【解決手段】検体測定装置100は、第1容器21に収容されている検体に対する第1測定を第1周期で行う第1処理ユニット61と、第2容器21に収容されている検体に対する第2測定を第1周期とは異なる第2周期で行う第2処理ユニット62と、第1処理ユニット61と第2処理ユニット62と間に配置され、第2容器21が位置付けられる中継部201と、を備え、第1処理ユニット61は、第2容器21を中継部201に受け渡す受渡動作を実行し、第2処理ユニット62は、中継部201に受け渡された第2容器21を中継部201から受け取る受取動作を実行する。
前記第2処理ユニットは、前記中継部において前記第2容器が検出されると、前記受取動作を実行して前記中継部に位置付けられた前記第2容器を受け取ったことを示す第2信号を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記第2信号を受信すると、前記第1信号を前記第1処理ユニットに送信する、請求項3に記載の検体測定装置。
前記第1処理ユニットと前記第2処理ユニットとの間に配置され、前記第2容器が位置付けられる中継部を介して、前記第2容器を前記第1処理ユニットから前記第2処理ユニットに受け渡す、請求項13に記載の検体測定方法。
前記第1処理ユニットおよび前記第2処理ユニットに対して通信可能な管理装置から前記第1処理ユニットに、前記中継部に前記第2容器を受け渡し可能であることを示す第1信号を送信し、
前記第1信号を受信すると、前記第1処理ユニットから前記中継部に前記第2容器を受け渡す、請求項14に記載の検体測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、生化学測定と血液凝固測定の両方を自動分析装置500で行うために、2つの測定が開始されるタイミングを揃える制御、つまり、2つの測定を同期させる制御が行われているが、2つの測定を同期させる制御は複雑である。一方、同期するタイミングが少しでもずれてしまうと、両方の測定が予定通りに進行せずに滞る虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、検体を測定する検体測定装置に関する。
図1を参照し、本態様に係る検体測定装置(100)は、第1容器(21)に収容されている検体に対する第1測定を第1周期で行う第1処理ユニット(61)と、第2容器(21)に収容されている検体に対する第2測定を第1周期とは異なる第2周期で行う第2処理ユニット(62)と、第1処理ユニット(61)と第2処理ユニット(62)と間に配置され、第2容器(21)が位置付けられる中継部(201)と、を備える。第1処理ユニット(61)は、第2容器(21)を中継部(201)に受け渡す受渡動作を実行し、第2処理ユニット(62)は、中継部(201)に受け渡された第2容器(21)を中継部(201)から受け取る受取動作を実行する。
【0009】
被検者が罹患している疾患をより詳細に分析する手法として、2つの測定の結果を組み合わせる場合がある。たとえば、播種性血管内凝固症候群(DIC)は、血液凝固検査に関する測定結果と免疫検査に関する測定結果とを組み合わせることにより、診断可能となる。具体的には、DICの診断は、血液凝固検査に関する測定結果から取得された凝固時間や、免疫検査に関する測定結果から取得されたPICおよびTATなどに基づいて行われる。このように、第1測定として、血液凝固検査に関する測定を行い、第2測定として、免疫検査に関する測定を行い、これらの測定結果を組み合わせることにより、適正な測定が行える。
【0010】
この点、本態様に係る検体測定装置によれば、測定の周期が互いに異なる第1測定および第2測定が1つの装置で実行される。そして、第1処理ユニットは、任意のタイミングで中継部に検体を収容する第2容器を受け渡し、第2処理ユニットは、任意のタイミングで中継部から第2容器を受け取る。このように、第1処理ユニットおよび第2処理ユニットは、測定の周期が互いに異なる場合でも、互いの動作状況に左右されず、それぞれの処理ユニットにおける好ましいタイミングで中継部に第2容器を受け渡し、また、中継部から第2容器を受け取ることができる。よって、複雑な制御を行うことなく、第1測定および第2測定を円滑かつ迅速に行うことができる。
【0011】
また、上記の第1周期および第2周期は、検体の測定に要する時間である。これは、1回の測定に含まれる工程ごとに要する時間の合計である。たとえば、第1測定に、検体に試薬を分注する工程、検体を攪拌する工程、検体を加温する工程、および遠心分離する工程、所定の測定項目に対する測定が含まれる場合、第1測定における第1周期は、これらの5つの工程が完了するために必要な時間である。
【0012】
本態様に係る検体測定装置(100)において、
図3を参照し、中継部(201)は、第2容器(21)を検出する検出部(80、81)を備えるよう構成され得る。
【0013】
本態様に係る検体測定装置によれば、中継部において第2容器の有無を正確に把握したうえで、第1処理ユニットは、中継部に対して第2容器を位置付けることができ、また、第2処理ユニットは、中継部から第2容器を受け取ることができる。
【0014】
本態様に係る検体測定装置(100)において、
図9(b)、(c)を参照して、第1処理ユニット(61)および第2処理ユニット(62)に対して通信可能な管理装置(64)をさらに備え、管理装置(64)は、検出部(80、81)による検出結果に基づいて、中継部(201)に第2容器(21)を受け渡し可能であることを示す第1信号を第1処理ユニット(61)に送信し、第1処理ユニット(61)は、第1信号を受信すると、受渡動作を実行するよう構成され得る。
【0015】
本態様に係る検体測定装置によれば、検出部による検出結果、すなわち、中継部に第2容器が位置付けられているか否かが検出された後、管理装置が第1信号を第1処理ユニットに送信する。第1信号を受信した第1処理ユニットは、中継部に第2容器を受け渡す受渡動作を実行する。よって、第1処理ユニットは、第2処理ユニットの動作状況に関係なく、任意のタイミングで第2容器を中継部に受け渡すことができる。
【0016】
本態様に係る検体測定装置(100)において、
図9(a)、(c)を参照して、第2処理ユニット(62)は、中継部(201)において第2容器(21)が検出されると、受取動作を実行して中継部(201)に位置付けられた第2容器(21)を受け取ったことを示す第2信号を管理装置(64)に送信し、管理装置(64)は、第2信号を受信すると、第1信号を第1処理ユニット(61)に送信するよう構成され得る。
【0017】
本態様に係る検体測定装置によれば、第2処理ユニットは、中継部に第2容器が位置付けられていることが検出された後、第2容器を中継部から受け取る受取動作を実行する。よって、第2処理ユニットは、第1処理ユニットの動作状況に関係なく、任意のタイミングで第2容器を中継部から受け取ることができる。
【0018】
本態様に係る検体測定装置(100)において、
図9(a)〜(c)を参照して、第1処理ユニットは(61)は、第2容器(21)を中継部(201)に移送する第1移送部(142)と、第1移送部(142)を制御する第1制御部(61a)と、を備える。第2処理ユニット(62)は、第2容器(21)を中継部(201)から所定位置に移送する第2移送部(202)と、第2移送部(202)を制御する第2制御(62a)と、を備える。第2制御部(62a)は、中継部(201)において第2容器(21)が検出されると、第2容器(21)を中継部(201)から移送するように第2移送部(202)を制御して第2信号を管理装置(64)に送信し、管理装置(64)は、第2信号を第2制御部(62a)から受信すると、第1信号を第1制御部(61a)に送信し、第1制御部(61a)は、第1信号を管理装置(64)から受信すると、第2容器(21)を中継部(201)に移送させるように第1移送部(142)を制御するよう構成され得る。
【0019】
本態様に係る検体測定装置によれば、第2制御部から管理装置に第2信号が送信されるということは、中継部に新たに第2容器を位置付けることが可能であることを意味する。よって、管理装置から第1制御部に第1信号が送信されると、第1制御部は中継部に第2容器を受け渡す。このように、第1処理ユニットと第2処理ユニットとは、互いの動作状況に左右されず、中継部にアクセスし、検体を収容する第2容器の受け取りおよび受け渡しを行うことができる。
【0020】
本態様に係る検体測定装置(100)において、
図13を参照して、中継部(201)は、複数の第2容器(21)を保持する保持孔(201a)を複数有するよう構成され得る。
【0021】
本態様に係る検体測定装置によれば、中継部に設けられた複数の保持孔のそれぞれに、第2容器を位置付けることができる。このため、たとえば、第2処理ユニットが第2測定を行っており、未だ中継部から第2容器を受け取れていない場合であっても、第1処理ユニットは、中継部の空いている保持孔に第2容器を位置付けることができる。よって、第1処理ユニットは、第2処理ユニットの動作状況に左右されず、第1処理ユニットの任意のタイミングで第2容器を中継部に受け渡すことができる。
【0022】
本態様に係る検体測定装置(100)において、
