【解決手段】真贋判定部50は、メモリコントローラ31が動作する第1の期間P12において電流値測定回路13によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間P12に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、メモリコア32が動作する第2の期間P13において電流値測定回路13によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間P13に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。
機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路と、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備える、情報処理装置であって、
前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、
前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、
前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、
前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、
に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、情報処理装置。
被判定装置が有する機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、
前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、
前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、
に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、プログラム。
機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路と、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を備える情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、
前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、
前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、
に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、プログラム。
自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路と、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、
前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、
前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、
に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、プログラム。
被判定装置が有する機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、
前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、
前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、
に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップを備える、被判定装置の真贋判定方法。
機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路と、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を備える情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、
前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、
前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、
に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップを備える、被判定装置の真贋判定方法。
自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路と、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、
前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、
前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、
に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップを備える、被判定装置の真贋判定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メモリ装置に格納されているコンテンツデータを保護するための技術としては、AES又はRSA等の現代暗号が一般的に使用されている。しかし、第三者の解析によって秘密鍵等の機密情報が割り出されてしまうと、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が容易に製造されてしまうという問題がある。
【0005】
また、上記特許文献1には、ホスト装置によってメモリ装置の真贋判定を実行する態様についてのみ開示されている。しかし、不正使用の態様としては、非正規品のメモリ装置が使用される場合に限らず、正規品のメモリ装置に格納されたコンテンツデータを不正コピー等する目的で、非正規品のホスト装置が使用される場合もある。従って、不正コピー等からコンテンツデータを適切に保護するためには、ホスト装置が非正規品である場合にはメモリシステムの動作を停止させる必要がある。そのためには、メモリ装置において、ホスト装置が正規品であるか否かを判定する機能や、ホスト装置及びメモリ装置の各々において、自身が正規品であるか否かを自ら判定(自己真贋判定)する機能が望まれる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかの真贋判定を容易かつ高精度に実行することが可能な、情報処理装置、プログラム、及び被判定装置の真贋判定方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路を有する被判定装置の真贋判定機能を備える、情報処理装置であって、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定することを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係る情報処理装置によれば、判定部は、第1の処理回路が動作する第1の期間において電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、第2の処理回路が動作する第2の期間において電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、判定部によって被判定装置の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、判定部によって被判定装置の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る情報処理装置は、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路と、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備える、情報処理装置であって、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定することを特徴とするものである。
【0010】
第2の態様に係る情報処理装置によれば、判定部は、第1の処理回路が動作する第1の期間において電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、第2の処理回路が動作する第2の期間において電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、判定部によって被判定装置の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、判定部によって被判定装置の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る情報処理装置は、自身を被判定装置とする真贋判定機能を備える、情報処理装置であって、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路と、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定することを特徴とするものである。
【0012】
第3の態様に係る情報処理装置によれば、判定部は、第1の処理回路が動作する第1の期間において電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、第2の処理回路が動作する第2の期間において電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、判定部によって被判定装置の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、判定部によって被判定装置の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る情報処理装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、前記判定部は、複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得部と、前記電流値取得部によって取得された複数の実測電流値を時系列順に配列することによって、実測電流値パターンを作成するパターン作成部と、前記パターン作成部によって作成された実測電流値パターンと、正規品又は非正規品に関して予め求められた基準電流値のパターンである基準電流値パターンとを比較するパターン比較部と、を有することを特徴とするものである。
