(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-159075(P2020-159075A)
(43)【公開日】2020年10月1日
(54)【発明の名称】室内壁構造、室内壁構造の施工方法および室内壁構造作製キット
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20200904BHJP
【FI】
E04H1/12 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-60114(P2019-60114)
(22)【出願日】2019年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 啓一
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025BA05
2E025BC01
(57)【要約】
【課題】室内の壁に対して簡単に壁パネルを取り付けることができる室内壁構造、室内壁構造の施工方法および室内壁構造作製キットを提供する。
【解決手段】壁パネル1が、当該壁パネル1の下面をトイレの室内7の床面から離間させて取り付けられており、上記室内7の床面側の幅木の影響を受けずに、上記壁パネル1を上記室内の壁に容易に取り付けることができる。また、上記壁パネル1の下面が、上記室内の床面から400mm以上700mm以下の高さに位置していると、例えば、トイレの室内7の便器72の近くの壁に上記壁パネルを取り付ける場合でも、上記便器72の上方に工具を位置させて上記壁パネルを留め付けることが可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の壁に壁パネルが取り付けられる室内壁構造であって、上記壁パネルが、当該壁パネルの下面を上記室内の床面から離間させて取り付けられることを特徴とする室内壁構造。
【請求項2】
請求項1に記載の室内壁構造において、上記壁パネルの下面が、上記室内の床面から400mm以上700mm以下の高さに位置することを特徴とする室内壁構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の室内壁構造において、上記壁パネルの表側面には、少なくとも横配置の第1手摺が取り付けられ、この第1手摺の上下方向中心が、上記壁パネルの下面から50mm以上250mm以下の高さに位置することを特徴とする室内壁構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の室内壁構造において、上記壁パネルの表側面には、紙巻器が取り付けられ、この紙巻器の天端が、上記壁パネルの下面から100mm以上450mm以下の高さに位置することを特徴とする室内壁構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の室内壁構造の施工方法であって、上記壁パネルの下面を上記室内の床面から離間させるように、上記室内の壁に横桟を取り付けて係合凹部を作製する段階と、上記壁パネルの背面側の係合凸部を上記係合凹部に係合する段階と、上記壁パネルの上部を上記室内の壁に固定する段階と、を含むことを特徴とする室内壁構造の施工方法。
【請求項6】
請求項5に記載の室内壁構造の施工方法において、室内の床面に置かれて上記横桟の少なくとも高さ位置について位置決めする治具を用いて上記横桟を位置決めすることを特徴とする室内壁構造の施工方法。
【請求項7】
高さが1000mm以上1300mm以下であって室内の床面から下面を離間させた取り付けが可能な壁パネルと、上記壁パネルに取り付けられる少なくとも横配置の第1手摺とを備えており、上記壁パネルには、上記第1手摺が、当該第1手摺の上下方向中心を上記壁パネルの下面から50mm以上250mm以下の高さに位置させて取り付けられているか、または、上記第1手摺を上記高さで取り付けるために、上記第1手摺を固定する締結部材の締結用穴が加工済であることを特徴とする室内壁構造作製キット。
【請求項8】