図1を参照して、第2処理ユニット(62)は、中継部(201)から移送された第2容器(21)を保持する保持部(210)を備えるよう構成され得る。
【0023】
たとえば、中継部の各保持孔に第2容器が保持された状態の場合、中継部の保持孔に空が生じるまで、第1処理ユニットは第2容器を中継部に受け渡すことができない。 この点、本態様に係る検体測定装置によれば、保持部に第2容器を保管できる。このため、第2処理ユニットは、中継部に位置付けられた第2容器を任意のタイミングで保持部に移送し、中継部にできるだけ早く空の状態の保持孔を準備することができる。よって、中継部の保持孔が空になるまで第1処理ユニットが待つ時間が短縮される。したがって、第1処理ユニットが第2容器を中継部に迅速に受け渡すことができる。
【0024】
また、第1処理ユニットが第2容器を中継部に迅速に受け渡すことができるため、第1処理ユニットは、第2容器の処理を早く終えることができる。このため、第1処理ユニットは検体に対する第1測定に迅速に取り掛かることができる。
【0025】
本態様に係る検体測定装置(100)において、
図5(a)、(b)を参照して、第1測定は、血液凝固検査に関する測定であり、第2測定は、免疫検査に関する測定である。
【0026】
本態様に係る検体測定装置(100)において、
図1を参照して、第1容器(21)に収容される検体は、検体が収容された検体容器(10)から第1容器(21)に分注され、第2容器(21)に収容される検体は、検体の分注が行われた検体容器(10)から分注され、第2容器(21)は、第1処理ユニット(61)から中継部(201)を介して第2処理ユニット(62)に移送されるよう構成され得る。
本態様に係る検体測定装置によれば、第1処理ユニットおよび第2処理ユニットは、同一の検体に対して、それぞれ第1測定および第2測定を実行することができる。このため、たとえば、疾患の検査に本態様に係る検体測定装置を利用した場合、同一の検体について、多くの情報を得られるため、それらを組み合わせることにより、信頼性の高い検査結果を得ることができる。
【0027】
本態様に係る検体測定装置(100)において、
図1を参照して、検体を検体容器(10)から第1容器(21)および第2容器(21)に分注する分注部(30)をさらに備えるよう構成され得る。
【0028】
本態様に係る検体測定装置によれば、第1処理ユニットおよび第2処理ユニットで使用する検体を1つの分注部により、検体容器から分注することができる。よって、装置の大型化を防ぐことができる。
【0029】
本態様に係る検体測定装置(100)において、第1容器(21)に収容される検体は、検体が収容された検体容器(10)から第1容器(21)に分注され、第2容器(21)に収容される検体は、第1処理ユニット(61)において、第1容器(21)から、第2容器(21)に分注され、検体が分注された第2容器(21)は、中継部(201)を介して第2処理ユニット(62)へ移送されるよう構成され得る。
【0030】
本態様に係る検体測定装置によれば、第1容器に収容されている検体、および第2容器に収容されている検体は、同じ検体容器に収容されている検体から2回分注される。よって、検体容器から第1容器に検体を分注した後に、第2容器に検体を分注する際、コンタミネーションの発生を低減することができる。
【0031】
本態様に係る検体測定装置(100)において、
図2を参照して、複数の検体容器(10)を保持する検体ラック(101)を搬送する搬送ユニット(63)をさらに備え、検体ラック(101)に保持された複数の検体容器(10)が、搬送ユニット(63)により、第1処理ユニット(61)の分注位置に搬送され、分注位置において、複数の検体容器(10)の各々から第1処理ユニット(61)内の第1容器(21)および第2容器(21)に分注された検体が第1処理ユニット(61)および第2処理ユニット(62)により測定されるよう構成され得る。
【0032】
本態様に係る検体測定装置によれば、検体の分注が第1処理ユニット側の1箇所で行われるため、装置の構成を簡素化できる。
【0033】
本発明の第2の態様は、検体を測定する検体測定方法に関する。
図9(a)〜(c)を参照して、本態様に係る検体測定方法は、第1容器(21)に収容されている検体に対する第1測定を第1処理ユニット(61)により第1周期で行い、検体が収容されている第2容器(21)を第1処理ユニット(61)から第2処理ユニット(62)に受け渡し、第2容器(21)に収容されている検体に対する第2測定を第2処理ユニット(62)により第1周期とは異なる第2周期で行う。
【0034】
本態様に係る検体測定方法によれば、第1の態様と同様の効果を奏する。
【0035】
本態様に係る検体測定方法は、
図9(b)、(c)を参照して、第1処理ユニット(61)と第2処理ユニット(62)との間に配置され、第2容器(21)が位置付けられる中継部(201)を介して、第2容器(21)を第1処理ユニット(61)から第2処理ユニット(62)に受け渡すよう構成され得る。
【0036】
本態様に係る検体測定方法において、
図9(c)を参照して、第1処理ユニット(61)および第2処理ユニット(62)に対して通信可能な管理装置(64)から第1処理ユニット(61)に、中継部(201)に第2容器(21)を受け渡し可能であることを示す第1信号を送信し、第1信号を受信すると、第1処理ユニット(61)から中継部(201)に第2容器(21)を受け渡すよう構成され得る。
【0037】
本態様に係る検体測定方法において、
図9(c)を参照して、第2処理ユニット(62)から管理装置(64)に中継部(201)に位置付けられた第2容器(21)を受け取ったことを示す第2信号を送信し、第2信号を受信すると、管理装置(64)から第1処理ユニット(61)に第1信号を送信するするよう構成され得る。
【0038】
本態様に係る検体測定方法において、
図9(c)を参照して、中継部(201)に第2容器(21)が位置付けられると、第2容器(21)を中継部(201)から第2処理ユニット(62)に移送し、第2処理ユニット(62)から管理装置(64)に第2信号を送信し、第2信号を受信すると、管理装置(64)から第1処理ユニット(61)に第1信号を送信し、第1信号を受信すると、第2容器(21)を第1処理ユニット(61)から中継部(201)に移送するよう構成され得る。
【0039】
本態様に係る検体測定方法によれば、
図8を参照して、第1処理ユニット(61)において、検体を検体容器(10)から第1容器(21)に分注し、第1処理ユニット(61)において、検体を検体容器(10)から第2容器(21)に分注し、第2容器(21)を第1処理ユニット(61)から第2処理ユニット(62)へ移送するよう構成され得る。
【0040】
本態様に係る検体測定方法は、
図5(a)、(b)を参照して、第1測定は、血液凝固検査に関する測定であり、第2測定は、免疫検査に関する測定であるよう構成され得る。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、複雑な制御を行うことなく、2つの測定を1つの装置で行ことができる検体測定装置、およびこの検体測定装置を用いた検体測定方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
<実施形態1>
本実施形態の検体測定装置100は、第1測定および第2測定を並行して行う装置である。近年、疾患を検査する手法として、様々な試みがなされている。その1つに、複数の測定結果を組み合わせることにより、被検者が罹患している疾患をより詳細に分析できる場合がある。たとえば、播種性血管内凝固症候群(DIC)は、血液凝固検査に関する測定結果と免疫検査に関する測定結果とを組み合わせることにより、適切な診断を行うことが可能である。具体的には、DICの診断は、血液凝固検査に関する測定結果から取得された凝固時間や、免疫検査に関する測定結果から取得されたPICおよびTATなどに基づいて行われる。
【0044】
以下、血液凝固検査に関する第1測定および免疫検査に関する第2測定を行う検体測定装置100について説明する。
【0045】
<検体測定装置の構成>
図1に示すように、検体測定装置100は、第1処理ユニット61と、第2処理ユニット62と、搬送ユニット63と、管理装置64と、を備える。第1処理ユニット61は、搬送ユニット63と管理装置64に対して通信可能に接続されている。第2処理ユニット62は、管理装置64に対して通信可能に接続されている。
図1において、XYZ軸は互いに直交しており、X軸正方向は左方向に対応し、Y軸正方向は後ろ方向に対応し、Z軸正方向は鉛直下方向に対応する。なお、他の図においても、XYZ軸は
図1と同様に設定されている。
【0046】
検体測定装置100は、検体容器10に収容された検体を測定する。
【0047】
図1に示すように、第1処理ユニット61は、分注部30と、第1測定部51と、第1制御部61aと、を備える。第1測定部51は、第1測定として、血液凝固検査に関する測定を行う。分注部30は、ノズル31とアーム32を備える。ノズル31は、検体の吸引および吐出が可能に構成されている吸引管である。アーム32の端部には、ノズル31が設けられ、アーム32は、旋回可能に構成されている。分注部30は、ノズル31により、検体を検体容器10から反応容器21に分注する。第1制御部61aは、第1処理ユニット61の各部を制御する。第1制御部61aは、たとえば、CPUやマイクロコンピュータにより構成される。