【0014】
第4の態様に係る情報処理装置によれば、判定部は、実測電流値パターンと基準電流値パターンとの比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。非正規品は粗悪品であることが多いため、非正規品の消費電流の絶対値は正規品のそれより大きい場合が多い。第4の態様に係る情報処理装置によれば、判定部は、消費電流の変化率パターンではなく実測電流値パターンと基準電流値パターンとを比較するため、たとえ正規品と非正規品とで消費電流の変化率パターンが近似している場合であっても、被判定装置の真贋判定を高精度に実行することが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る情報処理装置は、第4の態様に係る情報処理装置において特に、前記パターン比較部は、実測電流値パターンを構成する複数の実測電流値と、基準電流値パターンを構成する複数の基準電流値とをそれぞれ比較し、前記判定部は、全ての実測電流値が、対応する基準電流値と一致しているか否かによって、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定することを特徴とするものである。
【0016】
第5の態様に係る情報処理装置によれば、判定部は、全ての実測電流値が、対応する基準電流値と一致しているか否かによって、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、非正規品(又は正規品)の実測電流値パターンの一部のみが正規品(又は非正規品)の基準電流値パターンと異なる場合であっても、被判定装置の真贋判定を高精度に実行することが可能となる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る情報処理装置は、第4の態様に係る情報処理装置において特に、前記パターン比較部は、実測電流値パターンを構成する複数の実測電流値と、基準電流値パターンを構成する複数の基準電流値とをそれぞれ比較し、前記判定部は、全ての実測電流値のうち、対応する基準電流値と一致する実測電流値の割合が第1のしきい値以上であるか否かによって、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定することを特徴とするものである。
【0018】
第6の態様に係る情報処理装置によれば、判定部は、全ての実測電流値のうち、対応する基準電流値と一致する実測電流値の割合が第1のしきい値以上であるか否かによって、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、突発的なノイズ等に起因して正規品(又は非正規品)の実測電流値が瞬間的に増減した場合であっても、正規品(又は非正規品)が誤って非正規品(又は正規品)と判定される事態を回避することが可能となる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る情報処理装置は、第4〜第6のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、前記判定部は、前記パターン作成部による実測電流値パターンの作成処理、及び、前記パターン比較部による実測電流値パターンと基準電流値パターンとの比較処理をN回(Nは複数)実行し、前記パターン比較部によるN回の比較処理のうち、実測電流値パターンが基準電流値パターンに一致していると判定された割合が第2のしきい値以上であるか否かによって、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定することを特徴とするものである。
【0020】
第7の態様に係る情報処理装置によれば、判定部は、パターン作成部によるパターン作成処理、及び、パターン比較部によるパターン比較処理を複数N回実行し、パターン比較部によるN回の比較処理のうち、実測電流値パターンが基準電流値パターンに一致していると判定された割合が第2のしきい値以上であるか否かによって、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。このように、パターン作成部及びパターン比較部による一連の処理を複数N回繰り返して実行し、パターン比較部によるN回の比較結果に基づいて被判定装置の真贋判定を行うことにより、判定精度を向上することが可能となる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る情報処理装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、前記判定部は、複数の測定タイミングで前記電流測定部によって測定された複数の実測電流値を、前記電流測定部から取得する電流値取得部と、前記電流値取得部によって取得された複数の実測電流値に基づいて、所定の実測代表値を算出する代表値算出部と、前記代表値算出部によって算出された実測代表値と、正規品又は非正規品に関して予め求められた代表値である基準代表値とを比較する代表値比較部と、を有することを特徴とするものである。
【0022】
第8の態様に係る情報処理装置によれば、判定部は、代表値算出部によって算出された実測代表値と、正規品又は非正規品に関して予め求められた基準代表値との比較結果に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、実測電流値パターンを作成する必要がなく、また、基準電流値パターンを保持しておく必要もないため、被判定装置の真贋判定を簡易に実行することが可能となる。
【0023】
本発明の第9の態様に係る情報処理装置は、第8の態様に係る情報処理装置において特に、前記代表値算出部は、実測代表値として、平均値、最大値、及び最小値の少なくとも一つを算出することを特徴とするものである。
【0024】
第9の態様に係る情報処理装置によれば、代表値算出部は、実測代表値として、平均値、最大値、及び最小値の少なくとも一つを算出する。このように、平均値、最大値、及び最小値の少なくとも一つを実測代表値として使用することにより、実測代表値を簡易に算出することが可能となる。
【0025】
本発明の第10の態様に係る情報処理装置は、第1〜第9のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、前記判定部は、前記第1の期間及び前記第2の期間を可変に設定する期間設定部をさらに有することを特徴とするものである。
【0026】
第10の態様に係る情報処理装置によれば、期間設定部は、第1の期間及び第2の期間を可変に設定する。従って、被判定装置の真贋判定を実行する対象となる第1の期間及び第2の期間を期間設定部によって静的又は動的に変更できるため、第三者による判定アルゴリズムの解析をより困難化することが可能となる。
【0027】
本発明の第11の態様に係る情報処理装置は、第1〜第10のいずれか一つの態様に係る情報処理装置において特に、前記被判定装置は、前記第1の基準電流値及び前記第2の基準電流値を記憶する記憶部をさらに有し、前記判定部は、当該記憶部から前記第1の基準電流値及び前記第2の基準電流値を読み出すことを特徴とするものである。
【0028】
第11の態様に係る情報処理装置によれば、第1の基準電流値及び第2の基準電流値は、被判定装置の記憶部に記憶されている。被判定装置の基準電流値は、デバイスの構造や製造プロセス等に依存するため、デバイス毎に異なる。従って、ある被判定装置に関して求めた基準電流値を、その被判定装置の記憶部に記憶しておくことにより、デバイス毎に異なる基準電流値を簡易に管理することが可能となる。
【0029】
本発明の第12の態様に係るプログラムは、被判定装置が有する機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定することを特徴とするものである。
【0030】
第12の態様に係るプログラムによれば、判定手段は、第1の処理回路が動作する第1の期間において電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、第2の処理回路が動作する第2の期間において電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、判定手段によって被判定装置の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、判定手段によって被判定装置の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【0031】
本発明の第13の態様に係るプログラムは、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路と、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を備える情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定することを特徴とするものである。
【0032】
第13の態様に係るプログラムによれば、判定手段は、第1の処理回路が動作する第1の期間において電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、第2の処理回路が動作する第2の期間において電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、判定手段によって被判定装置の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、判定手段によって被判定装置の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【0033】
