【解決手段】この吸引管10の洗浄方法は、試料測定装置100の吸引管10の洗浄方法であって、吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出しながら、吸引管10を移動させ、吸引管10の先端11又は先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する状態で、吸引管10を停止させ、停止させた吸引管10を、洗浄液70の流れの表面71から離れる方向に移動させる。
前記吸引管を前記洗浄槽内で下方移動させる工程において、前記吸引管内に前記洗浄液を供給することにより、前記先端から前記洗浄槽内へ前記洗浄液を吐出させる、請求項3または4に記載の吸引管の洗浄方法。
前記吸引管の外側面へ前記洗浄液を吐出する前に、前記吸引管の先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触する前記吸引管の位置情報を取得する工程をさらに備え、
前記位置情報に基づいて、前記吸引管の先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触する状態で、前記吸引管を停止させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸引管の洗浄方法。
前記位置情報を取得する工程において、液面検知部により、前記吸引管の先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触したことを検知し、前記液面検知部の検知結果に基づいて、前記位置情報を取得する、請求項7に記載の吸引管の洗浄方法。
前記位置情報を取得する工程において、吐出された前記洗浄液の流れの上方から前記吸引管を下方移動させて前記先端又は前記先端に付着した液滴を前記洗浄液に接触させ、
前記吸引管の洗浄時に、前記先端よりも上部に前記洗浄液の流れが接触する位置から、前記位置情報に基づいて、前記先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触する位置へ前記吸引管を上方移動させる、請求項7または8に記載の吸引管の洗浄方法。
前記吸引管の外側面へ前記洗浄液を吐出する際、前記洗浄液を斜め下向きに吐出させ、略直線の柱状の前記洗浄液の流れを形成する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の吸引管の洗浄方法。
前記洗浄液吐出部は、斜め下向きに向いた吐出口を有し、略直線の柱状の前記洗浄液の流れを形成するように構成されている、請求項13〜19のいずれか1項に記載の試料測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、分注ノズル901の外壁面を洗浄しながら分注ノズル901を引き上げた場合、分注ノズル901の先端が洗浄液から抜けた後に、分注ノズル901の先端に洗浄液の液滴が残留することがある。先端に洗浄液の液滴が残留したまま次の分注動作を行うと、新たに吸引する検体または試薬に液滴が接触してしまう。そのため、液滴に含まれる洗浄液によって、新たに吸引する検体または試薬が希釈される可能性がある。特に、分注を行う検体等が微量の場合には、希釈によって測定結果に影響を及ぼすおそれがある。また、分注ノズル901の先端に残留した液滴中に、洗浄後の残留検体または残留試薬が存在する場合には、新たに吸引する検体または試薬に液滴中の残留検体または残留試薬が混入するおそれがある。
【0006】
このため、検体または試薬を分注する吸引管の洗浄後に、吸引管の先端に液滴が残留することを抑制することが望まれている。
【0007】
この発明は、検体または試薬を分注する吸引管の洗浄後に、吸引管の先端に液滴が残留することを抑制することに向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面による吸引管の洗浄方法は、試料測定装置(100)の吸引管(10)の洗浄方法であって、
図1に示すように、吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出しながら、吸引管(10)を移動させ、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する状態で、吸引管(10)を停止させ、停止させた吸引管(10)を、洗浄液(70)の流れの表面(71)から離れる方向に移動させる。
【0009】
第1の局面による吸引管(10)の洗浄方法では、上記のように構成することによって、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触させた状態で吸引管(10)を停止させることができる。そのため、吸引管(10)が停止している間に、吸引管(10)の外側面に付着していた洗浄液(70)が吸引管(10)の外側面に沿って先端(11)へ集まって先端(11)に液滴(DL)が形成され、その液滴(DL)を、洗浄液(70)の表面張力によって先端(11)側から洗浄液(70)側に移動させることができる。その結果、検体または試薬を分注する吸引管(10)の洗浄後に、吸引管(10)の先端(11)に液滴(DL)が残留することを抑制することができる。
【0010】
第1の局面による吸引管(10)の洗浄方法において、好ましくは、
図1に示すように、吸引管(10)は上下方向に移動され、吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出しながら、吸引管(10)を上方移動させ、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する状態で、吸引管(10)を停止させる。このように構成すれば、吸引管(10)の外側面の洗浄動作の最後に吸引管(10)を上方移動させるだけの最小限の動作で、吸引管(10)の先端(11)に付着した液滴(DL)を除去できる。
【0011】
第1の局面による吸引管(10)の洗浄方法において、好ましくは、
図12に示すように、吸引管(10)の外側面への洗浄液(70)の吐出は洗浄槽(51)の内部において行われ、吸引管(10)の外側面への洗浄液(70)の吐出と、洗浄槽(51)からの洗浄液(70)の排出とを継続しながら、吸引管(10)を洗浄槽(51)内で下方移動させる工程をさらに備える。このように構成すれば、洗浄槽(51)内に貯留された洗浄液(70)中に吸引管(10)を浸すのではなく、洗浄槽(51)内に溜まった洗浄液(70)に接触させずに吸引管(10)を洗浄できる。そのため、一旦吸引管(10)と接触して汚れを取り込んだ洗浄液(70)に吸引管(10)が接触することを回避できるので、コンタミネーションの発生を効果的に抑制できる。
【0012】
この場合、好ましくは、
図15に示すように、吸引管(10)の下方移動の後に吸引管(10)の上方移動が行われる。このように構成すれば、洗浄槽(51)の内部において吸引管(10)を洗浄した後に吸引管(10)を上方移動させるので、十分な洗浄を行った後でも、吸引管(10)の先端(11)に液滴(DL)が残留することを抑制することができる。
【0013】
第1の局面による吸引管(10)の洗浄方法において、好ましくは、
図15に示すように、洗浄液(70)の流れに吸引管(10)を接触させたまま、吸引管(10)を昇降させる工程をさらに備える。このように構成すれば、吸引管(10)の昇降により、複数回に亘って、吸引管(10)の洗浄すべき部位を洗浄液(70)の流れに直接接触させることができる。そのため、単純に吸引管(10)を下方移動させるだけの場合と比べて、洗浄を効果的に行える。
【0014】
上記吸引管(10)を洗浄槽(51)内で下方移動させる工程を備える構成において、好ましくは、
図16に示すように、吸引管(10)を洗浄槽(51)内で下方移動させる工程において、吸引管(10)内に洗浄液(70)を供給することにより、先端(11)から洗浄槽(51)内へ洗浄液(70)を吐出させる。このように構成すれば、洗浄液(70)によって吸引管(10)の外表面の洗浄を行うのと並行して、先端(11)からの洗浄液(70)の吐出によって吸引管(10)の内表面の洗浄を行える。この際、洗浄槽(51)内に洗浄液(70)を貯留した状態だと、先端(11)から吐出される洗浄液(70)が水面に当たることにより洗浄液(70)が飛散し、吸引管(10)に付着する可能性があるが、洗浄槽(51)からの洗浄液(70)の排出を継続して行うため、先端(11)から洗浄槽(51)内へ洗浄液(70)を吐出させても、洗浄液(70)の吸引管(10)への再付着を抑制できる。
【0015】
第1の局面による吸引管(10)の洗浄方法において、好ましくは、
図17および
図19に示すように、吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出する前に、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する吸引管(10)の位置情報(63)を取得する工程をさらに備え、位置情報(63)に基づいて、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する状態で、吸引管(10)を停止させる。このように構成すれば、吸引管(10)の洗浄時に、たとえば液面検知を行って先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する位置を検出する場合と異なり、予め取得された位置に吸引管(10)を移動および停止させるだけで先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)を洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触させることができる。そのため、たとえば液面検知のために吸引管(10)を低速で移動させる必要がなく、極力短時間で先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)を洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触させることができ、その分、吸引管(10)の洗浄により多くの時間を割り当てることができる。
【0016】
この場合、好ましくは、
図17に示すように、位置情報(63)を取得する工程において、液面検知部(65)により、吸引管(70)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触したことを検知し、液面検知部(65)の検知結果に基づいて、位置情報(63)を取得する。このように構成すれば、先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が実際に洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触した位置を取得できるので、位置情報(63)を精度よく取得できる。
【0017】
上記液面検知部(65)により、先端(11)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触したことを検知する構成において、好ましくは、
図17および
図19に示すように、位置情報(63)を取得する工程において、吐出された洗浄液(70)の流れの上方から吸引管(10)を下方移動させて先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)を洗浄液(70)に接触させ、吸引管(10)の洗浄時に、先端(11)よりも上部に洗浄液(70)の流れが接触する位置から、位置情報(63)に基づいて、先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する位置へ吸引管(10)を上方移動させる。このように構成すれば、取得した位置情報(63)に基づいて、より確実に、吸引管(10)の洗浄時に先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)を洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触させることができる。すなわち、先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)と液面との接触を検知する際、吸引管(10)を移動させて、吸引管(10)又は液滴(DL)と洗浄液(70)とが非接触の状態から接触状態に遷移する瞬間か、または、吸引管(10)又は液滴(DL)と洗浄液(70)とが接触状態から非接触の状態に遷移する瞬間の検知信号の変化を検知することになる。このとき、洗浄液(70)が静止しているのではなく流れを形成しているので、洗浄液(70)と吸引管(10)又は液滴(DL)との接触状態では検知信号が安定せず、非接触の状態に遷移したことを精度よく検知するのが困難である一方、非接触の状態で上方から吸引管(10)を下方移動させて洗浄液(70)に接触させれば、接触位置を精度よく検知できる。また、吸引管(10)を移動させる機構では、たとえばモータの動力伝達に用いるギヤのバックラッシュなどの誤差要因が存在する。そのため、位置情報(63)の取得時に上方から下方移動させる動作によって検知した位置に向けて、洗浄時に下方から上方移動させる動作によって吸引管(10)を移動させる場合、バックラッシュによって、検知した位置よりもごく僅かに下側の位置に位置ずれする可能性がある。その場合、洗浄液(70)の流れに近付く方向に位置ずれすることになるため、誤差要因を考慮しても確実に先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)を洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触させることが可能となる。
【0018】
第1の局面による吸引管(10)の洗浄方法において、好ましくは、
図12に示すように、吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出する際、洗浄液(70)を斜め下向きに吐出させ、略直線の柱状の洗浄液(70)の流れを形成する。このように構成すれば、洗浄液(70)を斜め下向きに吐出するので、たとえば洗浄液(70)を上向きに吐出する場合と比べて、水圧の微小な変動等により洗浄液(70)の表面位置がばらつくことを抑制できる。また、洗浄液(70)の流れを略直線の柱状形状にする程度に高い吐出圧力を確保できるので、水圧の微小変動等の影響を受けにくくし、これによっても洗浄液(70)の表面位置がばらつくことを抑制できる。
【0019】
第1の局面による吸引管(10)の洗浄方法において、好ましくは、
図15に示すように、洗浄液(70)よりも洗浄力が高い第2洗浄液(72)により吸引管(10)を洗浄する工程をさらに備え、第2洗浄液(72)による吸引管(10)の洗浄後に、洗浄液(70)により吸引管(10)の洗浄を行う。このように構成すれば、洗浄力が高い第2洗浄液(72)による洗浄後に、洗浄液(70)による洗浄および液滴(DL)の除去が行われる。そのため、液滴(DL)のコンタミネーションを抑制するのに加えて、洗浄力が高い第2洗浄液(72)による洗浄を行う場合でも、第2洗浄液(72)に含まれる洗浄成分のコンタミネーションを更に抑制することができる。
【0020】
この発明の第2の局面による吸引管の洗浄方法は、
図2に示すように、試料測定装置(100)の吸引管(10)の洗浄方法であって、吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出する前に、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する吸引管(10)の位置情報(63)を取得し、吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出しながら、吸引管(10)を移動させ、位置情報(63)に基づいて、吸引管(10)を減速または停止させ、減速または停止させた吸引管(10)を、洗浄液(70)の流れの表面(71)から離れる方向に移動させる。
【0021】