【0048】
第2処理ユニット62は、第2測定部52と第2制御部62aを備える。第2測定部52は、第2測定として、免疫検査に関する測定を行う。免疫検査に関する測定は、血液凝固検査とは異なる検査に関する測定である。免疫検査に関する測定は、免疫学的な分析項目の測定や免疫学的な反応による測定等を含む。免疫検査に関する測定は、抗原抗体反応を利用した測定である。第2制御部62aは、第2処理ユニット62の各部を制御する。第2制御部62aは、たとえば、CPUやマイクロコンピュータにより構成される。
【0049】
搬送ユニット63は、検体容器10を第1処理ユニット61に搬送するための機構を備える。管理装置64は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成される。管理装置64は、制御部64aを備える。制御部64aは、たとえば、CPUにより構成される。
【0050】
検体容器10が所定の位置に位置付けられると、分注部30は、ノズル31の先端から検体容器10内の検体を吸引する。検体が吸引されると、ノズル31が栓体11から抜き取られる。続いて、分注部30は、検体容器10から吸引した検体を反応容器21に吐出する。
【0051】
1つの検体に対して第1測定部51および第2測定部52の両方で測定が行われる場合、分注部30は、検体容器10内の検体を2つの新しい反応容器21に分注する。具体的には、分注部30は、検体容器10内から検体を吸引し、吸引した検体を新しい反応容器21に吐出する分注動作を2回繰り返す。最初に反応容器21に分注された検体は、第1測定部51で測定が行われる検体であり、次に反応容器21に分注された検体は、第2測定部52で測定が行われる検体である。最初に検体が分注された反応容器21は、第1容器であり、次に検体が分注された反応容器21は、第2容器である。つまり、第1測定部51および第2測定部52のそれぞれにおいて、測定が行われる検体を収容する反応容器21は、第1容器21および第2容器21である。
【0052】
なお、第1容器21と第2容器21は、同じ種類の容器であってもよく、異なる種類の容器であってもよい。
【0053】
ここで、第1容器21に収容された検体は、第1処理ユニット61の第1測定部51で測定される、第2容器21に収容された検体は、第2処理ユニット62の第2測定部52で測定される。
【0054】
反応容器21は、上方に開口を有する容器であり、いわゆるキュベットである。反応容器21すなわち第1容器21は、第1処理ユニット61の第1測定部51において測定を行うための使い捨ての容器である。
【0055】
第1処理ユニット61は、第1測定部51で測定するための検体が分注された反応容器21つまり第1容器21を、第1測定部51に移送する。このとき、第1処理ユニット61は、この第1容器に所定の試薬を添加して測定試料を調製し、測定試料を収容した第1容器21を第1測定部51に移送する。第1測定部51は、第1容器21内の測定試料に光を照射し、測定試料を透過した光または測定試料により散乱された光を測定する。第1測定部51の測定原理は、たとえば、凝固法、合成基質法、免疫比濁法、凝集法、などである。第1制御部61aは、第1測定部51が測定した光に基づいて測定データを生成する。
【0056】
第1処理ユニット61は、第2測定部52で測定するための検体が分注された反応容器21つまり第2容器21を第2処理ユニット62に搬送する。このとき、第2容器21は、第1処理ユニット61から中継部201に受け渡された後、第2処理ユニット62に中継部201から受け取られ、第2測定部52内の所定の位置に移送される。
【0057】
検体が分注された反応容器21つまり第2容器21が第1処理ユニット61により中継部201に受け渡されると、第2処理ユニット62は、中継部201から第2容器21を受け取る。そして、第2処理ユニット62は、第2容器21を保持部210に移送し、保管する。
【0058】
中継部201の構成、第1処理ユニット61が中継部201に第2容器21を受け渡す動作、および第2処理ユニット62が中継部201から反応容器21を受け取る動作に関しては、追って詳細に説明する。
【0059】
第2処理ユニット62は、第1処理ユニット61から搬送された第2容器21を、反応容器22に移し替える。反応容器22は、上方に開口を有する容器であり、いわゆるキュベットである。反応容器22は、第2処理ユニット62の第2測定部52において測定を行うための使い捨ての容器である。第2処理ユニット62は、検体が分注された反応容器22に所定の試薬を添加して測定試料を調製し、測定試料を収容した反応容器22を第2測定部52に移送する。第2測定部52は、反応容器22内の測定試料から生じた光、すなわち、検体に含まれる被検物質に基づく化学発光を測定する。第2制御部62aは、第2測定部52が測定した光に基づいて測定データを生成する。
【0060】
ここで、化学発光とは、化学反応によるエネルギーを利用して発せられる光であり、たとえば、化学反応により分子が励起されて励起状態になり、そこから基底状態に戻る時に放出される光である。実施形態において第2測定部52が測定する化学発光は、酵素免疫化学発光法(CLEIA)に基づく光であり、酵素と基質との反応により生じた光である。なお、第2測定部52が測定する化学発光は、たとえば、化学発光分析法(CLIA)、電気化学発光分析法(ECLIA)、蛍光酵素測定法(FEIA法)、LOCI法(Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay)、BLEIA法(生物発光酵素免疫法)などに基づく光であってもよい。
【0061】
管理装置64の制御部64aは、第1処理ユニット61で生成された測定データに基づいて、血液凝固検査に関する分析を行う。具体的には、制御部64aは、PT、APTT、Fbg、外因系凝固因子、内因系凝固因子、凝固第XIII因子、HpT、TTO、FDP、Dダイマー、PIC、FM、ATIII、Plg、APL、PC、VWF:Ag、VWF:RCo、ADP、コラーゲン、エピネフリンなどの分析項目について分析を行う。
【0062】
また、制御部64aは、第2処理ユニット62で生成された測定データに基づいて、免疫検査に関する分析を行う。具体的には、制御部64aは、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HBe抗原、HBe抗体、HCV抗体、TP抗体、HTLV抗体、HIV抗原・抗体、TAT、PIC、TM、tPAI・c、TSH、FT3、FT4などの分析項目について分析を行う。
【0063】
また、第2処理ユニット62の第2制御部62aは、中継部201に位置付けられている反応容器21つまり第2容器21を受け取ると、受取動作が完了したことを示す第2信号を制御部64aに送信する。制御部64aは、第2信号を受信すると、第1制御部61aに、中継部201に第2容器21を受け渡すことが可能であることを示す第1信号を送信する。これらに関しては、追って
図9を参照して説明する。
【0064】
続いて、検体測定装置100の構成について、第1処理ユニット61と第2処理ユニット62とに分けて詳細に説明する。
【0065】
図2に示すように、搬送ユニット63は、ラックセット位置63aと、ラック搬送領域63bと、ラック回収位置63cと、を備える。ラックセット位置63aとラック回収位置63cは、それぞれ、ラック搬送領域63bの右端および左端に繋がっている。ラックセット位置63aとラック回収位置63cとの間には、バーコードリーダ102が配置されている。オペレータは、検体容器10をセットした検体ラック101を、ラックセット位置63aに設置する。
【0066】
検体容器10は、たとえば、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された採血管である。検体容器10には、図示しないバーコードラベルが貼付されている。バーコードラベルには、検体IDを示すバーコードが印刷されている。検体IDは、検体を個別に識別可能な情報である。
【0067】
搬送ユニット63は、ラックセット位置63aに設置された検体ラック101をラック搬送領域63bの右端に送り、さらに、バーコードリーダ102の前方へと送る。バーコードリーダ102は、検体容器10のバーコードラベルからバーコードを読み取り、検体IDを取得する。取得された検体IDは、検体に対する測定オーダの取得のために、管理装置64に送信される。
【0068】
続いて、搬送ユニット63は、検体容器10を保持した検体ラック101を搬送して、検体容器10を順次、検体吸引位置103aに位置付ける。検体吸引位置103aは、分注部30が検体を吸引するための位置であり、搬送ユニット63は、検体ラック101に保持された全ての検体容器10に対する検体の吸引が終了すると、検体ラック101をラック回収位置63cへと搬送する。
【0069】