高さが1000mm以上1300mm以下であって室内の床面から下面が離間した取り付けが可能な壁パネルと、上記壁パネルに取り付けられる紙巻器を備えており、上記壁パネルには、上記紙巻器が、当該紙巻器の天端を上記壁パネルの下面から100mm以上450mm以下の高さに位置させて取り付けられているか、または、上記紙巻器を上記高さで取り付けるために、上記紙巻器を固定する締結部材の締結用穴が加工済であることを特徴とする室内壁構造作製キット。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の室内壁構造作製キットにおいて、上記壁パネルを室内の壁に取り付けるための横桟と、室内の床面に置かれて上記横桟の少なくとも高さ位置について位置決めする治具と、をさらに備えることを特徴とする室内壁構造作製キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内壁構造、室内壁構造の施工方法および室内壁構造作製キットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トイレ室に設置される壁パネルにおいて、電灯、足元灯、手洗器、化粧鏡、手摺、タオル掛け、ペーパーホルダー等のアクセサリー部材を予め取り付けた状態でアッセンブル化して施工現場に運ぶことが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、乾式パネル工法で組み立てられるトイレルームユニットにおいて、壁パネルを腰下の腰下壁パネルと腰上の腰上壁パネルとの2分割構造にし、腰下壁パネルを腰上壁パネルよりも耐水性の高い材質で形成したトイレルームユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−32042号公報
【特許文献2】特開平6−73813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構造は、室内の壁に対して簡単に壁パネルを取り付けることができる構造ではなかった。
【0006】
この発明は、室内の壁に対して簡単に壁パネルを取り付けることができる室内壁構造、室内壁構造の施工方法および室内壁構造作製キットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の室内壁構造は、上記の課題を解決するために、室内の壁に壁パネルが取り付けられる室内壁構造であって、上記壁パネルが、当該壁パネルの下面を上記室内の床面から離間させて取り付けられることを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、上記壁パネルが、当該壁パネルの下面を上記室内の床面から離間させて取り付けられるので、上記室内の床面側の幅木の影響を受けずに、上記壁パネルを上記室内の壁に簡単に取り付けることができる。
【0009】
上記壁パネルの下面が、上記室内の床面から400mm以上700mm以下の高さに位置してもよい。これによれば、例えば、トイレ室内の便器の近くの壁に上記壁パネルを取り付ける場合でも、上記便器の上方に工具を位置させて上記壁パネルを固定するための横桟を壁に留め付けることが可能になる。すなわち、家屋の建築途中における便器の設置前の段階から便器の設置後の段階、さらには、築後も含む、長期間に渡って、上記壁パネルを壁に取り付けることができる。
【0010】
上記壁パネルの表側面には、少なくとも横配置の第1手摺が取り付けられ、この第1手摺の上下方向中心が、上記壁パネルの下面から50mm以上250mm以下の高さに位置してもよい。これによれば、上記壁パネルを、室内の床面から離間させて、上記第1手摺を適切な高さに配置できる。
【0011】
上記壁パネルの表側面には、紙巻器が取り付けられ、この紙巻器の天端が、上記壁パネルの下面から100mm以上450mm以下の高さに位置してもよい。これによれば、上記壁パネルを、室内の床面から離間させて、上記紙巻器を適切な位置に配置できる。
【0012】
この発明の室内壁構造の施工方法は、上記室内壁構造の施工方法であって、上記壁パネルの下面を上記室内の床面から離間させるように、上記室内の壁に横桟を取り付けて係合凹部を作製する段階と、上記壁パネルの背面側の係合凸部を上記係合凹部に係合する段階と、上記壁パネルの上部を上記室内の壁に固定する段階と、を含むことを特徴とする。
【0013】
上記の方法であれば、簡単な作業で室内の壁に壁パネルを取り付けることができる。
【0014】