第2の局面による吸引管の洗浄方法では、上記のように構成することによって、位置情報(63)に基づいて、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する位置に、吸引管(10)を正確に移動できる。そして、位置情報(63)に基づいて吸引管(10)を減速または停止させている間に、吸引管(10)の外側面に付着していた洗浄液(70)が吸引管(10)の外側面に沿って先端(11)へ集まって先端(11)に液滴(DL)が形成され、その液滴(DL)を、洗浄液(70)の表面張力によって先端(11)側から洗浄液(70)側に移動させることができる。その結果、検体または試薬を分注する吸引管(10)の洗浄後に、吸引管(10)の先端(11)に液滴(DL)が残留することを抑制することができる。
【0022】
この発明の第3の局面による試料測定装置(100)は、
図3に示すように、検体と試薬とを含んで調製された試料を測定する測定部(30)と、検体および試薬のうち少なくともいずれかを吸引する吸引管(10)と、吸引管(10)を移動させる移動機構(40)と、吸引管(10)を洗浄するための洗浄液(70)を吐出する洗浄液吐出部(20)を含む洗浄機構(50)と、吸引管(10)を洗浄する際に、洗浄液吐出部(20)から吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出させながら、吸引管(10)を移動させ、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する状態で、吸引管(10)を停止させ、停止させた吸引管(10)を、洗浄液(70)の流れの表面(71)から離れる方向に移動させるように移動機構(40)を制御する制御部(60)と、を備える。
【0023】
第3の局面による試料測定装置(100)では、上記のように構成することによって、第1の局面による発明と同様の効果を奏する。
【0024】
第3の局面による試料測定装置(100)において、好ましくは、
図1に示すように、移動機構(40)は、吸引管(10)を上下方向に移動するよう構成され、制御部(60)は、洗浄液吐出部(20)から吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出させながら、吸引管(10)を上方移動させ、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する状態で、吸引管(10)を停止させるように移動機構(40)を制御する。このように構成すれば、吸引管(10)の外側面の洗浄動作の最後に吸引管(10)を上方移動させるだけの最小限の動作で、吸引管(10)の先端(11)に付着した液滴(DL)を除去できる。
【0025】
この場合、好ましくは、
図12に示すように、洗浄機構(50)は、洗浄液吐出部(20)から吐出された洗浄液(70)を受け入れるように上部が開口した洗浄槽(51)をさらに含み、制御部(60)は、洗浄槽(51)の内部において洗浄液吐出部(20)から吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出させ、吸引管(10)の外側面への洗浄液(70)の吐出と、洗浄槽(51)からの洗浄液(70)の排出とを継続しながら、吸引管(10)を洗浄槽(51)内で下方移動させるように移動機構(40)を制御する。このように構成すれば、洗浄槽(51)内に貯留された洗浄液(70)中に吸引管(10)を浸すのではなく、洗浄槽(51)内に溜まった洗浄液(70)に接触させずに吸引管(10)を洗浄できる。そのため、一旦吸引管(10)と接触して汚れを取り込んだ洗浄液(70)に吸引管(10)が接触することを回避できるので、コンタミネーションの発生を効果的に抑制できる。
【0026】
上記洗浄機構(50)が洗浄槽(51)を含む構成において、好ましくは、
図15に示すように、制御部(60)は、吸引管(10)の下方移動の後に吸引管(10)を上方移動させるように移動機構(40)を制御する。このように構成すれば、洗浄槽(51)の内部において吸引管(10)を洗浄した後に吸引管(10)を上方移動させるので、十分な洗浄を行った後でも、吸引管(10)の先端(11)に液滴(DL)が残留することを抑制することができる。
【0027】
この場合、好ましくは、
図16に示すように、吸引管(10)に洗浄液(70)を供給する洗浄液供給部(195)をさらに備え、制御部(60)は、吸引管(10)を洗浄槽(51)内で下方移動させる際、吸引管(10)内に洗浄液(70)を供給させることにより、先端(11)から洗浄槽(51)内へ洗浄液(70)を吐出させる制御を行う。このように構成すれば、洗浄液吐出部(20)から吐出される洗浄液(70)によって吸引管(10)の外表面の洗浄を行うのと並行して、先端(11)からの洗浄液(70)の吐出によって吸引管(10)の内表面の洗浄を行える。この際、洗浄槽(51)内に洗浄液(70)を貯留した状態だと、先端(11)から吐出される洗浄液(70)が水面に当たることにより洗浄液(70)が飛散し、吸引管(10)に付着する可能性があるが、洗浄槽(51)からの洗浄液(70)の排出を継続して行うため、先端(11)から洗浄槽(51)内へ洗浄液(70)を吐出させても、洗浄液(70)の吸引管(10)への再付着を抑制できる。
【0028】
第3の局面による試料測定装置(100)において、好ましくは、
図17および
図19に示すように、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触したことを検知する液面検知部(65)をさらに備え、制御部(60)は、洗浄液吐出部(20)から吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出する前に、液面検知部(65)の検知結果に基づいて、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する吸引管(10)の位置情報(63)を取得し、位置情報(63)に基づいて、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する状態で、吸引管(10)を停止させる制御を行う。このように構成すれば、たとえば画像認識やレーザー計測などの非接触検出によって位置情報(63)を取得する場合と異なり、先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が実際に洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触した位置を取得できるので、位置情報(63)を精度よく取得できる。そして、吸引管(10)の洗浄時に、予め取得された位置に吸引管(10)を移動および停止させるだけで先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)を洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触させることができるので、たとえば液面検知のために吸引管(10)を低速で移動させる必要がなく、極力短時間で先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)を洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触させることができ、その分、吸引管(10)の洗浄により多くの時間を割り当てることができる。
【0029】
この場合、好ましくは、
図17および
図19に示すように、制御部(60)は、位置情報(63)を取得する際、吐出された洗浄液(70)の流れの上方から吸引管(10)を下方移動させて先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)を洗浄液(70)に接触させるように移動機構(40)を制御し、吸引管(10)の洗浄時に、先端(11)よりも上部に洗浄液(70)の流れが接触する位置(H1)から、位置情報(63)に基づいて、先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する位置(H1)へ吸引管(10)を上方移動させるように移動機構(40)を制御する。このように構成すれば、取得した位置情報(63)に基づいて、より確実に、吸引管(10)の洗浄時に先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)を洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触させることができる。すなわち、先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)と液面との接触を検知する際、吸引管(10)を移動させて、吸引管(10)又は液滴(DL)と洗浄液(70)とが非接触の状態から接触状態に遷移する瞬間か、または、吸引管(10)又は液滴(DL)と洗浄液(70)とが接触状態から非接触の状態に遷移する瞬間の検知信号の変化を検知することになる。このとき、洗浄液(70)が静止しているのではなく流れを形成しているので、洗浄液(70)と吸引管(10)又は液滴(DL)との接触状態では検知信号が安定せず、非接触の状態に遷移したことを精度よく検知するのが困難である一方、非接触の状態で上方から吸引管(10)を下方移動させて洗浄液(70)に接触させれば、接触位置を精度よく検知できる。また、移動機構(40)では、たとえばモータの動力伝達に用いるギヤのバックラッシュなどの誤差要因が存在する。そのため、位置情報(63)の取得時に上方から下方移動させる動作によって検知した位置に向けて、洗浄時に下方から上方移動させる動作によって吸引管(10)を移動させる場合、バックラッシュによって、検知した位置よりもごく僅かに下側の位置に位置ずれする可能性がある。その場合、洗浄液(70)の流れに近付く方向に位置ずれすることになるため、誤差要因を考慮しても確実に先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)を洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触させることが可能となる。
【0030】
第3の局面による試料測定装置(100)において、好ましくは、
図12に示すように、洗浄液吐出部(20)は、斜め下向きに向いた吐出口を有し、略直線の柱状の洗浄液(70)の流れを形成するように構成されている。このように構成すれば、洗浄液(70)を斜め下向きに吐出するので、たとえば洗浄液(70)を上向きに吐出する場合と比べて、水圧の微小な変動等により洗浄液(70)の表面位置がばらつくことを抑制できる。また、洗浄液(70)の流れを略直線の柱状形状にする程度に高い吐出圧力を確保できるので、水圧の微小変動等の影響を受けにくくし、これによっても洗浄液(70)の表面位置がばらつくことを抑制できる。
【0031】
第3の局面による試料測定装置(100)において、好ましくは、
図15に示すように、洗浄液吐出部(20)は、洗浄液(70)を吐出する第1吐出部(21)と、洗浄液(70)よりも洗浄力が高い第2洗浄液(72)を吐出する第2吐出部(22)と、を含み、制御部(60)は、第2洗浄液(72)による吸引管(10)の洗浄後に、洗浄液(70)により吸引管(10)の洗浄を行うよう洗浄液吐出部(20)を制御する。このように構成すれば、洗浄力が高い第2洗浄液(72)による洗浄後に、洗浄液(70)による洗浄および液滴(DL)の除去が行われる。そのため、液滴(DL)のコンタミネーションを抑制するのに加えて、洗浄力が高い第2洗浄液(72)による洗浄を行う場合でも、第2洗浄液(72)に含まれる洗浄成分のコンタミネーションを更に抑制することができる。
【0032】
この発明の第4の局面による試料測定装置(100)は、
図3および
図2に示すように、検体と試薬とから調製された試料を測定する測定部(30)と、検体および試薬のうち少なくともいずれかを吸引する吸引管(10)と、吸引管(10)を移動させる移動機構(40)と、吸引管(10)を洗浄するための洗浄液(70)を吐出する洗浄液吐出部(20)を含む洗浄機構(50)と、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触したことを検知する液面検知部(65)と、洗浄液吐出部(20)から吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出する前に、液面検知部(65)の検知結果に基づいて、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する吸引管(10)の位置情報(63)を取得し、洗浄液吐出部(20)から吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出させながら、吸引管(10)を移動させ、位置情報(63)に基づいて、吸引管(10)を減速または停止させ、減速または停止させた吸引管(10)を、洗浄液(70)の流れの表面(71)から離れる方向に移動させるよう移動機構(40)を制御する制御部(60)と、を備える。
【0033】
第4の局面による試料測定装置(100)では、上記のように構成することによって、第2の局面による発明と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0034】
検体または試薬を分注する吸引管の洗浄後に、吸引管の先端に液滴が残留することを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
[吸引管の洗浄方法の概要]
まず、
図1を参照して、一実施形態による吸引管の洗浄方法の概要について説明する。
【0037】
本実施形態による吸引管の洗浄方法は、試料測定装置における液体の吸引および吐出を行う吸引管10の洗浄方法である。
【0038】
試料測定装置は、たとえば患者から採取された検体の臨床検査または医学的研究のための測定を行う装置である。
【0039】
試料測定装置は、検体に所定の1種または複数種類の試薬を添加して、測定用試料を調製する。検体は、生体由来の検体である。生体由来の検体は、たとえば、被検体から採取された血液(全血、血清または血漿)、尿、またはその他の体液などの液体、あるいは、採取された体液や血液に所定の前処理を施して得られた液体などである。検体は、たとえば、液体以外の、被検体の組織の一部や細胞などを含んでもよい。検体は、たとえば吸引管10が内部に進入可能な検体容器91に収容された状態で測定に供される。試薬は、吸引管10が内部に進入可能なボトル状の試薬容器92に収容された液体である。
【0040】
吸引管10は、試料測定装置に設けられ、検体、または測定に用いる試薬の分注を行う。分注は、液体を吸引して、所定量に定量して吐出することである。吸引管10は、たとえば試料測定装置の移動機構40に取り付けられ、液体の吸引位置、吐出位置、および洗浄位置に移動可能に構成される。吸引管10は、両端が開口した管部材であり、一端の開口が外部に開放され、他端の開口が流体回路に接続される。吸引管10は、流体回路により陰圧が供給されることにより、一端の開口から液体を吸引し、流体回路により陽圧が供給されることにより、一端の開口から液体を吐出する。なお、陰圧とは、外部の圧力よりも低い圧力であり、陽圧とは、外部の圧力よりも高い圧力である。吸引管10は、検体または試薬を容器から吸引して、吸引した液体を別の反応容器93に吐出する。
【0041】
検体の分注を行う吸引管10は、別の被検体から採取された複数の検体を、順次分注する。試薬の分注を行う吸引管10は、測定項目に応じて、複数種類の異なる試薬の分注を行う。前に分注した検体や試薬が、次に分注する検体や試薬に混入するコンタミネーションを抑制するため、吸引管10の洗浄が行われる。吸引管10の洗浄方法は、液体の分注後、別の種類の液体を分注する前に、実施される。同一の検体のみを複数回分注する場合や、同一種類の試薬のみを複数回分注する場合には、必ずしも洗浄を行わなくてもよい。
【0042】
本実施形態の吸引管10の洗浄方法は、
図2に示すステップS2〜S4を備える。すなわち、本実施形態の吸引管10の洗浄方法は、(S2)吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出しながら、吸引管10を移動させ、(S3)吸引管10の先端11又は先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する状態で、吸引管10を停止させ、(S4)停止させた吸引管10を、洗浄液70の流れの表面71から離れる方向に移動させる、というステップを備える。後述するように、本実施形態の吸引管10の洗浄方法は、
図2のステップS1をさらに備えていても良い。
【0043】
ステップS2において、
