【解決手段】金属製の箱状本体(20)と入力操作可能な操作表示部を有し箱状本体の開口を閉鎖するように取り付けられる金属製の前面パネル(10)とからなる筐体を備え、前面パネルには開口部が形成されるとともに開口部に対応して情報表示部を備えた樹脂製パネル(30)が前面パネルの裏面に装着され、樹脂製パネルの裏面に操作表示部を制御する回路が設けられた操作表示基板(31)が装着されている防災監視システム用受信機において、操作表示基板は、樹脂製パネルの裏面に前記開口部の縁との間にスペースが生じるように配設し、制御基板には無線通信機能を有する通信用電子部品(28a)が実装し、樹脂製パネルの前記スペースに、通信用電子部品にケーブルを介して接続されたアンテナ基板(32)を配設した。
監視対象区域内に設置されている端末機器からの信号に応じてイベントの発生を検知可能な制御基板が内蔵された一面が開口した金属製の箱状本体と、検知されたイベントの発生およびイベントに対応した情報を表示可能であるとともに入力操作可能な操作表示部を有し前記箱状本体の開口を閉鎖するように取り付けられる金属製の前面パネルと、からなる筐体を備え、
前記前面パネルには開口部が形成され、
前記開口部に対応して情報表示部を備えた樹脂製パネルが前記前面パネルに装着され、
前記樹脂製パネルの裏面に、前記操作表示部を制御する回路が設けられた操作表示基板が装着されている防災監視システム用受信機であって、
前記操作表示基板は、前記樹脂製パネルの裏面に、前記開口部の縁との間にスペースが生じるように配設され、
前記制御基板には、無線通信機能を有する通信用電子部品が実装され、
前記樹脂製パネルの前記スペースに相当する部位に、前記通信用電子部品にケーブルを介して接続されたアンテナ基板が配設されていることを特徴とする防災監視システム用受信機。
前記アンテナ基板は電波を受信するためのパターンが形成された縦長のプリント配線基板であり、前記スペースは前記開口部の側縁に沿って所定範囲に亘り設けられ、該スペースに前記アンテナ基板が配設されていることを特徴とする請求項2に記載の防災監視システム用受信機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
火災受信機の筐体は、金属製の筐体を用いるのが一般的である。そのため、火災受信機に無線通信を持たせるべく無線通信モジュールを筐体に内蔵させた場合、筐体が電磁シールドとなって送受信電波の強度が低下してしまい、正確な情報の送受信が行えなくなるという問題点がある。
一方、特許文献1に記載されている通信システム(火災報知システム)にあっては、受信機の筐体に通信用接続部(コネクタ)を設けて、該コネクタに無線通信装置を接続するようにしているため、筐体による電波の強度の低下を回避して情報の送受信を行うことができる。しかし、特許文献1のシステムでは、無線による通信を行いたい場合には、その都度無線通信装置を接続しなければならず作業が煩わしい。また、常時無線通信装置を接続しておきたい場合には、専用の設置スペースを確保する必要があるという課題がある。
【0006】
本発明は上記のような背景の下になされたもので、その目的とするところは、無線通信の実施のたびに無線通信装置を接続したり受信機の近傍に無線通信装置の設置スペースを確保したりすることなく、受信機と外部の端末との間で無線通信による情報の送受信を行うことができる防災監視システム用受信機を提供することにある。
本発明の他の目的は、受信機から携帯端末へ無線通信によってイベントの発生を直接知らせることができる防災監視システム用受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本出願に係る発明は、
監視対象区域内に設置されている端末機器からの信号に応じてイベントの発生を検知可能な制御基板が内蔵された一面が開口した金属製の箱状本体と、検知されたイベントの発生およびイベントに対応した情報を表示可能であるとともに入力操作可能な操作表示部を有し前記箱状本体の開口を閉鎖するように取り付けられる金属製の前面パネルと、からなる筐体を備え、
前記前面パネルには開口部が形成され、
前記開口部に対応して情報表示部を備えた樹脂製パネルが前記前面パネルに装着され、
前記樹脂製パネルの裏面に、前記操作表示部を制御する回路が設けられた操作表示基板が装着されている防災監視システム用受信機において、
前記操作表示基板は、前記樹脂製パネルの裏面に、前記開口部の縁との間にスペースが生じるように配設され、
前記制御基板には、無線通信機能を有する通信用電子部品が実装され、
