特開2020-161639(P2020-161639A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 太陽誘電株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2020161639-多層基板 図000003
  • 特開2020161639-多層基板 図000004
  • 特開2020161639-多層基板 図000005
  • 特開2020161639-多層基板 図000006
  • 特開2020161639-多層基板 図000007
  • 特開2020161639-多層基板 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-161639(P2020-161639A)
(43)【公開日】2020年10月1日
(54)【発明の名称】多層基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20200904BHJP
   H05K 3/44 20060101ALI20200904BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20200904BHJP
【FI】
   H05K3/46 N
   H05K3/46 Q
   H05K3/44 B
   H01L23/12 Q
   H01L23/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-59365(P2019-59365)
(22)【出願日】2019年3月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕一
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 政志
(72)【発明者】
【氏名】秦 豊
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩之
【テーマコード(参考)】
5E315
5E316
【Fターム(参考)】
5E315AA11
5E315AA13
5E315BB02
5E315BB04
5E315BB05
5E315BB15
5E315BB16
5E315BB18
5E315CC21
5E315DD17
5E315GG22
5E316AA03
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA26
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB15
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316CC38
5E316CC39
5E316EE31
5E316FF45
5E316HH07
5E316HH22
5E316JJ12
5E316JJ13
5E316JJ26
(57)【要約】
【課題】多層基板を小型化すること。
【解決手段】第1金属層および第2金属層と、前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられ、本体部と、前記本体部に設けられた第1開口内に設けられ前記本体部と電気的に分離された島部と、を含む金属コア層と、前記第1金属層と前記金属コア層とに挟まれた第1絶縁層と、前記第2金属層と前記金属コア層とに挟まれた第2絶縁層と、前記第1絶縁層を貫通し、前記島部の厚さの1/5以下の厚さを有し、前記第1金属層と前記島部とを接続する複数の第1金属ビアと、前記第2絶縁層を貫通し、前記島部の厚さの1/5以下の厚さを有し、前記第2金属層と前記島部とを接続する複数の第2金属ビアと、を備える多層基板。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属層および第2金属層と、
前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられ、本体部と、前記本体部に設けられた第1開口内に設けられ前記本体部と電気的に分離された島部と、を含む金属コア層と、
前記第1金属層と前記金属コア層とに挟まれた第1絶縁層と、
前記第2金属層と前記金属コア層とに挟まれた第2絶縁層と、
前記第1絶縁層を貫通し、前記島部の厚さの1/5以下の厚さを有し、前記第1金属層と前記島部とを接続する複数の第1金属ビアと、
前記第2絶縁層を貫通し、前記島部の厚さの1/5以下の厚さを有し、前記第2金属層と前記島部とを接続する複数の第2金属ビアと、
を備える多層基板。
【請求項2】
前記島部の幅は前記島部の厚さ以上である請求項1に記載の多層基板。
【請求項3】
前記第1金属ビアが前記島部に接続する面における断面積の合計は、前記島部の平面面積の5%以上であり、
前記第2金属ビアが前記島部に接続する面における断面積の合計は、前記島部の平面面積の5%以上である請求項1または2に記載の多層基板。
【請求項4】
前記複数の第1金属ビアのうち隣接する第1金属ビアの端間の最短距離のうち、最も大きい距離は前記島部の厚さの2倍以下であり、
前記複数の第2金属ビアのうち隣接する第2金属ビアの端間の最短距離のうち、最も大きい距離は前記島部の厚さの2倍以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の多層基板。