上記の室内壁構造の施工方法において、室内の床面に置かれて上記横桟の少なくとも高さ位置について位置決めする治具を用いて上記横桟を位置決めしてもよい。これによれば、上記横桟の配置についての墨出し作業が不要になり、また、上記横桟を治具で位置決めした状態で当該横桟の固定または仮固定を行えばよいので、上記壁パネルの固定作業を一人で行うことも可能になる。
【0015】
また、この発明の室内壁構造作製キットは、高さが1000mm以上1300mm以下であって室内の床面から下面を離間させた取り付けが可能な壁パネルと、上記壁パネルに取り付けられる少なくとも横配置の第1手摺とを備えており、上記壁パネルには、上記第1手摺が、当該第1手摺の上下方向中心を上記壁パネルの下面から50mm以上250mm以下の高さに位置させて取り付けられているか、または、上記第1手摺を上記高さで取り付けるために、上記第1手摺を固定する締結部材の締結用穴が加工済である。これによれば、上記壁パネルを、室内の床面から離間させて、上記第1手摺を適切な高さに配置できる。
【0016】
また、この発明の室内壁構造作製キットは、高さが1000mm以上1300mm以下であって室内の床面から下面が離間した取り付けが可能な壁パネルと、上記壁パネルに取り付けられる紙巻器を備えており、上記壁パネルには、上記紙巻器が、当該紙巻器の天端を上記壁パネルの下面から100mm以上450mm以下の高さに位置させて取り付けられているか、または、上記紙巻器を上記高さで取り付けるために、上記紙巻器を固定する締結部材の締結用穴が加工済であることを特徴とする。これによれば、上記壁パネルを、室内の床面から離間させて、上記紙巻器を適切な高さに配置できる。
【0017】
上記室内壁構造作製キットは、上記壁パネルを室内の壁に取り付けるための横桟と、室内の床面に置かれて上記横桟の少なくとも高さ位置について位置決めする治具と、をさらに備えてもよい。これによれば、上記横桟の配置についての墨出し作業が不要になり、また、上記壁パネルの固定作業を一人で行うことも可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明であれば、室内の壁に対して簡単に壁パネルを取り付けることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この実施形態の室内壁構造を示した斜視説明図である。
【
図2】同図(A)および同図(B)は、この実施形態の室内壁構造の施工方法を示した斜視説明図であり、同図(C)は横桟固定部位の概略の断面図である。
【
図3】
図1の室内壁構造における壁パネルの背面に設けられる係合凸部を示した概略の断面図である。
【
図4】この実施形態の室内壁構造の施工方法を示した斜視説明図である。
【
図5】同図(A)および同図(B)は、この実施形態の室内壁構造の施工方法における壁パネルの壁への取り付けを示した概略の断面図である。
【
図6】この実施形態の室内壁構造の施工方法を示した斜視説明図である。
【
図7】この実施形態の室内壁構造の施工方法を示した斜視説明図である。
【
図8】この実施形態の室内壁構造の施工方法を示した斜視説明図である。
【
図9】同図(A)この実施形態の室内壁構造の施工方法を示した斜視説明図であり、同図(B)は、異なるタイプの手摺を有する壁パネルに紙巻器を取り付ける様子を示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の一態様に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態の室内壁構造は、例えば、トイレの室内7の壁71に壁パネル1が取り付けられる室内壁構造である。
【0021】
上記壁パネル1は、当該壁パネル1の下面1eを上記室内7の床面から離間させて取り付けられており、上記室内7の床面から上記壁パネル1の下面1eまでの高さは、例えば、500mmに設定されている。もちろん、この高さに限定されず、上記室内7の床面から上記壁パネル1の下面1eまでの高さは、例えば、上記高さは400mm以上700mm以下の範囲に設定される。一方、上記壁パネル1の奥端部は、例えば、上記室内7の奥壁に接しているが、上記室内7の奥壁から離間していてもよい。
【0022】
上記床面から便器72の蓋の上面までの高さは、例えば、450mmである。また、この例では、上記壁パネル1は、上記便器72に着座した人の右側に位置するが、着座した人の左側に位置させる態様も設定できる。
【0023】