第1処理ユニット61は、分注部30と、洗浄部40と、反応容器テーブル120と、試薬テーブル130と、加温テーブル140と、移送部106と、試薬分注部161、162と、第1測定部51と、廃棄口107と、を備える。
【0070】
検体吸引位置103aに位置付けられた検体には、第1処理ユニット61で血液凝固検査に関する測定を行う測定オーダと、第2処理ユニット62で免疫検査に関する測定を行う測定オーダとの両方が設定されている。
【0071】
分注部30は、検体吸引位置103aに位置付けられた検体容器10から検体を吸引する。分注部30は、検体容器10から2回に分けて検体を吸引し、それぞれ反応容器テーブル120の異なる反応容器21に吐出する。このとき、分注部30は、最初に吸引した検体を、血液凝固検査に関する測定を行うための検体として第1容器21に吐出し、後で吸引した検体を、免疫検査に関する測定を行うための検体として第2容器21に吐出する。分注部30による検体容器10から検体を吸引する動作、および検体容器10から吸引した検体を第1容器21および第2容器21に吐出する動作は、
図1を参照しながら説明したように行われる。
【0072】
反応容器テーブル120は、平面視においてリング形状を有し、試薬テーブル130の外側に配置されている。反応容器テーブル120は、周方向に回転可能に構成されている。反応容器テーブル120は、反応容器21を保持するための複数の保持孔121を有する。
【0073】
反応容器収納部151は、新しい反応容器21を収納する。反応容器供給部152は、反応容器収納部151から反応容器21を1つずつ取り出し、取り出した反応容器21を、移送部105による把持位置に供給する。移送部105は、反応容器供給部152によって把持位置に供給された反応容器21を把持して、反応容器テーブル120の保持孔121にセットする。また、反応容器収納部151は、図示されない複数の収納部を有しており、それぞれの収納部に反応容器21が収納されている。
【0074】
洗浄部40は、ノズル31を洗浄するための容器である。1つの検体容器10に対する分注を終えると、ノズル31は、洗浄部40内において洗浄される。
【0075】
加温テーブル140は、反応容器21を保持するための複数の保持孔141と、反応容器21を移送するための移送部142と、を備える。加温テーブル140は、平面視において円形の輪郭を有し、周方向に回転可能に構成されている。加温テーブル140は、保持孔141にセットされた反応容器21を37℃に加温する。
【0076】
反応容器テーブル120に保持された新しい反応容器21に検体容器10からの検体が吐出されると、反応容器テーブル120が回転され、反応容器21つまり第1容器21が加温テーブル140の近傍まで移送される。そして、加温テーブル140の移送部142が、この第1容器21を把持して、加温テーブル140の保持孔141にセットする。
【0077】
他方、反応容器テーブル120に保持された新しい反応容器21に第2測定に供するための検体が吐出されると、反応容器テーブル120が回転され、反応容器21が加温テーブル140の近傍まで移送される。つまり、この反応容器21は第2容器21である。そして、加温テーブル140の移送部142が、第2容器21を把持して、
図3を参照して後述する中継部201に搬送する。つまり、第2容器21は、移送部142により第1処理ユニット61内から第2処理ユニット62内に配置されている中継部201に受け渡される。
【0078】
第1処理ユニット61において、試薬テーブル130は、血液凝固検査に関する測定に使用する試薬を収容した試薬容器131を複数設置可能に構成されている。試薬テーブル130は周方向に回転可能に構成されている。試薬分注部161、162は、加温テーブル140で加温された反応容器21に試薬を分注する。
【0079】
試薬容器131に収容される試薬の種類は、測定項目によって異なる。たとえば、血液が凝固する時間を測定する場合、血漿のプロトロンビン時間(PT)を測定する。この場合、試薬として、シスメックス株式会社製のレボヘム(登録商標)PTが用いられる。
【0080】
レボヘム(登録商標)PTを反応容器21に分注する場合、加温テーブル140の移送部142が、加温テーブル140の保持孔141から反応容器21を取り出し、所定の位置に位置付ける。そして、試薬分注部161または試薬分注部162は、試薬容器131からレボヘム(登録商標)PTを吸引し、吸引したレボヘム(登録商標)PTを反応容器21に吐出する。こうして、検体にレボヘム(登録商標)PTが混合される。その後、移送部106が反応容器21を第1測定部51の保持孔51aにセットする。
【0081】
上記した血漿のプロトロンビン時間(PT)の測定は、1試薬系であったが、血漿または血清中のD−Dダイマーを測定する場合は、2試薬系で行われる。具体的には、D−Dダイマーの測定では、試薬として、シスメックス株式会社製のリアスオート(登録商標)・Dダイマーネオが用いられる。
【0082】
D−Dダイマーの測定では、まず、加温テーブル140の移送部142が、加温テーブル140の保持孔141から反応容器21つまり第1容器21を取り出し、所定の位置に位置付ける。そして、試薬分注部161または試薬分注部162は、試薬容器131から第1試薬としてDダイマー緩衝液(DDR1)を吸引し、吸引したDダイマー緩衝液(DDR1)を反応容器21に吐出する。こうして、検体にDダイマー緩衝液(DDR1)が混合される。その後、移送部142は、反応容器21を加温テーブル140の保持孔141に再びセットする。
【0083】
次に、第2試薬としてDダイマーラテックス液(DDR2)を第1容器21に分注する。このとき、移送部106が、加温テーブル140の保持孔141から第1容器21を取り出し、所定の位置に位置付ける。そして、試薬分注部161または試薬分注部162は、試薬容器131からDダイマーラテックス液(DDR2)を吸引し、吸引したDダイマーラテックス液(DDR2)を第1容器21に分注する。こうして、検体にDダイマーラテックス液(DDR2)が混合され、測定試料が調製される。その後、移送部106は、第1容器21を第1測定部51の保持孔51aにセットする。
【0084】
上記のように、試薬が添加されて調製された測定試料は、第1測定部51の複数の保持孔51aにセットされる。第1測定部51は、保持孔51aにセットされた第1容器21に対して光を照射し、測定試料を透過した光または測定試料により散乱された光を測定する。反応容器21内の測定試料の測定が終了すると、この第1容器21は、移送部106により廃棄口107に廃棄される。
【0085】
図3に示すように、第2処理ユニット62は、中継部201と、移送部202と、保持部210、受渡部220と、保管部203と、反応容器ラック204と、試薬テーブル230と、洗浄槽205と、加温部240と、試薬分注部250と、試薬収容部260と、保管部271と、移送部272と、廃棄口273と、第2測定部52と、を備える。
【0086】
中継部201は、第2処理ユニット62内に配置されている。中継部201は、反応容器21つまり第2容器21を受け入れるため、保持孔201aを備える。第1処理ユニット61の移送部142は、反応容器21つまり第2容器21を、反応容器テーブル120の保持孔121から取り出して中継部201へ搬送し、保持孔201aにセットする。
【0087】
また、中継部201は、発光器80と受光器81とを備える。発光器80および受光器81は、追って
図7を参照して説明する検出部201bを構成する。発光器80と受光器81は、保持孔201aを挟んで対向配置されている。発光器80から照射される光は、受光器81に受光される。
【0088】
中継部201の保持孔201aに、第2容器21が位置付けられた場合、発光器80から照射された光は、第2容器21に遮られるため、受光器81に受光されない。一方、保持孔201aに、第2容器21が位置付けられていない場合、発光器80の光は受光器81に受光される。このように、中継部201における第2容器21の有無の識別は、受光器81が発光器80から照射される光を受光するか否かで判断され得る。
【0089】
保持部210は、複数の保持孔211を備える。保持部210は、平面視において円形の輪郭を有し、周方向に回転可能に構成されている。中継部201に位置付けられた第2容器21は、移送部202によって保持部210に移送され、保持孔211にセットされる。このように、第2容器21は、第1処理ユニット61から中継部201を経て保持部210にセットされる。
【0090】
ここで、第2処理ユニット62は、
図3に示す各部に加えて、
図4に示す移送部310と分注部320をさらに備える。移送部310は、Y−Z平面に平行な第1処理ユニット61内の壁面に設置されており、分注部320は、第2処理ユニット62の天井面に設置されている。
【0091】
図4に示すように、移送部310は、前後移送部311と、左右移送部312と、上下移送部313と、支持部材314と、把持部315と、を備える。前後移送部311は、ステッピングモータを駆動して、Y軸方向に延びたレール311aに沿って左右移送部312をY軸方向に移送する。左右移送部312は、ステッピングモータを駆動して、X軸方向に延びたレール312aに沿って上下移送部313をX軸方向に移送する。上下移送部313は、ステッピングモータを駆動して、Z軸方向に延びたレール313aに沿って支持部材314をZ軸方向に移送する。支持部材314には把持部315が設置されている。把持部315は、第2容器21と反応容器22とを把持可能に構成されている。
