【解決手段】トランスは、基材31と、基材31の第1表面31aに設けられる第1コイルパターン32aと、基材31の第2表面に設けられる第2コイルパターンと、を有する基板30を備える。第1表面31aには、第1配線パターン32bが設けられており、第1コイルパターン32aの内周側の端部32eと第1配線パターン32bの一端部32gとは、第1ジャンパーピン35によって電気的に接続されており、第2表面には、第2配線パターンが設けられており、第2コイルパターンの内周側の端部と第2配線パターンの一端部とは、第2ジャンパーピンによって電気的に接続されている。
絶縁性の基材と、前記基材の第1表面に設けられる導電性の渦巻き状の第1コイルパターンと、前記基材の第2表面に設けられる導電性の渦巻き状の第2コイルパターンと、を有する2層基板と、
前記第1コイルパターンと前記第2コイルパターンとを電磁結合するコアと、
を備え、
前記基材の前記第1表面には、前記第1コイルパターンに対して所定の距離を隔てて配置される第1配線パターンが設けられており、
前記第1コイルパターンの内周側の端部と前記第1配線パターンの一端部とは、第1ジャンパー部材によって電気的に接続されており、
前記基材の前記第2表面には、前記第2コイルパターンに対して所定の距離を隔てて配置される第2配線パターンが設けられており、
前記第2コイルパターンの内周側の端部と前記第2配線パターンの一端部とは、第2ジャンパー部材によって電気的に接続されていることを特徴とするトランス。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るトランス1(変圧器)の構造について説明する。
【0016】
トランス1は
図1および
図2に示すように、金属製の筐体10、放熱シート(放熱部材)21、下側コア(コア)22、放熱シート(放熱部材)23、基板(2層基板)30、放熱シート(放熱部材)24、スペーサ25a、25b、上側コア(コア)26、放熱シート(放熱部材)27、金属製の押えプレート28によって構成されている。
【0017】
筐体10全体は、良好な熱伝導性を有する例えば銅やアルミニウム等の金属によって形成されている。筐体10は
図2および
図3に示すように、下側コア22、基板30および上側コア26等が積層配置される平板状の基台11を備え、基台11の4隅に形成されたネジ挿入穴11aを用いてヒートシンク(図示せず)に取り付けられる。筐体10は、後述するように、下側コア22、基板30および上側コア26で発生した熱を、基台11を介してヒートシンク(図示せず)に放熱(熱伝導)する。なお、基台11とヒートシンク(図示せず)との間には、熱伝導性の良好な放熱シート等が配置される。
【0018】
基台11の所定領域には、所定の深さを有するとともに、放熱シート21が配置される一対のシート載置用凹部11bが形成されている。一対のシート載置用凹部11bは、矢印AA´方向に互いに所定の間隔を隔てて配置されている。
【0019】
基台11の一対のシート載置用凹部11bの間の部分には、基台11の上面から上方に(基板30側に)突出するように、中央放熱部12が形成されている。中央放熱部12は、矢印BB´方向に延びるように形成されている。また、中央放熱部12の中心には、基板30を固定するためのネジ穴12aが形成されている。
【0020】
基台11には、一対のシート載置用凹部11bを矢印AA´方向に挟むように、第1放熱部14aおよび第2放熱部14bと第3放熱部14cとが設けられている。第1放熱部14a、第2放熱部14bおよび第3放熱部14cは、基台11の上面から上方に突出するように形成されているとともに、矢印BB´方向に延びるように形成されている。なお、中央放熱部12、第1放熱部14a、第2放熱部14bおよび第3放熱部14cは、上面の高さが互いに略同じになるように形成されている。
【0021】
第2放熱部14bは、中央放熱部12、第1放熱部14aおよび第3放熱部14cに比べて矢印BB´方向の長さが短くなるように形成されている。また、第2放熱部14bは、基台11の矢印BB´方向の中心に対して矢印B´方向に配置されている。このため、第2放熱部14bの矢印B方向の部分には、スペースSが形成されている。また、
図4に示すように、第2放熱部14bは、シート載置用凹部11bから所定の隙間を隔てて配置されており、第1放熱部14aは、第2放熱部14bから所定の隙間を隔てて配置されている。また、第3放熱部14cは、シート載置用凹部11bから所定の隙間を隔てて配置されている。これらの隙間に冷却風を送風すれば、トランス1の放熱性を向上させることが可能である。
