【解決手段】本発明に係る電気化学デバイスは、正極と、負極と、セパレータと、電解液とを具備する。正極は、導電性材料からなる正極集電体と、正極集電体上に形成された正極活物質層とを有する。負極は、第1及び第2の負極活物質層と、第1の負極活物質層が形成された第1の主面と、第2の負極活物質層が形成されている塗工領域と第2の負極活物質層が形成されていない非塗工領域を有する第2の主面と、第1の主面と第2の主面とを連通させる複数の貫通孔とを有する負極集電体とを有し、第2の負極活物質層は、第1の厚みを有する第1の部分と、第1の部分と非塗工領域の間の部分であり、第1の厚みより小さい第2の厚みを有する第2の部分とを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、リチウムイオンを電荷キャリアとして利用する電気化学デバイスでは、負極へのリチウムイオンのドープを均一とする必要がある。負極の一部にリチウムイオンが集中すると、リチウムイオンが均一となるまでに時間を要する。
【0007】
上記特許文献1及び2に記載のような構成は、活物質層の一部が厚くなることによる活物質層の脱落や電極の折れ曲がりを回避するものであり、リチウムイオンの集中が生じるおそれがある。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、電極の折れ曲がりを防止し、リチウムイオンプレドープを均一にすることが可能な電気化学デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る電気化学デバイスは、正極と、負極と、セパレータと、電解液とを具備する。
上記正極は、導電性材料からなる正極集電体と、上記正極集電体上に形成された正極活物質層とを有する。
上記負極は、第1及び第2の負極活物質層と、上記第1の負極活物質層が形成された第1の主面と、上記第2の負極活物質層が形成された塗工領域と上記第2の負極活物質層が形成されていない非塗工領域を有する第2の主面と、上記第1の主面と上記第2の主面とを連通させる複数の貫通孔とを有する負極集電体とを有し、上記第2の負極活物質層は、第1の厚みを有する第1の部分と、上記第1の部分と上記非塗工領域の間の部分であり、上記第1の厚みより小さい第2の厚みを有する第2の部分とを有する。
上記セパレータは、上記正極と上記負極を絶縁する。
上記電解液は、上記正極、上記負極及び上記セパレータが浸漬される。
上記非塗工領域には金属リチウムが電気的に接続され、上記電解液に浸漬されることで、上記第1及び第2の負極活物質層にリチウムイオンのプレドープがなされている。
【0010】
この構成によれば、第1部分と非塗工領域の間に、厚みの小さい第2部分が設けられているため、第2の負極活物質層と非塗工領域の境界を起点として負極が折れ曲がることが防止されている。また、リチウムイオンのプレドープ時に第2の負極活物質層と非塗工領域の境界部分にリチウムイオンが集中することが防止され、第2の負極活物質層におけるリチウムイオンの分布を均一とすることが可能である。
【0011】
上記第2の部分、上記負極集電体及び上記第1の負極活物質層の厚みの合計である第3の厚みは、上記第1の部分、上記負極集電体及び上記第1の負極活物質層の厚みの合計である第4の厚みの80%以上95%以下であってもよい。
【0012】
上記第1及び第2の負極活物質層は、負極活物質、導電助剤及びバインダ樹脂を混合した材料からなるものであってもよい。
【0013】
上記正極及び上記負極は、上記セパレータを介して積層され、捲回されていてもよい。
【0014】
上記電気化学デバイスは、リチウムイオンキャパシタであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、電極ズレの発生を防止し、リチウムイオンを均一にドープさせることが可能な電気化学デバイスの製造方法及び電気化学デバイスを提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る電気化学デバイスについて説明する。本実施形態に係る電気化学デバイスは、リチウムイオンキャパシタ等の、電荷の輸送にリチウムイオンを利用する電気化学デバイスである。なお、以下の図において、X、Y及びZ方向は相互に直交する3方向である。
【0018】
[電気化学デバイスの構成]
図1は、本実施形態に係る電気化学デバイス100の構成を示す斜視図である。同図に示すように電気化学デバイス100は、蓄電素子110が容器120(蓋及び端子は図示略)に収容されている。容器120内には、蓄電素子110と共に電解液が収容されている。なお、本実施形態に係る電気化学デバイス100の構成は、