【0092】
移送部310は、前後移送部311と、左右移送部312と、上下移送部313とを駆動することにより、把持部315を第1処理ユニット61内でX、Y、Z軸方向に移送する。これにより、第2容器21および反応容器22が第2処理ユニット62内で移送可能となる。
【0093】
分注部320は、前後移送部321と、上下移送部322と、支持部材323、324と、ノズル325、326と、を備える。前後移送部321は、ステッピングモータを駆動して、Y軸方向に延びたレール321aに沿って上下移送部322をY軸方向に移送する。上下移送部322は、ステッピングモータを駆動して、Z軸方向に延びたレール322aに沿って支持部材323をZ軸方向に移送し、Z軸方向に延びたレール322bに沿って支持部材324をZ軸方向に移送する。
【0094】
ノズル325、326は、Y軸方向に並ぶように、それぞれ、支持部材323、324に設置されている。ノズル325、326は、Z軸方向に延び、ノズル325、326の先端は、Z軸正方向に向けられている。ノズル325は、検体の分注に用いられ、ノズル326は、試薬の分注に用いられる。
【0095】
保持部210の保持孔211に反応容器21が設置されると、移送部310によって保持孔211から反応容器21が取り出され、受渡部220の保持孔221にセットする。受渡部220は、3つの保持孔221を備える。受渡部220は、平面視において円形の輪郭を有し、周方向に回転可能に構成されている。受渡部220の保持孔221に第2容器21が設置されると、受渡部220が周方向に回転され、第2容器21が検体吸引位置222に位置付けられる。
【0096】
反応容器ラック204は、30個の新しい反応容器22を収容する。保管部203は、反応容器22を保持するための保持孔203aを備える。
【0097】
移送部310は、反応容器ラック204から反応容器22を取り出して、保持孔203aにセットする。そして、分注部320は、ノズル325を用いて、検体吸引位置222に位置付けられた反応容器21内の検体を吸引して、吸引した検体を保持孔203aにセットされた反応容器22に吐出する。これにより、第2容器21から反応容器22へと検体が移し替えられる。検体の移し替えが行われると、ノズル325が洗浄槽205において洗浄される。移し替えが終了した第2容器21は、移送部272により廃棄口273に廃棄される。
【0098】
次に、
図3および
図4を参照して、免疫検査に関する測定について詳細に説明する。
【0099】
図3に示すように、試薬テーブル230は、免疫検査に関する測定に使用する試薬を収容した試薬容器231〜233を設置可能に構成されている。試薬テーブル230は、周方向に回転可能に構成されている。試薬容器231は、R1試薬を収容し、試薬容器232は、R2試薬を収容し、試薬容器233は、R3試薬を収容している。
【0100】
図4に示すように、移送部310は、検体を収容する反応容器22を保持孔203aから取り出し、洗浄槽205の上方に位置付ける。この状態で、分注部320は、ノズル326を用いて、試薬吸引位置223に位置付けられた試薬容器231からR1試薬を吸引し、吸引したR1試薬を洗浄槽205の上方に位置付けられた反応容器22に吐出する。R1試薬の分注が行われると、ノズル326が洗浄槽205において洗浄される。
【0101】
図3に示すように、加温部240は、反応容器22を加温するための保持孔241を複数備える。移送部310は、R1試薬が吐出された反応容器22を加温部240の保持孔241にセットする。加温部240で所定時間だけ反応容器22が加温されると、移送部310は、保持孔241から反応容器22を取り出し、洗浄槽205の上方に位置付ける。この状態で、分注部320は、ノズル326を用いて、試薬吸引位置223に位置付けられた試薬容器232からR2試薬を吸引し、吸引したR2試薬を、洗浄槽205の上方に位置付けられた反応容器22に吐出する。R2試薬の分注が行われると、ノズル326が洗浄槽205において洗浄される。
【0102】
図4に示すように、移送部310は、R2試薬が吐出された反応容器22を加温部240の保持孔241に設置する。加温部240で所定時間だけ反応容器22が加温される。
【0103】
ここで、R1試薬は、被検物質と結合する補足物質を含み、R2試薬は、磁性粒子を含む。反応容器22に対してR1試薬とR2試薬が吐出され、加温部240で加温が行われると、反応容器22内の第2容器に含まれる被検物質が、抗原抗体反応により、補足物質を介して磁性粒子と結合する。これにより、被検物質と磁性粒子とが結合した複合体が生成される。
【0104】
移送部310は、R2試薬の吐出後の加温が終了した反応容器22を洗浄槽205の上方に位置付ける。この状態で、分注部320は、ノズル326を用いて、試薬吸引位置223に位置付けられた試薬容器233からR3試薬を吸引し、吸引したR3試薬を、洗浄槽205の上方に位置付けられた反応容器22に吐出する。そして、移送部310は、R3試薬が吐出された反応容器22を加温部240の保持孔241にセットする。加温部240で所定時間だけ反応容器22が加温される。
【0105】
ここで、R3試薬は、捕捉物質として抗体が用いられた標識抗体を含む。反応容器22に対してR3試薬が吐出され、加温部240で加温が行われると、被検物質と、捕捉抗体と、磁性粒子と、標識抗体とが結合した複合体が生成される。
【0106】
移送部310は、反応容器22を試薬分注部250のノズル251の真下に位置付ける。試薬分注部250は、R4試薬を吐出するためのノズル251と、R5試薬を吐出するためのノズル252と、を備える。また、試薬分注部250は、ノズル251、252をZ軸方向に移送するための機構を備える。
【0107】
図3に示すように、試薬分注部250は、ノズル251により、反応容器22にR4試薬を吐出する。続いて、移送部310は、R4試薬の吐出が終了した反応容器22を、ノズル252の真下に位置付ける。試薬分注部250は、ノズル252により、反応容器22にR5試薬を吐出する。なお、R4試薬とR5試薬は、それぞれ、試薬収容部260に設置された試薬容器261、262に収容されており、ノズル251、252は、それぞれ、試薬容器261、262と図示しない流路により接続されている。
【0108】
ここで、R4試薬は、反応容器22内の複合体を分散させるための試薬である。複合体とR4試薬とが混合されると、反応容器22内において複合体が分散される。また、R5試薬は、複合体に結合された標識抗体との反応により光を生じる発光基質を含む試薬である。複合体とR5試薬とが混合されると、複合体に結合された標識抗体と発光基質とが反応することにより、化学発光が生じる。こうして、第1測定に用いられる測定試料の調製が完了する。
【0109】
図4に示すように、移送部310は、R5試薬の吐出が終了した反応容器22を加温部240の保持孔241に設置する。加温部240で所定時間だけ反応容器22が加温されると、移送部310は、保持孔241から反応容器22を取り出し、保管部271に設けられた保持孔271aにセットする。
【0110】
第2測定部52は、蓋52aと保持孔52bを備える。蓋52aは、保持孔52bの上方において開閉可能に構成されている。反応容器22が保持孔271aにセットされると、蓋52aが開けられ、移送部272は、保持孔271aから反応容器22を取り出して、第2測定部52の保持孔52bにセットする。そして、蓋52aが閉じられ、保持孔52bにおいて、反応容器22内の測定試料から生じた光が測定される。反応容器22内の測定試料の測定が終了すると、この反応容器22は、移送部272により廃棄口273に廃棄される。
【0111】
図5(a)に示すように、血液凝固検査に関する測定を行う第1測定部51は、上述した保持孔51aに加えて、光源部411と受光部412を備える。
図5(a)には、複数の保持孔51aのうち1つの保持孔51aの周辺が図示されている。
【0112】
光源部411は、半導体レーザ光源を含み、異なる波長の光を出射する。光源部411は、各保持孔51aにセットされた第1容器21に対して光を照射する。第1容器21中の測定試料に光が照射されると、測定試料を透過した光または測定試料により散乱された光が受光部412に入射する。受光部412は、保持孔51aごとに設けられており、光検出器により構成される。具体的には、受光部412は、光電管や光ダイオードなどにより構成される。受光部412は、透過光または散乱光を受光して、受光量に応じた電気信号を出力する。第1制御部61aは、受光部412から出力された電気信号に基づいて、血液凝固検査に関する分析で用いられる測定データを生成する。
【0113】
図5(b)に示すように、免疫検査に関する測定を行う第2測定部52は、上述した保持孔52bに加えて、受光部421を備える。
図5(b)には、保持孔52bの周辺が図示されている。
【0114】