図1に示すように、たとえば試料測定装置に設けられた洗浄液吐出部20が、洗浄液70を一定方向に吐出させる。
【0044】
図1の例では、洗浄液吐出部20は、横方向(水平方向)に向けて洗浄液70を吐出する例を示している。洗浄液吐出部20は、洗浄液70を空中に吐出する。洗浄液吐出部20は、一定の軌跡で流出する洗浄液70の流れを形成するように洗浄液70を吐出する。
図1の例では、横向きに吐出された洗浄液70が、重力に従って落下する放物線状の流れを形成している。洗浄液70の流れは、空気との境界面である表面71を有する柱状または線状の形状となり、表面71の内部側は洗浄液70で満たされている。洗浄液吐出部20は、たとえば、一定の圧力で、洗浄液70の吐出を継続する。ここでいう一定の圧力とは、吸引管10の先端11を洗浄液70の流れの表面71に繰り返し接触させることができる程度に、洗浄液70の流れの形状を一定に保つことが可能な範囲内に圧力ばらつきを収めることをいう。
【0045】
ステップS2において、吸引管10が洗浄液70に接触する。
図1(B)に示すように、吸引管10は、たとえば試料測定装置に設けられた移動機構40によって、洗浄液70の流れに直接接触する位置まで移動される。吸引管10の外側面の一部が洗浄液70の流れの中に配置されることによって、洗浄液70と接触した部分が洗浄される。これにより、吸引管10は、空中を移動する洗浄液70の流れによって洗浄される。言い換えると、吸引管10は、貯留された洗浄液中に漬けられる浸漬洗浄ではなく、洗浄液70の流れに曝されることにより洗浄される。洗浄時には、洗浄液吐出部20の吐出位置を吸引管10に対して相対移動させてもよいし、吐出方向を変化させてもよい。ステップS2では、このように吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出しながら、吸引管10を移動させる。
【0046】
図1(B)に示すように、吸引管10と洗浄液70との接触によって吸引管10には洗浄液70が付着する。吸引管10に付着した洗浄液70は、重力の作用により吸引管10の先端11に移動して集まり、液滴DLを形成する。
【0047】
そこで、ステップS3において、吸引管10の先端11又は先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する状態で、吸引管10を停止させる。
図1(C)および
図1(D)では、吸引管10の先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する状態で、吸引管10を停止させる例を示している。
図1(D)に示すように、吸引管10が停止している間に、吸引管10の外側面に付着していた洗浄液70が吸引管10の外側面に沿って先端11へ集まり、液滴DLを形成する。吸引管10の先端11に集まった洗浄液70は、流れる洗浄液70と一体化して、表面張力などの作用により先端11から分離して流れ去る。その結果、吸引管10の外側面に付着していた洗浄液70が吸引管10から除去される。
【0048】
なお、
図1(C)に代えて、
図1(E)のように動作させても良い。すなわち、
図1(C)では、吐出された洗浄液70の流れの表面71に吸引管10の先端11が接触した状態で、吸引管10を停止させる例を示したが、
図1(E)に示す例では、吸引管10の先端11に付着した液滴DLが表面71に接触した状態で、吸引管10を停止させる。つまり、
図1(E)では、先端11が洗浄液70の流れの表面71から離れていて、液滴DLのみが表面71に接触する。
【0049】
具体的には、吐出された洗浄液70の流れを吸引管10の先端11が上方向に抜けた後に、吸引管10の上方移動を停止させる。つまり、吸引管10は、先端11が洗浄液70の流れの下方にある位置から、先端11が洗浄液70の流れに直接接触する位置を通り、先端11が洗浄液70の流れよりも上方に離れる位置へ移動される。更に言い換えると、先端11が洗浄液70の流れの方向と交差する方向への移動によって、洗浄液70とは接触しない第1位置から、洗浄液70と接触する位置を通過して、第1位置とは反対側の洗浄液70とは接触しない第2位置へと移動する。吸引管10に付着して先端11に集まる液滴DLが、洗浄液70の流れの表面71と接触した状態で吸引管10が停止するため、吸引管10に付着した洗浄液は、流れる洗浄液70と一体化して、表面張力などの作用により先端11から分離して流れ去る。
【0050】
また、吸引管10の先端11(
図1(D)参照)又は先端11に付着した液滴DL(
図1(F)参照)が洗浄液70の流れの表面71と接触する位置において吸引管10を停止させる代わりに、その位置の直前において吸引管10の移動を減速させ、より長時間、洗浄液70の流れの表面71と液滴DLとが接触する状態をつくってもよい。これによっても、吸引管10に沿って先端11へ集まる洗浄液70の液滴DLが、洗浄液70の表面張力によって先端11側から洗浄液70側に移動する。
【0051】
ステップS3は、たとえば吸引管10の洗浄動作の終了時に行われる。洗浄動作の終了時とは、1回の洗浄処理において吸引管10が最後に洗浄液70と接触するタイミングである。
【0052】
その後、
図1(E)に示すように、ステップS4において、停止させた吸引管10を、洗浄液70の流れの表面71から離れる方向に移動させる。
図1(E)の例では、吸引管10を洗浄液70の流れから離れた上方の位置に移動させる。この結果、吸引管10の先端11が洗浄液70の流れから離れて、吸引管10の先端11からの液滴DLの除去が完了する。そして、洗浄液70の吐出を停止させる。これにより、吸引管10の洗浄が終了する。吸引管10の先端11から液滴DLが除去されるので、次の液体分注を行う際、洗浄時に付着した洗浄液70の液滴DLが検体や試薬に混入することが抑制される。
【0053】
本実施形態の吸引管10の洗浄方法では、上記のように、吸引管10の先端11又は先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触させた状態で吸引管10を停止させることができる。そのため、吸引管10が停止している間に、吸引管10の外側面に付着していた洗浄液70が吸引管10の外側面に沿って先端11へ集まって先端11に液滴DLが形成され、その液滴DLを、洗浄液70の表面張力によって先端11側から洗浄液70側に移動させることができる。その結果、検体または試薬を分注する吸引管10の洗浄後に、吸引管10の先端11に液滴DLが残留することを抑制することができる。
【0054】
また、
図1の例では、吸引管10は上下方向に移動され、吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出しながら、吸引管10を上方移動させ、吸引管10の先端11又は先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する状態で、吸引管10を停止させる。このように構成すれば、吸引管10の外側面の洗浄動作の最後に吸引管10を上方移動させるだけの最小限の動作で、吸引管10の先端11に付着した液滴DLを除去できる。
【0055】
(吸引管の洗浄方法の他の実施形態)
図2に示したように、他の実施形態の吸引管の洗浄方法は、ステップS1〜S4を備える。すなわち、他の実施形態の吸引管の洗浄方法は、(S1)吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出する前に、吸引管10の先端11又は先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する吸引管10の位置情報63を取得し、(2)吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出しながら、吸引管10を移動させ、(3)位置情報63に基づいて、吸引管10を減速または停止させ、(S4)減速または停止させた吸引管10を、洗浄液70の流れの表面71から離れる方向に移動させる、というステップを備える。
【0056】
他の実施形態では、ステップS1において、吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出する前に、
図1(C)または
図1(F)に示した吸引管10の先端11又は先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する吸引管10の位置情報が取得される。つまり、
図1(C)の例では、吸引管10の先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触した時の、吸引管10の位置が、吸引管10の洗浄前に検出される。
図1(F)の例では、吸引管10の先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する吸引管10の位置情報が取得される。位置情報は、移動機構40を制御するための位置座標または移動機構40の基準位置からの移動距離などの情報である。位置情報の取得方法については、後に詳細に説明する。
【0057】
他の実施形態では、位置情報が取得された後、ステップS2において、吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出しながら、吸引管10を移動させて、吸引管10を洗浄する。そして、他の実施形態では、ステップS3において、ステップS1で取得された位置情報に基づいて、吸引管10を減速または停止させる。
図1(C)の例では、吸引管10は、位置情報によって特定された、吸引管10の先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置に、移動される。
図1(F)の例では、吸引管10は、位置情報によって特定された、吸引管10の先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する位置に、移動される。吸引管10は位置情報によって特定された位置で減速または停止されるので、ステップS3において、吐出された洗浄液70の流れの表面71に、吸引管10の先端11又は吸引管10の先端11に付着した液滴DLが接触した状態が形成される。その結果、吸引管10に沿って先端11へ集まる洗浄液70により形成された液滴DLが、先端11側から洗浄液70の流れ側に移動する。ステップS4において、減速または停止させた吸引管10が、洗浄液70の流れの表面71から離れる方向に移動される。
【0058】
他の実施形態では、上記のように、位置情報63に基づいて、吸引管10の先端11又は先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する位置に、吸引管10を正確に移動できる。そして、位置情報63に基づいて吸引管10を減速または停止させている間に、吸引管10の外側面に付着していた洗浄液70が吸引管10の外側面に沿って先端11へ集まって先端11に液滴DLが形成され、その液滴DLを、洗浄液70の表面張力によって先端11側から洗浄液70側に移動させることができる。その結果、検体または試薬を分注する吸引管10の洗浄後に、吸引管10の先端11に液滴DLが残留することを抑制することができる。
【0059】
[試料測定装置の概要]
次に、
図3を参照して、試料測定装置100の概要について説明する。
【0060】
試料測定装置100は、被検体から採取された検体に所定の試薬を添加して作製された測定用試料を測定する装置である。
【0061】
試料測定装置100は、検体中に含有される所定の対象成分を検出する。対象成分は、たとえば、血液や尿検体中の所定の成分、細胞や有形成分を含んでもよい。対象成分は、DNA(デオキシリボ核酸)などの核酸、細胞および細胞内物質、抗原または抗体、タンパク質、ペプチドなどでもよい。試料測定装置100は、免疫測定装置、血球計数装置、血液凝固測定装置、尿中有形成分測定装置など、またはこれら以外の測定装置であってよい。
【0062】
一例としては、試料測定装置100は、抗原抗体反応を利用して検体中の被検物質を検出する免疫測定装置である。免疫測定装置は、対象成分として、たとえば、血液に含まれる抗原または抗体、タンパク質や、ペプチドなどを検出する。免疫測定装置は、血清または血漿を検体として取得して、検体に含まれる抗原または抗体などを定量測定または定性測定する。なお、抗原抗体反応は、抗原と抗体との反応のみならず、アプタマー等の特異的結合物質を用いた反応を含む。アプタマーは、特定の物質と特異的に結合するように合成された核酸分子またはペプチドである。
【0063】
試料測定装置100は、検体に所定の1または複数種類の試薬を添加して、測定用試料を調製する。
図3に示すように、試料測定装置100は、測定部30と、吸引管10と、移動機構40と、洗浄機構50と、制御部60と、を備える。
【0064】
測定部30は、検体と試薬とを含んで調製された試料を測定するように構成されている。具体的には、測定部30は、試薬が検体に添加された測定用試料を測定して、検体に含まれる成分を検出する。測定部30による対象成分の検出方法は問わず、化学的方法、光学的方法、電磁気学的方法などの対象成分に応じた方法が採用できる。測定部30の検出結果に基づいて、たとえば対象成分の有無、対象成分の数または量、対象成分の濃度や存在比率などが分析される。
【0065】
吸引管10は、測定用試料の調製のために液体を吸引し、吐出する。吸引管10は、検体および試薬のうち少なくともいずれかを吸引するように構成されている。吸引管10の構成は、上述した通りである。試料測定装置100は、1本または複数本の吸引管10を備える。試料測定装置100は、検体分注用の吸引管10と、試薬分注用の吸引管10とを、別々に備えていてもよい。吸引管10は、検体容器91または試薬容器92から検体または試薬を吸引し、吸引した液体を反応容器93内に吐出する。測定部30は、たとえば、検体および試薬が分注されて調製された反応容器93内の測定用試料に対して測定する。測定部30が液体を受け入れる開口を備える場合、吸引管10は、吸引した液体を測定部30の開口に吐出する。
【0066】
移動機構40は、吸引管10を移動させるように構成されている。移動機構40は、たとえば吸引管10を上下方向に移動させる。移動機構40は、たとえば吸引管10を水平方向に移動させる。移動機構40は、たとえば上下方向の1軸および水平方向のうちの所定方向の1軸の、2軸移動機構であり得る。移動機構40は、たとえば上下方向の1軸および水平方向のうちの直交する2方向の2軸の、3軸移動機構であり得る。移動機構40は、吸引管10を保持する。移動機構40は、液体の吸引および吐出をする開口が形成された先端11が最も低い位置に配置されるように、吸引管10を保持する。移動機構40は、たとえば、液体を収容した容器に対して上方から吸引管10を下方移動させて、先端11を液体に接触させる。これにより、吸引管10が先端11の開口から液体を吸引する。移動機構40は、試料測定装置100に設定された液体の吸引位置、吐出位置、および洗浄位置に吸引管10を移動させる。吸引位置は、検体容器91または試薬容器92が配置される位置である。吐出位置は、反応容器93が配置される位置である。洗浄位置は、洗浄機構50が配置される位置である。
【0067】
洗浄機構50は、吸引管10を洗浄するための洗浄液70を吐出する洗浄液吐出部20を含む。洗浄液吐出部20は、洗浄液70を吐出するための開口を有する。洗浄液吐出部20は、洗浄液70を供給するための流体回路と接続され、流体回路から供給された洗浄液70を開口から吐出する。洗浄機構50は、洗浄液吐出部20の他、吐出された洗浄液70を受け入れる構造や、受け入れた洗浄液70の廃液を排出する構造を含みうる。
【0068】
制御部60は、試料測定装置100の各部の動作を制御する。制御部60は、測定部30による測定動作、移動機構40による吸引管10の移動、吸引管10の分注動作、洗浄機構50による洗浄液70の吐出を制御する。制御部60は、プロセッサであり、制御プログラムを実行する。
【0069】
本実施形態では、制御部60は、吸引管10を洗浄する際に、洗浄液吐出部20から吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出させながら、吸引管10を移動させ、吸引管10の先端11又は先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する状態で、吸引管10を停止させ、停止させた吸引管10を、洗浄液70の流れの表面71から離れる方向に移動させるように移動機構40を制御する。すなわち、制御部60は、
図1、および