本発明の第14の態様に係るプログラムは、自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路と、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置に搭載されるコンピュータを、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する判定手段として機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定することを特徴とするものである。
【0034】
第14の態様に係るプログラムによれば、判定手段は、第1の処理回路が動作する第1の期間において電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、第2の処理回路が動作する第2の期間において電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、判定手段によって被判定装置の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、判定手段によって被判定装置の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【0035】
本発明の第15の態様に係る被判定装置の真贋判定方法は、被判定装置が有する機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップを備えることを特徴とするものである。
【0036】
第15の態様に係る被判定装置の真贋判定方法によれば、第1の処理回路が動作する第1の期間において電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、第2の処理回路が動作する第2の期間において電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかが判定される。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、被判定装置の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、被判定装置の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【0037】
本発明の第16の態様に係る被判定装置の真贋判定方法は、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路と、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部とを有する被判定装置の真贋判定機能を備え、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部を備える情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップを備えることを特徴とするものである。
【0038】
第16の態様に係る被判定装置の真贋判定方法によれば、第1の処理回路が動作する第1の期間において電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、第2の処理回路が動作する第2の期間において電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかが判定される。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、被判定装置の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、被判定装置の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【0039】
本発明の第17の態様に係る被判定装置の真贋判定方法は、自身を被判定装置とする真贋判定機能を備え、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路と、前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に電源を供給する電源供給部と、前記電源供給部から前記第1の処理回路及び前記第2の処理回路に流れる電流を測定する電流測定部と、を備える情報処理装置において、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定する、被判定装置の真贋判定方法であって、前記第1の処理回路が動作する第1の期間において前記電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、前記第2の処理回路が動作する第2の期間において前記電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、前記被判定装置が正規品であるか非正規品であるかを判定するステップを備えることを特徴とするものである。
【0040】
第17の態様に係る被判定装置の真贋判定方法によれば、第1の処理回路が動作する第1の期間において電流測定部によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、第2の処理回路が動作する第2の期間において電流測定部によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかが判定される。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、被判定装置の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なる第1の処理回路及び第2の処理回路の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、被判定装置の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、被判定装置が正規品であるか非正規品であるかの真贋判定を容易かつ高精度に実行することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0044】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るメモリシステム1の構成を示す図である。
図1に示すようにメモリシステム1は、ホスト装置2と、ホスト装置2に着脱自在に接続されたメモリ装置3とを備えて構成されている。ホスト装置2は、例えばパーソナルコンピュータ等の第1の情報処理装置であり、メモリ装置3は、ホスト装置2から電源供給を受けて動作する第2の情報処理装置、例えばフラッシュメモリのメモリカードである。他の例として、第1の情報処理装置はプリンタ又は複合機の本体であり、第2の情報処理装置はトナーカートリッジである。あるいは、第1の情報処理装置はゲーム機の本体であり、第2の情報処理装置はゲームプログラムが格納されたメモリカードである。
【0045】
本実施の形態では、メモリ装置3の真贋判定をホスト装置2が実行する態様、つまり、ホスト装置2等の第1の情報処理装置が判定装置であり、メモリ装置3等の第2の情報処理装置が被判定装置である態様について説明する。
【0046】
図2は、ホスト装置2の構成を簡略化して示す図である。
図2に示すようにホスト装置2は、SoC(System on a Chip)11、電源制御部12、電流値測定回路13、及びメモリインタフェース14を備えて構成されている。SoC11及びメモリインタフェース14は、それぞれがホスト装置2側の信号処理回路である。SoC11は、バス21を介して相互に接続された、CPU22、復号器23、期待値格納メモリ24、GPIO(General Purpose Input/Output)25、ADC(Analog to Digital Converter)26、コマンドバッファ27、データバッファ28、及び、ROM又はRAM等の記憶部29を備えて構成されている。記憶部29には、プログラム101が格納されている。ホスト装置2は、自身に接続されたメモリ装置3を動作させるための電源を、電源VCC1(電源供給部)から電源制御部12及び抵抗素子Rを介してメモリ装置3(メモリコントローラ31及びメモリコパ32)に供給する。電流値測定回路13は、抵抗素子Rの両端電圧を測定することにより、電源VCC1からメモリ装置3に流れる電流の電流値を測定する。
【0047】
図3は、メモリ装置3の構成を簡略化して示す図である。
図3に示すようにメモリ装置3は、機能が互いに異なるメモリコントローラ31とメモリコア32とを備えて構成されている。メモリコントローラ31及びメモリコア32は、それぞれがメモリ装置3側の信号処理回路である。メモリコントローラ31は、ホストインタフェース41、デコーダ42、及びメモリコアインタフェース43を備えて構成されている。メモリコア32の特定のアドレス領域には、後述する期待値データ201が格納されている。
【0048】
図4は、
図2に示したプログラム101をCPU22が実行することによって実現される機能を示す図である。
図4に示すように、記憶部29から読み出したプログラム101をCPU22が実行することによって、CPU22は、ホスト装置2に接続されているメモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定部50として機能する。換言すれば、プログラム101は、情報処理装置としてのホスト装置2に搭載されるコンピュータを、真贋判定部50として機能させるためのプログラムである。
【0049】
図4に示すように真贋判定部150は、期間設定部51、電流値取得部52、パターン作成部53、及びパターン比較部54として機能する。なお、真贋判定部50の機能は、CPU22によるソフトウェア処理によって実現する場合に限らず、専用回路等を用いたハードウェア処理によって実現しても良い。
【0050】
メモリ装置3の正規品(純正品)と非正規品(偽造品)とでは、半導体デバイスの構造や製造プロセス等が異なるため、消費電流特性が顕著に相違する。本実施の形態に係るホスト装置2は、メモリ装置3の消費電流値(絶対値)を実測することによって実測電流値パターンを作成し、その実測電流値パターンと、正規品又は非正規品に関する既知の基準電流値パターンとを比較することによって、自身に接続されているメモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかの真贋判定を行う。以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0051】
