【解決手段】基体と、基体に設けられ、複数の柱状部30を有する積層体と、を有し、柱状部は、第1半導体層と、第1半導体層とは導電型の異なる第2半導体層と、第1半導体層と第2半導体層との間に設けられた発光層と、を有し、柱状部は、第1方向および第1方向と直交する第2方向に配列され、第1方向において、柱状部は、ピッチPで配列され、第2方向において、柱状部の密度は、周期Cで変化し、発光層で発生する光の波長をλとした場合、P<C≦λを満たす、発光装置100。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0014】
1. 第1実施形態
1.1. 発光装置
まず、第1実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図である。
図2は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図である。なお、
図1は、
図2のI−I線断面図である。
【0015】
発光装置100は、
図1および
図2に示すように、基体10と、積層体20と、第1電極50と、第2電極52と、を有している。なお、便宜上、
図2では、積層体20の柱状部30以外の部材の図示を省略している。
【0016】
基体10は、例えば、板状の形状を有している。基体10は、例えば、Si基板、GaN基板、サファイア基板などである。
【0017】
積層体20は、基体10に設けられている。図示の例では、積層体20は、基体10上に設けられている。積層体20は、例えば、バッファー層22と、複数の柱状部30と、光伝搬層40と、を有している。
【0018】
なお、「上」とは、積層体20の積層方向において、発光層34からみて基体10から遠ざかる方向のことであり、「下」とは、積層方向において、発光層34からみて基体1
0に近づく方向のことである。また、「積層体20の積層方向」とは、第1半導体層32と発光層34との積層方向のことである。
【0019】
バッファー層22は、基体10上に設けられている。バッファー層22は、例えば、シリコンがドープされたn型のGaN層である。バッファー層22上には、柱状部30を形成するためのマスク層60が設けられている。マスク層60は、例えば、チタン層、酸化チタン層、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層などである。
【0020】
柱状部30は、バッファー層22上に設けられている。柱状部30は、バッファー層22から上方に突出した柱状の形状を有している。柱状部30は、例えば、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。積層方向と直交する方向における柱状部30の断面形状は、例えば、多角形、円などである。
図2に示す例では、柱状部30の断面形状は、正六角形である。
【0021】
柱状部30の径は、例えば、5nm以上100nm以下である。柱状部30の径を100nm以下とすることによって、高品質な結晶の発光層34を得ることができ、かつ、発光層34に内在する歪みを低減することができる。これにより、発光層34で発生する光を高い効率で増幅できる。複数の柱状部30の径は、例えば、互いに等しい。
【0022】
なお、「径」とは、柱状部30の平面形状が円の場合は、直径であり、柱状部30の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、柱状部30の径は、柱状部30の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、柱状部30の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。また、「平面形状」とは、積層方向からみた平面視における形状のことである。柱状部30の中心とは、平面形状が円ではない形状の場合は、当該最小包含円の中心である。
【0023】
柱状部30は、第1半導体層32と、発光層34と、第2半導体層36と、を有している。
【0024】
第1半導体層32は、バッファー層22上に設けられている。第1半導体層32は、基体10と発光層34との間に設けられている。第1半導体層32は、n型の半導体層である。第1半導体層32は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層、Siがドープされたn型のAlGaN層などである。
【0025】
発光層34は、第1半導体層32上に設けられている。発光層34は、第1半導体層32と第2半導体層36との間に設けられている。発光層34は、例えば、不純物がドープされていないi型の半導体層である。発光層34は、例えば、i型のGaN層と、i型のInGaN層と、からなる量子井戸構造を重ねた多重量子井戸構造を有している。発光層34は、電流が注入されることで光を発生させることが可能な層である。
【0026】
第2半導体層36は、発光層34上に設けられている。第2半導体層36は、第1半導体層32と導電型の異なる層である。第2半導体層36は、p型の半導体層である。第2半導体層36は、例えば、マグネシウムがドープされたp型のGaN層、マグネシウムがドープされたp型のAlGaN層などである。第1半導体層32および第2半導体層36は、発光層34に光を閉じ込める機能を有するクラッド層である。
【0027】
光伝搬層40は、隣り合う柱状部30の間に設けられている。光伝搬層40は、マスク層60上に設けられている。光伝搬層40は、柱状部30の側面を覆っている。光伝搬層40の屈折率は、例えば、柱状部30の屈折率よりも低い。すなわち、光伝搬層40の屈折率は、第1半導体層32の屈折率、発光層34の屈折率、および第2半導体層36の屈