【0022】
基台11には
図3に示すように、一対のシート載置用凹部11bを矢印BB´方向に挟むように、二対の壁部15が設けられている。各壁部15の上端部には、一対のネジ挿入穴15aが設けられている。ネジ挿入穴15aは、ネジの取り付け高さが調節可能となるように、上下方向に少しだけ長い長円形状に形成されている。
【0023】
基台11の4隅近傍には、ネジ挿入穴11aに隣接するように、基板30を固定するためのボルトからなる固定部16が設けられている。固定部16は、基台11の上面から上方に突出するように設けられているとともに、中央放熱部12、第1放熱部14a、第2放熱部14bおよび第3放熱部14cの上面よりも少しだけ(例えば放熱シート23の厚みと略同じ高さだけ)高くなるように形成されている。
【0024】
放熱シート21は、隙間を埋めて熱を伝える熱伝導シートであるとともに、弾力性を有する例えばシリコーンやゴムからなる電気的に絶縁性のシートである。例えば、放熱シート21は、0.5W/m・K以上の熱伝導率を有することが好ましい。熱伝導率は、放熱性の観点からより高い方が好ましいが、現在の製造技術では50W/m・K程度が上限値となっている。また、放熱シート21は、50以下のアスカーC硬度を有することが好ましい。アスカーC硬度は、凹凸面への密着性の観点からより低い方が好ましいが、現在の製造技術では1程度が下限値となっている。また、放熱シート21は、0.5kV/mm以上の絶縁破壊電圧を有することが好ましい。ただし、本実施形態のトランス1の使用環境によっては、0.5kV/mm未満(例えば0.1kV/mm)でも適用できる場合がある。また、絶縁破壊電圧は、耐電圧性の観点からより高い方が好ましいが、現在の製造技術では30kV/mm程度が上限値となっている。放熱シート21には、必要に応じてセラミックやフィラー等の熱伝導性の良好な粒子が含有されていてもよい。なお、放熱シート23、24および27は、例えば放熱シート21と同じ材質の放熱シートによって形成されている。
【0025】
放熱シート21は
図2に示すように、矢印BB´方向に延びるように形成されているとともに、矢印AA´方向に互いに所定の間隔を隔てて一対設けられている。一対の放熱シート21は、一対のシート載置用凹部11b内にそれぞれ配置される。放熱シート21は、後述するように、シート載置用凹部11bの上面と下側コア22の下面との間に配置されることによって、シート載置用凹部11bの上面と下側コア22の下面とに隙間なく密着する。これにより、下側コア22が発熱した際に、下側コア22の熱が放熱シート21を介して筐体10の基台11に放熱(熱伝導)される。
【0026】
下側コア22は、4個設けられている。下側コア22は、フェライト、磁性金属、圧粉磁心等によって形成されている。
【0027】
下側コア22は、上面22aの矢印BB´方向の両端部に凸部22bが形成されたU形コアからなる。下側コア22の上面22aは、中央放熱部12、第1放熱部14a、第2放熱部14bおよび第3放熱部14cの上面と略面一になるように形成されている。
【0028】
矢印BB´方向に隣接する一対の下側コア22によって、E形コアが構成されている。なお、下側コア22は、U形コアではなく、E形コアによって形成されていてもよい。すなわち、E形コアは、一対のU形コアからなる下側コア22によって構成されるのではなく、1個のE形コアからなる下側コアによって構成されていてもよい。E形コア(一対の下側コア22)は、矢印AA´方向に互いに所定の間隔を隔てて一対設けられている。各E形コアは、放熱シート21と略同じ大きさで同じ形状に形成されている。そして、E形コアの下面全面が放熱シート21に密着する。
【0029】
放熱シート23は、下側コア22の凸部22bを避ける(重ならない)ように形成されている。また、放熱シート23の矢印BB´方向の中央部には、下側コア22の凸部22bおよび中央放熱部12のネジ穴12aに対応する位置にスリット23aが形成されている。
【0030】
放熱シート23は、第1放熱部14aおよび第2放熱部14b上に配置される第1領域23bと、矢印A方向のE形コア(一対の下側コア22)の上面22a上に配置される第2領域23cと、中央放熱部12上に配置される第3領域23dと、矢印A´方向のE形コア(一対の下側コア22)の上面22a上に配置される第4領域23eと、第3放熱部14c上に配置される第5領域23fと、を含んでいる。放熱シート23は、筐体10の第1放熱部14a、第2放熱部14b、中央放熱部12および第3放熱部14cの上面に隙間なく密着するとともに、一対のE形コアの上面22aに隙間なく密着する。これにより、下側コア22が発熱した際に、下側コア22の熱が放熱シート23を介して筐体10の第1放熱部14a、第2放熱部14b、中央放熱部12および第3放熱部14cに放熱(熱伝導)される。