上記壁パネル1の表側面には、手摺21が取り付けられている。この手摺21は、横配置の第1手摺21aおよび縦配置の第2手摺21bを有する。さらに詳しくは、上記第1手摺21aの上下方向中心は、上記壁パネル1の下面1eから50mm以上250mm以下(望ましくは、100mm以上200mm以下)の高さに位置しており、この実施形態では、150mm程度の高さに位置する。これによれば、上記壁パネル1を、室内7の床面から離間させて、上記第1手摺21aを適切な位置に配置できる。
【0024】
また、上記第1手摺21aおよび第2手摺21bの延長線の交差する箇所には、トイレットペーパー(ロール)を支持する紙巻器22が上記壁パネル1に取り付けられる。さらに詳しくは、上記紙巻器22の天端は、上記壁パネル1の下面1eから100mm以上300mm以下(望ましくは、150mm以上250mm以下)の高さに位置しており、この実施形態では、200mm程度の高さに位置する。これによれば、上記壁パネル1を、室内7の床面から離間させて、上記紙巻器22を適切な位置に配置できる。
【0025】
さらに、上記壁パネル1には、上記第1手摺21aの上側の位置であって且つ上記第2手摺21bの右側位置において呼び出し器23が取り付けられている。この呼び出し器23の呼び出しは、例えば音の発生やナースセンターへの通知等により行われ、呼び出し器23の下側から垂下された紐23aを引くことで上記の呼び出しが実行される。
【0026】
上記壁パネル1の上部には、当該壁パネル1の幅と同幅の長さを有するカウンター3が取り付けられている。このカウンター3上にトイレットペーパー等を置くことができる。また、上記カウンター3によって上記壁パネル1の上部が露呈しないようにできる。
【0027】
上記の室内壁構造であれば、上記壁パネル1が、当該壁パネル1の下面を上記室内7の床面から離間させて取り付けられるので、上記室内7の床面側の幅木の影響を受けずに、上記壁パネル1を上記室内7の壁71に容易に取り付けることができる。
【0028】
上記壁パネル1の下面が、上記室内7の床面から400mm以上700mm以下の範囲に位置すると、上記室内7の便器72の近くの壁71に上記壁パネル1を取り付ける場合でも、上記便器72の上方に工具を位置させて上記壁パネル1を固定するための上記横桟11を上記壁71に留め付けることができる。すなわち、家屋の建築途中における便器72の設置前の段階から便器72の設置後の段階、さらには、築後も含む、長期間に渡って、上記壁パネル1を上記壁71に取り付けることができる。また、壁パネル1と便器72との施工順序の融通性が高くなる
【0029】
次に、室内壁構造の施工方法について説明する。この施工方法では、
図2(A)、
図2(B)、
図2(C)に示すように、横桟11を上記壁71に締結部材であるタッピングネジ100をねじ込んで固定する。なお、この実施形態では、タッピングネジ100がねじ込まれる箇所には、厚さ1.2mmの下地鉄板71aが石こうボード71bの背面側に設けられている。上記横桟11の背面側の上側には、段状部11aが形成されており、当該横桟11の背面側を上記壁71に向けて当てることで、上記段状部11aと上記壁71との間に係合凹部11bが形成される。上記横桟11の水平方向の両端には、上記段状部11aは形成されておらず、上記係合凹部11bも存在しない。また、上記横桟11における上記係合凹部11bの上部側には、壁側に下り傾斜する傾斜部11cが形成されている。
【0030】
上記横桟11は、治具4を用いて位置決めすることができる。上記治具4は、上記室内7の床面上に置かれ且つ奥壁と上記壁71との隅角に当てて用いられる。上記治具4の上部には、段部4aが形成されており、この段部4aによって、当該治具4の上端面より低い位置に受け面41が形成されている。上記受け面41に上記横桟11を仮置くことで、上記横桟11を上記床面からの所定の高さに仮配置できる。また、上記受け面41に上記横桟11を置くことにより、上記治具4の上記上端面の幅で、上記横桟11が、上記奥壁から所定距離離れて位置する。
【0031】
上記治具4によって、上記横桟11の一端側の高さ位置と奥壁からの距離を決め、当該横桟11を、水平状態にして、上記壁71にタッピングネジ100で固定する。
【0032】
図3に示すように、上記壁パネル1の背面側には、当該壁パネル1の上下左右の周囲背面部1dよりも凹とされた凹状背面部1aが形成されている。また、上記凹状背面部1a内には、背面方向に突出する係合凸部1bが取り付けられている。この係合凸部1bは、例えば、上記壁パネル1の工場出荷段階で当該壁パネル1に取り付け済である。