折率よりも低い。光伝搬層40は、例えば、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸化チタン層などである。発光層34で発生した光は、光伝搬層40を通って、複数の柱状部30を、積層方向と直交する方向に伝搬することができる。
【0028】
第1電極50は、バッファー層22上に設けられている。バッファー層22は、第1電極50とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極50は、第1半導体層32と電気的に接続されている。図示の例では、第1電極50は、バッファー層22を介して、第1半導体層32と電気的に接続されている。第1電極50は、発光層34に電流を注入するための一方の電極である。第1電極50としては、例えば、バッファー層22側から、Ti層、Al層、Au層の順序で積層したものなどを用いる。なお、基体10が導電性の場合には、図示はしないが、第1電極50は、基体10の下に設けられていてもよい。
【0029】
第2電極52は、積層体20の基体10側とは反対側に設けられている。図示の例では、第2電極52は、第2半導体層36上、および光伝搬層40上に設けられている。第2半導体層36は、第2電極52とオーミックコンタクトしていてもよい。第2電極52は、第2半導体層36と電気的に接続されている。第2電極52は、発光層34に電流を注入するための他方の電極である。第2電極52としては、例えば、ITO(indium tin oxide)などを用いる。
【0030】
柱状部30は、
図2に示すように、平面視において、すなわち、積層方向から見て、第1方向Aおよび第2方向Bに配列されている。第2方向Bは、第1方向Aと直交する方向である。
【0031】
第1方向Aにおいて、柱状部30のピッチは、一定である。第1方向Aにおいて、柱状部30は、ピッチPで配置されている。ピッチPは、発光層34で発生する光の波長λよりも小さい。ピッチPは、例えば、第1方向Aにおいて柱状部30が光学的に均質な材料と見なせる距離である。ピッチPは、例えば、20nm以上200nm以下である。なお、第1方向Aにおける柱状部30のピッチは、隣り合う柱状部30において、一方の柱状部30の中心位置から他方の柱状部30の中心位置までの第1方向Aにおける距離である。第2方向Bにおける柱状部30のピッチは、隣り合う柱状部30において、一方の柱状部30の中心位置から他方の柱状部30の中心位置までの第2方向Bにおける距離である。
【0032】
第2方向Bにおいて、柱状部30のピッチは、周期的に変化している。そのため、第2方向Bにおいて、柱状部30の密度は、周期Cで変化している。このように、発光装置100では、柱状部30の密度は、第2方向Bにおいて柱状部30のピッチが周期的に変化していることによって、周期Cで変化している。柱状部30の密度は、平面視において、単位面積あたりの柱状部30の面積の割合である。周期Cは、発光層34で発生する光の波長λ以下であり、かつ、ピッチPよりも大きい。すなわち、周期Cは、P<C≦λの関係を満たす。周期Cは、例えば、200nm以上1000nm以下である。
【0033】
発光装置100では、第2方向Bにおいて柱状部30の密度が波長λ以下の周期Cで変化しているため、屈折率を第2方向Bに波長λ以下の周期で変化させることができる。したがって、一次元の周期構造を有するフォトニック結晶を形成することができる。以下、発光装置100における柱状部30の配置について詳細に説明する。
【0034】
図3は、発光装置100における柱状部30の配置を説明するための図である。
図3に示す変調後の柱状部30の配置が、発光装置100の柱状部30の配置に対応する。
【0035】
図3には、参考例となる構造として、第1方向Aおよび第2方向Bに、柱状部30が短
周期で配列された短周期構造を図示している。具体的には、柱状部30は、三角格子状に配置されており、第1方向Aに周期30nm、第2方向Bに周期30nmで配置されている。すなわち、柱状部30は、第1方向Aに30nmピッチ、第2方向Bに30nmピッチで配置されている。柱状部30の径は、30nm以下である。短周期構造では、柱状部30のピッチは、発光層34で発生する光の波長λよりも十分に小さい。そのため、短周期構造は、光学的には均質な材料とみなせる。
【0036】
ここで、フォトニック結晶の効果を発現させるためには、屈折率を光の波長λ以下の周期で変化させる必要がある。そこで、短周期構造を光に作用させるために、柱状部30のピッチに、長周期の変調を加える。変調は、柱状部30のピッチの変化である。長周期は、短周期構造における柱状部30のピッチよりも大きく、かつ、発光層34で発生する光の波長以下の周期である。図示の例では、短周期構造に対して、第2方向Bに周期が300nmの正弦波の変調を加えることによって、柱状部30のピッチを変化させている。すなわち、
図3に示すように、短周期構造を構成する柱状部30のピッチの変位量の分布が、第2方向Bにおいて、周期300nmの正弦波となるように柱状部30のピッチを変化させる。これにより、第2方向Bにおいて、柱状部30の密度の分布は、周期300nmの正弦波となる。
図3に示すように、変調後の柱状部30の密度の分布は、変調による柱状部30の変位量の微分で表される。
【0037】
柱状部30の密度は、屈折率に対応する。具体的には、柱状部30の密度が大きいほど、屈折率が高くなる。そのため、変調後の柱状部30で構成される構造の屈折率の分布は、周期300nmの正弦波となる。