【0031】
また、放熱シート23上には、基板30が配置される。放熱シート23は、基板30の後述する第1導電層32に隙間なく密着する。これにより、基板30が発熱した際に、基板30の熱が放熱シート23を介して筐体10の第1放熱部14a、第2放熱部14b、中央放熱部12および第3放熱部14cに放熱(熱伝導)される。また、基板30の温度が下側コア22の温度よりも高い場合には、基板30の熱は放熱シート23を介して下側コア22にも放熱(熱伝導)され、下側コア22の温度が基板30の温度よりも高い場合には、下側コア22の熱は放熱シート23を介して基板30にも放熱(熱伝導)される。
【0032】
基板30は
図5および
図6に示すように、絶縁性の基材31と、基材31の第1表面31a(
図2の下面)に設けられた第1導電層32と、基材31の第2表面31b(
図2の上面)に設けられた第2導電層33と、を含んでいる。後述するように、第1導電層32は、1次コイルとなる渦巻き状の第1コイルパターン32aを含み、第2導電層33は、2次コイルとなる渦巻き状の第2コイルパターン33aを含んでいる。なお、基板30の詳細構造については後述する。
【0033】
図2に示すように、放熱シート24は、矢印AA´方向に延びるように形成されているとともに、矢印BB´方向に互いに所定の間隔を隔てて一対設けられている。放熱シート24は、基板30の第2導電層33上に配置される。放熱シート24は、後述するように、基板30の第2導電層33と上側コア26の下面との間に配置されることによって、基板30の第2導電層33と上側コア26の下面とに密着する。これにより、基板30の温度が上側コア26の温度よりも高い場合には、基板30の熱は放熱シート24を介して上側コア26に放熱(熱伝導)され、上側コア26の温度が基板30の温度よりも高い場合には、上側コア26の熱は放熱シート24を介して基板30にも放熱(熱伝導)される。
【0034】
図2および
図7に示すように、スペーサ25aは、矢印AA´方向に延びるように形成されているとともに、矢印BB´方向に互いに所定の間隔を隔てて一対設けられている。一対のスペーサ25aは、E形コア(一対の下側コア22)の矢印BB´方向の両端の凸部22b上に配置されている。スペーサ25bは、矢印AA´方向に延びるように形成されているとともに、矢印AA´方向に互いに所定の間隔を隔てて一対設けられている。一対のスペーサ25bは、E形コア(一対の下側コア22)の矢印BB´方向の中央の凸部22b上に配置されている。
【0035】
一対のスペーサ25aは、一対の放熱シート24を矢印BB´方向に挟み込むように配置されているとともに、一対のスペーサ25bは、一対の放熱シート24の間に配置されている。
【0036】
スペーサ25aおよび25bは、上側コア26を放熱シート24上に配置した状態で、放熱シート23および24が厚み方向に圧縮され過ぎるのを防止し、上側コア26の下面と下側コア22の上面22aとの距離を所定の大きさに規定するためのものである。スペーサ25aおよび25bの材質は特に限定されないが、例えば絶縁性の樹脂基板などを用いることができる。
【0037】
上側コア26は、平板状のI形コアからなるとともに、下側コア22と同様、フェライト、磁性金属、圧粉磁心等によって形成されている。上側コア26は、矢印BB´方向に延びるように形成されているとともに、矢印AA´方向に互いに所定の間隔を隔てて一対設けられている。上側コア26は、厚み方向から見てE形コアと略同じ大きさで同じ形状に形成されている。
【0038】
上側コア26とE形コア(一対の下側コア22)とによって、基板30の第1コイルパターン32aと第2コイルパターン33aとを電磁結合するコアが構成されている。これにより、例えば、基板30の第1コイルパターン32aに電流を流すと、コア(上側コア26およびE形コア)の磁路に磁束が発生する。そして、第2コイルパターン33aには、コアに発生した磁束を打ち消すように電流が流れる。なお、上側コア26とE形コア(一対の下側コア22)とは、互いに接触するように配置されていてもよいし、互いに所定間隔を隔てて配置されていてもよい。
【0039】
