【実施例1】
【0020】
図1(a)は、実施例1に係る多層基板の平面図、
図1(b)は、
図1(a)のA−A断面図である。
図1(a)は主に、コア層10、ビア13、17、開口30、32および電子部品34を図示している。
【0021】
図1(a)および
図1(b)に示すように、多層基板100では、コア層10は本体部10aと島部10bを有している。本体部10aには開口30および32が形成されている。開口30内に島部10bが設けられている。本体部10aと島部10bとは絶縁されている。島部10bおよび開口30の平面形状は略矩形である。略矩形の4つの頂点の島部10bの側面(角部およびその近傍)に凸部10cが設けられ、開口30の側面(角部およびその近傍)に凸部10dが設けられている。凸部10cと10dとは対向して設けられている。開口32内に電子部品34が埋め込まれている。または、開口32が設けられず、電子部品34は埋め込まれなくてもよい。開口30および32内には絶縁層11が埋め込まれている。凸部10cと10dとの間には絶縁層36が埋め込まれている。
【0022】
コア層10上に絶縁層12が設けられ、絶縁層12上に金属層14が設けられている。金属層14および絶縁層12上に絶縁層22が設けられ、絶縁層22上に金属層24が設けられている。複数のビア13は絶縁層12を貫通し、島部10bと金属層14とを電気的に接続する。複数のビア23は絶縁層22を貫通し、金属層14と24とを電気的に接続する。絶縁層22上の金属層24上に開口を有する絶縁層25が設けられている。
【0023】
コア層10下に絶縁層16が設けられ、絶縁層16下に金属層18、18aおよび18bが設けられている。金属層18、18a、18bおよび絶縁層16下に絶縁層26が設けられ、絶縁層26下に金属層28、28aおよび28bが設けられている。複数のビア17、17aおよび17bは絶縁層16を貫通し、複数のビア27、27aおよび27bは絶縁層26を貫通する。ビア17は金属層18と島部10bとを電気的に接続する。ビア27は金属層18と金属層28とを電気的に接続する。金属層28aは、ビア27a、金属層18aおよびビア17aを介し本体部10aに電気的に接続されている。金属層28aにグランド電位を供給することで、本体部10aは接地される。金属層28bは、ビア27b、金属層18bおよびビア17bを介し電子部品34に電気的に接続されている。金属層28、28aおよび28bはランド等の端子として機能する。絶縁層26下に金属層28、28aおよび28b下に開口を有する絶縁層29が設けられている。
【0024】
なお、上層の金属層14、24、下層の金属層18および28は、一般に導電パターンと呼ばれ、電極、電極と一体の配線(再配線)、ビアやピラーなどとコンタクトし、その上をカバーするパッド、またはパッドと一体の配線などからなるものである。
【0025】
コア層10は、例えば銅、銅を主成分とする金属材料、銅合金、鉄または鉄合金等の金属層である。絶縁層11、12、16、22、26および36は、例えば合成樹脂であり、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂またはポリイミド樹脂であり、合成樹脂にガラス繊維等のフィラーが混合されていてもよい。絶縁層25および29は例えばエポキシ樹脂等のソルダーレジストである。金属層14、18、18a、18b、24、28、28a、28b、ビア13、17、17a、17b、23、27、27aおよび27bは、例えば銅、金または銀を主成分とする金属層であり、バリア層および/または密着層を含んでもよい。電子部品34は、例えばチップコンデンサ、チップインダクタまたはチップ抵抗等のチップ部品でもよく、集積回路またはトランジスタ等の半導体装置である。半導体装置は、ベアチップでもよいし、ベアチップが実装されたパッケージでもよい。
【0026】
コア層10の厚さT1は、一例として340μmであり、例えば35μmから500μmである。絶縁層12および16の各々の厚さT2は、一例として34μmであり、例えば5μmから100μmである。金属層14および18の各々の厚さT3は、一例として23μmであり、例えば5μmから100μmである。絶縁層22および26の各々の厚さT4は、一例として29μmであり、例えば5μmから100μmである。金属層24および28の各々の厚さT5は、一例として23μmであり、例えば5μmから100μmである。絶縁層25および29の各々の厚さT6は、一例として15μmであり、例えば2μmから50μmである。多層基板100の厚さTは、一例として588μmである。接続部10eの厚さT7は例えばコア層10の厚さT1の1/10から1倍である。
【0027】
図2(a)から
図4(c)は実施例1に係る多層基板の製造方法を示す断面図である。断面は、
図1(a)のA−A断面に相当する。
図2(a)に示すように、コア層10となる金属箔を準備する。