【請求項5】
前記複数の第1金属ビアのうち最も外側の第1金属ビアの端と前記島部の端との最短距離のうち、最も大きい距離は前記島部の厚さ以下であり、
前記複数の第2金属ビアのうち最も外側の第2金属ビアの端と前記島部の端との最短距離のうち、最も大きい距離は前記島部の厚さ以下である請求項1から4のいずれか一項に記載の多層基板。
【請求項6】
前記島部の端と前記第1開口の端との距離は前記島部の厚さの2倍以下である請求項1から5のいずれか一項に記載の多層基板。
【請求項7】
前記本体部はグランド電位が供給される請求項1から6のいずれか一項に記載の多層基板。
【請求項8】
前記本体部の設けられた第2開口に埋め込まれた電子部品を備える請求項1から7のいずれか一項に記載の多層基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多層基板に関し、例えばコア層を有する多層基板に関する。
【背景技術】
【0002】
金属コア層を含む複数の金属層と絶縁層とが積層された多層基板において、金属コア層の上方の金属層と下方の金属層とを接続するときに、金属コア層に形成された開口内に上方の金属層と下方の金属層とを接続するスルーホールを設けることが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−302563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上方の金属層と下方の金属層との間に大きな電流を流すためにはスルーホールを複数設けることになる。しかしながら、スルーホールを複数設けると、多層基板が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、多層基板を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1金属層および第2金属層と、前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられ、本体部と、前記本体部に設けられた第1開口内に設けられ前記本体部と電気的に分離された島部と、を含む金属コア層と、前記第1金属層と前記金属コア層とに挟まれた第1絶縁層と、前記第2金属層と前記金属コア層とに挟まれた第2絶縁層と、前記第1絶縁層を貫通し、前記島部の厚さの1/5以下の厚さを有し、前記第1金属層と前記島部とを接続する複数の第1金属ビアと、前記第2絶縁層を貫通し、前記島部の厚さの1/5以下の厚さを有し、前記第2金属層と前記島部とを接続する複数の第2金属ビアと、を備える多層基板である。
【0007】
上記構成において、前記島部の幅は前記島部の厚さ以上である構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記第1金属ビアが前記島部に接続する面における断面積の合計は、前記島部の平面面積の5%以上であり、前記第2金属ビアが前記島部に接続する面における断面積の合計は、前記島部の平面面積の5%以上である構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記複数の第1金属ビアのうち隣接する第1金属ビアの端間の最短距離のうち、最も大きい距離は前記島部の厚さの2倍以下であり、
前記複数の第2金属ビアのうち隣接する第2金属ビアの端間の最短距離のうち、最も大きい距離は前記島部の厚さの2倍以下である構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記複数の第1金属ビアのうち最も外側の第1金属ビアの端と前記島部の端との最短距離のうち、最も大きい距離は前記島部の厚さ以下であり、前記複数の第2金属ビアのうち最も外側の第2金属ビアの端と前記島部の端との最短距離のうち、最も大きい距離は前記島部の厚さ以下である構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記島部の端と前記第1開口の端との距離は前記島部の厚さの2倍以下である構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記本体部はグランド電位が供給される構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記本体部の設けられた第2開口に埋め込まれた電子部品を備える構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、多層基板を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)は、実施例1に係る多層基板の平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。
図2図2(a)および図2(b)は、比較例1および実施例1における断面図である。
図3図3(a)から図3(h)は、比較例1および実施例における開口30の平面図である。
図4図4は、比較例1および実施例1における開口30の面積に対する金属層14と18との間の電気抵抗を示す図である。
図5図5(a)から図5(c)は、実施例1における島部の平面図である。
図6図6(a)から図6(c)は、実施例1における島部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
