(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-158260(P2020-158260A)
(43)【公開日】2020年10月1日
(54)【発明の名称】整列方法および整列装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20200904BHJP
B65G 47/248 20060101ALI20200904BHJP
【FI】
B65G47/14 V
B65G47/248 G
B65G47/14 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-59772(P2019-59772)
(22)【出願日】2019年3月27日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1 (運転デモンストレーションの実施) 平成30年7月20日、東レ・プレシジョン株式会社(滋賀県大津市大江1丁目1番40号)において、植田征典が、太陽誘電株式会社従業員立会いのもと、植田征典、上原正嗣、森口涼介が発明した部品整列装置について、当該検査装置の購入を検討していた太陽誘電株式会社へ、運転デモンストレーションを行った。 2 (運転デモンストレーションの実施) 平成30年9月27日、太陽誘電株式会社(群馬県吾妻郡中之条町中之条1988)において、植田征典が、太陽誘電株式会社従業員立会いのもと、植田征典、上原正嗣、森口涼介が発明した部品整列装置について、当該検査装置の購入を検討していた太陽誘電株式会社へ、運転デモンストレーションを行った。
(71)【出願人】
【識別番号】592245568
【氏名又は名称】東レ・プレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230112276
【弁護士】
【氏名又は名称】藤野 睦子
(72)【発明者】
【氏名】植田 征典
(72)【発明者】
【氏名】上原 正嗣
(72)【発明者】
【氏名】森口 涼介
【テーマコード(参考)】
3F080
3F081
【Fターム(参考)】
3F080AA13
3F080BB06
3F080BE10
3F080CC04
3F080CC23
3F080DB09
3F080EA15
3F081AA22
3F081BA03
3F081BB06
3F081BE03
3F081BE09
3F081CA04
3F081CA48
3F081DB09
3F081EA09
3F081EA15
(57)【要約】
【課題】ワークの姿勢を揃える新たな技術を提供する。
【解決手段】磁力を利用してワークを搬送部材から浮かせて回転させることで、姿勢を揃える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転し、かつ前記回転軸の周方向において間欠的に設けられた複数の磁力発生部を有する磁気ロールと、
前記磁力発生部の磁界にワークを導く反転搬送路と、
裏向きのワークを選り分けて前記反転搬送路に送り込む仕分け部と、
前記磁気ロールに吸着され、表裏が反転したワークを磁気ロールから外す脱着部と、
を有する整列装置。
【請求項2】
前記脱着部は、前記磁気ロールの表面に当接するスクレイパーである
請求項1に記載の整列装置。
【請求項3】
ワークを乗せた状態で回転することで前記ワークを搬送する回転テーブルと、
前記回転テーブル上のワークの表裏を判定する判定部と、
をさらに備え、
前記磁気ロールは前記回転テーブルの上方に配置され、
前記反転搬送路は前記回転テーブル上の前記磁気ロールに対向する領域を含み、
前記仕分け部は、前記判定部により裏向きと判断されたワークを、表向きと判断されたワークから選り分ける、
請求項1に記載の整列装置。
【請求項4】
回転軸を中心に回転し、かつ前記回転軸の周方向において間欠的に設けられた複数の磁力発生部を有する磁気ロールを用いて、ワークの表裏を揃える整列方法であって、
裏向きのワークを選り分ける工程、
選り分けられた前記ワークを、回転軸の周方向において間欠的に設けられた複数の磁力発生部を有する磁気ロールに吸着させる工程、
前記磁気ロールを回転させることで、前記ワークを反転させる工程、および
反転することで表向きになった前記ワークを前記磁気ロールから外す工程