図2(b)に示すように、コア層10に開口30および32を形成する。開口30および32は、例えばエッチング法を用い形成する。本体部10aと島部10bとは接続部10e(ブリッジ)により接続される。接続部10eは、平面視において、島部10bの4頂点の側面に設けられ、断面視において、コア層10の上部(または下部)からコア層10の真ん中あたりまで構成されている。ここでは、いわゆる、ハーフエッチングで上半分または下半分が取り除かれて形成されている。島部10bと本体部10aとは接続部10eにより接続されているため、コア層10をハンドリングしても島部10bが本体部10aから分離することを抑制できる。
図2(c)に示すように、コア層10を支持層50に貼り付ける。支持層50は、例えば上面に接着剤が塗布された樹脂シートである。
【0028】
図3(a)に示すように、開口32内の支持層50上に電子部品34を搭載する。
図3(b)に示すように、開口30および32内に絶縁層11となる樹脂を充填する。
図3(c)に示すように、支持層50をコア層10から剥離する。コア層10の上面および下面に絶縁層12および16を形成する。絶縁層12および16を貫通する貫通孔33および37を形成する。
【0029】
図4(a)に示すように、貫通孔33および37内にビア13および17を形成する。絶縁層12上に金属層14を形成し、絶縁層16下に金属層18を形成する。
図4(b)に示すように、接続部10eを切断する。これにより、島部10bの側面および本体部10aの側面に凸部10cおよび10dが形成される。凸部10cおよび10d間に絶縁層36として樹脂を充填する。金属層14および18を所望の形状に加工する。
図3(c)において、絶縁層12の形成後、貫通孔33および37を形成する前に、接続部10eの切断を行ってもよい。
【0030】
図4(c)に示すように、絶縁層12および金属層14上に絶縁層22を形成する。絶縁層16および金属層18下に絶縁層26を形成する。絶縁層22および26を貫通するビア23および27を形成する。絶縁層22上に金属層24を形成する。これにより、第2層目の電極や配線などの導電パターンが形成される。絶縁層26下に金属層28を形成する。その後、
図1(b)のように、ソルダーレジストである絶縁層25および29を形成する。
【0031】
図4(a)と
図4(b)との間、または
図3(c)における貫通孔33および37の形成前に、接続部10eを切断する工程を詳細に説明する。
図5(a)から
図8(b)は、実施例1に係る多層基板の製造方法を示す図である。
図5(a)、
図6(a)および
図7(a)は、開口30付近の主にコア層を示す平面図である。
図5(b)、
図6(b)および
図7(b)から
図8(b)は、
図5(a)、
図6(a)および
図7(a)のA−A断面に相当する図である。
【0032】
図5(a)および
図5(b)に示すように、
図4(a)の状態では、島部10bと本体部10aとは接続部10eにより接続されている。接続部10eは、平面視において略矩形状の4つの頂点およびその近傍に設けられ、断面視において、側面の上部または下部に設けられている。接続部10e下の開口30内には絶縁層11が充填されている。
【0033】
図6(a)および
図6(b)に示すように、接続部10e上に金属層14および絶縁層12に開口52を形成する。開口52の形成には、例えばエッチング法、サンドブラスト法またはレーザ光照射法を用いる。開口52の平面形状は略長方形(または矩形状)であり、長方形の長辺は接続部10eの延伸方向にほぼ直交する。開口52の接続部10eの延伸方向の幅は接続部10eの長さより短く、開口52の接続部10eの延伸方向に直交する方向の幅は接続部10eより短い。
【0034】
図7(a)および
図7(b)に示すように、接続部10eを開口52からエッチング液を導入するウエットエッチング法を用い除去する。これにより、接続部10eから凸部10cおよび10dが形成される。ウエットエッチング法では接続部10eは等方的にエッチングされる。このため、接続部10eが除去された開口54は開口52より大きくなる。凸部10cおよび10dの側面および平面は円弧状となる。凸部10cおよび10dの角は鋭角となる(別の言い方をすれば、凸部に2つのツノが形成される)。凸部10cおよび10dは、本体部10aと島部10bとを接続する接続部10eの痕跡である。
【0035】
図8(a)に示すように、開口52および54内に樹脂を充填し、硬化させる。これにより、開口52および54内に絶縁層36が形成される。絶縁層36の形成には、例えば印刷法またはポッティング法を用いる。絶縁層36は絶縁層11および12と同じ材料でもよいし、異なる材料でもよい。絶縁層36は、表面が盛り上がって形成されることもある。この場合、
図8(b)に示すように、絶縁層36の上面と金属層14の上面とが平坦となるように、絶縁層36の上面を研磨または研削する。その後、金属層14および18を所望の形状に加工することで、