【0033】
上記係合凸部1bは、溶接により互いに固定された上側のLアングル部と下側の曲げ鋼板部とからなり、ビス101によって上記壁パネル1の背面側に固定されている。上記曲げ鋼板部には、上記壁パネル1の背面側から離間した位置で下向きに曲がってさらに上側に折り返された二重板部1cが形成されている。上記二重板部1cの厚みは、上記係合凹部11bの凹寸法と略同じになっており、また、上記二重板部1cの下側には、上記折り返しによって丸みが形成されている。また、上記二重板部1cの最も背面側の面は、上記周囲背面部1dと略面一になっている。なお、上記壁パネル1の下側には、上記横桟11を通すための開口が形成されている。
【0034】
次に、
図4および
図5(A)に示すように、上記壁パネル1の背面側を、上記室内7の上記壁71に向け、また、上記係合凸部1bを上記係合凹部11bよりも上に位置させた状態で、上記壁パネル1を下げると、
図5(B)に示すように、上記係合凹部11bに上記係合凸部1bが係合する。この実施形態では、この係合の作業を、上記壁パネル1に固定された横配置の第1手摺21aおよび縦配置の第2手摺21bを掴んで行う。上記第1手摺21aおよび第2手摺21bは、この実施形態では、工場出荷段階で上記壁パネル1に取り付けられているが、このような取付は行わず、上記壁パネル1において、上記第1手摺21aおよび第2手摺21bを取り付けるビス(締結部材)用の締結用穴(下穴)が加工済であり、上記締結用穴にビスをねじ込んで上記第1手摺21aおよび第2手摺21bを上記壁パネル1に取り付けてもよい。また、この係合状態において、上記壁パネル1の下面と上記横桟11の下面が略面一になる。
【0035】
上記壁パネル1の係合凸部1bを上記横桟11により形成される係合凹部11bに係合する構造であれば、上記壁パネル1を上記室内7の壁71に固定する作業が容易になる。また、上記係合凸部1bにおける二重板部1cの下側が折り返しによって丸みを帯びていると、上記係合が円滑に行える利点がある。また、上記傾斜部11cが形成されていると、上記二重板部1cが上記傾斜部11cに導かれて上記係合凹部11bに嵌るので、嵌めやすく、しかもガタツキが生じにくい。
【0036】
そして、上記の係合状態において、上記壁パネル1の上部を上記壁71に固定する。上記壁パネル1の上部には、当該壁パネル1の幅よりも狭い長さのL字のアングル部材12が当該壁パネル1の工場出荷段階で取り付け済である。また、上記アングル部材12の立上片には、当該アングル部材12を固定するタッピングネジ100が挿通される挿通孔12aおよび上記カウンター3に係合して当該カウンター3を位置決めする係合突起12bが形成されており、上記アングル部材12の水平片には、当該アングル部材12に上記カウンターを固定するビス101を挿通する挿通孔12cが形成されている。
【0037】
次に、
図6および
図7に示すように、上記アングル部材12に上記カウンター3を取り付ける。上記カウンター3の背面には、上記アングル部材12の立上片が納まる凹部31が形成されており、また、この凹部31には、上記係合突起12bが嵌る嵌合穴32が形成されている。上記カウンター3の背面側を上記アングル部材12の立上片に押し当てて、上記係合突起12bを嵌合穴32に嵌めた状態で、
図8に示すように、ビス101を上記アングル部材12の水平片の下から上記挿通孔12cに差し込んでねじ込む。
【0038】
次に、
図9(A)に示すように、上記紙巻器22を上記壁パネル1に取り付ける。上記壁パネル1には、上記紙巻器22を取り付けるビス(締結部材)101用の締結用穴(下穴)1fが加工済であり、上記締結用穴1fにビス101をねじ込んで上記紙巻器22を上記壁パネル1に取り付ける。さらに、上記呼び出し器23を上記壁パネル1に取り付ける。上記壁パネル1には、上記呼び出し器23の配線口1gが加工済である。上記配線口1gは上記壁パネル1の裏面に貫通している。
【0039】
なお、