前記樹脂製パネルの前記スペースに相当する部位に、前記通信用電子部品にケーブルを介して接続されたアンテナ基板が配設されているように構成したものである。
【0008】
上記のような構成を有する受信機によれば、通信用電子部品(無線通信モジュール)に接続されたアンテナ基板の前方に金属製の前面パネルがないので、前面パネルが電磁シールドとなって電波強度を低下させることがないため、受信機の内部に無線通信装置が設けられていても受信機の外部の装置との間で無線通信を行うことができる。
また、受信機の内部に無線通信装置が設けられることになるので、無線通信の実施のたびに無線通信装置を接続したり受信機の近傍に無線通信装置の設置スペースを確保したりすることなく、受信機と外部の端末との間で無線通信による情報の送受信を行うことができる。さらに、受信機から携帯端末へ無線通信によってイベントの発生を直接知らせることができるようになる。
【0009】
ここで、望ましくは、前記前面パネルは、前記箱状本体の側部にヒンジにより開閉可能に取り付けられ、
前記スペースは、前記開口部の前記ヒンジに近い側の端縁と前記操作表示基板の端部との間に設けられ、
前記アンテナ基板は、前記樹脂製パネルの裏面に装着されているようにする。
かかる構成によれば、通信用電子部品(無線通信モジュール)がヒンジに近い部位に配設されることとなるので、受信機本体内部に配設されている通信用電子部品と前面パネルの裏面に配設されるアンテナ基板とを接続するケーブルの長さを短くすることができる。また、アンテナの配線箇所がヒンジ側(奥側の位置)に配置されているため、受信機の前面パネルを開いて結線作業や内部回路の機能確認等を行う際に、作業の妨げとならない。
【0010】
さらに、望ましくは、前記アンテナ基板は電波を受信するためのパターンが形成された縦長のプリント配線基板であり、前記スペースは前記開口部の側縁に沿って所定範囲に亘り設けられ、該スペースに前記アンテナ基板が配設されているようにする。
かかる構成によれば、縦長のアンテナ基板を配設するスペースを容易に確保することができる。
【0011】
さらに、望ましくは、電源装置が前記箱状本体の下部に配置され、
前記通信用電子部品は、前記制御基板の前面上部であって中心よりも前記ヒンジに近い側の位置に実装されているようにする。
上記のような構成を有する受信機によれば、通信用電子部品(無線通信モジュール)が電源装置から離れた位置に配設されることとなるので、電源装置が発する電磁ノイズの影響を通信用電子部品が受けにくくなり、良好な無線通信を行うことができる。
【0012】
また、望ましくは、前記操作表示基板は、前記樹脂製パネルの裏面に、前方視で前記開口部の上縁との間に隙間が生じるように配設され、
前記通信用電子部品は、無線通信モジュールおよびチップアンテナを同一の基板上に備え、前記チップアンテナが上になる姿勢でかつ前記チップアンテナが前記隙間の後方に位置するように前記制御基板に実装されているようにする。
かかる構成によれば、通信用電子部品と共に実装されるチップアンテナの前方に金属製の前面パネルがないので、前面パネルが電磁シールドなって電波強度を低下させることがないので、受信機本体内部に配設されているチップアンテナを介して外部の装置との間で無線通信を行うことができる。
【0013】
また、望ましくは、前記ケーブルは、一端が前記アンテナ基板に溶着されるとともに他端にコネクタが設けられ、
前記通信用電子部品には、前記ケーブルの端部に設けられた前記コネクタが接続可能な端子が設けられているようにする。
かかる構成によれば、通信用電子部品(無線通信モジュール)に対してアンテナ基板を着脱可能に接続することができるので、必要に応じてアンテナ基板を設けたり設けなかったりすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の防災監視システム用受信機によれば、受信機の内部に無線通信装置が設けられていても受信機の外部の装置との間で無線通信を行うことができる。そのため、無線通信の実施のたびに無線通信装置を接続したり受信機の近傍に無線通信装置の設置スペースを確保したりすることなく、受信機と外部の端末との間で無線通信による情報の送受信を行うことができる。また、受信機から携帯端末へ無線通信によってイベントの発生を知らせることができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明を適用した火災受信機の前面パネル10の実施例が示されている。
図1の火災受信機は、建物の防災センターや中央管理室に設置され、建物内に設けられた感知器や発信機からの火災信号を受信し、地区音響装置を鳴動させて火災の発生を音響で知らせるとともに、当該火災受信機の前面パネル10に設けられているランプ等の表示により火災の発生を報知する機能を有する。