図4(b)の状態となる。
【0036】
実施例1によれば、
図2(b)において、本体部10aと、本体部10aに設けられた略矩形状の開口30内に設けられた略矩形状の島部10bと、島部10bと本体部10aとを接続する4つの接続部10eを含むコア層10(金属コア層)が形成されている。そして、
図3(b)および
図3(c)のように、コア層10上および開口30内に絶縁層11および12(第1絶縁層)を形成する。さらには、
図6(a)および
図6(b)のように、絶縁層11および12に接続部10eに通じる開口52(穴)を形成する。
図7(a)および
図7(b)のように、開口52を介し接続部10eを除去することで本体部10aと島部10bとを電気的に分離する。このように、絶縁層11および12を形成するときに接続部10eが存在することで、島部10bの平坦性を維持し、島部10bの位置を維持しながら開口30内に島部10bが形成される。その後接続部10eを除去する。
【0037】
接続部10eを設ける位置について検討する。
図9(a)から
図9(c)は、比較例1、2および実施例1の島部付近の平面図である。
図9(a)の比較例1のように接続部10eが2本の場合、矢印67のように横から力が加わると、島部10bが回転してしまう。
図9(b)の比較例2のように、4本の接続部10eが島部10bの4辺の真ん中付近に設けられている場合、矢印67のように島部10bの角に力が加わると、島部10bが回転、本体部10aから分離および/または変形してしまう。
【0038】
図9(c)に示すように、実施例1では、4つの接続部10eは、平面的にみたとき、島部10bの略矩形状の4頂点(角部)およびその近傍であり、断面的に見た場合、島部10bの側面と本体部10aの側面を接続する。これにより、
図2(b)から
図3(b)の間において、島部10bに力が加わっても、島部10bが回転、分離および/または変形することを抑制できる。なお、実施例1では、ハーフエッチングにより側面の上半分に接続部10eが形成されるが、接続部10eは側面の下半分に形成されていてもよく、さらには接続部10eは側面の上から下まで形成されていてもよい。
【0039】
図3(c)のように、コア層10下に絶縁層16(第3絶縁層)を形成する。
図4(a)のように、絶縁層12上に設けられ島部10bと複数のビア13(第1金属ピラー)を介し機械的に接続される金属層14(第1金属層)を形成する。絶縁層16下に島部10bとビア17(第2金属ピラー)を介し機械的に接続される金属層18(第2金属層)を形成する。ビア13および17を多く設けることにより、金属層14と18との間の電気抵抗および熱抵抗を低減できる。島部10bは、例えばヒートシンクのように、金属層14と18とを接続する用途以外のために設けられてもよい。
【0040】
絶縁層12および16の厚さT2をコア層10の厚さT1の1/5以下とすることが好ましい。これにより、金属層14と18との間の電気抵抗および熱抵抗を低減できる。ビア13が島部10bに接続する面における断面積の合計は、島部10bの平面面積の1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましい。ビア17が島部10bに接続する面における断面積の合計は、島部10bの平面面積の1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましい。これにより、金属層14と18との間の電気抵抗および熱抵抗を低くできる。
【0041】
このようにして製造された多層基板では、絶縁層11および12は、以下の部分に設けられる。まずは、島部10bの略矩形状の4つの頂点と開口30の略矩形状の4つの頂点との間の4つの領域(空間)、島部10bを囲むリング状の空間に設けられる。さらに言えば、本体部10aの側面および島部10bの側面が露出し絶縁層12の表面に通じる4つの開口52および54(穴)が形成されている。絶縁層36(第2絶縁層)は、この4つの開口52および54を埋め込む。さらに、コア層10の表面と裏面に絶縁層12および16が被覆される。また、本体部10aおよび島部10bの少なくとも一方は4つの開口54に側面が露出する凸部10c(ツノの部分)を有する。
【0042】
島部10bは樹脂等の絶縁層11、12、16および36に覆われている。絶縁層11、12、16および36と島部10bとは線膨張係数が異なる。これにより、島部10bに応力が加わり、島部10bが上にまたは下に反ることがある。これにより、島部10bとビア13および17とが剥がれることがある。そこで、凸部10cおよび10dを設けることで、アンカー効果により絶縁層11、12および36と島部10bとの密着性を向上させることができる。これにより、島部10bの反りを抑制し、島部10bと上下のビア13および17との良好なコンタクトを維持できる。