図5は、メモリ装置3の消費電流特性の一例を示す図である。
図5には、メモリ装置3が、ホスト装置2から読み出しコマンドを受信し、読み出しコマンドによって指定されたコンテンツデータをメモリコア32から読み出し、読み出したコンテンツデータをホスト装置2に送信する場合の消費電流特性を示している。
【0052】
期間P11,P15は、メモリ装置3がホスト装置2からのコマンド受信を待機しているスタンバイ期間である。期間P11,P15では、メモリコントローラ31及びメモリコア32はいずれも動作をしていない。
【0053】
期間P12は、ホスト装置2が送信した読み出しコマンドをメモリ装置3が受信している期間である。期間P12では、メモリコントローラ31は動作をしており、メモリコア32は動作をしていない。
【0054】
期間P13は、メモリコア32からコンテンツデータを読み出すために、メモリコア32へのアクセスを実行している期間である。期間P13では、メモリコントローラ31は動作をしておらず、メモリコア32は動作をしている。
【0055】
期間P14は、読み出しコマンドによって指定されたコンテンツデータをメモリコア32から読み出して、当該コンテンツデータをホスト装置2へ送信している期間である。期間P14では、メモリコントローラ31及びメモリコア32はいずれも動作をしている。
【0056】
本実施の形態に係る真贋判定部50は、メモリコントローラ31が単独で動作する期間P12において電流値測定回路13によって測定された第1の実測電流値パターンと、期間P12に関して予め求められた第1の基準電流値パターンとを比較する。また、真贋判定部50は、メモリコア32が単独で動作する期間P13において電流値測定回路13によって測定された第2の実測電流値パターンと、当該期間P13に関して予め求められた第2の基準電流値パターンとを比較する。そして、真贋判定部50は、これらの比較結果に基づいて、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。
【0057】
正規品のメモリ装置3であれば、実装される半導体デバイスの種類や各デバイスの製造プロセスが厳密に管理されているため、各期間P11〜P15におけるメモリ装置3の消費電流特性はほぼ一定である。そこで、各期間P11〜P15の消費電流特性を示す情報が工場出荷前に作成されて、暗号化された期待値データ201(
図3参照)として、メモリコア32の特定のアドレス領域に格納されている。本実施の形態の例では、メモリコントローラ31が単独で動作している期間P12、及び、メモリコア32が単独で動作している期間P13の各々に関する、
・消費電流値を所定のサンプリング周波数でサンプリングすることによって得られる消費電流値の遷移パターン(基準電流値パターン)
・消費電流値の最大値、最小値、及び平均値(基準代表値)
が、期待値データ201としてメモリコア32に格納されている。
【0058】
なお、排除対象となる非正規品が既に特定されている場合には、正規品に関する基準電流値パターン及び基準代表値に代えて、非正規品に関する基準電流値パターン及び基準代表値をメモリコア32に格納しても良い。例えば、正規品に関する基準電流値パターンを用いる場合には、実測電流値パターン(詳細は後述する)と基準電流値パターンとが一致するか否かによって、メモリ装置3が正規品であるか否かを判定できる。非正規品に関する基準電流値パターンを用いる場合には、実測電流値パターンと基準電流値パターンとが一致するか否かによって、メモリ装置3が非正規品であるか否かを判定できる。基準代表値についても同様である。本実施の形態及び後述の各変形例では、正規品に関する基準電流値パターン及び基準代表値を用いる例について説明する。
【0059】
図6は、ホスト装置2によるメモリ装置3の真贋判定処理の流れを示すフローチャートである。メモリ装置3がホスト装置2に接続されると、まずステップSP101においてCPU22(期間設定部51)は、期間P11〜P15の中から、真贋判定の実行対象となる複数の判定対象期間を設定する。期間設定部51は、予め定められた規則に従って判定対象期間を静的に変更することができ、あるいは、真贋判定の累積実行回数やメモリシステム1の稼働状況等に応じて判定対象期間を動的に変更することができる。本実施の形態の例では、メモリコントローラ31が単独で動作している期間P12が第1の判定対象期間として設定され、メモリコア32が単独で動作している期間P13が第2の判定対象期間として設定される。
【0060】
また、期間設定部51は、第1及び第2の判定対象期間に対してそれぞれ実行する真贋判定の処理内容を設定する。本実施の形態の例では、第1及び第2の判定対象期間の双方に対して、「電流値パターン同士の比較処理」が真贋判定の処理内容として設定される。但し、電流値パターン同士の比較処理がデフォルト処理として実行される場合には、この設定は省略しても良い。
【0061】
次にステップSP102においてCPU22は、メモリ装置3から所望の期待値データ201を読み出すための読み出しコマンドを、コマンドバッファ27にセットする。当該読み出しコマンドは、コマンドバッファ27からメモリインタフェース14を介してメモリ装置3に送信される。ホストインタフェース41は、ホスト装置2から受信した当該読み出しコマンドを、デコーダ42に入力する。デコーダ42は、入力された当該読み出しコマンドをデコードすることにより、所望の期待値データ201の読み出しアドレスをメモリコアインタフェース43に入力する。当該読み出しアドレスはメモリコアインタフェース43からメモリコア32に入力され、これによって、所望の期待値データ201がメモリコア32から読み出される。本実施の形態の例では、真贋判定の処理内容が「期間P12,P13を対象とする電流値パターン同士の比較処理」に設定されているため、各期間P12,P13に関する基準電流値パターンと、それぞれに対応する所定の許容誤差値を示すデータとが、所望の期待値データ201としてメモリコア32から読み出される。許容誤差値は、各期間P12,P13に関する基準電流値パターンにおける電流値の分布態様等に応じて、プラスマイナス数%からプラスマイナス10数%の範囲内で最適な値が予め設定されている。読み出された期待値データ201は、暗号化された状態で、メモリコアインタフェース43及びホストインタフェース41を介してホスト装置2に送信される。メモリインタフェース14は、メモリ装置3から受信した期待値データ201を、データバッファ28を介して復号器23に入力する。復号器23は、暗号化されている期待値データ201を復号化する。復号化された期待値データ201は、期待値格納メモリ24に格納される。本実施の形態の例では、各期間P12,P13に関する基準電流値パターンと、それぞれに対応する所定の許容誤差値を示すデータとが、期待値格納メモリ24に格納される。
【0062】
次にステップSP103においてCPU22は、ADC26を駆動する。また、CPU22は期間P12において、メモリ装置3から所望のコンテンツデータを読み出すための読み出しコマンドを、コマンドバッファ27にセットする。当該読み出しコマンドは、コマンドバッファ27からメモリインタフェース14を介してメモリ装置3に送信される。ホストインタフェース41は、ホスト装置2から受信した当該読み出しコマンドを、デコーダ42に入力する。デコーダ42は、入力された当該読み出しコマンドをデコードすることにより、所望の期待値データ201の読み出しアドレスをメモリコアインタフェース43に入力する。期間P12においては、電源VCC1から電源制御部12及び抵抗素子Rを介して、メモリコントローラ31に電源が供給される。電源VCC1からメモリコントローラ31へ電源が供給されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路13は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数(例えば1MHz〜数MHz)でサンプリングすることによって、電源VCC1からメモリコントローラ31へ流れる電流の電流値を実測する。期間P12に関する実測電流値は、図示しないプリアンプによって増幅された後、ADC26によってAD変換され、その後、電流値取得部52によってCPU22に順次入力される。なお、ADC26によるAD変換よりも前にプリアンプによって実測電流値を増幅する上記の構成に代えて、ADC26によるAD変換よりも後に乗算器によって実測電流値を増幅する構成を採用しても良い(以下同様)。
【0063】
また、期間P12に引き続き、期間P13において、メモリコアインタフェース43からメモリコア32に読み出しアドレスが入力されることによって、メモリコア32に対するメモリアクセスが実行される。期間P13においては、電源VCC1から電源制御部12及び抵抗素子Rを介して、メモリコア32に電源が供給される。電源VCC1からメモリコア32へ電源が供給されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路13は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数でサンプリングすることによって、電源VCC1からメモリコア32へ流れる電流の電流値を実測する。期間P13に関する実測電流値は、図示しないプリアンプによって増幅された後、ADC26によってAD変換され、その後、電流値取得部52によってCPU22に順次入力される。
【0064】
次にステップSP104においてCPU22(パターン作成部53)は、電流値取得部52によって順次取得された複数の実測電流値を時系列順に配列することによって、期間P12に関するメモリコントローラ31の実測電流値パターンと、期間P13に関するメモリコア32の実測電流値パターンとを作成する。
【0065】
次にステップSP105においてCPU22(パターン比較部54)は、期間P12,P13の各々に関して、基準電流値パターンと許容誤差値を示すデータとを期待値格納メモリ24から読み出して取得する。
【0066】
次にステップSP106においてCPU22(パターン比較部54)は、期間P12,P13の各々に関して、パターン作成部53によって作成された実測電流値パターンと、期待値格納メモリ24から読み出した基準電流値パターンとを比較する。
【0067】