放熱シート27は、矢印BB´方向に延びるように形成されているとともに、矢印AA´方向に所定の間隔を隔てて一対設けられている。一対の放熱シート27は、一対の上側コア26上にそれぞれ配置されている。放熱シート27は、厚み方向から見て上側コア26と略同じ大きさで同じ形状に形成されている。
【0040】
放熱シート27は、後述するように、上側コア26の上面と押えプレート28の下面との間に配置されることによって、上側コア26の上面と押えプレート28の下面とに隙間なく密着する。これにより、上側コア26が発熱した際に、上側コア26の熱が放熱シート27を介して押えプレート28に放熱(熱伝導)される。
【0041】
押えプレート28は、良好な熱伝導性を有する例えば銅やアルミニウム等の金属によって形成されている。押えプレート28は、矢印BB´方向に延びるように形成されているとともに、矢印AA´方向に所定の間隔を隔てて一対設けられている。一対の押えプレート28は、一対の放熱シート27上にそれぞれ配置されている。押えプレート28は、厚み方向から見て放熱シート27と略同じ大きさで同じ形状に形成されている。
【0042】
押えプレート28の矢印BB´方向の側面の各々には、筐体10のネジ挿入穴15aに対応するように一対のネジ穴28aが設けられている。押えプレート28は、放熱シート27を押えた状態で、筐体10の壁部15に固定される。
【0043】
次に、基板30の詳細構造について説明する。
【0044】
基板30は
図5および
図6に示すように、基材31と、基材31の第1表面31aに設けられた第1導電層32と、基材31の第2表面31bに設けられた第2導電層33と、を含んでいる。基板30は、第1表面31aが筐体10の基台11に対向するように(第1表面31aを下向きにして)配置される。なお、理解を容易にするために、
図5では第1導電層32にハッチングを施し、
図6では第2導電層33にハッチングを施している。
【0045】
基材31は、フッ素樹脂やその他の樹脂などの絶縁材料からなり、平板状に形成されている。基材31の外形は、厚み方向から見て略H形状に形成されており、基材31の矢印AA´方向の両端部には、矢印BB´方向の長さが他の部分よりも長い幅広部31cが形成されている。なお、幅広部31cは、一対のE形コアに対して矢印AA´方向の外側に配置されている。
【0046】
基材31の所定位置には、厚み方向に貫通した開口部31dが形成されている。開口部31dは、矢印AA´方向に延びるように形成されているとともに、矢印AA´方向に互いに所定の間隔を隔てて一対設けられている。開口部31dは、E形コアの矢印BB´方向の中央の凸部22bよりも少しだけ大きく形成されており、基板30が放熱シート23上に配置された状態で開口部31d内にE形コアの矢印BB´方向の中央の凸部22bが挿通される。
【0047】
基材31の4隅には、筐体10の固定部16に対応するようにネジ挿入穴31eが形成されており、基材31の中心には、中央放熱部12のネジ穴12aに対応するようにネジ挿入穴31fが形成されている。基材31は、ネジ挿入穴31eおよび31fを用いて筐体10の固定部16および中央放熱部12に固定される。
【0048】
第1導電層32は、基材31の第1表面31a上に形成されたCu層と、Cu層の表面を覆うAuメッキ層と、によって構成されている。Cu層は、基材31の第1表面31a上にCuペーストを所定パターンに塗布して硬化させることによって形成されている。なお、Cu層は、基材31の第1表面31aの全面に張り付けられた銅箔ベタを所定パターンにエッチングすることによって形成されていてもよい。
【0049】
図5に示すように、第1導電層32は、1次コイルとなる渦巻き状の第1コイルパターン32aと、第1コイルパターン32aに対して所定の距離を隔てて配置される略直線状の第1配線パターン32bと、を含んでいる。なお、第1コイルパターン32aは、第2コイルパターン33aに比べて、発熱量が多くなる。
【0050】
第1コイルパターン32aは、一対の開口部31dの周囲に渦巻き状に形成されている。第1コイルパターン32aは、矢印AA´方向に平行に延びる部分32cと、矢印BB´方向に平行に延びる部分32dと、を繋ぎ合せることによって形成されており、ここでは内周側から外周側に向かって反時計回り方向に約2周半にわたって形成されている。なお、部分32cは、部分32dに比べて約2倍の線幅を有するように形成されている。
【0051】
第1コイルパターン32aの内周側の端部32eは、一対のE形コアに対して矢印A方向の部分に配置されており、第1コイルパターン32aの外周側の端部32fは、一対のE形コアに対して矢印A´方向の部分に配置されている。なお、第1コイルパターン32aの内周側の端部32e上には、開口部34aを有する絶縁性のレジスト層34が形成されている。端部32fは、基板30を厚み方向に貫通するスルーホールによって、基材31の第2表面31b上の1次側電極33iに接続されている。
