【課題】導電性接着剤を用いて積層型キャパシタを基板に実装する際に、高温信頼性を求めても、導電性接着剤とめっき層間の接合力低下を防止して実装不良を防止することができる積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】積層型キャパシタは、誘電体層111及び複数の内部電極121、122を含むキャパシタ本体110と、キャパシタ本体の両端部にそれぞれ配置され、内部電極の露出した部分と接続される外部電極130、140と、を含む。外部電極は、内部電極と接続されるようにキャパシタ本体に形成される導電層131、141と、ニッケルNiとリンPを含み、導電層をカバーするように形成される内側めっき層132、142と、パラジウムPdとリンPを含み、内側めっき層をカバーするように形成される外側めっき層133、143と、を含む。
前記キャパシタ本体は、互いに対向する第1及び第2面と、第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面と、第1及び第2面と連結され、且つ第3及び第4面と連結される第5及び第6面とを含み、誘電体層を挟んで一端が前記キャパシタ本体の第3及び第4面を介して交互に露出するように配置される複数の内部電極を含む、請求項1又は2に記載の積層型キャパシタ。
前記外部電極の導電層は、キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ形成されて内部電極の露出した部分と接続される接続部と、前記接続部から前記キャパシタ本体の第1面の一部まで延長されるバンド部と、を含む、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、導電性接着剤を用いて積層型キャパシタを基板に実装する際に、高温信頼性を求めても、導電性接着剤とめっき層間の接合力低下を防止して実装不良を防止することができる積層型キャパシタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、誘電体層及び複数の内部電極を含むキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の両端部にそれぞれ配置され、内部電極の露出した部分と接続される外部電極と、を含み、上記外部電極は、上記内部電極と接続されるように上記キャパシタ本体に形成される導電層と、ニッケル(Ni)とリン(P)を含み、上記導電層をカバーするように形成される内側めっき層と、パラジウム(Pd)とリン(P)を含み、上記内側めっき層をカバーするように形成される外側めっき層と、を含む、積層型キャパシタを提供する。
【0008】
本発明の一実施形態において、上記内側めっき層は、内側めっき層の総重量に対するリンの含有量が4重量%超8重量%以下であることができる。
【0009】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体は、互いに対向する第1及び第2面と、第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面と、第1及び第2面と連結され、且つ第3及び第4面と連結される第5及び第6面とを含み、誘電体層を挟んで一端が上記キャパシタ本体の第3及び第4面を介して交互に露出するように配置される複数の内部電極を含むことができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記外部電極の導電層は、キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ形成されて内部電極の露出した部分と接続される接続部と、上記接続部から上記キャパシタ本体の第1面の一部まで延長されるバンド部と、を含むことができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記内側めっき層は、上記導電層上にニッケルとリンを含む第1金属層を無電解めっきすることにより形成され、上記外側めっき層は、上記内側めっき層上にパラジウムとリンを含む第2金属層を無電解めっきすることにより形成されることができる。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記導電層は、銅と銀の少なくとも一つを含むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記内側めっき層の厚さは1〜10μmであることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によると、導電性接着剤を用いて積層型キャパシタを基板に実装する際に、高温信頼性を求めても、導電性接着剤とめっき層間の接合力低下を防止して積層型キャパシタの実装不良を防止することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0017】
なお、明細書全体において、ある構成要素を「含む」ということは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0018】
以下、本発明の実施形態を明確に説明するために、キャパシタ本体110の方向を定義すると、図面に示されているX、Y、Zはそれぞれ、キャパシタ本体110の長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。また、本実施形態において、Z方向は、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念として用いられることができる。
【0019】
図1は本発明の一実施形態による積層型キャパシタを概略的に示す斜視図であり、
図2の(a)及び(b)は
図1の積層型キャパシタに適用される第1及び第2内部電極をそれぞれ示す平面図であり、
図3は
図1のI−I'線に沿った断面図である。