図1をはじめ、以降の図に示す構成に限定されるものではない。
【0019】
図2は蓄電素子110の斜視図であり、
図3は蓄電素子110の拡大断面図である。
図2及び
図3に示すように、蓄電素子110は、負極130、正極140及びセパレータ150を有し、これらが積層された積層体が捲回芯Cの回りに捲回されて構成されている。なお、捲回芯Cは必ずしも設けられなくてもよい。
【0020】
蓄電素子110を構成する負極130、正極140、セパレータ150の積層順は、
図2に示すように、捲回芯C側に向かって(捲回外側から)セパレータ150、負極130、セパレータ150、正極140の順となる。また、蓄電素子110は、
図2に示すように負極端子131と正極端子141を有する。負極端子131は負極130、正極端子141は正極140に接続され、
図2に示すように、それぞれ蓄電素子110の外部に引き出されている。
【0021】
負極130は、
図3に示すように、負極集電体132、第1負極活物質層133及び第2負極活物質層134を有する。負極集電体132は、導電性材料からなり、銅箔等の金属箔であるものとすることができる。本実施形態では、負極集電体132として、貫通孔が多数形成された金属箔が採用される。
【0022】
第1負極活物質層133及び第2負極活物質層134は、負極集電体132上に形成されている。第1負極活物質層133及び第2負極活物質層134の材料は、負極活物質がバインダ樹脂と混合されたものとすることができ、さらに導電助材を含んでもよい。負極活物質は、電解液中のリチウムイオンがドープ可能な材料であり、例えば難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、グラファイトやソフトカーボン等の炭素系材料や、Si、SiOなどの合金系材料、または、それらの複合材料を用いることができる。
【0023】
バインダ樹脂は、負極活物質を接合する合成樹脂であり、例えばスチレンブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、カルボキシメチルセルロース、フッ素系ゴム、ポリビニリデンフルオライド、イソプレンゴム、ブタジエンゴム及びエチレンプロピレン系ゴム等を用いてもよい。
【0024】
導電助剤は、導電性材料からなる粒子であり、負極活物質の間での導電性を向上させる。導電助剤は、例えば、黒鉛やカーボンブラック等の炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、導電助剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などであってもよい。
【0025】
図4は捲回前の負極130を示す模式図であり、
図4(a)は側面図、
図4(b)は平面図である。本実施形態に係る負極130は、
図4(a)に示すように、負極集電体132の第1主面132aに第1負極活物質層133が形成され、第2主面132bに第2負極活物質層134が形成されている。
【0026】
第1負極活物質層133は、第1主面132aの全体に渡って形成されている。一方、第2負極活物質層134は、第2主面132bにおいて間欠的に形成されている。
図4(a)に示すように、第2主面132bには第2負極活物質層134が形成されていない第1非塗工領域130a、第2非塗工領域130b及び第3非塗工領域130cと、第2負極活物質層134が形成された第1塗工領域130d及び第2塗工領域130eが設けられている。
【0027】
第1塗工領域130d及び第2塗工領域130eの端部には第2負極活物質層134の厚みが異なる部分が設けられている。この詳細については後述する。
【0028】
第1非塗工領域130a内の負極集電体132には、
図4(b)に示すように、リチウムイオンの供給源となる金属リチウムMが貼り付けられることにより電気的に接続される。金属リチウムMの形状は特に限定されないが、蓄電素子110の厚みを低減するため、箔状が好適である。金属リチウムMは、後述するリチウムイオンのプレドープにおいて第1負極活物質層133及び第2負極活物質層134にドープ可能な程度の量とすることができる。
【0029】
第1非塗工領域130aと第2非塗工領域130bのX方向の長さは特に限定されないが、第2非塗工領域130bのX方向の長さは、好適には捲回芯Cの直径に対して1/2π倍程度の長さである。また、第2非塗工領域130bを設けない構成とすることもできる。