【0052】
第1配線パターン32bの一端部32gは、一対のE形コアに対して矢印A方向の部分に配置されており、第1配線パターン32bの他端部32hは、一対のE形コアに対して矢印A´方向の部分に配置されている。なお、第1配線パターン32bの一端部32g上には、開口部34bを有するレジスト層34が形成されている。端部32hは、矢印B方向に延びるように形成されている。また、端部32hは、基板30を厚み方向に貫通するスルーホールによって、基材31の第2表面31b上の1次側電極33jに接続されている。
【0053】
ここで、本実施形態では
図5および
図8に示すように、第1コイルパターン32aの内周側の端部32eには、レジスト層34の開口部34aを介して、第1ジャンパーピン(第1ジャンパー部材)35の一端が半田付けされている。また、第1配線パターン32bの一端部32gには、レジスト層34の開口部34bを介して、第1ジャンパーピン35の他端が半田付けされている。すなわち、第1コイルパターン32aの内周側の端部32eと、第1配線パターン32bの一端部32gとが、第1コイルパターン32aの一部を跨ぐ第1ジャンパーピン35によって電気的に接続されている。
【0054】
図6に示すように、第2導電層33は、2次コイルとなる渦巻き状の第2コイルパターン33aと、第2コイルパターン33aに対して所定の距離を隔てて配置される略直線状の第2配線パターン33bと、を含んでいる。
【0055】
第2コイルパターン33aは、一対の開口部31dの周囲に渦巻き状に形成されている。第2コイルパターン33aは、矢印AA´方向に平行に延びる部分33cと、矢印BB´方向に平行に延びる部分33dと、を繋ぎ合せることによって形成されており、ここでは内周側から外周側に向かって時計回り方向に約2周半にわたって形成されている。なお、部分33cは、部分33dに比べて約2倍の線幅を有するように形成されている。
【0056】
第2コイルパターン33aの内周側の端部33eは、一対のE形コアに対して矢印A方向の部分に配置されており、第2コイルパターン33aの外周側の端部33fは、一対のE形コアに対して矢印A´方向の部分に配置されている。なお、矢印A方向の幅広部31cの略全域には、絶縁性のレジスト層36が形成されている。そして、第2コイルパターン33aの内周側の端部33e上において、レジスト層36に開口部36aが形成されている。
【0057】
端部33fは、矢印B方向に延びるように形成されている。端部33fには、2次側電極33kが形成されている。2次側電極33kは、基板30の厚み方向に貫通するスルーホールによって、基材31の第1表面31a側まで電気的に接続されている。なお、矢印A´方向の幅広部31cの略全域にも、レジスト層36が形成されている。レジスト層36には、1次側電極33i、33j、2次側電極33kおよび後述する2次側電極33lが露出するように円形状の開口部が形成されている。
【0058】
第2配線パターン33bの一端部33gは、一対のE形コアに対して矢印A方向の部分に配置されており、第2配線パターン33bの他端部33hは、一対のE形コアに対して矢印A´方向の部分に配置されている。なお、第2配線パターン33bの一端部33g上において、レジスト層36に開口部36bが形成されている。他端部33hには、2次側電極33lが形成されている。2次側電極33lは、基板30の厚み方向に貫通するスルーホールによって、基材31の第1表面31a側まで電気的に接続されている。
【0059】
また、本実施形態では
図6および
図8に示すように、第2コイルパターン33aの内周側の端部33eには、レジスト層36の開口部36aを介して、第2ジャンパーピン(第2ジャンパー部材)37の一端が半田付けされている。また、第2配線パターン33bの一端部33gには、レジスト層36の開口部36bを介して、第2ジャンパーピン37の他端が半田付けされている。すなわち、第2コイルパターン33aの内周側の端部33eと、第2配線パターン33bの一端部33gとが、第2コイルパターン33aの一部を跨ぐ第2ジャンパーピン37によって電気的に接続されている。なお、レジスト層36の開口部36aおよび36bは、厚み方向から見て、レジスト層34の開口部34aおよび34bと同じ位置に同じ大きさで形成されている。
【0060】
また、本実施形態では
図5および