【0043】
島部10bおよび開口30が略矩形とは、比較例1、2に比べ島部10bの変形が抑制できる程度を意味する。例えば、島部10bおよび開口30の平面形状は、島部10bおよび開口30を形成する工程(例えばエッチングする工程)において、矩形から変形することを許容する程度に略矩形であればよく、接続部10e、凸部10cおよび10dが設けられることを許容する程度に略矩形であればよい。
【0044】
開口54をウエットエッチング法を用い形成すると、開口54の大きさの制御が難しい。開口54が大きくなりすぎると島部10bの面積が小さくなってしまう。そこで、接続部10eは1つの島部10bに4本のみ設けられていることが好ましい。また、接続部10eの幅D2は島部10bの短辺の幅D3の1/5以下が好ましく、1/10以下がより好ましい。さらに、幅D2は、島部10bの厚さT1の2倍以下が好ましい。接続部10eの厚さT7は、島部10bの厚さT1の2/3以下が好ましく、1/2以下がより好ましい。接続部10eの強度を確保するため、接続部10eの幅D2は幅D3の1/100以上が好ましい。接続部10eの厚さT7は島部10bの厚さT1の1/10以上が好ましい。
【0045】
島部10bの4つの辺と開口30の4つの辺との距離D1は互いに略等しいことが好ましい。これにより、4本の接続部10eにより島部10bをバランスよく保持することができる。距離D1は、島部10bの幅D3の1/5以下が好ましく、1/10以下がより好ましい。これにより、小型化が可能となる。4本の接続部10eと島部10bの辺とのなす角度θは鈍角であることが好ましい。これにより、4本の接続部10eにより島部10bをバランスよく保持することができる。
【0046】
図10(a)および
図10(b)は、実施例1の島部付近の平面図である。接続部10eのうち凸部10cおよび10dとなる箇所を破線で示している。
図10(a)に示すように、接続部10eは島部10bの頂点64aの近傍と開口30の頂点65aの近傍を接続する。
図10(b)のように、接続部10eは島部10bの辺に対し直交する方向に延伸してもよい。
【0047】
接続部10eが島部10bの頂点64aの近傍と開口30の頂点65aの近傍に設けられた場合、凸部10cは頂点64aの近傍に設けられ、凸部10dは頂点65aの近傍に設けられる。頂点64aおよび65aの近傍とは、比較例2に比べ島部10bの変形が抑制できる程度を意味する。頂点64aの近傍とは、例えば島部10bの辺の中点64bと頂点64aとの中点64cより頂点64a側である。頂点65aの近傍とは、例えば開口30の辺の中点65bと頂点65aとの中点65cより頂点65a側である。
【0048】
このように、4つの接続部10eは、島部10bの略矩形状の4頂点またはその近傍の側面と本体部10aの側面を接続すればよい。島部10bの頂点64aまたはその近傍と開口30の頂点65aまたはその近傍との間の4つの領域において開口52および54が形成されていればよい。
【0049】
図11(a)から
図11(c)は、実施例1における頂点付近の平面図である。
図11(a)に示すように、開口52をマスクにウエットエッチング法を用い接続部10eを除去すると、開口54に露出し絶縁層36に接する凸部10cおよび10dの側面62は中央が遠ざかり端が近づく曲面となる。このように、凸部10cおよび10dにツノ60が形成され、ツノ60の角度が鋭角となる。
【0050】
図11(b)に示すように、開口52が島部10b寄りに設けられると、島部10bの側面には凸部10cは形成されず島部10bの凸部10dに対向する側面62は曲面となる。凸部10dおよび島部10bの側面62のツノ60が鋭角となる。
図11(c)に示すように、開口52が本体部10a寄りに設けられると、本体部10aの側面には凸部10dは形成されず本体部10aの凸部10cに対向する側面62は曲面となる。凸部10cおよび本体部10aの側面62のツノ60が鋭角となる。
【0051】
図11(a)から
図11(c)のように、凸部10cおよび10dは、4つの頂点64aまたはその近傍と開口30の略矩形状の4つの頂点65aまたはその近傍との間の4つの領域において島部10bの側面および本体部10aの側面の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0052】
実施例1において、島部10b内を金属層14から金属層18に流れる電流密度をシミュレーションした。
シミュレーションの条件は以下である。
コア層10、金属層14および18の材料:銅
コア層10の厚さT1:340μm
ビア13および17の厚さT2:68μm
ビア13および17の直径:50μm
ビア13および17の個数:21個×21個
【0053】
図12は、実施例1における島部を流れる電流密度を示す図である。