【0030】
第3非塗工領域130c内の負極集電体132には、
図4(a)に示すように負極端子131が接続され、負極130の外部に引き出されている。第3非塗工領域130cは、第3非塗工領域130c内の負極集電体132が露出しないように、
図4(a)に示すように、テープTにより封止されている。テープTの種類は特に限定されず、好適には耐熱性かつ電解液の溶剤に対して耐溶剤性を有するものが採用される。負極端子131は、例えば、銅端子である。なお、テープTは必要に応じて省略されてもよい。
【0031】
正極140は、
図3に示すように、正極集電体142及び正極活物質層143を有する。正極集電体142は、導電性材料からなり、アルミニウム箔等の金属箔であるものとすることができる。正極集電体142は表面が化学的あるいは機械的に粗面化された金属箔や、貫通孔が形成された金属箔であってもよい。
【0032】
正極活物質層143は、正極集電体142の表裏面上に形成されている。正極活物質層143の材料は、正極活物質がバインダ樹脂と混合されたものとすることができ、さらに導電助材を含んでもよい。正極活物質は、電解液中のリチウムイオン及びアニオンが吸着可能な材料であり、例えば活性炭やポリアセン炭化物等を利用することができる。
【0033】
バインダ樹脂は、正極活物質を接合する合成樹脂であり、例えばスチレンブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、カルボキシメチルセルロース、フッ素系ゴム、ポリビニリデンフルオライド、イソプレンゴム、ブタジエンゴム及びエチレンプロピレン系ゴム等を用いてもよい。
【0034】
導電助剤は、導電性材料からなる粒子であり、正極活物質の間での導電性を向上させる。導電助剤は、例えば、黒鉛やカーボンブラック等の炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、導電助剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などであってもよい。
【0035】
図5は捲回前の正極140を示す模式図であり、
図5(a)は側面図、
図5(b)は平面図である。正極140は、
図5(a)に示すように、正極集電体142の第3主面142aと第4主面142bの両面に正極活物質層143が形成され、第3主面142aに正極活物質層143が形成されていない非塗工領域140aが設けられている。
【0036】
ここで、非塗工領域140a内の正極集電体142には、
図5に示すように正極端子141が接続され、正極140の外部に引き出されている。なお、正極140において、正極端子141が配置される非塗工領域140aは第4主面142bに形成されてもよい。また、非塗工領域140aは、テープ等で封止されていてもよい。正極端子141は、例えば、アルミニウム端子である。
【0037】
セパレータ150は負極130と正極140を絶縁し、
図3に示すように、第1セパレータ151及び第2セパレータ152を含む。
【0038】
第1セパレータ151と第2セパレータ152は、負極130と正極140を隔て、後述する電解液中に含まれるイオンを透過する。具体的には、第1セパレータ151及び第2セパレータ152は、織布、不織布、合成樹脂微多孔膜等であるものとすることができ、例えばオレフィン系樹脂を主材料としたものとすることができる。また、第1セパレータ151及び第2セパレータ152は連続した一枚のセパレータであってもよい。
【0039】
図6は蓄電素子110の断面図である(負極端子131及び正極端子141は図示略)。本実施形態に係る蓄電素子110は、
図6に示すように、第1セパレータ151及び第2セパレータ152を介して負極130と正極140が積層され、捲回されている。具体的には、負極集電体132の第1主面132aと正極集電体142の第3主面142aが捲回内側となり、負極集電体132の第2主面132bと正極集電体142の第4主面142bが捲回外側となるように構成されている。
【0040】
ここで、蓄電素子110は最も捲回外側(最外周)の電極が負極130となる構成であり、
図6に示すように、最も捲回外側の負極集電体132の第2主面132bに第1非塗工領域130aが設けられ、最も捲回内側の負極集電体132の端部に第2非塗工領域130bが設けられる。
【0041】
また、負極集電体132の第1主面132aは、