図6に示すように、第1コイルパターン32aは、基板30の厚み方向から見てコア(上側コア26および下側コア22)と重なる第1オーバーラップ領域R32を有し、第2コイルパターン33aは、基板30の厚み方向から見てコア(上側コア26および下側コア22)と重なる第2オーバーラップ領域R33を有する。そして、少なくとも第1オーバーラップ領域R32および第2オーバーラップ領域R33は、厚み方向から見て同一形状で同一位置に、すなわち基材31を中心として面対称に設けられている。なお、本実施形態では、第1コイルパターン32aの略全領域(端部32fを除く領域)と、第2コイルパターン33aの略全領域(端部33fを除く領域)とは、厚み方向から見て同一形状で同一位置に(面対称に)設けられている。また、第1配線パターン32bの略全領域(他端部32hを除く領域)と、第2配線パターン33bの略全領域(他端部33hを除く領域)とは、厚み方向から見て同一形状で同一位置に(面対称に)設けられている。
【0061】
また、本実施形態では、第1コイルパターン32aのうちの厚み方向から見てコアと重ならない(幅広部31c上に配置された)非オーバーラップ領域の大部分は、レジスト層34に覆われていない非レジスト領域からなる。非オーバーラップ領域は、放熱シート23の第1領域23bおよび第5領域23fを介して筐体10の第1放熱部14a、第2放熱部14bおよび第3放熱部14cに密着するように配置されている。
【0062】
本実施形態では、上記のように、第1コイルパターン32aの内周側の端部32eと第1配線パターン32bの一端部32gとは、第1ジャンパーピン35によって電気的に接続されている。これにより、渦巻き状の第1コイルパターン32aの内周側の端部32eを第1ジャンパーピン35によって電気的に引き出すことができる。同様に、第2コイルパターン33aの内周側の端部33eと第2配線パターン33bの一端部33gとは、第2ジャンパーピン37によって電気的に接続されている。これにより、渦巻き状の第2コイルパターン33aの内周側の端部33eを第2ジャンパーピン37によって電気的に引き出すことができる。その結果、基板30を、3層以上(通常、4層以上)の導電層を有する多層基板に形成する必要がないので、基板30の構造が複雑になるのを抑制しコストの増加を抑制することができる。
【0063】
また、第1コイルパターン32aおよび第2コイルパターン33aを基材31の第1表面31aおよび第2表面31bにそれぞれ設けるので、第1コイルパターン32aおよび第2コイルパターン33aを基材31の内層に設ける場合(例えば、基板30を4層基板とし、内側の2層に第1コイルパターン32aおよび第2コイルパターン33aを設ける場合)と異なり、第1コイルパターン32aおよび第2コイルパターン33aで発熱した熱が基板30の内部に籠るのを抑制することができる。すなわち、基板30の放熱性が低下するのを抑制することができる。
【0064】
また、上記のように、少なくとも第1オーバーラップ領域R32および第2オーバーラップ領域R33は、厚み方向から見て同一形状で同一位置に設けられている。第1コイルパターン32aおよび第2コイルパターン33aに電流が流れると、第1コイルパターン32aおよび第2コイルパターン33aが発熱するため、トランス1の特性に悪影響を及ぼす場合がある。そこで、上記のように、少なくとも第1オーバーラップ領域R32および第2オーバーラップ領域R33を厚み方向から見て同一形状で同一位置に設けることによって、第1オーバーラップ領域R32と第2オーバーラップ領域R33とを互いに近づけることができるので、発熱量の多い第1コイルパターン32aの熱を、発熱量の少ない第2コイルパターン33aに放熱(熱伝導)することができる。このため、第1コイルパターン32aの温度が高くなりすぎるのを抑制することができるので、トランス1の特性が低下するのを抑制することができる。
【0065】
また、上記のように、第1コイルパターン32aは、基板30の厚み方向から見てコアと重ならない(幅広部31c上に配置された)非オーバーラップ領域を含み、非オーバーラップ領域と第1放熱部14a、第2放熱部14bおよび第3放熱部14cとの間には、非オーバーラップ領域、第1放熱部14a、第2放熱部14bおよび第3放熱部14cに密着するように放熱シート23が設けられている。これにより、第1コイルパターン32aの熱を放熱シート21を介して効率良く筐体10に放熱(熱伝導)することができる。このため、1次コイルに2次コイルよりも多くの電流を流す(1次コイルの発熱量が2次コイルの発熱量よりも多い)回路構成にした場合に、放熱性をより向上させることができる。また、放熱シート21は絶縁性であるため、第1放熱部14a、第2放熱部14bおよび第3放熱部14cに金属を用いることができ、放熱性を容易に向上させることができる。
