【解決手段】基体と、前記基体に設けられ、複数の柱状部を有する積層体と、を有し、前記柱状部は、n型の第1半導体層と、p型の第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられている発光層と、前記発光層よりもバンドギャップが大きい第3半導体層と、を有し、前記第3半導体層は、前記発光層と前記第2半導体層との間に設けられた第1部分と、前記発光層の側面に接している第2部分と、を有している、発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0016】
1. 第1実施形態
1.1. 発光装置
まず、第1実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図である。
図2は、第1実施形態に係る発光装置100の柱状部30を模式的に示す断面図である。
【0017】
発光装置100は、
図1に示すように、基体10と、積層体20と、第1電極50と、第2電極52と、を有している。
【0018】
基体10は、例えば、板状の形状を有している。基体10は、例えば、Si基板、GaN基板、サファイア基板などである。
【0019】
積層体20は、基体10に設けられている。図示の例では、積層体20は、基体10上
に設けられている。積層体20は、例えば、バッファー層22と、複数の柱状部30と、光伝搬層40と、を有している。
【0020】
なお、「上」とは、積層体20の積層方向(以下、単に「積層方向」ともいう)において、発光層34からみて基体10から遠ざかる方向のことであり、「下」とは、積層方向において、発光層34からみて基体10に近づく方向のことである。また、「積層体20の積層方向」とは、第1半導体層32と発光層34との積層方向のことである。
【0021】
バッファー層22は、基体10上に設けられている。バッファー層22は、例えば、シリコンがドープされたn型のGaN層である。バッファー層22上には、柱状部30を形成するためのマスク層60が設けられている。マスク層60は、例えば、チタン層、酸化チタン層、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層などである。
【0022】
柱状部30は、バッファー層22上に設けられている。積層方向から見た柱状部30の平面形状は、例えば、多角形、円などである。柱状部30の径は、nmオーダーであり、例えば、10nm以上500nm以下である。柱状部30は、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部30の積層方向の大きさは、例えば、0.1μm以上5μm以下である。
【0023】
なお、「径」とは、柱状部30の平面形状が円の場合は、直径であり、柱状部30の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、柱状部30の径は、柱状部30の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、柱状部30の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。
【0024】
柱状部30は、複数設けられている。隣り合う柱状部30の間隔は、例えば、1nm以上500nm以下である。複数の柱状部30は、積層方向から見た平面視において、所定の方向に所定のピッチで配列されている。複数の柱状部30は、積層方向から見た平面視において、例えば、三角格子状、四角格子状などに配置されている。複数の柱状部30は、フォトニック結晶の効果を発現することができる。柱状部30は、第1半導体層32と、第1ガイド層33と、発光層34と、第2ガイド層35と、第2半導体層36と、第3半導体層38と、を有している。なお、ピッチとは、柱状部30が周期的に配置されている場合の、1周期分の距離をいう。図示の例では、ピッチは、例えば、隣り合う柱状部30の中心間の距離である。
【0025】
第1半導体層32は、バッファー層22上に設けられている。第1半導体層32は、基体10と発光層34との間に設けられている。第1半導体層32は、例えば、n型の半導体層である。第1半導体層32は、例えば、シリコンがドープされたn型のAlGaN層である。第1半導体層32の厚さは、例えば、500nm程度である。
【0026】
第1ガイド層33は、第1半導体層32上に設けられている。第1ガイド層33は、第1半導体層32と発光層34との間に設けられている。第1ガイド層33は、例えば、不純物がドープされていないi型の半導体層である。第1ガイド層33は、例えば、i型のGaN層、i型のInGaN層などである。第1ガイド層33の厚さは、例えば、100nm程度である。
【0027】
発光層34は、第1ガイド層33上に設けられている。発光層34は、第1半導体層32と第2半導体層36との間に設けられている。発光層34は、第1ガイド層33と第2ガイド層35との間に設けられている。発光層34は、i型の半導体層である。発光層34は、電流が注入されることで光を発生させることが可能な層である。
【0028】
発光層34は、
図2に示すように、量子井戸層340と、バリア層342と、を有している。発光層34は、量子井戸層340と、バリア層342と、が交互に配置された多重量子井戸構造(multi quantum well、MQW)を有している。図示の例では、発光層34は、量子井戸層340とバリア層342とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸構造を有している。