【0038】
このように、短周期に配列された柱状部30のピッチに、長周期の変調を加えることによって、屈折率を周期的に変化させることができ、フォトニック結晶構造が得られる。上記の説明において、変調の周期300nmが、発光装置100の柱状部30の密度の周期Cに対応している。
【0039】
なお、上記では、短周期に配列された柱状部30のピッチに、周期が300nmの正弦波の変調を加える場合について説明したが、変調の波形および変調の周期等は、フォトニック結晶の効果に応じて、適宜、設定可能である。
【0040】
また、上記では、短周期構造は、柱状部30が三角格子状に配列されていたが、その配列は特に限定されず、柱状部30は四角格子状などに配列されていてもよい。
【0041】
発光装置100では、柱状部30において、p型の第2半導体層36、発光層34、およびn型の第1半導体層32により、pinダイオードが構成される。発光装置100では、第1電極50と第2電極52との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、発光層34に電流が注入され、発光層34で電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。
【0042】
発光層34で発生した光は、第1半導体層32および第2半導体層36により積層方向と直交する方向に光伝搬層40を通って伝搬し、複数の柱状部30によるフォトニック結晶の効果により定在波を形成し、発光層34で利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置100は、+1次回折光および−1次回折光をレーザー光として、積層方向に出射する。
【0043】
上記のように、発光装置100では、複数の柱状部30で構成されたフォトニック結晶構造を共振器として用いている。
【0044】
なお、図示はしないが、基体10とバッファー層22との間、または基体10の下に反射層が設けられていてもよい。該反射層は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)層である。該反射層によって、発光層34において発生した光を反射させることができ、発光装置100は、第2電極52側からのみ光を出射することができる。
【0045】
発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0046】
発光装置100では、柱状部30は、第1方向Aおよび第2方向Bに配列され、第1方向Aにおいて柱状部30はピッチPで配列され、第2方向Bにおいて柱状部30の密度は周期Cで変化し、発光層34で発生する光の波長をλとした場合、P<C≦λを満たす。
【0047】
このように、発光装置100では、周期Cを波長λ以下とすることによって、屈折率を第2方向Bに波長λ以下の周期で変化させて、一次元の周期構造を有するフォトニック結晶を形成している。柱状部30の密度を変化させることにより屈折率を変化させることによって、柱状部30の径を小さくしても、柱状部30の密度を低下させることなくフォトニック結晶を形成できる。そのため、発光装置100では、例えば100nm以下の小さな径の柱状部30を用いてフォトニック結晶構造を形成しても、高い密度で柱状部30が配置できる。したがって、発光層34において、光を効率よく増幅できる。
【0048】
さらに、発光装置100では、第2方向Bにおける柱状部30の密度変化の周期Cは第1方向Aにおける柱状部30のピッチPよりも大きい。例えば、周期CがピッチP以下である場合、周期Cに対して、第1方向Aにおいて隣り合う柱状部30間の隙間が大きくなり、第2方向Bにおいて屈折率の周期的な分布をつくることが困難である。また、周期CがピッチP以下である場合、柱状部30の密度を大きくできない。これに対して、発光装置100では、周期CはピッチPよりも大きいため、第2方向Bにおいて屈折率の周期的な分布をつくることができ、かつ、高い密度で柱状部30を配置できる。
【0049】
発光装置100では、第2方向Bにおいて、柱状部30のピッチは、周期的に変化し、柱状部30の密度は、第2方向Bにおいて柱状部30のピッチが周期的に変化していることによって、周期Cで変化している。そのため、発光装置100では、柱状部30の径の自由度が高い。例えば、柱状部を一定のピッチで配置して屈折率の分布をつくる場合、柱状部の径によって屈折率の分布が決まるため、柱状部の径の自由度が低い。これに対して、発光装置100では、柱状部30のピッチを周期的に変化させることによって柱状部30の密度を変化させて、屈折率の分布をつくる。すなわち、屈折率は、柱状部30のピッチによって制御できるため、柱状部30の径の自由度が高い。
【0050】
さらに、発光装置100では、柱状部30のピッチによって屈折率を制御できるため、例えば、柱状部30の密度と、フォトニック結晶の屈折率コントラストとを独立して設定可能である。フォトニック結晶の屈折率コントラストとは、フォトニック結晶における屈折率の高低差である。
【0051】
また、例えば、柱状部を一定のピッチで配置して屈折率の分布をつくる場合、柱状部が存在している部分と柱状部がない部分との屈折率差が大きい。すなわち、屈折率の変化が大きい。そのため、例えば、柱状部の位置や形状が揺らいで屈折率の周期に揺らぎが生じると、モードが局在してしまう場合がある。これに対して、発光装置100では、柱状部30のピッチを周期的に変化させることによって屈折率の分布をつくるため、屈折率を緩やかに変化させることができる。そのため、柱状部30の位置や形状が揺らいでもその影響を小さくできる。