図2のステップS2〜S4に示した吸引管10の洗浄方法を実行するように、移動機構40を制御する。
【0070】
これにより、本実施形態の試料測定装置100では、上記した吸引管10の洗浄方法(すなわち、ステップS2〜S4)を実行することによって、検体または試薬を分注する吸引管10の洗浄後に、吸引管10の先端11に液滴DLが残留することを抑制することができる。
【0071】
(試料測定装置の他の実施形態)
他の実施形態による試料測定装置100は、
図2に示したステップS1〜S4を備える吸引管の洗浄方法を実行するように構成される。すなわち、他の実施形態による試料測定装置100は、
図3に二点鎖線で示した液面検知部65を備える。液面検知部65は、吸引管10の先端11又は先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触したことを検知する。
【0072】
そして、他の実施形態による試料測定装置100の制御部60は、洗浄液吐出部20から吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出する前に、液面検知部65の検知結果に基づいて、吸引管10の先端11又は先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する吸引管10の位置情報63を取得し、洗浄液吐出部20から吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出させながら、吸引管10を移動させ、位置情報63に基づいて、吸引管10を減速または停止させ、減速または停止させた吸引管10を、洗浄液70の流れの表面71から離れる方向に移動させるよう移動機構40を制御する。すなわち、制御部60は、
図1、および
図2のステップS1〜S4に示した吸引管10の洗浄方法を実行するように、移動機構40を制御する。
【0073】
これにより、他の実施形態の試料測定装置100では、上記した他の実施形態による吸引管10の洗浄方法(すなわち、ステップS1〜S4)を実行することによって、検体または試薬を分注する吸引管10の洗浄後に、吸引管10の先端11に液滴DLが残留することを抑制することができる。
【0074】
(洗浄液の流れの表面に接触させる際の移動速度の変化例)
図1に示した吸引管10の洗浄方法では、
図1(C)に示した先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置、または、
図1(F)に示した吸引管10の先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する位置、において、吸引管10を停止させる。洗浄液70の流れの表面71に接触して液滴DLが除去されるのに要する時間は短いので、吸引管10を停止させる時間は、短時間でよく、たとえば0.1秒以上1秒以下でよい。
【0075】
変形例として、吸引管10の洗浄方法では、
図1(C)に示した先端11が表面71に接触する位置、または、
図1(F)に示した先端11に付着した液滴DLが表面71に接触する位置、の直前において吸引管10の移動を減速させてもよい。制御部60は、たとえば吸引管10を洗浄液70に接触させる洗浄動作時における吸引管10の移動速度よりも低い移動速度に減速させる。制御部60は、吸引管10を減速させた状態で、吸引管10を、先端11が表面71に接触する位置、または、先端11に付着した液滴DLが表面71に接触する位置、に位置付ける。吸引管10を、先端11が表面71に接触する位置、または、先端11に付着した液滴DLが表面71に接触する位置、に位置付ける時点で、吸引管10の移動速度は、連続的に低下する過程にあってもよいし、減速されたままの状態で等速移動する過程にあってもよい。先端11が表面71に接触する位置、または、先端11に付着した液滴DLが表面71に接触する位置に到達した後、吸引管10は、停止されてもよいし、停止せずに洗浄液70の流れから離れる方向へ移動してもよい。
【0076】
(洗浄液の吐出の変形例)
図1では、洗浄液吐出部20が洗浄液70を横方向(水平方向)に吐出する例を示したが、吐出方向はこれに限られない。
図4(A)では、洗浄液吐出部20は、洗浄液70を斜め上方に吐出する。吸引管10は、たとえば上下方向に沿って配置され、洗浄液70の流れにおいて最も高い位置となる頂点付近で、先端11が洗浄液70の流れの表面71と接触するように移動される。
【0077】
図4(B)では、洗浄液吐出部20は、洗浄液70を下向きに吐出する。吸引管10は、たとえば斜め下向きに傾斜した向きに配置され、洗浄液70の流れに対して横方向に接近して、先端11が洗浄液70の流れの表面71と接触するように移動される。
【0078】
(洗浄液の流れの表面への移動方向)
図1に示した例による吸引管10の洗浄方法では、吸引管10の先端11よりも上部を洗浄液70の流れに接触させて洗浄し(
図1(B)参照)、洗浄液70を吸引管10に接触させながら吸引管10を上方移動させて、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置に吸引管10を配置させる(
図1(C)参照)。すなわち、先端11よりも上部を洗浄液70の流れに接触させて洗浄した状態から、そのまま吸引管10を上方移動させて先端11を洗浄液70の流れの表面71に接触させる。
【0079】
図5では、吸引管10の先端11よりも上部を洗浄液70の流れに接触させて洗浄し(
図5(A)参照)、吸引管10の先端11が洗浄液70の流れと接触しない上方の位置まで吸引管10を上方移動させ(
図5(B)参照)、その後、先端11を洗浄液70の流れよりも下方の位置まで下方移動させる(
図5(C)参照)。この後、再度の上方移動の際に、
図1(C)に示した先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置、または、
図1(F)に示した吸引管10の先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する位置、において、吸引管10を停止させてもよい。
【0080】
(試料測定装置の例)
試料測定装置100の例について説明する。試料測定装置100は、たとえば、免疫測定装置である。
【0081】
(免疫測定)
免疫測定を行う試料測定装置100は、試料から生じた光、すなわち、検体に含まれる被検物質に基づく化学発光を測定する。試料測定装置100は、測定部30が備える検出部が検出した光に基づいて測定データを生成する。検出部は、たとえばイメージセンサを備えた撮像部、または、光電子増倍管、光電管、光ダイオードなどの光検出器を含みうる。
【0082】
ここで、化学発光とは、化学反応によるエネルギーを利用して発せられる光である。化学発光は、たとえば、化学反応により分子が励起されて励起状態になり、励起状態から基底状態に戻る時に放出される光である。検出部が検出する化学発光は、たとえば、酵素免疫化学発光法(CLEIA)に基づくものであり、酵素と基質との反応により生じた光である。
【0083】
酵素免疫化学発光測定法では、たとえば2STEP法では、(1)反応容器中で検体中の被検物質を固相担体に担持させた後、(2)被検物質を担持した固相と液相とを分離する1次BF分離を行い、(3)反応容器中の被検物質を担持した固相に標識物質を結合させ、(4)2次BF分離を行い、(5)反応容器中に化学発光基質を加えて酵素反応を発生させる。酵素免疫化学発光測定法には、2STEP法の他に、公知の1STEP法、D−1STEP法(ディレイドワンステップ法)などがある。2STEP法の測定項目としてはHBsAgがある。1STEP法の測定項目としてはHBsAbがある。D−1STEP法の測定項目としてはFT3、FT4、TSHなどがある。
【0084】
なお、検出部が検出する化学発光は、たとえば、化学発光分析法(CLIA)、電気化学発光分析法(ECLIA)、蛍光酵素測定法(FEIA法)、LOCI法(Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay)、BLEIA法(生物発光酵素免疫法)などに基づく光であってもよい。
【0085】
(血液凝固分析)
たとえば、試料測定装置100は、血液凝固分析を行う血液凝固分析装置でもよい。血液凝固分析を行う試料測定装置100は、検体に試薬を添加することにより調製された測定用試料に光を照射し、測定用試料に照射された光の透過光または散乱光を検出する検出部を含む。検体は、血液から分離された血漿または血清である。試料測定装置100は、凝固法、合成基質法、免疫比濁法または凝集法を用いて検体の分析を行う。
【0086】
凝固法では、測定用試料に光が照射され、試料からの透過光または散乱光の電気信号に基づいて、検体中のフィブリノーゲンがフィブリンに転化する凝固時間が測定される。凝固法の測定項目としては、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)やFbg(フィブリノーゲン量)などがある。
【0087】
合成基質法では、測定用試料に光が照射され、試料からの透過光の電気信号に基づいて、測定用試料中の酵素に対する発色性合成基質の作用による発色度合いが測定される。合成基質法の測定項目としては、ATIII(アンチトロンビンIII)、α2−PI(α2−プラスミンインヒビター)、PLG(プラスミノーゲン)などがある。
【0088】
免疫比濁法では、検体中の凝固・線溶因子などに対して抗原抗体反応を生じる試薬が検体に添加され、試薬に含有される物質が抗原抗体反応の結果として凝集する。免疫比濁法では、測定用試料に光が照射され、試料からの透過光または散乱光の電気信号に基づいて、測定用試料中の試薬含有物質の凝集速度が測定される。免疫比濁法の測定項目としては、Dダイマー、FDP(フィブリン分解産物)などがある。
【0089】
凝集法では、測定用試料に光が照射され、試料からの透過光の電気信号に基づいて、測定用試料中の血小板などが凝集反応する過程の吸光度変化が測定される。凝集法の測定項目としては、vWF:RCo(フォンビルブランドリストセチンコファクター)や血小板凝集能などがある。
【0090】
(血球分析)
また、たとえば、試料測定装置100は、血球計数測定の自動分析装置(いわゆる血球分析装置)でもよい。試料測定装置100は、血液検体と試薬とを混合して調製した測定用試料を流路中に流し、流路中を流れる血球成分を検出し、計数する。測定部30は、たとえばフローサイトメトリー法により検出を行う。すなわち、検出部は、試料を流通させる流路部と、流路部を流れる試料に測定光を照射する送光部と、試料に照射された光を検出する受光部とを含む。
【0091】
検出部は、流路部に形成したシース液の流れの中に細胞などの粒子を流して、流れる粒子に送光部からレーザー光を照射し、散乱光や蛍光を受光部により検出する。試料測定装置100は、検出部が検出した光に基づいて個々の粒子を解析する。たとえば、散乱光強度と蛍光強度をパラメータとして組み合わせたスキャッタグラムなどが作成され、スキャッタグラムの分布などに基づき試料が解析される。フローサイトメトリー法による測定項目としては、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、MONO(単球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)などがある。
【0092】
また、試料測定装置100は、たとえばシースフローDC検出法による検出を行う。すなわち、測定部30は、試料を流通させる開口部が設けられた流路部と、開口部を挟んで対向するように配置された一対の電極間の電気的な変化を検出する検出部とを含む。検出部は、開口部を通過するシース液の流れの中に細胞などの粒子を流して、電極間には直流電流を流す。検出部は、粒子が開口部を通過する際のパルス状の電流変化に基づいて、個々の粒子を検出する。シースフローDC検出法による測定項目としては、WBC(白血球)数、RBC(赤血球)数、HGB(ヘモグロビン量)、HCT(ヘマトクリット値)、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均ヘモグロビン量)、MCHC(平均ヘモグロビン濃度)、PLT(血小板数)などがある。
【0093】
[試料測定装置の具体的な構成例]
次に、
図6〜
図22を参照して、試料測定装置100の具体的な構成例について詳細に説明する。
図6〜
図22の例では、試料測定装置100は、抗原抗体反応を利用して検体中の被検物質を検出する免疫測定装置である。また、
図6〜
図22の例では、試料測定装置100は、血液凝固測定装置200に接続されている。つまり、
図6に示す例では、免疫測定装置である試料測定装置100と、血液凝固測定装置200とにより、検体に対して異なる測定原理で多項目の測定が可能な複合型の測定システムが構成されている。試料測定装置100は、血液凝固測定装置200と接続されずに、単独で用いられてもよい。
【0094】
(血液凝固測定装置の構成)
図6の構成例では、血液凝固測定装置200は、測定機構部201と、搬送部202とを備えている。
【0095】
搬送部202には、検体ラック204が設置される。検体ラック204には、検体を収容した検体容器205が複数本設置できる。搬送部202は、ユーザにより設置された検体ラック204を搬送して、各検体容器205を平面視における所定の検体吸引位置Paに位置付ける。検体容器205は、たとえば、採血管である。
【0096】
測定機構部201は、検体容器205中の検体を吸引して、反応容器203または検体容器91に定量分注するための検体分注部211および212を備えている。
【0097】
検体分注部211および212は、検体分注用の吸引管213を旋回可能に保持する分注アームにより構成されている。検体分注部211および212は、それぞれ、吸引管213を移動させて検体吸引位置Paの検体容器205から所定量の検体を吸引できる。検体分注部211および212は、それぞれ、吸引管213を移動させて、吸引した検体を所定の検体分注位置Pbに配置された反応容器203または検体容器91内に吐出できる。反応容器203および検体容器91は、たとえば、キュベットである。
【0098】
測定機構部201は、検体および試薬を収容して測定試料が調製される反応容器203を各部に移送する機構を備える。
図6の構成例では、測定機構部201は、容器テーブル220を備える。容器テーブル220は、平面視でリング形状を有し、周方向に回転できる。容器テーブル220は、周方向に沿って配列された複数の保持孔221を含む。保持孔221には、それぞれ1つずつ反応容器203または検体容器91を設置できる。検体分注部211および212は、平面視における検体分注位置Pbで容器テーブル220に保持された新しい反応容器203に、吸引した検体を分注できる。検体分注部211および212は、容器テーブル220上の検体を収容する反応容器203から、検体を吸引することもできる。
【0099】
測定機構部201は、新しい反応容器203を検体分注位置に位置付ける移送部230を備えている。移送部230は、反応容器203を設置するための保持孔を備えた設置台を、レールに沿って移動させることができる。検体分注部212は、移送部230に保持された新しい反応容器203に、吸引した検体を分注できる。反応容器203は、容器テーブル220の保持孔221または移送部230の保持孔に設置される。
【0100】
測定機構部201は、測定に使用する試薬容器251を収容する試薬テーブル250と、試薬テーブル250に設置された試薬容器251から試薬を吸引および吐出するための試薬分注部261および262とを備える。
【0101】
試薬テーブル250は、容器テーブル220の内側に配置され、平面視で円形状を有する。試薬テーブル250には、複数の試薬容器251を周方向に沿って設置できる。試薬テーブル250は、周方向に回転可能であり、回転によって任意の試薬容器251を所定の平面視における試薬吸引位置PcおよびPdに位置付けることができる。
【0102】
試薬分注部261は、試薬分注用の吸引管261aを備える。試薬分注部262は、試薬分注用の吸引管261bを備える。試薬分注部261および262は、それぞれ、試薬テーブル250上の試薬吸引位置PcおよびPdに位置付けられた試薬容器251から所定量の試薬を吸引できる。試薬分注部261および262は、それぞれ、吸引管を平面視における試薬分注位置PeおよびPfに移動させて、試薬分注位置の反応容器203に所定量の試薬を吐出できる。
【0103】