【0029】
量子井戸層340は、例えば、i型のInGaN層である。量子井戸層340のインジウムの濃度は、バリア層342のインジウムの濃度よりも高い。量子井戸層340の厚さは、例えば、3nm程度である。
【0030】
バリア層342は、例えば、i型のGaN層、i型のInGaN層などである。バリア層342がInGaN層である場合、バリア層342のインジウムの濃度は、量子井戸層340のインジウムの濃度よりも低い。バリア層342のバンドギャップは、量子井戸層340のバンドギャップよりも大きい。バリア層342は、量子井戸層340にキャリアを閉じ込める機能を有する。バリア層342の厚さは、例えば、10nm程度である。
【0031】
第2ガイド層35は、第3半導体層38上に設けられている。第2ガイド層35は、第3半導体層38と第2半導体層36との間に設けられている。第2ガイド層35は、発光層34と第2半導体層36との間に設けられている。第2ガイド層35は、例えば、i型の半導体層である。第2ガイド層35は、例えば、i型のGaN層、i型のInGaN層などである。第2ガイド層35の厚さは、例えば、100nm程度である。
【0032】
第1ガイド層33の屈折率は、第1半導体層32の屈折率および第2半導体層36の屈折率よりも高い。また、第2ガイド層35の屈折率は、第1半導体層32の屈折率および第2半導体層36の屈折率よりも高い。第1ガイド層33および第2ガイド層35は、発光層34を挟んでいる。第1ガイド層33および第2ガイド層35は、発光層34に光を閉じ込める機能を有する。
【0033】
第2半導体層36は、第2ガイド層35上に設けられている。第2半導体層36は、第2ガイド層35を介して、発光層34上に設けられている。第2半導体層36は、第1半導体層32と導電型の異なる層である。第2半導体層36は、例えば、p型の半導体層である。第2半導体層36は、例えば、マグネシウムがドープされたp型のAlGaN層である。第2半導体層36の厚さは、例えば、300nmである。第1半導体層32および第2半導体層36は、発光層34に光を閉じ込める機能を有するクラッド層である。
【0034】
第3半導体層38は、発光層34と第2半導体層36との間、および発光層34の側面34aに設けられている。第3半導体層38は、例えば、p型の半導体層である。第3半導体層38は、例えば、マグネシウムがドープされたp型のAlGaN層である。第3半導体層38の不純物濃度は、第2半導体層36の不純物濃度よりも高い。第3半導体層38のバンドギャップは、発光層34のバンドギャップよりも大きい。
【0035】
第3半導体層38は、
図2に示すように、発光層34と第2半導体層36との間の第1部分38aと、発光層34の側面34aに接している第2部分38bと、を有している。
【0036】
第1部分38aは、図示の例では、発光層34と第2ガイド層35との間に設けられている。第1部分38aは、発光層34の上面と、第2ガイド層35の下面と、で挟まれている。第1部分38aは、第2半導体層36への電子の漏れを低減する電子ブロック層として機能する。
【0037】
第2部分38bは、発光層34の側面34aに接している。発光層34の側面34aは
、発光層34の厚み方向と直交する方向の面である。第2部分38bは、さらに、第1ガイド層33の側面に接している。第2部分38bは、発光層34の側面34aを覆っている。第2部分38bは、さらに、第1ガイド層33の側面の一部を覆っている。第2部分38bは、発光層34と第2半導体層36とに挟まれていない部分である。
【0038】
第2部分38bの厚さD2は、第1部分38aの厚さD1よりも小さい。第2部分38bの厚さD2は、例えば、第2部分38bの最大の膜厚であり、第1部分38aの厚さD1は、例えば、第1部分38aの最大の膜厚である。第2部分38bの厚さは、例えば、発光層34の側面34aの垂線に沿った第2部分38bの大きさである。また、第1部分38aの厚さは、発光層34の上面の垂線に沿った第1部分38aの大きさである。第1部分38aの厚さD1は、例えば、15nm程度であり、第2部分38bの厚さD2は、例えば、5nm程度である。
【0039】
なお、図示はしないが、第1部分38aから第1半導体層32に向かうに従って、第2部分38bの厚さが小さくなっていてもよい。
【0040】
第3半導体層38は、第1半導体層32に接しておらず、第3半導体層38と第1半導体層32とは離間している。すなわち、第3半導体層38は、第1半導体層32の側面を覆っていない。図示の例では、第3半導体層38は、発光層34の側面34aの全体および第1ガイド層33の側面の一部を覆っている。
【0041】
光伝搬層40は、隣り合う柱状部30の間に設けられている。光伝搬層40は、マスク層60上に設けられている。光伝搬層40は、柱状部30の側面を覆っている。光伝搬層40の屈折率は、柱状部30の屈折率よりも低い。光伝搬層40は、例えば、不純物がドープされていないGaN層である。発光層34で発生した光は、光伝搬層40を通って、積層方向と直交する方向に伝搬することができる。なお、光伝搬層40は、GaN層に限定されず、AlGaN層、酸化シリコン層など、その他の絶縁層であってもよい。また、本実施形態では、光伝搬層40の屈折率は柱状部30の屈折率よりも低いが、これに限らず、光伝搬層40の屈折率は柱状部30の屈折率と異なっていればよく、柱状部30の屈折率よりも高くてもよい。