【0052】
1.2. 発光装置の製造方法
次に、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図4は、第1実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0053】
図4に示すように、基体10上に、バッファー層22をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。
【0054】
次に、バッファー層22上に、マスク層60を形成する。マスク層60は、例えば、電子ビーム蒸着法やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などによる成膜、ならびにフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によるパターニングによって形成される。
【0055】
次に、マスク層60をマスクとして、バッファー層22上に、第1半導体層32、発光層34、および第2半導体層36をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD法、MBE法などが挙げられる。これにより、柱状部30が形成される。
【0056】
図1に示すように、マスク層60上に光伝搬層40を形成する。光伝搬層40は、例えば、MOCVD法、スピンコート法などによって形成される。
【0057】
次に、バッファー層22上に第1電極50を形成し、第2半導体層36上に第2電極52を形成する。第1電極50および第2電極52は、例えば、真空蒸着法などにより形成される。なお、第1電極50および第2電極52の形成順序は、特に限定されない。
【0058】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0059】
2. 第2実施形態
2.1. 発光装置
次に、第2実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図5は、第2実施形態に係る発光装置200の柱状部30を模式的に示す平面図である。以下、第2実施形態に係る発光装置200において、上述した第1実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0060】
上述した発光装置100では、
図2に示すように、第2方向Bにおいて、柱状部30のピッチは周期的に変化し、柱状部30の密度は、第2方向Bにおいて柱状部30のピッチが周期的に変化していることによって、周期Cで変化していた。
【0061】
これに対して、発光装置200では、
図5に示すように、第2方向Bにおいて、柱状部30の径は周期的に変化し、柱状部30の密度は、第2方向Bにおいて柱状部30の径が周期的に変化していることによって、周期Cで変化している。
【0062】
上述したように、柱状部30の密度は、平面視において、単位面積あたりの柱状部30の面積の割合である。そのため、柱状部30の径が周期的に変化することによって、柱状部30の密度が周期的に変化する。
【0063】
柱状部30の径の範囲は、例えば、5nm以上100nm以下である。
【0064】
第1方向Aにおいて、柱状部30は、ピッチPで配列されている。第2方向Bにおいて
、柱状部30は、ピッチQで配列されている。すなわち、柱状部30の第2方向Bのピッチは、一定である。ピッチPとピッチQとは、例えば、等しい。
【0065】
発光装置200では、柱状部30の密度は、第2方向Bにおいて柱状部30の径が周期的に変化していることによって、周期Cで変化している。そのため、発光装置200では、発光装置100と同様に、柱状部30の密度を低下させることなくフォトニック結晶を形成できる。さらに、発光装置200では、柱状部30の径によって屈折率を制御できるため、例えば、柱状部30の密度とフォトニック結晶の屈折率コントラストとを独立して設定可能である。また、柱状部30の位置や形状が揺らいでもその影響を小さくできる。
【0066】
2.2. 発光装置の製造方法
発光装置200の製造方法は、第2方向Bにおいて柱状部30の径が周期的に変化するように形成される点を除いて発光装置100の製造方法と同様である。例えば、マスク層60の開口の大きさを変えることで、柱状部30の径を変えることができる。
【0067】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。
図6は、第3実施形態に係るプロジェクター900を模式的に示す図である。
【0068】
プロジェクター900は、例えば、光源として、発光装置100を有している。
【0069】
プロジェクター900は、図示しない筐体と、筐体内に備えられている赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bと、を有している。なお、便宜上、
図6では、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bを簡略化している。
【0070】
プロジェクター900は、さらに、筐体内に備えられている、第1レンズアレイ902Rと、第2レンズアレイ902Gと、第3レンズアレイ902Bと、第1光変調装置904Rと、第2光変調装置904Gと、第3光変調装置904Bと、投射装置908と、を有している。第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bは、例えば、透過型の液晶ライトバルブである。投射装置908は、例えば、投射レンズである。