【0020】
図1〜
図3を参照すると、本実施形態による積層型キャパシタ100は、キャパシタ本体110と、第1及び第2外部電極130、140と、を含む。
【0021】
キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111をZ方向に積層した後に焼成したものであり、キャパシタ本体110の互いに隣接する誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。
【0022】
このとき、キャパシタ本体110は、ほぼ六面体状であることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、キャパシタ本体110の形状、寸法、及び誘電体層111の積層数が、本実施形態の図面に示されたものに限定されるものではない。
【0023】
本実施形態では、説明の便宜のために、キャパシタ本体110のZ方向に互いに対向する両面を第1及び第2面1、2、第1及び第2面1、2と連結され、X方向に互いに対向する両面を第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、且つ第3及び第4面3、4と連結され、Y方向に互いに対向する両面を第5及び第6面5、6と定義する。また、本実施形態において、積層型キャパシタ100の実装面は、キャパシタ本体110の第1面1であることができる。
【0024】
誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系セラミック粉末などを含むことができるが、十分な静電容量を得ることができる限り、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
また、誘電体層111には、上記セラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、及び分散剤などがさらに添加されることができる。
【0026】
上記セラミック添加剤としては、例えば、遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などが用いられることができる。
【0027】
かかるキャパシタ本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としての活性領域と、上下マージン部として、Z方向に上記活性領域の上下部にそれぞれ形成される上部及び下部カバー112、113と、を含むことができる。
【0028】
上部及び下部カバー112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同一の材料及び構成を有することができる。
【0029】
かかる上部及び下部カバー112、113は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を、上記活性領域の上下面にそれぞれZ方向に積層して形成することができ、基本的には物理的または化学的ストレスによる第1及び第2内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0030】
第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性が印加される電極であって、誘電体層111を挟んでZ方向に沿って交互に配置され、一端がキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4を介してそれぞれ露出することができる。
【0031】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0032】
このように、キャパシタ本体110の第3及び第4面3、4を介して交互に露出する第1及び第2内部電極121、122の端部は、後述するキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4に配置される第1及び第2外部電極130、140とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0033】
上述の構成によって、第1及び第2外部電極130、140に所定の電圧が印加されると、第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。
【0034】
このとき、積層型キャパシタ100の静電容量は、活性領域においてZ方向に沿って互いに重なる第1及び第2内部電極121、122の重なり面積と比例する。
【0035】
また、第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、パラジウム−銀(Pd−Ag)合金などの貴金属材料及びニッケル(Ni)、銅(Cu)のうち1つ以上の材料からなる導電性ペーストを用いて形成することができる。
【0036】
このとき、上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0037】
第1及び第2外部電極130、140は、互いに異なる極性の電圧が提供され、キャパシタ本体110のX方向における両端部に配置され、第1及び第2内部電極121、122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0038】
このとき、第1及び第2外部電極130、140は、キャパシタ本体110の表面に形成され、第1及び第2内部電極121、122と接続される第1及び第2導電層131、141と、第1及び第2導電層131、141をそれぞれカバーするように形成される第1及び第2内側めっき層132、142と、第1及び第2内側めっき層132、142をそれぞれカバーするように形成される第1及び第2外側めっき層133、143と、をそれぞれ含む。
【0039】