【0042】
第1電極50は、バッファー層22上に設けられている。バッファー層22は、第1電極50とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極50は、第1半導体層32と電気的に接続されている。図示の例では、第1電極50は、バッファー層22を介して、第1半導体層32と電気的に接続されている。第1電極50は、発光層34に電流を注入するための一方の電極である。第1電極50としては、例えば、バッファー層22側から、Ti層、Al層、Au層の順序で積層したものなどを用いる。なお、基体10が導電性の場合には、図示はしないが、第1電極50は、基体10の下に設けられていてもよい。
【0043】
第2電極52は、積層体20の基体10側とは反対側に設けられている。図示の例では、第2電極52は、第2半導体層36上に設けられている。第2半導体層36は、第2電極52とオーミックコンタクトしていてもよい。第2電極52は、第2半導体層36と電気的に接続されている。第2電極52は、発光層34に電流を注入するための他方の電極である。第2電極52としては、例えば、ITO(indium tin oxide)などを用いる。
【0044】
発光装置100では、p型の第2半導体層36、発光層34、およびn型の第1半導体層32により、pinダイオードが構成される。発光装置100では、第1電極50と第2電極52との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、発光層34に電流が注入されて発光層34で電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。発光層34で発生した光は、第1半導体層32および第2半導体層36により積層
方向と直交する方向に光伝搬層40を通って伝搬し、複数の柱状部30によるフォトニック結晶の効果により定在波を形成し、発光層34で利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置100は、+1次回折光および−1次回折光をレーザー光として、積層方向に出射する。
【0045】
なお、図示はしないが、基体10とバッファー層22との間、または基体10の下に反射層が設けられていてもよい。該反射層は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)層である。該反射層によって、発光層34において発生した光を反射させることができ、発光装置100は、第2電極52側からのみ光を出射することができる。
【0046】
発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0047】
発光装置100は、発光層34よりもバンドギャップが大きい第3半導体層38を有し、第3半導体層38は、発光層34と第2半導体層36との間に設けられた第1部分38aと、発光層34の側面34aに接している第2部分38bと、を有している。このように発光装置100では、発光層34の側面34aが、発光層34よりもバンドギャップの大きい第3半導体層38の第2部分38bで覆われているため、発光層34の側面34aにおける表面再結合を低減できる。したがって、発光装置100は、高い発光効率を有することができる。
【0048】
また、発光装置100では、第3半導体層38の第1部分38aが電子ブロック層として機能するため、第2半導体層36への電子の漏れを低減できる。
【0049】
このように発光装置100では、第3半導体層38が、電子ブロック層としての機能と、表面再結合を低減する機能と、を有するため、簡易な構成で、高い発光効率を得ることができる。
【0050】
発光装置100では、第3半導体層38の不純物濃度は、第2半導体層36の不純物濃度よりも高いため、より確実に第2半導体層36への電子の漏れを低減できる。
【0051】
発光装置100では、第2部分38bの厚さD2は、第1部分38aの厚さD1よりも小さい。そのため、第2部分38bの抵抗を大きくできる。したがって、発光装置100では、第3半導体層38を介して、第1半導体層32と第2半導体層36とが短絡する可能性を低減でき、歩留まりを向上できる。
【0052】
発光装置100では、第1部分38aは、発光層34と第2ガイド層35との間に設けられている。そのため、例えば、第1部分38aが第2ガイド層35と第2半導体層36との間に設けられている場合と比べて、発光層34と第1部分38aとの間の距離を小さくできる。これにより、第2半導体層36への電子の漏れを効率よく低減できる。
【0053】
発光装置100では、第3半導体層38は、第1半導体層32に接していない。そのため、第3半導体層38を介して、第1半導体層32と第2半導体層36とを短絡させないことができる。
【0054】
なお、上記では、第3半導体層38が第1半導体層32に接していない場合について説明したが、第3半導体層38の第2部分38bの抵抗が第1半導体層32と第2半導体層36とを短絡させない程度に大きい場合には、第3半導体層38が第1半導体層32に接していてもよい。例えば、第2部分38bの厚さを小さくすることで第2部分38bの抵抗を大きくすることができる。また、後述する第1変形例で説明するように、第2部分38bの不純物濃度を低くすることで第2部分38bの抵抗を大きくすることができる。ま
た、第2部分38bの厚さを小さくし、かつ、第2部分38bの不純物濃度を低くすることで、第2部分38bの抵抗を大きくしてもよい。