【0017】
本実施例の前面パネル10は板金で形成された金属製パネルであり、実線10aで囲まれた部位は、金属製の前面パネル10に形成された開口部であり、この開口部10aに各種の表示と入力操作を行うための樹脂製の操作表示パネル10Aが設けられている。
火災受信機の前面パネル10の金属フレーム部分には、
図1に示すように、火災発報した回線や感知器線断線が発生した回線を表示する火報回線用の地区表示窓12、火災が発生した場所や防排煙端末等の作動した場所を表示する防排煙回線用の地区表示窓13が設けられている。
地区表示窓12と13は、それぞれの地区回線ごとに火災の発生又は防排煙端末(排煙ダンパーや防煙シャッター等)の作動を報知する複数のランプと、それぞれのランプに対応した地区名もしくは設置個所を文字にて示す表示欄(表示プレート)とによって構成されている。
【0018】
一方、樹脂製の操作表示パネル10Aには、電源の投入状態や火災発報、発信機信号の入力など火災受信機の動作状態を各種ランプの点灯で表示する主操作部11と、火災の発生等を知らせるスピーカ14、受信機の音響やベル(地区音響)を停止させるための押釦を備えた音響操作部15、受信機の動作モードや後述の電池試験が実施された際の結果等の情報を表示するドットマトリクス型VFD(蛍光表示管)などからなる情報表示部16、表示内容を変更するためのシフトボタンなどを有する表示操作部17、受信機の火災内容・異常内容などを情報表示部16に表示させて確認するため情報ボタン18aおよび情報ランプ18bを有する情報操作部18などを備える。なお、情報表示部16は、LCD(液晶表示装置)等、VFD以外の表示装置でも良い。
【0019】
また、火災受信機の前面パネル10の下部には、電池試験の開始を指令する電池試験スイッチボタン19Aや火災試験の開始を指令する火災試験スイッチボタン19B、試験からの復旧を指令する試験復旧ボタン19C、火災試験からの復旧を指令する火災復旧ボタン19Dなどを有する内部操作部19が設けられている。内部操作部19の前方は、透明な樹脂パネルPで覆い、誤って操作されるのを回避できるように構成されている。
また、
図1には示されていないが、上記操作部(11、17、18)からの指令入力を受けて各表示部(11、16、18)やスピーカ14を駆動する制御基板が火災受信機の筐体の内部に設置されている。さらに、商用交流電源の停電時に上記制御基板等へ電源を供給する予備電源装置と、該予備電源装置の試験を行う予備電源試験装置が火災受信機の筐体内部に設けられている。
【0020】
図2には、火災受信機の本体20内に設けられている制御機能部の構成例を示す。
本体20は一面(前面)が開口した箱状をなしその側部に前記前面パネル10がヒンジ21A,21Bによって開閉可能に取り付けられ、前面パネル10と本体20とによって受信機の筐体が構成される。なお、本体20も金属製である。
図2に示すように、本体20内には、マイクロコンピュータ(CPU)やメモリなどのLSI、IC、抵抗素子、コンデンサなどの電子部品が実装されたプリント配線基板からなる制御基板22と、交流電圧を直流電圧に変換するAC−DCコンバータなどからなる電源装置23と、バッテリなどからなる予備電源装置24が設けられ、このうち制御基板22は上端部が前面パネル10の前記開口部10aの内側に位置するように配設されている。
【0021】
また、本体20の後壁には感知器等からの信号を入力するケーブルを挿通するための縦長の開口20aが形成されている。そして、制御基板22の一側部(図では左側)には、この開口20aから挿入された上記ケーブルの端部のコネクタが接続される端子台25が設けられているとともに、制御基板22のヒンジに近い側の側部(図では右側)には、上記前面パネル10の裏面の操作・表示基板との間の信号の伝達を担うケーブル(ツイストペアケーブル)の端部のコネクタが接続される端子台26が設けられている。また、制御基板22の下部には、電源装置23および予備電源装置24と制御基板22とを接続するケーブルの端部のコネクタが接続される端子台27が設けられている。
【0022】
さらに、本実施例においては、制御基板22の上部であってヒンジ21に近い側に例えば無線LAN規格に準拠した無線通信が可能な無線通信モジュール28aを搭載したサブ基板28が実装されている。そして、このサブ基板28上には、無線通信モジュール28aと後述する前面パネル10側のアンテナ基板32とを接続するケーブル33(
図5参照)の端部のコネクタ34が結合される端子28bが設けられている。