を備える整列方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品等の微細なワークの向きを揃えて整列させる方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの向きを揃えるための手段はこれまでにいくつか提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、振動式パーツフィーダが開示されており、この振動式パーツフィーダは、強磁性体である積層セラミックチップコンデンサを搬送するものである。振動式パーツフィーダは非磁性材のボウルを有し、ボウルの中央部は、被搬送部品としての積層セラミックチップコンデンサをバラ状態で収容する皿部である。ボウル内周には、皿部からスパイラル状に周回して伸びる部品搬送路が形成されている。振動により積層セラミックチップコンデンサは皿部から部品搬送路に入り、これをスパイラル状に昇っていく。部品搬送路の部品送出口にはリニアフィーダが接続され、整列した積層セラミックチップコンデンサを直線的に搬送するようになっている。
【0004】
この振動式パーツフィーダでは、磁界発生手段が、ボウル外側側面に所定距離だけ離して配置され、移動している積層セラミックチップコンデンサに磁界が加えられる。ここで、
【0005】
磁界発生手段磁極からの磁力線は点線のように積層セラミックチップコンデンサに水平方向に印加されるから、コンデンサ内部に積層状態で多層に形成された平面状内部電極は水平状態となった姿勢で安定する。つまり、移動している積層セラミックチップコンデンサの内部電極面が水平であれば、そのまま通過するが、内部電極面が鉛直のものがあれば、内部電極面が水平となるように姿勢変換されて搬送されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005‐217136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のように電極の方向によって姿勢を揃えても、表裏があるワークについて表裏を揃えることはできず、新たな技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決する手段として、以下の技術が挙げられる。
【0009】
(1)回転軸を中心に回転し、かつ前記回転軸の周方向において間欠的に設けられた複数の磁力発生部を有する磁気ロールと、
前記磁力発生部の磁界にワークを導く反転搬送路と、
裏向きのワークを選り分けて前記反転搬送路に送り込む仕分け部と、
前記磁気ロールに吸着され、表裏が反転したワークを磁気ロールから外す脱着部と、
を有する整列装置。
【0010】
(2)前記脱着部は、前記磁気ロールの表面に当接するスクレイパーである
上記(1)に記載の整列装置。
【0011】
(3)ワークを乗せた状態で回転することで前記ワークを搬送する回転テーブルと、
前記回転テーブル上のワークの表裏を判定する判定部と、
をさらに備え、
前記磁気ロールは前記回転テーブルの上方に配置され、
前記反転搬送路は前記回転テーブル上の前記磁気ロールに対向する領域を含み、
前記仕分け部は、前記判定部により裏向きと判断されたワークを、表向きと判断されたワークから選り分ける、
上記(1)に記載の整列装置。
【0012】
(4)回転軸を中心に回転し、かつ前記回転軸の周方向において間欠的に設けられた複数の磁力発生部を有する磁気ロールを用いて、ワークの表裏を揃える整列方法であって、
裏向きのワークを選り分ける工程、
選り分けられた前記ワークを、回転軸の周方向において間欠的に設けられた複数の磁力発生部を有する磁気ロールに吸着させる工程、
前記磁気ロールを回転させることで、前記ワークを反転させる工程、および
反転することで表向きになった前記ワークを前記磁気ロールから外す工程
を備える整列方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、回転する磁気ロールによって搬送路からワークを持ち上げて表裏を反転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ワークの一例を示す側面図および上面図である。
【
図3】(a)および(b)は、規制天井による姿勢制御を示す図である。
【
図4】(a)は磁力を利用したワークの反転装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[ワーク]
ワークは磁性を有する。ワークの形状の例を
図1に示す。