図7は、期間P12に関して、実測電流値パターン及び基準電流値パターンの一例を示す図である。電流値測定回路13のサンプリング周波数が1MHz〜数MHzであり、期間P12の長さが数m秒〜数十m秒である場合には、実際には実測電流値パターン及び基準電流値パターンはそれぞれ数十万個〜数百万個の実測電流値及び基準電流値によって構成される。しかし
図7では説明の簡単化のため、実測電流値パターンIP01及び基準電流値パターンIP02がそれぞれ7個の実測電流値X01〜X07及び基準電流値Y01〜Y07によって構成された例を示している。パターン比較部54は、それぞれ対応する実測電流値X01〜X07と基準電流値Y01〜Y07との差が、期待値格納メモリ24から読み出した許容誤差値以下であるか否かを比較する。
【0068】
次にステップSP107においてCPU22(真贋判定部50)は、期間P12,P13の各々に関して、実測電流値Xと基準電流値Yとの差の全てが許容誤差値以下であるか否かを判定する。そして真贋判定部50は、期間P12,P13の双方に関して、実測電流値Xと基準電流値Yとの差の全てが許容誤差値以下である場合(つまり完全一致する場合)には、ホスト装置2に接続されているメモリ装置3は正規品であると判定して、真贋判定処理を終了する。
図7に示した例では、実測電流値Xと基準電流値Yとは完全一致している。
【0069】
一方、期間P12,P13の各々に関して、少なくとも一つの差が許容誤差値を超える場合(つまり完全一致しない場合)には、真贋判定部50は、ホスト装置2に接続されているメモリ装置3は非正規品であると判定して、非正規品であるメモリ装置3を排除するための処理を開始する。例えば、電源制御部12に電源供給を停止させるための制御コマンドをGPIO25にセットすることにより、電源VCC1からメモリ装置3への電源供給を停止する。
【0070】
図8は、実測電流値パターンの他の例を示す図である。実測電流値パターンIP01Aを構成する7個の実測電流値の最大値、最小値、及び平均値は、基準電流値パターンIP02のそれらに一致している。しかし、実測電流値パターンIP01Aの各実測電流値が基準電流値パターンIP02の各基準電流値と完全一致しないため、メモリ装置3は非正規品と判定される。また、実測電流値パターンIP01Bにおいて互いに隣接する実測電流値間の変化率は、基準電流値パターンIP02のそれらに一致している。しかし、実測電流値パターンIP01Bの各実測電流値が基準電流値パターンIP02の各基準電流値と完全一致しないため、メモリ装置3は非正規品と判定される。
【0071】
なお、以上の説明では、実測電流値Xと基準電流値Yとの差を求める演算、及び、各電流値の差が許容誤差値以下であるか否かの演算を、CPU22のソフトウェア処理によって実行する例について述べた。しかし、電流値測定回路13の膨大なサンプリング数に起因してCPU22の処理負荷が増大することを回避すべく、これらの演算は、専用の演算器を用いたハードウェア処理によって実行しても良い。
【0072】
図9は、ホスト装置2の他の構成例を示す図である。SoC11に演算器60が実装されている。実測電流値Xと基準電流値Yとの差を求める演算、及び、各電流値の差が許容誤差値以下であるか否かの演算は、演算器60によって実行され、それらの演算の結果が演算器60からCPU22に入力される。
【0073】
このように本実施の形態に係るホスト装置2(情報処理装置)によれば、真贋判定部50は、メモリコントローラ31(第1の処理回路)が動作する第1の期間P12において電流値測定回路13(電流測定部)によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の期間P12に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、メモリコア32(第2の処理回路)が動作する第2の期間P13において電流値測定回路13によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の期間P13に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、メモリ装置3(被判定装置)が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、真贋判定部50によってメモリ装置3の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なるメモリコントローラ31及びメモリコア32の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、真贋判定部50によってメモリ装置3の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態に係るホスト装置2によれば、真贋判定部50は、実測電流値パターンと基準電流値パターンとの比較結果に基づいて、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。非正規品は粗悪品であることが多いため、非正規品の消費電流の絶対値は正規品のそれより大きい場合が多い。本実施の形態に係るホスト装置2によれば、真贋判定部50は、消費電流の変化率パターンではなく実測電流値パターンと基準電流値パターンとを比較するため、たとえ正規品と非正規品とで消費電流の変化率パターンが近似している場合であっても、メモリ装置3の真贋判定を高精度に実行することが可能となる。
【0075】
また、本実施の形態に係るホスト装置2によれば、真贋判定部50は、全ての実測電流値が、対応する基準電流値と一致しているか否かによって、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、非正規品(又は正規品)の実測電流値パターンの一部のみが正規品(又は非正規品)の基準電流値パターンと異なる場合であっても、メモリ装置3の真贋判定を高精度に実行することが可能となる。
【0076】
また、本実施の形態に係るホスト装置2によれば、期間設定部51は、第1及び第2の判定対象期間を可変に設定する。従って、メモリ装置3の真贋判定を実行する対象となる第1及び第2の判定対象期間を期間設定部51によって静的又は動的に変更できるため、第三者による判定アルゴリズムの解析をより困難化することが可能となる。
【0077】
また、本実施の形態に係るホスト装置2によれば、期待値データ201は、メモリ装置3のメモリコア32に記憶されている。メモリ装置3の期待値データ201は、デバイスの構造や製造プロセス等に依存するため、デバイス毎に異なる。従って、あるメモリ装置3に関して求めた期待値データ201を、そのメモリ装置3のメモリコア32に記憶しておくことにより、デバイス毎に異なる期待値データ201を簡易に管理することが可能となる。
【0078】
以下、上記実施の形態1に対する様々な変形例について説明する。以下に述べる変形例は、変形例同士を任意に組み合わせて適用することが可能であり、また、後述する実施の形態2〜4と任意に組み合わせて適用することが可能である。
【0079】
<変形例1>
上記実施の形態1では、真贋判定部50は、各期間P12,P13に関する全ての実測電流値Xが、対応する基準電流値Yと完全一致している場合に、メモリ装置3が正規品であると判定した。
【0080】
これに対して本変形例に係る真贋判定部50は、期間P12,P13の双方において、全ての実測電流値Xのうち、対応する基準電流値Yと一致する実測電流値Xの割合が第1のしきい値以上である場合に、メモリ装置3が正規品であると判定し、一方、期間P12,P13の少なくとも一方において、当該割合が第1のしきい値未満である場合に、メモリ装置3が非正規品であると判定する。第1のしきい値は、要求される判定精度等に応じて最適値がステップSP101において併せて設定され、少なくとも51%以上の値に設定される。
【0081】
本変形例に係るホスト装置2によれば、真贋判定部50は、各期間P12,P13に関する全ての実測電流値Xのうち、対応する基準電流値Yと一致する実測電流値Xの割合が第1のしきい値以上であるか否かによって、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って例えば、突発的なノイズ等に起因して正規品の実測電流値Xが瞬間的に増減した場合であっても、正規品が誤って非正規品と判定される事態を回避することが可能となる。
【0082】
<変形例2>
上記実施の形態1では、各期間P12,P13において、パターン作成部53は実測電流値パターンを一回だけ作成し、パターン比較部54は実測電流値パターンと基準電流値パターンとを一回だけ比較し、真贋判定部50はパターン比較部54による一回だけの比較結果に基づいてメモリ装置3の真贋判定を行った。
【0083】
これに対して本変形例に係る真贋判定部50は、パターン比較部54による複数回の比較結果に基づいてメモリ装置3の真贋判定を行う。
【0084】
図10は、ホスト装置2によるメモリ装置3の真贋判定処理の流れを示すフローチャートである。ステップSP106に引き続き、ステップSP201において真贋判定部50は、パターン比較部54による実測電流値パターンと基準電流値パターンとの比較処理が、各期間P12,P13に関して所定のN回(Nは複数)実行されたか否かを判定する。
【0085】
各期間P12,P13に関してN回の比較処理が実行されていない場合には、CPU22は、ステップSP103〜SP106の処理を再度実行する。一方、各期間P12,P13に関してN回の比較処理が実行された場合には、CPU22は、ステップSP107の処理に移行する。
【0086】
ステップSP107において真贋判定部50は、期間P12,P13の双方において、パターン比較部54によるN回の比較処理のうち、実測電流値パターンが基準電流値パターンに一致していると判定された割合が第2のしきい値以上である場合に、メモリ装置3が正規品であると判定し、一方、期間P12,P13の少なくとも一方において、当該割合が第2のしきい値未満である場合に、メモリ装置3が非正規品であると判定する。所定回数Nの値は、要求される判定精度等に応じて最適値がステップSP101において併せて設定される。また、第2のしきい値は、要求される判定精度等に応じて最適値がステップSP101において併せて設定され、少なくとも51%以上の値に設定される。
【0087】