【0066】
また、上記のように、第1コイルパターン32aおよび第2コイルパターン33aの内周側の端部32eおよび33eは、コア(下側コア22および上側コア26)に対して矢印A方向の部分に配置されており、第1コイルパターン32aおよび第2コイルパターン33aの外周側の端部32fおよび33fは、コア(下側コア22および上側コア26)に対して矢印A´方向の部分に配置されており、第1配線パターン32bおよび第2配線パターン33bの一端部32gおよび33gは、コア(下側コア22および上側コア26)に対して矢印A方向の部分に配置されており、第1配線パターン32bおよび第2配線パターン33bの他端部32hおよび33hは、コア(下側コア22および上側コア26)に対して矢印A´方向の部分に配置されている。これにより、コア(下側コア22および上側コア26)に対して矢印A方向の部分に配置された、第1コイルパターン32aおよび第2コイルパターン33aの内周側の端部32eおよび33eを、コア(下側コア22および上側コア26)に対して矢印A´方向の部分に容易に電気的に引き出すことができる。
【0067】
通常、第1コイルパターン32aおよび第2コイルパターン33aに電流が流れた際に発生する熱は基板30の中央部に籠りやすい。そこで、上記のように、一対のE形コアの間に中央放熱部12を設け、中央放熱部12と基板30との間に、中央放熱部12および基板30に密着するように放熱シート21を設けることによって、基板30の中央部の熱を効率良く中央放熱部12に放熱(熱伝導)することができる。また、放熱シート21は絶縁性であるため、中央放熱部12に金属を用いることができ、放熱性を容易に向上させることができる。
【0068】
また、放熱部材として弾力性を有する放熱シート21、23、24および27を用いることによって、振動や衝撃を放熱シート21、23、24および27によって吸収することができるので、基板30およびコア(下側コア22および上側コア26)が振動や衝撃で損傷するのを抑制することができる。
【0069】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0070】
例えば、上記実施形態では、筐体10および押えプレート28を金属により構成する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、筐体10および押えプレート28を絶縁性を有するセラミック等により構成してもよい。この場合、絶縁性を有しない放熱シートを用いることも可能である。
【0071】
また、上記実施形態では、放熱部材として放熱シートを用いる例について示したが、本発明はこれに限らない。放熱部材として、例えば、金属を含有したグリスや、熱伝導性を有する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることも可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、基板30に第1ジャンパーピン35および第2ジャンパーピン37のみを取り付ける例について示したが、本発明はこれに限らない。基板30に、コンデンサや抵抗等を取り付けてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、第1ジャンパーピン35を基板30の第1表面31a側に取り付けるとともに、第2ジャンパーピン37を基板30の第2表面31b側に取り付ける例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1コイルパターン32aの内周側の端部32eおよび第1配線パターン32bの一端部32gをそれぞれスルーホールによって第2表面31b側に電気的に接続し、第1コイルパターン32aの内周側の端部32eと第1配線パターン32bの一端部32gとを第2表面31b側に取り付けた第1ジャンパーピン35によって電気的に接続してもよい。同様に、第2コイルパターン33aの内周側の端部33eおよび第2配線パターン33bの一端部33gをそれぞれスルーホールによって第1表面31a側に電気的に接続し、第2コイルパターン33aの内周側の端部33eと第2配線パターン33bの一端部33gとを第1表面31a側に取り付けた第2ジャンパーピン37によって電気的に接続してもよい。