反応容器22に収容された測定試料から生じた化学発光は、受光部421に入射する。受光部421は、フォトンカウンティング可能な光検出器により構成される。具体的には、受光部421は、光電子増倍管により構成される。受光部421がフォトンカウンティング可能な光電子増倍管により構成されると、第2測定部52により高感度かつ高精度な測定を行うことができる。受光部421は、化学発光を受光して、光子すなわちフォトンの受光に応じたパルス波形を出力する。第2測定部52は、内部に備える回路により、受光部421の出力信号に基づいて、一定間隔でフォトンを計数し、カウント値を出力する。第2制御部62aは、第2測定部52から出力されたカウント値に基づいて、免疫検査に関する分析で用いられる測定データを生成する。
【0115】
図6に示すように、第1処理ユニット61は、回路部の構成として、第1制御部61aと、記憶部61bと、バーコードリーダ102と、分注部30と、洗浄部40と、反応容器テーブル120と、試薬テーブル130と、加温テーブル140と、反応容器収納部151と、反応容器供給部152と、移送部105、106と、試薬分注部161、162と、第1測定部51と、を備える。
【0116】
第1制御部61aは、記憶部61bに記憶されたプログラムに従って、第1処理ユニット61内の各部および搬送ユニット63を制御する。記憶部61bは、ROM、RAMおよびハードディスク等により構成される。また、第1制御部61aは、搬送ユニット63および管理装置64の制御部64aと通信可能なように構成される。
【0117】
図7に示すように、第2処理ユニット62は、回路部の構成として、第2制御部62aと、記憶部62bと、洗浄部62cと、中継部201と、移送部202、272と、保持部210、受渡部220と、試薬テーブル230と、加温部240と、試薬分注部250と、試薬収容部260と、第2測定部52と、移送部310と、分注部320と、を備える。
【0118】
第2制御部62aは、記憶部62bに記憶されたプログラムに従って、第2処理ユニット62内の各部を制御する。記憶部62bは、ROM、RAMおよびハードディスク等により構成される。
図3を参照して説明した洗浄槽205と、洗浄槽205およびノズル325、326に洗浄液を流すための流路および機構とは、洗浄部62cに含まれる。
【0119】
また、中継部201は、検出部201bを備える。検出部201bは、中継部201に反応容器21が位置付けられたことを検出する。
図3を参照して説明したとおり、検出部201bは、発光器80と受光器81とから構成される。
【0120】
図8に示すフローチャートを参照して、検体測定装置100の処理について説明する。なお、以下の説明は、検体測定装置100の起動からスタートする。また、中継部201に第2容器21は位置付けられておらず、保持孔201aは空の状態である。
【0121】
図8に示すように、検体測定装置100が起動すると、ステップS11において、第1制御部61aは、分注部30と洗浄部40とを駆動して、分注部30のノズル31を洗浄する。ステップS12において、第1制御部61aは、搬送ユニット63を駆動して、検体容器10をバーコードリーダ102の前方まで搬送し、バーコードリーダ102を駆動して、検体容器10のバーコードラベルから検体IDを取得する。ステップS13において、第1制御部61aは、ステップS12において取得した検体IDに基づいて、制御部64aに測定オーダの問い合わせを行う。
【0122】
ステップS14では、制御部64aは、第1制御部61aからの問い合わせがあった検体IDに対応する測定オーダを第1制御部61aと第2制御部62aとに振り分ける。たとえば、第1制御部61aが問い合わせを行った検体IDの検体に第2測定つまり免疫に関する測定の測定オーダが設定されていた場合、制御部64aは、検体IDと第2測定の測定オーダとを組み合わせた情報を、第2制御部62aに振り分ける。この振り分けられた情報は、記憶部62bに記憶される。
【0123】
一方、制御部64aは、第1制御部61aが問い合わせを行った検体IDと測定オーダとを組み合わせた情報を、第1制御部61aに振り分ける。第1制御部61aに振り分けられた測定オーダには、第2測定の測定オーダも含まれる。この振り分けられた情報は、記憶部61bに記憶される。
【0124】
続いて、ステップS15において、第1制御部61aは、搬送ユニット63を駆動して、この検体容器10を検体吸引位置103aに位置付ける。
【0125】
ステップS16において、制御部64aは、検体吸引位置103aの検体容器10に対応付けられた検体IDに対して、第1測定である血液凝固検査に関する測定オーダが設定されていた否かを判定する。
【0126】
ステップS17で、検体容器10に対応付けられた検体IDに対して、血液凝固検査に関する測定オーダが設定されていると、制御部64aは、第1制御部61aに対して、分注部30を駆動して、検体容器10内の検体を吸引し、吸引した検体を反応容器テーブル120に保持された新しい反応容器21つまり第1容器21に吐出するよう制御する。
【0127】
ステップS17で分注された検体は、血液凝固検査の測定に用いられる検体であり、上記したように第1容器21に収容された検体である。そして、ステップS18において、制御部64aは、第1制御部61aに、第1測定部51により第1検体に対して第1測定を行うよう制御する。他方、血液凝固検査に関する測定オーダが設定されていないと、ステップS17、S18の処理がスキップされる。
【0128】
ステップS19において、制御部64aは、検体吸引位置103aの検体容器10に対応付けられた検体IDに対して、第2測定である免疫検査に関する測定オーダが設定されていたか否かを判定する。
【0129】
免疫検査に関する測定オーダが設定されていると、ステップS20において、制御部64aは、第1制御部61aに、分注部30を駆動して、検体容器10内の検体を吸引し、吸引した検体を反応容器テーブル120に保持された新しい反応容器21つまり第2容器21に吐出するよう制御する。ステップS20で分注された検体は、免疫検査の測定に用いられる検体であり、上述したように第2容器21に収容された検体である。
【0130】
ステップS21において、制御部64aは、第2制御部62aに、第2容器21に収容されている検体に対して、第2測定部52にて第2測定を行うよう制御する。他方、免疫検査に関する測定オーダが設定されていないと、ステップS20、21の処理がスキップされる。
【0131】
こうして、検体吸引位置103aに位置付けられた1つの検体容器10に対して処理が終了すると、処理がステップS11に戻される。これにより、ステップS11において、第1制御部61aは、分注部30のノズル31を洗浄する。その後、第1制御部61aは、後続の検体容器10に対して、ステップS12〜S21の処理を行う。
【0132】
上記のステップS21における第2測定では、
図1〜3を参照して説明したとおり、第1処理ユニット61から中継部201に検体が収容されている第2容器21が受け渡され、この第2容器21を第2処理ユニット62が中継部201から受け取るという処理が含まれている。第1処理ユニット61から第2処理ユニット62への第2容器21の搬送に関して、以下、
図9(a)〜(c)を参照して説明する。
【0133】
図9(a)に示すように、ステップS101において、第1制御部61aは、移送部142を駆動して、第2容器21を中継部201に受け渡す。この第2容器は、
図8のステップS19で、検体容器10から分注された検体が収容されている。第2容器21が中継部201に受け渡される、すなわち、中継部201の保持孔201aに第2容器21が位置付けられると、発光器80の光は第2容器21により遮られる。このため、発光器80の光は受光器81に受光されない。受光器81は、第2制御部62aに、発光器80の光を受光していないことを示す信号を第2制御部62aに出力する。この信号は、中継部201に第2容器21が位置付けられていることを示す信号である。受光器81は、この信号を第2制御部62aに送信する。これにより、中継部201に第2容器21が位置付けられたことが第2制御部62aに伝達される。
【0134】
ステップS101で、第2制御部62aに受光器81すなわち検出部201bから中継部201に第2容器21が有ることを示す信号が送信されると、ステップS102では、第2制御部62aは、任意のタイミングで、移送部202を駆動して、中継部201から第2容器21を受け取る受取動作を実行する。そして、保持部210に移送する。すなわち、第2容器21は、保持部210の所定の保持孔211にセットされる。これにより、第2処理ユニット62による第2容器21の受け取りが完了する。
【0135】
ステップS103では、第2制御部62aは、制御部64aに、中継部201から第2容器21の受け取りが完了したことを示す第2信号を送信する。ここで、
図8のステップS14では、検体IDと測定オーダとを組み合わせた情報が制御部64aによって振り分けられ、記憶部62bに記憶されている。このため、第2処理ユニット62は、第2処理ユニット62に搬送される予定の第2容器21に収容されている検体の検体IDと測定オーダとを把握している。そこで、第2制御部62aは、制御部64aに第2信号を送信する際、受け取った第2容器21に収容されている検体の検体IDと測定オーダとの情報も送信する。これにより、制御部64aは、第2容器21は第2処理ユニット62に搬送されたことを記憶部64bに記憶させる。