本変形例に係るホスト装置2によれば、真贋判定部50は、パターン作成部53による実測電流値パターンの作成処理、及び、パターン比較部54による実測電流値パターンと基準電流値パターンとの比較処理を、各期間P12,P13に関して複数N回実行する。そして、パターン比較部54によるN回の比較処理のうち、実測電流値パターンが基準電流値パターンに一致していると判定された割合が第2のしきい値以上であるか否かによって、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。このように、パターン作成部53及びパターン比較部54による一連の処理を各期間P12,P13に関して複数N回繰り返して実行し、パターン比較部54によるN回の比較結果に基づいてメモリ装置3の真贋判定を行うことにより、判定精度を向上することが可能となる。
【0088】
<変形例3>
上記実施の形態1では、真贋判定部50は、各期間P12,13に関して、実測電流値パターンと基準電流値パターンとの比較結果に基づいて、メモリ装置3の真贋判定を行った。
【0089】
これに対して本変形例に係る真贋判定部50は、各期間P12,P13に関して、実測電流値パターンと基準電流値パターンとの比較結果に代えて、実測代表値と基準代表値との比較結果に基づいて、メモリ装置3の真贋判定を行う。上記実施の形態1で説明した通り、期間P12,P13の各々に関する消費電流値の最大値、最小値、及び平均値(基準代表値)が、期待値データ201の一部としてメモリコア32に格納されている。
【0090】
図11は、
図2に示したプログラム101をCPU22が実行することによって実現される機能を示す図である。
図11に示すように真贋判定部50は、期間設定部51、電流値取得部52、代表値算出部55、及び代表値比較部56として機能する。
【0091】
本変形例に係る真贋判定部50は、メモリコントローラ31が単独で動作する期間P12において電流値測定回路13によって測定された第1の実測代表値と、期間P12に関して予め求められた第1の基準代表値とを比較する。また、真贋判定部50は、メモリコア32が単独で動作する期間P13において電流値測定回路13によって測定された第2の実測代表値と、当該期間P13に関して予め求められた第2の基準代表値とを比較する。そして、真贋判定部50は、これらの比較結果に基づいて、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。
【0092】
図12は、メモリ装置3の消費電流特性の一例を示す図である。上記実施の形態1と同様に、ステップSP101において期間設定部51は、期間P12,P13を判定対象期間として設定する。また、ステップSP101において期間設定部51は、「最大値、最小値、及び平均値同士の比較処理」を、各期間P12,P13において実行する真贋判定の処理内容として設定する。
【0093】
図13は、ホスト装置2によるメモリ装置3の真贋判定処理の流れを示すフローチャートである。ステップSP102では、各期間P12,P13に関する基準代表値(基準最大値、基準最小値、及び基準平均値)と、それらに対応する所定の許容誤差値を示すデータとが、所望の期待値データ201としてメモリコア32から読み出される。これらの情報は、メモリ装置3からホスト装置2に送信され、復号器23によって復号化された後、期待値格納メモリ24に格納される。
【0094】
ステップSP301において代表値算出部55は、各期間P12,P13に関して、電流値取得部52によって取得された実測電流値Xに基づいて、実測最大値、実測最小値、及び実測平均値を求める。
【0095】
ステップSP302において代表値比較部56は、各期間P12,P13に関する基準代表値を、期待値格納メモリ24から取得する。
【0096】
ステップSP303において代表値比較部56は、各期間P12,P13に関して、実測最大値と基準最大値との差が許容誤差値以下であるか否か、実測最小値と基準最小値との差が許容誤差値以下であるか否か、及び、実測平均値と基準平均値との差が許容誤差値以下であるか否か、を判定する。
【0097】
真贋判定部50は、期間P12,P13の双方に関して、上記3つの代表値の差がいずれも許容誤差値以下である場合に、メモリ装置3が正規品であると判定する。一方、期間P12,P13の少なくとも一方に関して、いずれかの代表値の差が許容誤差値を超える場合に、メモリ装置3が非正規品であると判定する。
【0098】
なお、実測代表値を求める演算、実測代表値と基準代表値との差を求める演算、及び、実測代表値と基準代表値との差が許容誤差値以下であるか否かの演算は、
図9に示した演算器60によって実行しても良い。また、3つの実測代表値(最大値、最小値、及び平均値)の全てを使用するのではなく、一部の実測代表値を使用しても良い。
【0099】
このように本変形例に係るホスト装置2によれば、真贋判定部50は、各期間P12,P13に関して、代表値比較部56による実測代表値と基準代表値との比較結果に基づいて、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。このように、実測電流値パターンと基準電流値パターンとの比較に代えて、実測代表値と基準代表値との比較を行うことにより、実測電流値パターンを作成する必要がなく、また、基準電流値パターンを保持しておく必要もないため、メモリ装置3の真贋判定を簡易に実行することが可能となる。
【0100】
また、本変形例に係るホスト装置2によれば、代表値算出部55は、実測代表値として、平均値、最大値、及び最小値の少なくとも一つを算出する。このように、平均値、最大値、及び最小値の少なくとも一つを実測代表値として使用することにより、実測代表値を簡易に算出することが可能となる。
【0101】
<実施の形態2>
本実施の形態では、ホスト装置2の真贋判定をメモリ装置3が実行する態様、つまり、メモリ装置3等の第2の情報処理装置が判定装置であり、ホスト装置2等の第1の情報処理装置が被判定装置である態様について説明する。
【0102】
図14は、ホスト装置2の構成を簡略化して示す図である。
図14に示すようにホスト装置2は、機能が互いに異なるSoC11とメモリインタフェース12とを備えて構成されている。SoC11には、不揮発性の記憶部15が接続されている。記憶部15には、期待値データ202が格納されている。
【0103】
SoC11は、バス21を介して相互に接続された、CPU22、コマンドバッファ27、及びデータバッファ28を備えて構成されている。SoC11及びメモリインタフェース14には、電源VCC2(電源供給部)から抵抗素子Rを介して駆動電源が供給される。
【0104】
図15は、メモリ装置3の構成を簡略化して示す図である。
図15に示すようにメモリ装置3は、メモリコントローラ31、メモリコア32、電流値測定回路33、及び認証制御回路34を備えて構成されている。メモリコントローラ31は、ホストインタフェース41、デコーダ42、及びメモリコアインタフェース43を備えて構成されている。電流値測定回路33は、ホスト装置2の抵抗素子Rの両端電圧を測定することにより、電源VCC2からSoC211及びメモリインタフェース14に流れる電流の電流値を測定する。
【0105】
図16は、認証制御回路34の構成を示す図である。
図16の接続関係で示すように、認証制御回路34は、バス71を介して相互に接続された、CPU72、復号器73、期待値格納メモリ74、GPIO75、電源制御部76、ADC77、及び、ROM又はRAM等の記憶部78を備えて構成されている。記憶部78には、プログラム102が格納されている。
【0106】
記憶部78から読み出したプログラム102をCPU72が実行することによって、
図4に示すようにCPU72は、ホスト装置2が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定部50として機能する。換言すれば、プログラム102は、第2の情報処理装置としてのメモリ装置3に搭載されるコンピュータを、真贋判定部50として機能させるためのプログラムである。
【0107】
本実施の形態に係る真贋判定部50は、SoC11が単独で動作する第1の判定対象期間において電流値測定回路33によって測定された第1の実測電流値パターンと、当該第1の判定対象期間に関して予め求められた第1の基準電流値パターンとを比較する。また、真贋判定部50は、メモリインタフェース14が単独で動作する第2の判定対象期間において電流値測定回路33によって測定された第2の実測電流値パターンと、当該第2の判定対象期間に関して予め求められた第2の基準電流値パターンとを比較する。そして、真贋判定部50は、これらの比較結果に基づいて、ホスト装置2が正規品であるか非正規品であるかを判定する。
【0108】
図6を参照して、メモリ装置3がホスト装置2に接続されると、まずステップSP101においてCPU72(期間設定部51)は、真贋判定の実行対象となる複数の判定対象期間を設定する。本実施の形態の例では、SoC11が単独で動作している期間が第1の判定対象期間として設定され、メモリインタフェース14が単独で動作している期間が第2の判定対象期間として設定される。また、期間設定部51は、第1及び第2の判定対象期間に対してそれぞれ実行する真贋判定の処理内容を設定する。本実施の形態の例では、第1及び第2の判定対象期間の双方に対して、「電流値パターン同士の比較処理」が真贋判定の処理内容として設定される。
【0109】
次にステップSP102においてCPU72は、所望の期待値データ202を記憶部15から読み出し、その期待値データ202を期待値格納メモリ74に格納する。本実施の形態の例では、真贋判定の処理内容が「第1及び第2の判定対象期間を対象とする電流値パターン同士の比較処理」に設定されているため、第1及び第2の判定対象期間に関する基準電流値パターンと、それぞれに対応する所定の許容誤差値を示すデータとが、所望の期待値データ202として記憶部15から読み出され、期待値格納メモリ74に格納される。
【0110】
次にステップSP103においてCPU72は、ADC77を駆動するとともに、第1の判定対象期間においてSoC11を単独で動作させる。第1の判定対象期間においては、電源VCC2から抵抗素子Rを介してSoC11に電源が供給される。電源VCC2からSoC11へ電源が供給されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路33は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数でサンプリングすることによって、電源VCC2からSoC11へ流れる電流の電流値を実測する。
【0111】