【0071】
赤色光源100Rから出射された光は、第1レンズアレイ902Rに入射する。赤色光源100Rから出射された光は、第1レンズアレイ902Rによって、集光され、例えば重畳されることができる。
【0072】
第1レンズアレイ902Rによって集光された光は、第1光変調装置904Rに入射する。第1光変調装置904Rは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第1光変調装置904Rによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0073】
緑色光源100Gから出射された光は、第2レンズアレイ902Gに入射する。緑色光源100Gから出射された光は、第2レンズアレイ902Gによって、集光され、例えば重畳されることができる。
【0074】
第2レンズアレイ902Gによって集光された光は、第2光変調装置904Gに入射する。第2光変調装置904Gは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第2光変調装置904Gによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0075】
青色光源100Bから出射された光は、第3レンズアレイ902Bに入射する。青色光源100Bから出射された光は、第3レンズアレイ902Bによって、集光され、例えば重畳されることができる。
【0076】
第3レンズアレイ902Bによって集光された光は、第3光変調装置904Bに入射する。第3光変調装置904Bは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第3光変調装置904Bによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0077】
また、プロジェクター900は、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bから出射された光を合成して投射装置908に導くクロスダイクロイックプリズム906を有することができる。
【0078】
第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム906に入射する。クロスダイクロイックプリズム906は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射装置908によりスクリーン910上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0079】
なお、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bは、発光装置100を映像の画素として画像情報に応じて制御することで、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bを用いずに、直接的に映像を形成してもよい。そして、投射装置908は、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bによって形成された映像を、拡大してスクリーン910に投射してもよい。
【0080】
また、上記の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micro Mirror Device)が挙げられる。また、投射装置の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0081】
また、光源を、光源からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置の光源装置にも適用することが可能である。
【0082】
上述した実施形態に係る発光装置は、プロジェクター以外にも用いることが可能である。プロジェクター以外の用途には、例えば、屋内外の照明、ディスプレイのバックライト、レーザープリンター、スキャナー、車載用ライト、光を用いるセンシング機器、通信機器等の光源がある。
【0083】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0084】
例えば、上述した第1実施形態に係る発光装置100では、InGaN系の発光層34について説明したが、発光層34としては、射出される光の波長に応じて、電流が注入されることで発光可能な様々な材料系を用いることができる。例えば、AlGaN系、Al
GaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、InP系、GaP系、AlGaP系などの半導体材料を用いることができる。第2実施形態に係る発光装置200についても同様である。
【0085】
また、上述した第1実施形態に係る発光装置100では、複数の柱状部30を用いてフォトニック結晶の効果を発現させることによって、半導体レーザーの共振器を形成する場合について説明したが、第1実施形態における複数の柱状部30を用いたフォトニック結晶は、その他の光デバイスにも適用可能である。このような光デバイスとしては、発光ダイオードやスーパールミネッセントダイオードが挙げられる。第2実施形態に係る発光装置200についても同様である。
【0086】
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
【0087】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。