また、サブ基板28の上部には、無線通信モジュール用のチップアンテナ28cが実装されている。そのため、受信機から外部の携帯端末へ無線通信によってイベントの発生を直接知らせることができる。
【0023】
なお、図示しないが、制御基板22には、メモリに蓄積された火災検知信号等のイベント履歴情報を、通信ケーブルを介して外部のパーソナルコンピュータ等へ出力するシリアル通信ポート(シリアルI/O)が設けられている。
また、
図2及び
図4において、符号29が付されているのは、前面パネル10と本体20との間を接続するアース線であり、このアース線29は、ヒンジ側(奥側の位置)に設けられて、前面パネル10の開閉に支障とならないようゆとりを持たせた長さに設定されている。
【0024】
上記のように、無線通信モジュール28aおよびチップアンテナ28cを搭載したサブ基板28が制御基板22の上部に実装されているとともに、前述したように制御基板22の上端部が前面パネル10の前記開口部10aの内側に位置するように配設されていることにより、チップアンテナ28cの前方には金属製の前面パネル10の金属部分が存在しないこととなる。また、チップアンテナ28cの前方には前面パネル10の背面に装着されている操作・表示基板が存在するが、操作・表示基板は樹脂製であるため、電磁シールドとはならない。その結果、前面パネル10が電磁シールドとなってチップアンテナ28cから発せられた無線通信の電波の強度を弱めてしまうのを回避することができる。
しかも、本実施例においては、以下に説明するように、前面パネル10側に設けたアンテナ基板32がケーブル33を介して無線通信モジュール28aに接続されるため、無線通信を確実に行うことができる。
【0025】
次に、前記前面パネル10の背面の構成を、
図3〜
図5を用いて説明する。
本実施形態の火災受信機においては、板金からなる前面パネル10の背面に、
図3に示すようなプレート部30aとその縁に沿って形成された外枠30bとその内側に格子状に形成された補強リブ30cを有する樹脂製の操作表示パネル30が装着され、
図4に示すように、この操作表示パネル30に、サブCPUとなるLSIや表示ランプ、押しボタンスイッチなどが実装されたプリント配線基板からなる操作表示基板31が取り付けられている。
そして、操作表示基板31は、操作表示パネル30のヒンジ側(図では左側)の外枠30bから少し離れた位置に側端が来るように配設されており、これによって外枠30bと操作・表示基板31との間にスペースが生じるように構成されている。
【0026】
なお、上記操作表示パネル30の前面は、押しボタン等のマークを印刷した例えばメンブレンシートのような樹脂シートにより被覆されている。また、
図3に示されているように、操作表示パネル30には、情報表示部16を構成するVFDが臨む長方形の開口30dと、スピーカ14が係合する円形のリブ30e、各種表示ランプが臨む複数の小円形の開口30fが設けられている。そして、この操作表示パネル30は、前面パネル10の背面に接合され、周縁部に形成されているビス穴30gに挿入されたビスにて固定される。
【0027】
本実施例においては、上記操作表示パネル30の外枠30bと操作・表示基板31との間のスペースに、
図5に示すような細長い短冊状のアンテナ基板32が装着されるように構成されている。アンテナ基板32は、表面にアンテナとなる導電層からなる所定のパターンが形成された樹脂製のプリント配線基板に、ケーブル33の一端が半田付けされ、ケーブル33の他端には、前記無線通信モジュール28aが実装された本体20側のサブ基板28上の端子28bに接続可能なコネクタ34が設けられている。また、ケーブル33の先端の半田付け部には保護テープ35が被着され、剥がれを防止している。なお、ケーブル33は、
図2及び
図4に示されているアース線29と同様な形態で、ヒンジ側において前面パネル10と本体20との間に、前面パネル10の開閉に支障とならないようゆとりを持たせた長さに設定されて接続されている。
【0028】
また、本実施例においては、上記操作表示パネル30のヒンジ側の外枠30bが、前面パネル10の開口部10aの縁部にほぼ一致するように、操作表示パネル30が前面パネル10の背面に装着されるように構成されている。そのため、上述したように、外枠30bと操作表示基板31との間のスペースにアンテナ基板32が装着されると、アンテナ基板32の前方には金属製の前面パネル10の金属部分が存在しないこととなる。