図6に示すように、第1セパレータ151を介して正極140(正極活物質層143)と対向している。第2主面132bは、同図に示すように、第2セパレータ152を介して正極140(正極活物質層143)と対向する第1領域132eと、最も捲回外側となり第2セパレータ152を介して正極140(正極活物質層143)と対向しない第2領域132fとを有する。本実施形態の蓄電素子110は、この第2領域132fに金属リチウムMが貼り付けられることにより電気的に接続される。
【0042】
容器120は、蓄電素子110を収容する。容器120の上面及び下面は図示しない蓋によって閉塞されるものとすることができる。容器120の材質は、特に限定されず、例えばアルミニウム、チタン、ニッケル、鉄を主成分とする金属又はステンレス等からなるものとすることができる。
【0043】
蓄電素子110は、電解液と共に容器120に収容される。電解液は特に限定されないが、LiPF
6等を溶質とする溶液を用いることができる。
【0044】
[負極活物質層の厚みについて]
第2負極活物質層134の厚みについて説明する。
図7は、負極130を示す模式図であり、
図7(a)は側面図、
図7(b)は平面図である。
【0045】
負極130は、
図4に示すように、第1塗工領域130dと第2塗工領域130eを有するが、ここでは第1塗工領域130dについて説明する。
【0046】
図7に示すように、第2負極活物質層134は、第1部分134aと第2部分134bを有する。
【0047】
第1部分134aは第1塗工領域130dの大部分を占め、第2部分134bは、第1部分134aと非塗工領域(第1非塗工領域130a及び第3非塗工領域130c)の間の部分である。
【0048】
第1部分134aは、第2負極活物質層134が所定の厚みD1を有する部分である。第2部分134bは、第2負極活物質層134が第1部分134aより小さい厚みD2を有する部分である。
【0049】
また、第2部分134b、負極集電体132及び第1負極活物質層133の厚みの合計を厚みD3とし、第1部分134a、負極集電体132及び第1負極活物質層134の厚みの合計を厚みD4とする。
【0050】
厚みD3は厚みD4の80%以上95%以下が好適である。また、負極130の長手方向(X方向)に沿った第2部分134bの幅Hは、5mm程度が好適である。
【0051】
なお、ここでは第1塗工領域130dについて説明したが、第2塗工領域130eについても同様に、第1部分134aと第2部分134bが設けられ、第2部分134bは第1部分134aと非塗工領域(第2非塗工領域130b及び第3非塗工領域130c)の間の部分である。
【0052】
[第2部分による効果について]
上記のように、第2負極活物質層134は、第1部分134aと非塗工領域の間の部分である第2部分134bを備える。第2部分134bを設けたことによる効果を比較例との比較の上で説明する。
【0053】
図8は、比較例に係る負極530の模式図である。同図に示すように、負極530は、負極集電体532、第1負極活物質層533及び第2負極活物質層534を備える。第2負極活物質層534は、負極集電体532上において間欠塗工により形成され、塗工領域530a及び非塗工領域530bが設けられている。
【0054】
ここで、
図8に示すように第2負極活物質層534は、第1部分534aと第2部分534bを有する。第2部分534bは第1部分534aと非塗工領域530bの間に設けられた部分であり、第1部分534aより厚みが大きい部分である。
【0055】
負極集電体532上に第2負極活物質層534を積層する場合、負極活物質、バインダ樹脂及び導電助剤を混合した負極ペーストをダイから負極集電体532上に吐出させる。間欠塗工を行う場合、塗工領域530aの端部で負極ペーストの吐出を中断する必要があるが、この際に
図8に示すように負極ペーストが盛り上がり、第2部分534bが形成される。
【0056】
このため、負極530に力が加わると第2部分534bと非塗工領域530bの境界を起点として負極530が折れ曲がり、素子捲回時の歩留まりの悪化が生じていた。
【0057】
さらに、プレドープにおいて厚みの大きい第2部分534bに多量のリチウムイオンがドープされ、リチウムイオンの分布ムラが生じる。これにより、リチウムイオンが均一となるまでに時間を要する。
【0058】
これに対し、本実施形態に係る負極130では、第1部分134aと非塗工領域の間に第2負極活物質層134の厚みが小さい第2部分134bが設けられており、第2負極活物質層134と非塗工領域の境界を起点として負極130が折れ曲がりにくくなっている。また、第2部分134bへのリチウムイオンの集中が防止されており、プレドープによってリチウムイオンが均一となる。