図1(a)は、実施例1に係る多層基板の平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。図1(a)は主に、コア層10、ビア13、17および電子部品34を図示している。
【0018】
図1(a)および図1(b)に示すように、多層基板100では、コア層10は本体部10aと島部10bを有している。本体部10aには開口30および32が形成されている。開口30内に島部10bが設けられている。本体部10aと島部10bとは絶縁されている。開口32内に電子部品34が埋め込まれている。開口30および32内には絶縁層11が埋め込まれている。
【0019】
コア層10上に絶縁層12が設けられ、絶縁層12上に金属層14が設けられている。金属層14および絶縁層12上に絶縁層22が設けられ、絶縁層22上に金属層24が設けられている。複数のビア13は絶縁層12を貫通し、島部10bと金属層14とを電気的に接続する。複数のビア23は絶縁層22を貫通し、金属層14と24とを電気的に接続する。絶縁層22上に金属層24上に開口を有する絶縁層25が設けられている。
【0020】
コア層10下に絶縁層16が設けられ、絶縁層16下に金属層18、18aおよび18bが設けられている。金属層18、18a、18bおよび絶縁層16下に絶縁層26が設けられ、絶縁層26下に金属層28、28aおよび28bが設けられている。複数のビア17、17aおよび17bは絶縁層16を貫通し、複数のビア27、27aおよび27bは絶縁層26を貫通する。ビア17は金属層18と島部10bとを電気的に接続する。ビア27は金属層18と金属層28とを電気的に接続する。
【0021】
金属層28aは、ビア27a、金属層18aおよびビア17aを介し本体部10aに電気的に接続されている。金属層28aにグランド電位を供給することで、本体部10aは接地される。金属層28bは、ビア27b、金属層18bおよびビア17bを介し電子部品34に電気的に接続されている。金属層28、28aおよび28bはランド等の端子として機能する。絶縁層26下に金属層28、28aおよび28b下に開口を有する絶縁層29が設けられている。
【0022】
コア層10は、例えば銅、銅合金、鉄または鉄合金等の金属層である。絶縁層11、12、16、22および26は、例えば合成樹脂であり、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂またはポリイミド樹脂であり、合成樹脂にガラス繊維等のフィラーが混合されていてもよい。絶縁層25および29は例えばエポキシ樹脂等のソルダーレジストである。金属層14、18、18a、18b、24、28、28a、28b、ビア13、17、17a、17b、23、27、27aおよび27bは、例えば銅、金または銀を主成分とする金属層であり、バリア層および/または密着層を含んでもよい。電子部品34は、例えばチップコンデンサ、チップインダクタまたはチップ抵抗等のチップ部品でもよく、集積回路またはトランジスタ等の半導体装置でもよい。半導体装置は、ベアチップでもよいし、ベアチップが実装されたパッケージでもよい。
【0023】
コア層10の厚さT1は、一例として340μmであり、例えば35μmから500μmである。絶縁層12および16の各々の厚さ(ビア13、17の高さT2)は、一例として34μmであり、例えば5μmから100μmである。金属層14および18各々の厚さT3は、一例として23μmであり、例えば5μmから100μmである。絶縁層22および26の各々の厚さT4は、一例として29μmであり、例えば5μmから100μmである。金属層24および28各々の厚さT5は、一例として23μmであり、例えば5μmから100μmである。絶縁層25および29の各々の厚さT6は、一例として15μmであり、例えば2μmから50μmである。多層基板100の厚さTは、一例として588μmである。
【0024】
比較例1として、スルーホール38を介し金属層14と18とを電気的に接続する場合と、実施例1のように、島部10bを介し金属層14と18とを電気的に接続する場合についてシミュレーションを行った。
【0025】
図2(a)および図2(b)は、比較例1および実施例1における断面図である。図2(a)に示すように、比較例1のスルーホール38では、開口30内の絶縁層11、12、16に開口20が形成されている。開口20の内面に金属層19が設けられている。金属層19内に絶縁層40が設けられている。スルーホール38の高さT7は、T1+2×T2である。スルーホール38の直径をD6とし、金属層19の厚さをD9とする。
【0026】
図2(b)に示すように、実施例1では島部10b上および下にピラー15としてビア13および17が設けられている。ピラー15の高さT2は絶縁層12および16の厚さである。ピラー15の直径をD1とし、島部10bの幅をD5とする。
【0027】
図3(a)から図3(h)は、比較例1および実施例における開口30の平面図である。図3(a)から図3(d)は、比較例1のそれぞれサンプルAからDにおける開口30の平面図である。図3(e)から図3(h)は、実施例1のそれぞれサンプルEからHにおける開口30の平面図である。サンプルAとEはほぼ同じ開口30の面積を有している。サンプルBとFとはほぼ同じ開口30の面積を有し、サンプルCとGとはほぼ同じ開口30の面積を有し、サンプルDとHとはほぼ同じ開口30の面積を有している。サンプルBおよびFはサンプルAおよびEより開口30の面積が大きく、サンプルCおよびGはサンプルBおよびFより開口30の面積が大きく、サンプルDおよびHはサンプルCおよびGより開口30の面積が大きい。