また、CPU72は、第2の判定対象期間においてメモリインタフェース14を単独で動作させる。第2の判定対象期間においては、電源VCC2から抵抗素子Rを介してメモリインタフェース14に電源が供給される。電源VCC2からメモリインタフェース14へ電源が供給されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路33は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数でサンプリングすることによって、電源VCC2からメモリインタフェース14へ流れる電流の電流値を実測する。
【0112】
次にステップSP104においてCPU72(パターン作成部53)は、電流値取得部52によって順次取得された複数の実測電流値を時系列順に配列することによって、第1の判定対象期間に関するSoC11の実測電流値パターンと、第2の判定対象期間に関するメモリインタフェース14の実測電流値パターンとを作成する。
【0113】
次にステップSP105においてCPU72(パターン比較部54)は、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、基準電流値パターンと許容誤差値を示すデータとを期待値格納メモリ74から読み出して取得する。
【0114】
次にステップSP106においてCPU72(パターン比較部54)は、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、パターン作成部53によって作成された実測電流値パターンと、期待値格納メモリ74から読み出した基準電流値パターンとを比較する。
【0115】
次にステップSP107においてCPU72(真贋判定部50)は、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、実測電流値Xと基準電流値Yとの差の全てが許容誤差値以下であるか否かを判定する。そして真贋判定部50は、第1及び第2の判定対象期間の双方に関して、実測電流値Xと基準電流値Yとの差の全てが許容誤差値以下である場合(つまり完全一致する場合)には、ホスト装置2は正規品であると判定して、真贋判定処理を終了する。
【0116】
一方、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、少なくとも一つの差が許容誤差値を超える場合(つまり完全一致しない場合)には、真贋判定部50は、ホスト装置2は非正規品であると判定して、メモリシステム1の動作を停止するための処理を開始する。例えば、電源制御部76に電源供給を停止させるための制御コマンドをGPIO75にセットすることにより、メモリコントローラ31への電源供給を停止する。
【0117】
このように本実施の形態に係るメモリ装置3(情報処理装置)によれば、真贋判定部50は、SoC11(第1の処理回路)が動作する第1の判定対象期間において電流値測定回路33(電流測定部)によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の判定対象期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、メモリインタフェース14(第2の処理回路)が動作する第2の判定対象期間において電流値測定回路33によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の判定対象期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、ホスト装置2(被判定装置)が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、真贋判定部50によってホスト装置2の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なるSoC11及びメモリインタフェース14の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、真贋判定部50によってホスト装置2の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【0118】
<実施の形態3>
本実施の形態では、ホスト装置2の真贋判定をホスト装置2自身が実行する態様、つまり、ホスト装置2等の第1の情報処理装置が判定装置かつ被判定装置である態様について説明する。
【0119】
図17は、ホスト装置2の構成を簡略化して示す図である。
図17に示すようにホスト装置2は、SoC11、電源制御部12、電流値測定回路16、メモリインタフェース14、及び不揮発性の記憶部15を備えて構成されている。記憶部15には、期待値データ203が格納されている。
【0120】
SoC11は、バス21を介して相互に接続された、CPU22、復号器23、期待値格納メモリ24、GPIO25、ADC26、コマンドバッファ27、データバッファ28、及び、ROM又はRAM等の記憶部29を備えて構成されている。記憶部29には、プログラム103が格納されている。SoC11及びメモリインタフェース14には、電源VCC3(電源供給部)から抵抗素子Rを介して駆動電源が供給される。電流値測定回路16は、抵抗素子Rの両端電圧を測定することにより、電源VCC3からSoC211及びメモリインタフェース14に流れる電流の電流値を測定する。
【0121】
記憶部29から読み出したプログラム103をCPU22が実行することによって、
図4に示すようにCPU22は、ホスト装置2が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定部50として機能する。換言すれば、プログラム103は、第1の情報処理装置としてのホスト装置2に搭載されるコンピュータを、真贋判定部50として機能させるためのプログラムである。
【0122】
本実施の形態に係る真贋判定部50は、SoC11が単独で動作する第1の判定対象期間において電流値測定回路16によって測定された第1の実測電流値パターンと、当該第1の判定対象期間に関して予め求められた第1の基準電流値パターンとを比較する。また、真贋判定部50は、メモリインタフェース14が単独で動作する第2の判定対象期間において電流値測定回路16によって測定された第2の実測電流値パターンと、当該第2の判定対象期間に関して予め求められた第2の基準電流値パターンとを比較する。そして、真贋判定部50は、これらの比較結果に基づいて、ホスト装置2が正規品であるか非正規品であるかを判定する。
【0123】
図6を参照して、メモリ装置3がホスト装置2に接続されると、まずステップSP101においてCPU22(期間設定部51)は、真贋判定の実行対象となる複数の判定対象期間を設定する。本実施の形態の例では、SoC11が単独で動作している期間が第1の判定対象期間として設定され、メモリインタフェース14が単独で動作している期間が第2の判定対象期間として設定される。また、期間設定部51は、第1及び第2の判定対象期間に対してそれぞれ実行する真贋判定の処理内容を設定する。本実施の形態の例では、第1及び第2の判定対象期間の双方に対して、「電流値パターン同士の比較処理」が真贋判定の処理内容として設定される。
【0124】
次にステップSP102においてCPU22は、所望の期待値データ203を記憶部15から読み出し、その期待値データ202を期待値格納メモリ24に格納する。本実施の形態の例では、真贋判定の処理内容が「第1及び第2の判定対象期間を対象とする電流値パターン同士の比較処理」に設定されているため、第1及び第2の判定対象期間に関する基準電流値パターンと、それぞれに対応する所定の許容誤差値を示すデータとが、所望の期待値データ203として記憶部15から読み出され、期待値格納メモリ24に格納される。
【0125】
次にステップSP103においてCPU22は、ADC26を駆動するとともに、第1の判定対象期間においてSoC11を単独で動作させる。第1の判定対象期間においては、電源VCC3から抵抗素子Rを介してSoC11に電源が供給される。電源VCC3からSoC11へ電源が供給されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路16は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数でサンプリングすることによって、電源VCC3からSoC11へ流れる電流の電流値を実測する。
【0126】
また、CPU22は、第2の判定対象期間においてメモリインタフェース14を単独で動作させる。第2の判定対象期間においては、電源VCC3から抵抗素子Rを介してメモリインタフェース14に電源が供給される。電源VCC3からメモリインタフェース14へ電源が供給されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路16は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数でサンプリングすることによって、電源VCC3からメモリインタフェース14へ流れる電流の電流値を実測する。
【0127】
次にステップSP104においてCPU22(パターン作成部53)は、電流値取得部52によって順次取得された複数の実測電流値を時系列順に配列することによって、第1の判定対象期間に関するSoC11の実測電流値パターンと、第2の判定対象期間に関するメモリインタフェース14の実測電流値パターンとを作成する。
【0128】
次にステップSP105においてCPU22(パターン比較部54)は、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、基準電流値パターンと許容誤差値を示すデータとを期待値格納メモリ24から読み出して取得する。
【0129】
次にステップSP106においてCPU22(パターン比較部54)は、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、パターン作成部53によって作成された実測電流値パターンと、期待値格納メモリ24から読み出した基準電流値パターンとを比較する。
【0130】
次にステップSP107においてCPU22(真贋判定部50)は、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、実測電流値Xと基準電流値Yとの差の全てが許容誤差値以下であるか否かを判定する。そして真贋判定部50は、第1及び第2の判定対象期間の双方に関して、実測電流値Xと基準電流値Yとの差の全てが許容誤差値以下である場合(つまり完全一致する場合)には、ホスト装置2は正規品であると判定して、真贋判定処理を終了する。
