を抑制し、第1の薬剤の使用時には、この凹部からなる薬剤収容部24に溜まった濃厚な第2の薬剤を空気流で拡散することで、より第2の薬剤の効果を人間がいるときに集中的に奏するようにすることができる。
【0046】
・上記実施形態では、押圧部材4はハウジング3に上部に設ける構成としたが、従来技術として示した前面から押圧するような構成でも、蓋板101の変位による空気が圧縮され、その空気流を使用して、上記実施形態と同様な構成とすることも可能である。
【0047】
・実施形態や変形例の第1の薬剤や、第2の薬剤は例示であり、これらに限定されるものではない。例えば、殺虫剤や忌避剤などとしてもよい。
本発明の本質は、第1の薬剤や第2の薬剤の種類にあるのではなく、第1の薬剤の使用時の押圧に関連して、第2の薬剤を活用できる点にある。
【0048】
・さらに第3の薬剤などを使用してもよい。
・本実施形態は、当業者であれば、特許請求の範囲に記載を逸脱しない範囲で、その構成を付加し、削除し又は変更して本発明が実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
1…薬剤ディスペンサ、2…基板、3…ハウジング、4…押圧部材、5…薬剤容器(第1の薬剤)、11…空気流発生機構、12…圧縮部、13…空気流路、14…第2の薬剤(固形)、15…拡散した第2の薬剤、24…薬剤収容部、39…排出口、44…鍵穴、56…第1の薬剤