【0028】
サンプルAでは、スルーホール38は3個×3個設けられている。サンプルBでは、スルーホール38は4個×3個設けられている。サンプルCでは、スルーホール38は4個×4個設けられている。サンプルDでは、スルーホール38は5個×5個設けられている。
【0029】
サンプルEでは、ピラー15は2個×2個設けられている。サンプルFでは、ピラー15は4個×2個設けられている。サンプルGでは、ピラー15は4個×4個設けられている。サンプルHでは、ピラー15は5個×5個設けられている。
【0030】
スルーホール38の直径はD6、スルーホール38の端の距離D7およびスルーホール38の端と開口30の端との距離D8は、各々サンプルAからDで同じである。ピラー15の直径D1、ピラー15の端の距離D2、ピラー15の端と島部10bの端との距離D3および島部10bの端と開口30の端との距離D4は、各々サンプルEからHで同じである。
【0031】
比較例1および実施例1において、開口30の面積に対する金属層14と18間の抵抗をシミュレーションした。
シミュレーションの条件は以下である。
コア層10、金属層14および18の材料:銅
コア層10の厚さT1:340μm
実施例1
ピラー15の高さT2:68μm、34μm
ピラー15の直径D1:50μm
ピラー15端の距離D2:100μm
ピラー15端と島部10b端との距離D3:75μm
島部10b端と開口30端との距離D4:200μm
ピラー15の高さT2が68μmのサンプルでは、T1:T2は5:1であり、T2が34μmのサンプルでは、T1:T2は10:1である。
比較例1
スルーホール38の高さT7:454μm
スルーホール38の直径D6:110μm
スルーホール38端の距離D7:130μm
スルーホール38端と開口30端との距離D8:95μm
金属層19の厚さD9:23μm
【0032】
図4は、比較例1および実施例1における開口30の面積に対する金属層14と18との間の電気抵抗を示す図である。ドットはシミュレーションした点を示し、線はドットをつなぐ線である。AからHはそれぞれサンプルAからHのドットを示す。
【0033】
図4に示すように、開口30を大きくすると抵抗が低くなる。開口30の面積が小さいとき、比較例1より実施例1の抵抗が高い。開口30の面積が大きくなると、実施例1の抵抗は比較例1より小さくなる。T1:T2=5:1では、サンプルDおよびHより開口30が大きくなると実施例1の抵抗は比較例1より低くなる。T1:T2ではサンプルBおよびFより開口30が大きくなると実施例1の抵抗は比較例1より小さくなる。
【0034】
以上のように、実施例1では、島部10bの厚さT1をピラー15の高さT2の5倍以上とすることで、金属層14と18との間の電気抵抗を低くできる。これにより、コア層10の上方と下方との間に大きな電流を流すことができる。また、ピラー15および島部10bを介し金属層14と18との間の熱抵抗を低くできる。これにより、コア層10の上方と下方との間の放熱性を高めることができる。金属層14と18との間の電気抵抗および熱抵抗を比較例1と同じとすると、比較例1より開口30の面積を小さくできる。これにより、多層基板100を小型化できる。
【0035】
図5(a)から図6(c)は、実施例1における島部の平面図である。図5(a)の例では、島部10bの平面形状は略正方形でありピラー15は10個×10個設けられている。ピラー15の平面形状は略円形状である。島部10bの平面形状を略正方形とすることで、島部10bの単位面積当たりのピラー15の個数を多くできる。ピラー15の個数を多くすることで、電気抵抗および熱抵抗を小さくできる。
【0036】
図5(b)の例では、島部10bの平面形状は略長方形状でありピラー15は10個×1個設けられている。図5(c)の例では、島部10bはL字状でありピラー15はL字状に設けられている。図5(a)から図5(c)のように、島部10bの平面形状は任意であり、多層基板100を小型化できるように、設定できる。
【0037】
図6(a)の例では、ピラー15の平面形状は直線状の略長方形状である。図6(b)の例では、ピラー15の平面形状は楕円形状である。図6(a)および図6(b)のように、ピラー15の平面形状は任意である。
【0038】
図6(c)の例では、平面形状が円形状と楕円形状のピラー15が設けられている。図6(c)のように、同じ島部10bに接続されるピラー15の平面形状は異なっていてもよい。図5(a)から図5(b)のように、ピラー15の平面形状は互いに同じでもよい。
【0039】
比較例1では、スルーホール38内の金属層19はめっき法等を用い形成される。このため、金属層19を厚くすることが難しい。スルーホール38の直径D6を大きくしても金属層19の厚さD9を一定とするとスルーホール38内の金属層19の体積はスルーホール38の体積ほどは大きくならない。
【0040】
一方、実施例1によれば、コア層10(金属コア層)は、金属層14(第1金属層)と金属層18(第2金属層)との間に設けられている。コア層10は開口30(第1開口)が設けられた本体部10aと、本体部10a内に設けられ本体部10aと電気的に分離された島部10bとを含む。絶縁層12(第1絶縁層)および絶縁層16(第2絶縁層)は、金属層14および18とコア層10とに挟まれている。複数のビア13(第1金属ビア)は絶縁層12を貫通し、金属層14と島部10bとを接続する。複数のビア17(第2金属ビア)は絶縁層16を貫通し、金属層18と島部10bとを接続する。