しかも、チップアンテナ28cの前方には前面パネル10の背面に装着されている操作表示パネル30のプレート部30aが存在するが、操作表示パネル30は樹脂製であるため、電磁シールドとはならない。その結果、前面パネル10が電磁シールドとなってアンテナ基板32へ飛び込む無線通信の電波の強度を弱めてしまうのを回避することができる。
【0029】
また、前面パネル10の背面に操作表示パネル30を介して装着されている操作・表示基板31は、プリント配線基板であり、ほぼ全体にわたって接地電位が印加される導電層からなるグランド層が設けられている。そのため、操作表示基板31の上にアンテナパターンを形成したり、例えば本体20内の制御基板22の近傍など操作・表示基板31の後方に当たる部位に上記アンテナ基板32を配設したりすると、操作表示基板31のグランド層が電磁シールドとなってアンテナ基板32へ飛び込む電波強度を弱めてしまう。
これに対し、上記実施例のような構成によれば、アンテナ基板32の前方に操作表示基板31が存在しないとともに、操作表示基板31とは異なる基板上にアンテナパターンを形成されているため、アンテナ基板32から発せられた電波が遮断されたり弱められたりするのを回避することができる。
【0030】
上記のように、本実施例においては、アンテナ基板32と無線通信モジュール28aが実装されたサブ基板28上のチップアンテナ28cのいずれも、金属製の前面パネル10の開口部10aの内側に位置することになるとともに、前面パネル10の背面の操作表示基板31の側方および上方にスペースを設けているため、金属製の前面パネル10および操作・表示基板31のグランド層が電磁シールドとなってアンテナから発せられた無線通信の電波の強度を弱めてしまうのを回避することができる。
【0031】
また、無線通信モジュール28aが実装されたサブ基板28およびアンテナ基板32が、前面パネル10の回転中心であるヒンジ21に近い部位に配設されているため、サブ基板28とアンテナ基板32とを接続するケーブル33の長さを短くすることができる。また、アンテナの配線箇所がヒンジ側に(奥側の位置に)に配置されているため、受信機の前面パネルを開いて結線作業や内部回路の機能確認等を行う際に、作業の妨げとならない。
さらに、本実施例においては、ノイズを発生し易い電源装置23が本体20すなわち筐体の下部に配置され、無線通信モジュール28aが実装されたサブ基板28およびアンテナ基板32が筐体の上部に配設されているため、無線通信モジュール28aが電源装置23から発生したノイズの影響を受けにくいという利点がある。
【0032】
なお、ノイズの影響回避の観点からは、電源装置23を筐体の上部に配置し、無線通信モジュール28aが実装されたサブ基板28およびアンテナ基板32を筐体の下部に配設することも考えられるが、電源装置23は多くの熱を発するので、電源装置23を筐体の下部に配置してその上に比較的スペースに余裕のある制御基板22を配設することで、筐体内で対流を起こし冷却効率を高めることができるので、電源装置23は筐体の下部に配置するのが望ましい。そのため、無線通信モジュール28aは、ノイズ源となる電源装置23から遠い筐体の上部に配設するのが最も好適な配置であるといえる。
【0033】
また、上記実施形態では、前面パネル10の裏面の操作表示基板31と操作表示パネル30の側部外枠30bとの間にスペースを設けてアンテナ基板32を縦向きに配設しているが、操作表示基板31と操作表示パネル30の上部外枠との間にスペースを設けてアンテナ基板32を横向きに配設するように構成しても良い。
また、情報表示部16を構成するVFDを設けない機種の受信機においては、操作表示パネル30に形成されている開口30dをメンブレンシートで被うとともに、
図3に一点鎖線で示すように、開口30dの位置にアンテナ基板32を配設するようにしても良い。さらに、上記実施形態では、無線通信モジュール28aが搭載されたサブ基板28上にチップアンテナ28cが実装されているとともに、チップアンテナ28cの前方には金属製の前面パネル10の金属部分が存在しないため、電波環境が良好な空間に配設される受信機では、アンテナ基板32の取り付けを省略することも可能である。
【0034】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、アンテナ基板32を前面パネル10の裏面に装着しているが、アンテナ基板32は、前方から見た時に上記実施例と同じ位置に来るような場所であれば本体20側に装着するようにしても良い。
さらに、以上の説明では、本発明をP型火災受信機に適用した場合を例にとって説明したが、本発明はP型火災受信機に限定されず、R型火災受信機その他監視システムを構成可能な受信機に適用することが可能である。