図1のワークWは円筒状である。すなわち、ワークWは平面視では環状である。ただし、ワークWは、高さ方向における一端と他端とで、つまり裏表の形状が異なる。ワークWの表側の縁には凹凸が付いており、裏側の縁は平滑である。以下では、凹凸の付いている面(表面)が上になっている状態を表向き、平滑な面(裏面)が上になっている状態を裏向きと呼ぶ。また、表または裏向きのワークWを縦向き、縦向きから90°回転して、円筒の側面が後述の回転テーブル20に接触する向きを横向きと呼ぶ。つまり、縦向きでは、径方向が回転テーブル20の面方向(つまり水平方向)に沿い、横向きでは径方向が回転テーブル20の面方向に垂直になる。
【0016】
本形態では、ワークWは、その幅(環状の直径)Rが、高さHよりも大きい。
【0017】
なお、本例では環状の部材を例に挙げたが、表裏の区別のある部材であれば、環状に限らず他の形状のワークであっても本発明を適用することができる。例えば、外形上では裏表が区別できないが、模様が異なるような場合も、後述の反転装置30を利用することができる。
【0018】
[整列装置]
図2に、整列装置2の平面図を示す。
図2の整列装置2は、回転テーブル20を備え、回転テーブル20の回転方向に沿って、供給スロープ21、第1外寄せガイド22、規制天井23、内寄せガイド24,第2外寄せガイド25、画像センサ26、仕分け装置(仕分け部)27、整列ガイド28、リニアフィーダ29、反転装置30(ワーク横転防止カバー30a、磁気ロール30b、スクレイパー30c)を備える。図示の便宜上、ワークWが通り得る回転テーブル20、供給スロープ21およびリニアフィーダ29にドットのハッチングを付す。また、ワークの進行方向を斜線のハッチングを付した太矢印で示す。
【0019】
回転テーブル20は平たい円盤状の部材であり、ワークを載せた状態で、図示しないモータ等の駆動部によって、回転軸を中心に黒矢印方向(
図2では反時計回り)に回転する。ワークはこの回転によって移動する。なお、回転テーブル以外に、ベルト等の部材を搬送部材として適用することができる。
【0020】
以下、回転テーブルの「外側」とは、回転テーブル20において円周側を指し、「内側」とは、回転テーブル20において中心側を指す。
【0021】
なお、回転テーブルは、ワークを乗せた状態で移動することでワークを搬送する搬送部材の一例である。他に、ベルト状の搬送部材を適用してもよい。
【0022】
供給スロープ21は、回転テーブル20の外部にあるホッパから回転テーブル20上に至る下りのスロープである。図示しないホッパから供給されたワークWは供給スロープ21を下って、回転テーブル20の第1外寄せガイド22の近傍かつ回転方向上流に到達する。
【0023】
第1外寄せガイド22は、回転テーブル20の内側から外側に延びるガイドである。回転テーブル20の回転により、ワークWは第1外寄せガイド20の側面に接触し、回転テーブル20の外側に押し出される。
【0024】
規制天井23は、横向きワークを縦向きにする姿勢制御、および縦向きワークと横向きワークとを振り分ける分別の、2つの役割を持つ。
図3に示すように、規制天井23は、回転テーブル20の上面から、高さH(高さが一定でない場合は最大高さ)以上、幅R(幅が一定でない場合は最短幅であることが好ましい)未満の距離をおいて設けられる。第1外寄せガイド22によって導かれたワークWのうち、横向きワークは規制天井23に当たって90°回転し、縦向きになる(
図3(a)、(b))。元々縦向きだったワークは、そのまま規制天井23の下を通過する。なお、
図3では縦向きワークを裏向きに描いているが、表向きで規制天井23を通過する場合もありえる。
【0025】
整列装置2はさらにワーク溜め32を有している。ワーク溜め32は、規制天井23の長手方向先端に、ワークWを堰き止めるように設けられた壁である。規制天井23を通過できなかったワーク、つまり横向きワークは、規制天井23の長手方向に沿って移動し、ワーク溜め32に到達する。
【0026】
なお、横向きワークを溜めるのではなく反転装置30に搬送し、後述のワーク横転防止カバー30aで再度90°回転を試みてもよい。ここで縦向きになったワークは表裏いずれにしても反転されて、2周目の整列動作に入り、そこで表裏判定を受けることができる。
【0027】
2個のワークが互いに重なってクリンチ状態になることもありえるが、ワーク溜め32を設ける場合は、クリンチ状態のワークも反転動作には進まずに溜めおかれる。一方、ワーク溜め32を設けず、かつ後述の反転装置30において、ワーク横転防止カバー30aをつけないか、クリンチ状態のワークは通過できるようにしておいて、磁気ロール30bにてクリンチ解除を試みてもよい。
【0028】