図9(B)に示すように、横配置の第1手摺21aおよび縦配置の第2手摺21bが一体である一体型手摺21Aを用いる場合には、上記第1手摺21aと第2手摺21bの交差位置の近くに上記紙巻器22を取り付ける。この態様においても、上記紙巻器22を取り付けるビス(締結部材)101用の締結用穴1fが加工済である。このタイプの場合、上記紙巻器22の天端は、上記壁パネル1の下面1eから250mm以上450mm以下(望ましくは、300mm以上400mm以下)の高さに位置しており、この実施形態では、350mm程度の高さに位置する。これによれば、上記壁パネル1を、室内7の床面から離間させて、上記紙巻器22を適切な位置に配置できる。
【0040】
上記の室内壁構造の施工方法であれば、簡単な作業で室内7の壁71に壁パネル1を取り付けることができる。
【0041】
上記の室内壁構造の施工方法において、上記室内7の床面に置かれて上記横桟11の少なくとも高さ位置について位置決めする治具4を用いて上記横桟11を固定すると、上記横桟11の配置についての墨出し作業が不要になり、また、上記横桟11を治具4で位置決めした状態で当該横桟11の固定または仮固定を行えばよいので、上記壁パネル1の固定作業を一人で行うことも可能になる。
【0042】
上記の室内壁構造の施工方法において、上記壁パネル1の背面側の係合凸部1bを上記係合凹部11bに係合する作業を、上記壁パネル1に固定された横配置の第1手摺21aおよび縦配置の第2手摺21bを掴んで行うと、この係合する作業を、上記壁パネル1と上記壁71や奥壁との間に指を挟むようなこともなく、簡単に行えるようになる。
【0043】
次に、この実施形態の室内壁構造作製キットについて説明する。この実施形態の室内壁構造作製キットは、上記壁パネル1、上記横桟11、上記手摺21、上記カウンター3、上記紙巻器22、上記呼び出し器23、必要本数のタッピングネジ100、必要本数のビス(締結部材)101、上記治具4を備える。
【0044】
また、他の実施形態の室内壁構造作製キットは、高さが1000mm以上1300mm以下であって室内の床面から下面を離間させた取り付けが可能な壁パネル1と、上記壁パネル1に取り付けられる少なくとも横配置の第1手摺21aを備えており、上記壁パネル1には、上記第1手摺21aが、当該第1手摺21aの上下方向中心を上記壁パネルの下面から50mm以上250mm以下の高さに位置させて取り付けられているか、または、上記第1手摺21aを上記高さで取り付けるために、上記第1手摺21aを固定する締結部材(ボルト等)の締結用穴が加工済である。これによれば、上記壁パネル1を、室内7の床面から離間させて、上記第1手摺を適切な高さに配置できる。なお、この例では、上記第1手摺21aおよび上記第2手摺21bは、壁パネル1の裏面側から上記締結部材によって上記壁パネル1に固定される。
【0045】
また、他の実施形態の室内壁構造作製キットは、高さが1000mm以上1300mm以下であって室内の床面から下面が離間した取り付けが可能な壁パネル1と、上記壁パネル1に取り付けられる紙巻器22を備えており、上記壁パネル1には、上記紙巻器22が、当該紙巻器22の天端を上記壁パネル1の下面から100mm以上300mm以下の高さに位置させて取り付けられているか、または、上記紙巻器22を上記高さで取り付けるために、上記紙巻器22を固定するビス(締結部材)101の締結用穴1fが加工済である。これによれば、上記壁パネル1を、室内7の床面から離間させて、上記紙巻器22を適切な高さに配置できる。
【0046】
上記室内壁構造作製キットは、上記壁パネル1を室内7の壁に取り付けるための上記横桟11と、室内7の床面に置かれて上記横桟11の少なくとも高さ位置について位置決めする上記治具4と、をさらに備えてもよい。これによれば、上記横桟11の配置についての墨出し作業が不要になり、また、上記壁パネル1の固定作業を一人で行うことも可能になる。
【0047】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 :壁パネル
1a :凹状背面部
1b :係合凸部
1c :二重板部
1d :周囲背面部
1e :下面
1f :締結用穴
1g :配線口
3 :カウンター
4 :治具
4a :段部
7 :室内
11 :横桟
11a :段状部
11b :係合凹部
12 :アングル部材
12a :挿通孔
12b :係合突起
12c :挿通孔
21 :手摺
21A :一体型手摺
21a :第1手摺
21b :第2手摺
22 :紙巻器
23 :呼び出し器
31 :凹部
32 :嵌合穴
41 :受け面
71 :壁
71a :下地鉄板
71b :ボード
72 :便器
100 :タッピングネジ
101 :ビス(締結部材)