【0055】
1.2. 発光装置の製造方法
次に、発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図3は、発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0056】
図3に示すように、基体10上に、バッファー層22をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。
【0057】
次に、バッファー層22上に、マスク層60を形成する。マスク層60は、例えば、電子ビーム蒸着法やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などによる成膜、ならびにフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によるパターニングによって形成される。
【0058】
次に、マスク層60をマスクとして、バッファー層22上に、第1半導体層32、第1ガイド層33、発光層34、第3半導体層38、第2ガイド層35、第2半導体層36をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD法、MBE法などが挙げられる。
【0059】
ここで、第3半導体層38をエピタキシャル成長させる際に、第3半導体層38の成長条件を制御することで、第3半導体層38を積層方向と直交する方向に成長させることができる。これにより、第3半導体層38の第1部分38aおよび第2部分38bを形成することができる。なお、成長条件としては、成長温度や、ガリウムと窒素の供給量、原料ガスの圧力などが挙げられる。また、隣り合う柱状部30間の距離が小さい場合、柱状部30の側面に供給される材料が少なくなり、柱状部30の側面における成長が抑制される。この効果を利用して、第2部分38bの厚さD2を、第1部分38aの厚さD1よりも小さくしてもよい。
【0060】
以上の工程により、柱状部30を形成することができる。
【0061】
図1に示すように、隣り合う柱状部30の間に、光伝搬層40を形成する。光伝搬層40は、例えば、MOCVD法、スピンコート法などによって形成される。
【0062】
次に、バッファー層22上に第1電極50を形成し、第2半導体層36上に第2電極52を形成する。第1電極50および第2電極52は、例えば、真空蒸着法などにより形成される。なお、第1電極50および第2電極52の形成順序は、特に限定されない。
【0063】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0064】
1.3. 変形例
次に、第1実施形態に係る発光装置100の変形例について説明する。以下に説明する各変形例において、上述した発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
1.3.1. 第1変形例
図4は、第1変形例に係る発光装置の柱状部30を模式的に示す断面図である。
【0066】
上述した発光装置100では、
図2に示すように、第2部分38bの厚さD2を、第1
部分38aの厚さD1よりも小さくして、第2部分38bの抵抗を大きくしていた。
【0067】
これに対して、第1変形例に係る発光装置では、第2部分38bの不純物濃度を、第1部分38aの不純物濃度よりも低くして、第2部分38bの抵抗を大きくしている。そのため、第1変形例に係る発光装置では、上述した発光装置100と同様に、第3半導体層38を介して、第1半導体層32と第2半導体層36とが短絡する可能性を低減でき、歩留まりを向上できる。第2部分38bの厚さD2は、例えば、第1部分38aの厚さD1と同じである。
【0068】
第1部分38aの不純物濃度および第2部分38bの不純物濃度は、例えば、第3半導体層38をエピタキシャル成長させる際の成長条件によって制御できる。
【0069】
1.3.2. 第2変形例
図5は、第2変形例に係る発光装置の柱状部30を模式的に示す断面図である。
【0070】
上述した発光装置100では、
図2に示すように、第1部分38aは、発光層34と第2ガイド層35との間に設けられていた。これに対して、第2変形例に係る発光装置では、
図5に示すように、第1部分38aは、第2ガイド層35と第2半導体層36との間に設けられている。
【0071】
第2ガイド層35は、発光層34上に設けられている。第2ガイド層35は、発光層34と第2半導体層36との間に設けられている。図示の例では、第2ガイド層35は、発光層34と第3半導体層38との間に設けられている。
【0072】
第1部分38aは、第2ガイド層35の上面と第2半導体層36の下面とに挟まれている。第2部分38bは、発光層34の側面34aに接している。第2部分38bは、さらに、第2ガイド層35の側面、および第1ガイド層33の側面の一部に接している。第2部分38bは、第2ガイド層35の側面の全体、発光層34の側面34aの全体、および第1ガイド層33の側面の一部を覆っている。
【0073】
第2変形例に係る発光装置では、第1部分38aが第2ガイド層35と第2半導体層36との間に設けられている。そのため、例えば、第1部分38aが発光層34と第2ガイド層35との間に設けられている場合と比べて、発光層34と第1部分38aとの間の距離を大きくできる。したがって、第2変形例に係る発光装置では、発光層34を伝搬する光の損失を低減できる。
【0074】
1.3.3. 第3変形例