また以上に説明した以外にも、横向きやクリンチ状態のワークは、整列装置外に排除するようになっていてもよい。
【0029】
一方、規制天井23の下を通過した縦向きワークの進路には、内寄せガイド24が、ワークの進路を横切るように配置される。ワークWは内寄せガイド24に接触し、内寄せガイド24の長手方向に沿って移動することで、一列に並ぶ。
【0030】
第2外寄せガイド25は、内寄せガイド24によってワークWが導かれた先にあり、ワークWを画像センサ26による検知位置に導く。
【0031】
画像センサ26は、ワークの画像情報を取得し、図示しない制御装置に出力する。制御装置では、その画像を既知の表向きワークと比較することなどによって、ワークの表裏を判定する。制御装置は、その判定に基づいて、仕分け装置27を制御する。表向きと判定されたワークには、“h”を、裏向きと判定されたワークには“t”を
図2において付している。
【0032】
仕分け装置27は、表向きワークをそのまま通過させることで整列ガイド28に導く一方で、裏向きワークを回転テーブル20内側方向に移動させることで列から排除して、反転装置30に導く。仕分け装置は、ワークにエアを吹き付けることでその進行方向を制御してもよいし、遮断機のようにワークに接触することで、ワークの進行方向を制御する機構を備えてもよい。
図2では、仕分け装置27としてエア吹きつけ機構を適用しており、符号は付さないが、エアによりワークが移動しすぎないようにその動きを制限し、反転装置30に導くガイド部材をさらに設けている。
【0033】
表向きワークは、整列ガイド28によって一列に並んでリニアフィーダ29に導かれ、整列装置2外に搬送される。
【0034】
一方、裏向きワークは、反転装置30によって、後述のとおり表向きに180°反転される。こうして表向きになったワークは、供給スロープ21の下をくぐって、規制天井23以降の部材を通過し、最終的にはリニアフィーダ29により整列装置2外に搬送される。
【0035】
[反転装置]
反転装置30は、
図4に示すように、ワーク横転防止カバー30a、磁気ロール30b、スクレイパー30cを備える。また、反転装置30は、磁気ロール30bを回転させる駆動部を有する(図示せず)。
【0036】
磁気ロール30bは、回転軸を中心に回転するようになっており、回転軸の周方向において間欠的に設けられた複数の磁力発生部を有する。具体的には、磁気ロール30bは、円筒状の回転体30dを備える。回転軸は、回転体30dの円筒の中心をとおり、高さ方向に平行である。また、磁気ロール30bは、回転体30dの側面に固定され、回転体30dの円筒の高さ方向に平行な複数の磁石30eを磁力発生部として有する。磁石30eの間には間隔が設けられている。磁気ロール30bは、回転体30dおよび磁石30e全体を包む外装シートを有する。これによって、磁気ロール30b全体は円柱状に形成される。
【0037】
磁石30eの、磁気ロール30bの回転軸方向における長さ、周方向における幅、および周方向における間隔は、縦向きワークを持ち上げられる程度に設定されればよい。例えば、2つ分の磁石30eの幅とその間の間隙の幅との合計が、磁気ロール30bに対して裏向きワークが取り得る姿勢において、ワークWの幅R(幅が一定でない場合は最長幅であることが好ましい)以上であることが好ましい。この構成によって、ワークWが安定的に吸着される。また、磁石間の間隙の幅は、ワークの取り得る姿勢においてワークWの幅R(幅が一定でない場合は最短幅であることが好ましい)未満であることが好ましい。また、磁石30eの幅は、ワークの取り得る姿勢に対してワークWの幅R(幅が一定でない場合は最短幅であることが好ましい)未満であることが好ましい。
【0038】
磁気ロール30bは、回転テーブル20の上方に、回転テーブル20の上面との間にワーク高さH(高さが一定でない場合は最大高さ)以上の距離を置いて設けられる。また、磁気ロール30bと回転テーブル20との間の距離は、ワークの取り得る姿勢におけるワーク幅R(幅が一定でない場合は最短幅であることが好ましい)未満であることが好ましい。
【0039】
磁気ロール30bに対して裏向きワークが取り得る姿勢とは、反転装置30の手前で、縦向きワークの長手方向の向きを磁気ロール30bの回転軸に平行になるように揃える機構、または回転軸に垂直になるように揃える機構を設けることで、制限することができる。
【0040】
本形態では、回転テーブル20による搬送方向は、磁気ロール30の直下において、磁気ロール30の回転軸に垂直である。また、磁気ロール30の回転方向は、磁気ロール30の下部で、回転テーブル20による搬送方向とは逆向きである。