【0041】
島部10bはコア層10の一部であるため、比較例1の金属層19のような厚さの制限がない。そこで、複数のビア13および17の厚さ(高さT2)を島部10bの厚さT1の1/5以下とする。これにより、同じ開口30の面積でも比較例1に比べ、金属層14と18との間の電気抵抗および熱抵抗を小さくできる。よって、損失を抑制しかつ放熱性を向上できる。同じ電気抵抗および熱抵抗を比較例1より小さい開口30で実現できる。このため、多層基板100を小型化できる。なお、本体部10aおよび島部10bの厚さは略等しくT1である。
【0042】
ビア13および17の厚さ(高さT2)は島部10bの厚さT1の1/7以下が好ましく、1/10以下がより好ましい。島部10bが厚くなると多層基板が大型化する。よって、ビア13および17の厚さ(高さT2)は島部10bの厚さT1の1/50以上が好ましく、1/20以上がより好ましい。島部10bの厚さT1は、多層基板100の厚さTの1/3以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。
【0043】
図3(e)から図3(h)、図5(a)から図5(c)および図6(a)から図6(c)におけるピラー15の面積の合計(ビア13および17が島部10bに接続する面における断面積の合計)は、島部10bの平面面積の5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。これにより、金属層14と18との間の電気抵抗および熱抵抗を低くできる。
【0044】
島部10bの幅D5は島部10bの厚さT1以上である。これにより、金属層14と18との間の電気抵抗および熱抵抗を低くできる。島部10bの平面形状が略矩形の場合、短辺の幅が島部10bの厚さT1以上であることが好ましい。島部10bの幅D5は厚さT1の2倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましい。
【0045】
隣接するビア13端間の最短距離D2は島部10bの厚さT1の2倍以下が好ましく、T1以下がより好ましく、T1の1/2以下がさらに好ましい。隣接するビア17端間の最短距離D2は島部10bの厚さT1の2倍以下が好ましく、T1以下がより好ましく、T1の1/2以下がさらに好ましい。図6(c)のように、円形状のピラー15(すなわちビア13および17)の最短距離D2´と楕円形状のピラー15の最短距離D2が異なる場合、最も大きな距離D2がコア層10の厚さT1以下である。これにより、ビア13および17が島部10bに接続する面における断面積の合計を大きくできる。
【0046】
最も外側のビア13の端と島部10bの端との最短距離D3は島部10bの厚さT1以下が好ましく、T1の1/2以下がより好ましい。最も外側のビア17の端と島部10bの端との最短距離D3は島部10bの厚さT1以下が好ましく、T1の1/2以下がより好ましい。図6(b)のように、ピラー15(すなわちビア13および17)端と島部10b端との最短距離D3´およびD3が異なる場合、最も大きな距離D3が島部10bの厚さT1以下である。これにより、ビア13および17が島部10bに接続する面における断面積の合計を大きくできる。
【0047】
1つの島部10bに接続される複数のビア13および17の個数は各々10以上である。これにより、金属層14と18との間の電気抵抗および熱抵抗を低くできる。1つの島部10bに接続される複数のビア13および17の個数は各々20以上が好ましく、50以上がより好ましい。
【0048】
複数のビア13および17は距離D2の一定間隔で設けられている。これにより、金属層14と18との間の電気抵抗および熱抵抗を低くできる。
【0049】
島部10bの端と開口30の端との距離D4は、島部10bの厚さT1の2倍以下が好ましく、T1以下がより好ましい。これにより、開口30の面積を小さくでき、多層基板100を小型化できる。
【0050】
本体部10aにはグランド電位が供給される。この場合、島部10bが本体部10aと接触すると、ピラー15が接地されてしまう。よって、島部10bは本体部10aと絶縁されている。
【0051】
電子部品34は本体部10aに設けられた開口32(第2開口)に埋め込まれている。電子部品34が埋め込まれた多層基板は、小型化が可能であるが、多層基板の熱密度が増大する。そこで、島部10bおよびピラー15を介し放熱することが有効である。2個以上の電子部品34が本体部10aに埋め込まれていてもよい。金属層24上に別の電子部品が実装されていてもよい。
【0052】
多層基板100にスルーホール38が設けられていてもよい。電流が小さい経路にはスルーホール38を用いることにより、多層基板100の面積を小さくできる。
【0053】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 コア層
10a 本体部
10b 島部
11、12、16、22、25、26、29 絶縁層
13、17、17a、17b、27、27a、27b ビア
14、18、18a、18b、24、28、28a、28b 金属層
図1
図2
図3
図4
図5
図6