【0136】
図9(a)のステップS103で、制御部64aに第2制御部62aから第2信号が送信されたということは、中継部201の保持孔201aが空の状態であることを意味する。よって、新たな第2容器21を、第1処理ユニット61から中継部201に受け渡すことが可能である。
【0137】
図9(b)に示すように、ステップS201では、制御部64aは、第1制御部61aに第2容器21を中継部201に受け渡すことが可能であることを示す第1信号を送信する。
【0138】
ステップS202では、第1制御部61aは、制御部64aから第1信号が送信されると、任意のタイミングで、移送部142を駆動して、中継部201に第2容器21を位置付ける。
【0139】
図9(a)、(b)を参照して説明した第1処理ユニット61および第2処理ユニット62における処理をシーケンス図で表すと、
図9(c)のように示すことができる。
図9(c)に示すように、検出部201bは、中継部201に第2容器21が位置付けられたことを検出すると、第2制御部62aに、中継部201に第2容器21が位置付けられていることを示す信号を送信する(S101)。第2制御部62aは、この信号に基づき、移送部202を駆動して中継部201から第2容器21を受け取る受取動作を実行し、保持部210に移送する(S102)。第2制御部62aは、受取動作を実行した後、制御部64aに、中継部201から第2容器21を受け取ったことを示す第2信号を、検体に関する情報とともに制御部64aに送信する(S103)。
【0140】
制御部64aは、第2信号を受信すると、第1制御部61aに中継部201に第2容器21を受け渡し可能であることを示す第1信号を送信する(S201)。第1制御部61aは、第1信号を受信すると、移送部142を駆動して中継部201に検体が収容された第2容器21を受け渡す受渡動作を実行する(S202)。
【0141】
以上のように、中継部201を介して第1処理ユニット61から第2処理ユニット62に第2容器21が受け渡される。
【0142】
<実施形態1の効果>
図1、3、7に示すとおり、検体測定装置100は、第2測定に供する第2容器21が、中継部201を介して第1処理ユニット61から第2処理ユニット62に搬送される。これにより、第1処理ユニット61および第2処理ユニット62は、互いの動作状況に左右されず、それぞれの処理ユニットにおいて好ましいタイミングで中継部201に第2容器21を受け渡し、あるいは、中継部から反応容器21を受け取ることができる。
【0143】
また、第1処理ユニット61および第2処理ユニット62は、互いの動作状況に左右されず、それぞれの処理ユニットにおいて好ましいタイミングで中継部201にアクセスすることできることから、第1および第2測定の周期が互いに異なる場合でも、第1処理ユニット61から第2処理ユニット62に第2容器21を搬送することができる。
【0144】
上記の「測定の周期」とは、検体の測定に要する時間である。これは、1回の測定に含まれる工程ごとに要する時間の合計である。たとえば、第1測定に、検体に試薬を分注する工程、検体を攪拌する工程、検体を加温する工程、および遠心分離する工程、所定の測定項目に対する測定が含まれる場合、第1測定における第1周期は、これらの5つの工程が完了するために必要な時間である。
【0145】
たとえば、第1測定に要する時間および第2測定に要する時間が、それぞれ、40秒と320秒であり、検体測定装置100に中継部201が設けられていない場合、第1処理ユニット61は、40秒ごとに第2容器21を第2処理ユニット62に渡すことができる。しかし、第2処理ユニット62は、320秒後でなければ第2容器21を受け取ることができない。そのため、検体測定装置100に中継部201が設けられていない場合、第1処理ユニット61は、270秒待った後、第2処理ユニット62に第2容器21を受け渡すよう構成する必要がある。つまり、第1処理ユニット61および第2処理ユニット62の動作を同期させる必要がある。
【0146】
この場合、第1処理ユニット61および第2処理ユニット62の動作が少しでもずれてしまうと、第1処理ユニット61から第2処理ユニット62に第2容器21を受け渡すことができない。このため、第1処理ユニット61および第2処理ユニット62の動作を同期させる制御は、厳密に設定する必要があり、このような制御は複雑である。
【0147】
これに対し、実施形態1に係る検体測定装置100は、中継部201を備えるため、第1処理ユニット61および第2処理ユニット62は任意のタイミングで中継部201に反応容器21を受け渡し、受け取ることができる。よって、第1処理ユニット61および第2処理ユニット62の同期制御を行う必要はない。したがって、検体測定装置100の制御を複雑化させることはない。
【0148】
なお、第1処理ユニット61および第2処理ユニット62における1回の測定に要する時間は、同一であってもよい。
【0149】
図1、2に示すように、検体測定装置100では、第1処理ユニット61側に配置されている分注部30によって、第2測定に供するための検体が第2容器21に分注される。このように、2つの処理ユニットが備えられているが、分注部30が共有されるため、検体測定装置100の大型化を防ぐことができる。
【0150】
図3に示すように、第2処理ユニット62は、中継部201に位置付けられた第2容器21を収納する保持部210を備える。この保持部210は、複数の保持孔211が設けられている。これにより、中継部201から第2容器21を保持部210に移送させて、中継部201を空にすることができる。これにより、第1処理ユニット61は、中継部201に第2容器21を任意のタイミングで受け渡すことができる。
【0151】
なお、保持部210の複数の保持孔211が第2容器21で満杯になった場合、第2制御部62aは、制御部64aに、「保持部210が満杯である」との情報を送信する。そして、制御部64aは、第1制御部61aに、「第2処理ユニット62への第2容器21の搬送を停止する」との情報を送信する。これにより、一旦、第1処理ユニット61から第2処理ユニット62への第2容器21の搬送が停止する。そして、第2処理ユニット62において検体の測定が進み、保持部210の保持孔211に空きが生じた場合、第2制御部62aは、制御部64aに、「保持部210に第2容器21を収納できる」との情報を送信する。そして、制御部64aは、第1制御部61aに、「第2処理ユニット62への第2容器21の搬送が可能である」との情報を送信する。
【0152】
上記の場合、制御部64aを介して、第2処理ユニット62と第1処理ユニット61との間で保持部210に関する情報のやり取りが行われたが、制御部64aを介することなく、第2制御部62aと第1制御部61aとで直接、保持部210に関する情報のやり取りが行われてもよい。
【0153】
また、
図9(a)〜(c)のステップS103において、第2制御部62aは、第2容器21を中継部201から受け取ったことを示す第2信号を制御部64aに送信するとともに、受け取った第2容器21に収容されている検体の検体IDと測定オーダとを組み合わせた情報も併せて制御部64aに送信する。制御部64aは、各検体IDと、各検体IDに対応する測定オーダとの組み合わせを記憶部61bに記憶させているが、第2容器21が第1処理ユニット61から第2処理ユニット62へ中継部201を介して搬送されたことは特に通知されていない。そのため、制御部64aは、第2処理ユニット62で処理されている検体がどのような検体であるかは認識していない。そこで、第2制御部62aは、第2信号を制御部64aに送信するタイミングで、受け取った第2容器21に収容されている検体の検体IDと測定オーダとを組み合わせた情報を制御部64aに送信する。これにより、制御部64aは、測定予定の検体が滞りなく測定に供されていることを認識することができる。
【0154】
なお、上記のステップS16〜S18は、制御部64aが検体IDに対して第1測定のオーダが設定されているか判別したり、第1制御部61aを制御することにより、検体の分注および検体に対する第1測定が行われていた。これらは、第1制御部61aが行ってもよい。
【0155】
具体的には、ステップS16では、ステップS13、14により取得した検体IDと測定オーダとの組み合わせの情報に基づいて、第1制御部61aが検体IDに対して第1測定の測定オーダが設定されているか判別する。ステップS16で、検体に第1測定の測定オーダが設定されている場合、ステップS17で、第1制御部61aは分注部30により、検体を第2容器21に吐出する。そして、第1制御部61aは、第1測定部51により検体に基づく第1測定を行う。
【0156】
また、ステップS19、20では、ステップS13、14により取得した検体IDと測定オーダとの組み合わせの情報に基づいて、第2制御部62aが検体IDに対して第2測定の測定オーダが設定されているか判別する。ステップS17で、検体に第2測定の測定オーダが設定されている場合、ステップS20で、第1制御部61aは分注部30により、第2測定に供するための検体を第2容器21に吐出する。