測定機構部201は、検体が分注された反応容器203を保持して加温するための加温テーブル270を備える。加温テーブル270は、反応容器203を保持するための複数の保持孔271と、反応容器203を把持して移送するための把持機構272とを含む。
【0104】
加温テーブル270は、平面視で円形状を有し、複数の保持孔271が周方向に沿って配列されている。加温テーブル270は、周方向に回転可能であり、回転によって複数の保持孔271に設置された反応容器203を周方向に移送できる。把持機構272は、反応容器203を把持して移送できる。
【0105】
把持機構272は、移送部230に設置された反応容器203を加温テーブル270の保持孔271に移送できる。また、把持機構272は、加温テーブル270の保持孔271において加温された反応容器203を取り出して、試薬分注位置PeおよびPfにそれぞれ移送できる。把持機構272は、試薬分注部261または262により試薬が分注された反応容器203を、加温テーブル270の保持孔271に戻す。
【0106】
測定機構部201は、反応容器203中の測定試料に対する光学的な測定を行うための検出部280を備える。検出部280は、検体を収容した反応容器203を設置するための複数の容器設置部281と、それぞれの容器設置部281に対応して設けられた受光部とを含んでいる。
【0107】
測定機構部201は、検出部280に反応容器203を移送するための把持機構290を含む。把持機構290は、直交する3軸方向であるX、YおよびZの各方向へ、反応容器203を把持して移送できる。把持機構290は、加温テーブル270の保持孔271から反応容器203を試薬分注位置Peに移送し、試薬が分注された後の反応容器203を検出部280の容器設置部281に設置できる。
【0108】
検出部280の容器設置部281に設置された反応容器203内の測定試料に対して、光学的な測定が行われる。検出部280の容器設置部281に設置された反応容器203に対して、測定用の光が照射される。検出部280は、反応容器203に照射された光の透過光または散乱光を受光して、受光量に応じた電気信号を出力する。出力される電気信号に基づいて、検体が測定される。
【0109】
血液凝固測定装置200は、検体を試料測定装置100に受け渡すことができる。具体的には、血液凝固測定装置200は、検体分注部211または212により分注された検体を収容する検体容器91を、容器テーブル220および加温テーブル270を介して、把持機構272により試料測定装置100に搬送する。
【0110】
(試料測定装置の構成)
試料測定装置100は、
図7に示すように、測定部30と、制御部60と、分注部110と、移動機構40と、洗浄機構50と、検体搬送部120と、反応容器供給部130と、容器搬送部140と、加温部150と、試薬庫160と、試薬冷却部162と、試薬分注部163と、点着部170と、BF分離部180とを備える。
【0111】
検体搬送部120は、被検体から採取された検体を、検体を吸引する位置まで搬送する。検体搬送部120は、受渡テーブル121と、受渡キャッチャ123と、受渡ポート124と、搬送部125と、検体供給部126とを含んでいる。検体搬送部120は、血液凝固測定装置200から検体を受け取り、受け取った検体を検体供給部126まで搬送する。
【0112】
受渡テーブル121は、平面視でリング形状を有し、周方向に回転できる。受渡テーブル121には、周方向に沿って配列された複数の保持孔122が設けられている。保持孔122には、それぞれ1つずつ検体容器91を設置できる。受渡キャッチャ123は、受渡ポート124に載置された検体容器91を受渡テーブル121の保持孔122に搬送する。受渡ポート124には、血液凝固測定装置200から搬送された検体容器91が載置される。
【0113】
搬送部125は、受渡テーブル121の保持孔122に保持された検体容器91を検体供給部126の保持孔127に搬送する。また、搬送部125は、試料の調製に用いる反応容器93を、測定部30に搬送する。搬送部125は、たとえば、検体容器91を保持するキャッチャを含む。反応容器93は、たとえば、キュベットである。
【0114】
検体供給部126は、平面視で円形状を有し、周方向に回転できる。検体供給部126には、周方向に沿って配列された複数(3つ)の保持孔127が設けられている。保持孔127には、それぞれ1つずつ検体容器91を設置できる。
【0115】
反応容器供給部130は、複数の反応容器93を個別に取り出し可能に保持している。
【0116】
容器搬送部140は、反応容器93を移送する。具体的には、容器搬送部140は、分注部110の移動方向に沿って反応容器93を搬送する。また、容器搬送部140は、反応容器供給部130から反応容器93を取得し、加温部150、試薬分注部163、点着部170、BF分離部180などの各々の処理位置に反応容器93を移送する。容器搬送部140は、キャッチャ141と、容器移動機構142とを含んでいる。
【0117】
キャッチャ141は、反応容器93を把持する。また、キャッチャ141は、反応容器93を把持した状態で、反応容器93を揺動させることができる。容器移動機構142は、キャッチャ141を上下方向(Z方向)、左右方向(Y方向)、前後方向(X方向)にそれぞれ移動可能に支持している。これにより、キャッチャ141は、水平方向(XY方向)に移動可能であるとともに、上下方向(Z方向)に移動可能である。
【0118】
加温部150は、ヒーターおよび温度センサを備え、反応容器93を保持して反応容器93に収容された試料を加温して反応させる。加温部150は、液体が分注された反応容器93を加温する。加温部150には、それぞれ1つずつ反応容器93を設置できる保持孔151が複数設けられている。加温部150の加温により、反応容器93内に収容された検体および試薬が反応する。
【0119】
試薬庫160は、複数の試薬容器92を保持することができる試薬容器保持部161を含む。試薬容器保持部161は、円筒形状を有する試薬庫160内に設けられている。試薬庫160には、分注部110により分注される試薬が収容される試薬容器92が設置される。試薬容器保持部161には、複数の試薬容器92を周方向に沿って設置できる。試薬容器保持部161は、周方向に回転可能であり、回転によって任意の試薬容器92を平面視における所定の試薬吸引位置PhまたはPiに位置付けることができる。また、試薬庫160には、冷却機構が設けられており、試薬の保管に適した一定温度に保冷される。試薬容器保持部161には、たとえば、R1試薬、R2試薬およびR3試薬が保持される。試薬吸引位置PhおよびPiは、移動機構40の下方に配置されている。
【0120】
分注部110は、検体分注用の吸引管10aと、試薬分注用の吸引管10bと、を備える。吸引管10aと、吸引管10bとは、X方向に沿って間隔を隔てて並んで配置されている。移動機構40は、分注部110を支持して移動させる。移動機構40は、吸引管10aと吸引管10bとを含んだ分注部110を一体的に移動させる。移動機構40は、分注部110を水平面内でX方向に沿って直線移動させることができる。
【0121】
試薬冷却部162は、R4試薬およびR5試薬を冷却する。試薬冷却部162は、R4試薬およびR5試薬を保管に適した一定温度に保冷する。試薬分注部163は、試薬冷却部162と流体的に接続されており、R4試薬およびR5試薬を反応容器93に分注する。試薬分注部163は、R4試薬分注部163aと、R5試薬分注部163bとを含んでいる。R4試薬分注部163aは、容器搬送部140により移送された反応容器93に、R4試薬を分注する。R5試薬分注部163bは、容器搬送部140により移送された反応容器93に、R5試薬を分注する。
【0122】
洗浄機構50は、吸引管10aおよび吸引管10bを、洗浄液70を用いて洗浄する。洗浄機構50は、移動機構40による吸引管10aおよび吸引管10bの移動経路の直下の洗浄位置Pjに設置されている。洗浄機構50は、吸引管10aおよび吸引管10bのうち液体の吸引を行った吸引管10を、液体を吸引する毎に洗浄液で洗浄する。また、洗浄機構50は、試料測定装置100の初期動作および終了動作において、吸引管10aおよび吸引管10bを順次洗浄する。
【0123】
点着部170は、反応容器93を上下方向(Z方向)に移動可能に保持することができる。点着部170では、吸引管10aにより、反応容器93に検体が点着により分注される。また、点着部170では、吸引管10bにより、R1試薬が分注される。
【0124】
BF分離部180は、反応容器93から、液相と固相とを分離するBF分離処理(
図22参照)を実行する機能を有する。BF分離部180は、それぞれ反応容器93を設置可能な処理ポートを1つまたは複数含む。処理ポートには、R2試薬に含まれる磁性粒子を集磁するための磁力源181と、液相の吸引および洗浄液の供給を行うための洗浄部182とが設けられている。BF分離部180は、後述する免疫複合体が形成された磁性粒子を集磁した状態で、洗浄部182により反応容器93内の液相を吸引して洗浄液を供給する。これにより、液相に含まれる不要な成分を免疫複合体と磁性粒子との結合体から分離して除去できる。
【0125】
測定部30は、光電子増倍管などの光検出器31を含む。測定部30は、各種処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光検出器31で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定する。測定部30は、加温部150により加温された検体を測定する。また、測定部30は、BF分離部180によりBF分離処理が行われた検体を測定する。
【0126】
(移動機構)
図8および
図9に示すように、移動機構40は、支持部41と、レール41aと、移動部41bと、モータ42と、ベルト機構43とを含む。支持部41は、吸引管10aおよび吸引管10bの両方を移動可能に支持する。支持部41は、吸引管10aおよび吸引管10bに対して共通に設けられている。なお、吸引管10aおよび吸引管10bを各々別個に支持するようにしてもよい。また、吸引管10aおよび吸引管10bを各々独立して、一軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0127】
支持部41は、X方向およびZ方向に沿って延びる板状形状に形成されている。支持部41の板状の一方側面(Y1側側面)に吸引管10aおよび吸引管10bの両方が配置されている。支持部41には、レール41aがX方向に延びるように設けられている。レール41aには、移動部41bが係合している。移動部41bは、レール41aに案内されて支持部41に沿ってX方向に移動する。移動部41bは、たとえば、レール41aに沿って移動するスライダである。
【0128】
モータ42は、ベルト機構43を駆動するように構成されている。モータ42は、たとえばステッピングモータであり、制御部60から出力されるパルス信号により駆動する。ベルト機構43は、ベルトとプーリとを含み、吸引管10aおよび吸引管10bを含む分注部110に接続されている。ベルト機構43のベルトの移動により、接続された分注部110がX方向に移動される。
【0129】
移動機構40は、上下移動部44を含む。上下移動部44は、吸引管10aおよび吸引管10bを互いに独立して上下方向に移動させる。これにより、吸引管10aおよび吸引管10bにより、各々独立して液体を吸引および吐出することができる。上下移動部44は、吸引管10毎に、モータ45と、ベルト機構46とを含む。すなわち、上下移動部44は、吸引管10aを上下方向に移動させるモータ45aおよびベルト機構46a(
図9参照)と、吸引管10bを上下方向に移動させるモータ45bおよびベルト機構46b(
図8参照)と、をそれぞれ含む。
【0130】
モータ45(45a、45b)およびベルト機構46(46a、46b)は、吸引管10aまたは吸引管10bを上下方向に移動させる。モータ45およびベルト機構46は、吸引管10aまたは吸引管10bとともに、一軸方向(X方向)に移動される。モータ45は、ベルト機構46を駆動するように構成されている。モータ45は、たとえばステッピングモータであり、制御部60からのパルス信号により駆動される。ベルト機構46は、ベルトとプーリとを含み、吸引管10aまたは吸引管10bのいずれかに接続されている。ベルト機構46のベルトの移動により、接続された吸引管10aまたは吸引管10bが上下方向(Z方向)に移動される。なお、吸引管10aおよび吸引管10bの上下方向の移動範囲の上限位置がモータ45の原点位置として設定されている。吸引管10aおよび吸引管10bは、原点位置からのパルス数によって上下方向位置が制御される。
【0131】
(分注部)
分注部110は、吸引管10aおよび吸引管10bを含む。吸引管10aは、検体を吸引して吐出するように構成されている。吸引管10bは、試薬を吸引して吐出するように構成されている。吸引管10bは、複数の種類の試薬を吸引して吐出するように構成されている。具体的には、吸引管10bは、R1試薬、R2試薬およびR3試薬のそれぞれを、吸引して吐出するように構成されている。
【0132】
分注部110は、吸引管10aをX方向の第1側(X2方向側)に保持し、吸引管10bをX方向の第1側と反対の第2側(X1方向側)に保持している。吸引管10aは、搬送部125により搬送された検体を収容する検体容器91から検体を吸引する。吸引管10bは、試薬庫160に設置された試薬容器92から試薬を吸引する。
【0133】
吸引管10aおよび吸引管10bのうち吸引を行った吸引管10は、吸引した液体を反応容器93に分注する。吸引管10aは、吸引した検体を反応容器93に分注する。吸引管10bは、吸引した試薬を反応容器93に分注する。
【0134】
移動機構40は、吸引管10aおよび吸引管10bの吸引位置、吐出位置または洗浄位置として、試薬供給部161a、161b(=試薬吸引位置PhおよびPi)、点着部170、洗浄機構50(=洗浄位置Pj)、検体供給部126の直上位置に吸引管10を移動させる。これらの各部は、試薬供給部161a、161b、点着部170、洗浄機構50、検体供給部126の順に、平面視において、X方向に直線状に配置されている。
【0135】
吸引管10aおよび吸引管10bは、検体分注用の定量シリンジ15a(
図14参照)および試薬分注用の定量シリンジ15b(
図14参照)にそれぞれ接続されており、検体または試薬を所定量吸引し、吐出する。
【0136】
(洗浄機構)
図10に示すように、洗浄機構50は、洗浄液吐出部20を含む。洗浄機構50は、洗浄液吐出部20から吐出された洗浄液70を受け入れるように上部が開口した洗浄槽51を含む。
【0137】
図10および
図11に示す洗浄機構50は、複数種類の洗浄液を用いて吸引管10の洗浄を行うように構成されている。洗浄液吐出部20は、洗浄液70(
図12参照)を吐出する第1吐出部21と、洗浄液70よりも洗浄力が高い第2洗浄液72(
図13参照)を吐出する第2吐出部22と、を含む。洗浄槽51は、洗浄液70を受け入れる第1槽51aと、第2洗浄液72を受け入れる第2槽51bとを含む。第1槽51aと、第2槽51bとは、共に上部の開口に向けて上下方向に延びる筒状形状を有し、吸引管10を上方から挿入可能である。後述するが、本実施形態における吸引管10の先端11に付着した液滴DLの除去は、第1吐出部21により吐出される洗浄液70によって行われる。
【0138】
図11に示すように、第1吐出部21は、第1槽51aの上部に設けられている。第1吐出部21は、斜め下向きに向いた吐出口21aを有し、第1槽51aの上部の内壁面52に向けて洗浄液70を吐出する。第1吐出部21の吐出口21aは、第1槽51aの内壁面52上の位置から、第1槽51aの中心を通って反対側に位置する内壁面52に向かって開口している。第1吐出部21は、第1槽51aの内壁面52の一方側から第1槽51aの中心部を跨いで他方側の内壁面52に向けて洗浄液70を吐出する。吸引管10の洗浄時(
図12参照)に、吸引管10は、第1吐出部21から吐出され第1槽51aの内壁面52に接触する前の、空中を通過する洗浄液70の流れに接触するように移動される。
【0139】
第1吐出部21の吐出口21aは、吸引管10の外径よりも大きい内径を有する。したがって、第1吐出部21から吐出された洗浄液70は、吸引管10の外径よりも大きい外径の、液柱状の流れ(
図12参照)を形成する。
【0140】