【0059】
[電気化学デバイスの製造方法]
本実施形態に係る電気化学デバイス100の製造方法について説明する。なお、以下に示す製造方法は一例であり、電気化学デバイス100は、以下に示す製造方法とは異なる製造方法によって製造することも可能である。
【0060】
負極130は、負極集電体132の第1主面132a及び第2主面132bに、負極活物質、導電助剤及びバインダ等を含む負極ペーストを塗布し、乾燥又は硬化させることにより作製することができる。負極ペーストの塗布は、負極ペーストをダイから吐出させながら、負極集電体132を長手方向(X方向)に移動させることにより行う。ダイは先端がフラットなものを用いる。
【0061】
ダイに負極ペーストを供給するバルブを開放すると塗工領域が形成され、同バルブを閉止すると非塗工領域が形成される。第2負極活物質層134ではバルブを解放して第1部分134aを形成した後、非塗工領域の5mm程度(時間では10μs程度)手前からバルブを閉止することにより第2部分134bを形成することができる。
【0062】
次いで、負極集電体132、第1負極活物質層133及び第2負極活物質層134を裁断し、非塗工領域130cに負極端子131を接続してテープTで封止することで負極130を作製することができる。
【0063】
正極140は、正極集電体142の第3主面142a及び第4主面142bに、正極活物質、導電助剤及びバインダ等を含む正極極ペーストを塗布し、乾燥又は硬化させることにより作製することができる。正極ペーストの塗布は、正極ペーストをダイから吐出させながら、正極集電体142を長手方向(X方向)に移動させることにより行う。
【0064】
次いで、正極集電体142及び正極活物質層143を裁断し、非塗工領域140aに正極端子141を接続することで正極140を作製することができる。
【0065】
続いて、負極130、正極140、第1セパレータ151及び第2セパレータ152を積層させ、
図6に示すように捲回させる。この際、負極130が捲回内側、正極140が捲回外側となり、負極130の第2非塗工領域130bが捲回芯C側となるようする。
【0066】
続いて、上記工程により得られた捲回体の最も捲回外側に配置された第1非塗工領域130aに、金属リチウムMを電気的に接続し(
図6参照)、蓄電素子110を得る。次いで、金属リチウムMが電気的に接続された蓄電素子110を電解液が入っている容器120に収容して、封口する。これにより、金属リチウムMから負極130にリチウムイオンがプレドープされる。以上のようにして、電気化学デバイス100を製造することが可能である。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0068】
例えば、上記実施形態では、電気化学デバイス100の一例として捲回型のリチウムイオンキャパシタについて説明したが、本発明は、それぞれ板状の正極と負極とがセパレータを介して交互に複数積層されてなる積層型のリチウムイオンキャパシタや、リチウムイオン電池等にも適用可能である。
【実施例】
【0069】
上記実施形態に係る電気化学デバイス100の構造を備え、40Fの1235サイズを有する電気化学デバイスを実施例に係る電気化学デバイスとした。
【0070】
また、電気化学デバイス100のうち負極130に代え、上述の負極530を備え、40Fの1235サイズを有する電気化学デバイスを比較例に係る電気化学デバイスとした。
【0071】
実施例及び比較例に係る電気化学デバイスについて、捲回時の負極の折れ曲がりと、プレドープ時の金属リチウムの溶け残り量を比較した。
図9は比較結果を示す表である。
【0072】
同図に示すように、比較例においては捲回時に30%の電気化学デバイスで負極530の折れ曲がりが発生した。一方、実施例においては、捲回時に負極130の折れ曲がりは発生しなかった。
【0073】
また、
図9において金属リチウムの溶け残り量は、リチウムイオンのプレドープを開始後の経過日数と残存する金属リチウムの面積を示す。実施例においてはプレドープから7日目に金属リチウムは消失したが、比較例においては金属リチウムが消失するまでに10日を要した。
【0074】
以上から、本実施形態に係る電気化学デバイスでは、負極の折れ曲がりが防止され、かつリチウムイオンのプレドープに要する時間が短縮できることがわかる。