図4に示されるように、第1導電層131は、第1接続部131aと、第1バンド部131bと、を含むことができる。
【0040】
第1接続部131aは、キャパシタ本体110の第3面3に形成され、第1内部電極121の露出した部分と接続される部分であり、第1バンド部131bは、第1接続部131aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0041】
このとき、第1バンド部131bは、固着強度の向上などのために、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6の一部及び第2面2の一部までさらに延長されることができる。
【0042】
第2導電層141は、第2接続部141aと、第2バンド部141bと、を含むことができる。
【0043】
第2接続部141aは、キャパシタ本体110の第4面4に形成され、第2内部電極122の露出した部分と接続される部分であり、第2バンド部141bは、第2接続部141aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0044】
このとき、第2バンド部141bは、固着強度の向上などのために、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6の一部及び第2面2の一部まで延長されることができる。
【0045】
かかる第1及び第2導電層131、141は、銅(Cu)、銀(Ag)の少なくとも一つを含むと共に、ガラス(Glass)及びエポキシ(Epoxy)などをさらに含むことができる。
【0046】
第1及び第2内側めっき層132、142は、ニッケル(Ni)とリン(P)を含んで形成されることができる。
【0047】
また、
図5に示されるように、第1及び第2内側めっき層132、142は、第1及び第2導電層131、141上にニッケルとリンを含む第1金属層をめっきして形成されることができる。
【0048】
このとき、第1及び第2内側めっき層132、142はそれぞれ、無電解めっきで形成されることができる。このように無電解めっきで第1及び第2内側めっき層132、142を形成すると、電解めっきと比べてもめっき特性が大きく変わらず、且つ電解めっきで形成された皮膜よりも優れた耐食性を有することができ、位置ごとにほぼ同一にめっきが成長して均一なめっき厚さを有することができる。
【0049】
また、電解めっき方法は、バレルめっきを行う際に通電のためのスチールボールなどのダミーをさらに投入してめっきを行うが、本実施形態のように、無電解めっきを行うと、ダミーなしに被めっき体のみをめっきすることができるため、めっき準備作業及びめっき後の被めっき体の不良選別作業をより容易に行うことができる。
【0050】
また、第1及び第2内側めっき層132、142は、第1及び第2内側めっき層132、142のそれぞれの総重量に対するリンの含有量が4重量%超8重量%以下であることができる。
【0051】
下記表1において、耐食性は塩水噴霧試験を介して確認することができ、時間が長ければ長いほど耐食性に優れることを示す。
【0053】
このとき、リンはニッケル皮膜の特性を決定する役割を果たすことができる。表1を参照すると、リン(P)が含まれていない#1は、無電解めっきではめっきが不可能な条件である。
【0054】
そして、リンの含有量が4重量%以下である#2、#3では、第1及び第2内側めっき層132、142の耐食性が減少することが確認できる。これにより、めっき時に安定性が低下する問題が発生し得る。
【0055】
そして、リンの含有量が8重量%を超える#8、#9では、ニッケルの析出速度が低下することが確認できる。
【0056】
このように、ニッケルの析出速度が低下した場合、めっき厚さを同一に形成するためには、より多くのめっき時間を必要とし、結果的に製品の製造時間が増加して生産性が低下する問題が発生し得る。
【0057】
また、第1及び第2内側めっき層132、142の厚さは4μmであることができる。第1及び第2内側めっき層132、142の厚さが4μm未満であると、ニッケルカバレッジが不足して下部の第1及び第2導電層131、141が露出するという不良の問題が発生し得る。
【0058】
第1及び第2外側めっき層133、143はパラジウム(Pd)とリン(P)を含んで形成されることができる。
【0059】
また、第1及び第2外側めっき層133、143はそれぞれ、第1及び第2内側めっき層132、142上にパラジウムとリンを含む第2金属層を無電解めっきすることにより形成されることができる。
【0060】
このとき、第1及び第2外側めっき層133、143は、第1及び第2内側めっき層132、142のニッケル成分が酸化するのを防止する役割を果たすため、好ましくは、酸化の少ない貴金属を含む材料を用いて薄く形成することができる。
【0061】
第1及び第2外側めっき層133、143の厚さが厚くなると、めっき層の割れなどの問題が発生する可能性が高くなる。
【0062】
このように、無電解めっきで第1及び第2外側めっき層133、143を形成すると、電解めっきと比べてめっき特性が大きく変わらず、且つ電解めっきで形成された皮膜よりも優れた耐食性を有することができ、位置ごとにほぼ同一にめっきが成長して均一なめっき厚さを有することができる。
【0063】
本実施形態の積層型キャパシタは、導電性接着剤を用いて基板に実装し、150℃以上の高温信頼性を必要とする製品である。
【0064】
第1及び第2外側めっき層133、143は、基板に実装する際に上記導電性接着剤と接触する部分であり、基板との接合力低下が発生せず、且つ錫を含んでいないため、高温での信頼性問題も発生しない。
【0065】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的事項を逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは、当技術分野における通常の知識を有する者には自明である。