図12に示すように、制御部60は、洗浄液吐出部20から洗浄液70を斜め下向きに吐出させ、略直線の柱状の洗浄液70の流れを形成する。すなわち、洗浄液70の流れが重力の作用によって放物線状に湾曲する前の直線状の流れのまま内壁面52に衝突するような圧力で、洗浄液70が第1吐出部21から吐出される。これにより、洗浄液70を斜め下向きに吐出するので、たとえば洗浄液70を上向きに吐出する場合と比べて、水圧の微小な変動等により洗浄液70の表面71の位置がばらつくことを抑制できる。また、洗浄液70の流れを略直線の柱状形状にする程度に高い吐出圧力を確保できるので、水圧の微小変動等の影響を受けにくくし、これによっても洗浄液70の表面71の位置がばらつくことを抑制できる。
【0141】
図11に示すように、第1槽51aは、底部に洗浄液70の排出口53を有する。洗浄機構50は、第1吐出部21から洗浄液70を吐出している間、継続して、第1槽51a内に受け入れた洗浄液70を排出口53から排出させる。排出口53における排出流量は、第1吐出部21による吐出流量以上である。そのため、吸引管10の洗浄中、第1槽51a内に洗浄液70が溜められることはなく、吸引管10は、第1槽51a内を排出口53に向けて流れる洗浄液70よりも上方の位置で洗浄が行われる。
【0142】
第2吐出部22は、第2槽51bの底部付近に開口しており、第2槽51bの底部に第2洗浄液72を供給する。第2槽51bは、底部に接続した排出路54aを介して、洗浄液70の排出口54に連通している。洗浄機構50は、第2吐出部22から吐出させた第2洗浄液72を、第2槽51b内に貯留させる。1回の吸引管10の洗浄動作が終了した場合に、貯留された第2洗浄液72が排出口54から排出される。
図13に示すように、吸引管10の洗浄時に、吸引管10は、第2槽51b内に貯留された第2洗浄液72の液面73よりも下方位置まで進入し、先端11を含む洗浄範囲が第2洗浄液72に漬かるように移動される。これにより、第2洗浄液72によって、吸引管10の浸漬洗浄が行われる。
【0143】
制御部60は、第2洗浄液72による吸引管10の洗浄後に、洗浄液70により吸引管10の洗浄を行い、洗浄液70による洗浄終了時に、先端11を洗浄液70の流れの表面71に接触する位置へ移動させるように、移動機構40を制御する。このように、本実施形態の吸引管10の洗浄方法では、第2洗浄液72による吸引管10の洗浄後に、洗浄液70により吸引管10の洗浄を行い、洗浄液70による洗浄終了時に、吸引管10の上方移動を減速または停止させる工程を行う。これにより、洗浄力が高い第2洗浄液72による洗浄後に、洗浄液70による洗浄および液滴DLの除去が行われる。そのため、液滴DLのコンタミネーションを抑制するのに加えて、洗浄力が高い第2洗浄液72による洗浄を行う場合でも、第2洗浄液72に含まれる洗浄成分のコンタミネーションを更に抑制することができる。
【0144】
(洗浄液)
上記の通り、吸引管10aは、血液検体を分注するように構成されている。そして、第2洗浄液72は、タンパク質を分解する成分を含み、洗浄液70は、タンパク質を分解する成分を実質的に含まないかのタンパク質を分解する成分の濃度が第2洗浄液72よりも低い。
【0145】
一例として、第2洗浄液72は、次亜塩素酸塩水溶液である。タンパク質を分解する成分は、次亜塩素酸イオンである。次亜塩素酸イオンおよび次亜塩素酸イオンに由来する次亜塩素酸による酸化分解作用により、吸引管10に付着した検体に含まれるタンパク質を効果的に分解してコンタミネーションを抑制できる。第2洗浄液72は、たとえば次亜塩素酸ナトリウム水溶液である。
【0146】
洗浄液70の例としては、水である。洗浄液70には、水の他にたとえば防腐剤などが含まれうる。この場合の洗浄液70は、タンパク質を分解する成分としての次亜塩素酸塩の含有濃度が第2洗浄液72よりも十分に小さい。第2洗浄液72による洗浄後に、洗浄液70による洗浄および液滴DLの除去が行われることによって、第2洗浄液72に含まれるタンパク質を分解する成分が、洗浄後に吸引管10に残留することが抑制される。
【0147】
その結果、血液検体に含まれるタンパク質を第2洗浄液72によって除去し、吸引管10による次回の検体吸引時におけるコンタミネーションを効果的に抑制できる。そして、第2洗浄液72のコンタミネーションによって次回の検体吸引時に血液検体に含まれるタンパク質が分解されて測定精度に影響することを効果的に抑制できる。
【0148】
(流体回路)
図14を参照して、洗浄機構50に洗浄液70を供給する流体回路について説明する。なお、
図14では、洗浄液70の供給経路のみを示し、第2吐出部22への第2洗浄液72の供給経路については説明を省略する。
【0149】
試料測定装置100は、洗浄液チャンバ191と、廃液チャンバ192と、バルブ193およびバルブ194とを含む。
【0150】
洗浄機構50の第1吐出部21は、洗浄液70を貯留する洗浄液チャンバ191と、バルブ193が設けられた流路を介して接続されている。また、洗浄液チャンバ191は、陽圧源と接続されている。バルブ193が開かれると、洗浄液チャンバ191から洗浄液70が陽圧によって第1吐出部21に供給され、第1槽51a内に向けて吐出される。バルブ193が閉じられると、第1吐出部21からの洗浄液70の吐出が停止する。
【0151】
第1槽51aの排出口53が、廃液チャンバ192と、バルブ194が設けられた流路を介して接続されている。廃液チャンバ192は、陰圧源と接続されている。バルブ194が開かれると、陰圧によって洗浄液70が第1槽51aの排出口53から廃液チャンバ192へ向けて排出される。バルブ194が閉じられると排出が停止する。
【0152】
試料測定装置100は、吸引管10に洗浄液70を供給する洗浄液供給部195を備える。洗浄液供給部195は、加圧シリンジ196と、分岐部197と、バルブ198aおよびバルブ198bと、バルブ199aおよびバルブ199bとを含む。
【0153】
加圧シリンジ196は、バルブ198aが設けられた流路を介して洗浄液チャンバ191と接続されている。バルブ198aを開くと、陽圧により洗浄液チャンバ191から加圧シリンジ196内に洗浄液70が供給され、バルブ198aを閉じると、洗浄液70の供給が停止する。
【0154】
加圧シリンジ196は、バルブ198bが設けられた流路を介して分岐部197と接続されている。バルブ198bを開くと、分岐部197への洗浄液70の供給が可能となり、バルブ198bを閉じると、供給が禁止される。
【0155】
分岐部197は、バルブ199aが設けられた流路を介して検体分注用の定量シリンジ15aに接続し、バルブ199bが設けられた流路を介して試薬分注用の定量シリンジ15bに接続している。バルブ199aとバルブ199bとの一方を選択的に開き、他方を閉じることにより、加圧シリンジ196からの液体の供給先を、検体分注用の吸引管10aと、試薬分注用の吸引管10bとに選択できる。
【0156】
加圧シリンジ196は、洗浄液70をシリンジ内に貯留し、モータなどの駆動源によってピストンを動作させることにより、洗浄液70を加圧供給できる。これにより、吸引管10aまたは10bの洗浄時に、加圧シリンジ196によって高圧の洗浄液70を供給して先端11から吐出させることにより、吸引管10の内壁面を効果的に洗浄できる。
【0157】
制御部60は、加圧シリンジ196による供給圧力を制御することにより、吸引管10aまたは10b内を流れる洗浄液70を乱流状態とする。これにより、効果的に吸引管10内を洗浄することが可能である。吸引管10内を流れる第1洗浄液のレイノルズ数は、たとえば、4000以上である。
【0158】
(洗浄動作)
次に、洗浄機構50による吸引管10の洗浄時の動作について説明する。ここでは吸引管10aの洗浄について説明する。吸引管10aの洗浄と吸引管10bの洗浄とで、洗浄動作は同一であってよい。吸引管10aの洗浄と吸引管10bの洗浄とで、洗浄動作を異ならせてもよい。少なくとも血液検体の分注用の吸引管10aに対して、本実施形態の吸引管の洗浄方法が実施される。
【0159】
第1槽51aでの洗浄時には、第1吐出部21から洗浄液70が継続的に吐出され、第2槽51bでの洗浄時には、第2吐出部22から吐出された第2洗浄液72が第2槽51b内に貯留される。
【0160】
図15に示すように、制御部60は、最初に、制御部60は、吸引管10aを第1槽51aの直上に移動させた後、第1槽51aにおいて洗浄液70による吸引管10aの第1洗浄動作を行うように移動機構40を制御する。次に、制御部60は、吸引管10aを第2槽51bの直上に移動させた後、第2槽51bにおいて第2洗浄液72による吸引管10aの第2洗浄動作を行うように移動機構40を制御する。次に、制御部60は、吸引管10aを第1槽51aの直上に移動させた後、第1槽51aにおいて洗浄液70による吸引管10aの洗浄を行い、洗浄の終了時に、吸引管10aの先端11を洗浄液70の流れの表面71に接触させる第3洗浄動作を行うように移動機構40を制御する。以下の説明において、吸引管10の高さ位置は先端11の位置を基準とする。
【0161】
第1洗浄動作では、制御部60は、ステップS11において、吸引管10aを第1槽51a内に進入させて、分注時に検体または試薬と接触し得る範囲よりも広い所定の洗浄対象範囲に亘って吸引管10aが洗浄液70の流れと直接接触するように、吸引管10aを下方移動させる。その後、ステップS12において、移動機構40により吸引管10aが上方移動されて第1槽51aから第2槽51bの直上へ移動される。
【0162】
第2洗浄動作では、制御部60は、ステップS13において、吸引管10aを第2槽51b内に進入させて、吸引管10aの洗浄対象範囲が第2洗浄液72に漬かる位置まで吸引管10aを下方移動させる。制御部60は、ステップS14において、所定時間、浸漬洗浄を行うように移動機構40を停止させる。この際、制御部60は、吸引管10aにより第2洗浄液72を吸引(
図13参照)させ、吸引管10aの内部も第2洗浄液72が充填されるように定量シリンジ15aを制御する。制御部60は、所定時間経過後、ステップS15において、移動機構40により吸引管10aを上方移動させて第2槽51bから第1槽51aの直上へ移動させる。
【0163】
第3洗浄動作では、制御部60は、ステップS16において、移動機構40を制御して、吸引管10aを第1槽51aの直上に移動させた後、第1槽51a内へ向けて下方移動させることにより、吐出された洗浄液70の流れに吸引管10aを接触させて、吸引管10aの外表面を洗浄させる。
【0164】
ステップS17において、制御部60は、吸引管10aを洗浄槽51(第1槽51a)内へ下方移動させる際、洗浄液吐出部20から吐出された洗浄液70の流れに吸引管10aを接触させたまま、吸引管10aを昇降させる。これにより、吸引管10aの昇降により、複数回に亘って、吸引管10aの洗浄すべき部位を洗浄液70の流れに直接接触させることができる。そのため、単純に吸引管10aを下方移動させるだけの場合と比べて、洗浄を効果的に行える。
【0165】
制御部60は、吸引管10aの先端11よりも上部を洗浄液70の流れに接触させるまで吸引管10aを下方移動させる。これにより、吸引管10が洗浄液70とは非接触となる上方の原点位置H0から、洗浄対象範囲の上端部が洗浄液70の流れに接触する高さ位置H2まで吸引管10aが第1槽51a内へ下方移動される。制御部60は、洗浄液吐出部20から吐出された洗浄液70による洗浄と、洗浄槽51からの洗浄液70の排出とを継続しながら、吸引管10aを洗浄槽51内へ下方移動させる。このように、本実施形態の吸引管10の洗浄方法は、吸引管10の外側面への洗浄液70の吐出は洗浄槽51の内部において行われ、吸引管10の外側面への洗浄液70の吐出と、洗浄槽51からの洗浄液70の排出とを継続しながら、吸引管10を洗浄槽51内で下方移動させる工程を備える。これにより、洗浄槽51内に貯留された洗浄液70中に吸引管10を浸すのではなく、洗浄槽51内に溜まった洗浄液70に接触させずに吸引管10を洗浄できる。そのため、一旦吸引管10と接触して汚れを取り込んだ洗浄液70に吸引管10が接触することを回避できるので、コンタミネーションの発生を効果的に抑制できる。
【0166】
また、制御部60は、吸引管10aを洗浄槽51内へ下方移動させる際、吸引管10a内に洗浄液70を供給させることにより、先端11から洗浄槽51内へ洗浄液70を吐出させる制御(
図12の破線部参照)を行う。洗浄液70は、先端11が洗浄槽51(第1槽51a)内に配置されてから吐出される。このように、吸引管10を洗浄槽51内で下方移動させる工程において、吸引管10内に洗浄液70を供給することにより、先端11から洗浄槽51内へ洗浄液70を吐出させる。これにより、洗浄液70によって吸引管10の外表面の洗浄を行うのと並行して、先端11からの洗浄液70の吐出によって吸引管10の内表面の洗浄を行える。この際、洗浄槽51内に洗浄液70を貯留した状態だと、先端11から吐出される洗浄液70が水面に当たることにより洗浄液70が飛散し、吸引管10に付着する可能性があるが、洗浄槽51からの洗浄液70の排出を継続して行うため、先端11から洗浄槽51内へ洗浄液70を吐出させても、洗浄液70の吸引管10への再付着を抑制できる。
【0167】
ステップS18において、制御部60は、吸引管10aの先端11よりも上部を洗浄液70の流れに接触させて洗浄し、洗浄液70を吸引管10aに接触させながら吸引管10aを上方移動させる。すなわち、吸引管10の下方移動の後に吸引管10の上方移動が行われる。これにより、洗浄槽51の内部において吸引管10を洗浄した後に吸引管10を上方移動させるので、十分な洗浄を行った後でも、吸引管10の先端11に液滴DL(
図1(B)参照)が残留することを抑制できる。
【0168】
制御部60は、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置H1に配置される際に、吸引管10aの移動速度を低下させ、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置H1で、吸引管10aを停止させる。制御部60は、ステップS19において、所定時間の間、吸引管10aを停止させる。所定時間は、たとえば0.5秒である。このように、吸引管10の上方移動を減速または停止させる工程では、吐出された洗浄液70の流れの表面71に接触する位置H1に先端11を移動させ、洗浄液70の流れの表面71に接触する位置H1において吸引管10の上方移動を停止させる。これにより、吸引管10の先端11だけが、洗浄液70の流れの表面71に接触する状態を、吸引管10の上方移動の減速または停止によってより長時間確保できる。その結果、より確実に、吸引管10の先端11から液滴DLを除去できる。上記の通り、吸引管10の上方移動を減速させてもよい。
【0169】
ステップS20において、制御部60は、洗浄液70の流れの表面71に先端11を配置させた後、吸引管10aを更に上方移動させ、洗浄液70に接触しない位置まで吸引管10aを移動させる。これにより、先端11において液滴DLを除去したまま先端11が洗浄液70から離れるので、先端11への洗浄液70の再付着を抑制できる。この結果、吸引管10が位置H1から、洗浄液70とは非接触となる上方の原点位置H0へ上方移動される。
【0170】
(第3洗浄動作の具体例)
図16は、吸引管10の洗浄動作に関わる各部の動作(オンオフ)の切り替わりを示したタイミングチャートである。
図16の下方向が時間の進行方向である。
図16、
図15および
図14を参照して、第3洗浄動作の具体例を示す。第3洗浄動作は、第2洗浄動作が終了して、第1槽51aの直上に吸引管10aが配置された状態から開始する。このとき、吸引管10aの高さ位置H0は、モータ45(45a)の原点位置である。
【0171】
タイミングt0からt1までの間、吸引管10aが下方移動される。下方移動中のタイミングt1において、バルブ194、バルブ193が開かれ、バルブ198aが閉じられる。これにより、第1吐出部21から洗浄液70が吐出されるとともに第1槽51aの排出口53から洗浄液70が排出される。吸引管10aは、先端11よりも上部が洗浄液70の流れに接触する位置H2へ下方移動される。
【0172】
タイミングt2において、バルブ199aおよび198bが開かれ、吸引管10aと加圧シリンジ196とが連通する。また、加圧シリンジ196および定量シリンジ15aが駆動されて、吸引管10aに高圧の洗浄液70が供給され、先端11の開口から第1槽51a内に洗浄液70が吐出される。
【0173】
タイミングt3において加圧シリンジ196の駆動が停止され、タイミングt4において定量シリンジ15aの駆動が停止される。これにより、吸引管10aからの洗浄液70の吐出が終了する。
【0174】