図6は、第3変形例に係る発光装置の柱状部30を模式的に示す断面図である。
【0075】
上述した発光装置100では、
図2に示すように、発光層34において、量子井戸層340と、バリア層342と、が交互に配置されていた。
【0076】
これに対して、第3変形例に係る発光装置では、発光層34において、量子井戸層340が柱状部30の中央部に位置し、量子井戸層340がバリア層342で覆われている。バリア層342は、量子井戸層340を囲んでいる。3つの量子井戸層340は、積層方向から見て、重なっている。
【0077】
第3変形例に係る発光装置では、量子井戸層340の側面が、バリア層342と、第3半導体層38と、で2重に覆われている。ここで、バリア層342および第3半導体層38は、量子井戸層340よりもバンドギャップが大きい。そのため、キャリアを柱状部3
0の中央部に閉じ込めることができ、発光層34の側面34aにおける表面再結合を低減できる。
【0078】
なお、
図6に示す例では、第1部分38aは、発光層34と第2ガイド層35との間に設けられているが、
図7に示すように、第1部分38aが、第2ガイド層35と第2半導体層36との間に設けられていてもよい。
【0079】
2. 第2実施形態
2.1. 発光装置
次に、第2実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図8は、第2実施形態に係る発光装置200を模式的に示す断面図である。
図9は、第2実施形態に係る発光装置200の柱状部30を模式的に示す断面図である。以下、第2実施形態に係る発光装置200において、上述した第1実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0080】
第2実施形態に係る発光装置200は、
図8および
図9に示すように、柱状の第1半導体層32を、第1ガイド層33、発光層34、第3半導体層38、第2ガイド層35、および第2半導体層36が覆っている。すなわち、柱状部30は、第1半導体層32をコアとし、第1ガイド層33、発光層34、第3半導体層38、第2ガイド層35、および第2半導体層36をシェルとする、コアシェル構造を有している。
【0081】
第3半導体層38は、
図9に示すように、第1部分38aと、第2部分38bと、を有している。第2部分38bは、発光層34の側面34aに接している。第2部分38bは、発光層34と第2半導体層36とに挟まれていない。
【0082】
発光装置200では、上述した発光装置100と同様に、発光層34よりもバンドギャップが大きい第3半導体層38を有し、第3半導体層38は、発光層34と第2半導体層36との間に設けられた第1部分38aと、発光層34の側面34aに接している第2部分38bと、を有している。そのため、発光装置200では、発光層34の側面34aにおける表面再結合を低減でき、高い発光効率を有することができる。
【0083】
なお、上記では、第3半導体層38が第1半導体層32に接していない場合について説明したが、第3半導体層38の第2部分38bの抵抗が第1半導体層32と第2半導体層36とを短絡させない程度に大きい場合には、第3半導体層38が第1半導体層32に接していてもよい。例えば、第2部分38bの厚さを小さくすることで第2部分38bの抵抗を大きくしてもよい。また、第2部分38bの不純物濃度を低くすることで第2部分38bの抵抗を大きくしてもよい。また、第2部分38bの厚さを小さくし、かつ、第2部分38bの不純物濃度を低くすることで、第2部分38bの抵抗を大きくしてもよい。
【0084】
2.2. 発光装置の製造方法
発光装置200の製造方法は、第1ガイド層33、発光層34、第3半導体層38、第2ガイド層35、および第2半導体層36をエピタキシャル成長させる際の成長条件を制御して、これらの層が第1半導体層32を覆うように形成する点を除いて、上述した発光装置100の製造方法と同様であり、その説明を省略する。
【0085】
2.3. 変形例
上述した第1実施形態に係る発光装置100の第1変形例および第2変形例は、第2実施形態に係る発光装置200にも適用可能である。
【0086】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。
図10は、第3実施形態に係るプロジェクター900を模式的に示す図である。
【0087】
プロジェクター900は、例えば、光源として、発光装置100を有している。
【0088】
プロジェクター900は、図示しない筐体と、筐体内に備えられている赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bと、を有している。なお、便宜上、
図10では、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bを簡略化している。
【0089】
プロジェクター900は、さらに、筐体内に備えられている、第1レンズアレイ902Rと、第2レンズアレイ902Gと、第3レンズアレイ902Bと、第1光変調装置904Rと、第2光変調装置904Gと、第3光変調装置904Bと、投射装置908と、を有している。第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bは、例えば、透過型の液晶ライトバルブである。投射装置908は、例えば、投射レンズである。
【0090】
赤色光源100Rから出射された光は、第1レンズアレイ902Rに入射する。赤色光源100Rから出射された光は、第1レンズアレイ902Rによって、集光され、例えば重畳されることができる。