【0157】
<実施形態2>
実施形態2に係る検体測定装置100は、
図10に示すように、管理装置64の制御部64aを介することなく、第1制御部61aと第2制御部62aとの間で、中継部201における第2容器21の授受を行う。
【0158】
図8および
図11(a)、(b)を参照して、実施形態2に係る検体測定装置100の処理を説明する。
図8に示すフローチャートのステップS1〜S21は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0159】
図11(a)に示すように、
図8のステップS19で、制御部64aが第1制御部61aに、分注部30を駆動して、検体を第2容器21に吐出させると、ステップS301、302では、
図9(a)のステップS101、102と同様の処理が行われる。
【0160】
ステップS302において、第2処理ユニット62による第2容器21の受け取りが完了したので、ステップS303では、中継部201の保持孔201aは空の状態である。よって、第1処理ユニット61は、第2容器21を中継部201に位置付けることができる。このとき、第2制御部62aは、第1制御部61aに対して、第2容器21を中継部201に受け渡すことが可能であることを示す第3信号を送信する。
【0161】
ステップS304では、第1制御部61aは、第2制御部62aから第3信号が送信されると、任意のタイミングで、移送部142を駆動して、中継部201に第2容器21を受け渡す。
【0162】
図11(b)は、
図11(a)を参照して説明した第1処理ユニット61および第2処理ユニット62における処理をシーケンス図で示した図である。
図11(b)に示すように、検出部201bは、中継部201に第2容器21が位置付けられたことを検出すると、受光器81は、この信号を第2制御部62aに送信する(S301)。第2制御部62aは、この信号に基づき、移送部202を駆動して中継部201から第2容器21を受け取り、保持部210に移送する(S302)。そして、第2制御部62aから、第1制御部61aに、中継部201に第2容器21を受け渡すことが可能であることを示す第3信号が送信される(S303)。第1制御部61aは、第3信号を受信すると、移送部142を駆動して中継部201に第2容器21を受け渡す(S304)。
【0163】
以上のように、中継部201を介して第1処理ユニット61から第2処理ユニット62に第2容器21が搬送される。
【0164】
実施形態2に係る検体測定装置100は、管理装置64の制御部64aを介することなく、第1制御部61aと第2制御部62aとの間で、中継部201における第2容器21の授受を行う。これにより、第1処理ユニット61および第2処理ユニット62は、より迅速に中継部201に第2容器21を受け渡し、または中継部201から反応容器21を受け取ることができる。
【0165】
<実施形態3>
上記実施形態1、2では、中継部201の検出部201bすなわち受光器81は、第2制御部62aのみに接続されていた。実施形態3に係る検体測定装置100は、受光器81が、第1制御部61aおよび第2制御部62aの両方に接続された構成である。
【0166】
図12に示すように、第1処理ユニット61は、
図6に示した回路構成図に加えて、第1制御部61aが中継部201の検出部201bに接続する。
【0167】
このように検体測定装置100を構成すると、受光器81の信号が、第1制御部61aおよび第2制御部62aの両方に出力される。実施形態1にて説明したとおり、中継部201に第2容器21が位置付けられると、受光器81の信号がローレベルに立ち下がり、中継部201から第2容器21が移送されると、受光器81の信号がハイレベルに立ち下がる。したがって、中継部201における第2容器21の有無を示す信号が、受光器81の検出信号として、検出部201bから、第1制御部61aおよび第2制御部62aにそれぞれ出力される。
【0168】
第2容器21が有ることを示す信号が受光器81から第2制御部62aに送信されると、第2制御部62aは、移送部202を駆動して、第2容器21を中継部201から受け取る。一方、中継部201に第2容器21が無いことを示す信号が受光器81から第1制御部61aに送信されると、第1制御部61aは、第2容器21を中継部201に受け渡す。
【0169】
このように、実施形態3では、実施形態1における
図9(a)〜(c)に示すように、S103において、第2制御部62aが第2容器21を受け取ったことを示す第2信号を制御部64aに送信する必要はなく、また、S201において、制御部64aが第1制御部61aに第2容器21の受け渡し可能であることを示す第1信号を送信する必要はない。
【0170】
また、実施形態2における
図11(a)、(b)に示すように、S303において、第2制御部62aが第1制御部61aに第2容器21の受け渡し可能であることを示す第1信号を送信する必要はない。
【0171】
このように、第1処理ユニット61の第1制御部61aおよび第2処理ユニット62の第2制御部62aは、検出部201bすなわち受光器81からの信号に基づき、中継部201における第2容器21の有無を独自に判別できる。そして、互いに、相手方の処理ユニットからの通知を受けなくても、独自に、第2容器21の受渡動作と受取動作を行うことができる。したがって、より簡単な制御により、第2容器21の受取動作および受渡動作を行うことができる。
【0172】
なお、検出部201bは、光により第2容器21の有無を検出する構成でなくてもよい。たとえば、所定の重量以上の第2容器21が中継部201に収納された場合、その第2容器21の重みでスイッチが入り、中継部201に第2容器21が位置付けられたことを示す信号が第2制御部62aに出力されるよう構成することもできる。この場合、第2処理ユニット62が、第2容器21を中継部201から受け取ると、スイッチが切られ、中継部201に第2容器21が位置付けられていないことを示す信号が第1制御部61aに出力される。これにより、第1制御部61aは、中継部201が空の状態であることを知り、中継部201に第2容器21を受け渡すことができる。
【0173】
<その他の変更例>
上記実施形態1〜3では、第2処理ユニット62は、免疫検査に関する測定であったが、免疫検査とは異なる検査に関する測定を行ってもよい。たとえば、第2処理ユニット62は、生化学検査に関する測定を行ってもよい。この場合、第2測定部52は、生化学検査に関する測定を行い、血液凝固検査に関する測定を行う場合と同様の構成を備える。すなわち、この場合の第2測定部52も、光源部411により測定試料に光を照射し、受光部412により測定試料から生じた透過光または散乱光を受光する。そして、第2制御部62aは、受光部412から送信された電気信号に基づいて、生化学検査に関する分析で用いられる測定データを生成する。
【0174】
また、制御部64aは、第2処理ユニット62で生成された測定データに基づいて、生化学検査に関する分析を行う。具体的には、制御部64aは、T−BIL、D−BIL、AST、ALT、ALP、LDH、γ−GTP、T−CHO、CRE、CKなどの分析項目について分析を行う。
【0175】
また、第2処理ユニット62は、遺伝子検査に関する測定を行ってもよい。
【0176】
また、実施形態1〜3では、第1測定と第2測定とが異なる測定であったが、両者は同じ測定であってもよい。2つの測定が同一の場合であっても、それぞれの測定における周期が異なる場合がある。このような場合、検体測定装置100であれば、互いの動作状況に左右されず、それぞれが任意のタイミングで第2容器21を中継部201に受け渡し、または、中継部201から受け取ることができる。
【0177】
また、
図3に示されている中継部201の保持孔201aは、1つであるが、
図13に示すように、中継部201に複数設けられてもよい。この場合、保持孔201aごとに、検出部201bが設けられる。
【0178】
たとえば、第2処理ユニット62が第2測定を行っており、未だ中継部201から第2容器21を受け取れていない場合、第1処理ユニット61は、中継部201の空いている保持孔201aに、第2容器21を受け渡すことができる。よって、第1処理ユニット61は、第2処理ユニット62の動作状況に左右されず、第1処理ユニット61の任意のタイミングで第2容器21を中継部201に受け渡すことができる。
【0179】
また、実施形態1〜3は、中継部201に位置付けられた第2容器21を保持部210に移送した後、第2容器21は第2測定に供されたが、中継部201から直接、第2測定部52に移送してもよい。この場合、第2容器21は、保持部210を介することなく、第2測定部52に移送されるため、第2測定が効率よく行われる。
【0180】
また、実施形態1〜3は、検体容器10に収容されている検体から第1容器21に検体を分注した後、第2容器21に、検体容器10に収容されている検体を分注したが、検体が第1測定に供された後、第1容器21に収容されている検体から第2容器21に検体を分注するように構成してもよい。