図12において、領域70aにおける電流密度が最も高く、領域70b、70c、70dおよび70eに従い電流密度が低い。
図12に示すように、島部10bの中央部を流れる電流密度が高く、頂点(角部)付近の電流密度が低い。
【0054】
実施例1およびその変形例のように、島部10bの頂点付近に接続部10eを設ける。これにより、接続部10eを除去するときに、
図11(b)のように、島部10bの一部が除去されたとしても、島部10bの電流密度が低い領域が除去される。よって、島部10bの抵抗への影響が小さい。
【0055】
[実施例1の変形例1]
図13(a)から
図13(c)は、実施例1の変形例1における頂点付近の平面図である。
図13(a)から
図13(c)に示すように、開口52の形状を3角形の頂点を接続した形状とする。
図13(a)では、開口52は接続部10eの島部10bと本体部10aとの中間付近に設けられている。
図13(b)では、開口52は接続部10eの島部10b寄りに設けられている。
図12(c)では、開口52は接続部10eの本体部10a寄りに設けられている。
【0056】
図14(a)から
図14(c)は、実施例1の変形例1における頂点付近の平面図である。
図14(a)に示すように、
図13(a)の開口52を用い接続部10eをエッチングすると、開口54に露出する凸部10cおよび10dの側面62は中央部が近づき端部が遠ざかる局面となる。これにより、凸部10cおよび10dの側面に鋭角な角は形成されない。
【0057】
図14(b)に示すように、
図13(b)の開口52を用い接続部10eをエッチングすると、凸部10cは設けられず、凸部10dが設けられる。凸部10dの側面および島部10bの側面に鋭角な角は形成されない。
図14(c)に示すように、
図13(c)の開口52を用い接続部10eをエッチングすると、凸部10dは設けられず、凸部10cが設けられる。凸部10cの側面および本体部10a側面に鋭角な角は形成されない。
【0058】
実施例1の
図11(a)から
図11(c)のように、側面62のツノ60が鋭角となると、絶縁層11および36に熱衝撃等によりクラックが発生しやすくなる。さらに、島部10bと本体部10aとの間に高電圧がかかると、ツノ60の鋭角さと、クラック等により島部10bと本体部10aとの間に放電が発生することがある。実施例1の変形例1では、島部10bの側面のツノは丸められて側面は全てが鈍角である。これにより、絶縁層11および36等のクラックが抑制され、島部10bと本体部10aとの間の放電等をなくすことができる。
【0059】
[実施例1の変形例2]
実施例1の変形例2では、
図2(b)の後に、コア層10の表面を粗化する。粗化は例えばエッチングまたはブラスト処理により行う。これにより、絶縁層11、12および16とコア層10との密着性が向上する。一方、実施例1の
図11(a)から
図11(c)並びに
図14(a)から
図14(c)の側面62は粗化工程の後に形成される。このため、側面62は粗化されていない。
【0060】
図15(a)から
図15(c)は、実施例1の変形例2における頂点付近の拡大図である。
図15(a)から
図15(c)のように、開口54に露出するコア層10の側面62は粗化されていない。側面62以外のコア層10の表面66は粗化されている。開口54に露出するコア層10の側面62は、コア層10の他の表面66より平坦となる。実施例1およびその変形例1にいて表面66を粗化すると、粗化されていない側面62は、島部10bの側面に4か所となる。島部10bの側面全体に対する側面62の面積は50%以下となる。
【0061】
以上のように、実施例1およびその変形例では、島部10bの4つの角部にツノを残し、このツノのアンカー効果によって、島部10bの反りを抑制し、その結果ビア13および17(ピラー)と島部10bとのコンタクト不良を抑制することができる。また、ツノは放電を発生しやすくするため、実施例1の変形例1のように、このツノを丸めることにより、放電を抑止し、回路の破壊を抑制することができる。また、接続部10eを4つの角部およびその近傍に設けることで、島部10bの平坦性を維持し、ビア13および17(ピラー)の均一な充填を可能とする。島部10bが傾くことにより、あるものはメッキの深さが深く、あるものはメッキの深さが浅くなるからである。
【0062】
また、
図12のように、この4つの角部は、電流密度分布を見てみると、電流が流れにくい部分であり、ここに接続部10eを設け、後の工程で取り除いても、電流容量自体は、大きく減少することはない。
【0063】
また、島部10bのサイズ、つまり体積が大きい、または平面視の表面の面積が大きいほど、抵抗値が低く形成され、大電流が流せる。その結果、本多層基板の裏から表、表から裏への電流通路として有効となる。
【0064】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。