タイミングt5からタイミングt6の間、吸引管10aが上方移動され、タイミングt7からタイミングt8の間、吸引管10aが下方移動される。これにより、吸引管10aの昇降によって、洗浄液70の流れとの接触による洗浄対象範囲の洗浄が、繰り返し行われる。なお、タイミングt5でバルブ198aが開かれ、次回の洗浄のために加圧シリンジ196に洗浄液70が供給される。
【0175】
タイミングt9からタイミングt10の間、位置H2から吸引管10aが上方移動される。吸引管10aは、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置H1に移動される。なお、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する際の吸引管10aの位置情報63(
図17参照)が、吸引管10aの洗浄前に予め取得されている。制御部60は、位置情報63に基づいて移動機構40を制御することにより、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置H1に吸引管10aを移動させる。
【0176】
タイミングt10からタイミングt11までの間、吸引管10aは先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置H1において停止される。
【0177】
その後、タイミングt11からタイミングt15までの間、吸引管10aが上方移動され、洗浄液70に接触しない原点位置H0まで吸引管10aを移動させる。
【0178】
なお、タイミングt11からタイミングt15の間のタイミングt12において、バルブ198bおよびバルブ199aが閉じられ、タイミングt13においてバルブ193が閉じられ、タイミングt14においてバルブ194が閉じられる。
【0179】
(先端が接触する位置情報の取得)
図17に示すように、本実施形態では、吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出する前に、吸引管10の先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する吸引管10の位置情報63を取得する工程をさらに備え、位置情報63に基づいて、吸引管10の先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する状態で、吸引管10を停止させる。これにより、吸引管10の洗浄時に、たとえば液面検知を行って先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置H1を検出する場合と異なり、予め取得された位置に吸引管10を移動および停止させるだけで先端11を洗浄液70の流れの表面71に接触させることができる。そのため、たとえば液面検知のために吸引管10を低速で移動させる必要がなく、極力短時間で先端11を洗浄液70の流れの表面71に接触させることができ、その分、吸引管10の洗浄により多くの時間を割り当てることができる。
【0180】
具体的には、試料測定装置100は、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触したことを検知する液面検知部65を備える。制御部60は、洗浄液吐出部20から吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出する前に、液面検知部65の検知結果に基づいて、吸引管10の先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する際の吸引管10の位置情報63を取得し、洗浄液吐出部20から吸引管10の外側面へ洗浄液70を吐出させながら、吸引管10を移動させ、位置情報63に基づいて、吸引管10の先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する状態で、吸引管10を停止させる制御を行う。制御部60は、取得した位置情報63を記憶部61に記憶させる。吸引管10の洗浄時には、制御部60は、記憶部61から位置情報63を読み出して、位置情報63に基づいて吸引管10の位置制御を行う。
【0181】
液面検知部65は、たとえば吸引管10の静電容量の変化に基づいて液面を検知する静電容量式の液面検知センサにより構成される。すなわち、吸引管10が洗浄液70とは非接触となる状態と、吸引管10が洗浄液70と接触した状態とで、静電容量が変化することにより、吸引管10が洗浄液70の流れの表面71と接触したことが検知される。液面検知部65は、検知結果を制御部60に出力する。
【0182】
制御部60は、液面検知部65により、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触したことを検知し、液面検知部65の検知結果に基づいて、位置情報63を取得する。これにより、先端11が実際に洗浄液70の流れの表面71に接触した位置を取得できるので、位置情報63を精度よく取得できる。
【0183】
位置情報63は、移動機構40により先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置H1へ吸引管10を移動させるための情報である。具体的には、位置情報63は、吸引管10を上下方向に移動させるモータ45(45a、45b)の原点位置H0からのパルス数として取得される。制御部60は、吸引管10を、位置情報63のパルス数によって特定される位置座標に移動させることにより、先端11を洗浄液70の流れの表面71に接触させる。
【0184】
本実施形態では、位置情報63を取得する際の吸引管10の移動動作(
図17参照)と、吸引管10の洗浄時に先端11を洗浄液70の流れの表面71に接触させる際の吸引管10の移動動作(
図19参照)とが、異なっている。
【0185】
具体的には、位置情報63を取得する工程において、吐出された洗浄液70の流れの上方から吸引管10を下方移動させて先端11を洗浄液70に接触させ、吸引管10の洗浄時に、先端11よりも上部に洗浄液70の流れが接触する位置から、位置情報63に基づいて、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置へ吸引管10を上方移動させる。
【0186】
すなわち、
図17に示すように、吸引管10を、原点位置H0から位置H1を通り位置H2まで下方移動させる動作MV1と、位置H2から位置H1を通り原点位置H0まで上方移動させる動作MV2とを考える。なお、図示の都合上、動作MV1とMV2とで水平方向に位置を異ならせて示しているが、移動する位置は同一位置である。
【0187】
静電容量式の液面検知部65によって先端11と洗浄液70の表面71との接触を検知する場合、動作MV1により、吸引管10と洗浄液70とが非接触の状態から接触状態に遷移する瞬間(位置H0から位置H1に到達する瞬間)か、または動作MV2により、吸引管10と洗浄液70とが接触状態から非接触の状態に遷移する瞬間(位置H2側から位置H1を通過する瞬間)の検知信号の変化を検知することになる。
【0188】
このとき、液面検知部65の出力信号は、
図18に示すグラフSGのように変化する。位置H0においては、吸引管10と洗浄液70とが非接触となるので、液面検知部65の信号強度は低いレベルで安定する。動作MV1により位置H0から位置H1に移動する際、信号強度が閾値THを上回ることにより、先端11が洗浄液70の流れの表面71と接触したことが検知される。洗浄液70が静止しているのではなく流れを形成しているので、洗浄液70と吸引管10との接触状態では検知信号が安定せず、位置H1から位置H2までの間は信号強度の変化幅が大きくなる。次に、動作MV2によって、位置H2から位置H0に移動する際、位置H1付近で吸引管10と洗浄液70とが非接触になると信号強度が閾値THを下回る。グラフSGから分かるように、信号強度が低いレベルで安定した位置H0から位置H1に下方移動する際の変化は精度よく検出することが可能である一方、位置H2から位置H1に上方移動する場合には、信号強度の変化幅が大きく不安定であるため、信号強度が閾値THを下回るタイミングの検出精度が、動作MV1で下方移動する場合よりも低下する。そのため、位置情報63を取得する際、吐出された洗浄液70の流れの上方から吸引管10を下方移動させて先端11を洗浄液70に接触させる動作MV1により、接触位置H1を精度よく検知できる。制御部60は、
図17に示すように、先端11が原点位置H0から位置H1に到達して信号強度が閾値THを上回るタイミングまでのパルス数N1を、位置情報63として取得する。
【0189】
一方、
図19に示すように、吸引管10の洗浄時には、先端11よりも上部に洗浄液70の流れが接触する位置H2から、位置情報63に基づいて、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置H1へ吸引管10を上方移動させる。位置情報63に基づいて、先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する位置へ吸引管10を上方移動させてもよい。制御部60は、原点位置H0から吸引管10の位置H2までのパルス数N2から、位置情報63としてのパルス数N1を減算した差分(N2−N1)だけ、吸引管10を位置H2から上方移動させることにより、先端11を位置H1に位置付ける。
【0190】
この際、厳密には、モータ45に用いるギヤのバックラッシュなどの誤差要因が存在する。つまり、位置H2に下方移動させた状態から位置H1に向けて上方移動させる場合、ギヤ同士の接触位置が切り替わるため、ごく僅かな誤差(バックラッシュ)が生じる。バックラッシュによって、下方移動時に検知した位置H1よりも、上方移動する場合にはごく僅かに下側の位置にずれる可能性がある。下側に位置ずれが発生する場合、
図19から分かるように、先端11が洗浄液70の流れに近付く方向に位置ずれすることになる。このため、誤差要因を考慮しても確実に先端11を洗浄液70の流れの表面71に接触させることが可能となる。
【0191】
以上の
図17〜
図19では、吸引管10の先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する吸引管10の位置情報63を取得する例を示したが、これに代えて、吸引管10の先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触(
図1(F)参照)する吸引管10の位置情報63を取得してもよい。この場合、吸引管10の洗浄時に、位置情報63に基づいて、先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する状態で、吸引管10を停止させる。
【0192】
図1(F)に示した吸引管10の先端11に付着した液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する位置は、液面検知部65の検知結果に基づいて取得される。たとえば、位置情報63を取得する際に、まず吸引管10の外側面へ洗浄液70が吐出されて、先端11に液滴DLが形成される。そして、液滴DLが洗浄液70の流れの表面71から離れた状態から洗浄液70の流れの表面71に接触した時の静電容量の変化に基づいて、液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触したことが検知される。制御部60が、液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触したことが検知された位置の位置情報63を取得する。また、吸引管10の先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触した接触位置H1から、数パルス分だけ上方にずれた位置を、液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する位置として取得してもよい。接触位置H1から上方にずらすパルス数は、実験的に取得できる。
【0193】
なお、静電容量式の液面検知センサに代えて、カメラで撮像した先端11の画像を画像認識することにより位置情報63を取得してもよい。カメラによる画像認識は、液滴DLが洗浄液70の流れの表面71に接触する位置を検出することにも適している。また、レーザー距離計などの距離計測装置を用いて位置情報63を取得してもよい。また、吸引管10に陰圧を供給して吸引動作を行ったまま洗浄液70の流れに近づけて、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触した際の吸引圧力の変化に基づいて表面71との接触を検知してもよい。また、吸引管10に音波または超音波振動を付与しながら、洗浄液70の流れに近づけて、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触した際の振動周波数または振幅の変化に基づいて表面71との接触を検知してもよい。
【0194】
位置情報63の取得は、吸引管10の洗浄時よりも前のタイミングで実行すればよく、特に限定されない。位置情報63の取得は、たとえば、試料測定装置100の電源投入時、試料測定装置100がスタンバイ状態から測定動作を行う測定状態に遷移する際の準備動作時、試料測定装置100に対する検体の測定オーダの指示が途切れて次の測定オーダを待ち受ける時、前回の位置情報63の取得時点から所定数の検体の測定動作を実施したとき、前回の位置情報63の取得時点から所定時間が経過したとき、などのタイミングで実行されうる。
【0195】
一例として、
図20に示すように、制御部60は、試料測定装置100がスタンバイ状態から測定動作を行う測定状態に遷移する際の準備動作時に、位置情報63の取得を行う。準備動作は、各機構の動作確認や、移動機構40の原点検出などを含む。準備動作は、まず、電源投入後のスタンバイ状態から初回の測定動作を行う際に実施される。試料測定装置100に検体の測定オーダが入力されると、測定動作が行われる。たとえば、測定オーダに基づいて測定動作が行われた後、次の測定オーダが所定時間以上継続して入力されない場合、試料測定装置100は、タイムアウトしてスタンバイ状態に遷移する。その後、検体の測定オーダが入力されると試料測定装置100は、準備動作を行って、測定動作を開始する。
【0196】
制御部60は、これらの準備動作が実施されるタイミングで、毎回、位置情報63を取得して、位置情報63を更新する。これにより、試料測定装置100の稼働時における制御し得ない要因による位置ばらつきを抑制して、先端11が洗浄液70の流れの表面71に接触する位置がずれることを抑制することができる。
【0197】
(試料測定システムの制御的な構成)
次に、
図21を参照して、試料測定装置100の制御的な構成を説明する。なお、血液凝固測定装置200の制御的な構成については、省略する。
【0198】
図21に示すように、試料測定装置100は、制御部60および記憶部61を含む。
【0199】
制御部60は、CPUまたはFPGAなどのプロセッサを含む。記憶部61は、ROM、RAMおよびハードディスクなどの揮発性および/または不揮発性の記憶装置を含む。プロセッサは、記憶部に記憶された制御プログラムを実行することにより、試料測定装置100の制御部として機能する。制御部60は、上述した試料測定装置100の各部の動作を制御する。
【0200】
試料測定装置100は、分析部300を備える。分析部300は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成される。分析部300は、たとえば、CPUなどのプロセッサと、ROM、RAMおよびハードディスクなどの記憶装置とを含んで構成される。プロセッサは、記憶部に記憶された制御プログラムを実行することにより、試料測定装置100の分析部300として機能する。
【0201】
分析部300は、試料測定装置100および血液凝固測定装置200と電気的に接続されている。また、分析部300は、試料測定装置100および血液凝固測定装置200の測定結果を分析する。また、分析部300は、ホストコンピュータとネットワークを介して接続され、ホストコンピュータから、各装置に対する測定オーダを取得する。分析部300は、取得した測定オーダを順番に実行するように、試料測定装置100および血液凝固測定装置200を制御する。
【0202】
(免疫測定の概要)
図6〜
図21に示した構成例では、上記の通り、R1試薬〜R5試薬を用いて免疫測定が行われる。