【0041】
ワーク横転防止カバー30aは、樹脂等の非磁性体で形成された板状の部材であり、磁気ロール30bの側面に沿って湾曲している。ワーク横転防止カバー30aは、磁気ロール30bおよび回転テーブル20の上面から所定の距離をおいて、磁気ロール30bの側面の一部を覆うように配置される。磁気ロール30bの下部領域は、ワークWを吸着できるだけの幅に渡って、ワーク横転防止カバー30aに覆われずに露出している。
【0042】
ワーク横転防止カバー30aと磁気ロール30bとの距離は、磁気ロール上に裏面が吸着されたワークWの移動を妨げないように設定される。また、この距離は、ワークWが横転できない程度に小さいことが好ましい。
【0043】
ワーク横転防止カバー30aと回転テーブル20との距離は、ワークWの高さH(高さが一定でない場合は最大高さ)以上である。またこの距離は、ワークWの幅R(幅が一定でない場合は最短幅であることが好ましい)未満であることが好ましい。
【0044】
裏向きワークが回転している磁気ロール30bの近傍に搬送されてくると、ワーク横転防止カバー30aによって、磁気ロール30bへのワークWの側面の吸着が抑制される。ワークWは、ワーク横転防止カバー30aの下を通って磁気ロール30bの下方に到達する。ワークは磁気ロール30bに引きつけられて持ち上げられる。
【0045】
こうして、ワークの裏面が磁気ロール30bに接触した状態で、ワークは磁気ロール30bの回転に伴って移動する。この移動中、ワーク横転防止カバー30aはワークが横転するのを防ぐ。
【0046】
スクレイパー30cは脱着部の一例である。これ以外にも、磁気ロール30bを表向きに保ってワークを引き離すことができる構成であれば、適宜採用される。スクレイパー30cは、非磁性体、例えば樹脂で構成された板状の部材である。
【0047】
鉛直方向において、磁気ロール30bの頂点を180°、真下を0°とし、回転方向に沿って角度が増加するとする。つまり、本形態でワークWが吸着されるのが磁気ロール30bの0°の位置であり、ワークが90°回転する位置が磁気ロール30bの90°の位置であり、ワークの表裏が反転する位置が磁気ロール30bの180°の位置である。スクレイパー30cは、磁気ロール30bに、頂点、つまり180°よりも下流、かつ270°より上流で接触するように配置される。スクレイパー30cは磁気ロール30bから回転テーブル20に至るスロープを形成している。スクレイパー30cにより形成されるスロープは、回転テーブル20の回転方向に沿い、スクレイパー30cの下流の回転テーブル20の上面とスクレイパー30cの上面の角度は鈍角に設定されている。
【0048】
磁気ロール30bに吸着されて、その回転により反転されたワークは、スクレイパー30cによって磁気ロール30bから剥がされて、表向きになった状態で回転テーブル20に戻される。
【0049】
以上の説明から明らかなように、磁力発生部の磁界にワークを導く反転搬送路とは、回転テーブル20上の経路のうち、仕分け装置27から反転装置30に至る領域である。また、裏向きのワークを選り分けて反転搬送路に送り込む仕分け部は、仕分け装置27と図示しない制御装置であり、ワークの表裏を判定する判定部は、画像センサ26および図示しない制御装置である。
【0050】
また、仕分け装置27および制御装置は、裏向きのワークを選り分ける工程を行い、反転装置30は、選り分けられた裏向きワークを、回転軸の周方向において間欠的に設けられた複数の磁力発生部を有する磁気ロールに吸着させる工程、磁気ロールを回転させることで、ワークを反転させる工程、および反転することで表向きになったワークを磁気ロールから外す工程を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ワークの表裏を揃えることができるので、ワークの検査およびワークを用いた他の作業を効率良く進めることに利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
W ワーク
H ワーク高さ
R ワーク幅
2 整列装置
20 回転テーブル
21 供給スロープ
22 第1外寄せガイド
23 規制天井
24 内寄せガイド
25 第2外寄せガイド
26 画像センサ
27 仕分け装置
28 整列ガイド
29 リニアフィーダ
30 反転装置
30a ワーク横転防止カバー
30b 磁気ロール
30c スクレイパー
30d 回転体
30e 磁石
32 ワーク溜め