【0091】
第1レンズアレイ902Rによって集光された光は、第1光変調装置904Rに入射する。第1光変調装置904Rは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第1光変調装置904Rによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0092】
緑色光源100Gから出射された光は、第2レンズアレイ902Gに入射する。緑色光源100Gから出射された光は、第2レンズアレイ902Gによって、集光され、例えば重畳されることができる。
【0093】
第2レンズアレイ902Gによって集光された光は、第2光変調装置904Gに入射する。第2光変調装置904Gは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第2光変調装置904Gによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0094】
青色光源100Bから出射された光は、第3レンズアレイ902Bに入射する。青色光源100Bから出射された光は、第3レンズアレイ902Bによって、集光され、例えば重畳されることができる。
【0095】
第3レンズアレイ902Bによって集光された光は、第3光変調装置904Bに入射する。第3光変調装置904Bは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第3光変調装置904Bによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0096】
また、プロジェクター900は、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bから出射された光を合成して投射装置908に導くクロスダイクロイックプリズム906を有することができる。
【0097】
第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム906に入射する。クロ
スダイクロイックプリズム906は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射装置908によりスクリーン910上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0098】
なお、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bは、発光装置100を映像の画素として画像情報に応じて制御することで、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bを用いずに、直接的に映像を形成してもよい。そして、投射装置908は、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bによって形成された映像を、拡大してスクリーン910に投射してもよい。
【0099】
また、上記の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micro Mirror Device)が挙げられる。また、投射装置の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0100】
また、光源を、光源からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置の光源装置にも適用することが可能である。
【0101】
上述した実施形態に係る発光装置は、プロジェクター以外にも用いることが可能である。プロジェクター以外の用途には、例えば、屋内外の照明、ディスプレイのバックライト、レーザープリンター、スキャナー、車載用ライト、光を用いるセンシング機器、通信機器等の光源がある。
【0102】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0103】
例えば、上述した第1実施形態に係る発光装置100では、InGaN系の発光層34について説明したが、発光層34としては、射出される光の波長に応じて、電流が注入されることで発光可能な様々な材料系を用いることができる。例えば、AlGaN系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、InP系、GaP系、AlGaP系などの半導体材料を用いることができる。第2実施形態に係る発光装置200についても同様であり、発光層34として、射出される光の波長に応じて、電流が注入されることで発光可能な様々な材料系を用いることができる。
【0104】
また、上述した第1実施形態に係る発光装置100では、第1部分38aと第2部分38bとが連続して形成されている第3半導体層38について説明したが、これに限らず、第1部分38aと第2部分38bとが連続しておらず、離間していてもよい。
【0105】
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
【0106】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き
換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。