図22を参照して、免疫測定の一例として、被検物質81がB型肝炎表面抗原(HBsAg)である例について説明する。
【0203】
まず、反応容器93に被検物質81を含む検体とR1試薬とが分注される。吸引管10aにより、反応容器93中に検体が分注される。吸引管10bにより、R1試薬が反応容器93中に分注される。R1試薬は、捕捉物質84を含有し、被検物質81と反応して結合する。捕捉物質84は、捕捉物質84がR2試薬に含まれる固相担体82と結合するための結合物質を含む。
【0204】
この結合物質と固相担体との結合には、たとえばビオチンとアビジン類、ハプテンと抗ハプテン抗体、ニッケルとヒスタチジンタグ、グルタチオンとグルタチオン−S−トランスフェラーゼなどの組み合わせが利用できる。なお、「アビジン類」とは、アビジンおよびストレプトアビジンを含むことを意味する。
【0205】
たとえば、捕捉物質84は、ビオチンで修飾された抗体(biotin抗体)である。すなわち、捕捉物質84には、結合物質としてビオチンが修飾されている。検体とR1試薬との分注後、加温部150において反応容器93内の試料が所定温度に加温されることにより、捕捉物質84と被検物質81とが結合する。
【0206】
次に、吸引管10bにより、反応容器93にR2試薬が分注される。R2試薬は、固相担体82を含有する。固相担体82は、捕捉物質84の結合物質と結合する。固相担体82は、たとえばビオチンと結合するストレプトアビジンを固定した磁性粒子(StAvi結合磁性粒子)である。StAvi結合磁性粒子のストレプトアビジンは、結合物質であるビオチンと反応して結合する。R2試薬の分注後、加温部150において反応容器93内の試料が所定温度に加温される。この結果、被検物質81と捕捉物質84とが、固相担体82と結合する。
【0207】
固相担体82上に形成された被検物質81および捕捉物質84と、未反応の捕捉物質84とは、BF分離部180による1次BF分離処理によって分離される。BF分離部180の処理ポートに反応容器93がセットされると、BF分離部180は、磁力源181による集磁状態での洗浄部182による液相の吸引と、洗浄液の吐出と、非集磁状態での攪拌と、の各工程を1または複数回実行する。1次BF分離処理によって、未反応の捕捉物質84などの不要成分が、反応容器93中から除去される。1次BF分離処理では、最終的に反応容器93内の液相が吸引された状態で、次の工程に進む。
【0208】
次に、吸引管10bにより、反応容器93にR3試薬が分注される。R3試薬は、標識物質83を含有し、被検物質81と反応して結合する。R3試薬の分注後、加温部150において反応容器93内の試料が所定温度に加温される。この結果、固相担体82上に、被検物質81と、標識物質83と、捕捉物質84とを含む免疫複合体85が形成される。
図22の例では、標識物質83は、ALP(アルカリホスファターゼ)標識抗体である。
【0209】
固相担体82上に形成された免疫複合体85と、未反応の標識物質83とは、2次BF分離処理によって分離される。BF分離部180は、磁力源181による集磁状態での液相の吸引と、洗浄液の吐出と、非集磁状態での攪拌と、の各工程を1または複数回実行する。2次BF分離処理によって、未反応の標識物質83などの不要成分が、反応容器93中から除去される。2次BF分離処理では、最終的に反応容器93内の液相が吸引された状態で、次の工程に進む。
【0210】
その後、R4試薬分注部163aおよびR5試薬分注部163bの各々により、反応容器93にR4試薬およびR5試薬が分注される。R4試薬は、緩衝液を含有する。固相担体82と結合した免疫複合体85が緩衝液中に分散される。R5試薬は、化学発光基質を含有する。R4試薬に含有される緩衝液は、免疫複合体85に含まれる標識物質83の標識(酵素)と基質との反応を促進する組成を有する。R4、R5試薬の分注後、加温部150において反応容器93内の試料が所定温度に加温される。標識に対して基質を反応させることによって光が発生し、発生する光の強度が測定部30の光検出器31により測定される。測定部30の検出信号に基づいて、検体中の被検物質81の含有量などが測定される。
【0211】
(測定処理動作の説明)
次に、
図22に示した試料測定装置100の測定処理動作を、
図23を用いて説明する。また、
図23に示す各ステップの処理は、試料測定装置100の制御部60によって制御される。
【0212】
ステップS31において、反応容器93に検体が分注される。具体的には、吸引管10aにより検体搬送部120の検体供給部126の検体容器91から検体が吸引される。そして、吸引管10aにより吸引された検体が反応容器93に分注される。分注後、吸引管10aは、洗浄機構50により上述した洗浄方法で洗浄液70を用いて洗浄される。吸引管10aは、分注動作を行う度に、洗浄機構50により洗浄される。
【0213】
ステップS32において、吸引管10bにより反応容器93内にR1試薬が分注される。分注後、吸引管10bは、洗浄機構50により洗浄液を用いて洗浄される。吸引管10bは、分注動作を行う度に、洗浄機構50により洗浄される。
【0214】
ステップS33において、吸引管10bにより反応容器93内にR2試薬が分注される。R2試薬の分注後、容器搬送部140により、加温部150に反応容器93が移送される。反応容器93は、加温部150において所定時間の間加温される。
【0215】
ステップS34において、容器搬送部140により反応容器93がBF分離部180に移送される。BF分離部180は、反応容器93中の試料に対して1次BF分離処理(
図22参照)を行い、液体成分を除去する。
【0216】
ステップS35において、容器搬送部140により反応容器93がR3試薬分注位置に移送される。そして、吸引管10bにより反応容器93内にR3試薬が分注される。R3試薬の分注後、容器搬送部140により、加温部150に反応容器93が移送される。反応容器93は、加温部150において所定時間の間加温される。
【0217】
ステップS36において、容器搬送部140により反応容器93がBF分離部180に移送される。BF分離部180は、反応容器93中の試料に対して2次BF分離処理(
図22参照)を行い、液体成分を除去する。
【0218】
ステップS37において、容器搬送部140により反応容器93がR4試薬分注位置に移送される。R4試薬分注部163aにより、反応容器93にR4試薬が分注される。
【0219】
ステップS38において、容器搬送部140により反応容器93がR5試薬分注位置に移送される。R5試薬分注部163bにより、反応容器93にR5試薬を分注される。R5試薬の分注後、容器搬送部140により、加温部150に反応容器93が移送される。反応容器93は、加温部150において所定時間の間加温される。
【0220】
ステップS39において、容器搬送部140および搬送部125により反応容器93が測定部30に移送される。測定部30により、標識に対して基質を反応させることによって生じる光の強度が測定される。測定部30の検出結果は、制御部60を介して、分析部300に出力される。
【0221】
検出終了後は、ステップS40において、搬送部125が、測定処理済みの反応容器93を測定部30から取り出して、廃棄口に廃棄する。
【0222】
以上により、試料測定装置100による測定処理動作が行われる。
【0223】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
前記吸引管を前記洗浄槽内で下方移動させる工程において、前記吸引管内に前記洗浄液を供給することにより、前記先端から前記洗浄槽内へ前記洗浄液を吐出させる、請求項3に記載の吸引管の洗浄方法。
前記吸引管の外側面へ前記洗浄液を吐出する前に、前記吸引管の先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触する前記吸引管の位置情報を取得する工程をさらに備え、
前記位置情報に基づいて、前記吸引管の先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触する状態で、前記吸引管を停止させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸引管の洗浄方法。
前記位置情報を取得する工程において、液面検知部により、前記吸引管の先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触したことを検知し、前記液面検知部の検知結果に基づいて、前記位置情報を取得する、請求項6に記載の吸引管の洗浄方法。
前記位置情報を取得する工程において、吐出された前記洗浄液の流れの上方から前記吸引管を下方移動させて前記先端又は前記先端に付着した液滴を前記洗浄液に接触させ、
前記吸引管の洗浄時に、前記先端よりも上部に前記洗浄液の流れが接触する位置から、前記位置情報に基づいて、前記先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触する位置へ前記吸引管を上方移動させる、請求項6または7に記載の吸引管の洗浄方法。
に示すように、吸引管(10)の外側面への洗浄液(70)の吐出は洗浄槽(51)の内部において行われ、吸引管(10)の外側面への洗浄液(70)の吐出と、洗浄槽(51)からの洗浄液(70)の排出とを継続しながら、吸引管(10)を洗浄槽(51)内で下方移動させる工程をさらに備え
。このように構成すれば、洗浄槽(51)内に貯留された洗浄液(70)中に吸引管(10)を浸すのではなく、洗浄槽(51)内に溜まった洗浄液(70)に接触させずに吸引管(10)を洗浄できる。そのため、一旦吸引管(10)と接触して汚れを取り込んだ洗浄液(70)に吸引管(10)が接触することを回避できるので、コンタミネーションの発生を効果的に抑制できる。
に示すように、試料測定装置(100)の吸引管(10)の洗浄方法であって、吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出する前に、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する吸引管(10)の位置情報(63)を取得し、吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出しながら、吸引管(10)を移動させ、位置情報(63)に基づいて、吸引管(10)を
に示すように、洗浄機構(50)は、洗浄液吐出部(20)から吐出された洗浄液(70)を受け入れるように上部が開口した洗浄槽(51)をさらに含み、制御部(60)は、洗浄槽(51)の内部において洗浄液吐出部(20)から吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出させ、吸引管(10)の外側面への洗浄液(70)の吐出と、洗浄槽(51)からの洗浄液(70)の排出とを継続しながら、吸引管(10)を洗浄槽(51)内で下方移動させ
する。このように構成すれば、洗浄槽(51)内に貯留された洗浄液(70)中に吸引管(10)を浸すのではなく、洗浄槽(51)内に溜まった洗浄液(70)に接触させずに吸引管(10)を洗浄できる。そのため、一旦吸引管(10)と接触して汚れを取り込んだ洗浄液(70)に吸引管(10)が接触することを回避できるので、コンタミネーションの発生を効果的に抑制できる。
に示すように、検体と試薬とから調製された試料を測定する測定部(30)と、検体および試薬のうち少なくともいずれかを吸引する吸引管(10)と、吸引管(10)を移動させる移動機構(40)と、吸引管(10)を洗浄するための洗浄液(70)を吐出する洗浄液吐出部(20)を含む洗浄機構(50)と、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触したことを検知する液面検知部(65)と、洗浄液吐出部(20)から吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出する前に、液面検知部(65)の検知結果に基づいて、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する吸引管(10)の位置情報(63)を取得し、洗浄液吐出部(20)から吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出させながら、吸引管(10)を移動させ、位置情報(63)に基づいて、吸引管(10)を
停止させ、減速または停止させた吸引管(10)を、洗浄液(70)の流れの表面(71)から離れる方向に移動させるよう移動機構(40)を制御する制御部(60)と、を備える。
前記吸引管を前記洗浄槽内で下方移動させる工程において、前記吸引管内に前記洗浄液を供給することにより、前記先端から前記洗浄槽内へ前記洗浄液を吐出させる、請求項3に記載の吸引管の洗浄方法。
前記吸引管の外側面へ前記洗浄液を吐出する前に、前記吸引管の先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触する前記吸引管の位置情報を取得する工程をさらに備え、
前記位置情報に基づいて、前記吸引管の先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触する状態で、前記吸引管を停止させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸引管の洗浄方法。
前記位置情報を取得する工程において、液面検知部により、前記吸引管の先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触したことを検知し、前記液面検知部の検知結果に基づいて、前記位置情報を取得する、請求項6に記載の吸引管の洗浄方法。
前記位置情報を取得する工程において、吐出された前記洗浄液の流れの上方から前記吸引管を下方移動させて前記先端又は前記先端に付着した液滴を前記洗浄液に接触させ、
前記吸引管の洗浄時に、前記先端よりも上部に前記洗浄液の流れが接触する位置から、前記位置情報に基づいて、前記先端又は前記先端に付着した液滴が前記洗浄液の流れの表面に接触する位置へ前記吸引管を上方移動させる、請求項6または7に記載の吸引管の洗浄方法。
前記吸引管の外側面へ前記洗浄液を吐出する際、前記洗浄液を斜め下向きに吐出させ、略直線の柱状の前記洗浄液の流れを形成する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸引管の洗浄方法。
前記洗浄液吐出部は、斜め下向きに向いた吐出口を有し、略直線の柱状の前記洗浄液の流れを形成するように構成されている、請求項12〜17のいずれか1項に記載の試料測定装置。
に示すように、試料測定装置(100)の吸引管(10)の洗浄方法であって、吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出する前に、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する吸引管(10)の位置情報(63)を取得し、吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出しながら、吸引管(10)を移動させ、位置情報(63)に基づいて、吸引管(10)を位置情報(63)によって特定された位置に
に示すように、検体と試薬とから調製された試料を測定する測定部(30)と、検体および試薬のうち少なくともいずれかを吸引する吸引管(10)と、吸引管(10)を移動させる移動機構(40)と、吸引管(10)を洗浄するための洗浄液(70)を吐出する洗浄液吐出部(20)を含む洗浄機構(50)と、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触したことを検知する液面検知部(65)と、洗浄液吐出部(20)から吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出する前に、液面検知部(65)の検知結果に基づいて、吸引管(10)の先端(11)又は先端(11)に付着した液滴(DL)が洗浄液(70)の流れの表面(71)に接触する吸引管(10)の位置情報(63)を取得し、洗浄液吐出部(20)から吸引管(10)の外側面へ洗浄液(70)を吐出させながら、吸引管(10)を移動させ、位置情報(63)に基づいて、吸引管(10)を位置情報(63)によって特定された位置に
または特定された位置で停止させ、減速または停止させた吸引管(10)を、洗浄液(70)の流れの表面(71)から離れる方向に移動させるよう移動機構(40)を制御する制御部(60)と、を備える。