【0131】
一方、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、少なくとも一つの差が許容誤差値を超える場合(つまり完全一致しない場合)には、真贋判定部50は、ホスト装置2は非正規品であると判定して、メモリシステム1の動作を停止するための処理を開始する。例えば、電源制御部12に電源供給を停止させるための制御コマンドをGPIO25にセットすることにより、メモリ装置3への電源供給を停止する。
【0132】
このように本実施の形態に係るホスト装置2(情報処理装置)によれば、真贋判定部50は、SoC11(第1の処理回路)が動作する第1の判定対象期間において電流値測定回路16(電流測定部)によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の判定対象期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、メモリインタフェース14(第2の処理回路)が動作する第2の判定対象期間において電流値測定回路16によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の判定対象期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、ホスト装置2(被判定装置)が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、真贋判定部50によってホスト装置2の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なるSoC11及びメモリインタフェース14の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、真贋判定部50によってホスト装置2の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。
【0133】
<実施の形態4>
本実施の形態では、メモリ装置3の真贋判定をメモリ装置3自身が実行する態様、つまり、メモリ装置3等の第2の情報処理装置が判定装置かつ被判定装置である態様について説明する。
【0134】
図18は、メモリ装置3の構成を簡略化して示す図である。
図18に示すようにメモリ装置3は、メモリコントローラ31、メモリコア32、電流値測定回路33、及び認証制御回路34を備えて構成されている。メモリコントローラ31及びメモリコア32には、電源VCC4(電源供給部)から抵抗素子Rを介して駆動電源が供給される。電流値測定回路33は、抵抗素子Rの両端電圧を測定することにより、電源VCC4からメモリコントローラ31及びメモリコア32に流れる電流の電流値を測定する。メモリコア32には、期待値データ204が格納されている。
【0135】
図19は、認証制御回路34の構成を示す図である。
図19の接続関係で示すように、認証制御回路34は、バス71を介して相互に接続された、CPU72、復号器73、期待値格納メモリ74、GPIO75、電源制御部76、ADC77、及び、ROM又はRAM等の記憶部78を備えて構成されている。記憶部78には、プログラム104が格納されている。
【0136】
記憶部78から読み出したプログラム104をCPU72が実行することによって、
図4に示すようにCPU72は、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する真贋判定部50として機能する。換言すれば、プログラム104は、第2の情報処理装置としてのメモリ装置3に搭載されるコンピュータを、真贋判定部50として機能させるためのプログラムである。
【0137】
本実施の形態に係る真贋判定部50は、メモリコントローラ31が単独で動作する第1の判定対象期間において電流値測定回路33によって測定された第1の実測電流値パターンと、当該第1の判定対象期間に関して予め求められた第1の基準電流値パターンとを比較する。また、真贋判定部50は、メモリコア32が単独で動作する第2の判定対象期間において電流値測定回路33によって測定された第2の実測電流値パターンと、当該第2の判定対象期間に関して予め求められた第2の基準電流値パターンとを比較する。そして、真贋判定部50は、これらの比較結果に基づいて、メモリ装置3が正規品であるか非正規品であるかを判定する。
【0138】
図6を参照して、メモリ装置3がホスト装置2に接続されると、まずステップSP101においてCPU72(期間設定部51)は、真贋判定の実行対象となる複数の判定対象期間を設定する。本実施の形態の例では、メモリコントローラ31が単独で動作している期間が第1の判定対象期間として設定され、メモリコア32が単独で動作している期間が第2の判定対象期間として設定される。また、期間設定部51は、第1及び第2の判定対象期間に対してそれぞれ実行する真贋判定の処理内容を設定する。本実施の形態の例では、第1及び第2の判定対象期間の双方に対して、「電流値パターン同士の比較処理」が真贋判定の処理内容として設定される。
【0139】
次にステップSP102においてCPU72は、所望の期待値データ204をメモリコア32から読み出し、その期待値データ204を期待値格納メモリ74に格納する。本実施の形態の例では、真贋判定の処理内容が「第1及び第2の判定対象期間を対象とする電流値パターン同士の比較処理」に設定されているため、第1及び第2の判定対象期間に関する基準電流値パターンと、それぞれに対応する所定の許容誤差値を示すデータとが、所望の期待値データ204としてメモリコア32から読み出され、期待値格納メモリ74に格納される。
【0140】
次にステップSP103においてCPU72は、ADC77を駆動するとともに、第1の判定対象期間においてメモリコントローラ31を単独で動作させる。第1の判定対象期間においては、電源VCC4から抵抗素子Rを介してメモリコントローラ31に電源が供給される。電源VCC4からメモリコントローラ31へ電源が供給されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路33は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数でサンプリングすることによって、電源VCC4からメモリコントローラ31へ流れる電流の電流値を実測する。
【0141】
また、CPU72は、第2の判定対象期間においてメモリコア32を単独で動作させる。第2の判定対象期間においては、電源VCC4から抵抗素子Rを介してメモリコア32に電源が供給される。電源VCC4からメモリコア32へ電源が供給されたことにより、抵抗素子Rに電流が流れる。電流値測定回路33は、抵抗素子Rの両端電圧を所定のサンプリング周波数でサンプリングすることによって、電源VCC4からメモリコア32へ流れる電流の電流値を実測する。
【0142】
次にステップSP104においてCPU72(パターン作成部53)は、電流値取得部52によって順次取得された複数の実測電流値を時系列順に配列することによって、第1の判定対象期間に関するメモリコントローラ31の実測電流値パターンと、第2の判定対象期間に関するメモリコア32の実測電流値パターンとを作成する。
【0143】
次にステップSP105においてCPU72(パターン比較部54)は、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、基準電流値パターンと許容誤差値を示すデータとを期待値格納メモリ74から読み出して取得する。
【0144】
次にステップSP106においてCPU72(パターン比較部54)は、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、パターン作成部53によって作成された実測電流値パターンと、期待値格納メモリ74から読み出した基準電流値パターンとを比較する。
【0145】
次にステップSP107においてCPU72(真贋判定部50)は、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、実測電流値Xと基準電流値Yとの差の全てが許容誤差値以下であるか否かを判定する。そして真贋判定部50は、第1及び第2の判定対象期間の双方に関して、実測電流値Xと基準電流値Yとの差の全てが許容誤差値以下である場合(つまり完全一致する場合)には、メモリ装置3は正規品であると判定して、真贋判定処理を終了する。
【0146】
一方、第1及び第2の判定対象期間の各々に関して、少なくとも一つの差が許容誤差値を超える場合(つまり完全一致しない場合)には、真贋判定部50は、メモリ装置3は非正規品であると判定して、メモリシステム1の動作を停止するための処理を開始する。例えば、電源制御部76に電源供給を停止させるための制御コマンドをGPIO75にセットすることにより、メモリコントローラ31への電源供給を停止する。
【0147】
このように本実施の形態に係るメモリ装置3(情報処理装置)によれば、真贋判定部50は、メモリコントローラ31(第1の処理回路)が動作する第1の判定対象期間において電流値測定回路33(電流測定部)によって測定された第1の実測電流値と、当該第1の判定対象期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第1の基準電流値との第1の比較結果と、メモリコア32(第2の処理回路)が動作する第2の判定対象期間において電流値測定回路33によって測定された第2の実測電流値と、当該第2の判定対象期間に関して正規品又は非正規品を対象として予め求められた第2の基準電流値との第2の比較結果と、に基づいて、メモリ装置3(被判定装置)が正規品であるか非正規品であるかを判定する。従って、正規品の全てのファンクションを完全にコピーした非正規品が製造された場合であっても、デバイス構造や製造プロセスの相違等に起因して正規品と非正規品とでは消費電力特性が相違するため、非正規品(又は正規品)の実測電流値は正規品(又は非正規品)の基準電流値に一致しない。従って、真贋判定部50によってメモリ装置3の真贋判定を容易に実行することが可能となる。しかも、機能が異なるメモリコントローラ31及びメモリコア32の双方の消費電流特性に基づいて真贋判定を行うため、真贋判定部50によってメモリ装置3の真贋判定をより高精度に実行することが可能となる。